竹材を専門に扱う技術者として、日々工場で原料の選別から最終仕上げまで携わっていると、竹という素材が持つ可能性と限界がはっきり見えてきます。そのなかでも、近年とくに注目されているのが「MOSO(孟宗竹)を使用した竹フローリング」です。竹自体はさまざまな種類がありますが、フローリング用として安定した性能を求めるなら、MOSO竹が最も扱いやすく、製品としての完成度も高くなります。

竹材を専門に扱う技術者として、日々工場で原料の選別から最終仕上げまで携わっていると、竹という素材が持つ可能性と限界がはっきり見えてきます。そのなかでも、近年とくに注目されているのが「MOSO(孟宗竹)を使用した
竹フローリング」です。竹自体はさまざまな種類がありますが、フローリング用として安定した性能を求めるなら、MOSO竹が最も扱いやすく、製品としての完成度も高くなります。
エコ志向の消費者が増えるにつれ、「なぜMOSO竹なのか」という質問を受ける機会も増えてきました。竹は再生が早いというイメージが広く知られていますが、実際には、それ以上に多くの要因がMOSO竹を魅力的にしています。ここでは、工場で技術者として働く立場から、専門的な視点と実務経験を交えながら、MOSO竹フローリングが支持される理由について整理していきます。
MOSO竹とは何か
MOSO竹はアジア地域、特に中国に広く分布する大型の竹で、成長のスピードと繊維密度の高さが特徴です。成長すると20メートルを超えることもあり、その繊維構造は非常に強固です。フローリング材として加工する際、安定した強度と寸法安定性を得やすいため、工場では最も多く使用されています。
竹の種類によっては繊維が粗かったり、節が多すぎたりしてフローリングには向かないものもありますが、MOSO竹はその点で扱いやすく、加工後の性能にもムラが出にくい素材です。
サステナビリティの観点から見たMOSO竹の強み
成長スピードと収穫効率の良さ
竹が持つ最大の特徴は、木材と比べて極めて速い再生速度です。MOSO竹は3~5年で成熟し、伐採しても地下茎が残るため再植林の手間がかかりません。森林伐採の圧力を軽減しながらサプライを安定させることができる点は、環境配慮型の資材として非常に大きなメリットです。
工場で使用するMOSO竹は、一定期間ごとに伐採・管理された竹林から仕入れます。成熟した竹のみを切り、未熟な竹は残して自然に生育させる循環管理が確立されているため、長期的な資源枯渇の心配がありません。
CO₂吸収能力の高さ
竹は一般的な樹木より成長スピードが速い分、CO₂吸収量も多くなります。さらに、加工後の製品として長期使用されることで、吸収した炭素がそのまま固定されます。竹フローリングが環境建材として評価されるのは、資源としての循環性だけでなく、この炭素固定効果も理由のひとつです。
MOSO竹フローリングの実際の性能
強度と硬さ
MOSO竹は繊維密度が高く、特にストランドウーブン(紡績竹)として加工すると高い硬度を発揮します。私たちの工場でもJanka硬度テストを行いますが、MOSO竹のストランドウーブン材は、一般的な広葉樹材を上回る値を示すことが多く、日常的な衝撃や摩耗に強い点が特徴です。
寸法安定性
竹フローリングは木材に比べると収縮や膨張が比較的少なく、気候変化に対して安定した動きを示します。MOSO竹は繊維の配列が整っているため、加工時の乾燥工程を適切に行えば、製品になった後も安定性が高く、長期使用に耐えます。
見た目の美しさ
MOSO竹は、淡い色味のナチュラルカラーから、熱処理によるカーボナイズド(キャラメル色)まで幅広い表現が可能です。表面の繊維ラインが細かいため、空間に対してやわらかさと清潔感を与えるのが特徴です。特に近年は、自然素材をそのまま生かす内装デザインが増えており、MOSO竹の落ち着いた質感は多くの住宅や商業空間で好まれています。
エコ志向の消費者に選ばれる理由
過剰な加工を必要としない素材特性
竹は元々強度があるため、加工時に化学的な強化処理に頼りすぎる必要がありません。弊社工場でも素材の乾燥と接着の最適化は行いますが、素材そのものの性能が高いため、余計な工程を追加しなくても安定した品質を実現できます。
自然素材を好む方にとって、必要以上の化学処理を避けられる点は大きな魅力です。
森林への負荷が低い
木材系フローリングが悪いわけではありませんが、サイクルが長い木材はどうしても伐採インパクトが大きくなります。その点、MOSO竹は伐採後すぐに新しい竹が生えてくるため、資源循環が極めて早く、環境負荷を抑えた供給が可能です。
エコ志向の消費者にとって、短い循環で再生される素材は優先度が高くなります。
耐久性と長寿命
「環境にいい素材だから耐久性が低い」というイメージを持つ方もいますが、MOSO竹フローリングは長期使用にも耐えられる素材です。適切な湿度管理と定期的な掃除を行えば、長く使えるため、資源の無駄が出にくくなります。
長寿命であることは、廃棄物を減らし、建材としての環境価値を高める大きな要素です。
製造現場で感じるMOSO竹の利点
日々工場で竹材に触れていると、加工しやすさや品質の安定感が素材ごとに異なることを実感します。MOSO竹には、現場目線でもメリットが多くあります。
材料のばらつきが少ない
同じ原料でも、生育環境や年齢によって品質の差が出ることがあります。しかしMOSO竹は成長周期が安定しており、成熟タイミングも明確なため、品質のばらつきが比較的少なく、加工後の製品にも安定感があります。
乾燥後の変形が少ない
竹材は適切な乾燥工程を経ないと曲がりや割れが出ることがありますが、MOSO竹は乾燥による変形が比較的起こりにくい素材です。これにより、製品のロス率が減り、無駄なエネルギーや資源を使わずに済みます。
加工した後の仕上がりが美しい
研磨や塗装の工程で仕上がりに差が出にくく、表面の仕上がりが整いやすい点もMOSO竹の特徴です。細かい繊維が均一に走っているため、カット後の断面もきれいで、施工後の見栄えに大きく影響します。
消費者からの声に見られる特徴
エコ志向の方がMOSO竹フローリングを選んだ理由として、多く聞かれるのは次のような点です。
自然素材の中でも罪悪感が少ない
インテリアとの相性が良く、落ち着きがある
子どもやペットがいる家でも安心
竹特有の清潔感ある見た目が好ましい
木材ほど重苦しくなく、軽やかな空間になる
特に、小さなお子さんがいる家庭では、化学的な処理が少ない点や、竹の持つ自然な抗菌性を評価する声もあります。
MOSO竹フローリングのメンテナンス性
日常のメンテナンスはそれほど難しくありません。竹は表面硬度が高いため、通常の掃除機やモップで十分に管理できます。また、ストランドウーブン製品であれば、へこみや傷にも強いです。
湿度を安定させ、過度な水拭きを避ければ、長い期間よい状態を保つことができます。これは素材そのものが持つ性質によるもので、特別なメンテナンス剤を使う必要もありません。
空間づくりにおけるMOSO竹の魅力
MOSO竹は空間全体の雰囲気を調整しやすく、さまざまなインテリアスタイルに馴染みます。自然素材の中でも色味がやわらかく、主張しすぎません。そのため、北欧風、和モダン、ミニマル、ナチュラルなど、多様なスタイルに合わせやすく、住宅だけでなく店舗やオフィスでも採用が増えています。
照明の色によって表情が変わりやすく、昼間の自然光では軽やかに見え、夜の暖色照明では落ち着いた雰囲気をつくります。長く使うほど色合いが深まり、自然素材らしい経年変化も楽しめます。
まとめ
MOSO竹フローリングがエコ志向の消費者から支持されるのは、単に「竹は再生が早い」という理由だけではありません。素材の強さ、寸法の安定性、美しさ、環境負荷の低さ、加工しやすさ、長期使用に耐えられる品質など、実際の生活環境や製造工程において多くのメリットを備えています。
現場で日々素材に触れていると、MOSO竹が持つ扱いやすさや安定性を実感する瞬間が多くあり、フローリング材としての完成度の高さを感じます。環境と暮らしの両方を大切にしたい消費者にとって、MOSO竹は非常に相性の良い素材です。自然素材としての魅力と、長く使える実用性を兼ね備えたフローリングとして、今後も選ばれ続けていく素材だと感じています。
Bothbest is a FSC certified bamboo factory based in China starting the manufacturing since 2001, mainly supplying bamboo flooring, bamboo decking and bamboo plywood.
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