2024年03月01日更新

【CoCシナリオ7版対応】Symphony No.10 in E flat major "Ones"

  • 難易度:★★★★|
  • 人数:4人~6人|
  • プレイ時間:8時間以上(ボイスセッション)

私は奏でたかったのだ…
私は伝えたかったのだ…
私は欲しかったのだ…

ただ…音楽を、感謝を、拍手を

諸君、悲劇は始まってしまった

止めてくれまいか

この音色を…

7版に対応するように編集を行いました。今後読み込み次第より7版に沿うように使用技能などを編集したいと思います。

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シナリオ設定

時代:現代
場所:本編→日本、終盤→オーストリア
敵対カルト集団:チョー=チョー人および隠蔽されし者達
表向きの活動:
チョー=チョー人→日本ではホテル黒蓮を経営している。
隠蔽されし者達→表向きの活動はない。

裏向きの活動:
チョー=チョー人→裏向きの活動はほとんどない。
隠蔽されし者達→麻薬カルテルや暗殺業の仕事を請け負っている。

リーダー:
チョー=チョー人→臥仏貿易会社の社長が妥当なところであろう。組織が大きいため一概に主犯は存在しない。
隠蔽されし者達→ツンス

目的:
チョー=チョー人→トルネンブラが憑依した京子が交響曲第十番を演奏しズ=チェ=クォンを招来させ、ウィーンに住む人々を大量虐殺するとともに自らも殉教死し、神々が満足するのを見届けてから京子を殺害し、その魂をアザトースの宮廷へと献上する。

隠蔽されし者達→トルネンブラが憑依した京子が交響曲第十番を演奏しズ=チェ=クォンを招来させ、ウィーンに住む人々を大量虐殺するとともに自らも殉教死する。ただし、ツンスはズ=チェ=クォンへ殉教死する人間を大量に捧げるため、トルネンブラの憑依した京子を生きたまま捕縛し、世界中でズ=チェ=クォンを招来しようとする。

探索者→トルネンブラを京子に憑依させ、ズ=チェ=クォンが招来されるまでにトルネンブラの追放・退散を行い、京子の巫女としての能力を剥奪し、生きたまま日本へ連れ戻す。

シナリオ概要

 未完に終わったルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲第十番は自称秘書であり音楽家であるアントン・シンドラーによって破棄されていた____。以前からベートーヴェンの音楽技術・才能が神の御技に近づきつつあると感じていたシンドラーは人類が到達できないように捏造、改竄を行っていた。第十番を書き終えてベートーヴェンから手渡されたシンドラーは恐れていた事態が現実のものになったと確信した。楽譜を読み込み、脳内で再生した彼は激しい精神的苦痛を受け即座に破棄することを決定した。
 だが、破棄された楽譜を回収したものがいる。ニャルラトテップだ。修復した楽譜を小さな紙片に分け、才能ある音楽家に渡していた。ニャルラトテップによって選定され、楽譜を渡された音楽家を次はトルネンブラが選定することになる。イギリスに拠点を置く、グラーキの黙示録第9巻を所有するチョー=チョー人はトルネンブラとヨグ=ソトースを信仰しており、スグルオの住人を呼び出すことのできる特殊な装置を作製し、トルネンブラに選定され楽譜を所有する音楽家の所在を探っていた。さらにズ=チェ=クォンを信仰するツンス率いる隠蔽されし者達(Hidden Ones)も楽譜を所有する音楽家の所在を探っていた。
 時を進めて2020年。日本に住む軽音楽部所属の女子高生、島津京子は諸事情でやさぐれていた。仲良くしていた探偵事務所によく顔を出し、宿題をやったり駄弁ったり音楽の練習をして家出まがいのことをしていた。親も手の付けられない反抗期だったため、変なところに行くよりは…。と夕方から夜にかけては探偵事務所に入り浸ることを黙認していた。だが、あることをきっかけにそんな穏やかで儚い日常は崩れ去ることとなる。島津京子が起床すると手元に謎の楽譜の紙片があったのだ!その日を境に徐々に聞こえるようになった謎の音楽は一部がその紙片のものと一致していた。音が大きくなるにつれて狂気に蝕まれ、開花していく彼女の音楽技術と才能は図らずしも一部の世間へ広がることになり、2つのカルトに付け狙われるようになる。日に日におかしくなっていく彼女を尻目にとある有名音楽家の捜索を依頼された探索者たちは、彼女が置かれている立場を理解することとなる。音楽家の捜索と島津京子の保護に板挟みにされた探索者たちは最終的にベートーヴェンが交響曲第九番を演奏した地、元ケルントナートーア劇場、現ホテル・ザッハーへと赴くこととなる。そこで探索者達は島津京子の演奏する第十番によって招来されたズ=チェ=クォンの精神的・肉体的苦痛に蝕まれ、両カルトの妨害を受けながらトルネンブラを引きはがし、第十番を止めることでズ=チェ=クォンを退散させることとなる。

シナリオタイトル和訳は  交響曲第十番変ホ長調『全』

推奨技能

〈芸術・音楽〉〈目星〉〈心理学〉〈精神分析〉〈説得〉〈応急手当〉〈戦闘技能各種〉

探索の流れ

・導入
・右衛門田仁についての調査
・島津京子との再度接触および保護
・ツンスからの電話イベント
・ホテル黒蓮へ向かう道中でのカーチェイスイベント
・ホテル黒蓮潜入
・魔導書の解読
・オーストリアのウィーンでの最終決戦
以下は本編中のおおまかな地図である。
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登場NPCおよびカルト団体および神話生物

島津京子(しまず きょうこ)(16歳)
STR 40 CON 75 SIZ 65 INT 90 POW 70
DEX 50 APP 75 EDU 60 正気度 70 耐久力 14
ダメージボーナス:0
ビルド:0
移動:7
1ラウンドの攻撃回数:1
攻撃
1:〈こぶし〉 50% ダメージ 1D3
技能
〈回避〉 25%
〈芸術・音楽〉 50%
〈聞き耳〉 50%
<プロフィール>
 地元の進学校に通う、根は真面目で溌溂な女の子。頭脳明晰で容姿端麗であったため、女子とのいざこざは多少あったものの、これまで特に苦労することもなく日常生活を送っていた。軽音楽部に所属する高校2年生で、音楽的才能に恵まれていたことからライターも行っており、将来を有望視されている。しかし、同部活に所属する3年生の彼氏に浮気されたことをきっかけに少しグレるようになった。そのため、最近の服装は靴下は黒色のルーズソックス、スカートは膝上15cm、髪は全体が黒で毛先を紫色に染めている。父親は音楽関係の仕事で上役のため、深夜に帰ってくることが多く、母親も父親に心配を掛けさせないように京子が夜に帰ってくることを伝えていない。そのため家庭環境は見かけ上良好といえるだろう。
趣味:漫画を読むことと音楽関係である。最近のブームは鬼滅の刃で胡蝶しのぶが好きらしい。
好きな食べ物:【アップルパイ】これは幼少期に行った両親とのオーストリア旅行の際ウィーンで食べたアプフェルシュトュルーデルと呼ばれるアップルパイを食べた時に好きになったためである。夜ご飯に何が食べたいか聞かれたら「あーし、アップルパイがいい」と答えるかもしれない。※オーストリアは国王並びに貴族が多く存在したため、甘味は他の国よりもかなり発達していた。
【唐揚げ】これは、育ち盛りの学生にはたまらなく美味しいと感じられるためである。また、唐揚げを摂取した後は油によって声が出やすいとのこと。更に清子も京子が唐揚げ好きなのを知っているため、京子が好きな唐揚げの粉の配合や揚げ時間にもこだわっておりやさぐれている今でも唐揚げの日だけはLINEを既読無視せずに素直に帰宅していた。探索者と夜ご飯に行くならアップルパイにノリでついていくか、飯屋行った際に京子は唐揚げか唐揚げに近い揚げ物の料理を頼むだろう。
【ポッキー】まず、手が汚れずに宿題が出来、楽譜もかけるためよく食べている。また、本人が言うには「チョコとクッキーの配合がいいんよ」らしい。
探偵が用意するお菓子を決めるならば、ポッキー+探偵が言ったお菓子で決めよう。

 シナリオ中での仕様について、京子に〈芸術・音楽〉を振ってもらおうとする場面は多々出るだろう。京子の〈芸術・音楽〉の技能値はSAN値の減少と共に増加していく。1日に12SAN減る程度(ただし、序盤にこの速度で減ると異常な速度で技能値が減るため、シナリオの都合上序盤の減少は緩やかで、シナリオが進むにつれて加速していく)でよいと考えられる。また、1SAN減少につき技能値の値は5上昇することにする。つまり、クライマックフェイズでは京子の〈芸術・音楽〉の技能値は400に達しており、クリティカル範囲は01~20、イクストリーム範囲は20~80、ハード範囲は81~200である。ただし、京子が〈芸術・音楽〉に成功して頭に流れる交響曲第十番との関連性がある情報に気が付いてしまった場合は、より音が鮮明に聞こえるようになってしまい狂気が加速するため、そのようなRPを挟むこと。

島津清子(しまず きよこ)(41歳)
STR 45 CON 65 SIZ 70 INT 80 POW 75
DEX 50 APP 80 EDU 60 正気度 75 耐久力 13
<プロフィール>
 某音楽大学に通っていた。学部生時代に夫である島津信孝と出会い、5年の交際の後に結婚した。25歳の時に島津京子を出産し、現在思春期の娘を子育て中。

右衛門田仁(うえもんた ひとし)(56歳)
STR 60 CON 50 SIZ 60 INT 85 POW 75
DEX 85 APP 70 EDU 85 正気度 75 耐久力 13
<プロフィール>
 著名なクラシック音楽家であり、作曲家・指揮者として功績を残している。ニャルラトテップは楽譜の切れ端を音楽家に渡し、トルネンブラが見切りを付けると他の音楽家へ渡していた。両カルト団体も魔力の込められた楽譜を獲得するため楽譜を渡された音楽家を誘拐しており、見切りを付けられトルネンブラの音楽が聞こえなくなった者は大抵の場合背信者として拷問にかけられたのちに神への生贄とされるでもなく放置を行い、晒し者とした後に焼却処分される(楽譜の切れ端は持ち主が死ぬまで捨てても燃やしても本人のもとに戻ってくるという設定でよい)。彼もそのうちの一人で、ニャルラトテップに選定された後に脳内に流れ込む第十番を楽譜に書き起こす等、研究を行っていたが第十番の危険性に気付き研究を中断した。その後楽譜を所有していると特定され、都内で誘拐された。最終的にチョー=チョー人のフロント企業である、ホテル黒蓮(くろはす)の地下牢に旋律の巫女として幽閉され、崇拝されていたがトルネンブラによって見切りを付けられたことが発覚すると拷問を受けた後に殺害された。シナリオ中では焼却処分前のぼろぼろの死体姿であり、生きたまま回収することは出来ない。

チョー=チョー人(カルト団体)
STR 55 CON 55 SIZ 65 INT 75 POW 55
DEX 55 APP 45 EDU 35 正気度 26 耐久力 12
ダメージボーナス:0
装甲:なし
ビルド:0
移動:7
1ラウンドの攻撃回数:1
攻撃
1:〈こぶし〉 50% ダメージ 1D3
2:〈拳銃〉  25% ダメージ 1D8
技能
〈回避〉 27%
正気度喪失:チョー=チョー人を見て失う正気度ポイントはない
<プロフィール>
 トルネンブラとヨグ=ソトースを信仰しており、トルネンブラの選定した島津京子にこれまでに収集した第十番を渡し演奏させることで、ケルントナートーア劇場の地底に潜むズ=チェ=クォンを招来させ、大量虐殺を引き起こし、トルネンブラを満足させることで、その音楽家の魂をアザトースの宮殿へ送り届けることを目的としている。そのため、クライマックスフェイズではチョー=チョー人はある程度の虐殺が引き起こされた時点で島津京子を殺害する。
 日本ではフロント企業としてホテル黒蓮という名前で小規模なホテルをいくつか運営している。
最終局面に出張ってくるチョー=チョー人演劇部隊は肉体の保護により10ポイントの減衰する装甲を有しており、〈こぶし〉は70%、〈拳銃〉は25%でチョー=チョー人の光る武器(被害ロール1D4)を用いる。ただし、この武器は肉体に直接的な被害は見かけ上なく今後も修復されない(受けた分の耐久力の最大値が減少するし、現在耐久値も減る。更に魂への攻撃も行われるため、SAN値も減少する)

スグルオの住人(生ける音の姿)
INT 105 POW 185 DEX 105 耐久力 27
装甲:生ける音の姿の時はすべての物理的ダメージを無効にする。INTあるいはPOWに影響を与える呪文は通常通り彼らを傷つけることが出来る。また、特定の耳障りな音も彼らを傷つける。その音は特にスグルオの住人に有害である。
ビルド:0
移動:680(音速)
1ラウンドの攻撃回数:1攻撃
1:〈音響攻撃〉 25% ダメージ 1D6
正気度喪失:スグルオの住人を聞いて失う正気度ポイントは0/1D2
<プロフィール>
 奇妙な遠い宇宙にあるスグルオ湾に住む音で出来た存在。このクリーチャーはグラーキの第9巻に記された「翻訳機」の助けなしでは地球に移動することができない。また、トルネンブラを信仰している。このシナリオではチョー=チョー人によって呼び出され、島津京子に執着しているトルネンブラの所在をチョー=チョー人に伝えることを役割としている。

トルネンブラ
INT 70 POW 300 耐久力 60
装甲:生きた音であるトルネンブラはINTかPOWに影響する呪文、および音波に作用する機器によってのみダメージを受ける。
ビルド:0
移動:680(音速)
1ラウンドの攻撃回数:1攻撃
正気度喪失:トルネンブラの音楽を聞いたり、その存在を経験したりした者が失う正気度ポイントは1/2D10
<プロフィール>
 ニャルラトテップが選定し、第十番の紙片を渡した音楽家の中からアザトースの宮殿へその魂を送り届けるのに相応しい人物を選定する。シナリオ中では次に選ばれた島津京子に付きまとい、音楽によって島津京子を狂気に落とし込むだろう。また、交響曲第十番の楽譜は人間が可能な方法でトルネンブラそのものを表現したものである。

ニャルラトテップ
 ベートーヴェンが遺し、シンドラーが破棄した第十番を修復し、小さな紙片に分解した。この紙片を才能ある音楽家へ適当に手渡し、最終的な選定をトルネンブラに委託した。ベートーヴェンとニャルラトテップが魔力を込めたこの楽譜はアーティファクトであり、完璧に演奏することでズ=チェ=クォンを招来することができ、楽譜に込められた魔力を演奏中に用いることで大きな範囲にズ=チェ=クォンの影響を与えることができるようになる。

ヨグ=ソトース
 The All in One,The One in All(全にして一、一にして全なるもの)と銘うたれる神話生物。「全てのもの」という意味のあるAll Ones 、Oneという1を指し示す単語が"全てのもの"となることに着目して交響曲のタイトル"Ones"全てのものが一つの歌となるという概念はヨグ=ソトースそのものを表す歌となった。この歌はヨグ=ソトースの支配する曲がった時間軸における魔術的な意味合いを持つこととなり、副次的にトルネンブラの音を体現したもの、ズ=チェ=クォンに響く歌となった。

アザトース
 この宇宙が始まったときから存在している、外なる神々の知性のない総帥である。普通の時空を超越した宇宙の中心部にあって、単調なフルートの音に合わせて絶え間なくその不定形の体をくねらせている。その同じ音楽に合わせて下級の神々がアザトースの周りで知性のない踊りを踊り続けている。トルネンブラはときどきこのアザトースの宮廷へ地球の音楽家を選定してその魂を連れ去り、永遠に演奏させる。

隠蔽されし者達(Hidden Ones)(カルト団体)
STR 65 CON 75 SIZ 55 INT 65 POW 70
DEX 75 APP 55 EDU 70 正気度 70 耐久力 13
ダメージボーナス:0
装甲:なし
ビルド:0
移動:8
1ラウンドの攻撃回数:1攻撃
攻撃
1:〈こぶし〉 70% ダメージ 1D3
2:〈ナイフ〉 70% ダメージ 1D4
技能
〈回避〉 37%
 ズ=チェ=クォンを信仰しており、これまでに収集した第十番を渡し演奏させることで、元ケルントナートーア劇場で現在はホテル・ザッハーの地底に潜むズ=チェ=クォンを招来させ、大量虐殺を引き起こし、ズ=チェ=クォンとともに殉教死する、または島津京子を再利用して再び別の地でズ=チェ=クォンを招来することを目的としている。そのため、クライマックスフェイズでは隠蔽されし者達は島津京子を守ろうとする。また、元々暗殺者組織であったことから全体的に戦闘技能は高くなっている。主に資金源は殺しや薬物などであり、ヤクザや薬物カルテルと似たような非合法組織と思ってもらって構わない。

ツンス(盲目の不明種族)
STR 105 CON 155(PL人数によって変動) SIZ 75 DEX 115 APP 80(独裁的な指導者として)耐久力 23
ダメージボーナス:+1D6
装甲:歳月をかけてあつくなった皮 2点
ビルド:2
移動:8
1ラウンドの攻撃回数:1攻撃
攻撃
1:〈こぶし〉 85% ダメージ 1D6 + DB
2:〈キック〉 85% ダメージ 1D10 + DB
3:〈毒ナイフ〉 85% ダメージ 1D8 + DB
技能
〈回避〉 57%
※目が見えない。異常な聴覚を有するため、目の前や電話越しのこそこそ話は聞きとられてしまう。また、周囲の音から目が見えるのと同等の情報を得ることが出来るため、行動に支障はない。
 正体不明の種族のヒト型生物。過去(数百年または数千年前)に番(つがい:妻)がトルネンブラによって選定され、旋律の巫女として完成した後、どうしようもなくなってしまった彼は番を解放する目的で己の手で殺害した。妻の魂はアザトースの宮廷に連れ去れたうえにズ=チェ=クォンの神性に触れてしまったツンスは、眼球を抉りだし、信奉者となった。そのため、トルネンブラには妻を奪われた憎悪を、ズ=チェ=クォンには崇拝の感情を持っている。隠蔽されし者達とよばれるズ=チェ=クォンを崇拝するカルトを設立し、暗殺者や麻薬売人として育てた。この間長い年月をかけて培った彼の耳は全てを聞き通す能力を持つようになった。また、ズ=チェ=クォンを招来することのできる巫女を求めて、トルネンブラを追い続けている。ただし、常に周囲の状況を把握するため、「聞こえる聞こえます聞こえています聞こえる聞こえてる・・・」と常に繰り返し発話している。

ズ=チェ=クォン
CON 500 SIZ 500 INT 100 POW 400 耐久力 100
装甲:ズ=チェ=クォンはあらゆる物理的な攻撃によってダメージを受けない。魔術と魔力を付与された武器のみが効果を持つが、後者は最低限のダメージしか与えられない。
攻撃
1:眼球への激しい肉体的苦痛 毎ラウンド〈POW〉を行い、失敗するたび1ダメージを負い、この攻撃によって3点を受けると探索者は自ら眼球を抉り取る。これ以降〈POW〉に失敗すると、探索者は毎ラウンドの正気度喪失が1/1D3に増加する。
正気度喪失:ズ=チェ=クォンが辺りを覆っていく様を遠くから見た際に失う正気度ポイントは1D6/1D20。ズ=チェ=クォンの暗黒に覆われたものは毎ラウンド0/1の正気度ポイントを失う。
 ズ=チェ=クォンは本シナリオではケルントナートーア劇場地下深くに棲んでおり、トルネンブラの能力によって仕上げられた音楽家が演奏する交響曲第十番によって召喚される。音が維持されている間しかその場にいることが出来ない。ズ=チェ=クォンが現れた場所では、人間や動物は目に耐えがたい痛みを覚え、苦痛から逃れるために自分の目をえぐる場合もある。影響範囲は演奏中に使用した魔力の値に依存する。
NPC相関図
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PCを創造するときの注意点

 探索者の中に薄汚い探偵事務所を六本木に構える音楽を聴くのが好きな探偵を創造してもらってください。〈芸術・音楽〉を取得するとより良いと思います。

導入

 舞台は日本、東京都の六本木。現在は2020年8月24日の午後。探索者の探偵事務所は六本木の中でも日当たりが悪く、墓に近い立地が最悪な安いテナントを借りて入っている。探索者達は無料で使える広間扱いで週に何度も集まってはやりたいことをやって遊んでいる。更に探索者とは別にやってくる人物がいる。島津京子だ。彼女はこの薄汚い探偵事務所の所長と近所で彼女が小さい時から良く遊びに来ていた。これは探偵が音楽好きで面倒見が良く、好きなお菓子をいつも用意してくれており、嬉しそうに音楽を聞いてくれるからであるいつもはプロ講師に厳しい授業をつけられており、こちらが苦痛であったのだ。一人称は「あーし」。幼少期は滑舌が悪く、一人称を「あーし」としか言えなかったため、そのまま定着してしまった。また、事務所の片隅に置かれているピアノ等の楽器はあまり弾かないが、京子が良く弾きに来てメンテナンスをするため部屋の中でも楽器だけは綺麗に保たれている。

ここで京子のプロフィールを読み上げる。

このような状況の為、いつもは夜ご飯までには帰っていたが、最近は夜遅くに(といっても日を跨ぐほどではない時間帯に)事務所から帰る日々が続いていた。

彼女は用意されたお菓子を食べながら一頻り宿題などを済ませると『おじさん、今日も弾いてくわ』と言ってバイオリンやギターの練習を始める(ギターはメロディーに乗せて歌を歌う)。探索者達はBGMがわりにそれを聴きそれが終わるとやんややんやと褒めちぎる(この辺は褒めるロールプレイを挟ませること)。実際に彼女の音楽は聴いていて気持ちがいいのだ。京子は照れ隠しにこめかみを人差し指でポリポリする癖をしばらくやると『ありがと、いつものやっとくわ』と言いながら他の楽器の埃を拭いて、調律を行う。それが済むとまた椅子に座って書きかけの楽譜を開く。〈目星〉か〈芸術・音楽〉に成功すると楽譜が先ほどまで弾いていたギターのものとはほとんど関係ないピアノの楽譜だと分かるだろう。そのことについて言及すると、京子は『いつも言ってんじゃん、あーしピアノ弾くのあんま好きじゃないけどメロディー思いつくし、曲書くのは好きだって』と返して来る。『それに一応習い事の課題だから早く書いて出さないと怒られるんよ』とも付け足すだろう。

日も落ちてきたころ、事務所に一本の電話が入る。京子の母親、島津清子からである。
「あ、もしもし、いつもお世話になっております。島津です。今日も京子はそちらにおりますか?」
「よかったです。一応夜ご飯を用意したので、京子にLINEしたんですがやっぱり反応がなくて…。【探偵の探索者名】さんにもご負担になりますし、夜ご飯食べるか聞いていただいてもいいですか?いつも京子がご迷惑をおかけして申し訳ありません…。」
ここで探索者達は京子を夜ご飯に返す方向でも返さない方向で動いてもよい。ただし、返すならば適切なRPを挟むか、〈説得〉に成功しなければ返すことは出来ない。
夜ご飯に行ったとしても体勢に影響はない。PLがRPをやりたいと申し出るのであれば夜ご飯に行くRPをしても構わないし、夜ご飯に行って家まで送り届けたと流してもよいだろう。

そんな日常が続く中。いつも通り学校帰りの京子と探索者が探偵事務所にやってくる。
「おじさん、何か今日起きたら手元に楽譜の切れ端あったんだけど意味わかんねー。でもなんか捨てる気起きないし、首から下げることにしたわ。」とぼやくだろう。彼女の言う通り、ネックレスの先には楽譜の切れ端がついていた。楽譜はかなり古い物のようだ。
〈知識〉〈芸術・音楽〉〈科学・化学〉のハードまたは〈鑑定〉に成功すると、現在生産されているパルプからつくられた紙ではなく、木綿ボロによるものであることが分かるだろう。パルプは1800年代後半にかけて開発が進められていたことから、これが偽装されていないものであるならば少なくともそれ以前の代物であるということが分かるだろう。
〈オカルト〉に成功すると、なにやら不思議な力を感じるだろう。
〈クトゥルフ神話〉に成功すると、この楽譜に3MPが蓄積されており、何らかのアーティファクトであることが分かる。
 「あと何か歌?みたいなのが聞こえる気がするんよ」
京子はこの時点でトルネンブラによって選定されており、狂気に侵され始めている。

 翌日、昼過ぎに探偵事務所に黒いコートを身にまとったかろうじて老人男性と分かる者がやってくる。というのも、首にはマフラーを巻き、サングラスをかけ、間からは非常に血の巡りが悪そうな灰色とも紫ともつかない肌が見えるのだ。
彼は隠蔽されし者達をまとめ上げるツンスである。トルネンブラを聞き分けて日本に辿り着き、周辺に開業している探偵に仕事を依頼して回っている。他の探偵に問い合わせれば、彼か、彼の部下たちが同様に依頼を持ちかけていることだろう。更に身元も伏せる。
 「仕事の依頼を良いですかな。この音楽家、右衛門田仁を探して頂きたい。こちらにも事情がありましてな、身元は伏せます。前金1000万、成功報酬は3億、これで手を打ってはいただけませんかな。」
※注意 ツンスのセリフは句読点を全て聞こえていますや聞こえますに変換して音が途切れないようにしゃべること。ツンスは常に発話し続けている。
 スーツの男は恰幅の良い男性の写真と1000万円の入った封筒を取り出す。
(彼が依頼してきた音楽家は右衛門田仁という名前で2日前に行方不明になっており、現在警察によって捜索中である。彼は著名なクラシック音楽家で、作曲家・指揮者として功績を残している。)
〈目星〉に成功すると、サングラス越しなので、はっきりとは見えないが、目をつぶっているようだ。

右衛門田仁についての情報
〈図書館〉〈コンピュータ〉を行うか、ネットで調べるなどと宣言した時点で、右衛門田仁は千代田区に存在する東京音楽大学に客員教授として在籍しており、テレビにも何度も出演していることが分かる。様々なコンサートにも指揮者として出演しており、いかに著名な人物か分かるだろう。また、現在行方不明として大きく取り上げられていることが分かる。どうやら、東京音楽大学周辺で足取りが途絶えたようであり、警察が防犯カメラのチェックと周辺の捜索を行っているようである。
更に〈図書館〉〈コンピュータ〉に成功すると、右衛門田は結婚しており、妻がいるようだ。息子もいるが、現在はクラシック音楽を学ぶためにヨーロッパで活動している。千代田区にある右衛門田仁の自宅の住所と事務所の住所を特定することが出来る。

本編

各探索場所

千代田区の右衛門田仁の自宅または事務所へ取材するか、失踪エリア周辺(目黒区に存在する東京音楽大学に入るか、その周辺)を聞き込み調査することになるだろう。
東京音楽大学での聞き込み調査
大学に電話を入れ、適切なRPを行うことが出来るか、〈説得〉に成功すると大学構内での聞き込みを許可してもらえるだろう。ただし、右衛門田仁の肩書はあくまで客員教授であるため、非常勤講師として研究室をもっておらず、聞き込みできる内容はかなり限定的なものとなる。
〈説得〉〈APP〉〈魅惑〉など適切なロールに成功するたびに、校内の学生や教員に立ち話で情報の聞き込みを行うことが出来る。
 *何週間か前から何やら体調が優れないとは聞いており、講義は2週連続で休みになっている。
 *ベートーヴェンの第十番についての論文を執筆中だと聞いていた。
 *ここ最近はメディアへの露出も控えており、何かの論文執筆作業に集中していると聞いている。
 技能のハードに成功すると以下の情報が手に入る
 *この前飲みに行ったときに財布の中にお守り代わりに楽譜の一部を入れていたことを教えてくれる。

失踪エリア周辺での聞き込み調査
警察が周辺エリアで捜索しているのが分かるだろう。
〈説得〉〈APP〉〈魅惑〉など適切なロールに成功するたびに、街中の人から情報を得ることが出来る。
*よく、ある居酒屋で見かけるので、常連客だと思う。
*右衛門田のファンでコンサートに偶に行くが、数週間前のコンサートは尋常ではないほど仕上がりの良い物だった。
*ここ最近はメディアへの露出も控えており、何かの論文執筆作業に集中していると聞いている。

右衛門田仁の自宅での聞き込み調査および探索
 右衛門田仁の妻、右衛門田美憂は現在精神的に不安定な状態であり、探索者達が自宅を訪れて捜索に協力したいため、聞き込みをしたいと申し出れば承諾してくれるだろう。ただし、〈説得〉〈言いくるめ〉〈信用〉〈魅惑〉などに成功しなければ怪しがられ、自宅内の探索は許可を出してもらえないだろう。
 ・美憂への聞き込みで得られる情報
*仁は数週間前に手元に楽譜が入っており、これはベートーヴェンの第十番の一部だと言っていた。
*これに呼応するように脳内に第十番が少しずつ聞き取れる音量となっていくと言っていた。これはまさに神による啓示だと。この音楽を世に広めるのだと言っていた。
*しばらくして仁は楽譜と論文の執筆作業をするようになった。しかし、日に日に精神状態は不安定なものとなっていった。髪は全て白髪となり、食も細くなって体は衰えていった。
*1週間程度前に執筆作業を中断していた。だが、これでいいのだ。と言っていた。
*それからは深夜徘徊することが多くなり、深夜徘徊中に失踪した。
 ・自宅の探索で得られる情報(仁の書斎にしか情報はないし、探索の許可は出ない。)
仁の書斎には机と本棚がある。机の上と机の周りには大量の書類と書き捨てられた楽譜などが乱雑な状態となっている。更に本棚には大量の本が陳列されており、目ぼしい情報を得るには〈目星〉〈図書館〉〈芸術・音楽〉など適切な技能に成功しなければならない。
・机と机回りに対する探索技能成功時の情報
*机の上には執筆中の論文がある。
以下に論文の詳細を示す。

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題 Simphony No.10 in E flat major "Ones" 交響曲第十番変ホ長調『全』の全貌について

本論文ではルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)が晩年に構想し未完に終わった交響曲第十番の楽譜の完成を試みたものである。ハイドンやモーツァルトが台頭していた古典派からシューマンやショパンが台頭するようになったロマン派へと推し進め、貴族の為に音楽を創る雇われの身から大衆のために音楽を創る芸術家へと音楽家を昇華させたのもまたベートーヴェンであった。
(中略)
未完に終わった交響曲第十番は人類の夢であり、今もなおベートーヴェンの死後に残されたスケッチを元にその完成を待たれている。
(中略)
本論文の直接的な参考文献は伏せさせていただくが、満足のベートーヴェンの楽曲といっても差し支えないものが出来上がったと考えられる。ベートーヴェンは晩年、その才が神の領域に達していたことがうかがえる。
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〈図書館〉および〈英語〉の複合ロールに成功すると、付記された参考文献はいずれも第十番に関係のある論文が多いが、論文中に書かれている文章を構成することはほとんど無理だと言っていいレベルの論文ばかりであることが分かる。
〈目星〉に成功すると、文字が少しずつ震えたようになっていることが分かる。

*やや綺麗な状態で保たれたメモ用紙を発見する。

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      ほとんどの楽譜を書き終えた時点で分かったことがある。
交響曲第十番は未完に終わったのではない。
        出来てはいけなかったのだ。

                 楽譜は破棄する。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

メモ用紙はところどころ液体(涙)が乾いた跡が残り、皺が寄っている。更にメモ用紙はかなり震えた線で構成されていることが分かる。
〈医学〉に成功すると、震えた文字を書くのは「書痙」という病気で、作曲家や速記者などの職業に多く見られることが分かる。また、書痙罹患者は小脳、視床、感覚運動皮質などの灰白質が少なく(運動や感覚をつかさどる部位の組織が少なく)なっていることが判明している。
(これはトルネンブラの狂気に侵食されて、脳細胞と精神が破壊されていったことを示している。)
書痙について美憂に聞いても、書痙は今まで発症していなかったというだろう。

右衛門田仁の音楽事務所
 右衛門田仁の音楽事務所は同じく千代田区に存在する。車で少し移動した場所にある。右衛門田仁はフリーランスで働いており、部下は特にいないため事務所はガラガラとなっている。〈目星〉に成功すると防犯カメラが玄関に1つあることに気が付くだろう。
 右衛門田仁の事務所には様々な入り方が存在する。
・〈鍵開け〉に成功する
・右衛門田美憂に対して〈説得〉や〈言いくるめ〉に成功する、または適切なRPを行う
・窓ガラスを叩き割る
など何らかの適切な行動を行えばよい。
事務所の中にはデスクや棚、電話、楽器などが置かれている。また、額縁に楽譜が入れられ、飾られている。
〈目星〉に成功することで、事務所の中に防犯カメラを見つけることが出来る。恐らくデスクの上にパソコンがあるため、これに防犯カメラの映像が送られているのではないかと考えられる。このパソコンのパスワードは妻の美憂が知っている。または、額縁に楽譜が飾られており、パソコンのパスワードが暗号化されている。パスワードは「HAYDN」
曲名の伏せてある額縁に対して〈芸術・音楽〉に成功すると、この曲はラヴェルが書いた、「ハイドンの名によるメヌエット」であることが分かる。この曲はA~Zを音符と対応させ、「HAYDN」という文字列が「シラレレソ」となる。これを主軸として逆順とした「NDYAH」は「ソレレラシ」となり、「シラレレソ」を楽譜上で上下左右反対に読む「レソソドシ」などを楽譜中に盛り込み、芸術性の高い音楽として作製されている。

右衛門田仁のデスクトップパソコンには過去半年に渡る防犯カメラ(音声付)2台の映像記録が残されている。過去1か月以内に重要な情報が残っているため、古い方から閲覧するのであれば、技能無しでは解析に1日はかかるだろう。〈目星〉に成功すれば、8時間短縮することが出来る。また、新しい方から1か月などと絞ることを宣言すれば解析時間はより短くなる。時間的な調整をシナリオ中で複数回持たせることでPLに時間制限があるのではないかという緊張感を与えることが出来る(シナリオ内の日付も細かく記録しておこう)。解析が完了すると以下のことが分かる。

半年間に渡って右衛門田仁は仕事のスケジュール管理をこまめに行っていたようである。(秘書を雇っていない)
 しかし、ここ2週間にわたってほとんど仕事の依頼を断っており、壁に備え付けられているスケジュールボードにも仕事の項目はない。
 顧客は電話による日程調整を行ってから、顧客を事務所まで招くこともあれば、常連ならば出向く場合もあるようだ。
 話の内容はほとんどがコンサートの日程や規模、予算の話し合いであり、繰り返し話し合いを行って詰めているようだ。稀に大学などから講演会に呼ばれることもあるようだ。
 ホテル黒蓮という企業の社員が来た際、彼らはコンサートの打ち合わせ中、唐突に楽譜について右衛門田仁に聞き始めた。「この前、右衛門田さんが常連だとお聞きした居酒屋で、楽譜をお守りにしているとか」「よければお見せしていただけないですか?楽譜のお守りがどんなものなのか興味があります」などとやんわりとではあるが、追及するような形であったため、右衛門田仁も渋々財布から取り出し、彼らに見せていた。〈目星〉に成功すれば、探索者は京子が所有している楽譜と同質のものであるということが分かるだろう。

ホテル黒蓮への潜入
探索者達は右衛門田仁の最終捜索エリアとしてホテル黒蓮に潜入する。最も近いホテル黒蓮は4号線を北上した栃木県と福島県の県境に存在している。高速道路である東北自動車道、または下道の4号線で行くことが可能で、どちらを選択するか選んでもらう。これによって隠蔽されし者達による襲撃イベントの内容が変化する。ホテル黒蓮は地下3階から地上5階までの階層構造でなっており、右衛門田仁の遺体は地下3階に放置されている。1階はラウンジやレストランなど2~5階は宿泊階、地下1階は宴会場で、地下2階は地下1階と1階用のキッチンが入っている。そのため、ネットでは地下2階までとして書かれている。
1階から5階、地下1階、2階は全て民間用であるため、ほとんど情報はない。しかし、従業員はチョー=チョー人の血(正確にはミリ・ニグリと呼ばれるチャウグナー・フォーンの奉仕種族の血→ミリ・ニグリと人間の混血がチョー=チョー人である)が少し入った混血であるため、〈目星〉に成功すれば、どことなく骨格がおかしいことや、身体の一部分も奇形のような特徴が僅かに見られることが分かる。
地下3階へ行くためには地下1階の宴会場および地下2階のキッチンホールを通り、施錠された階段を通らなければならない。そのため、探索者はフロントから鍵を盗む必要がある。また、探索者達はホテルに宿泊し、キッチンホールに人がいない夜中に地下3階に潜入することになるだろう。

ホテル黒蓮へ予約して入る。
フロントには受付嬢が2人いる。受付嬢から書類を渡され事務作業に付き合わされることになる。この間、探索者は〈目星〉を振ってよい。〈目星〉に成功すると、清掃員がやってきたときに受付嬢の後ろ側にある棚から鍵をとっていったことが分かる。また、事務作業が終わり、探索者達の部屋の鍵が渡されるがこれは受付嬢の前にある整理された鍵置き場から渡されたことに気付く。(つまり、客用の鍵は嬢の前、従業員用の鍵は嬢の後ろにある)夜中になるまで探索者達は恐らく通常通り客として振る舞うだろう。また、各階には簡略的な地図があり、地下2階から地上5階までの各階が何の階か見ることが出来る。更にフロントのすぐ横には上下に繋がる階段とエレベーターが存在する。ひとつは[FOOD][STAF ONLY]と書いてあり、階表示板がB2~F1ため、料理を運ぶためのエレベーターのようだ。もう2つはB1~F5のため、客用のエレベーターのようである。
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ホテル黒蓮地下の鍵を盗んでからの探索
 探索者達は様々な方法で受付嬢の目をそらし、鍵を盗むだろう。方法としては受付嬢を2人ともノックアウトする。それぞれ別の用で別の場所に連れて行くなどが挙げられる。地下3階へ潜るための鍵を見つけるためには〈目星〉に成功する必要がある。
地下について(KP用情報)
地下1階
 早朝はキッチンホールへ行くためにシェフらがちらほら出入りするだろう。宴会場は主に昼過ぎから準備が始まるため、昼過ぎから従業員が出入りしており、特別な予約がない限り夜の9時前後にはお開きとなる場合が多い。そのため、24時前には従業員の出入りはなくなる。

地下2階
 キッチンホールは朝のレストランのバイキングの仕込みを行うため、早朝から従業員の出入りがある。また、昼過ぎからは夜の宴会に向けての仕込みを行っており、夜は宴会で使用された食器やゴミの処理に追われるため、24時には従業員の出入りはなくなる。

地下3階
地下3階は完全防音が施されており、外から聞き耳を行っても何も聞き取ることは出来ない。また、右衛門田仁の拷問後の死体、「翻訳機」によって呼んだスグルオが閉じ込められている(音であるスグルオは出ることが出来ない)。更にここには各種呪文が記されているグラーキの黙示録9巻がある。

地下について(PL用情報)
地下1階
 階段を降りると地下1階は宴会場のようである。沢山のテーブルと椅子が並んでおり、100名弱であれば十分に食事を楽しめるような広さである。また、階段を下りたすぐ横にはエレベーターホールも存在する。地上1階と同じく客用2つと従業員用が1つである。

地下2階
 地下2階へ降りるとキッチンホールのようである。大量の冷蔵庫とガス台などが入っており、充実したキッチンのようである。もちろん包丁など武器になりそうなものも大量にある。シェフがいる間は降りてもすぐに追い出されるだろう。ただし、〈説得〉や〈言いくるめ〉などに成功すればキッチンホールをあまり忙しくない昼間に見て回ることは可能だろう。〈目星〉に成功すれば、通常の貯蔵庫とは別に厚い扉があり、巨大な冷蔵庫によって隠されていることに気付く。この扉の奥は実際に冷凍肉の貯蔵庫として使用されており、-20℃に保たれている。
 探索者達が鍵を見つけ出し、深夜に貯蔵庫の前まで来ると、まずはSTR150との対抗ロールに成功しなければならない。つまり、人間が4人程度必要となる。これに成功した後、厚い扉の前に南京錠がかかっているため、鍵を用いて開けなければならない。鍵を持っていなければ〈鍵開け〉に成功することで開けることが出来る。
 中に入ると、ブタや牛の肉などが大量に存在する。また、食材に〈目星〉に成功することで貯蔵庫の片隅に「レバー」「腸」に加え、「人間大の脳」や明らかに「人間の腕」「人間の足」であろうブロックがパッケージングされていることに気が付く。これらが全て人間の肉であることに気が付いた探索者はSANチェック1/1D4。
また、貯蔵庫内に〈目星〉を行い、成功すると立てかけられている板の裏に更に厚い扉が付いていることが分かる。これにも頑丈な南京錠と鎖がついており、強烈な寒さのため、作業を通常通りに進められず、鍵を所有している場合は〈幸運〉のハードに成功しなければ開けるのに手間取ってしまう。気絶させた受付嬢を隠す等を行っていない場合、他の客が受付嬢を起こすため、地下から脱出する際にチョー=チョー人の襲撃が行われる。2度以上失敗した場合はを行ってもらい、失敗するたびに1D2のダメージを受ける。
鍵を所有していない場合は〈鍵開け〉のイクストリームを行ってもらい(恐らくこのケースになる場合はほとんどないと思うが)、2度以上失敗した場合はを行ってもらい、失敗するたびに1D2のダメージを受ける。この場合は鍵がなくなっていないため、受付嬢が地下への侵入に気付くことはない(エレベーターで地下1階まで行けば気付かれることはない)。

地下3階
 地下3階への侵入に成功すると、中は非常に血生臭く、不快なにおいが漂っている。また、完全防音が施された壁には夥しい量の血の跡があり、染みついていることが分かる。血の跡は手を突いた跡や這いずった跡、人間の顔の魚拓のような跡も散見される。それに気が付いてからは肉が張り付いて乾燥したものや床に落ちた歯の欠片などもあり、観察し考えるほどにより痕跡が何であるかに気付いてしまう。悍ましい場所へ足を踏み入れたことに気付いてしまった探索者はSANチェック1/1D4。

 地下3階は細い通路とやや重めの金属の扉が複数ついている。

部屋1
 ここは拷問器具倉庫である。床や壁は悲惨であることに変わりはないが、器具だけは綺麗に保たれている。様々な拷問器具が揃っているようだ(KPの好みでどのような道具があるか描写してよい。PLが望むものを出してもよいだろう。)。
部屋2
 ここは拷問部屋である。拘束具付きの椅子とテーブルがあるのみで特に情報はない。
部屋3
ここは拷問部屋である。部屋の奥中央には椅子に座らされた男性の遺体が放置されている。また、The room to pray by traitor(背信者による祈りのための部屋)と書いてある。〈英語〉に成功すればその場で読み取ることが出来るだろう。死体の状況は凄惨を極めており、歯と爪と目は全てなく、全てが横の机の上に並べられている。また、両手を組んでだらんとぶら下げているが、よく見ると指が全て逆側の手の甲にめり込んでいることが分かるだろう。足元には大量の体液が乾き、根本のみが白色になった大量の髪の毛が混ざるようにして固まっていることに気付くだろう。このような凄惨を極めた遺体を目の当たりにした探索者はSANチェック1/1D6。
更に観察を続けると、右衛門田仁と死体の特徴が一致していることに気付くことが出来る。
部屋を出る際に最初に扉を開ける行為を行った者は扉に書いてある「GOD SAVE ME(神よ、お救い下さい)」の文言に気付くことが出来る。これは神(トルネンブラ)に見放された背信者に対して手を組ませてこの文言を言わせ続け、もうやってくることのない神へ祈りを捧げ続ける馬鹿者を笑いものにしながら拷問し殺害するためのものである。チョー=チョー人に拘束されトルネンブラに見放された音楽家はここでこの文言を見せられながら手を組んで必死に繰り返し読み拷問されて死んでいく。死んだ音楽家が有していた楽譜は所有権が失われるため、チョー=チョー人が回収することが出来るようになる。そのためここに右衛門田仁の楽譜は存在しない。
部屋4
 ここは書庫である。チョー=チョー人の忌まわしき書物と過去に行われた誘拐・殺害などの情報などが収められている。極度の緊張状態のため〈図書館〉を行うのは1度のみである。成功すると、グラーキの黙示録9巻を見つけることが出来る。触れた探索者は不意にくらっとしてしまうが、行動に支障はない。全ての探索者は本を開けるのに抵抗を感じると伝えてよい。また、〈図書館〉に成功した探索者が2人以上であれば、これまでに世界であった重大な事件に関する詳細な記述がある書類を見つけ出すことに成功する。これらをシナリオクリア後に曝露することで、ホテル黒蓮に関与しているチョー=チョー人ひいてはチョー=チョー人が運営を行っている組織、三合会の摘発に繋がるかもしれない。ただし、曝露後はどのような末路が待っているか分からない。
部屋5
 ここはかなり広い部屋になっており、武器庫である。銃器や手りゅう弾など三合会が密輸しやすい物品が主となっている。麻酔薬があってもよいだろう。探索者は好きなものを持ち出すことが出来る。ただし、ウィーンには持ち込めないため、〈幸運〉ロールに失敗しチョー=チョー人がホテル脱出の際に襲撃を行ってきた場合にしか使用できない。
部屋6
 この部屋は扉も防音加工が施されているため、中から聞き耳を行うことは出来ない。ここも武器庫同様広い部屋となっている。The room to pray by believer(信者による祈りのための部屋)と書いてある。〈英語〉に成功すればその場で読み取ることが出来るだろう。ここには綺麗な白い椅子とテーブルのセットが1つと茶色の机が脇に1つ置かれている。白い椅子とテーブルの周囲には右衛門田仁の所持品、財布や鍵、スマホなどが散らばっている。椅子の背中側には「God save me(神はお救い下さる)」と書いてある。(これはチョー=チョー人用の文言で、神(トルネンブラ)が選定している間は椅子に座っている音楽家に対して祈りを捧げるのだ。また、茶色のテーブルの上には用途不明の機械が2つ置かれている。この機械は「翻訳機」である。中にはスグルオの住人が潜んでいる。そのため京子を連れて探索を行っている場合、京子から漂うトルネンブラの神性に呼応するように「翻訳機」からスグルオの住人が現れる。)以下はその描写である。
 探索者が部屋に足を踏み入れると、左側に置かれている茶色の机から激しい音が押し寄せる。文字通り、押し寄せたのだ!!その音は防音加工されたこの部屋で異常な反響を繰り返している!!ただの音ではない。音が確かにいるのだ!その音は強烈な悪意を感じ取れる波長となって襲い掛かってきた!生ける音、スグルオの住人を聞いてしまった探索者はSANチェック0/1D2。
 ここから戦闘が始まる。探索者はスグルオの住人に対処しなければならない。翻訳機に対して〈幸運〉のイクストリームまたは〈機械修理〉〈電子工学〉など機械に関連のある技能のハードでロールを行い、成功するとスグルオの住人を「翻訳機」へ幽閉することが出来る。または、〈芸術・音楽〉に失敗するか、発砲を行う耳障りな音や爆発音によって1D10のダメージを与えることができる。ファンブルの場合は1D20ダメージ。取りあえず叫んでおくなどと宣言した場合は1D8ダメージでもよいだろう。
以下はホテル黒蓮地下のPL用KP用の地図である。
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右衛門田仁のスマートフォンを死体の指を用いてアンロックすれば、右衛門田美憂とのラインに「助けてくれ、今どこかの建物の中にいる」「地底の主人はオーストリアにいる」「俺はもうじきオーストリアに行く」と、圏外のため未送信になっているLINEを見つけることが出来る。

地下からの脱出
 〈幸運〉のハードに失敗していない場合は難なくホテルを脱出することが出来るが、失敗した場合はフロントで構えている4人のチョー=チョー人と戦闘になる。このイベントが終了してから2日間の猶予を探索者に与え、島津京子がオーストリアへ誘導されるクライマックフェイズへと突入する。

各種イベント

右衛門田仁の1度目の探索後のイベント(1日分の探索終了時に一度情報整理のため、夜は事務所に帰ってもらうように誘導する)
 探索者達は一度情報を整理するため、探偵事務所に戻ることとなる。帰宅途中に車や電車に乗ることになるだろうが、このタイミングでSNSをしているか探索者に聞く。
・SNSをしていると答えた場合
タイムライン上に京子が路上で弾き語りしている動画が流れてくる(TwitterでいうRTなど)。活発に共有されており、概ね好意的な評価であることが分かる。
 〈芸術・音楽〉に成功すると、いつも練習で聞いていたときよりも音色と声の調子が良いと感じるだろう。
(これはトルネンブラによる音楽技術向上が原因である。)
 また、このタイミングで「京子からLINEで仕事まだ終わってないん?はやく事務所行きたいんだけど」と連絡が入っているのに気づく。

・SNSをしていない場合
バズったこと(SNS上で大規模拡散されること)に気付くことはなく、自宅に帰ったタイミングで京子からのメッセージに気づく。

どちらの場合にせよ、一旦終わったため事務所に帰った旨を伝えることになる。翌日の昼過ぎから京子は土曜日で学校休みに入るため、事務所に遊びに来ることになる。

探索者達が情報を整理していると翌日の昼過ぎに約束通り、京子が事務所にやってくる。
「帰ってきたわー!今仕事で忙しい?」
と京子は広げた書類を気にしながら聞いてくる。探索者達が大丈夫だという旨を伝えると、昨晩の路上ライブのことを伝えてくる。
「昨日、路上ライブしたんよ。めっちゃ調子よくてSNSでバズったわ!これ見てみてよ!」と若干興奮気味にスマートフォンを取り出して昨晩拡散されていた動画を見せてくる。
(また、この時点で楽譜を胸につけている動画が拡散されているため、早い段階で両カルト団体気付かれ、マークされるようになるだろう。ただし、これまで楽譜の切れ端が手渡されて人物は著名な音楽家のみであるため、念入りに楽譜の解析や尾行などを行ってから襲撃などの過激な行動に出る)
☆島津京子に関する情報
 この時点で、探索者は楽譜の切れ端との関連性から島津京子に対する関心を寄せているだろう。探索者は恐らく質問攻めにする。ここは技能を振ることは出来ない。
*楽譜はどうやって手に入れたのか?
 →分からない。起きたら手に握られていた。
*楽譜を手渡してほしい
 →嫌だ。手放したら嫌な事が起こる気がする。
*楽譜を手に入れた時点で聞こえていた音楽は今どうなっているのか?
 →今は若干鮮明に聞こえるようになってきている。あと、少し不安を感じる。
(これはトルネンブラによる狂気が浸食を開始している合図であり、母親に泣きつく状態でもないため、昨晩の出来事を共有して不安を解消するために探索者に会いたがっていた。)
〈心理学〉〈医学〉に成功すると、これは思春期に見られる特徴的で依存と独立の両価的な感情を持ち合わせた状態であることが分かる。探索者への依存と親からの独立である。
*探索者達が今のこの状況が心配なため仕事に付いてきてほしい(ここは恐らく何らかの理由で建前を取り繕って一緒に行動してほしい)と申し出た場合、京子は「月曜日、祝日だし月曜日までならおっけー。」と言って行動を共にしてくれるだろう。

島津京子との再会の後に発生するイベント

前の段階で島津京子の保護を申し出ない場合
島津京子は不安を抱え狂気に飲み込まれつつも音楽技術の急激な成長に喜びを感じる段階である。家にも事務所にも行けなくなった京子は昼間に街中を友人と約束を取り付けて街中をぶらぶらし、夕方に友人とわかれて路上ライブを行う。お金を渡してくれる大人も多いことだろう。それなりの金額を稼いでいるはずだ。
 京子の音楽技術は日に日に向上し、数日でSNSのトップニュースとなるだろう。動画を確認すればいつも動画に映っている不審な人物を複数発見することが出来る。また、それでも京子を保護しないのであれば、京子はチョー=チョー人によって誘拐され、これまでにチョー=チョー人が収集した楽譜をネックレスの楽譜につなぎ合わせて300MPを保有した状態でクライマックスへ突入する。また、探索者に京子は電話をかけ、「オーストリアのウィーンに来て!」と非常に焦った声色で伝え、大きな雑音が流れると電話は切れることなく虫の鳴き声が無情に流れるだけである。京子からの連絡が途絶えるのはホテル黒蓮へ移動を始めた段階でよい。
KPはこのルートに進まないようにするために逐一島津京子から
「まだ仕事終ってないん?」「はよ事務所帰ってきて」「ちょっときついわ」「マジできつい...」「もし、私が消えたらオーストリアのウィーンまで来て、多分そこに行くと思う」などPLの不安を煽るようなメッセージが届いていることを伝えてよい。PLは早急に島津京子を保護するだろう。

島津京子を保護した場合
行動を共にすることとなる。また、ここからは1日に1度京子に対して1人だけ〈精神分析〉の特殊ロールを振ることが出来るようになる。これはKPが宣言して毎日振らせる。通常の〈精神分析〉も京子が発狂や精神不安定になったときに振ってよいがこのうちにはカウントしない(ここでシナリオ中に成功した数がクライマックフェイズフェイズに影響するのでKPは成功した数をメモしておくこと。)

島津京子保護後のツンスからの電話イベント

 ツンスから電話がかかってくる。
「ご依頼していた、音楽家は見つかりましたかな・・・?」
 探索者達がこれに対し、何も進展はない、心当たりがないと嘘をつくと
「進展すらない?そうですか、残念ですなぁ。」
と返してくる。〈心理学〉をブラフで振ってもよい。プレイヤーに緊張感を与えるためだ。ツンスは心拍数の上昇などで嘘を見抜くことが出来る。そのため、ツンスは一瞬声を止め
「聞こえていますよ 嘘は いけませんな」とまた一瞬置いてから発話し続ける。
このセリフは少し間を置きながら切って喋ること。
また、京子からトルネンブラの音を聞き分け、「おや、楽譜の切れ端をお持ちの御仁がそちらにおりませんかな?」と言ってくる。
これも同様に探索者が否定すると、
「じゃあなんだァ! その汚らわしい音色はァ!! すぐに見つけ出してやる・・・。」
このセリフは少し間を置きながら切って喋ること。
と返してくる。これに関して、ツンスは自分の耳でトルネンブラの存在を聞き取ることが出来るので、確信を得ることが出来る。(トルネンブラは音で出来た存在なので、トルネンブラを正位相とすると逆位相の音を重ねることで存在を0にすることが出来ます。しかし、ツンスは正位相と逆位相を分けて聞くことが出来るため、トルネンブラを探索者が感じ取ることが出来るのは京子に憑依するときのみです。)

このイベントは恐らく、事務所に行き監視カメラの動画を確認してホテル黒蓮と右衛門田仁の関係性について気付いた後が適切だと思われる。このイベント後、隠蔽されしものによる襲撃が開始される

隠蔽されし者達による襲撃イベント

 ホテル黒蓮へ探索者が向かう時に起こすのが最も良いと考えられる。カーチェイスまたは戦闘を行って探索者達の不安を煽ろう。探索者達が東北自動車道を用いて走るならカーチェイス、下道を用いて走るなら車道での戦闘に入る。

各種情報

音楽家連続行方不明・不審死事件について 〈図書館〉などで、音楽家の誘拐などで調べることで情報を得ることが出来る。
※この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。
場所 ヨーロッパ圏(特にオーストリアで多くみられる)
日付 1860?年 - 2020年
概要 行方不明・不審死
行方不明者 180?人 死亡者 12?人
犯人 不明
動機 不明

事件の経過
2020年現在までに多くの著名な音楽家が行方不明または死亡している。

被害者の共通点
 職業音楽家・音楽研究者など音楽に関連する分野において活躍している
行方不明または遺体で発見される直前に楽譜の切れ端を所有していた。
 原因不明の幻聴を患っている。

不審点
 音楽家がイギリスの浜辺において車内で一酸化中毒に死亡していた。警察は「精神疾患による自殺」と発表したが、音楽家は遺体発見当時手足を縄で拘束された状態であり単独による拘束は不可能である。自殺の原因は「職業音楽家であるのに、幻聴が聞こえる為」というものである。
 以下略。

●ホテル黒蓮について
以下の情報は〈図書館〉ロール無しで手に入れることが出来る。
最も近いホテル黒蓮は4号線を北上した栃木県と福島県の県境に存在している。日本に何軒か存在しており、チェーン店のようである。また、ホテル黒蓮はアメリカのニューヨーク市に本社を置く臥仏貿易会社(黒蓮会のフロント企業)の傘下にある企業である。
〈図書館〉に成功すると、臥仏貿易会社はアメリカに存在する裏組織との密約が交わされているとの噂を見つけることが出来る。
〈オカルト〉に成功すると、音楽家連続行方不明・不審死事件の被害者が臥仏貿易会社の地下で発見されていた!警察は証拠隠滅か?という記事がオカルトサイトに載っており、どれも見出しを裏付けるような証拠はなく、支離滅裂で適当な文章が並んだサイトに辿り着くことが出来る。

クライマックフェイズ

 探索者達はトルネンブラの狂気に侵食され眠れなくなった京子を介護しながら成田国際空港または羽田空港から航空機でウィーン国際空港まで行くこととなる。京子は財布を出して、「お金が足りないならこれ使ってよ。貯金とこの前路上ライブでもらったやつ...」と50万円を出す。日本発オーストリア着の便はおよそ30万円程度だ。残りの20万円は探索者達の足しになるだろう。
 航空機に乗り込んだ京子は睡眠不足と度重なる嘔吐によって体が限界に近づきつつあり、精神的にも疲弊している。航空機の中で「助かるかな...おじさん」「お母さんに会いたい」「ああああ!!!ああああああああああ!!!!!うるさい!!!黙って!!!!」と弱気なセリフや脳に流れる交響曲第十番に対する苛立ちを見せるだろう。涙を流しながら言っているかもしれない。更に嘔吐は苛烈さを増し胃液すら吐けなくなり血を吐くようになる。
〈医学〉〈精神分析〉に成功すると、症状が和らいだと少し落ち着きを見せる。
〈医学〉に成功すると、京子の喉に異常なふくらみがあることに気が付く。中をのぞいてしっかりと確認すれば、あなたは見ることになる。グロテスクに歪み脈動する肉塊を。それは粘土の高い液体を纏いながら京子の喉と一体化していた。ありえないものを見てしまった探索者はSANチェック1/1D3
ウィーン国際空港に到着すると、探索者達は京子の誘導でホテル・ザッハーへと向かうことになる。

 ここで最後の襲撃イベントが発生する。チョー=チョー人と隠蔽されし者達の集団が探索者達を囲み始める。「旋律の巫女をお守りせよ!」彼らはこの合図を皮切りに京子を奪おうと襲い掛かってくる。
探索者達には2つの決断を行ってもらう。京子を人質に取るか、戦闘を行って守ろうとするかの2択である。

京子を人質に取る場合
 「待て!行かせろ...」と双方のリーダーが部下を誘導する。これによりホテル・ザッハーまでタクシーで行くことが可能になる。

戦闘を宣言した場合
トルネンブラによって調律が終わりを迎えている京子は音響攻撃を行うことが出来る。「やめてえええええええええ!!!!!!」と叫び始め、周囲の襲撃者達が血を吹き出しながらノックバックする。この状況を確認すると「待て!行かせろ...」と双方のリーダーが部下を誘導する。これによりホテル・ザッハーまでタクシーで行くことが可能になる。ただし、トルネンブラの狂気の侵食がはやくなるため特殊ロール〈精神分析〉に成功した数を1減らす。

 探索者達がタクシーを降り、ホテルに行こうとすると、周囲が込み合っていることに気が付く。更に全ての人間がこちらを見ているのだ。すぐに敵対勢力であることに気が付くだろう。探索者達は彼らを横目に警戒状態でホテルの中へと入っていく。
 〈目星〉に成功すると、破れた楽譜、それもかなり大きいものを持っている男がいたことに気が付く。
探索者達がホテルに入ると同様におびただしい数の人間が出迎える。注視すると奇形がはっきりと見て取れる。腕が無い者、単眼の者、足が3本ある者。そのような異常な光景のなかで、仰々しく声をかけてくる者がいる。
「ようこそいらっしゃいました。旋律の巫女。専用の劇場をご用意しております。こちらへどうぞ。」
 スーツに身を包んだ男は探索者達を屋上へ誘導する。探索者達が誘導に従って、京子を屋上に連れて行くと、そこにはきらびやかな服に身を包んだカルトメンバーが客席に座っている。また、奥には舞台が用意されており、一人用の台座がポツンと置かれている。
「あそこに行かなきゃ・・・。ごめんなさい・・・。みんな。」
 京子は涙を流しながら導かれるように台座へと乗ると、大きく口を開けて血があふれ出すのを構うことなく交響曲を紡ぎ始めた。様々な楽器が奏でるはずの交響曲を1人の人間が演奏している異常な光景を目撃した探索者はSANチェック1/1D6。(途中で京子の様子を見れば喉に爪を突き立てて肉を削ぎ落し、声が出ないようにしている姿が目に入るかもしれない。)
 次に舞台に上がってくる者達がいる。拳銃で簡易的な武装をしたカルトメンバーだ。人数は4人。リーダーと思われる人物は左手に楽譜を所有している。厚さはおよそ20枚といったところで、半分程度の大きさに千切れているように見える。また、彼らはドイツ語で大袈裟に話し始める。
「時は来た!今こそ我らの供物を捧げん!神々は天上にてこの儀式を見ておられる!信々深き旋律の巫女よ!その魂を神の御元へと解放せん!」
 また、この時点でツンスが楽譜を左手に持って現れる。こちらも厚さはおよそ20枚といったところで、半分程度の大きさに千切れており、奇形の持つものと併せることでほぼ1冊の楽譜になるのではないかと感じるだろう。
「聞こえる!聞こえる!聞こえる!聞こえる!聞こえる!聞こえる!聞こえる!聞こえる!神が聞こえる!ようやく巫女が完成を迎えますなぁ・・・。実に醜い音色だァ・・・。あとは神の憑依を待つだけ・・・。」
最終戦闘の流れ
ここから戦闘ラウンドに入る。戦闘ラウンドに突入してから大まかな流れとしては、京子のSAN値が0になりトルネンブラが憑依し、交響曲第十番が演奏されズ=チェ=クォンが招来される。その後楽譜を奪い、トルネンブラの追放・退散を行うことでシナリオクリアとなる。また、このシナリオ中で〈精神分析〉に成功した数だけ、ズ=チェ=クォン招来までのターン数京子は正気を保ち、ターン数を稼ぐことが出来るようになる。この間に探索者達は敵から収集した楽譜を奪いトルネンブラの追放と退散を行う準備をすることが出来る。

ツンスは序盤、チョー=チョー人に対して攻撃を仕掛ける。しかし、≪トルネンブラの追放・退散≫または≪クトゥグァの招来≫を探索者が唱えるか、楽譜奪取ロール(これは〈手さばき〉のハードに成功し、ツンスが〈回避〉に失敗するか、ツンスが既に〈回避〉を行った後のため〈回避〉を行うことが出来ない場合に楽譜を奪取することが出来る。)を行った際に攻撃のターゲットを探索者に変更する。

チョー=チョー人はツンスがチョー=チョー人を狙っている序盤は4人で迎撃を行うが、探索者が≪トルネンブラの追放・退散≫または≪クトゥグァの招来≫を探索者が唱えるか、楽譜奪取ロールを行った際は2人と2人で分散してツンスと探索者の迎撃を行う。

トルネンブラ憑依時
 時が満ちる。交響曲第十番の演奏を開始して暫くの間不協和音を導入するなどしてトルネンブラとの波長の同期に抵抗していた京子だったが、遂に狂気の底まで落とされ、完全に波長が重なり合ってしまった。平衡感覚を損なわせるほどに爆発的な狂気の波長を伴って顕現したトルネンブラを探索者は全身で聞いてしまう。生ける音トルネンブラ、その存在を聞いた探索者はSANチェック1/1D10(シナリオクリアのための強制SANチェックのため、SANチェックは本来より軽くしている)。
あまりの衝撃に探索者だけではなくその場にいる全員が体をふらつかせる。と、同時に全ての者が喜びに打ち震え、叫ぶ。全てのキャラクターは1ラウンド行動不能となる。ただし、探索者は叫ぶ代わりに隣にいる者に〈精神分析〉を振ってよい。

ズ=チェ=クォンの招来
 もう1ラウンド戦闘を挟んでからトルネンブラが憑依した京子が演奏する交響曲第十番に呼応してズ=チェ=クォンが招来される。2ラウンドの間にKPは徐々に雲行きが怪しくなっていくことを伝える。
行動不能ラウンド
始めの方「トルネンブラの憑依と同時に、探索者は辺りの気温が低下していくのを感じる」
終わりの方「地鳴りが起こり始めた。依然として周囲の気温は下がっているようだ」
次のラウンド
始めの方「気温の低下と地鳴りはますますひどくなっていく。更に地面が闇に包まれるように黒くなっていくのが見える。」
ラウンド終了後「気温の低下と地鳴りが収まったが、地面はパソコンの画面がブラックアウトしたかのようになった。探索者達はもはや舞台の凹凸を認識できないまでに黒くなった床をただ眺めている。更にその暗黒は空へと伸びて行き、その悪意の塊は雲のように都市一帯に拡散し始めた!!暗黒に覆われた者ズ=チェ=クォンが周囲を覆っていく様を目撃した探索者はSANチェック1D6/1D20。このラウンドから特殊ルールが追加される。ズ=チェ=クォンの眼球への激しい肉体的苦痛により、探索者は0/1のSANチェックと〈POW〉を行い、失敗するたび1ダメージを負うロールを毎ラウンド行う。この攻撃によって3点ダメージを受けると探索者は自ら眼球を抉り取る。これ以降〈POW〉に失敗すると、探索者は毎ラウンドの正気度喪失が1/1D3に増加する。ズ=チェ=クォンが招来されてから6ターンが経過するとチョー=チョー人は京子を殺害しようとする。
ツンスのセリフ
楽譜奪取ロールを受けた時「クソガキ共がぁ!コケにしおって!お前だけは殺してやる!!(攻撃のターゲットをロールを行った探索者に変更する)」
トルネンブラ憑依時「ネェトソィパァ(妻の名前)よ・・・。お迎えにあがりました・・・。」
ズ=チェ=クォン招来時「おおぉ!神よ!!なんと素晴らしいお姿ァ!!!そのお姿をもっとお聞かせください!!!」
チョー=チョー人のセリフ(リーダーであるαが楽譜を所有している)
戦闘開始時「全ての魂をひとつにせよ」「神のもとへ魂を」「我々はここでひとつとなるのだ」
楽譜奪取ロールを受けた時「この楽譜は供物となるのだ。我々には巫女様へお渡しする名誉と責務を背負っている。」
トルネンブラ憑依時「悲願はじき果たされる。楽譜を巫女様へお渡しするのだ。」
ズ=チェ=クォンが招来されてから6ターンが経過すると「巫女様の解放は神のご意志。我々も共に行こう。」
ホテル・ザッハー屋上舞台
'画像'

エンディング

A - BEST END 「人類史のベートーヴェン」
トルネンブラを京子に憑依させ、ズ=チェ=クォンを招来する。その後、楽譜を奪いクトゥグァを招来、ズ=チェ=クォンをクトゥグァが抹殺する。もう一枚の楽譜を奪い、トルネンブラを追放・退散し、京子を人間に戻す。

B - GOOD END 「人類史は紡がれる。勇敢な者達による1週間の交響曲によって」
トルネンブラを京子に憑依させ、ズ=チェ=クォンを招来する。楽譜を奪い、トルネンブラを追放・退散し、京子を人間に戻す。また、これによってズ=チェ=クォンを地底に引き戻す

C - NORMAL END 「神殺し」
楽譜を奪いクトゥグァを招来、ズ=チェ=クォンをクトゥグァが抹殺する。トルネンブラを追放出来ず、チョー=チョー人によって島津京子を殺害される。その魂はアザトースの宮廷へと連れ去られ、彼女は宮廷音楽家として永遠にアザトースのために音楽を奏で続ける。

D - BAD END 「旋律の巫女」
 楽譜を奪うことが出来ず、トルネンブラを追放することが出来なかった。島津京子はツンスにより捕縛され、隠蔽されし者達の旋律の巫女として利用され続ける運命を辿る。地球のあらゆる場所でズ=チェ=クォンが招来され人間が死滅する。

E - BAD END 「宮廷音楽家」
 楽譜を奪うことが出来ず、トルネンブラを追放することが出来なかった。島津京子はチョー=チョー人によって殺害され、その魂をアザトースの宮廷へと連れ去られた。彼女は宮廷音楽家として永遠にアザトースのために音楽を奏で続ける。
テストプレイ後のエンディング BAD END 「五線譜の紡ぎ手」(内容としてはEになりました)
2020年9月4日
探索者達は奪い取った楽譜を京子の首元につけられた楽譜に修復させるかのように近づける。すると、楽譜はいままで千切れてなどいなかったかのように繋がる。探索者達は楽譜を完成させる。完成させてしまった。京子は未だ涙を流し、喉を激しく掻き削りながら交響曲第十番の演奏を続けている。呪文の詠唱を行おうと、準備を始める探索者達だったがすぐに異変に気付く。凄まじい力の奔流が京子に流れ込んでいるのだ_!!
 ブラックアウトが進む視界の中、視界の端に地底の主人を入れてしまい、強烈な精神的苦痛と激しい眼球の痛みが探索者を襲い始める。探索者達は絶望の中、自らの眼球を抉り取る欲求に負け、遂には両眼を抉り出す。京子を守ろうと縋り付くのも構わず、何者かが京子への殺意を向ける。身を呈して銃撃を受けた者もいるだろう。絶望で動けずに舞台上で寝そべる者もいただろう。だが、全ての魂はゆっくりと終わりを迎えた。
「巫女様の解放は神のご意志。我々も共に行こう。」


オーストリアにて大量殺人テロ発生か?(2020年9月4日9時)
9月4日未明、オーストリアにて目を抉りだし、大量の住民が死亡する事件が発生しました。オーストリア全域で発生しているとみられ、現在被害状況の調査が行われています。

オーストリアにて大量殺人テロ発生か?(2020年9月4日20時)
9月4日未明、オーストリアにて目を抉りだし、大量の住民が死亡する事件が発生しました。オーストリア国内に87名の生存者が確認されました。生存者は全員死亡者と同様目を抉りだしており、精神状態も深刻であったため、チェコやスロバキアなどの国立大学病院に搬送されたということです。

オーストリアにて原因不明の大量不審死について(2020年9月14日22時)
 9月4日未明にオーストリアで発生した大量死亡事件について、邦人は現在までに2985人確認されているようです。ヨーロッパ諸国は疫病発生の防止などに努める為、オーストリアに人員を派遣し、遺体の回収および照合を行っています。

2020年9月25日
 探索者達の遺体が日本に輸送される。島津京子の遺体はオーストリアにおいて唯一眼球がえぐりとろうとした形跡の無い死体として政府に回収された。何らかの建前が付き、両親のもとに遺体が届くことはなかった。

????年??月??日
 とある音楽家(右衛門田仁の息子)が目を覚ますと手元に楽譜の切れ端が握られていることに気付く。「よくわからないが、楽譜があった。なんだろうねこれは」「きっと、お守りとして神様がくれたのよ」彼は妻とそうささやき合うと、いつも通り仕事へと出かけて行った。かすかな交響曲の音色を聞きながら・・・。

2回目のエンディング(プレイヤーはテストプレイとは全員別の方です) GOOD END 「人類史は紡がれる。勇敢な者達による1週間の交響曲によって」
9月1日午前0時
探索者達はズ=チェ=クォンによる激しい苦痛の中、奪い取った楽譜を手にトルネンブラの追放・退散を詠唱する。(トルネンブラの追放・退散詠唱 音楽→01 クリティカル 1d2ラウンドに短縮1d2 → 2ラウンド)詠唱中に一人、高速で飛来する毒ナイフを心臓に受けた探偵は詠唱中に意識を手放してしまう。(ツンスの攻撃 毒投げナイフ→ 成功 ダメージ 10 探偵耐久値11 → 1 自動気絶)だが、味方を信じ構わずに残りの2人は詠唱を続けている。「清子さん!!京子をアイツらから遠ざけてくれ!!!」探索者の一人がチョー=チョー人を拘束しながら叫ぶ。その声で我に返ったのか、チョー=チョー人の銃撃と迫りくるツンスから身を呈して清子は京子を抱きかかえ逃走を開始する。チョー=チョー人は諦めたのか全員が詠唱中の探索者二人に銃撃を開始する。一人は音楽など無知にも等しい、詠唱はすれど自分でもこの詠唱が意味をなしていないことが分かっている。だが、止めない。もう両目を抉り出して視界もなくなった音楽教師が最後の希望に賭けて詠唱を続けているのだ!彼は音楽教師を庇うように詠唱を続けた。全ての銃撃とナイフを受け切ってやらんと心に決めて。視界の端から飛来し、二人ごと貫こうとしたナイフの背を彼はなでるようにして軌道をずらす。(回避初期値→02 クリティカル)彼はやり切ったとばかりに音楽教師の前で仁王立ちし、銃撃をその身で受けようとするが極限状態の中チョー=チョー人は焦りで銃撃を失敗してしまう。(銃撃 25 → 2人とも失敗)詠唱している探索者に殺意を向けていたツンスも目の前にいる探索者の攻撃を避けきれず、頸椎を破壊される。(こぶし 成功 マーシャルアーツ 成功 ダメージ 5 装甲2によりダメージ3 ツンス耐久値3 → 0 死亡)そして、詠唱が完了する。

 音波が球体状に可視化される。爆発するように広がったそれは激しい振動と凄まじい神性を伴って霧散する。それから何秒何十秒たったのだろうか。その場にいる全員が放心していると、唐突に観客席から悲鳴が上がる。どこからか銃撃を受けたようだ。ここからの動きは目まぐるしかった。探索者も正確に記憶していたわけではない。初撃が始まるとすさまじい勢いで弾丸が飛んでくる。「ふざけるなよ!!支配人!!!どれだけの金を支払ってやったと思ってる!!!はやくなんとかしろ!!」「助けてくれェェェ!!」「逃げろ!!!」

 探索者達は京子と清子、眼球を失った音楽教師と瀕死の探偵を庇いつつ舞台から降りてゆく。ホテル内部へチョー=チョー人にもみくちゃにされながら歩いていくと、下からも完全武装をした人間がチョー=チョー人を全員撃ち殺しながら上がってくる。探索者達は行き場を失い、屋上への入口へ上がりなおしていく末を運命に託した。目の前で最後だと思われるチョー=チョー人が絶命する。15人ほどの部隊が集合し、探索者のもとへやってくる。
「我々はオーストリア軍人です。所属は明かせませんので、我々がここに来たことも口外しないでください。宜しいですね?」
探索者達は無言の肯定をする。
「事情は把握しています。こちらで全て処理しますので、あなた達を日本へ送ります。渡航歴もこちらで削除しておきましょう」

あなた達は促されるままに軍人へついて行く。どうやらご都合主義よろしく屋上へ軍事用ヘリコプターが2台待機しているようだ。あなた達は医療器具の揃ったヘリコプターへ探偵と音楽教師そして京子を乗り込ませ、残りはもう片方に乗り込む。リーダーと思われる黒人の男性は指示を済ませると最後に乗り込んでくる。全員が深い溜息をつくと、酷い疲れと安心からか涙を流しながら椅子に横たわった。

9月1日午後4時
 東京の高層ビルのヘリポートに到着すると、順次降りるように伝えられる。楽譜を手に持っていた弁護士の探索者が最後に降りようとすると、黒人からささやき声でこう伝えられる。

「非常に面白い劇だった。私も最後まで魅入ってしまったよ。そいつは君にあげよう。」

黒人の男はヘリコプターに乗り込むと浮上する際にこう叫んだ。

「なぁ!!貢ぎ者はまだまだ時間がかかりそうだ!!だが、あんたも少しは感じてんだろう!?命が削れ合うこの交響曲ぐらいは!!!」

報酬

SAN値および幸運回復
クトゥグァを招来し、ズ=チェ=クォンを抹殺した SAN値回復 1D20
トルネンブラを追放・退散した SAN値回復 1D10
ツンスを殺害した SAN値回復 1D8
島津京子を守り抜いた SAN値回復 1D8
楽譜略奪ロールに成功した SAN値回復 1D6
クトゥグァの招来を詠唱した SAN値回復 1D6
トルネンブラの追放・退散を詠唱した SAN値回復 1D6
生還した SAN値回復 1D3
幸運の回復 1D20
技能成長(成長判定は行わなくてよい)
〈芸術・音楽〉 1D20
〈精神分析〉 1D10
〈クトゥルフ神話〉1D10+5
生還した探索者に付与される祝福
ニャルラトテップに素晴らしい交響曲と演劇を披露した。 ニャルラトテップの祝福が付与される(ニャルラトテップにつけ狙われ続ける)

アーティファクトについて

交響曲第十番の楽譜
 ベートーヴェンが生涯を捧げて完成させた最後の交響曲。その楽譜にはベートーヴェンによる魔力が少しと、ニャルラトテップが修復するときに与えた魔力が大量に込められている。この楽譜をニャルラトテップは千切って音楽家に配って回っているわけだが、これはいわゆるアザトースの宮廷への招待状と思ってもらって構わない。音楽家が死ぬまでこの楽譜の切れ端はどのようにしても音楽家のもとへ戻ってくる。この楽譜は切れ端の切れ目を繋ぎ合わせることで元の楽譜となるように綺麗に繋がるようになっており、魔力量がつなぎ合わせた数に比例して増加するようになっているアーティファクトである何らかの呪文のための魔力タンクとしての働きを持つ。3MPを有する楽譜の切れ端10枚で1ページの楽譜が完成するようになっており、これが1楽章から4楽章までの全楽章併せて20枚分あるため合計600MPとなっている。また、両カルトの保有する楽譜は半分ずつのため、300MPないくらいである。

探索者達は各呪文について〈ラテン語〉に成功して翻訳を行わなければ、断片的な情報しか得ることが出来ない。また、翻訳ロールは成否にかかわらず1回につき8時間を要する。呪文を行使できるようにするためには1D3を行い、出た値分のSAN値を喪失し、出た値分のクトゥルフ神話技能を得る必要がある。

≪萎縮≫
(〈ラテン語〉に成功した場合、呪文の内容を解読し覚えることが出来る。失敗した場合は呪文の名前しかわからない)
・コスト 任意のMP
・詠唱時間 2ラウンド
・条件 対象は1度に1人まで 効果範囲は5m以内
 消費したMPの1/2と同じ値を貫通ダメージとして対象に与える
・効果の詳しい説明
 防具や肉体的な装甲については無視するが、呪文による防御は貫通しない

≪スグルオの悪意≫
(〈ラテン語〉に成功した場合、呪文の内容を解読し覚えることが出来る。失敗した場合は呪文の名前しかわからない)
・コスト 任意のMP
・詠唱時間 2ラウンド
・条件 効果範囲は10m以内
 消費した(SAN値+MP)×10db(デシベル)の音を任意の場所に発生させる
・効果の詳しい説明
130db以上では10db増加するごとに1d2(130db)、1d3(140db)、1d6(150db)、1d10(160db)、1d20(170db)とダメージが増加する。ただし、使用距離の関係から150dbを超える威力で呪文を使用した場合、1d2(150db)、1d3(160db)、1d6(170db)と犠牲者ではない者も被害を受ける。防具や肉体的な装甲については無視するが、呪文による防御は貫通しない

≪トルネンブラの追放・退散の呪文≫
(文言、発音、訳は失敗しても情報を得られることにして良い。概要とこの呪文についての更なる情報はそれぞれ〈ラテン語〉を使用する必要がある。)

*概要(言語・ラテン語で成功した場合に探索者に出す情報)
音楽の使者トルネンブラによる寵愛を受けた者からトルネンブラを追放し、退散させることができる呪文。発動させるには膨大な魔力(200MP)を消費して探索者の内少なくとも誰か一人が〈芸術・音楽〉に成功したうえで呪文を唱える必要がある。詠唱時間は2d2ラウンド。

*概要の誤訳(言語・ラテン語で失敗した場合に探索者に出す情報)
音楽のメッセンジャーTru'nembra好むものからTru'nembraを追い出し、分散できる呪文。活性化するには、人間の少なくとも1人が大量の魔法の力人間20人を消費した後に呪文を唱えて正常に音楽を実行する必要があります。実行時間は■■■。

*文言
Magna Tru'nembra Ite ad Azathoth Deus S'glhuo Saleh in terra

*発音
マグナ トルネンブラ イト アド アザトース デウス スグルオ サーレ イン テッラ

*訳
偉大なるトルネンブラよ アザトースの下へ帰りたまえ スグルオの神よ 地球を去りたまえ

*この呪文についての更なる情報(言語・ラテン語で成功した場合に探索者に出す情報)
 旋律の巫女が神と一体となる時、その神の存在を人間は認識することが出来る。この呪文はこの状態でなければ成功することはない。

*この呪文についての更なる情報の誤訳(言語・ラテン語で失敗した場合に探索者に出す情報)
シャーマンは神とメロディーに統合されると、神の前に、人が認識することはできません。そして、このような状態が繁栄されません、ありませんでした。

*KP情報
(この呪文が成功するとトルネンブラによる異常な音楽技術が喪失するため、ズ=チェ=クォンはその場に留まれなくなり、地底に戻る。)

≪クトゥグァの招来の呪文≫
(文言、発音、訳は失敗しても情報を得られることにして良い。概要とこの呪文についての更なる情報はそれぞれ〈ラテン語〉を使用する必要がある。)
*概要(言語・ラテン語で成功した場合に探索者に出す情報)
火の神クトゥグァを地球に召喚する呪文。発動させるには膨大な魔力(200MP)が込められたアーティファクトを炎で燃やし、その炎で様々な図形を描きながら呪文を詠唱する必要がある。また、この呪文が発動できるのはフォーマルハウトが9月~11月の北半球における晴れた夜のみである。詠唱時間は2d2ラウンド。

*概要の誤訳(言語・ラテン語で失敗した場合に探索者に出す情報)
地球の呼出しそれ神Cthugha火災。マジック人間20人との燃焼がダウンし、様々な図に炎逮捕セルバインドを上げます。さらに、唯一の9月から11月まで北半球の国々で夜空によってトリガされたこの曲ペガサス。実行時間は■■■。

*文言
Ph'nglui mglw'nafh Cthugha Fomalhaut n'gha-ghaa naf'l thagn! Ia! Cthugha!

*発音
フングルイ ムグルウナフ クトゥグア ホマルハウト ウガア=グアア ナフル タグン! イア! クトゥグア!

*訳
フォーマルハウトにて死せるクトゥグァ夢見るままに待ちいたり!おお!クトゥグァよ!

*この呪文についての更なる情報(言語・ラテン語で成功した場合に探索者に出す情報)
 火の神クトゥグァは地底の主人ズ=チェ=クォンを認識すると怒り狂い暴れ始める。その炎の体躯は地底の主人を融かし尽くすだろう。

*この呪文についての更なる情報(言語・ラテン語で失敗した場合に探索者に出す情報)
Cthughaは火がは父親の■=■=クォン、地下からチェ拍手を開始激怒しました。トールと炎地下鉄から消費します。

*KP情報
(この呪文が成功するとクトゥグァが招来され、大地を溶岩のように溶かしながら地底に引きずり込んだズ=チェ=クォンを焼き殺す。その後ニャルラトテップが地底で魔力を使い果たしたクトゥグァを退散させる。)

あとがき(シナリオの細かい設定について)

ベートーヴェンは交響曲第九番で友との調和を題材にしており、十番では人生を振り返って全てものへの感謝を表しており全にして一、一にして全という神の領域まで到達した。我々全てが一つにまとまることで極上の歌となるという意味を込めて「Ones」と書いて「全」という訳としました。更にヨグ=ソトースについて「全にして一、一にして全なる者」英訳で「The All in One,The One in All」という文言があり、これをまとめると「All ones」というフレーズで1という単語が全てのものを指す意になるのではないかと考えました。つまり、曲そのものがヨグ=ソトースの概念と一致してしまったという設定です。また、「隠蔽されし者達」は英語表記すると「Hidden Ones」となり、シナリオに出てくる神格も多くが「Great Old “Ones”」です。これらも付随して意味を込めてあります。
ニャルラトテップは熟した音楽家を厳選しながら、よりトルネンブラの選定に合うようにしていましたが、最も適合するであろう右衛門田仁ですら耐えることができなかったため、試しに体力も十分あり才能を秘めた若者に高負荷で狂気をかけてみました。
最初は精神的に不安定な女子高生にして、苛烈なスピードで狂う様を楽しみ、すぐ次に行く予定でしたが、探索者達の献身的な努力により精神を破壊されずに音の巫女として急速に完成してしまいました。

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Twitter @shumiyouacc1 今後過去シナリオや新作シナリオをBOOTHを通じて頒布予定です。誤字脱字の訂正、読みやすさを意識した階層、キーパリングを円滑に行う上でこれまで作成してきたデータシートなどを付与することで有料にする予定です。シナリオを気に入ってくださった方は応援のほどよろしくお願いします。

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