2019年08月08日更新

探索者を殺したい PLの為のクトゥルフ

  • 難易度:★|
  • 人数:1人~上限なし|
  • プレイ時間:1~2時間(ボイスセッション)

[chapter:▼レギュレーション]
この物語にはあなたしかいない。
あなた以外、必要がないから。
 このシナリオはその名の通り、探索者を殺したいPLの為のシナリオだ。ただ単純にその目的で作られており、探索らしい探索はないし、物語の終わりに美しい幕引きを迎えることもない。殺したいと望むなら殺させてあげよう、ただそれだけの物語だ。
 舞台は選ばない。現代であろうがガスライトであろうが可能だろう。
これはKPレスではない。処刑人はPL1人だが、処刑を見届ける者は必要だろう。KPがそれを担う。

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[chapter:▼レギュレーション]
この物語にはあなたしかいない。
あなた以外、必要がないから。
'画像'
 このシナリオはその名の通り、探索者を殺したいPLの為のシナリオだ。ただ単純にその目的で作られており、探索らしい探索はないし、物語の終わりに美しい幕引きを迎えることもない。殺したいと望むなら殺させてあげよう、ただそれだけの物語だ。
 舞台は選ばない。現代であろうがガスライトであろうが可能だろう。
これはKPレスではない。処刑人はPL1人だが、処刑を見届ける者は必要だろう。KPがそれを担う。
 サブタイトルは「Fake Ergo」

[chapter:ギミック]
 ギミックらしいギミックはない。ひとまず探索者はドッペルゲンガーである。ベースはショゴスかもしれないし、ナイアルラトホテプの化身かもしれない。それはどうでもよいことで、つまり、探索者は偽物の探索者であり、本物の探索者を殺さなければならない。それは法の番人の目を逃れるような自然な形かもしれないし、残虐性を求めるのならば不可解な殺戮かもしれない。衝動の思うままに殺せばいい。

[chapter:▼KPへ]
 貴方は探索者の本物という立場のNPCを作るが、基本的な言動に関してはPLに委ねると良いだろう。「あなたは生きたい。目の前で探索者が〇〇しようとするが、なんと言うか?」という具合に、質問を重ねるようにしてロールプレイを“させる”こと。
 KPがセリフを言ったら他人になってしまう。あくまでNPCは本物の探索者である。生きたいと望む立場の、もう一方のPLであるべきだ。

[chapter:■導入]
 探索者の頬に温もりが触れ、瞼に鮮やかな光が差し込む。気怠さが体のどこかに残る、胡乱な目覚めがそこにある。起き上がってみれば見知らぬ空間……、ではなく、自身の部屋である。ベットだろうか。布団だろうか。なんにせよ探索者は自身の匂いの沁みついた寝具に包まって朝を迎えたのだ。自分の芯にじわりと馴染む、居心地の良い空間の中で。
▽空間を調べる
 ここで《目星》または《アイディア》を振る。成功すれば違和感を覚える。部屋に点在する物が眠る前の配置ではない。例えるならば飲みほしたコップの置いた位置が異なるとか、閉じたはずの扉が開いているというような痕跡のズレがそこにはある。失敗では奇妙な違和感が漂うだけだ。
▽時計を調べる
 時計を見やれば、いつもより遅く起床したということに気付くだろう。日付も最後に記憶する日付と数日遅れている。
 部屋を調べてもそれ以上の違和感はない。

▽その他を調べる
 もしも探索者が洗面台や台所を見やれば、使用した形跡がある。洗面所は洗面ボウルには水滴がついており歯磨きには湿り気が残っているし、台所は(もしも朝食を作る探索者ならば)僅かに熱を帯び、シンクには食器がつけ置いてある。もし《アイディア》を振るのなら、そして成功するのならば、まるで誰かがこの部屋で自分よりも早く目覚めて朝の準備をしたようだと思うだろう。

[chapter:■1:探索者との接触]
 探索者は朝の違和感を調べるために、自身の通う学校や職場などに行くかもしれない。或いは実家を尋ねたり、友人に電話をするかもしれない。
実家を訪ねた場合、人は不在だ。友人に電話をしても誰も出ない。
だが、学校や職場を尋ねた場合、以下のようなことが起こる。

▽イベント
①その場所にいる知人が「あれ。さっきあっちにいなかったっけ」と首を傾げる。
②学校ならば下駄箱に上履きがなく、職場ならばタイムカードが押されていたり更衣室が使われた形跡があるだろう。
 上記のイベントを起こした後に、《目星》または《アイディア》を振る。成功すると遠くに探索者と全く同じ人物(本物)を目にする。失敗で、何者かにぶつかり、見やるとそれは探索者と全く同じ人物(本物)である。

※KP情報:探索者が通常、朝に過ごすとおりに行動することで物語が進行する。つまり、本物の探索者に出会うように仕向けること。

[chapter:■2:思い出す]
 接触の瞬間、探索者を激しい頭痛が襲う。目の前が暗くなり、そのどす黒い闇がうねっていると感じるだろう。耳の奥からドクンドクンと自身の血潮の音を感じたかと思うと、それは重い太鼓の音へと変化する。手足のしびれ、吐き気、苦痛と共に腹から湧き上がるのは確信めいた真実だ。
 ――自身は偽物である。そして目の前の人物は、本物だ。
 真実と共に結びつき地獄の業火のように燃え上がるその他の感情があった。それは圧倒的な殺意だった。
 本物を殺さねばならない。成り代わらなければならない。理由など知らない。どうでもいい。この人物を、この本物を、殺さなければならない。どのような方法をもってしても。
 目の前の本物は呻きながら青ざめ脂汗を流す探索者を心配そうに、或いは怪訝そうに見つめるかもしれない。直後に息をのみ、気付くだろう。探索者が自分と同じ存在であると。
 途端に本物は脱兎のごとく駆けだす。或いは対話をしようとするかもしれない。

[chapter:■3:分岐的選択]
 探索者は偽物であり殺意を持っているという物語に対峙した時、PLの行動として考えられるものは大きく3つに分けられるだろう。
①準じて探索者を殺そうとする。
②探索者を殺そうとせず、自死を選ぶ。
③自分が何故このような状況になったのかを探索する。

[chapter:分岐A]
■分岐A:準じて探索者を殺そうとするルート
 殺意に準じて探索者は本物を追いかける、ないし、本物を殺す為の計画を立てるだろう。対話をするならば、KPは暫く質問形式で対話をさせる。「あなたはこう言っている。ではどう返すか?」といった具合に。対話の結果から物語を分岐的選択に戻しても良いだろう。
 もし本物を追いかけるならば、KPは「本物の探索者は自身の偽物に追われている。どこに隠れる? どうする?」と問わせる。その問いが得られたらKPは「では本物の探索者はそうします。そして今回の探索者も同じように思考をし、その情報を自然と頭に浮かべることでしょう」と続ける。
 つまり本物は思考に於いて探索者を上回ることはけしてない。KPは偽物の探索者がどう殺したいかの提案を受け入れ、以下のことを検討する。

▽法的に問題は無いか
 法的に問題ないかで問題があった場合は、殺害後に死体の処理方法を尋ねて、発見が難しい案であれば問題なく処理できたとする。やや難しいようであれば《幸運》または《殺害に準じた技能》を振らせる。成功すれば運よく問題なく処理出来、失敗したならばセッション後3か月に1度《幸運》を振る。失敗した場合はそのことが露見し、見ず知らずの探索者に殺されるか或いはカルト集団の実験体になりロストする。

▽殺害後の問いかけ
 KPは殺害後に「さて、探索者は探索者を殺した。これをもって探索者は死んだが、残された偽物は探索者であるか」と問いかける。
もしもPLが偽物でも探索者であるというならば、探索者として今後も使い続けることは出来るだろう。他のKPが許せば。
もしも探索者ではないというのならば、ロストだ。そこに探索者はいない。無事にPLは、探索者を殺すことが出来たのだ。

[chapter:分岐B]
■分岐B:探索者を殺そうとせず、自死を選ぶルート
 探索者によっては本物を殺すことを躊躇う者もいるだろう。
その場合は、激しい殺意に気が狂いそうであるという描写を繰り返しながら、好きなことをさせてよい。ただし、行動の後に必ず《正気度ロール》を行う。成功すれば好きなように自死の為の準備を続けられる。
▽自死を完遂する
 探索者はロストし、だが本物の探索者は残る。PLは探索者を己の意思で殺すことは出来ないのだと、思い至るかもしれない。

 失敗した場合は気付くと自身の家の風呂場におり、風呂場は真っ赤に染まり、生臭い悪臭に包まれ、床のタイルの上には本物の探索者のバラバラ死体が転がっている。探索者の手にはノコギリが握られている。
 ――切り刻んで、もっと切り刻んで、トイレにでも流してしまえ。
 そんな思考がどこからか舞い降りる。

▽法的に問題がある
 法的に問題はあるものの、バレることはない。死体はミンチとなって下水に流されて問題なく処理できるとする。
▽殺害後の問いかけ
 KPは殺害後に「さて、探索者は探索者を殺した。これをもって探索者は死んだが、残された偽物は探索者であるか」と問いかける。
 もしもPLが偽物でも探索者であるというならば、探索者として今後も使い続けることは出来るだろう。他のKPが許せば。
 もしも探索者ではないというのならば、ロストだ。そこに探索者はいない。無事にPLは、探索者を殺すことが出来たのだ。

[chapter:分岐C]
■分岐C:自分が何故このような状況になったのかを探索するルート
 探索者は探索者である。クトゥルフ神話TRPGの世界に於いてそれは重要なことだ。
 もしも探索者が自身のことについて調べるならば、探索をさせてよい。ただし、一定期間行動したら、必ず《正気度ロール》を行う。成功すれば好きなように自死の為の準備を続けられる。
 失敗した場合は気付くと自身の家の風呂場におり、風呂場は真っ赤に染まり、生臭い悪臭に包まれ、床のタイルの上には本物の探索者のバラバラ死体が転がっている。探索者の手にはノコギリが握られている。以降の処理は分岐Bと同じである。

▽探索する場合
 探索者自身の体を調べた場合、状況は進展する。背中に魔法陣のようなものを見つけるだろう。
▽魔法陣を調べる
 魔法陣のようなものについてネットなどで調べれば、『岡ルート』という名前のオカルト作家の著書に辿り着く。著書のひとつに「カーニヴァル出版:スワンプマンは実在するか?」という小説があり、裏表紙に同じデザインの魔法陣のようなものが記されている。

▽岡ルートに会う
 出版元のカーニヴァル出版に問い合わせれば《言いくるめ》《説得》などで岡ルートとのアポイトメントが取れるだろう。
 人の多いカフェに呼ばれ、岡ルートに会う。岡ルートは茶色の緩いパーマと丸い眼鏡が特徴的な小男である。彼は興味深そうに探索者を見ると、話を促す。探索者が自身の身の上に起こったことを話し、事件の解決を望むのならば岡ルートは協力する。
「興味深いね。きっと君はスワンプマンかドッペルゲンガーなんて言われるような存在だ。その魔法陣は、そういう取材をした時にたまたま見つけたものでつまり、偽物の印さ」
「実験を施した元凶に会うことは出来ないけれど、君の状態をどうにかこうにかは出来そうだよ。君を作り替えるんだ。協力してあげる。君をまず、殺してあげる。その後に、復活させよう」
 そう言って、岡ルートは《復活》の呪文を教える。
※KP情報:復活の呪文に関しては基本ルールブック6版279頁に準拠する。
 探索者が望むのならば岡は自身のマンションに探索者を招くだろう。

▽復活
 探索者を横たえさせて岡が魔導書を片手に呪文を唱え始める。すると探索者は激しい苦痛に襲われるだろう。探索者はここで《窒息ロール》を行う。《CON×10》からスタートし、徐々に《CON×9、8…》と減少させていく。失敗の度に1d6の耐久値を減少する。探索者の命が尽きるまで、何度も何度も激しい苦痛の描写を入れる。
 探索者の命が尽きたら、正気度を1d20喪失する。探索者は塩と化合物の砂へと変わり、そして再び人間へとその肉体を形成していく。
 やがて意識が降り立ち、ゆっくりと探索者は目覚めるだろう。目覚めた先で岡は青ざめながら「はい。終わり。もう、終わりだよ。後は好きにしてくれ、僕は眠い」といって、探索者を乱雑に玄関の外へと押しやるだろう。
 マグマのように夥しく湧き立っていた殺意の衝動はそこにない。ただただ、肉体と精神がある。

▽復活後の問いかけ
 KPは復活後に「さて、これをもって探索者は生まれ変わったが、本物は探索者であるか。偽物は探索者であるか」と問いかける。
 もしもPLが偽物でも探索者であるというならば、探索者として今後も使い続けることは出来るだろう。他のKPが許せば。スペア探索者の出来上がりである。
もしも探索者ではないというのならば、ロストだ。だが本物の探索者は残る。PLは探索者を己の意思で殺すことは出来ないのだと、思い至るかもしれない。

[chapter:クリア報酬]
 この物語に報酬はない。
 当然の報いとして。

 もしも本物も偽物も探索者が死を望んでいるのならば、行きつく先は己との心中かもしれない。
 平等に取り扱うならば、本物の探索者に殺されることもあるだろう。己を殺してでも生きたいと思うこともまた自由であってしかるべきだ。

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クトゥルフ神話TRPGを主に「オンセンsns」さんでやっております。 基本的には物語の中身はシリアスだけど、救いのあるものが好きです。 宜しくお願い致します。

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