2021年09月12日更新

CoC『重陽の約』【6版】

  • 難易度:★★|
  • 人数:1人~1人|
  • プレイ時間:1~2時間(テキストセッション)

重陽の約 ─ちょうようのちぎり─

・PL1名用クローズド
・舞台:現代日本
・推奨技能:特になし
・所要時間:1時間少々(ボイセ:2時間以下、テキセでも同程度)
 サクッと遊べる隙間時間向け
・NPCは探索者が幼い頃に憧れていた幼馴染などが望ましい
・タイマン改変可 
 兄と弟、疑似兄と弟、先輩と後輩等々ブロマンスな2名向け

※ご注意※ 
女性PCと女性NPC、男女の組み合わせには不向きなシナリオとなっております。
男性同士でお遊びください(notBL)

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ストック

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コメント

<あらすじ>

幼い頃ともに時を過ごしたあの人が久しぶりに地元へ帰ってくるという。
是非とも会おうと約束を取り付けたのだが、彼は約束の時間に姿を見せなかった。
連絡もつかずこの日の再会は諦め、残念に思っていると夜更けに彼が現れた。しかし様子がおかしい。
切なそうに微笑む表情の裏に、いったい何を隠しているのだろう───








※これよりKP情報※
PL希望の方はお読みにならないでください。
   
   
  

   
   
  
  

※まず、始めに※

  
本シナリオの内容はフィクションです。
登場する人物・団体・事件・地名・名称等は実在するものとは一切関係がありません。
 
このシナリオは       
『クトゥルフ神話TRPG(6版)』
に対応するシナリオとなっております。
    
 
■シナリオ利用規約
燕屋敷百々が作成、公開しているシナリオの利用規約です。
シナリオを使用する前に必ず目を通してください。 
 
▼禁止項目
・二次配布、転載行為
 本シナリオの文章・画像の( セッションに必要な最小限をのぞく) 無断転載・複製及びインターネット上へのアップロードを禁止しております。
 配布していない画像の使用は禁止といたします。
・自作発言 
 シナリオの根幹に関わらない部分の改変は自由ですが再配布、自作発言は禁止しております。
 改変した場合は必ずその旨をセッション後PL へ伝えてください。
・ネタバレ
不特定多数が閲覧可能な状況での、ログ公開、シナリオの根幹に関わる文言(セッション開始時に全PL が共通して知っている事柄以外) 等の発言を禁止しております。  
 
▼利用にあたってのお願い
・セッション開始前にPLが知っていること(トレーラーやレギュレーション)以外の事柄をSNSなど
 第三者の目に入る場に公開する行為はネタバレになります。
 それらを含む発言はふせったーやプライベッターなどを利用していただき、必ずワンクッション入れるようにしてください。
・NPCが登場するシナリオの場合、NPCに対するPCの感情をシナリオタイトルと共に出すことは完全なるネタバレです。
   
KPはこれらの点を留意し、PLにも共有するようにしてください。
フリーで公開しているシナリオは予告なしに削除することもあります。ご注意ください。
 

■シナリオ背景

9月9日、重陽の節句。
探索者との約束のこの日、とある神話的事象に巻き込まれ、NPCはロスト寸前にまで追い込まれた。
しかしそこへ救いの手が差し伸べられる。
旧き神 ノーデンス(基本ルールブックP223)の気まぐれである。
ノーデンスは深淵を覗きこんでしまい今にも全滅しようとしているか弱き人間の中からNPCを選び、その場から救い出した。
なんとなく気に入ったから、というあやふやな理由で助け出されたNPCはこれからノーデンスの気の向くままに連れ歩かれるのだ。
(そして飽きたら適当な場所に置いていく)
自らの運命を悟ったNPCはせめて探索者との約束を果たさせてくれと懇願、受け入れられた。
ノーデンスはNPCへ伝えることなく気まぐれにチャンスを与える。

トレーラーやあらすじなどからもわかるように、『雨月物語 菊花の約』モチーフのさっくりシナリオです。
上記の理由から、男性ふたり向け、としております。

※改変してNPCをKPの手持ち探索者とする場合
 開始前に1d10/1d20程度のSAN値減少をしてから始めてください。

■NPC、エネミー

□NPCサンプル

出版社勤務 32才
STR12 DEX10 INT17 アイデア85
CON09 APP11 POW16 幸運80
SIZ13 SAN52 EDU13 知識65
耐久11

コンピューター:40% 図書館:87% 歴史:70%
英語:60% ロシア語:45% 中国語:32% 目星:30%
芸術<古書>:70% オカルト:50% 心理学:35%

□ノーデンス (基本ルールブックP223)

〇武器
・杖 100% ダメージ:4d6+db
 ※杖のダメージはすべての装甲を無視する。

〇呪文
MPを1ポイント消費するごとに1d10匹の夜鬼を召喚。
KPがこの神に合っていると思える呪文すべて。

正気度喪失なし

探索者の前には白髪で灰色の髭を生やした上品な老紳士として現れる。
APPは17~18程度に下げる。
挨拶などをされれば返す。多くは語らない。
不審に思っているような態度で近づくと夜鬼がそれを阻むように現れる。

□夜鬼(基本ルールブックP193)

正気度喪失:0/1d6

ノーデンスに仕えるドリームランドのクリーチャー。
2匹以上で組み付きをしたり隙間から鋭い尾を滑り込ませて服を剥ぎ取ったり、
非常に危険そうに見える棘のついた尾をチラつかせつつも決定的な攻撃はせずくすぐってくるという大変かわいらしい子です。
金属製の装甲の間に入り込むことも可能。KPが好きなように活用してください。



<シナリオ本文>

■1.導入 

※KPは以下のシーン概要を踏まえつつ、探索者、NPCの設定に合わせて演出してください。

▼シーン概要

・久々に会えると思っていたNPCと会えなかった探索者。
・携帯電話や実家などに連絡しても一向に連絡が取れない。
・NPCの現住所は探索者の自宅からかなり遠い。電車に乗って6時間前後の距離。
この為、約束の時間は昼過ぎであった。探索者は元々の住所も知っているがすぐにでも様子を見に行くことは困難である。

状況説明的なものが終わったら『■2.来客』 へ

[導入描写例]

幼い頃、あなたがとても慕っていた人がいる。
彼は仕事の都合であなたとはかなり距離のある土地に住んでいた為、長い間、直接会うことは叶わなかったのだが。
久々にあなたの住むこの街へ帰ってくるという。
彼からそう連絡をもらったあなたは、数年ぶりの再会を約束した。

そして本日、9月9日。
待ち合わせ場所へあなたは向かった。
しかし
彼は何故か姿を見せない。
携帯電話も繋がらず、思いつく限りの場所へ連絡してみるが
誰も彼の行方を知らない。
14時に、と約束したのだが、既に時刻は18時を回ってしまった。

さて、あなたはこれからどういたしますか?

■2.来客

▼シーン概要

・探索者が帰宅し就寝すると深夜(23時)にNPCが訪れる。
(探索者は家族と同居、一人暮らしどちらでも可能とする)
・NPCは待ちぼうけをさせてしまったことを詫び、今日中に会うことが出来たのでどうか許してくれないか、と問う。
・許されるとNPCは探索者との再会を喜び、1時間だけ自分にくれと頼む。
 1時間だけでいいから、1時間しかないから、会話をしたい。
・探索者がNPCを許し、家の中へ入れたらカウントスタート。制限時間はリアルタイムで1時間。

▼NPCのRPについて

・NPCはどこか悲しそうである。(これでもう二度と会えなくなるのだろうと考えている)
・NPCは持ち物を何も持ってはいない。(身一つで財布も携帯電話もなし)
時間的にも移動した距離的にもどこかおかしいと探索者は感じる。

[描写、会話例]

明日にはどうにか連絡もつくだろう。彼のことだ、きっとやむに已まれぬ事情があったのだろう。
そう結論付けたあなたが就寝しようとベッドへ向かった時だった。
ピン、ポーン…──
静かな夜に少しばかり間抜けな呼び鈴の音が響く。
来客のようだ。
壁掛け時計を見れば時計の針は23時をちょうど指したところだった。


※KP情報※
家族と同居の場合は母親などが応対へ出てしまっても構わない。
NPCは家族とも交流があるとし、家の中へNPCを通して探索者へ来客の旨を伝えにくる。
この際、NPCも共に移動し探索者の部屋のドア前まで来ているとする。


こんな時間に誰だろう。
訝しく思いつつもあなたが応対に出ると、そこにはNPCがいた。

NPC:「……久しぶり、PC」
  「今日は本当にごめん、随分待ったんじゃないか?」

・何故来なかったのか理由を聞かれたら
「色々あって……ね、本当にごめんな」

(神話的事象に巻き込まれていたので自分でも理解しきれておらず説明できない。
詳しく言うように問い詰められたら、なんとなくそれと匂わせるようなことを言ってもいいでしょう。
NPCは探索者に嘘はつかない)

「自分でも、……よくわからないんだ。とにかく、とても……とても恐ろしいことがあって」
暗がりでもわかるほど蒼褪めた彼は怯えるように背を丸め、両腕で己の身を抱きしめた。
「ずっと、抜け出せなかったんだ。でも、どんな理由があれ待ち合わせに行かなかったのは俺だ。すまないと思っている」
「本当に、ごめんな。許してくれるか?」

・どうやって抜け出したのか聞かれたら
「助けてくれたひとがいたんだ……」
「そのひとが、ここまで送ってくれた。俺、お前に謝らないとと思って」

▼PCがNPCの様子に注目する場合

 ↓
彼は一応上着は身に着けているが軽装であり、何も持ち物を持っていないように見えた。

〇<目星>もしくは<アイデア>ロール
成功→
蒼褪めた肌には色濃く隈が浮き出ており、どこか疲れているように感じる。
笑みを浮かべてもどこか辛そうに見えた。

〇<心理学>ロール
成功→
彼は嘘を言っていないとわかる。

※PC自身が状況を理解できておらず、話せる事情も特にないため、早めに許しと入室を求めること。

「なんとか今日中に逢えた……あと1時間しかないけれど、許してくれるか?」
「よかった……。なぁ、こんな時間に申し訳ないんだがもう少しだけ付き合ってくれないか?」
「1時間でいいから、お前と話がしたい。それだけで、いいから……話をさせてほしいんだ」
「中に入ってもいいか?」

入室の許可がもらえたらカウントスタート。『■3.再会』 へ


■3.再会

▼シーン概要及び展開

・NPCは過去の思い出話をしようとする。
懐かしいな、あのころはよかったな、お前も大きくなったな、等。
・これから先の未来の話をしようとすると、悲しそうに話を誤魔化して流す。新たな約束は絶対にしない。
・「ここまで送ってきてくれたひとが待っており、時間になったらまた連れて行ってくれる」という情報を必ず出すこと。
・送った人物に挨拶がしたい。もしくはその人物を疑い、様子が見たいなどの宣言で部屋の外へと出るとノーデンスと遭遇。
・ノーデンスとの邂逅。
・部屋の外へ出たら周囲の異変に気付く→美しい星空の下、花畑がどこまでも広がっている空間の中に探索者の部屋だけがある
→SANc:0/1d3

[描写、会話例]

「……大きく、なったな」
NPCは眩しそうに目を細め、とてもやさしい声で言った。
「あぁ、こんな言い方じゃ失礼だなッハハ。本当に立派になったな、あんなにちいさかったのに」
「昔、チビの頃のお前はいっつも俺のあとをついて回ってたのにな。はは……あの頃が懐かしいな」
「人生なんて、いつどうなるかわかったもんじゃない。これからも、元気でいてくれよな」

・どうやって帰るのか聞かれたら
「ああ、……さっき言ったろ? ここまで送ってくれたひとが、待ってくれているから」
「ここを出た後も面倒を見てくれるんだ……」

・どこへ行くの?家に帰るんじゃないの?そもそも引っ越しは?などなど
「さぁ?どこへ行くんだろうな……俺にもわからない。っはは」

・行かなきゃいいだろう、ここにいればいい、など
「そういう訳にはいかないんだ。俺は助けてもらったんだよ……だから、行かなければ」

▽ノーデンスとの遭遇

[描写例]

あなたは部屋の外に出ようと扉を開けた。
すると
満天の星空の下どこまでもどこまでも、遠く霞んで見える所まで
果ても感じられぬほどの花畑が広がっていた。
その花畑の中にぽつんと、あなたの部屋のみがあるのだ。
ここは間違いなくあなたの住む街ではない。
振り返ればそこには確かにあなたの部屋があるというのに、まるで切り取られ適当な場所へ放置されてしまったかのように
ぽつん、とあなたとあなたの家は存在している。

◇0/1d3の正気度喪失


動揺するあなたを静かに見つめる老人がいた。
白髪を品よく後頭部へ撫でつけ、灰色の髭を生やした老紳士は見るからに高級そうなスーツを身に着けている。

※探索者が挨拶などをすると会釈や失礼のない程度の挨拶を返す。

●ノーデンスに対し喧嘩を売るような態度を取る、心理学ロールなどを用いて心の内を暴こうとする
もしくはKPが「神にこれは失礼だろう」と、判断するような行動をとった場合
1d3の夜鬼が現れSANcのちに戦闘。

●探索者がとてもお行儀よろしい態度だが盛り上がりに欠けると思うならば
目星成功などで夜鬼発見としてもいいだろう。

[描写例]

羽音のような、すり抜ける突風のような
微かな音があなたの鼓膜を揺らした。
音だけでなく、『何かが』己の目の前を通り過ぎた気がする。

思わず目で追ってしまうと、ソレ、がいた。
酷く不格好なソレは黒く滑らかな皮膚に包まれている。
てかてかとぬめりを纏っているような体には醜い手が生え、頭にはおかしな方向を向いている角が生えていた。
背から生えた蝙蝠のような羽で音もさせず羽ばたき、鋭い棘のついた厭らしい尾を何かに打ち付けるように振り回している。
ソレは顔のない頭を、持ち得ぬ目で見つめるようにじっとあなたへと向けている。

◇SANc:0/1d6の正気度喪失

※攻撃を探索者が仕掛けてこない限り、主人の命なく夜鬼は戦闘をしない。
けれど夜鬼が姿を現してもノーデンスに対する態度を探索者が改めなかった場合は戦闘突入。

▽周囲を調べる

〇<目星>ロール
成功→
野バラ、ホウセンカ、プリムラ、野菊、カーネーション、パンジー、ビオラ、デンファレ
などが咲いていることがわかる。

上記の技能ロール成功者は以下へ
 ↓
〇生物学、薬学、知識、その他KPが許可を出した技能
成功→
すべて食べることの出来る花であるとわかる。

▽9月9日に注目、もしくは花の中に何か意味があるものがないか考える

〇<歴史>、<アイデア>、その他KPが許可を出した技能
成功→
9月9日は重陽の節句であることを思い出す。
旧暦では菊が咲く季節であることから菊の節句とも呼ばれていると、あなたは知っていた。

〇<歴史>、<知識>、その他KPが許可を出した技能
成功→
陰陽思想にて奇数は陽の数であり、陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれる。
奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされた。
その為それを払う行事として節句が行なわれていたが、九は一桁の数のうち最大の「陽」であり、特に負担の大きい節句と考えられる。
その後、陽の重なりは吉祥とする考えに転じ、祝い事となった。
かつては邪気を払い長寿を願い、菊の花を飾る、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わす、
などして祝っていた。
菊の花を浸した菊酒を飲む習慣は平安時代からあった。


※家族と同居している探索者の場合はキッチンに酒があるとする。
 独り暮らしであり酒を飲まぬ探索者の場合→NPCが旅先から送った清酒が手つかずで部屋にあるとする。
 部屋に戻ればキッチンなどへ普通に行ける。クリア条件を満たすまでは家の外(通常世界)に出られないだけである。


■4.エンディング

※『3.再会』シーンの行動により、EDは以下の3つに分岐する※

〇ED1 菊花の契
条件:カウントスタートから1時間以内に菊酒を用意してNPCと共に飲む
状況:PC、NPCともに生還

この際、探索者がNPCの健康や長寿を祈り酒を飲み干している場合
 →クリア後にNPC1d10の正気度回復
 
PRで合わせNPCも探索者に倣い相手の長寿や健康を祈る。
 →クリア後に探索者1d10の正気度回復



〇ED
2 軽薄な人
条件:NPCに菊酒を飲ますことなく時間オーバーしてしまった
状況:ノーデンスがNPCを連れ去る。今後探索者がNPCと会うことは二度とない。
NPCは失踪、事実上ロスト


〇ED_3 信義の人
条件:戦闘にて夜鬼を倒す
状況:時間オーバーしてもしなくても「こいつ面白いな」とノーデンスが思う。
探索者とNPC、ふたりとも連れ去り、適当な銀河系に置いて行ってくれる。SANc:1/1d5
幸運/2に成功することでノーデンスが戻ってきて、探索者の自宅へとふたりとも帰してくれる。
幸運失敗→どこか知らない国にぽいっと置いて行かれる。SANc:0/1d3

[描写、会話例]

▼ED1_菊花の契

あなたが酒に菊の花弁を浮かべ用意を済ませると。

「美味そうだな。折角の月夜だ、外で飲まないか?」
そう言って、笑顔の彼があなたを誘う。

月明かりに照らされた野花たちが風に揺れている。
銀色の光を満面に浴びて今がこそ盛りと咲き誇る花々が見守るなか、あなた達は杯を掲げた。

※探索者がNPCの長寿、健康、幸福などを願うような発言があった場合↓

「あぁ、そうか……今日は重陽の節句だったな。ならば俺も、お前の健康を祈ろう」
「お前がいつも健やかに、長く太く、幸せな人生を歩めるよう……俺は祈るよ」
あなた見つめ、彼はそう言って目を細めて微笑う。
それが今現在の彼の心からの願いであるのだと、あなたは疑いなく思えた。

そうして、
ふたり穏やかに言葉を交わし、酒を飲み干した───
──すると、呷った杯を戻したときにはもう景色が変わっていた。
あなた達は、あなたの自宅玄関前に座り込んでいた。
夜風に冷やされたアスファルトは尻に敷くには固く、冷たすぎる。
しかし返ってその不快感が、『いま』が現実であることを教えてくれた。

「どういう……、そんな…い、いいのか? 俺はもう、自由なのか?」
NPCは夢か現か判断出来ないようだ。
泣きそうな、或いは大声で笑いだしてしまいそうな。
そんな一言では表現できない表情で、彼はあなたに言った。

「新しい約束を、しようか?」
「なんでもいい。なんでもいいんだ、明日会うだけでもいい。やり直しをさせてくれ」
「お前との約束を、きちんと守らせてくれ」


花畑は消え失せても、夜空は消えようがない。
ゆったりとたなびく雲を従えた月が、あなたたちをやさしく見守っている。
新たな約を交わしたふたりを認めるかのように、月はただ静かに光を注いでいた。

▼ED2_軽薄な人

「あぁ、時間だ……。お前と最期に逢えて、本当によかった」
「これからも、元気で……」

静かに彼は言う。
唇の端へ浮かべた笑みが少しばかり寂しそうに見えたが、あなたはかける言葉を見つけられなかった。
そっと扉を開け、彼が出ていく。
その背中があまりにも寂しそうで思わず追いかけると、扉の先には何もいなかった。

誰も、いない。

────いま自分は、誰と逢っていたのだろうか────

ぼやけた頭にそんな疑問が浮かぶが、答えは見つからない。
寝ぼけていたのだろうと、己で結論付けて
あなたはあたたかな寝床へと戻った。

▼ED3_信義の人

果敢に戦ったあなたは、見たことも聞いたこともない不思議ないきもの。
バケモノ、を倒した。
冷めやらぬ興奮で荒れる息を整えていると、あなた達をじっと見守っていた老紳士が少しだけ表情を動かした。
それは、笑顔のように見えた。

わかりにくい不思議な人に思わず目を向けると、カラカラカツカツと音が近づいてくる。
遥か彼方の空から舞い降りてくるそれは二頭立ての馬車だ。
鋭くも美しい角を誇るように胸を張り、鬣を靡かせる二頭の一角獣が
細やかな飾り彫りで彩られたレトロな馬車をあなたの目の前に引いてくる。
空を飛ぶ馬車に御者はいない。

◇0/1d3正気度喪失

行儀よくこうべを垂れる二頭の首をするりと撫で、老紳士は馬車に乗り込んだ。
そうして当然のようにNPCも後に続く。
ゆったりとした布張りの座席に深く腰掛け、ふたりの先達はあなたを誘うようにじっと見つめてくる。
あなたはその誘いを、断ることは出来ない。

あなた達を乗せて、馬車は走り出した。
一角獣は信じられぬほどの距離を一蹴りで進む。
大気圏など軽く飛び越え、気付けば、そこは銀河の果てであった。

「さぁ、ついた。ここでさよならだ」

低く穏やかで耳触りのいい声が鼓膜へ届いたときには、あなた達は銀河の果てに置き去りにされていた。
今現在自分は宙に浮いているのか?
呼吸は?酸素は?それよりなにより、
どうやったら『帰る』ことが出来るのだ?
様々な疑問、恐怖が脳裏を駆け巡る。

◇1/1d5正気度喪失


・<幸運/2>ロール成功
どうしたらいいのかわからない。
あなたが絶望に浸りきっていると、聞き慣れた蹄の音が近付いてくる。
馬車が何故かまた戻ってきたのだ。
悪戯が成功した子どものような顔で、老紳士はあなた達ふたりを
あなたの自宅まで送り届けてくれた。


・<幸運/2>ロール失敗
どうしたらいいのかわからない。
あなたが絶望に浸りきっていると、聞き慣れた蹄の音が近付いてくる。
馬車が何故かまた戻ってきたのだ。
悪戯を仕掛ける子どものような顔で、老紳士はあなた達ふたりを迎えに来てくれた。


そうして、恐怖と安堵がないまぜになり言葉すら発せないあなた達を
彼は見知らぬ国へと送り届けた。

◇0/1d3の正気度喪失

大使館のある国ならなんとか帰ってこれるでしょう。


■クリア報酬

・自宅へ帰宅→1d3の正気度回復 
・NPCも帰宅→1d3の正気度回復
・どこか知らん国に置いて行かれる→1d3の正気度回復

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燕屋敷百々と申します。インセインやCoCのシナリオを作るなどします。

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