2021年09月07日更新

紅の檻

  • 難易度:★|
  • 人数:1人~1人|
  • プレイ時間:1~2時間(ボイスセッション)

季節は秋、その日の夕方は燃えるように綺麗な夕日でした。
探索者は仕事や学校帰り、または夕飯の買い出しの為たまたま近道をしようと人気のない道を通っていると、突然「チリン・・・チリン・・・」と鈴の音が…

短編一人用シナリオで短時間でさくっと終われると思います。
COCシナリオですが、COC色は少ないです。

※2016/3/21 ニコニコのブロマガ初掲載
2021/9/07 シナーチへ移動しました。

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クトゥルフ神話TRPG オリジナルシナリオ【紅の檻】

◆シナリオの使用に関して◆

セッションの際、改変は自由にしてくださって構いませんが、改変後のシナリオ再配布はしないように願います。
万が一、リプレイの公開をお考えの際は、作者の名前を記載していただければご自由にどうぞ(狂喜乱舞します←

◆シナリオ概要◆

推奨人数 1人。
舞台は「現代日本」、季節は秋。
プレイ時間は2時間程度。

-推奨技能-

【目星】【図書館】
※場合によっては戦闘が発生します。

◆導入◆


ゆうやけこやけがまた明日
山の神社で鈴が鳴る
早く帰してと泣く子を
神様ずうっと眺めてた


季節は秋、その日の夕方は燃えるように綺麗な夕日でした。
探索者は仕事や学校帰り、または夕飯の買い出しの為たまたま近道をしようと人気のない道を通っていると、突然「チリン・・・チリン・・・」と鈴の音が聞こ えます。
鈴の音がした方向へ目を向けると、狐のお面をした少年(10歳位)を発見しました。
次の瞬間、少年が探索者の近くに駆け寄り、

「お兄ちゃん(お姉ちゃん)!あのね、僕・・・探しているモノがあるの!ず っとずっと探しているんだけど、見つからなくって・・・お願い!手伝って! 」

とお願いをしてきました。

-探索者が協力を申し出る-

少年はとても嬉しそうにお礼を言います。
何を探しているのかを少年に尋ねると悲しそうな声で
「・・・あのね、『僕』を探してほしいの」
と言った途端、探索者の目の前は真っ白になり、意識が途切れます。

-探索者が協力を拒否する-

少年は、「・・・・・・ごめんね、もう・・・遅いんだ」
と悲しそうにつぶやくと探索者の目の前は真っ白になり、意識が途切れます。

◆名も無き神社◆

探索者が目を覚ますとそこは見知らぬ場所でした。
持ち物は一切なく、身に着けているものは浴衣になっています。
周りを見渡すとどうやら小さな神社のようでした。しかし、何年も人が立ち入っていないのか辺りは背の高い雑草に覆われています。
空は意識を失う前と同じく、綺麗な夕日がこちらを照らしていました。
出入り口には赤い鳥居があり、その外側は塀で囲われており、鳥居以外からは敷地内から出ることができない構造となっています。
また、敷地内はさほど広くはなく、容易に全体を見渡すことができます。
目につく建物は、奥にある本殿、出入り口に付近にある手水、その中間位の堀寄りに社務所があります。
それぞれの建物に道ができており、草はまったく生えていませんでした。

探索者は見知らぬ場所に一人、衣服や持ち物が無くなってしまったことに関して正気度チェックが発生します。(0/1)

◆加賀谷との出会い◆

探索者が何か行動を起こそうとすると、突然「誰だ!?」と男性の声が聞こえてきます。
声がした方向を見ると一人の大柄な男性がいました。

男性の名前は、加賀谷友里(かがや ともさと)

髪や髭は伸び放題でボサボサ、探索者と同じように浴衣を着ていますがその浴衣はボロボロな上、土でドロドロになっていました。
大柄で、かなり力がありそうな見た目50代の男性です。
(必ず探索者に見た目の年齢を伝えましょう)
最初、探索者に警戒しますが、探索者から事情を説明すると警戒をときます。
また、「おじさん、おっさん」と呼ぶと何故かかなり怒ります。

探索者の問いには、基本的に本当の事を答えます。


・この神社から出られなくなってしまった。鳥居の向こうや塀の向こうへは何故か行けない。
・ここはずっと夕方のままで、時間の経過が良く分からない。
・自分がここに来たのは、数日…いや数ヶ月前だろうか?よく分からない。

彼に「狐の面をした少年」や「他に誰か来ていないか?」と尋ねると若干目をそらし、

「・・・いや、知らない」と答えます。

【心理学】成功→彼が嘘をついていることがわかります。


一通り会話すると加賀谷から

「ここから脱出するため手分けしてここを探索しないか?」と提案しています。

この時、探索者が草むらを探そうと提案すると凄い剣幕で探索者を止め、

「駄目だっ!!・・・・・・草むらでわかりにくいが所々に穴が開いていたり、石が出っ張っているから危ないんだ。だからお前には建物の方を探してほしい。お前なら何か手がかりを掴めるかもしれないからな。草むらは慣れている自分が探すから」

と言ってきます。
【心理学】成功→嘘をついていることがわかる。
この時(加賀谷が起きている状態)無理やり草むらへ探索しようとするとバッドエンドになります。
【説得】【言いくるめ】などで加賀谷で納得させてもバッドエンドになります。

◆探索開始◆

探索を開始すると加賀谷は草むらへ向かいます。
以後、彼は草むらを探すついでに探索者を見張るように行動します。
敷地内を見渡すとすぐ加賀谷の姿を見つけることができ、わからない事を聞くと草むらから出てきて探索者の場所へ向かい問いに答えます。
聞きたい事を答え終えると、また草むらへ戻っていきます。

≪鳥居≫

鳥居の向こうは草むらに覆われ、道すら確認できません。
無理にでも外に出ようとすると見えない壁に阻まれ先に進めません。
その異様な事象を目の当たりにした探索者は正気度チェック(0/1)
※塀に【登攀】をした場合も同様の結果になります。さらにバランスを崩して地面に落ち、ダメージ1点を負います。

≪本殿≫

それほど大きくない建物で、とても頑丈な作りに見えます。
正面には扉があり、扉には鍵がかけられ開きません。
無理に開けようと攻撃しても何故か傷一つ付きません。(加賀谷も試しており、探索者がそのことについて聞くと教えてくれる)
本殿に対し【目星】をすると『本殿の見取り図』を発見します。
見取り図は本殿の中を記載しているもので、とてもシンプルな構造をしています。
見取り図に【目星】か【アイデア】に成功すると本殿内部の奥の壁に隠された小さな空間があることがわかります。

≪手水舎(ちょうずや)≫

水がちょろちょろと流れていますが、本来水が溜まる場所はなぜか壊れており、水は溜まらない状態で地面に流れてしまっています。
飲み水には困ることはないようです。
【目星】をすると『古い新聞記事の切れ端』を発見します。
記事には「大学生(男性)が行方不明になっている」ということが書かれています。
そのほか、行方不明の人の名前や日付を特定できる部分は破れていたり、滲んでいたりして確認できません。また、この新聞紙はとても古い物だということはわかります。

≪社務所≫

外見はとてもボロボロで、少しの衝撃で壁に穴が空いてしまいそうですが、雨風を防ぐには問題なさそうです(暗に「立てこもる場所には不向き」と探索者に分かるようにしてください)
社務所ですが、祭事の道具や色々な道具が雑多に置かれ、物置のような状態です。
ある程度のスペースが有り、加賀谷がそこで寝泊まりしているのか毛布が一枚無造作に床に置かれています。
壁の古い本棚が目に付きます。
【目星】に成功すると、半紙に二枚程に書かれた『何者かの日記』を発見します。


◇何者かの日記◇

・1日目

狐の面を被った少年に探し物を頼まれ、いつの間にかこんな場所へ来てしまった。そして、そんな彼は直ぐに姿を消してしまった。詳細を聞こうにも、「自分を探して欲しい」と言っただけでそれ以上の事が分からない。
この神社から出ようとすると見えない壁のようなもので遮られ、鳥居から向うへは行けない。何か、手掛かりは無いのだろうか?
加賀谷という男と出会った。一人では不安だったので、少し安心したが…この男、本当に信用して良いのだろうか?
外の草むらで何やら作業をしているが、その時に近づくとかなりの剣幕で怒る。穴が多く、転んでしまうからこっちに来るなと言うが、それにしてもあそこまで怒らなくても…
ああ、眼鏡を壊してしまった。周りが見えにくい。


・2日目

2日目、と書いたが本当に2日目なのかはよく分からない。
ここは夕方のまま時が止まっているようだ。持ち物も無くなっているので確認しようがない。
加賀谷も同様で、眠くなったら寝る・腹が減ったら食べ物を食べる、という行動のおかげで、自分がどのくらいの日数ここにいるのか分からなくなっているそうだ。
幸い、お腹がすいたらいつの間にかおにぎり等の軽食が用意されている事は有り難い(何も無かった所に突如おにぎりが現れた時は驚いたが)
但し、決まった時間に出現するのではなく、空腹を感じた時にだけ現れる為、時間の経過の確認には向かないようだ。
そして、加賀谷が寝た時、狐面の少年と再度出会えた。何やら、加賀谷の事を恐れているようで、奴が寝てからでないと姿を現せないそうだ。
この時、少年にこんなふざけた場所に連れて来られた事に腹が立っていたため、少年に声を荒げてしまった。
すると、彼はすまなそうに謝罪し、また姿を消してしまった。
…少し感情的になりすぎてしまった。今度会ったら、謝らなければ。


・3日目

加賀谷が寝た後になっても、少年は現れなかった。どうやら、自分も少年に恐れられてしまったらしい。
兎に角、草むらを調べるには、奴が寝た時にしか出来ない。おそらく本堂に行けば、ここから出られるかもしれない。
建物内の探索はあらかた済ませたので、何かあるとすれば草むらだろう。
視界が明るくないのは不安だが、探すしかない。


その後震えた字で

あいつは草むらであんな…俺は、死にたくない!

以降、何も記されていない。


【図書館】に成功すると、本棚から『和綴じの本』を発見します。
本にはこの神社の事について書かれていました。
しかし、その本はかなり傷んでおり、この神社の名前やどんな神様を祭っているのかまでは読めませんでした。
辛うじて読めた内容は、

「この神社で祭られているのは大きな鏡で、その鏡は異空間に繋がっており、触れる事で異界に行き来可能。また、この神社の本殿は聖なる場所で邪を払う所である」

という事が分かります。
※もし、探索者の方で役に立つ物がないか聞かれたら、KPの判断で《幸運》でその場にある物で違和感のない物を探索者に渡して下さい。

◆お腹がすいたら…◆

探索者は夕飯を食べる前にここに連れてこられた為、おそらく空腹を覚えるでしょう。
そんな時には、探索者に1d6をふって貰いましょう!
すると、あら不思議!いつの間にか探索者の目の前には笹の葉に包まれたおにぎりが!
中身の内訳は、
1 鮭
2 筋子
3 おかか
4 塩にぎり(中身なし)
5 梅
6 チョコレート
となります。
このおにぎりは特に意味は無く、ただ単に飢えを凌ぐ為用意されたもので食べても問題はありません(一部のおにぎりの味以外は)
※特に意味のないイベントなので、セッションでやらなくても問題ありません。

◆草むらへの探索◆

探索者が粗方探索を終えると、加賀谷が草むらからやってきて探索者に今までの探索状況を確認した後、

「眠くなったから俺は寝る。……くれぐれも草むらの方へは行くなよ」

と念を押し、社務所へ向かいます。そして、暫くすると社務所の中で寝てしまいます。
序盤に少年に酷い事をしなかった場合にのみ、探索者が行動を起こそうとすると後ろの方から鈴の音が聞こえます。
振り向くと、先程までいなかった狐面の少年が現れます。
この時、少年に詰め寄ったり、罵声をあげるととてもすまなそうに、

「……ごめんなさい」

と言い姿を消してしまいます。今後狐面の少年は探索者の目の前には現れないでしょう。
優しく接した場合、

「あの人が寝ている間、僕が見張っててあげる。行けなかった所、探してみて。男の人が起きたら一回、外に出そうになったらもう一度鈴を鳴らして教えてあげる」

と探索者に言い、社務所の扉の前に立ち、見張りをしてくれる事になります。
この時、加賀谷の事を聞くととても怯えた声で、

「あの人、怖いから…あの人が寝てる時にしか出てこれない」

としか答えません。

≪草むら≫

外からは草むらでよく見えませんでしたが、所々掘り返されたような跡があり、草の生えていない所がいくつもあります。草むらの他にも数本ですが木も所々生えています。
地面には加賀谷が言っていた穴や岩の出っ張りは何故かありません。
もし、掘り返された場所を掘り起こすと腐りかけの死体を見つけ、正気度チェックになります(1/1d3)
死体は、男女問わず探索者と同じような浴衣を着用していました。

【目星】に成功すると、数本ある内の一本の木に小さな虚(うろ)があり、その中に『古い鍵』がある事がわかります。
※この鍵は本殿の鍵です。


その鍵を取った瞬間、鈴が一度なります。
その後直ぐに二度目の鈴の音がし、狐面の少年が消える前に、
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)後ちょっとだよ!頑張ってね!」
と良い、姿を消します。
その後直ぐに、社務所から加賀谷が
「あー寝た寝た!!」
といって欠伸をしながら出てきます。
その時にも草むらに行かなかったか確認をしてきます。
もし、狐面の少年の手助けが無かった場合、鈴の音が聞こえない為、探索者は加賀谷に後ろから不意打ちの攻撃を受けます(1d3+加賀谷のダメージボーナス)
その後、加賀谷との戦闘が始まります。

≪異変≫

鍵を手に入れ、加賀谷と合流すると(加賀谷と戦闘が発生した場合は大体3ターン後位)突然今まで無風状態だった神社で加賀谷と探索者の方へふわりと風が舞ます。
風にのり、生臭い臭いが鼻をつきます。
そして、臭いのした方向を見やるとパラパラと土が崩れる音がします。
それは、先程探索者が行った草むらの掘り返された跡からでした。
その事を確認した瞬間、掘り返された跡が盛り上がり中から人の形をしたものが現れました。
それは人間ではありません。何故なら、人の形をしたものから腐臭がし、腐り落ち抉れた頬からは白い骨が見えていたからです。
何者かに偽りの生を与えられ、自我も無く操られているのであろうそれらは映画の中でしか見たことが無かったゾンビというものだと、探索者は理解出来るでしょう。
5体のゾンビを目撃した探索者は正気度チェック(2/1d8+1)


STR(筋力) 17
CON(体力) 17
POW(精神力) 1
DEX(敏捷性) 4
SIZ(体格) 13

HP15

技能
噛みつき 30


戦闘が始まる前に、一体のゾンビから攻撃を受けます(攻撃の対象は探索者と加賀谷をダイスで決めて下さい)
何故かゾンビ達は皆、探索者と同じような浴衣を着用していました。
その後ゾンビとの戦闘が開始しますが、この戦闘は本堂へ探索者を追い立てる為の戦闘なので、探索者が逃走を選択すると直ぐに戦闘から離脱出来ます。
戦闘を続行する選択の場合、次ターンから1ターン事にゾンビの数を1d6体ずつ増やして下さい。
あくまでも本堂へ誘導出来るよう、社務所の描写を立てこもるには不向きである事を印象づけるよう注意願います(それでも社務所へ立てこもる場合は、バットエンドにしましょう)

◆本堂◆

本堂へは特に問題なく駆け込む事が出来ます。
草むらから見つけ出した鍵を使用すると中に入れます(ここで初めて鍵を加賀谷が目にするととても驚きます)
本堂の中はあまり物が無く、ガランとしています。
目の前には大きな鏡が祭られていました。
本堂に入った後は、ゾンビ達は中に入ってこようとはしません(鍵をかける必要もありません)
和綴じの本にあった通り、ここは聖なる場所のようです。

≪憶えのない時の流れ≫

本堂の中に入った瞬間、加賀谷は目を見開きます。
みるみるうちに顔が強張り、ガクガクと体が震えます。
そして、

「嘘だ!!俺は…こんなの俺じゃない!!内定だって良い所に決まってた…これから、素晴らしい未来がやってくるはずなんだ!!だから、この顔は俺じゃない……」

と叫んだ後、その場にへたり込み手で顔を覆いそのまま動かなくなってしましました。
【アイデア】に成功すると、探索者は思い当たります。
この神社はずっと夕方の時間帯のままで、時計も無い為時間の経過が分からないと加賀谷は言っていました。限に、彼自身何日、何週間…いや、数ヶ月経っているか分からないと言っていました。
しかし、加賀谷の身にははっきり時の流れが現れていました。
本当の時の流れは、数ヶ月等では無かったのです。数年?いや、数十年の時が加賀谷に降りかかっていたのです。
己は大学生の青年と思い込んでいた加賀谷。
今まで鏡や水面すら無い状況の中、己の姿を確認する術を持たなかった為気付かなかった自分の顔に刻まれた深い皺。彼の身に覚えのない、時の流れがあった事を物語っていました。
その事に、加賀谷は今知ってしまったのでした。
この事に気付いてしまい、自分もこの時の流れを感じられない空間『紅の檻』に捕らえられていた事に探索者は、正気度チェック(0/1)

≪動かない加賀谷≫

加賀谷に近づくとぶつぶつと呟いているのがわかります。
探索者が【聞き耳】を希望した際、成功した場合に加賀谷の方から「グチュ…グチッ…メリィ、パキョッ」と聞こえます。
そちらを見るか確認し、振り返ると言った場合は、加賀谷が「嘘だ…嘘だ…!」と呟きながら自分の顔をかきむしっている光景を見てしまいます。
あまりにも強くかきむしっていたので頬の肉が若干抉れ、指の間からは血が流れており、爪の何枚かは剥がれかけていました。
そんな光景を見た探索者は正気度チェック(0/1)
この時、加賀谷はすでに正気度が0の状態になるので、探索者にはどんな事をされても何も反応せず、ぶつぶつ呟くのみです。

≪本堂内部≫

探索者が事前に本堂の外で見つけた見取り図に《目星》か《アイディア》成功していた場合か、本堂内部に【目星】成功で奥の壁の一部色が違う事に気付きます。
そこを調べると、「キィ…」と音が鳴り隠し扉が開かれます。
中はそんなに広くなく、物置のような広さの空間でした。
そこには体育座りをした狐面の少年がおり、探索者を笑顔で迎えます。その顔には、先程までつけていた狐の面はありませんでした。

「お兄ちゃん(お姉ちゃん)僕を見つけてくれてありがとう!」

そうお礼を言い、探索者に『赤い紐の付いた鈴』を渡します。

「これ、凄い鈴らしいんだけど、お兄ちゃん(お姉ちゃん)にあげるね!…僕にはもう必要ない物だから」

と少し悲しそうな笑顔で手渡します。
※少年の好感度が低い場合は、鈴は貰えません。

≪鏡≫

この神社に祭られているかなり大きな鏡です。
その鏡に触れると、探索者は光に包まれ、意識を失います。
そして、完全に探索者の意識が無くなる前に少年の声で「本当にありがとう!…元の世界に戻ったら、また僕の事見つけてね」
と聞こえます。
※この時、壁の奥を調べず、狐面の少年に出会えて無くても強制的にイベントが発生します。
しかし、狐面の少年の声は聞こえません。

◆エンディング◆

≪バットエンド≫

加賀谷の意識があり、本堂の鍵を手に入れる前に強引に草むらに入る(『説得』や『言いくるめ』に成功しても)と、バッドエンドになります。
その際、以下の文章を読み上げて下さい。


探索者は加賀谷の警告を聞かずに草むらに立ち入りました。
加賀谷はそれ以上何も言わず、探索者を黙って見送ります。
草むらに入ると直ぐに探索者は異変に気づきます。
鉄臭さと腐った肉の臭い。そして、草むらにあるいくつもの掘り返された跡。何故か加賀谷が言っていた地面の岩や穴は有りませんでした。
不思議に思う探索者の後頭部に、突然激痛が走ります。
探索者が振り向き、衝撃の原因を確認しようとするとそこには無表情の加賀谷が、手に持っていたスコップを探索者に向けて振り下ろしている所でした。
為す術もなく、二度目の攻撃を受けた探索者は地面の掘り起こした跡へと倒れ込みます。
倒れた拍子に、土の一部が崩れ落ちました。
その中から現れたモノ、それは人の顔。しかし、それには生気が感じられませんでした。
その事に驚き恐れる間もなく、探索者に加賀谷はスコップを振り下ろすのです。
何度も、何度も……探索者が死ぬまで。
「……忠告は、したからな」

---探索者ロスト---

≪グッドエンド≫

探索者が目を覚ますと、本堂内部でした。
しかし、先程と違い何十年も人が立ち入った事も無くなったボロボロの廃屋のようになっていました。
近くには先ほどと同じように加賀谷がうずくまっています。
しかし、一緒にいた少年の姿はありませんでした。
探索者の服装や持ち物は元に戻っており、時計や携帯を調べるとこの場所に来た時から数日経過している事が確認出来ます。
外を見ると、真っ暗で静まり返っていました。
先ほどまでいた時と同じ配置に建物は有りますが、どれも朽ち果てており辺りは道すら確認出来ない程、雑草に覆われています。
携帯の電波は辛うじて通じている為、電話で助けを呼ぶ事も出来ますし、鳥居から下山すると直ぐに山道に出て帰る事も出来ます。

本堂の奥、先ほど狐面の少年を見つけた所に同じように色の違う壁があり、開ける事が可能です。
しかし、そこにあったのは笑顔の少年の姿ではなく、物言わぬ骸骨でした。服装は、先ほどの狐面の少年と同じ物で、首にはロープが巻き付けられています。
この時、探索者が少年は生きていると強く思っていた場合は正気度チェック(0/1)
※少年の死を受け入れている場合は正気度チェック無しです。

少年のお願いを聞き届け、見事に生還し、少年から赤い紐のついた鈴を貰った探索者はトゥルーエンドとなります。
※異世界でお面を付けていない少年に会えず、鈴を貰えなかった場合はグッドエンドです。

≪報酬≫

生還出来た探索者には1d10の正気度回復。
狐面の少年から、赤い紐のついた鈴を貰えた場合は更に1d3の正気度回復。
因みに、その鈴はMP5点分の魔力が込められており、魔術を使用する際5点分のMPが使用出来ます(他セッションで使用する際はKPと確認願います)
また、少年の遺骨を発見した上で実名で通報した場合、長年少年の事を探していた両親に感謝され、『信用』を10ポイント成長させる事が出来ます。
匿名での通報では成長出来ません。

◆真相◆

事の起こりは30年前から始まります。
当時、大学生だった加賀谷は人気のない神社で1人の女性を強姦し、その後殺害。死体を神社の草むらへ埋めたのです。
しかし、そこには一人の目撃者が…狐面の少年でした。
目撃者の少年を発見した加賀谷は、口封じに首を絞めて殺してしまいます。
そして、神社本堂にあった本堂の見取り図を見て、隠し部屋が有ることを確認し、今度は隠し部屋へ少年の死体を隠してしまったのです。
忘れられた神社、それも隠された部屋にしまわれてしまった自分の死体。
死体すら見つけて貰えない少年は、亡霊となりさ迷う事になってしまいました。
そんな状態に目をつけたのがニャルラトホテプでした。

「……ねえ君、誰かに見つけて欲しいでしょう?……なら、こんな事しない?」

そして、ニャルラトホテプは加賀谷を忘れられた神社に似せた『紅の檻』という空間を作り出し、閉じ込めたのです。
自分の死体を探して欲しい少年は、ニャルラトホテプから受け取った赤い紐のついた鈴を用い、その鈴の音に気づいた人間を紅の檻へ誘い(いざない)ます。
檻の住人となり、脱出しようとする加賀谷。しかし、自分の犯罪も誰にも知られたくない彼は、外からくる人間が自分の隠した死体を見つける度に次々と殺し、草むらへ埋めていったのです。
初めは、純粋に自分を探して欲しかっただけ狐面の少年。
しかし、誘った人達が皆加賀谷に殺されていく…罪悪感に苛まされながら、それでも自分を見つけて欲しいと震える小さな手で鈴を鳴らす彼の名前は「紅太(コウタ)」
紅太少年に誘われ、夕焼けに染まった神社は正に「紅の檻」となったのです。

◆NPC◆

・加賀谷 友里
30年もの間、異空間に閉じこめられていた男。
しかし、時計も無くいつまでも夕方のままの神社。それどころか鏡等で自分の老いを自覚出来ないまま、毎日同じ事の繰り返しを続けていました。
「おじさん・おっさん」など言われると激昂します。自身は青年であると思っているからです。
因みに、探索者の服装が浴衣に変わっていたり、持ち物がなくなってしまう事に関して、探索者の行動を制限する目的もありますが、一番は加賀谷に時の流れを気付かせない為という意味合いが強いです。持ち物や服装を見て、加賀谷が不思議に思わないようニャルラトホテプが仕組んだのです 。
加賀谷は自分もこの異空間から脱出したいと思っているので、基本的に探索者には協力的で、聞かれた事は正直に答えます。
しかし、少年の事や他に誰かこの異空間に来たかという問いには嘘をつきます。加賀谷自身の悪事がばれそうになると、探索者を始末しようと行動を起こします。既に人を殺した事があるので、一人二人増やした所で変わらないと思っています。

STR(筋力) 12
CON(体力) 14
POW(精神力) 14
DEX(敏捷性) 9
APP(外見) 7
SIZ(体格) 14
INT(知性) 16
EDU(教育) 14

幸運 70
アイデア 80
知識 70
回避18
耐久力 14
マジックポイント 14
ダメージボーナス +1D4

スコップ 35 1D3+1D4

・狐面の少年(紅太)
30年前に加賀谷に殺されてしまった少年。
自分の死体だけでも見つけて欲しいと願い、ニャルラトホテプからもらった赤い紐のついた鈴で異空間へ人々を誘っていました。
初めはただただ自分を見つけて欲しいとだけ願っていましたが、誘った人達が加賀谷に次々と殺されていく事に次第に罪悪感を抱きます。
しかし、自分の死体だけでも両親の元へ戻りたいという強い想いが有る為、異空間へ人を誘う事を止める事が出来ませんでした。
自分を殺した加賀谷にとても怯えており、加賀谷が起きている間は絶対に姿を現す事はしません。
同様に自身が恐怖を抱いた人間の目の前にも現れる事が出来なくなってしまいます(探索者が少年にきつくあたってしまうと姿を現す事が出来なくなってしまいます)
もし、序盤に探索者が彼の名前を聞いた際は、「コウタ」とカタカナ表記で伝えて下さい。

◆Special Thanks◆

初音剛三郎
73(鴉丸)
夜ネギ
うどん狐
くろあめ
※敬称略

テストプレイに付き合っていただきありがとうございました!

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