2023年06月12日更新

怪物は十回もノックしない

  • 難易度:★★★★|
  • 人数:3人~4人|
  • プレイ時間:4~5時間(ボイスセッション)

視界にあるほとんどのものが白く塗りつぶされていくある冬の日。貴方たちの携帯電話に着信が入る。画面に映るのは見慣れぬ番号。恐る恐る通話ボタンを押してみるとそこから聞こえるのは初めて聞くような、聞き覚えのあるような豪快な声。
「おう久しぶりだな!お前の父さんだぞ!今度の土日に親父、お前らのじいさんに会いに行くぞ!もちろん異母兄弟(きょうだい)全員で――」ガチャ
多分ここがターニングポイント。すぐに送られてきたメール。無視しておけばあんなことにはならなかっただろう……。

初めて作りましたGM初心者向けのシナリオです。雪山の山荘で起きた密室事件の謎を解け!裏テーマは「TRPG的叙述トリック」。

0

10

ストック

0

コメント

クトゥルフ神話TRPGシナリオ 『怪物は十回もノックしない』

【あらすじ】

視界にあるほとんどのものが白く塗りつぶされていくある冬の日。貴方たちの携帯電話に着信が入る。画面に映るのは見慣れぬ番号。恐る恐る通話ボタンを押してみるとそこから聞こえるのは初めて聞くような、聞き覚えのあるような豪快な声。
「おう久しぶりだな!お前の父さんだぞ!今度の土日に親父、お前らのじいさんに会いに行くぞ!もちろん異母兄弟(きょうだい)全員で――」ガチャ

多分ここがターニングポイント。電話を切った後送られてきたメール。無視しておけばあんなことにはならなかっただろう……。

【概要】

プレイスタイル:探索・推理・戦闘
場所:雪山の山荘(クローズドサークル)
時代:現代日本
PC設定:PCは全員『広見弘海』の異母兄弟。母親の設定は自由に。父親が40歳なのでPCの年齢は22歳以下で(厳守ではない)。APPは16以上。NPCが多いので対話スキルがあるといいかも。舞台付近には商店がないため所持アイテムは厳密に。

【シナリオ背景】

プレイヤーの祖父たる下村上之助はひょんなことから、『風に乗りて歩むもの』イタクァを召喚しようとする。しかし召喚に必要な血が足らず失敗してしまう。と思っていたが離れたところで『風の落し子』が召喚されていた。『風の落し子』は陸山そらと名を騙り上之助の愛人として下村邸に転がり込んだ。そしてイタクァを召喚するための血を集めるべく親族に会わせてと上之助に囁く。家族とは一切連絡をとっていなかった上之助だったが地元の刑事、塚地天音協力によりちょうど警察にご厄介になっていた久墨雪斗を呼ぶことに成功する。そして塚地の元同級生である広見弘海に声がかかりその子供のプレイヤーたちへと繋がる。

~解決方法~

Badエンド(全員死亡)

このエンドを回避するためには必ず『風の落し子』を倒す必要がある。これが叶わなければ『風に乗りて歩むもの』復活が成功し、大量虐殺が始まる。また犯人当て時、下村の自殺または事故と結論付けた場合も野放しになった常陸=『風の落し子』がPCを殺害しエンド。

Goodエンド(雪の屋敷から生還する)

犯人当て時、常陸を犯人と結論付けた場合。
常陸は疑われた時点で意味深な発言をしつつも正体を見せる。そして常陸=『風の落し子』を討伐後、塚地が窓ガラスを破り外で待機している広見の下へ。雪崩から逃げ切り全員生還。ヘリの中で広見の謎解きエンド。

Happyエンド(隠し財産を見つけ生還)

犯人当て時、内海を犯人と結論付けた場合。
内海が屋敷の魔術的異変に言及すると常陸が正体を見せる。そして陸山=『風の落し子』を討伐後、内海が開かずの間で見つけた屋上への鍵を差し出す。鍵を開け屋上に上る道すがらに隠されていた金塊を見つける。屋上に到着したところで広見の操縦するヘリコプターが到着。救出され財産もゲットエンド。

その他

犯人当て時、塚地を犯人と結論付けた場合。
再チャレンジ。

【NPCキャラクター】

広見弘海(ひろみ ひろみ) 40歳 諜報員

STR 16 CON 18 SIZ 16 INT 18 POW 17 EDU 16 APP 17 DEX 18
40歳とは思えないイケメンマスクと豪快な性格をあわせ持つ男
物心つく前に母共々父親に捨てられる。毎月の謎の仕送り(実父から)により金銭には不自由なく暮らす。高校卒業後は地元の警察学校へ進学。成績はトップで警視庁警察学校からの警視庁行きを周りは信じて疑わなかったが配属直前に、かの国の諜報機関に入る。その後日本と某国を飛び回り諜報活動に勤しむ。超常現象専門家
人脈を広げる為とにかく女と寝る寝る寝る。特に警察学校時代は学校の目を盗みナンパ合コンに励んでいた。その容姿とトーク力により落ちた女は数知れず。後の先輩となる諜報機関の女性ともこの時知り合う(実際は落とされておらず情報収集のため利用されていた)。そのコネにより現在の職場に。実子はPCの三人。
高校+警察学校時代の友人である塚地から「親父さんがお前とその子ども(いれば)に会いたがっている」と久しぶりに連絡がくる。最初は会う気はさらさらなかったが、周辺の村で起きたキャトルミューティレーションやその土地の伝承を調べていくうちに下村が何か企んでいるのではないかと考える。当初は単身で乗り込むつもりであったが、実子への会いたさと孫相手なら下村が油断するのではとの打算からPCを巻き込んだ。

下村上之助(しもむら かみのすけ) 62歳 企業家(土木)

STR 10 CON 12 SIZ 12 INT 16 POW 14 EDU 18 APP 17 DEX 8
大企業の御曹司のなれの果て。次男だったため親の愛情を知ることなく育つ。高校卒業と同時に実家とは袂を分かち別荘で独り暮らしを始める。持ち前の話術により土地売買を才能を発揮する。別荘の周りを一気に開発してしまった。その後は空き家の別荘を買い取り周りの土地を買い占め開発するということを繰り返してきた。
端正な顔立ちから行く土地土地の女たちと関係を持つ。愛を知らないため基本女性関係は一夜限り。行く先々で土地と人間関係をめちゃめちゃにして去っていくため、多くの人から恨みを買っていた。欲深く、特に金に対する欲は留まることを知らない。金さえ持っていれば人は自分を認めてくれるという承認欲求からくるものか。
現在の土地に引っ越してきたのは半年前。どうやって周りの土地を買い取ろうか思案しているところ。だが下村を知っている者がいたため計画はあまり進んでいない。考えあぐねているとき別荘の倉庫で伝承と魔術書を見つける。『風に乗りて歩むもの』イタクァを召喚できれば付近の村々を一掃できると思い、村の牛から血を抜き儀式でイタクァを召喚しようとするが失敗。もっと大量の血が必要だと考える。
結城椎名と出会ったのは2週間前。ちょうど儀式に失敗した後あたり。愛を知らなかった下村だったが一目で結城に惚れてしまう。結城の望むことならなんでもしてあげたいと思っている。

常陸そら(ひたち そら) 25歳 モデル

STR 9 CON 8 SIZ 9 INT 13 POW 18 EDU 10 APP 18 DEX 11
二週間前下村の前に現れた女性。登山中に道に迷って下村邸に辿りつく。下村は突然の訪問者を不審に思ったが一目見るなりその美貌に惚れ態度を一変させ好意をよせる。以後下村邸に棲みつく。家事は一切することはなく(下村邸には週1で家政婦が来て家事の一切をしてくれる。また食事は全て下村が作っている)日中は散歩に出ているか図書室で本を読んでいる。下村のことを「センセ」と呼び慕っている(ように見える)。
感情がなさそうな言葉使い。基本的に頭は良さそうには見えない。読書が好きらしい。口癖は「じゃなくて」
正体は下村によって召喚された『風の落とし子』。召喚後はイタクァを召喚すべく下村邸に居座る。イタクァの召喚には大量の血が必要のため下村の親類を呼ぼうと画策する。今回の元凶。

塚地天音(つかじ あまね) 41歳 警察官

STR 11 CON 10 SIZ 11 INT 16 POW 15 EDU 18 APP 12 DEX 14
N県警の警部。広見の高校+警察学校時代の友人。夫と子二人の4人家族。中学2年生の息子と小学5年生の息子。長男は絶賛反抗期。
Yヶ岳麓の村で起きた奇妙な事件の捜査のため何度か下村邸に訪れる。その際下村の「孫を探してほしい」という依頼を受ける。頼まれると断れない押しに弱いタイプ。ちょうど県警本部で捕まっていた内海や友人の広見に思い至る。頭の回転は悪くはない。
当日はまた調査のため訪れたが車のバッテリーが上がってしまったため下村邸に泊まることになる。本当は広見と示し合せ下村の犯行を暴こうとしていた。

内海山都(うつみ やまと) 19歳 フリーター

STR 12 CON 11 SIZ 13 INT 11 POW 9 EDU 15 APP 16 DEX 11
下村の孫の一人。両親は存命。一人っ子。高校卒業を機に地方都市で1人暮らしを始める。定職にはついておらず収入源はアルバイトと仕送り。現在は交際相手に養ってもらっている形になる。下村の血かその顔立ちからよくモテる。イキリたがりの現代風の若者。
些細な暴力事件を起こし県警のご厄介に。しかし下村の孫を探していた塚地によって釈放。以降下村邸に住みつく。下村のことはおじいちゃんと呼び慕うが、その裏ではどうやって財産を頂こうか考えている。

【導入】

視界にあるほとんどのものが白く塗りつぶされていくある冬の日。貴方たちの携帯電話に着信が入る。画面に映るのは見慣れぬ番号。つい反射で通話ボタンを押してみるとそこから聞こえるのは初めて聞くような、聞き覚えのあるような豪快な声。
「おう久しぶりだな!お前の父さんだぞ!今度の土日に親父、お前らのじいさんに会いに行くぞ!もちろん異母兄弟(きょうだい)全員で――」ガチャ
貴方は思わず電話を切ってしまいます。
(今更父親だなんて語るなよ!)
聞かなかったことにして忘れようとしますが、ある言葉に違和感を覚えます。
(“きょうだい”??自分は一人っ子だが……ってまさかあのクソ親父!)
恐らく他でも子供をつくっていたんだろう。なんて野郎だ。
ふつふつと湧き上がる怒りに握りしめた携帯にメールの通知。
「2月16日一四○○ 要一泊の準備 東京某所の喫茶店に集合♩ 広見弘海」の文字と集合場所の位置情報が。
決めた、あいつぶん殴る。
恐らく連絡がいったみんな同じことを思った。奇しくもその後の初対面で血の繋がりを感じた異母兄弟であった。

At喫茶店

【広見弘海】
外見30代、イケメン、身長185、がっしりとした体格
目星→武道技能があれば何か武道をやっていそうな空気を感じる
   ある種値踏みをするような視線を感じる

プレイヤーの皆さんは喫茶店に入ってきます。(全員で一緒に来ても一人づつでもok)それを見て奥の席から広見が手を振ります。
広見「ようお前ら久しぶりだな!昔の面影まるっきりねぇな(笑)まぁ20年ぶりくらいだし当然か!わっはっは!」
※恨みを持った子どもたちと戦闘してもよい(1ターンのみ)

「おいおいいきなり攻撃してくるたぁ教育がなってねぇな。教育した覚えないけど(笑)」
「初対面の人には殴りかかるなって教えなかったか?いや教えてねぇわ(笑)」
「暴力的だねぇ。親の顔が見てみたいよ。あ、俺か(笑)」
「おっとナイス攻撃!当たればもっとナイスだが(笑)」

ここで広見のHPが半分以下になるとクライマックスで救助に来なくなる?

広見「よし親子の絆が深まったところで、お前ら初対面だろ?自己紹介でもしたらどうだ?」

ここで自己紹介してください。

自己紹介終わり
広見「今日君たちに集まってもらったのは他でもない。君たちのおじいちゃんに会ってもらうためだ。いや俺も物心つく前に母共々捨てられて以来会ってないんだがな。血は争えねぇらしい。がっはっは!」
広見「んでその親父どのがなにやら体調が思わしくないらしく、ぽっくり逝く前に孫の顔を見ておきたいとさ。まぁ直接俺に連絡がきたわけじゃなく友人づてだが」
広見「という訳でだ。久しぶりに家族旅行といこうか!まぁ初めてなんだがな(笑)」

車で3時間近く雪深い道を走りN県Yヶ岳の下村邸へと向かう。

車内ロール

広見「見えてきたぞ。あれが下村邸だ!懐かしいなぁ……って覚えてねぇや(笑)」
若干吹雪いてきた目線の先。横に長い屋敷が目に入った。窓から漏れる明かりによって辛うじて二階建てだとわかる。近付いてくると分かったがそれは洋館というよりは学校に近い形のようだ。
玄関は向こう側になるのか屋敷を大きく迂回するように車は進んでいく。吹雪により揺れる車だったがようやく玄関前へと到着したようだ。

広見「くそ吹雪が強すぎて玄関が見えねぇ……ってあれは」
吹雪の向こう、光が漏れている箇所があった。あそこが玄関らしい。その光から出てきた人物に広見が声をかける。
広見「よう塚地じゃねぇか。久しぶりだな」
逆光で見える人影はこちらに気づくと運転席に駆け寄ってきた。
塚地「あら広見、生きてたの。会いたくなかったわ」
広見「おうおう、再会した親友にずいぶんな言いぐさだな。お前ら先に入ってろ。俺はこいつにオハナシがあるからよ」
広見は車を出て屋敷に入るよう促します。

ロール
○聞き耳→「例の件頼んだぞ」「できる限りのことはするわ」「こいつはミヤゲだ」
○目星→屋敷の規模に比べ簡素な玄関。辛うじて屋根のようなものがついているがこの吹雪ではその意味をなしていない。

中に入る瞬間、屋敷かその雰囲気に違和感覚える。
しばらくすると塚地一人だけが入ってくる。
塚地「ああ広見なら用事を思い出したって帰っていったわよ」
塚地「ところで君たちが広見の子どもたちね。紹介が遅れたわね。私は塚地天音。奴とは高校・警察学校とで同級生だったの。今は県警で働いている。階級は警部よ」
塚地「あぁ事件の聞き込みでこの屋敷に来たんだけど……。さっき確認したらボロ車のバッテリーが上がっちゃっててね。下村氏に滞在のお願いをしようとね」
大きなスーツケースを片足で小突いた。

そうこうしているうちに廊下の奥から女性が歩いてくる。
常陸「あなたたちはセンセが言ってたお孫さんたち?ワタシは常陸そら。センセのお友達ヨ。センセは今お料理中だから。できたら呼ぶから、皆サン少し部屋で休んでいたら?」
塚地「すみません。車のバッテリーがあがってしまって。吹雪が止めば電波も復活すると思うのですが。少しの間滞在させてもらってよろしいですか?」
常陸「ンー、いいんじゃない?一応センセにも聞いてみるケド。多分大丈夫だと思うヨ」
常陸「一階の空き部屋は自由に使っていいカラ」
そう言い残すと(おそらくキッチンのある)廊下の奥へと常陸は戻っていった。

塚地「じゃ私はこの部屋で少し休んでいるわ。あ、あなたたちのおじいちゃん、下村上之助さんの料理は絶品よ。楽しみにしてるといいわ」
塚地はウィンク一つ残し、重そうなスーツケースを引いて部屋の中へと入っていった。

玄関横の壁に屋敷の地図あり

屋敷の見取り図

《注意》

この屋敷は二階建てだが玄関が上の階にある(その昔土砂崩れで一階の玄関が埋まってしまったため)。画像には1階2階の表示がない(GM初心者が急ぎで作った見取り図なためたどたどしい)。GMは絶対に「上る」「下る」「一階」「二階」という言葉を使わないこと。(GMが初心者の場合間違えた方が初心者っぽさが出ていいかも)屋敷には『階段を上ると下るの認識が入れ替わる』魔術が掛けられている。トリックの根幹に関わる。「1-1号室」「玄関ロビー」「食堂」など部屋の名前で移動を示すこと。NPCが話すぶんには問題ない。常陸が「1階」「2階」を間違えると魔術を掛けた本人っぽくていい。

探索ロール

部屋1-1,1-2,1-3,1-4

同じ間取りの部屋。ふたのついた壺がひとつ。クローゼットがひとつ。壁に飾られた短剣がひとつ。額縁がひとつ。それぞれこう書いてある。

1-1
『ノックスの十戒』
1.犯人は物語の始めに登場していなければならない
2.探偵方法に超自然能力を用いてはならない
3.犯行現場に秘密の抜け穴・通路が1つ以上あってはならない
4.未発見の毒薬や、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
5.中国人(並外れた身体能力を持つ怪人)を登場させてはならない
6.探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
7.変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
8.探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
9.“ワトスン役”は自分の判断をすべて読者に知らせなくてはならない
10.双子や変装による一人二役はあらかじめ読者に知らせなければならない

1-2
『ヴァン・ダインの二十則①』
1.事件の謎を解く手がかりは、すべて明白に記述されていなくてはならない
2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない
3.不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない
4.探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない
5.論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない
6.探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない
7.長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない
8.占いや心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない
9.探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く
10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない

1-3
『ヴァン・ダインの二十則②』
11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない
12.いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい
13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである
14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない
15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、
作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない
16.余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである
17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる
18.事件の結末を事故死や自殺で片付けてはいけない
19.犯罪の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する
20.自尊心のある作家なら、既に使い古された陳腐な手法は避けるべきである。

1-4
『密室とは』
1.外部の力が及ばない
2.室内で
3.閉鎖期間中に
4.他の人間によって
5.殺害され
6.閉鎖解除と同時に
7.犯行と
8.加害者たり得る人間の非在が
9.確認されるものである

塚地の部屋
『密室殺人の犯人』
1.密室の扉を最初に開いた人物が犯人である
2.被害者に最初に駆け寄った人物が犯人である
3.現場が密室であることを最初に主張した人物が犯人である

内海の部屋
『推理小説における主要なトリック・仕掛け』
1.密室
2.アリバイ構築
3.消失・出現
4.特定・無差別
5.死体工作
6.ダイイングメッセージ

塚地の部屋

PCと同様の部屋
塚地がいる。部屋には入れない。

内海の部屋

PCと同様の部屋
ユニットバス付
内海がいる。部屋には入れない。

常陸の部屋

PCと同様の部屋
ユニットバス付
常陸がいる。部屋には入れない。

図書室

部屋の部屋の三方が本棚。真ん中には長めのテーブルがひとつ。そのテーブルの左右に座り心地の良さそうなソファがひとつずつ。
本棚にはドイル、クリスティ、クイーン、江戸川、横溝、米澤など世界各国、名立たる推理小説が並んでいる。
目星⇒右の本棚の最下段の壁側。無地の背表紙の分厚い本がある。レバーになっており引くと鈍い音とともにテーブルの下の床に穴が開き、階下への階段が現れた。その先には隠し部屋
図書館⇒推理小説の中に一冊の古文書の模本のようなもの。栞の挟んであるページ。魔法陣のような紋様と、原文の下に訳が書いてある。「人は崇めた空のもの。そのもの雪と風纏う。そのもの生き物の血を欲す。見初められたもの天に舞い、三日の後地上に落つる」
日記のようなもの
・あの村人どもめ。こっちが下手にでればつけあがりやがって。怒らせるとどうなるかわからせてやる
・古文書によると昔からこの地には神のようなものがいるらしい
・人間のじゃないとダメだったのか量が少なかったのか、召喚には失敗した
・初めて人を好きになった、これが愛?
・あなたのためならなんでもしてあげる。

隠し部屋

暗い。生臭いにおい。蛍光灯はなし。
目星⇒目が慣れてくると部屋の様子がおぼろげながらわかってきた。家具配置は他の部屋と同様。クローゼット、ベッド、蓋付きの壺、壁には短剣、### ただ額縁はなし。
よく見ると床には魔法陣のようなものが描かれている。乾いてはいるが恐らく血。
SAN値チェック 成功0 失敗1d3

開かずの部屋

開かない(鍵穴に何か詰まってる)

(図書館は探索してほしい)
適度に探索して時間になり食堂へ。常陸が呼びに来る。

食堂

下村と対面 しばし歓談 
食事後下村が退出。 続いて内海が自室に。常陸は階段手前の喫煙所に塚地を案内してすぐそばの自室に。 
その後PCも部屋戻る。食堂にいてもいいが各部屋(図書館、書斎、下村、内海、常陸、塚地)には入れない。タイミングで陸山の悲鳴 開かずの間のドアの下から血が 塚地が扉の蹴破る→常陸が死体に駆け寄る→内海が密室と断定する
部屋の中央には下村上之助の遺体。床には血だまり。壁天井まで届く血痕。
塚地「離れて。蹴破るわ!」
塚地の回し蹴りが一閃。鍵は壊れドアが内側に開いた。
部屋の中央には血溜りに横たわった下村の姿。真っ先に駆け寄ったのは常陸
常陸「センセ!センセ!ナンデ?!イヤアー!」
遠目にもわかる下村の遺体を揺すり、常陸は泣き叫んだ。
それを見ながら声を発したのは内海。
内海「この部屋は鍵がかかっていた密室だ!ナイフを持っているから自殺だ!」
そう、横たわる下村の左手には短剣が、右首筋には大きな裂傷とそこからまだなお流れ続ける血が見て取れた。
血濡れた部屋、そして人の死を間近で感じたあなたたちにSAN値チェックが入ります
⇒成功1、失敗1d3

常陸を遺体から引き離す塚地。
塚地「現場保全のため部屋には立ち入らないように。皆さん食堂に集まっていてください」
交渉技能があれば捜査に付いていられる。
(隠し部屋に入った人が)目星⇒なぜだか部屋に既視感を覚える

遺体の状況
頭部に打撲痕がありました。そして右首筋、頸動脈に裂傷。どちらが致命傷かはわからない。裂傷は傷の大きさから左手に持ったナイフのものである可能性が高い。しかし打撲痕に関しては傷口に合うような凶器は見つからなかった。床の血が乾いてるところと乾いていないところがある。

全員食堂に集まる。初動捜査を終えた塚地が戻ってくると全員のアリバイ確認をする。
塚地「食事が終わってまず最初に食堂を出て行ったのが下村氏だったわね。その次が内海君、で私と常陸さん。君たちはどんな順番で食堂を出て行った?」
内海は気が動転している様子
内海「わけわかんねぇ。食堂を出た後は図書室に行ってすぐ部屋にもどった。わけわかんねぇありえねえ。」
塚地「次に出てったのが階段の手前の喫煙所に煙草を吸いに行った私と案内してくれた常陸さん。」
常陸は涙を流し洟をすすりながら答える
常陸「はい、塚地サンを案内したあとワタシは部屋で本を読んでいました。塚地サンの煙草の煙がずっと揺らめいているのがドアの隙間からみえていました」
塚地「私も煙草吸いながら常陸さんの部屋のドアから彼女の影をみていたわ。アリバイ証明には弱いかもしれないけど」
常陸「それでちょっと休憩しようと思って部屋を出てふと左を見ると端の部屋――開かずの間のドアの下から血が出ていたんデス」
内海「そ、その悲鳴を聞くまで俺はずっと下の?自分の?部屋にいたんだ、だから俺にはアリ、アリバイがある!」
塚地「で?君たちのアリバイはどうかしら?」

その後一人十分ずつ食堂を離れトイレに行くと偽り一つ部屋を調べることができる。

GM「ことここに至りて、プレイヤー諸君はそれぞれ情報を手にし、真相解明への道が現れた。下村上之助の死の真相とは。優秀なる諸兄姉の検討を祈る」

30分ほど推理ロール。

犯人を誰にするかにより分岐エンド

・下村上之助の自殺

常陸「全く人間というのはことごとく愚かな生き物なのか」
そう呟くと常陸そらは正体を現した。その体は大きくなっていき、5mを越える。そして皮が張り付いた骸骨のような巨体が天井を突き破る。恐怖を抱く余裕もなくその場にいた全員が宙に浮き床に天井に叩き付けられる。“常陸そら”だったものは飛散した肉塊から流れる赤い血を愛おしそうに掬い上げ笑みを浮かべる。
「これだけの血があればイタクァ様を召喚できる」
その歓喜の叫びは暴風と合わさり、世界の断末魔として周囲に響き渡った。
⇒BAD END

・塚地天音が犯人

塚地「ちょっとあんたたち。もっと真剣に考えてよ。広見の奴でももっとマシな推理するわよ。はい考え直し!」
剣呑な空気をかもし、塚地はプレイヤーたちに詰め寄る。どうやら犯人ではなさそうだ。
他に他に犯人を指名してください。
⇒塚地はその後の戦闘には加わるが徒手空拳

・常陸そらが犯人

常陸「ンーまあメンドクサクなったんでもういっか。ここでみんな殺してしまえば」
そう呟くと常陸そらはその正体を現した。体は大きくなっていき4mを越える。そして皮が張り付いた骸骨のような巨体が天井を突き破った。そして窓ガラスが割れ、室内に暴風が吹き荒れる。
さっきまで“陸山そら”だった巨体を見上げ探索者たちは恐怖を覚える。
⇒SAN値チェック
 ⇒戦闘
《風の落とし子》を倒す。
《風の落とし子》「このままでは終わらせんぞ」
怪物は最期に一度耳をつんざく叫び声をあげると、その巨体は嘘のように塵となって消えていった。
内海「やったー!倒したぞ!」
塚地「しっ!静かに。この地響きはもしかして……雪崩!?」
ロール
アイディア⇒割れた窓から外に出ることを提案します。

吹雪の収まった雪原。雪崩の地響きとは別に規則正しい音がだんだん近づいてきます。
塚地「あんの馬鹿。来るのが遅いわよ!」
空から降りてきたのは広見弘海が操縦するヘリコプターでした。
広見「ようお前ら。久しぶりの再会だな!っつっても数時間ぶりか(笑)」
間一髪。全員無事救出されました。

広見「で塚地。何があったんだ?」
塚地「あんたが疑った通り。この村で起きた事件の犯人は下村上之助だったわ。ただ、残念なことに亡くなってしまったけど……」
塚地は広見に今回起こったことを事細かに話しました。
広見「そうか親父がねぇ……。は置いとくとして、お前らまだ気づかないのか?下村を殺害したのは常陸じゃない。真犯人は別の奴だ」
広見「さて――。お前らが屋敷に入ったとき、何か違和感を覚えただろう。恐らくそれは感覚を狂わせる魔術。例えば地下一階を二階だと思い込んだりな。吹雪が止んで外から屋敷を見ると一目瞭然だろ。あの屋敷は前の持ち主の代で土砂崩れに遭い山側が土砂で埋もれてしまった。その後屋敷を買い取った下村は元の屋敷の二階部分に新しく玄関を作り二階を一階、一階を地下一階としたんだ。地下一階の山側の窓が全部ふさがれていたのは土砂で埋もれてしまったからだ。

屋敷断面図

この特殊な屋敷の構造に気が付いたらあとは簡単だろう。二階ではなく地下一階で殺された下村。そしてその上の階には図書室がある。お前らが図書室で発見した地下への階段は下の階の開かずの間へと降りる階段だったんだよ。開かずの間で見つかった下村の遺体。その頭部にあった打撲痕というのは下りてきた階段にぶつかった痕だ。そうだろ?図書室の向いの部屋にいた内海君?」
久墨は俯きながら肩を震わせる。それは無言の肯定であった。
広見「恐らく明確な殺意があったわけではなく事故だったのだろう。しかし自分に疑いの目を向けないためにちゃちな工作を施したのがまずかった。ちゃんと調べりゃあんな工作すぐばれる。それじゃ罪が重くなるだけだ」
内海「だって怖かったんだよ。隠し財産があるかと思ったら血で変な魔法陣書かれてるし。パニックになっちまってあんなことを」
広見「下村は近くの村の家畜から血を抜きまずそれで怪物を召喚しようとした。しかし失敗してしまう。だがそれで召喚されてしまったのが《風の落とし子》だ。そいつは陸山そらと名乗り下村邸に転がり込んだ。そしてより濃い、多くの血を集めて奴の親である《イタクァ》を召喚しようともくろんでいたんだ。つまりお前らは生贄予定だったってわけだ。
下村の奇行にから魔術がらみである可能性を疑った俺はずっと外からお前らを監視していた。まさか救出用のヘリをとりに行っている間に《風の落とし子》が正体を現すとはおもわなかったがな。いやーみんな無事でよかった!はっはっは!!」
雪崩の収まった雪原に豪快な笑い声が轟いた。⇒END

・内海山都が犯人

内海「そうだよ俺がやったんだよ。でも殺す気はなかったんだ!財産は欲しいと思っていたけど殺意なんてこれっぽっちも。お前たちに渡る前に財産のありかを探そうと思ってじいちゃんの後つけたら図書室でいなくなって。いろいろ探してるうちに階段が降りてじいちゃんの頭割って。下におりたら床になんか血で変な模様描かれてるしよう。周りも血だらけだったけど天井に血がついてたら隠し通路使った俺がやったって疑われるから頸動脈切って血で天井を染めてナイフ握らせて自殺に見せかけて。それでも足りなかったから壺に入っては血糊も使って。でも密室なんて知らなかった!地下だと思ったのに!どうなってんだよこの家わけわかんねぇよ!」
久墨は必死に捲し立てる。
塚地「それでも、あなたは正直に話すべきだった。殺意はなかったとしても余罪で罰は重くなるわよ」
泣き崩れる内海に塚地は冷たく言い放ち手錠をかける。
事件は解決したかに思われたが、今まで黙っていた常陸が声を発する。
常陸「はいはいここで物語はおしまい。ってなるわけないでしょ。せっかくいろいろ準備してたのぶち壊しちゃって。あーもういいやみんな殺そう」
そう呟くと常陸そらはその正体を現した。体はどんどん大きくなっていき5mを越える。そして皮が張り付いた骸骨のような巨体が天井を突き破った。その体から一陣の風が窓ガラスを割り、室内に暴風が吹き荒れる。
さっきまで“陸山そら”だった巨体を見上げ探索者たちは恐怖を覚えた。
⇒SAN値チェック
 ⇒戦闘
《風の落とし子》を倒す。
《風の落とし子》「このままでは終わらせんぞ」
怪物は最期に一度耳をつんざく叫び声をあげると、その巨体は嘘のように塵となって消えていった。
内海「やった倒した……」
塚地「しっ!静かに。この地響きはもしかして……雪崩!?」
ロール
考えあぐねていると内海が声を発する。
内海「この鍵。じいちゃんがもってたもんだが」
差し出したその鍵には物置・屋上と書いてある。
塚地「屋上なら雪崩をやりすごせるかもしれない!」
一同一階へと急ぐ。玄関の横、物置の扉を鍵で開けるとその向こうには上へと続く階段が。
先頭を行く塚地。しかし何かに足を取られる。
塚地「もうすぐ屋上よ――って痛!なに?」
塚地が蹴り飛ばしたバッグ。その口から洩れる光は暗闇でもわかる、黄金色に輝いていた。
内海「き、金だ!じいちゃんの隠し財産だ!」
内海は鞄を担ぎ上げる。
吹雪の収まった屋上へと出た一同。雪崩の地響きとは別に規則正しい音がだんだん近づいてきます。
塚地「あんの馬鹿。来るのが遅いわよ!」
空から降りてきたのは広見弘海が操縦するヘリコプターでした。
広見「ようお前ら。久しぶりの再会だな!っつっても数時間ぶりか(笑)」
間一髪。全員無事救出されました。

広見「で塚地。何があったんだ?」
塚地「あんたが疑った通り。この村で起きた事件の犯人は下村上之助だったわ。ただ、残念なことに亡くなってしまったけど……」
塚地は広見に今回起こったことを事細かに話しました。
広見「そうか親父がねぇ……」
広見は少しさみしげな声で呟く。だがそれも一瞬。
広見「今回の元凶は下村だ。奴は近くの村の家畜から血を抜きまずそれで怪物を召喚しようとした。しかし失敗してしまう。だがそれで召喚されてしまったのが《風の落とし子》だ。そいつは陸山そらと名乗り下村邸に転がり込んだ。そしてより濃い、多くの血を集めて奴の親である《イタクァ》を召喚しようともくろんでいたんだ。つまりお前らは生贄予定だったってわけだ。
下村の奇行にから魔術がらみである可能性を疑った俺はずっと外からお前らを監視していた。まさか救出用のヘリをとりに行っている間に《風の落とし子》が正体を現すとはおもわなかったがな。いやーみんな無事でよかった!それに金の延べ棒まで持ってくるとは!みんなで山分けだな!はっはっは!!」
雪崩の収まった雪原に豪快な笑い声が轟いた。

後日談
事件から数週間後なんやかんやでなんとなくまた集まった広見の子どもたち。
それぞれ近況報告をする。
と4人全員の携帯に同時にメールの着信音。まさかと顔を見合わせる全員。
嫌な予感が的中したこのメールの詳細はまた別のお話。

END.

戦闘

《風の落とし子》
SAN値チェック成功2 失敗1d6
STR20 CON30 SIZ50 INT7 POW20 DEX20 HP40
一陣の強風(全体攻撃)80% 1D6
かぎ爪60% 1D6+1
気まぐれな風陣 近距離にいるPCをランダムでターン拘束(幸運%で回避)拘束中は毎ターン1ダメージ

4ターン目に塚地がアサルトライフルを抱えて戻ってくる。戦闘に参加。

【ネタ】

・タイトルの「怪物は十回もノックしない」は「ノックスの十戒」のもじり。ノックスの十戒を守っていない、「3.犯行現場に秘密の抜け穴・通路が1つ以上あってはならない」を破っている。
・登場人物の名前はそれぞれ上下が逆転している。下⇔上、陸⇔空、海⇔山、地⇔天
・屋敷に行かない広見弘海は名前と苗字が逆転しても構わない。

Default dc97b68ac5e45fe6e796100df0104bd212cb6cb56de14e1772ab29062c337ef0

Post Comment

ログインするとコメントできます。