舞台は現代日本。探索者の推奨職業は最低1人の刑事、警官で、推奨というよりあると便利な技能は目星、図書館、聞き耳、精神分析、戦闘技能などなど。回す前にデータに目を通しておくとやりやすいかもしれません。
POW500
MP100
攻撃方法:あらゆる魔術
SANチェック:中を読もうとした時 1D6/3D100 失敗ならさらにクトゥルフ神話技能+30パーセント
装甲:魔術による無限に等しいほどの装甲
どんな言語の人物でも題名が分かる、真っ赤な表紙の怪しげな本。この魔道書は他の生物のようにPOWを持ち、魔法を扱うことが出来ます。
この本はあらゆる魔術を使うことができ、運悪く本の中身を理解してしまった、つまりSANチェックに失敗してしまった者も同じようにあらゆる魔術を使うことが出来ます。
この本は自力でMPを回復する手段を持たちません。その代わり、この本を持っている生物からMPを少しずつ吸収します。具体的には持ち主はMPの自然回復の速度が半減し、その状態の持ち主と同じ速度でMPが回復します。
この本を流し読みではなく本格的に読もうとした時、その人物は上記のSANチェックを行います。この本は世界中のどの言語でも解読できませんが、SANチェックに失敗してしまうとそれを読めてしまい、何かにとり憑かれたようにこの本を読み始め、分厚いにも関わらず1時間ほどで読み終えます。
この挑戦は本を読むための時間に1時間掛ければ何回行っても構いませんが、このSANチェックに失敗し、その後でSANが0であるなら、その人物はこの本に異常なほど執着するようになり、この魔道書に精神を飲み込まれてしまいます。精神を飲み込まれてしまった人物は記憶にあった場所を意味もなくさまよい、時折記憶にあった行動をする以外は行動が受動的になります。
またこの本はグラーキの夢引きに酷似したことを行い、被害者に自分を読ませようとします。この魔道書の夢引きは射程内すべての生物に悪夢を見せますが、自分のもとに来させる対象は正確に、確実に狙うことが出来ます。
そしてルールブックに乗っていない魔術、天空の奈落はこの魔道書のみが持っています。
この魔道書は魂があるものの、行動は微生物などに近く本能で動いています。例えば本の所有者が危険な状態でもなにかすることはありませんが、本自身が危険に晒されたり、本が所有者以外に奪い取られそうになると所有者に魔術で対抗させます。
さらに所有者は少しずつ天空の奈落を使うように誘導されます。
この本はかなり昔に作られたもので、特殊で複雑な魔術によって魂を持っています。見た目は古いですが破損は無く、吸いとった大量のMPを使った魔術による結界が張られていて、ナイフ、銃、魔術、隕石、何を持ってしても破壊できないほど強力な結界になっています。
この本には半分以上白紙のページがあり、新たな魔術が作られればそこに書き足されます。
この本は海水の入った容器に沈め、油を入れて火を着けてから呪文を唱えることで封印することができます。封印されたこの本は中身が文字化けしたようになり、破壊可能になります。さらに封印の呪文を除くこの本から手に入れた魔術の知識を持った人は全員がその記憶を失い、神話技能が元の数字になります。
そしてMPも吸いとられなくなりますが、封印の呪文はこの本からしか手に入りません。
封印を解く場合は海水の代わりに人間の血が必要になります。
コスト:MP1000
必要時間:4時間
使うための詠唱には上記の条件以外に、詠唱を始める時に太陽が最も高い位置、もしくはそれに近い位置にある必要があります。
詠唱が成功すると、上空に亀裂が走り、ガラスが割れるようにして宇宙の景色が見える穴が開きます。
この穴は詠唱した場所を中心に半径25kmのあらゆるものを吸い込み続けて、宇宙空間へ放り出します。
この穴を閉じるにはこの魔術をもう一度詠唱する必要があり、そうしない限り絶対に閉じることはありません。
この魔術の詠唱に協力するには、詠唱者を中心に半径100mの範囲に居る必要があります。
STR50 CON50 DEX65 SIZ70 INT20 POW50
耐久力:12
ダメージボーナス・ビルド:0
MP10
移動:6/飛行12
攻撃回数:1
近接戦闘35、ダメージ1D4
回避35
装甲2
隠密90
正気度喪失0/1D6
詳しいことは何も知りません。本の噂と名前、見た目くらいしか情報を聞き出すことはできません。
叡智と破滅の書の乱入で壊滅してしまった宗教団体です。誘拐事件を起こしていた犯人でもあります。
叡智と破滅の書に無理やり触ろうとしてしまった結果、全員が殺されてしまうことになりました。
この団体に所属している人物は全員体の一部が欠損しています。
図書館の近くに住んでいたせいで、叡智と破滅の書の夢引きによって新しい所有者にされてしまった人物です。
星の智慧派に所属していて、左足の膝から下が義足になっています。正気だった頃は外科医としてのスキルとラテン語に明るかったことから、新しい入信者の体の一部を切除して、ラテン語の魔道書などの解読をする係として星の智慧派に貢献していました。
ちなみに夢引きされた時点では正気を保っていたので、夜中に忍び込むくらいの判断は出来ていました。
発狂後も体に染み付いた行動はそのまま行います。
図書館の近くにあるアパートに住んでいることにするとやりやすいです。
能力値や技能値:https://iachara.com/char/293965/edit
探索者がちゃんと警察組織の人間になっていれば、警察も登場人物となります。
シナリオ開始時点では誘拐事件の捜査に探索者以外の人員を割いていますが、誘拐された人を発見した後なら余裕ができるので、探索者に協力してくれます。
何処かの町のとある事件。一冊の本が図書館に来た翌日(シナリオ開始時点の前日)の夜22時に盗まれてしまいました。
犯人の名前、特徴、住所などは防犯カメラなどの情報から簡単に発覚しましたが、肝心の所在が分かっておらず、捜査中のところから物語は始まります。
ここからは探索者がちゃんと刑事や警官で来たなら、探索者の上司となる人物を探索者と会話させる形で最初の情報を受け渡すといいでしょう。もし刑事や警官でなければ上記の情報をニュースで受け渡すだけにしましょう。
ここで探索者に渡すべき情報は以下の通りです。
・監視カメラに映っていたのは途中までで、最後に監視カメラの死角になっていた路地裏に入ってから、何処へいったのか分からないこと。
・死角の路地裏から何処かへ移動した場合、必ず別の監視カメラに映るはずが、その監視カメラに異常が見られないにも関わらず、犯人の姿がなかったこと。
・現在、他の警官や刑事は休み、または誘拐事件の捜査をしているので、探索者のみで捜査しなければならないこと。
・誘拐事件の犯人は4人グループで、全員が鼻や耳など体の一部が欠損していて、義手や義足の者もいたこと。また、全員が同じ黒いローブを着ていたこと。
・誘拐事件の手口は人気の無い場所に来た被害者に車で接近、その後3人で被害者を捕らえて車で走り去るものだということ。
・誘拐事件の犯行グループは神出鬼没で、捜査が難航していること。
・泥棒事件と誘拐事件の犯人は別人だということ。
情報を渡し終えたら探索者の自由行動になります。どんなルートで情報を得るかは探索者次第です。もし探索者がどうするべきか分からない様子なら、図書館、図書館の近くの住宅、犯人の家に向かうように誘導してください。
情報を渡すときは以下の中で適切なものを選んでください。
・泥棒事件の前夜に近隣住民が全員悪夢を見ていて、それ以前とそれ以降はおかしなことは起きていないこと。
・盗まれた本は事件前日に他の本と一緒に運ばれてきたものだということ。
・盗まれた本には、持ち主が正気を失うだとか、近隣住民が悪夢を見るだとか、悪夢を見た住民がこの本を盗みに来るだとかのおかしな噂があり、世界中の図書館や本好きを転々としてこの町に来たこと。
・犯人は図書館に忍び込んでから迷わず真っ直ぐ、例の本が保管されている場所に向かっていたこと。
・本を手にした犯人はその場で食らいつく勢いで本を読み出し、1時間で読み終えると、まるで人が変わったように外へ歩きだしたこと。
・犯人は近隣住民におかしな宗教の勧誘をしていたこと。
・犯人の左足の膝から下が義足になっていること。
・犯人は決まった曜日、決まった時間に決まった場所(宗教施設)へ向かっていること。
・SNSなどに事件当日23時半ごろから「近くの変な宗教施設から音が聞こえてきて眠れない」という書き込みがあること。
犯人が決まった時間に向かう場所、つまり星の智慧派の施設の場所が分かると次の段階へ進むことができます。
手がかりの建物は星の智慧派という宗教施設の支部で、窓が1階と2階にしかないことを覗けば普通の建物です。
これを見た探索者は目星かクトゥルフ神話技能で判定します。
・目星ハード成功
この建物の外見に何処か違和感を覚えます。
・目星エクストリーム成功
建物の外見が何らかの方法によって書き換えられているように感じます。
・神話技能成功
建物は魔術によって見た目が書き換えられていて、本当は2階の窓には大量の血肉が付着していることに気付きます。この事実に気付いてしまった探索者はSANチェック1/1D4+1。
・神話技能エクストリーム成功
建物は魔術によって見た目が書き換えられていて、本当は2階の窓には大量の血肉が付着していることに気付きます。この事実に気付いてしまった探索者はSANチェック1/1D4+1。
さらに人間や普通の動物とは全く違う生き物の肉片や色の違う血があることに気付きます。
建物にはインターホンがついていますが、押しても反応はありません。鍵もかかっていないので、簡単に入ることができます。
1階はロビーのようで、観葉植物が人工的な光に葉を開いています。
水をやるのを忘れたのか、鉢の土は乾いています。中に人影は無く、並べられたソファーにはしばらく誰も座っていないようです。
受付らしきカウンターにも人はいません。
受付の向こう側にある逆Y字の階段の下には従業員の休憩室らしき部屋があります。
入って直ぐ左を見れば重厚な扉があり、明らかにそこだけ雰囲気が違います。
受付カウンターの近くに移動するなら聞き耳で判定します。
・聞き耳成功
受付カウンターの裏から鉄臭い臭いがしてきます。
受付カウンターの裏側を見ると、昨日まで受付嬢だったであろう肉塊が転がっています。まるで火達磨になったかのように全身が火傷を負っていて、その手足はまるで縮んだようになっています。にもかかわらず、身に付けていた衣類や床に焦げた跡はなく、現実のものとは思えない凄惨な死体を見た探索者はSANチェック1/1D4+1。
従業員休憩室はフレーバーで、中には椅子やら机やらが置いてあるだけで何もありません。
他には地下への梯子がありますが、地下への梯子には頑丈な扉に鍵がかかっています。
2階は2対の部屋のある廊下で、赤いカーペットが敷かれています。
奥には三階に続く階段がありますが、その前には関係者以外立入禁止と書かれた看板があります。
1号室、2号室、3号室は同じようになっていて、どれも聞き耳、目星で情報が得られます。
・聞き耳成功
鉄臭い臭いが部屋の中から漂ってきます。
・目星成功
カーペットの色に隠れて見え辛いですが、ドアの下からカーペットに血が染み込んでいます。
ドアを開けると、そこには血で染められた床とバラバラに散らかった家具、そして切り傷や捻った跡、火傷の跡などでもはや人間かどうかも怪しいほどボロボロになった複数人の死体が転がっています。
このような惨状を目の当たりにした探索者はSANチェック1/1D4+1。建物を見たときの神話技能ロールで成功していたら免除、または軽減されます。
元は待合室や休憩室のような場所のようですが、今はもう何もかも滅茶苦茶で、何か見つけてもそれは使い物にならないでしょう。それでも目星をする探索者もいるかもしれません。
・目星成功
死体が原型が分からないほど酷い状態だったので気付きませんでしたが、バラバラの死体に混じって人間のものではないものが混ざっています。
それはゴムのような弾力を持つ皮膚のようです。生物学に成功するとさらに情報が出ます。
・生物学
この皮膚はあなたの知るどの生物のものでもありません。この本来はあり得ないような未知の生物は、人間が知るべきではないものだと気付いてしまった探索者はSANチェック0/1。
4号室は唯一無事な部屋です。大きめのテーブルを挟んで向かい合うソファーと、部屋の隅にある冷蔵庫と棚を見るに、休憩室のような部屋のようです。目星で情報が出ます。
・目星成功
棚の中から何処かの鍵(地下への鍵)と001011と書かれたメモ用紙を見つけます。
扉を開けて梯子から地下へ向かうと、そこには質素なコンクリートの廊下があります。かなりしっかり防音されているようで、自分達の息や足音がうるさく響きます。蛍光灯の灯が不気味に光り、怪しい匂いが漂っています。
地下には2つの部屋とエレベーターがあり、片方の部屋は相当大きいように見えます。
エレベーターは問題なく動作しているようですが、エレベーターの中には嫌な感じのする塵が落ちています。また、エレベーターは地下1階、3階、4階にしか繋がっていません。
大きい部屋は倉庫のようで、中には所狭しと物が置かれています。
倉庫で目星を行えば様々な道具が手に入るでしょう。キーパーが自由に設定しても構いませんが、もし面倒なら1D100を振って以下の表のものを渡してください。
1~5怪しい粉薬(一袋服用で一定期間STR、CON、DEXが+20)
6~20睡眠薬
21~30消火器
31~40スタンガン
41~50六法全書
51~60スーパーファミコン
61~70ドライバー
71~80はんだごて
81~90軍手
91~95石ころ
96~99ゴキブリ
100宝石(放棄不可、幸運判定難易度増加の呪いつき)
もうひとつの部屋はまるで牢屋のようで、鉄格子の向こう側には7人の誘拐事件の被害者と、同じく誘拐事件の被害者の頭部の無い死体がいます。死体を見た探索者はSANチェック0/1D3。
鉄格子は開けられているにも関わらず、脱出した人はいません。
7人は手足を縄で縛られていますが、死体の手足を縛っていたであろう縄はほどかれています。7人は正気を失っていますが、精神分析に成功すれば少し話が出来るようになります。
・精神分析成功
その人の話を要約すると、謎の集団に誘拐されてここに来たが、最近誘拐されたらしい人が自力で縄をほどいたが、その時に謎の集団と同じローブを着た男が扉を開けて入ってきた。
その後何かを呟いたかと思うと鉄格子の鍵が開き、また何か呟いたかと思うと縄をほどいた人物の頭が消し飛んだ、ということになります。
ここで警察に連絡し、この建物まで警官を呼ぶこともできます。流れによっては探索者とNPCが一緒に行動するかもしれませんが、それを止める必要はありません。
3階はコンクリートの質素な廊下と2つの部屋、エレベーターがあります。部屋の大きさは同じ程度ですが、左側の部屋は何の部屋なのか分かりません。右側の部屋はPC・図書室と書かれています。
左側の部屋だけ、聞き耳に成功したら情報が出ます。
・聞き耳成功
中から微かに虫の羽音が聞こえる。
・聞き耳ハード成功
中から微かにハエの羽音が聞こえる。
左側の人体加工室は一見ただの手術室で、外科手術用の器具や蛇口なんかもありますが、一際目立つものは部屋の置くにあるハエの集っているゴミ箱です。異臭も放っていて近寄りがたいです。
ゴミ箱を開けたのであれば、その中にある人間の手、足、鼻や耳、人間のパーツがバラバラに中に詰め込まれ、奥のものに至っては腐り落ちています。そのような気分の悪くなる光景にSANチェック0/1D3。
目星に成功すると情報を得られます。
・目星成功
吊り戸棚の中にある救急箱の中身が乱雑に取り出された形跡を見付けます。
右側のPC・図書室には1台のパソコンとずらりと棚に並べられた本があります。パソコンは古めかしいデスクトップPCで、USBメモリが差し込まれています。ネットに繋がっている様子はありません。パソコンを起動することは出来ますが、パスワードを入力しなければ中を見ることはできません。001011と入力するかコンピューター技能に成功すれば情報が出ます。
本棚の方は図書館に成功すれば情報が出ます。
・パソコンの中身
パソコンの中には様々な情報が入っていました。ほとんどが理解に苦しむような内容でしたが、「門と活性化」という1つのテキストファイルが目につきます。そこには以下のことが書かれていました。
「本部の人間が持ってきたエイボンの書という魔術書に書かれていたのは、門の創造というある場所とある場所を繋げ、移動する魔術だった。
話によると、手に入れたは良いが分厚過ぎて誰も読もうとしてくれないそうだ。
そんなことを言われても読みたくないのはこちらも同じだが、手を付けずに放置するわけにもいかないので魔術書を読むことにした。
この魔術書によると門の創造という魔術は使用者の精神を用いて空間や時間を超える道を繋げる魔術で、使うためには魔術を使う場所に何らかの形で印を作り、門を繋げる場所を知っている必要があるそうだ。
まだ門の開き方は分からない。門は誰でも通ることが出来るが、時間が経つと閉じてしまうらしい。もう一度門を開くときは門にアルコールをかけて触れることで開くそうだ。
門を通る条件を付けることや通る際に移動先に適した体に変異させる応用方法があるらしいが、開き方も含めてこれから調べていこう。」
数日前のメモで続きはなく、他にめぼしい情報も見当たらない。
・図書館成功
日本語の本が全く無いことに気付きます。ラテン語や英語のものばかりで、この内一冊に目が止まります。ラテン語に成功すればタイトルが分かります。
またこの本はかなり分厚く、読むにはかなり時間が掛かりそうです。
・ラテン語成功
本のタイトルはエイボンの書で、門の創造について書かれています。
もしエイボンの書を読むなら、ラテン語に成功することで、36週間の時間を費やし、SANチェック1D4/2D4を行って神話技能+13%と一緒に門の創造を会得します。
4階の階段を昇る前に、聞き耳を振らせます。
・聞き耳成功
今まで人の気配がありませんでしたが、4階だけは人の気配を感じます。
この情報を得た探索者は恐らく隠密を振ります。全員が成功したなら、4階のイベントで探索者が有利になります。
エレベーターで来たか、階段できたか、隠密に成功していたかで発生するイベントが異なります。
4階に昇るとそこは広い空間で、部屋は棒などのガラクタで封じられたエレベーターくらいです。
そして部屋の真ん中には、こちらに背を向けた状態の赤黒いローブを纏った人物が本を片手に棒立ちしています。その本は紛れもなく、図書館から盗み出されたあの本です。
ローブの隙間からは包帯で応急手当てをした跡が見え、足元には魔方陣のようなものが書かれています。
その人物は探索者の存在に気付くと、こちらに向き直りました。それは間違いなく本を盗み出した犯人です。
このタイミングでいくつかの技能に成功すると情報が出ます。
・目星成功
1D6ダメージが出そうな長い棒を見つけます。近接戦闘[格闘]で使えます。
・心理学成功
目の前の人間からは感情というものがまるで感じられず、気味が悪く感じます。
・精神分析成功
この犯人は正気を保っておらず、会話が出きる状態ではないことが分かります。
・神話技能成功
盗まれた本が叡智と破滅の書という生きた魔道書だということが分かります。犯人は叡智と破滅の書によって精神を掌握されていて、自我がありません。
解放するには叡智と破滅の書に記された封印の術を使う必要がありますが、それは不可能に等しいです。
本を手放させるには、本に触らず犯人を気絶させる必要があることも知っています。
ロールを終えると、犯人はぶつぶつと謎の言葉を発します。
そのまま少し経つと、探索者と犯人の間の天井に穴が開き、そこから黒い何かが降りてきます。
そこにいたのは全身が真夜中のように黒い生物。その姿は人間に少し似ていて、一瞬黒い全身タイツの痩せた人間かと思うでしょう。
しかし、人型ではあるが、これは人間ではありません。
何故ならその背中には巨大なコウモリのような羽があり、突き刺すような尾と1対の角を持っていたからです。
顔のあるはずの場所にはなにもなく、クジラのような皮膚と黒い翼のその姿は、まさに悪魔そのものでした。
顔の無いもの、夜鬼に遭遇した探索者はSANチェック0/1D6。
探索者が異形の存在に怯んでいると、犯人は床に手を触れ、そこに開いた穴に落ちていってしまいました。
その穴から僅かに覗くことができた風景は、犯人を見失った小路のように見えます。
しかしその穴は直ぐに閉じてしまい、残った異形の生物は明らかな敵意を持って探索者に襲いかかります。
戦闘開始です。
戦闘は探索者VS夜鬼になります。NPC警官が混じっていればそれも加勢します。
魔方陣に手を触れるとMPと正気度を1ずつ消費して門の創造で犯人を見失った例の路地裏に移動出来ますが、戦闘中は夜鬼の妨害を受けて移動できません。
門の創造で移動したあと、犯人を追うこともできますが、戦闘で1、2ラウンド経過していると追跡、3、4ラウンドだと追跡ハード、5、6で追跡エクストリームに成功しなければ見つけることが出来ません。
また、戦闘で10ラウンド経過してしまうと、アルコールをかけなければ開くことが出来なくなります。
犯人を追いかける場合、犯人は走ってはいないので追い付くこと自体は簡単です。
4階に昇るとそこは広い空間で、部屋は棒などのガラクタで封じられたエレベーターくらいです。
そして部屋の真ん中には、こちらに背を向けた状態の赤黒いローブを纏った人物が本を片手に棒立ちしています。その本は紛れもなく、図書館から盗み出されたあの本です。
ローブの隙間からは包帯で応急手当てをした跡が見え、足元には魔方陣のようなものが書かれています。
その人物はこちらに気付いていない様子で、今なら簡単に不意をつくことが出来るでしょう。
目星と神話技能で情報が出ます。
・目星成功
1D6ダメージが出そうな長い棒を見つけます。近接戦闘[格闘]で使えます。
・神話技能成功
盗まれた本が叡智と破滅の書という生きた魔道書だということが分かります。犯人は叡智と破滅の書によって精神を掌握されていて、自我がありません。
解放するには叡智と破滅の書に記された封印の術を使う必要がありますが、それは不可能に等しいです。
本を手放させるには、本に触らず犯人を気絶させる必要があることも知っています。
そのまま犯人を気絶させた場合、問題なく本を取り返すことが出来ます。
攻撃したが気絶させなかったか、存在がバレた場合は犯人が探索者の向きに振り返り、探索者は僅かな時間に心理学と精神分析を振ることが出来ます。
・心理学成功
目の前の人間からは感情というものがまるで感じられず、気味が悪く感じます。
・精神分析成功
この犯人は正気を保っておらず、会話が出きる状態ではないことが分かります。
ここからは隠密に失敗して階段を登った方の[A]に続きます。
エレベーターが4階に到着し扉が開くと同時に何かが倒れ込んできます。探索者は回避で判定します。
失敗すると耐久値を1失います。
倒れ込んできたのは大量の棒やガラクタなどです。この状態ではエレベーターから出ることも下の階に降りることも難しいでしょう。また、これを退かすにも時間がかかりそうです。
部屋の中が見えないほどぎっしりとなっていますが、隙間から赤黒いローブの人物が見えて、何かをぶつぶつと喋っています。
完全に閉じ込められた空間で少し時間が経つと、外側から隙間を縫うように棒が差し込まれます。
ランダムに選ばれた探索者一人は棒に突かれて1D6のダメージを受けます。
戦闘開始です。
エレベーターに倒れ込んだ物は宣言することで行動を消費して退かすことが出来ます。これを二回行うと探索者を攻撃する相手の姿が見えるようになります。
それは最初、痩せ細った黒い全身タイツのように見えました。
しかし、その鯨のような皮膚を持った生物には顔がなく、背中にはコウモリのような羽が生え、突き刺すような尾を持っています。
一対の角を持つその化け物の姿は、まさに悪魔と呼ぶに相応しいものだでした。
顔のないもの、夜鬼を目撃した探索者はSANチェック0/1D6。
夜鬼は1D6のダメージが出る棒を持っています。攻撃ロールは近接戦闘[格闘]で行うものとします。
もう一度物を退かせば夜鬼に通常通り攻撃したりエレベーターから出ることも出来ます。
戦闘が終わる、または戦闘中でも目星に成功すれば部屋の様子が分かります。
部屋は大きなワンルームで、景観を全く気にしていないコンクリートで天井から床まで塗りつぶされています。
部屋の端には何に使うのか分からないものや、何故そこにあるのか分からない棒やガラクタがギチギチに寄せられています。
そんな部屋の中央には先ほどまで赤黒いローブの人物が立っていたであろう魔法陣らしきものが書かれています。
ここからは階段、隠密失敗の[B]に繋がります。
4階で本を手に入れられなかった場合、街中に紛れ込んだ犯人を探しだして本を取り返すことになります。
ここからは探索者の行動やキーパリングで全く違う道を行くことになるので、下記のことを頭に入れつつキーパリングしてください。
・本を盗んだ犯人はここからは[天空の奈落]の詠唱のために人通りの多い場所に紛れて[精神的従属]でMP消費に協力してくれる仲間を集めます。100日もあればMP用の人間を集めることが出来ます。
・本を盗んだ犯人はほぼ毎日不定期な時間に例の路地裏で[門の創造]を使って移動しています。移動先は廃ビルの屋上です。路地裏にも門があるので、そこも手で触れることで通ることができます。
・本を盗んだ犯人は正気だった頃と同じ周期で路地裏にある[門の創造]で星の智慧派の支部に立ち寄ります。
・本を盗んだ犯人は攻撃されると攻撃してきた相手に反撃を行います。反撃は相手を見失うか殺すまで続きます。
・犯人が持っている本に触れた場合、周囲の人間に無差別に攻撃します。これは周囲に生きた人間がいなくなるまで継続します。
・犯人はあらゆる魔術の知識を持つので、様々な魔術で攻撃を行います。これは必要なMPが不足した状態でも同じです。
・[精神的従属]を受けた一般人は[天空の奈落]を使うタイミングが来るまで一切異常がありません。
・犯人は空腹などを満たすためにどこかで食料調達をしますが、店に入っても必ずしも代金を払うとは限りません。
コンビニなら置いてある商品をその場で食べてそのまま帰ろうとすることもあるでしょう。その場合、この犯人を捕まえようとした店員の命はありません。
本を回収した後はその本をどうするか決めてシナリオ終了です。
最初の目的に戻って図書館へ返すか、本を自分のものにするか、はたまた封印を試みるか、全ては探索者次第です。
叡智と破滅の書にMPを与えることができ、[天空の奈落]を詠唱されなくて済む方法を探索者が思い付いたならその方法でシナリオを終わらせてもいいでしょう。
本が破壊不能だと気付いた探索者は高確率で本を海に捨てようとします。もしそうしてしまうと夢引きの影響で毎日海の近くに住む誰かが海に身投げして、そのままじわじわと夢引きの範囲が広がり、町はゴーストタウンになります。
呪われた本は最初の話の通り図書館へ帰っていきました。
元々悪い話の絶えないものだったせいか、すぐに別の図書館へ運ばれていったそうです。
きっとそこでも同じことが繰り返されることになりますが、それは今の探索者には関係のないことでしょう。
そうして町にはいつもの暮らしが戻ってきました。
呪われた叡智は幸運の名の元、探索者の手に渡ることになりました。
もう二度と悪魔が生け贄を誘うことはないでしょう。
しかし、その悪魔がもたらす力が死神にならないという保証はありません。
探索者の未来にアザトースの加護のあらんことを。
地獄への片道切符にもなり得る本はその地獄から溢れてきた術で封じられました。
悪魔に魅入られた人間が封印を解かない限り、この本が地球を脅かすことはありません。
探索者は真の意味での平和をものにすることが出来たのです。
これでシナリオ終了です。
SAN報酬は下記の項目の内達成したものを受け取ることができます。
・生存した 1D3
・犯人が生存した 1D3
・精神的従属を使わせなかった 1D3
・本を封印した 2D3
シナリオ内に書かなかったことをメモ代わりに書いて置きます。見なくても基本大丈夫です。
叡智と破滅の書は好き勝手に魔術を使いたいという欲望の元考えついた魔道書です。
設定だと大昔の魔術師が、魔術の研究を続けていく内に狂気に落ちてしまい、地上が異常な存在に既に蹂躙されてしまっていて、自分はそれを取り除かなければならないと考えて、自分が死ぬまでに編み出した魔術の全てを一冊の本に書き記し、後世に残したものが叡智と破滅の書です。
天空の奈落は異常な存在を星の外へ追い出すための魔術で、精神的従属などを使って異常な存在にMP提供させ、協力させた異常な存在や術者ごと異常綺麗さっぱり地球から追い出すつもりで作った魔術です。簡単に言うと大規模かつ無差別な追放の魔術です。
実際は異常な存在に蹂躙されている訳でも人間に見えて実は全員異常な存在というわけでもないので、ただの人間掃除機です。
図書館に保管されている叡智と破滅の書の夢引きの影響を受けてしまったのは星の智慧派の1人です。
外科医としての能力を持っていて、新しい信者の身体の一部を切り取る作業や、ラテン語の魔道書の解読作業を受け持っていました。
しかし、不幸にも図書館の近くに住んでいたが為に、夢引きの餌食になってしまいました。
義足のため、DEXが低いです。拳銃などの殺傷能力の高い武器があれば簡単に倒せてしまいます。
が、現代日本という都合上、警察と言えどそう簡単に銃を撃つわけにはいきません。探索者以外の目からは基本的に一般人としか思われないので、発砲の許可が出るわけでもありません。
本を取り返す時はその方法に気を付けなければなりませんし、取り返したあとも、図書館に返すにしても自分で持つにしても怪しまれないような理由を探索者は考えなくてはなりません。
この星の智恵派は支部で、現地の狂信者が何人か所属していましたが、その全てが路地裏から門の創造でやってきた叡智と破滅の書の持ち主よって殺されました。
建物内の死体には屍食鬼のものも混ざっています。これは虐殺の際、魔術で召喚したものと死んだ人間を屍食鬼として蘇らせたものがそれに参加させられたためです。
また、2階の窓はそのままだと血まみれになってしまうので、平凡の見せかけの魔術で外からはただの窓にしか見えません。
地下の頭の無い死体は一番最後に誘拐されてきた人物で、脱出しようと縄を解いたところを運悪く本の持ち主に見つかってしまったために頭を弾け飛ばされました。
3階の部屋は主に本の持ち主が正気だった頃に使っていた部屋です。人体加工室は主に入信者の体を一部切除する際に使われていました。
PC・図書室は支部の中で唯一ラテン語が読めた本の持ち主専用の仕事部屋と化しており、PCは共同のものでしたが、もはや個人用になっていました。
4階は儀式に使うための部屋です。シナリオ中では門の創造があって、夜鬼と戦うための広い部屋としての意味しかありません。
もし星の智恵派が健在のままなら誘拐された人はこの部屋で生贄として邪神に捧げられるところでした。
エレベーターのルートはトラップです。このエレベーターは地下、3階、4階に繋がり、地下と3階なら問題なく使うことが出来ます。
また、地下は扉に鍵がかかっていますが、これは建物内に人がいないことを確認してから地下に行くように誘導するためのものなので、エレベーターで地下に行っても問題ありません。
鍵開けで入っても特に大きな問題にはなりません。
4階での戦闘後はプレイヤーとキーパーの行動に全て委ねられます。本を取り返すためにどのような手段を講じるかは縛られていません。
参考として、テストプレイの際は本の持ち主の移動ルートに待ち伏せし、射殺して取り返しました。
発想次第で他の方法で取り返すこともできます。
また、この部分に関しては改変をおすすめします。このままだと少し味気ないものになってしまうかもしれませんが、自分だけのアイデアを組み込むことで味のあるものになるはずです。
例えば本の持ち主を追わざるを得ない展開にして、探索者を神話生物の巣窟に行かせるのもいいですし、町を混乱させるような大きな事件を起こすのもいいでしょう。
自分の卓特有の団体やアイテムを絡ませることでより良いシナリオになるはずです。
本を取り返した後はその本をどうするかを決めてシナリオ終了です。
最初の話の通り図書館に返すことが主なエンディングになりますが、強運の持ち主なら本を手に入れるか、封印する選択することが出来ます。
本の知識だけ手にいれて本は図書館に返す場合、普通に図書館に返した時と同じエンディングになります。ただ、その場合は誰かが本の封印をしてしまえば手にいれた知識は封印の術を除いて失ってしまいます。
このシナリオは本をどうするかを決めたところで終わりますが、物語が終わった訳ではありません。
探索者が本をどうしたのか、その行動から続く新しい物語を作ることで、この本が引き起こす事件はいつまでも続きます。
改変は自由にしてもらって構いませんし、設定の流用なども自由です。是非このシナリオに工夫をしてみてください。
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