マスタリング難易度:普通(アドベンチャーパートは簡単だが、バトルパートが大変なため)
シナリオ難易度:易しい
【タイトル】
墓場での再会
【シナリオ指針】
・初めてネクロニカする人向け
・悪趣味さ抑え目
・アドベンチャーパート軽め
・バトルパート重め
・バトルパートに制限を加えること
・単体にも、キャンペーンにも使える導入シナリオ
【あらすじ(トレーラー)】
ドール達は埋葬された棺の中から次々と掘り起こされた。
目の前には数の数えきれない墓石と、目で蝋で塞がれた女性がいる。
ここはどこかも分からないが、ドール達は記憶を求めて外の世界へと旅立つ。
【シナリオ背景】
『ドール』達は、ネクロマンサーである『シスター』達の孤児院に引き取られた孤児。
どのような経緯があったかは自由だが、その人生の最後を孤児院で過ごし、束の間の平和な時を過ごしていた。
死後、その死を悲しんだ『シスター』達にアンデット化されるものの、『シスター』達の習得していた『ネクロマンシー』自体が不完全なものだったため、すぐには目覚めず埋葬される。
しかし、偶発的に目が覚め墓場から外の世界に旅立つことになる。
【シナリオを行う上での予備知識】
・特に無し
【NPCデータ】
《ガブリエラ》
墓場の墓守。目を蝋で塞がれている。墓守として働くために、一日経つと記憶を失う。
趣味は歌うこと。
《背景》
本名:シスター・ガブリエラ
山の上の墓場で、一番最後に作られた『ドール』。
実はネクロマンサーの一人であるが、そのことを忘れている。元は麓にある教会のシスター。
孤児院で疎開していた子供達や、戦争孤児の面倒を見ていた。しかし、環境汚染で次々と子供たちが死んでいくと、その死に耐え切れず、埋葬する時、子供たちに『ネクロマンシー』を施す。しかし、自身はアンデット化しなかった。理性を失い子供たちを害することになる事態を恐れてのことだ。
また、敬虔な教徒だった彼女にとっては、アンデット化して生き続けることより、死後、神の国へ行けず地獄に落ちるほうが恐ろしい罰だったため、その罰を受けようという気持ちもあった。
一番年長だった少女マナに『ネクロマンシー』を教え、死んだ子供たちをアンデット化させる手伝いをしてもらっていた。死後、最後に残った少女、マナの手によってアンデット化された。
姉妹たちの死を純粋に悲しみ、若くして亡くなった姉妹達に、せめてもっと生きてほしかったという思いが、ネクロマンシーの習得、もとい、ドールの作成動機の1つになっている。
《インフレイムド・ドラゴン(爛れドラゴン)》
門を出た場所で遭遇するドラゴン。
全身を覆う粘菌と肉の塊で覆われている。
体を覆うパーツはたまたま居合わせたアンデット達のもの。
ドラゴンはアンデットを倒すとパーツを体に引き寄せて、さらに大きな塊になる。
《背景》
本名:マナ・ディ・リーゾ。
元はシスターの元で働いていた年長の姉妹。生前から非常に強力な超能力の持ち主(絶チルの兵部並みのチート)。
(サイコキネシス、パイロキネシス、エレキネシス、テレパス、サイコメトリー、ヒュプノス)
その力を使って、時折オペラハウスを襲撃し、少年少女を助けては、教会の孤児院に連れてきていた。
ネクロマンサーであるが、シスターが生きている頃は、彼女の手伝いしかしておらず、作成したアンデットは自身とシスターの二体のみ。
シスターとともに姉妹たちに『ネクロマンシー』を施した後に埋葬した。
『ドール』達を作成したことに罪悪感を感じており、それが正しくないことは分かっていたが、少なくとも『悪意』あってのことではない。
彼女は姉妹達に「生きて幸せになって欲しい」と思っている。
シスターの死を契機に彼女はネクロマンシーにのめり込み、自身のESPを使用して粘菌をあやつる技術を習得している。
また、ガブリエラの傍にいるオッキオを操っているのも、このマナのESP能力。
自身をドラゴン・アンデット化させ、ESPを使用し粘菌とオッキオを操っているが、その結果、脳の機能を使い切って自身は理性を失っている。
そのため、門に近づくものを無差別に襲う。
しかし、その行動はあくまで、門番として姉妹達の安らぎを守るためのものだ。
ちなみに、ドール達が墓場側からそっと通っていけば、襲うことはない。
シナリオ中、姉妹達に襲い掛かるのは、姉妹達を襲いたいわけでなく、偶然襲ってきたアンデット達(モンスターとヤクザ天狗等)を倒したいだけである。
ドラゴンに理性はないので、暴走してただ単に動くものに攻撃しているに過ぎない。
シスターに「自分をアンデット化させないでほしいという」お願いをされていたが、マナ自身はシスターに肉親に対するような愛情を持っており、シスターに生きていてほしいという彼女のわがままで、シスターをアンデット化させている。それが、日記に書き加えられた最後の一文の謝罪につながっている。すなわち、シスターの願いをかなえられなくて、ごめんという気持ちだ。
《オッキオ》
ガブリエラの方に乗っかっている小さなアンデット。
墓場で目を覚まし、その時にはすでにいたガブリエラと一緒に行動している。
ガブリエラの「たからもの」。
《背景》
名前はイタリア語で「目」。
ガブリエラの目からネクロマンサが作成した話し相手。
マナがESPを使用して操っており、実質マナの分身。
《ミスター・ジュードー》
【このシナリオには名前しか登場しない】
このシナリオには名前しかないが、マナとともにオペラハウスの襲撃や孤児院への食品を持ち込んでいた協力者。
実は「ヤクザ天狗(バトルパートの敵)」の本体の素体になった人物。
【ハンドアウト】
・特に無し
【バックグラウンド(背景)】
《舞台》
・山の上の墓場
[山の名前]:モンテ・ビアンコ(仏:モンブラン)
現在ある山とは違い、遥か未来の同じ名前の山だったりして…。
[元の国の名前]:レプッブリカ
Repubblica(Italiana)
イタリア共和国のイメージ
ただ、文明崩壊後の世界で、国の名前なんて意味がない。
【『アドベンチャーパート』】
《カルマの設定》
・墓地からの脱出
《状況〈背景)》
『ドール』たちは「棺」の中に埋葬されています。
ネクロマンサーの二人がネクロマンシーを施した後、埋葬したのです。
どうして目覚めたのかは謎です。意図的にネクロマンサーが起こしたわけではないので、偶発的な事故と言っていいと思います。
一人が目覚めたのを皮切りに次々とドール達は目をさましたのです。
《導入》
・PLの誰かをダイスで決める。
『あなたは暗くて狭い場所に閉じ込められているようです。目を開けてきても真っ暗で、あたりの様子は分かりません。
手を伸ばしても、木の板のようなものに手足があたるだけです。』
さあ、あなたはどうしますか?
★選択肢:
1.大きな声を出して助けを呼ぶ。(補正+1)
2.あたりの壁を壊そうとする。(補正-2)
3.あたりの壁を叩く。(補正+1)
◆判定する場合
・判定成功→
◎1、3.『あなたの存在に気づいたのか、それまで静かだった周囲から物音がします。土を掘り起こすような音が聞こえたかと思うと、ガタリと音がして、急に光が差し込んできました。』
◎2・『ばきっと言うような大きな音がしたかと思うと、急に辺りから土がなだれ込んできました。慌てて土を掻き分けてそこから抜け出そうとすると、何かがあなたの腕を掴み、そのまま一気に引っ張りあげてくれました。』
★判定成功後のイベント
『あなたが驚いて目を開けると一人の女性が目の前にいます。両目を蝋で塞いだ、裸足で、黒いローブのような服を着た、黒い髪の女性です。背中には白い羽のようなものがついています。
手にはスコップと、ランタンが先についた杖を持っていて、肩には小さなアンデットが乗っています。
「大丈夫ですか?」
と親切そうに声をかけた後、彼女は、「あっ、少し待っててください」と言って、次々に別の場所を掘り起こしていきました。
そして、ドールの皆さんは顔を合わせました。』
●判定失敗→
1、3.『しかし、何も起こらない』
2.『しかし、壁を叩いた手足が痛むばかりで、壁は壊れませんでした』
残念、一回休み。
◆判定しない場合
『何も起こらない』
《イベント》
●他のドール達と会う。
→初期イベント。
【NC】
『自己紹介タイムです。どうぞ話あってください。
後、対話判定は基本的にPL側からNCに宣言して行うことになっていますので、お忘れないようにお願いいたします。』
丸投げスタイルですが、その方が、ドールっぽくていいと考えたので。
●ガブリエラと話す。
→判定必要なし。
ドール達が嫌がらなければ、ガブリエラは側にいるでしょう。
ドール達に話しかけることはありませんが、ドール達に話しかけられれば答えるでしょう。
ガブリエラは名前を聞かれても、困った顔をするだけで答えません。
自分の名前を覚えていないからです。
その代わりにオッキオが彼女の名前は「ガブリエラ」だと教えます。
オッキオは、墓場で目覚めた時からの記憶は覚えています。なので、ガブリエラが「記憶障害で一日経つと記憶を失う」ことを知っています。
しかし、オッキオもガブリエラが「どこから来たのか」「誰なのか」という記憶はないので、彼女の正体は謎です。
ただ、ガブリエラもオッキオも自身のわかる範囲のことなら大体答えます。
後、彼女は『ドール』達が友好的なら、『門』までの案内をかって出てくれます。
※ここで、ドールが友好的なら、ガブリエラに対して『未練』を取得してよい。
『姉妹』『中立者』に対しての『未練表』からダイスで。
【ガブリエラとオッキオの発言】
「ええと、…ごめんなさい。私の名前…なんでしたっけ」と黒い服の少女が言うと、
「ガブリエラ、じゃよ。この話しも何回目じゃろうな」と、彼女の肩に乗った小さなアンデットが言った。
「ああ。わしの自己紹介がまだじゃったな、オッキオという。見ての通りアンデットじゃよ」
《背景》
彼女自身覚えていないですが、1日経つと、彼女は記憶を失います。
自分自身を狂気から守るためです。
●周りの様子を伺う。
→判定必要なし。
『辺りは草も木も無く、一面、墓標が立ち並んだ寂しげな場所です。
空気は人の体であるならば耐えられないほど冷え切っており、空はどんよりとした灰色の雲が覆っています。
あなた方のすぐ傍には、あなたの名前の彫られた墓標と、土から掘り起こされた棺があります。
どうやら間違いなくあなた自身が入っていた棺です。』
【NC】
さて、ここで自分が死んだことは『知識』として知っていた皆さんですが、
自分が埋葬されていたという事に、自分の死をまざまざと見せつけられて少なからずショックを受けました。
・狂気判定を行う。
●歌を聴く。
★ドールがガブリエラに興味を示さない時。
ガブリエラは少し離れていきながら勝手に歌いだします。墓場の見回りに戻るためです。
彼女は誰かが「棺」の中で目を覚ますまでは大体暇なので、このように歌っています。
【NC】
『あなた方が自己紹介をして話しこんでいたところ、どこからか歌声が聞こえてきました。それはどこと無く聞いたことがあるような懐かしいものです。』
★ドールが一緒にいる時。
ガブリエラはドール達の後ろを歩きながら嬉しそうにしています。
彼女にとってオッキオ以外と会話をするのは初めてのことだからです。(実際には彼女は他にも目覚めたドールと会話をしていますが、彼女はそれを覚えていない)
それから、鼻歌代わりに歌いだします。
【NC】
『ガブリエラは嬉しそうにあなた方を案内しながら、鼻歌を歌い始めます。彼女にとってあなた方は初めてオッキオ以外で話をした人なので、嬉しくてしかたないのでしょう。そしてその歌は、あなた方にとってどことなく聞いたことのある懐かしい響きを持っていました。』
→
ここで行動判定。判定成功で、『記憶のカケラ(歌声)』を渡します。
●【記憶のカケラ】歌声を聴いた時(判定成功で取得):
・『歌声』:『その歌声は昔聞いたことがある。とても懐かしい。でも、誰が歌っていたのだろう。家族だろうか、友達だろうか。聞いても答えてくれる者はいない』
(星屑のヴォカリーズ:KOKIA)
《演出(マスターシーン)》
あなたは星空が綺麗な夜のことを思い出しました。
あなたの耳にはとても綺麗な歌声が聞こえます。それは歌詞のない曲でした。
「綺麗な曲ですね、シスター」
と、そこにいた誰かが話しかけると、振り返った女性が微笑みました。
「ええ、『ヴォカリーズ』という曲ですよ。綺麗でしょう」
と言って、シスターと声をかけられた女性は嬉しそうに笑っています。
それから、「どんな時でも、歌うことを祈ることは自由ですから」と、少し悲しそうに言いました。
そこにいた全員が、戦争がますます激しくなっていることを知っていましたから、シスターと同じように少し悲しくなりましたが、
「ねえねぇ。もう一度歌ってシスター」
と誰かが努めて明るくいうと、シスターも明るく、いいですよと答えて歌いだしました。
その歌声を聞きながら、皆、ずっとこのまま平和ならいいのにと祈りました。
●墓石を調べる。
→判定必要あり。
・数え切れないほどの墓石群。何個かは掘り起こされています。
『数を数え切れないほどの墓石があります。いくつかは、皆さんが入っていたのと同じように、掘り起こされているようです。
墓石には名前が彫ってあります。そのいずれにも、見覚えはありません。しかし、皆さんは一つ気になる墓石を見つけました。
「2XXX~2XXX マナ・ディ・リーゾ」というものです。そこで、ふっと思い出したことがあります』
→
ここで行動判定。判定成功で、『記憶のカケラ(ご馳走)』を渡します。
●【記憶のカケラ】墓石を調べた時(判定成功で取得):
・『ご馳走』:『パンもない。バターもない。野菜もお肉ももちろんない。いつもいつもジャガイモばっかり。そんな中でご馳走と言えば、カレーだったけど、今はもう、味も、それを作ってくれた人のことも、思い出せない』
《演出(マスターシーン)》
あなたは皆で食卓を囲んでいた時のことを思い出しました。
ここにいる4人だけではありません。顔も名前も思い出すこともできない沢山の子供達と一緒でした。
「また、ジャガイモか・・・」
誰かが文句を言っています。
「こらっ、文句言うんじゃあない!今日はめずらしくたまねぎも手に入ったんだから!」
そう言いながら、大きなカレー鍋を持った少女が歩いてきました。
「マナおねえちゃん。おなかすいたよ-。はやくー」
と、小さな子供が言いました。
貧しいけれど、とても平和な生活でした。豪華ではないけれど、暖かい食事を取ることができました。
今ではそのどちらも失われています。
【NC】
ここで、平和な生活を思い出したドールは、実際の現実との差にショックを受けます。
狂気判定お願いします。
※キャンペーンをしたら、同じく墓から掘り起こされた人とあえるかも…?
●門を調べる。
→判定必要あり。
・頑丈な石造りの門。門の横は鉄の柵が立っている。
・門は吊り扉で、かなり重量があり、ドール達の力をもってしても空けられないだろう。
・門を開けるには、門の内側にあるでハンドルを回さなくてはいけないが、レバーから手を離すと門は自動的に閉じてしまうため、ハンドルを回している人はずっとハンドルを持っていないといけない。
→これはガブリエラが引き受けるだろう。
・門には文章が彫ってある。
・元からのものではなく、誰かが先のとがったもので削ってつけたような印象を受ける。
《門の文章》
「Lasciate ogni speranza, voi ch’ enterate.」
→
ここで行動判定。判定成功で、『記憶のカケラ(勉強)』を渡します。
●門を調べた時(判定成功で取得):
・『勉強』:『遠い昔、いろいろなことを教えてくれる人がいた。いまだに全ては思い出せないけれど』
《演出(マスターシーン)》
あなたは椅子に座って、話を聞いています。
目の前に立っている女性が、何かの本を手にして話をしています。
話の内容はダンテの『神曲』です。
「ねえシスター、これはなんて書いてあるの?」
その場にいた子供の一人が、本の文章を指差しました。そこには、門に彫ってある文章と同じものが書いてあります。
「ああ、それはね、この国で昔使われていた文字ですよ」
と、シスターと呼ばれた女性は答えました。
「地獄の入り口の門に記されている一文で、意味は…『この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ。』」
《背景》
この門は、ガブリエラをアンデット化させた後、マナがドラゴンの姿をとって意識を失う前に作成した。
ESPを使用して、巨大な石と頑強な物質で作成されている。
この門の文章は、ガブリエラは覚えていないが、以前ここを出て行ったドールの一人が、ガブリエラに教わったことを思い出して、ナイフを使って彫っていったもの。
ひとしきり会話を楽しんで貰う。
しばらくしたら、イベントを起こす。
『門を調べていたその時です。
突如、空気をつんざくような雄たけびと、複数の、得体の知れないの呻き声が聞こえました。
門の横、鉄の柵が、がしやん、とけたたましい音を立てます。
全員がそちらを見ると…折り重なって柵に張り付き、柵の間からその腐った手を伸ばすゾンビの大群が見えました。』
※バイオハザード的状況。
【NC】
このようなバイオハザード的状況を目撃した皆さん。SANチェックです。
・狂気判定を行う。
●狂気判定後
『皆さんがゾンビに驚いたその直後、初めに聞こえた雄たけびが再び聞こえると同時に、熱風が吹きつけたかと思うと、一瞬にして張り付いていたゾンビ達が炎に包まれ蒸発しました。
柵に張り付いていた死体は消え、後には、元の静けさが戻っています。』
【NC】
さて、得体の知れないものが居るようですが、墓場から外に出るにはこの門を通るしかありません。
●『ドール』達が門を出て行く時
『門を出て行く皆さんを、黒い服の女性が心配そうに、声をかけました。
「どうか気をつけて。危なくなったら、ちゃんと逃げてくださいね。
後、外にいる『ドラゴン』さんを壊さないでください。あの子はここを守ってるんです。」
といって、皆さんを、見送ります。』
【NC】
『ドール』が『ドラゴン』について質問してきたら以下のことを答える。
・いつからかは分からないが、『門』の外には大きな獣のようなものがいる。
・オッキオが言うには、自分が目を覚ました時からすでにいたそうだ。
・ガブリエラは鳴き声から勝手に『ドラゴン』と呼んでいる。
・『ドラゴン』は墓場にアンデットが近づいてくると攻撃しているようだ。
・ガブリエラが近づいていっても、『ドラゴン』は襲っては来なかった。
《背景》
・ガブリエラは「ドラゴン」について知識的なことはある程度知っている。
【『バトルパート』】
・難易度高めです。
・データはPL4人用なので、PLの熟練度、PL人数に応じで、加減してください。
《演出(マスターシーン)》
【NC】
『ドールの皆さんが門をくぐって外に出てからしばらくすると、後ろで大きな音がして、門が閉じたようでした。
道は、緩やかな坂道で谷底のようになっています。両側は高い崖で、返しのように反り返っていてのぼるのは難しいでしょう。
そして、さらにしばらく、坂になった道を下っていくと、突然、先ほど門の前で聞いた雄たけびが前方から聞こえてきます。
それから、銃声と「ザッケンナコラー!」「スッゾコラー!」という怒鳴り声と大きな地響きが聞こえます。
それは次第に大きくなる地面の揺れと共に、だんだん近づいてきました。』
さあ、皆さんの前に、坂を駆け上がってきた敵の姿が見えます。
《オリジナルパーツ(マニューバ)》
『竜の核』
★破壊された場合:
以下の効果が各『ドール』に与えられます。(対象は全て自身に対してのみになります。)
・任意の『未練』を選んで、狂気点を計3点加える。
・任意の基本パーツを一つ破損する。(破損できる基本パーツがない場合は、破損しなくても良い)
★破壊されなかった場合:
1.戦闘終了時に、最後のパーツでない場合
→ 効果なし。
2.戦闘終了時に、最後のパーツである場合
→
以下の効果が各『ドール』に与えられます。(対象は全て自身に対してのみになります。)
・「記憶のカケラ」を一つ得る。
・任意の『未練』から狂気点を1点減らすことができる。
・任意の基本パーツを二つ、強化パーツを一つ選らんで修復することができる。
※補足①
『竜の核』が敵全体で最後の一個のパーツとなった時点で、「敵は全滅した」とみなします。
※補足②
『インフレイムド・ドラゴン』が『竜の核』のみになり、他の敵が残っている場合でも、戦闘は続行になります。
《カルマ》
・戦闘終了時に『竜の核』が破壊されていないこと。
《勝利条件》
・敵を全滅させる
もしくは
・『奈落』から逃走する
《特殊条件》
・『楽園』からは逃走できない
※補足
『楽園』の後ろは「墓場」で、行き止まりです。後戻りはできません。
《敵》
『ホラー』
・インフレイムド・ドラゴン〈爛れドラゴン)×1 悪意16 行動値10
・ヤクザ天狗×1 悪意10 行動値10
・モンスター×1 悪意12 行動値10
・バンシー×2 悪意6×2 行動値10
・スケアクロウ(モンスター)増援×1 悪意8 行動値9
■合計悪意:54(増援分はふくめない)
※スケアクロウが増援で呼ばれ、ドール側に加勢のガブリエラが来た場合は合計悪意を-10してください。
『レギオン』
・ゾンビ20体 悪意4 行動値8
《舞台効果》
墓地から出て、下に下っていく(山を降りていく)道。
道は谷のようになっていて、
両側には崖があり、上れそうにない。
「楽園」:墓地の門のから出たところからしばらく歩いた道
「花園」「煉獄」「地獄」「奈落」:山道
《ギミック》
●バトル中イベント
→
『ドール』がすぐに逃走せずに、戦闘をがんばっていた場合、下記のイベントを起こす。
●『スケアクロウ』召還イベント
●『ガブリエラ』(ステーシー/バロック)が戦闘に参加
→「ドラゴン」の雄たけびがいつもと違うことを聞き取って駆けつける。
《演出(マスターシーン)》
【NC】
ドール皆さんが頑張っているので・・・。ここでちょっとイベントが起きますよ。
『狂気に満ちた叫び声をあげたモンスターが、その背に背負ったもの、禍々しい槍のようなものを振り上げました。
それを見たドラゴンが危険を知らせるように大きく高く吠えます。
モンスターは何を思ったか、その槍を傍にいたバンシーに突き刺しました。槍に貫かれ不吉な悲鳴を上げたバンシーは、顔を上げると、今度は奇妙な声を上げて笑い始めました。
槍についた目玉のようなものが、ぎょろぎょろと動いてドール達を見つめています。
槍からガス状のものが吹き出して、バンシーの体が中に浮き、槍の先端が…ドール達の方を向きました。』
ダイスを振って、狙いを定める。
『浮き上がった敵は、●●に向かって、その槍が突きだしてきました。
もし、この槍に貫かれれば、●●もあのバンシー達と同じ姿になってしまう、そんな不吉な予感が頭をよぎります。
危ない、と思ったその時です。
何か大きな羽のようなものが●●を包んで、庇ってくれました。
「●●さん、大丈夫ですか?えーっと、これは…一体どんな状況なんでしょうか?」
と、先ほど墓場で別れたガブリエラが、目の前に立っています。
「こりゃあ、いかん!ドラゴンはどうやら暴走しとるようじゃぞ!」と、オッキオが慌てたように言いました。』
【NC】
「ここで、『処刑槍』の効果と、新しい敵『スケアクロウ』の情報、『ガブリエラ』の情報を公開します。
簡単に言うと、敵側の増援と味方側の増援です。」
『ガブリエラ』は基本的に、攻撃はしません。
「庇う」か「ボイスエフェクト」を使います。敵を殴って欲しかったら、彼女にそう指示をしてください。
《敵&NPCデータ》
【シスターガブリエラ】
シスターは「ドール」として扱ってください。
■行動値:9
ポジション:アリス
クラス:ステーシー/バロック
スキル:祈り、庇う、肉の盾、再生
頭:
・のうみそ
・みみ(めだま)
・あご
・ボイスエフェクト
腕:
・こぶし
・うで
・かた
・スコップ
胴:
・せぼね
・はらわた
・はらわた
・うろこ
・やぶれひまく
・ワイヤーリール
・黒金糸のローブ(合金トランク)
脚:
・ほね
・ほね
・あし
【インフレイム・ドラゴン(ホラー)】
全身に粘菌とパーツが折り重なり、表面が焼け爛れているように見える、竜のような形をした巨大なホラー。
黒い服の女性は『墓場を守っている』と言っていたが…。
■悪意:16
■行動値:10
・竜の頭(のうみそ)
・竜の足(ほね)
・よぶんなにく(はらわた)
・よぶんなにく(はらわた)
・かぎづめ
・ドラゴン・フレア(ダイナマイト)
・しんぞう
・竜の尾(しっぽ)
・竜の羽(やぶれひまく)
・竜の鱗(うろこ)
・空間抉り
・ESP障壁
・念動接続
・超知覚領域
・竜の核(オリジナルパーツ)
【ヤクザ天狗(サヴァント)】
神々の使者、ヤクザ天狗参上!
天狗とは日本に古来から存在するフェアリーの一種で、赤く長い鼻を持ち、空を飛ぶという。
だが彼は天狗でもフェアリーでもヤクザでもなく、「ヤクザ天狗」である。
黒のヤクザスーツにテング・オメーンを被り、銀色の背負式ジェットエンジンに二挺拳銃を持ったサヴァント。
アンデット、特に人型に近いアンデットを「ニンジャ」だと思い込み、偏執的にドールを攻撃してくる。
このサヴァントは、自身を「ヤクザ天狗」だと思い込み、ニンジャを殲滅するのが宿命だと考えている。
しかし、実際には劣化コピーであり、その能力は本物の足元にも及ばない。
※元ネタは「ニンジャスレイヤー」です。
■悪意:10
■行動値:10
頭:
・のうみそ
・めだま
・あご
・テング・オメーン(アーマースキン)
・仕込み銃(大型拳銃)
・サイバネ・アイ(スコープ)
・脳内UNIX(アドレナリン)
腕:
・こぶし
・うで
・かた
・オートマチック・ヤクザガン(二丁拳銃)
・ドス・ダガー(肉切り包丁)
胴:
・せぼね
・はらわた
・はらわた
・ジェットエンジン(ロケットパック)
脚:
・ほね
・ほね
・あし
【モンスター】
・モンスターの基本データに「処刑槍」を追加してください。
【『エンドパート』】
エンディング例
●『竜の核』が破壊されている場合。
【NC】
『皆さんの足元に、ばらばらになったドラゴンの一部がごろごろ転がってきました。
丸いそれに皆さんが目を落とすと、それは人の頭でした。
虚ろな目が皆さんを見つめています。
そして、皆さんにはその顔にみた時はっきりと思い出すことができました。
この人の名前はマナ。皆さんがいた孤児院であなた達の面倒を見てくれた人。家族同然だった人です。』
・『竜の核』の効果+狂気判定
※ゲームオーバーしなかったら、次に進む。
『皆さんは戦場を後にして、下り坂になった道を下りていきました。
門も見えなくなった頃、道が開けて広い場所にでました。
辺りを見渡すと、墓場と同じくらい荒涼とした平原が広がっています。
そして、皆さんが、駆け下りてきた道の出口のすぐ傍に、古い建物があるのを見つけました。』
●『竜の核』が残っている、かつ最後のパーツではなかった場合。
【NC】
『皆さんは戦場を後にして、下り坂になった道を駆け下りていきました。
ドラゴンは未だ雄たけびを上げています。
門も、アンデットも、ドラゴンの姿も見えなくなった頃、道が開けて広い場所にでました。
辺りを見渡すと、墓場と同じくらい荒涼とした平原が広がっています。
そして、皆さんが、駆け下りてきた道の出口のすぐ傍に、古い建物があるのを見つけました。』
●『竜の核』が残っている、かつ最後のパーツだった場合。
『竜の核』であるマナと会話ができる。
【NC】
『戦闘が終わって、皆さんは一息つきました。
そして、ただ一つ、戦いの中で破壊されなかったものに目をやります。
それは薄い膜に包まれた、人ほどの大きさのある卵のような塊でした。
「あぁ、よかった…」
と、ガブリエラがほっと胸をなでおろしたようでした。
その声に応えてか、その卵の中身がずるりと動きます。ぴりっ、と音を立てて中から出てきたのは少女の形をしたものでした。
彼女は少しの間ぼんやりとしていましたが、ドールの皆さんを見ると、嬉しそうに笑いました。
「あぁ、目を覚ましたんだね(ドールの名前を呼ぶ)。よかった…なかなか目を覚まさないから、心配したんだよ」
と、言いました。そう言われたドールの皆さんは、彼女に見覚えがあります。』
※「記憶のカケラ『リーゾ(笑み)』」をドールに渡します。
●『竜の核』の効果:
・『リーゾ(笑み)』:『そのどんな時でも笑顔だった人がいる。暖かくて優しい姉のような人だった気がする。その名前の通りに』
※しばらく、ドールとマナで会話。
※マナの性格は、背景にある通り、基本的に『ドール』達に好意的で、『ドール』達に責められても、悲しげに謝るばかりだ。
NC『
「あぁっ、いけない…」
マナが言いました。
「ごめん、もう時間がないみたいだ」
気がつくと、周りに散らばっていた粘菌とパーツがずるずると音を立ててマナのほうに集まってきています。
「私のドラゴン化は自動的なものなんだ。皆、私が理性を失う前に、この山を下りたほうがいい」
そういうと、マナは皆さんが来た道とは反対の道を指差して、
「この道を下っていけば、昔、レーニョと呼ばれた所がある。もし、生きている人間が残っているならそちらのほうだろう」
』
ここでは、マナと黒い服の少女が『ドール』達と別れを惜しむような演出をするといいと思います。
事実、彼女たちにとっては娘や妹同然の人間を見送っているのです。
《背景》
シチリア半島のほうの人間は全滅している。核戦争時にシェルターごと吹き飛ばされたからだ。
フランス側の状態はわからないが、人間がいるとすればそちらだろう。
『皆さんは戦場を後にして、下り坂になった道を下りていきました。
門も見えなくなった頃、道が開けて広い場所にでました。
辺りを見渡すと、墓場と同じくらい荒涼とした平原が広がっています。
そして、皆さんが、駆け下りてきた道の出口のすぐ傍に、古い建物があるのを見つけました。』
●山道を降りて、麓の教会にたどり着く。
・古いが、石造りのそれなりに大きな教会。今も、しっかりと立っている。
・教会の扉には「Chiesa per Amati Figli」という文字が書かれている。
・扉に鍵はかかっていないので、普通に入れる。
・敵もいない。
《背景》
教会はドール達が過ごした孤児院でもある。
《イベント》
※ここで、行動判定を振ってもらえば、『日記』と『写真』が手に入る。
※この二つは『たからもの』として扱っていい。
■日記
・表紙に「Diary」の文字
・下のほうに、「ガブリエラ」と署名がある。
・日記の間に、『写真』が挟まっている。
・『写真』にはドール達4人と一緒に穏やかな微笑みを浮かべるシスター服の女性、満面の笑みを浮かべるドール達より少し年上の少女、照れくさそうに笑うスーツ姿の男性が映っている。
・かなり腐食が進んでおり、ところどころ読めない
・以下は、解読できる部分の抜粋。
●2XX1/04/09
今日は我が教会に家族が増えました。
(ここで、ドール達の名前を読み上げる)
とても嬉しいです。
きっといろいろなことがあっただろうけど、この場所で過ごす間は心健やかにすごせますように。
マナもとても喜んでいます。元気になってよかった。
ミスター・ジュードーには感謝しないと。
気丈に振舞ってはいたけれど、先日、エイミーとアルバトールが神の御許に旅立ってから、とても沈んでいたから心配でした。
これから、元気に過ごせますように。
●2XX1/08/09
新しく来た子たちも、この教会に大分慣れてきてくれたようです。
表情も明るくなってきました。喜ばしいことです。
でも、心配事があります。
近頃食料が手に入りづらくなりました。
政府は戦争中だと言い、配給の量まで減らしてきています。街の人たちも不安そうです。
ミスター・ジュードーが苦心して持ってきてくださるからとても助かります。
早く愚かな戦争が終わりますように。子供たちが健やかに育ち、元気に明るく過ごせますように。
●2XX2/03/02
不吉な噂を聞きました。
動く死者の話です。なんでも、その死者を兵士に仕立て上げる技術ができたとか…
恐ろしい。神を冒涜する行いが行われているというのでしょうか。
●(日付は書いていない)
ミスター・ジュードーと連絡が取れなくなってしまいました。
マナもとても不安そうにしています。
神よ。彼をお守りください。
●2XX2/06/23
マルコとイボヤが居なくなりました。近くの街でも、子供が行方不明になることが増えているそうです。
行方不明になるのは子供だけでなく、大人もだそうです。
子供たちに遅くまで外にいないように言いつけなければ。
街の人たちは行方不明になった子供達を真剣に探そうとしてくれません。
明日はマナにここを任せて山に探しにいこうと思います。
●(日付は書いていない)
ミスター・ジュードーが亡くなったと連絡がきました。
ジュードー
あなたに感謝と、これから先の安らぎを、
(ここから先の文字は何かに濡れたように滲んでおり、読むことができない)
●2XX2/07/15
ミシェルとイザリスが神の御許へ旅立ちました。マルコとイボヤは見つかりません。
どうして
●2XXX/07/22
死者を甦らせる技術は、『ネクロマンシー』と呼ばれているそうです。
それも、誰でも簡単に覚えることができるとか。
生きていれば、エイミーもアルバトールもミシェルもイザリスも生きていればきっと、きっと
でも、それは
●2XXX/01/10
今度はライデルとユーリアが
マルコとイボヤも
どうして
●(日付は読み取れない)
私は、(何が書いてあるかわからない。不明瞭な文字が並んでいる)
●2XXX/06/01
私は、煉獄に行くことも叶わないでしょう。
でも、永遠に地獄をを彷徨うことになっても構いません。
エイミーもアルバトールもミシェルもイザリスもマルコもイボヤもライデルもユーリアも生きていればきっと
●2XX/XX/XX (前回より日付がかなり飛んでいる)
エイミーもアルバトールもミシェルもイザリスもマルコもイボヤもライデルもユーリアもジェシカもボードウィンもアストラエアもレティもシアラもソラもリオもニコもアナスタシアもヴィンスもトゥエルもロートレクも
(以降、ひたすら名前が書き連ねてある)
●(日付は書いていない)
こどもたちはひとりもいなくなりました。
あんなにあかるかったこえもいまはひとつもきこえません。
あのこえ、みんなのこえ、なつかしい
どこにいるの
●(日付は書いていない)
ごめんなさい、マナ。今までありがとう。
それでも私は信じていたいのです。1%の希望が99%の絶望を払うはずです。
(文章の最後にそれまでの筆跡とは違う人物の筆跡で文字が書いてある)
ごめんね、シスター
(日記はここで途切れている)
※NCメモ:日記の最後の文章は「マナ」が書き加えたもの。
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