2018年10月14日更新

始まりのコンチェルト

  • 難易度:★★★|
  • 人数:3人~3人|
  • プレイ時間:8時間以上(テキストセッション)

■三人用シナリオです。RP推奨。このまま回す場合、GMは基本、インカル、シェヘラ必須です。
■今回予告
――君のためだけに紡ごう。
その調べは優しく、慈しむように。
風に乗せて、あなたがどこにいても届くように。
――君と二人で作るメロディーを。
休むことを知らぬ、躍り続ける指先で。
たった一つの祈りを込めて。
それは、決して叶わぬ哀しき唄。

モノトーンミュージアム『始まりのコンチェルト』
かくして、物語は紡がれる。

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ストック

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<今回予告>

――君のためだけに紡ごう。
その調べは優しく、慈しむように。
風に乗せて、あなたがどこにいても届くように。
――君と二人で作るメロディーを。
休むことを知らぬ、躍り続ける指先で。
たった一つの祈りを込めて。
それは、決して叶わぬ哀しき唄。
 
モノトーンミュージアム『始まりのコンチェルト』
かくして、物語は紡がれる。
 
 

<舞台設定>

響奏の街
左の地南部にある街。
この街に生きる者は、音楽に携わって生きている。建物も楽器を連想させるようなものが多く、至るところで好き勝手な音楽が流れているが、美しいハーモニーを奏でている。
子供たちは、一定の年齢を迎えると『成人の儀』と呼ばれる演奏会に参加する。その演奏会は、今まで生きてきて学んだ音楽の知識や技術を披露する場である。演奏会は三ヶ月に一度開かれる。その儀式を終えると、大人として認められ、街の外へ自由に旅することが出来るようになる。
外部の者に寛容で、音楽が好きであればどんなものでも歓迎している。但し、音楽が脅かされることがあれば、各々自衛手段を執ることもある。
 
 

<ハンドアウト>

・PC1
推奨クラス:なし
クイックスタート:小さな英雄
パートナー:アルナイル(親愛、憧憬など)
あなたは響奏の街に住む若き音楽家だ。
幼い頃に、孤高の天才・アルナイルに才能を見初められ、直接指導を受けている。
次のあなたの誕生日に、あなたは成人の儀として演奏会が開かれる。しかし、最近街には度々異形が現れるようになっており、開催が危ぶまれている。アルナイルは一切の懸念はないようで、あなたに指導を続けていた。そんなとき、あなたに御標が下りる。
あなたは、アルナイルに自分の演奏を聴いてもらうために、成人の儀に参加しなければならない。
※非紡ぎ手であること。
 
・PC2
推奨クラス:なし
クイックスタート:御標の守護者
パートナー:シリウス(憧憬、尊敬など)
あなたは響奏の街に住む若き音楽家であり、紡ぎ手だ。
幼い頃に、音楽家・シリウスに弟子入りして指導を受けている。
あなたは誕生日を迎えているが、まだ成人の儀を行っていない。PC1と共に演奏会に参加するためだ。しかし、街には小さなほつれや異形が見られる。このままでは成人の儀が開催されないかもしれない。シリウスは安全が確立されるまで、延期を検討しているようだ。そして、あなたが演奏会の練習をしていると、外にほつれが発生しているのを見つける。
あなたは、シリウスの懸念を取り除いて、当初の予定通り成人の儀に参加しなければならない。
 
・PC3
推奨クラス:なし
クイックスタート:守護の騎士
パートナー:PC1(友情、尽力など)
あなたは響奏の街に住む音楽家であり、紡ぎ手だ。
PC1やPC2とは、友人関係にある。
あなたは既に成人の儀を終えていて、二人が儀式を終えた暁には三人で左の地を巡り、音楽を届けようという誓いを立て合っている。
しかし、街には小さなほつれや異形が現れるようになり、成人の儀の開催が危ぶまれている。このままでは約束を果たすことが難しくなるだろう。事態の収拾を図るため、まずPC2の練習室に向かうことにする。
あなたは、二人の成人の儀を見届けるために、街の平和を取り戻す必要がある。
 
※音楽の街、という設定ですが、PC作成に際して芸術家クラスは必須ではないことを伝えてください。
※また、PCたちはそれぞれの得意な演奏ジャンル(ピアノ、歌唱、トランペット等)を決めてもらってください。
 
 

<登場NPC>

※以下のNPCの情報はハンドアウト配布の際に一緒に提示してあげてください。
 
・アルナイル
響奏の街に住む音楽家で、PC1の師匠。
生まれついて音楽の才能を持ち、左の地に知られるほどの有名人。しかし、若くして故郷に戻り、誰に聴かせるでもない曲を書いて一人で閉じ籠っていた。そのため、“孤高の天才”と謂われている。どこか浮世離れした雰囲気。紡ぎ手ではない。
PC1の演奏を聴いたときから、その演奏に魅了され、PC1のために指導を行っている。アルナイルにとって、PC1は宝物のような存在である。
 
戦闘データ
HP:100 剥離値:20
行動値:10
命中:8 回避:6 術:6 抵抗:6
肉体:9/3 知覚:13/4 意志:12/4 感応:18/6 社会:9/3 縫製:12/4
攻撃:殴5 射程:至近 防御:斬2/刺1/殴0/術2/縫0
 
アクション
・マイナー≪範囲攻撃3≫+メジャー≪芸は刃となりて≫+オート≪音響家3≫+常時≪我が芸に欠かせぬもの3≫:術攻撃
<斬/刺/殴>2d6+10/メジャー/術操値/対決/範囲(選択)/30m
・(ラウンド1回)物理リアクション≪我こそが美なり3≫+≪不可視の守護3≫:物理攻撃に対し【抵抗値】+3で判定。対決成功で相手に放心を与える。対決失敗でダメージを1d6+5点軽減。
 
オート
≪虚ろなる魂≫
≪音響家≫ LV3/オート/射程を+20mに変更する。
 
常時
≪無限の魔≫ 代償無しで特技使用可能
≪我が芸に欠かせぬもの≫ LV3/【術操値】+1
 
ダメロ
≪不可視の守護≫ LV3/ダメージを1d6+5点軽減。1ラウンド3回。
 
リアクション
≪我こそが美なり≫ LV3/リアク/物理攻撃に対し【抵抗値】+3で判定。成功で攻撃側に放心を与える。1ラウンド1回。
 
マイナー
≪範囲攻撃≫ LV3/マイナー/攻撃の対象を範囲(選択)に変更。1シーンに3回。
 
メジャー
≪芸は刃となりて≫ メジャー/対象:単体/射程:10m/2d6+10
 
逸脱能力
【虚構現出】2 【歪んだ幸運】2
【堕落の声】1 【完全否定】1
【死神の招き】2
 
・シリウス
響奏の街に住む音楽家で、PC2の師匠。
音楽の指導者としての経歴が長いが、元々は演奏者である。怪我の後遺症で長時間の演奏が出来ず、演奏者としては引退した。自分にも他人にも厳しく当たるため、誤解されることも多い。紡ぎ手ではない。
PC2の成長を見届けることを願い、指導を尽くしている。また、PC3の指導者でもあった。アルナイルは嘗ての親友らしい。
 
戦闘データ
HP:30 剥離値:0
行動値:12
命中:7 回避:6 術:5 抵抗:6
肉体:9/3 知覚:12/4 意志:13/4 感応:16/5 社会:12/4 縫製:11/3
攻撃:刺3 射程:至近 防御:斬1/刺0/殴0/術1/縫0
 
アクション
・メジャー≪無双の一撃≫+オート≪音響家2≫+常時≪勇猛なる血≫+常時≪戦場の賢者:物理攻撃≫:物理攻撃
<刺>1d6+10/メジャー/命中値/対決/単体/15m
・メジャー≪芸は刃となりて≫+オート≪音響家2≫:術攻撃
<斬/刺/殴>2d6+2/メジャー+ダメロ/術操値/対決/単体/25m
 
イニシアチブ
≪即興芸術≫ 即座にメインプロセスへ。芸術家のメジャー特技を使用すること。行動済みとなる。1シーン1回。
 
常時
≪無限の魔≫ 代償無しで特技使用可能
≪勇猛なる血≫ 【命中値】【肉体】の判定によるクリティカル値を-1する。
≪戦場の賢者:物理攻撃≫ LV2/ダメージロール+4
 
オート
≪賢者の知恵≫ LV2/判定直後、ダイス目を+1する。1演目に3回
≪芸能発露≫ LV2/判定を【感応】に変更。戦闘値は更に+7。1シーン2回
≪我、天啓を得たり!≫ 対象がクリファン後に使用。芸術家の特技一つの使用回数を1回復。1演目に1回
≪音響家≫ LV2/オート/射程を+15m
 
メジャー
≪無双の一撃≫ メジャー/物理攻撃。ダメージに+3
≪芸は刃となりて≫ メジャー/対象:単体/射程:10m/2d6+2
 
※NPCのデータについては、要調整です! PCの具合を見て能力値やダメージ等を適切にしてあげてください。
 
 

<本編>

・シーン1:序曲はいつも シーンプレイヤー:PC3
 
PC3は数ヶ月前に『成人の儀』を終え、日々を響奏の街で生活している。
もうすぐ次の成人の儀が開催される予定で、友人のPC1とPC2はそれに参加する予定だ。
しかし、最近街にはほつれや異形が現れるようになり、PC3は紡ぎ手として自警団に協力している。ただ、騒ぎが治まるまで演奏会を見送ろうという声が多くあるのも耳にしている。
PC3が街を歩いていると、自警団の話が聞こえてくる。
 
・『成人の儀』を迎える子供たちに御標が下りているらしい。
・街に流れている音楽がいつもと雰囲気が違う気がする。
・異形騒ぎが収まるまで、演奏会は当分見送った方が良いかもしれない。
 
PC3は紡ぎ手であり、友人のPC2のもとへと向かうことにする。
 
・シーン2:ある天才の調べ シーンプレイヤー:PC1
 
PC1は間もなく迎える『成人の儀』のために、今日も練習に励んでいる。
しかし最近、街では異形騒ぎが発生しており、開催が危ぶまれている。
指導者であるアルナイルは、街の騒ぎを気にするでなくPC1の奏でる曲に耳を傾けている。
 
「PC1さん、どうかしたの?」
「心配する必要はないよ。君の奏でるメロディーは、とても素敵だから」
「君の誕生日までに、僕も贈り物を考えているんだ。楽しみにしていてほしい」
 
アルナイルは鼻歌を歌って、書きかけの楽譜にペンを踊らせる。
PC1が再び行動をしようとすると、楽器が独りでに音を出す。あなたに御標が下りる時、いつも楽器が音を鳴らすのだ。
 
『あなたはこれからも、楽しく幸せに、音楽を奏で続けることが出来るでしょう。めでたしめでたし。』
※この御標は、PC1以外に聞き取れません。導入なので全員に公開で御標を教えてあげてください。
 
楽器が奏でる音楽に合わせて、御標が紡がれる。
それはアルナイルには聞こえていないようで、「いつもと違う音だ。それも素敵だね」と微笑んでいる。
 
PC1は、その御標から生まれてくるほつれにも気付かず、来るべき日のために練習を続けるのだった。
 
◎歪み表ver1
 
・シーン3:世界は段々と シーンプレイヤー:PC2
 
PC2は間もなく迎える『成人の儀』のために、今日も練習に励んでいる。
しかし、異形騒ぎで街がちょっとした混乱にあることはあなたも知っており、儀式を終えていないため自警団には協力していないが、ほつれは確認している。
そんなPC2がどこか上の空な様子を咎めるのは師匠であるシリウスだ。
 
「そんな調子では良い演奏が披露出来ないぞ」
「ここでは君が主役だ、きちんとしなさい」
「……だが、君たちの安全を考慮するならば、事態が落ち着くまで延期した方が良いかもしれないな」
 
怪我の話をすると
「昔の話だ。君には関係がない」
「こちらへ興味を割いている暇があるのなら、早急に練度を上げることを考えたまえ」
 
シリウスは硬い表情で、PC2に背を向ける。
すると、楽器がひとりでに音を出す。御標が下りるとき、最近は良くこうなることが多い。
 
『あなたはこれからも、楽しく幸せに、音楽を奏で続けることが出来るでしょう。めでたしめでたし。』
※この御標は、PC2以外に聞き取れません。導入なので全員に公開で御標を教えてあげてください。
 
PC2が再び行動しようとすると、外にほつれが生まれてているのを見つける。(歪み表の結果が反映されて良い)
PC2が外へ出でいったあと、シリウスは楽譜を机の上に放る。書きかけの譜面は、ぐちゃぐちゃとインクに塗り潰されていた。
 
・シーン4:沈みゆく音色 シーンプレイヤー:PC3
 
PC2と合流。歪み表の結果を引き受ける、引き受けないに関わらず、街にはあちこちにほつれが見られる。
街の自警団たちが武器を手に、警戒に当たっている。儀式の準備も平行して行われているが、各々あまり良い表情ではなかった。
 
・異形を倒さないとどうにもならないだろう。
・住民にも旅人にも被害が出始めている。
・音楽は子供たちの練習室から聞こえることが多い。
 
と教えられる。
PC1のもとへ行くとシーン終了。
 
・シーン5:不協和音 シーンプレイヤー:PC1
 
何となく外が騒々しいことに気付くだろう。
PC1が外への興味を示す動作を取ると、アルナイルに袖を引っ張られる。
 
「何かあったの?」
「大丈夫、僕が傍にいるから何も気にしなくていいんだよ」
「外のことは、君には関係のないことさ」
 
と問答をしているとPC2とPC3が入ってくる。(このシーンでPC全員が合流する)
外へ行こうとすると、「行かないで」と止められる。
 
出ていくと悲しげに見送る。
「外の世界は、とても苦しいところなんだ。だから……」
 
・シーン6:謎を追って 情報収集シーン
 
PCたちによる情報収集が始まる。
 
・御標について(縫製:8)
これから成人の儀を行う子供たちに下りている。その多くは、この先の旅路を祈るようなものばかりだ。そのため、子供たちは一生懸命に練習を重ねている。各々、楽器が勝手に音を立てたり、譜面に文字が走るなど様々な形で下りてくる。
調査項目『成人の儀について』、『音楽について』が公開される。
 
・成人の儀について(社会:10)
響奏の街で音楽と共に生きてきた子供たちが、大人として認められるために行う演奏会である。大きな問題は殆ど起きたことがないが、二十年ほど前に、演奏会の最中に事故が起きたことがある。
調査項目『二十年前の事故について』が公開される。
 
・音楽について(感応:9)
子供たちが演奏する曲は、指導者が作曲したものが殆どである。その一つ一つは、子供たちのために書き下ろされたもので、同じ曲は一つもない。演奏会で演奏した曲は未完成で、終了した暁に、後半の楽譜を渡される。
 
・二十年前の事故について(知覚:9/13)
9:舞台装置が壊れ、成人の儀に参加していた奏者が怪我を負った。この時にも、御標が参加する子供たちに下りていたらしい。
13:事故に巻き込まれたのは、アルナイルとシリウスである。アルナイルの演奏時、落下してきた照明を庇ったのがシリウスで、シリウスは演奏者としての人生を絶たれてしまった。アルナイルもまた、心を閉ざして一人で演奏を続けることにしたらしい。
 
※2シーン内で終了しなければ、クライマックスシーンで狂奏の楽器(モブ敵)が1体ずつ増えていく。
 
調査を終了した後に、シリウスが練習棟へ向かっていると住人から教えられる。
また、PC1も練習は良いのかと尋ねられる。
シリウスの練習室へ向かうか、アルナイルの練習室へ向かうか尋ねる。
  
>シリウスに会いに行く場合
シリウスの姿は街のどこにも見当たらない。
その時、PC1とPC2は聞き覚えのある旋律を耳にする。そう。御標が下りるときに流れるメロディーだ。
 
PC1『物語は続き、終わらない旋律を共に奏で合うでしょう。めでたし、めでたし。』
PC2『物語は続き、終わらない旋律を友と奏で合うでしょう。めでたし、めでたし。』
※この御標は、秘匿でそれぞれのPCに渡してください。
 
◎歪み表ver1
その時、練習棟の外から悲鳴が上がる。
外へ向かうとシーンエンド。
 
>アルナイルに会いに行く場合
PC1との練習室にアルナイルはいる。
しかし、PCたちよりも先にシリウスがその部屋にいた。
「もう終わりにするんだ、アルナイル」
その言葉がアルナイルに届いている様子はなく、寧ろ、入ってきたPC1の方に興味を示す。
「お帰りなさい、PC1さん。さあ、君の音を聴かせて」
その時、部屋にあった楽器が音楽を奏で始める。それは、いつも御標が下りるときに流れるメロディーだ。
 
PC1『物語は続き、終わらない旋律を共に奏で合うでしょう。めでたし、めでたし。』
PC2『物語は続き、終わらない旋律を友と奏で合うでしょう。めでたし、めでたし。』
※この御標は、秘匿でそれぞれのPCに渡してください。
 
◎歪み表ver1
そして、外からは悲鳴が上がる。
外へ向かうとシーンエンド。
 
・シーン7:歯車は一つずつ外れて シーンプレイヤー:PC2
 
外へ出ると、異形化した楽器たちが住民を襲っている。
助けようとすると、PC1に御標が下りる。
 
『二人だけの世界で奏でる旋律は、幸せな未来を作るでしょう。めでたし、めでたし。』
※この御標は秘匿でPC1に渡してください。
◎歪み表ver1
 
異形化している楽器は、宣言するだけで倒せる。
しかし、PC1が立ち向かおうとするならば、異形化の兆候が体に現れ始めることだろう。(御標に抗っていると取られるため)
異形を倒すと、アルナイルが鼻歌を歌いながら外へ出てくる。
そして、アルナイルはPC1だけを見て手を差し出す。
 
「僕と共に音楽を奏でよう。君の音は、僕の心を満たしてくれる。君と一緒なら、素晴らしい音楽が作り出せるんだ」
 
ここでアルナイルの誘いを断ること(御標に抗う)で紡ぎ手として目覚めることになる。
PC1が断ると、アルナイルは悲嘆に暮れる。そして、アルナイルは異形化していく。
 
「一人は、一人はもう嫌なんだ……一人だけの音楽は、苦しくて、冷たくて、居場所がなくなっていくのは、もう……!」
 
シリウスはPCたちを通りすぎ、アルナイルのもとへ行く。
「置いていくことはしない。私が一緒にいる。どんなことがあっても……私が、君の居場所であり続ける」
「……失いたくないものは、消えていく。大好きな音は、もう聴こえない。PC1さんは……僕の、求めていた、失ったはずのあの音だったんだ……」
 
そして、アルナイルは顔を上げる。
その顔には、歪な亀裂が走り、髪は毛先から曇白に変わっていく。
 
「『共に、音楽を奏で続けよう!』」
◎歪み表ver1
 
・シーン8:始まりの狂想曲 マスターシーン
 
初めてその音を聴いたときから、彼の音の虜になっていた。
成人の儀が終わったら、二人で奏でる音楽を世界中に届けることを誓った。
至高の旋律を奏で続けると、願った。
 
彼の音は消えた。
この世界のどこにも、彼の音はない。
ならば、なかったことにしてしまおう。
その約束も、彼も、全てを、嘘にしてしまえば良い。
 
ーーほら、聴こえた。新しい音が!
外の世界に出なければ、音を失うことなんてない。
だから、共に奏で続けよう。僕たちだけの音楽を。
 
願い続けた想いは、拗れて、膨らんで、歪んでいく。
 
・シーン9:Opus シーンプレイヤー:PC1
 
クライマックスシーン。
狂った音色が辺りに流れる。シリウスは、アルナイルを庇うように立ち塞がる。
 
「……友と共に奏でる、最初で、最後の公演だ。聴いていただこう」
 
シリウスは楽器(基本的にはヴァイオリンですが、PC2やPC3に合わせて変えてもOK)を構える。
戦闘開始。
 
戦闘前描写。アルナイルの叫び。
「『PC1さんとなら幸せな音楽を奏でられるんだ』」
「『PC1さんの音は僕の心を満たし続けてくれる』」
「『PC1さんは、彼の代わりになってくれる!』」
「僕の求める音を……他の何にも、奪わせやしない!」

(伽藍)音楽家アルナイルと、音楽家シリウス、狂奏の楽器×2(調査シーン次第で増加)との戦闘。
戦闘終了条件は、伽藍の撃破。
※伽藍が誰かはPCには告げないでおくこと。
戦闘データは<NPC>参照。狂奏の楽器データはインカルツァンド(p236)の木霊を使用。
配置は[PCたち]ー5mー[シリウスと狂奏の楽器×2]ー5mー[アルナイル(いれば狂奏の楽器)]となります。
 
>PCたちが戦闘不能
アルナイルはふらふらとPC1のもとへ近付いていく。
「外へ出なくなっていいんだ、僕と、ずっと……」
と、手にしていた楽譜をPC1に差し出す。
シリウスはその手に触れると、自分の方へと向かせた。
「大丈夫だ、私が、……私が、傍にいる」
そういうと、シリウスは楽器で演奏し始める。
その旋律は、今PC2が、PC1が練習している曲で。そして、PC3も成人の儀で披露した曲だった。
アルナイルは目を見開き、立ち上がるとシリウスのもとへ歩き出す。
「ああ、そうだ、僕の、僕たちの音楽……」
シリウスは何かを堪えるように眉を潜め、そして、楽器を落とす。
辺りには静寂が広がり、アルナイルはシリウスの姿を認めると、彼を抱きしめた。
「一緒に奏でよう、ずっと、ずっと、」
「ああ、ずっと一緒にいよう。だから、だからもう、終わりにしよう」
シリウスは、拾い上げた長剣で自分ごとアルナイルを貫く。アルナイルは強く強く、シリウスを抱き締める。
「……う、す、シリウス、きみの、おとを……」
「君の音に、焦がれていた。君と共に、外を、見てみたかったよ、アルナイル」
アルナイルの体はぼろぼろと崩れ、そして、シリウスと剣を残して、形を失った。
支えを失ったシリウスもまた、血溜まりの中に伏した。
 
シリウスの楽器ケースの中には、書きかけの楽譜が残されていた。
 
⇒バッドエンド(PCは生還するが、NPCは全員死亡)
 
>アルナイルが戦闘不能になるダメージを受ける
PCの攻撃よりも先に、アルナイルの前に飛び出したのはシリウスだった。
彼はその一撃を受けると、その場に崩れ落ちる。
「……彼を、アルナイルを、これ以上傷付けるのは、やめてくれ」
 
そしてシリウスは、庇うように、守るように、立ち上がる。
覚束ない手で、再びヴァイオリンを構えようとするが、また、落としてしまう。

アルナイルはPC1だけを真っ直ぐに見つめて、うわごとのように呟く。
「ぼくたちの音楽を……ずっと、一緒に……」
シリウスは複数の楽譜をPCたちに手渡す。PC3も見覚えがあるだろう、成人の儀で演奏した曲であることが分かる。
「……この曲は、大切な曲なんだ。どうか、聴かせてほしい。……私たちの作品を、完成させてくれ」
 
成人の儀は来週だ。
問題は山積みであったが、順調に進めば開催されるはずで、舞台もそれなりに準備が整っているだろう。
ここで選択肢を提示する。
 
選択肢
・演奏をしない(=伽藍を倒す)
・三人で演奏を行う
 
>>演奏をしない(=伽藍を倒す)
・シーン10:新たな始まり 共通エンディング
アルナイルは止めを受けて、そのまま何も残さず消えていくだろう。
街中に溢れていたほつれや歪みも、一緒に消えていく。
「……異形を倒さねばならないことは、分かっていた。私のわがままだった。……彼を解放してくれて、ありがとう」
シリウスはぎこちない微笑みで、君たちに楽譜を渡してくれる。
 
完成した二人の音楽は、もう聴くことは出来ないだろう。
それでも、君たちが受け継ぎ、これからへと奏でていくのだ。
これは、新たな始まりの協奏曲。 
⇒ノーマルエンド
 
>>三人で演奏を行う
・シーン10:OUR SONG 共通エンディング
君たちは舞台へ走る。自らの音を奏でるために。それは、君たちが大切にしてきた、大切なもの。
舞台はまだ未完成だが、それぞれが使える楽器があった。
輝かしい舞台ではない。観客は目の前にはいない。異形が脅かした街は、傷つき、疲弊していた。
シリウスはアルナイルを支えながら、静かに微笑む。
「その曲のタイトルは――」
「――『始まりの協奏曲』」
 
君たちが紡ぎ、奏でる音は、街中に響き渡る。その音色は真っ直ぐに、清らかに、街を包み込んでいく。
街に生きる全ての者がその音に心を奪われるだろう。君たちの音に、音楽に、魅了されて皆が集まってくる。
スポットライトはない。衣装もない。それでも、君たちの音は確かに皆の心を繋いでいく。
 
「――この、音、は……」
「ああ、そうだ、これが――」
「僕の求めていた、音楽だ」
アルナイルはそう笑うと、君たちの奏でる音に合わせて歌い出す。
 
シリウスは困ったように微笑み、アルナイルを見る。
「…………もう、いい」
「そうだね、僕は……ずっと間違えていた。僕が望んだ未来は、どんな風にも描けたんだ」
「さようなら、シリウス。……PC3さん、PC2さん」
「さようなら、PC1さん」
 
アルナイルは歌いながら、ぼろぼろと手が、体が、顔が、崩れて、
何も残さず、風に消えていった。
「……さようなら、アルナイル」
 
君たちの演奏が終わる頃には、観客席として用意されていた会場は満員で、拍手喝采だった。
君たちを歓声と拍手が包む。街は、再び平和な音楽に満ち溢れていった。
 
⇒ハッピーエンド(以下個別エンディング)
 
・シーン11:(PC2のイメージに合わせて設定してください) シーンプレイヤー:PC2
『成人の儀』当日。君の出番は次だ。
舞台袖には君の師である、シリウスがついている。
※RPでは何か励ますような言葉をかけてあげてください。
 
PC2が舞台に上がると、観客は拍手と共に出迎えてくれるだろう。その視線は君に注がれている。
君が演奏を始めると、観客たちは、PC2の音に、心を奪われる。
君は演奏で気づかないだろうが、シリウスも、その一人だ。
――演奏が終わると、PC2は再び拍手に身を包まれる。
舞台袖に戻ると、シリウスも拍手で君を迎えてくれる。
「良い演奏だった。…………ありがとう」
 
・シーン12:(PC1のイメージに合わせて設定してください) シーンプレイヤー:PC1
PC1はPC2と入れ替わるように舞台袖へと入る。そこにはシリウスがいた。
※RPでは何か励ますような言葉をかけてあげてください。
 
PC1が舞台へ上がると、観客は拍手と共に小さな囁きを漏らす。
「アルナイル先生が――」「可哀想に――」
 
拍手の間に、君は、何かを耳にする。
「ほら、周りの目なんて気にしないで、君だけの音を奏でてみせて」
「だいじょうぶ、君は、ひとりじゃないんだから」
「聴かせて、君の音を」
 
拍手が鎮まっていく。
君が演奏を始めると――空気が一変する。
その旋律は、まるで二人で奏でているかのような錯覚を起こすほど、壮大な音だ。
――ふと、君が顔を上げると、いつもの声がよみがえる。
「ほら、よくできました」
 
演奏を終えると、ひときわ大きな拍手が君を包む。
戻るとシリウスが微笑みを浮かべて出迎えてくれる。
「……良い演奏だった。お疲れさま、PC1くん」
 
シリウスに演奏中のことを伝えると、どこか嬉しそうに語る。
「君が音を奏でるなら、アルナイルはきっと、ずっと聴いてくれるだろう。忘れないでいれば、必ず」
 
・シーン13:旅立ちの日 シーンプレイヤー:PC3
『成人の儀』が無事に終了し、PC3は街の外で二人を待っていた。
一緒にいるのは、見送りに来てくれたシリウスだ。
 
・怪我のことを尋ねる
「幾分かは良くなったが、もう指導することはままならないかもしれないな」
 
・アルナイルを庇ったのはなぜか
「君たちに手を下させるわけにはいかないと思っていた。何とか持たせようとしていたのに、見誤ったのは私だ」
「紡ぎ手でもない私が、どうにかできる問題ではなかったが。……儀式が終わったら、私が、彼を殺すつもりだった」
「教え子に師の不始末をさせるわけには行かないと思っていたんだが……仕方がない、か」
 
RPを切り上げることになった場合、最後の声かけ。
「君たちの未来が幸多いものであるよう祈っている。行ってらっしゃい、PC3くん。……いつでも帰ってきたまえ」
「君の、君たちの帰る場所は、いつだって用意してある」
シリウスは手を振って街の中へと戻っていく。
PC3はその向こうから、二人の人影が走ってくるのを見つけるだろう。
 
君の大切な友達。三人の旅がここから始まる。
物語は一つの幕を降ろし、また新たな物語が紡がれる。
 
 

<報酬>

ハッピーエンド:5点
ノーマルエンド:3点
バッドエンド:0点
 
 

<後書き>

このシナリオは、アイドルマスターSideMのAltessimoの楽曲をリスペクトして作成しました。
回す際、完走した際には是非楽曲だけでも聴いていただけると、作成した冥利に尽きます。
沢山のコンチェルトが紡がれることを、切に祈っております。ご覧いただきありがとうございました。

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