2022年06月21日更新

リトライトライライフ

  • 難易度:★★★|
  • 人数:3人~4人|
  • プレイ時間:4~5時間(ボイスセッション)

探索者たちは、大いなる存在に対抗するため3時間という短すぎる猶予をリトライし神話生物の召喚をとめるために奔走することとなる。

舞台:現代日本のシティシナリオ
推奨人数:3~4人
所要時間:4~5時間

1d10/1d100を振らせたくて書きました。
少し特殊なギミックがあるのでご注意ください。

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【リトライトライライフ】

1.はじめに
このシナリオはクトゥルフ神話TRPGのシナリオである。3~4人向けのシナリオでプレイ時間は4~5時間。
選択肢が多くプレイヤーの行動を妨げるものが少ないので行動の自由度が非常に高くアドリブが必要な場面が多いためキーパー難易度は高いほうだと思われる。
よってプレイ中に個々人の解釈である程度シナリオを改変してもよい。
しかしシナリオの破綻を招かないようにキーパーはシナリオをよく読み込み、改変も最小限にとどめること、と形式だって書いたもののプレイヤーとキーパーが楽しめるならそれでよいと思う。

2.キーパー向け情報
舞台は現代日本、学生が夏休みに入り暑さもピークを迎えかける夏のある日の話になる。
キョウト専門学術大学を中心とした小さなしかし活気のある古き良き町「キョウト」
町を挙げての祭りである香辻祭の日に突如として現れる神話生物「ダオロス」
これは黒川創が神社に祭られているアーティファクトを集め、さらに祭りの神楽をも利用した儀式により呼び出されたもので、その圧倒的な力により一度は死んだはずの探索者たち。
だがキョウトの守護神、人躑躅の力により3時間前の平穏だった時にもどされる。
探索者たちは、大いなる存在に対抗するため3時間という短すぎる猶予をリトライしダオロスの召喚をとめるために奔走することとなる。

このシナリオのキーパーをするにあたって、何より難しいのが時間管理である。
18時から21時をループするという構造上イベントや登場人物の行動が時間によって決まっているため、探索者たちの現在時刻を常に管理しなければならない。
だいたい移動なども含め一か所を調べるのに30分を目安に考え、技能ロールや情報の出方、PLの理解に合わせて臨機応変に対応していく必要がある。
想定通りいけば3回のループで物語の終わりまで行けるはずである。
基本的にバッドエンドは存在しない(何があったとしても21時にリセットされループし何度でもやり直せるため)
リセットしループできるというシステムはプレイヤーの大胆な行動を後押しするものであり、普段ではできないロールプレイをすることもできるので大味なシナリオといえる。
その分KPの負担が大きいのだが、イベントの発生をコントロールすることである程度の既定路線は決まっており、大きく外れることは少ないと思うので、できる限りプレイヤーの提案を受け入れてあげると、より良い体験になるのではないかと思う。
またリセットされるので、ゲーム序盤の1D10/1D100というゲームエンド級のSANチェックは、フェアなシナリオで出せる機会が少ない上に死者も出やすいが、本シナリオではKPは安心して存分に楽しんで1D100を宣言してもらいたい。
もちろんリセットされるからと言って探索者は何でもしていいわけではないのでPLやKPと相談しあってループというシステムを使っていただければ幸いである。
シナリオに大きく登場しないが探索者は時間移動をしているためティンダロスの猟犬に目をつけられている状態である。
仮にPLがあまりにもバラバラに行動するならば身に迫る脅威として声を聞かせてもいいし、SAN値減少が少ないと感じるならば姿を見せるなどをしてフレーバー的にうまく使っても面白いだろう。
勘のいいPLにはシナリオタイトルがネタバレになるかもしれないので、気になる場合は最後に伝えるか、略称の「リトライフ」を用いるといいだろう。

・町の要所
【キョウト専門学術大学】
キョウトの中心に位置するこの町唯一の大学。
特殊な学部を数多く持ち、多くの学生が在学しているほか、学会発表の場として使われることも多い。
その性質上、多くの学校関係者がキョウトに訪れることとなり、街の活性化に大きく貢献している。

【大学図書館】
大学併設の図書館であり、もともと町にあった図書館を大学が取り込む形でできた。
そのため郷土史の資料なども多く蔵書されている。
多くの大学関係者が資料を求めてやってくるほか、町民にも盛んに利用される施設となったので、大学としても設備更新や環境などには気を使って運営している。

【香辻神社(かつじじんじゃ)】
香辻山に立つ4神社の中では一番大きな神社、広い境内には立派な本殿や神楽台などがあり観光客も1年を通して多い。

【時日神社(ときひじんじゃ)】
街の北にある神社。
香辻神社に次ぐ大きさで、祭りの日には屋台などが出て盛り上がる。

【辻川神社(つじかわじんじゃ)】
街の西の川沿いにある小さな神社
祭り中ではあるが4神社の中では小さい神社なので観光客なども少なく人通りは多くない。

【灰我神社(はいがじんじゃ)】
街の南の住宅街の中にある小さな神社
祭り中ではあるが4神社の中では小さい神社なので観光客なども少なく人通りは多くない。

【人躑躅神社】
香辻山の奥にある、隠された五つ目の神社。
かつては立派な神社が建てられていたのであろうが現在はボロボロの鳥居と廃墟同然だが奇跡的に形は保っている本殿がある。
本殿には御神体「刀」が収められており、探索者が手にすれば武器としても扱えるだろう。ほかには少し離れたところに小さな祠がありこの祠に人躑躅が宿っている。

3.登場人物

【人躑躅(トツツジ)】元巫女現守り神
キョウトの守り神としてこの地に居ついている、理由はなくただそうしているだけである。
元ははるか昔にこの地に住んでいた巫女だったが、クァチルウタウスとの接触により不老不死と時間を操るすべを身に付ける、悠久の時を揺蕩い流れ着いたのが故郷の地であった。
探索者をループさせている原因。
ダオロス召喚に際しできることはそう多くなく、偶然探索者をループさせることに成功したため、探索者にダオロス召喚を阻止するよう依頼してくる。
性格的には豪快であり粗さが垣間見えるような言葉づかいで話す、本人は適当ながら街の守り神としては誠実であり、探索者を巻き込んだことを少し申し訳なく思っている。

【喪神 玄慈(モガミ ゲンジ)】(75)民俗学者
キョウト専門学術大学にて教鞭をふるうおじいちゃん教授、スキンヘッドに白髭を蓄えその眼光は老年とは思えないほど鋭い。
民俗学を専門としており、学会ではかなり有名な人物。
過去にダオロスの片鱗と対峙したことがあり、その時に仲間と片足を失ってしまう。以来クトゥルフ神話について調べている、今回はダオロスについての情報を提供してもらう。
【黒川 創】のことを才能は自分以上にあるが人間的に未熟だと考えており、自分のような光の当たらない研究者にならないように導きたいと思っているため、なにかと目にかけている。

STR11 DEX6 INT14 CON10 APP12 POW13 SIZ13  EDU19

心理学 55% 運転/自動車 50% 信用 70% 図書館 70% ラテン語 60% 歴史 75% 
 

【喪神 臨(モガミ リン)】(16) 高校生
ゲンジの孫、自由奔放で怖いもの知らず何事に対しても物怖じもせずただひたすらに突っ走る豪胆娘。
そのせいか、と言うより100%自分の招いたものだがよく騒動に巻き込まれている。
問題を作り出しそれに突っ込んでいくため、マッチポンプトラブルメーカーと恐れられている。
祖父譲りの勘の良さと高い身体能力で問題解決能力は高い。でも基本的にアホの娘。
ショートポニーの髪をぶんぶん振り回し他人の目などどこ吹く風道なき道を道にして今日も彼女は駆け巡る。
今回は案内役をしてもらう、戻ってきた探索者をみて尋常では無いものを感じ、ゲンジのもとまで案内してくれるほか、ループもので最初に出会う人としてループものっぽい演出を一役買ってくれる。
【辻 若葉】とは友人で、探索者との橋渡し役となってくれるだろう。
この日はお祭りを楽しむ予定のため浴衣。探索にも協力してくれるかもしれない。DEX18

STR9 DEX18 INT13 CON14 APP14 POW13 SIZ10  EDU14

聞き耳 65% 隠れる 55% 応急手当60% 水泳70% ナビゲート40% こぶし60% 

【黒川 創(クロカワ ソウ)】(30)民俗学者 黒幕
クァチルウタウスを召喚し不老不死になろうとした狂信者、しかしミ=ゴに騙されておりダオロスの召喚をしてしまうこととなる。
大学で民族学を教える、若くして才ある天文学者でもある、要領がよくぱっと見人当りもいい人間だが、勘のいい人間は彼の心の中に渦巻くどす黒い欲求を感じ取れるかもしれない。
ひょろりと長い身体を黒のスーツで包んでおり、キッチリと整えた黒髪と銀縁の眼鏡が能力の高さを感じさせる。性格は慎重で聡明、ゆえに他人を見下しており自分のみを信じるタイプ。
目立った功績こそないが多くの人に頼りにされ才能もある【喪神 玄慈】に嫉妬しており、内心嫌っているが表には全く出さない。
去年大学に赴任しており生徒からの人気は高い、ここ数か月はなにかに取りつかれたように研究に没頭している、ミ=ゴとの接触を見た生徒がいる。
18時ごろから時日神社にいると怪しんでにらみつけてくるかもしれない(人間の視線を感じる:聞き耳など)

ミ=ゴの噴霧器、耐久力を高める魔術を習得している。
(行動)
18時 時日神社の強奪準備
19時 時日神社でボヤを起こし強奪、19時半に研究室へ戻り御神体を回収
20時 香辻神社でボヤを起こし強奪、20時半ごろに人躑躅神社へ向かい御神体「刀」を回収
21時 ダオロス召喚

STR12 DEX10 INT16 CON10 APP13 POW9 SIZ15  EDU18

天文学 70% 歴史 75% 隠す 40% 忍び歩き 60% オカルト 55% 医学 50% こぶし65% 

【辻 若葉(ツジ ワカバ)】(21)大学生兼巫女
山中の神社の娘で巫女、人躑躅の血縁。
聡明で小さな違和感も見逃さないタイプで、物腰が柔らかく嫋やかでしなやかな淑女。巫女装束がここまで似合う人間もそうめずらしい。
長い黒髪を腰のあたりで束ねているが軽く縛っているだけなのでふわりと広がる黒髪が特徴的。
【喪神臨】とは友人で、紹介してもらうなどして信用を得れば、神社のことについていろいろ教えてくれるだろう。

人躑躅の子孫であり2週目以降表に出すことはあまりないが微かに探索者のループの気配を感じとる、そのため探索者がループしていると確信できれば問題解決のための協力は惜しむことなくしてくれることだろう。

STR8 DEX12 INT13 CON12 APP16 POW12 SIZ11  EDU15

応急手当 65% 信用 70% 心理学 55% 目星 40% 説得60% 乗馬55% 

4.プレイヤー向け情報

このシナリオはシティシナリオに分類される、街中を情報を求めて走り回ることになるため探索技能が重要になる、その分戦闘はひかえめだ。
舞台は15㎞×15㎞ほどの町で、もともとそれほど活気のあるわけでもない田舎町だったのだが、「キョウト専門学術大学」という特殊な学部を数多くもつ大学が建てられ、その学生や関係者でにぎわいを見せるようになった。
そんな古き良き町の情景と新鋭のデザインが同居する町「キョウト」である。
キョウトには4つの神社があり毎年4社と市を挙げての祭り、香辻祭が開催される。
探索者は現在キョウトに滞在していること、探索者同士が知り合いでも知り合いでなくても構わないが顔見知りであるとスムーズに導入ができるかもしれない。
推奨技能は【目星】【信用】【隠れる】【図書館】など

5.導入

物語は香辻祭が開催される日から始まる、この時点で探索者に特に目的も変わったこともなく皆変わらぬ日常を過ごすこととなる。
各探索者は様々な理由で町の中心にある大交差点を通ることになる、この時、時刻が18時であることを確認させておく。
全員が知り合い同士ならすれ違わせて一言二言会話させるのもいいだろう。
この交差点は今後のループで何度も戻ってくる場所となるので、時間の確認を忘れないようにさせておくこと。
そのあと探索者はそれぞれの日常を過ごす、物語が動き始めるのは21時。
時刻が21時であることを確認した探索者は、街の停電とともに空に現れたダオロスを目撃する。(参考までに下記にダオロスの描写を書いておく)
この時必ず全員にダオロスの姿を見せ【1D10/1D100の正気度ポイント減少】を行うこと。
SANチェックが終わった後ダオロスはそのまま町すべてを飲み込んでいくこととなる。
SANチェックや発狂の結果がどうであれ、この一瞬の間に起った出来事に探索者になすすべはなく、押しつぶされ死んでしまう。

ふと気づいたとき探索者たちは交差点の真ん中で立ち尽くしている、先ほどの出来事を白昼夢と思うにはあまりにも異様でこみ上げる吐き気をすんでのところで堪えその場にうずくまってしまう。幻覚だとしてもあまりにも異質な光景をみたとして1/1D4正気度ポイントを失う。
ループによって状況が巻き戻っているので、SAN値は初期の状態に戻してSANチェックをさせる、ただし今後のループについてはSAN値は巻き戻らない。

【ダオロスの降臨】
ふと一瞬の間に町から光が消える、瞬きのように起こったそれを認識し人々が騒めく間もなくはるか頭上、渦巻く曇天の中から昼間かと見まがう圧倒的な光が顔を出す、それを見上げないという選択肢は人々にはありはしない、皆一様に空に現れた光に目を向ける。
見れば光に見えたそれは、あまりにも複雑な形をしているために君たちが光と見間違えたそれは、幾何学的な形がいくつも幾重にもつながり、平坦なようで起伏が激しく、金属のようでプラスチックの軽さを感じさせる、周りの空と似ているようでまるで違う灰色、それらを目で追っていくと何が始まりで何が終わりかわからなくなる。それはゆっくりと恐るべき速さで、街を、自身を、すべてを包んでいくようだった。

6.1ループ目

突如として異様な光景を目撃したかと思えば、何事もなかったかのようにいつも通りの町へと戻ってきた探索者たち。
自信の記憶をたどると確実に町は何かに飲み込まれたはずなのに眼前に広がる街にはいつもと何ら変わらない日常が流れている、周りを見れば心配する人々の間から同じようにうずくまるほかの探索者を発見できるだろう。
探索者が合流し時刻を確認すると18時であり、服装や持ち物も21時のものではなく今日の18時に交差点を通った時のものになっているため、21時から18時へ3時間を巻き戻ったということがわかるだろう。
もちろん白昼夢などではなく起こったことはすべて現実である。
ここまで理解したところで探索者たちに一人の少女が声をかけてくる。
彼女は【喪神 臨】探索者たちが交差点で立ち止まっているうえに今にも倒れそうな様子なので心配して声をかけてきたようだ。
彼女は尋常ではない探索者たちの雰囲気を察してキョウト専門学術大学で教授をしている祖父の【喪神 玄慈】の元まで案内してくれる。
ゲンジは過去にダオロスを目撃したことがあり様々なことを教えてくれる。
探索者が見たものは神話生物ダオロスで間違いなくダオロスは自然発生するような存在ではないということ。、
巻き戻りのことについて尋ねると、自分が知っている限りダオロスにはそのような力はないと教えてくれる。
また会話中にそれとなくダオロスが本当に降臨したなら香辻祭が怪しいということと、祭りについて調べるなら香辻神社が一番大きいのでそこへ行くといいと誘導しておく。
ある程度会話がすんだところで黒川の研究室からでてきた【黒川 創】が通りかかりゲンジがそれを呼び止める。
ゲンジによると黒川は民俗学の教授だということで香辻祭について「この町に古くから伝わるお祭りである」ということを教えてもらえる。
会話もそこそこに黒川はこのあとにも予定があるのでとその場を去ってしまう。
黒川の話を聞き終わると時刻は19時30分というところだろう、ここで臨が同行したいと申し出る。
「嫌な予感がするしいてもたってもいられない、香辻神社に知り合いがいるから役にも立つ」といって探索者を香辻神社へ誘導すること。
探索者がゲンジを頼りにすると、ゲンジは「俺がいければ一番いいんだが俺の孫は止めても聞かねえだろうし、好奇心を殺せないのは身をもってわかっているからな」と足が悪いことをアピールする。

20時前に香辻神社に到着する探索者。
臨が同行していれば社務所に連れて行ってくれる、そこで友人であり香辻神社で巫女をしている【辻 若葉】に紹介してくれる。
若葉に話を聞くと四つの神社とこのあと20時半から香辻祭の一大行事である4神社同時神楽を行うということを話してくれる。

若葉から話を聞いている途中で境内がざわめきだし、若葉は様子をに行くため話を中断していってしまう。
臨も若葉についていこうとするので探索者を誘導しながら祠まで向かうと、多くの野次馬の奥の祠から火が上がっている様子がわかる。
少し待つと神主たちの手によって消火されるものの野次馬に巻き込まれてしまい消火までの間身動きは取れなくなるだろう。
このボヤ騒ぎは黒川が本殿から人々や社務所の人間の注意を向けるために仕組んだもので、探索者たちが野次馬に巻き込まれているうちに本殿からご神体である鉄輪を盗み出していく。
騒ぎがある程度おさまり少しすれば21時になるので探索者たちは再度ダオロスの降臨に巻き込まれ死んでしまいもう一度あの交差点へ戻されることとなる。

7.2ループ目

再度18時の交差点へ帰ってきた探索者たち、何度味わっても死ぬ感覚とは慣れるものではなく、ここでもこみ上げる吐き気と嫌悪感に耐えることとなり1D4/1D6正気度ポイントを失う。
さらに1ループ目と変わらず臨が話しかけてくるイベントも起こしておくこと。

ここからは1ループ目の情報をもとにさらに情報を集めていくこととなる、以下に予想できる探索箇所を書いておく。
どの神社でも神社関係者に聞き込みをするなどすると以下の話を教えてくれる
「空から一つの光が舞い降り、その地の巫女に力を与えた、神楽はその様子を表している」
また中央図書館に詳しい資料があると教えてもらえる。

〈黒川の研究室に行く場合〉

侵入しようとすると鍵がかかっているため≪鍵開け≫などの技能が必要、もしくは合鍵の場所を学生などに聞くなどしなければならない。
どちらの場合も時間がかかるので侵入できたとしても多くのことはできないだろう。
一度合鍵の場所さえわかれば次回のループからは同じ場所に鍵があるため時間のロスを気にせずに探索できるようになる。
また19時半ごろに黒川が一度研究室に帰ってきて保管してある「箱」と「髪留め」を持ち出しに来る、その時に鉢合わせれば問答無用で警備員につかまってしまうだろう。

研究室には騙して奪ったご神体「箱」と「髪留め」が保管されており、ご神体の情報を知っていれば持ち出すことも可能、ご神体の姿を知らない場合は探索者の目にはガラクタとして映るだろう。
ほかにも黒川の合鍵の場所を示したメモなどがある

〈大学図書館へ行く場合〉

ここで手に入る情報は、香辻祭について、時の巫女について、五芒星
≪図書館≫などで以下の情報を手に入れることができる。

▼香辻祭について
古来よりこの町で行われてきた祭りで、この地に建てられたすべての神社で同時に神楽を行うことによりこの地の守り神である時の巫女に平穏を願うという祭り。
はるか昔空から神が舞い降り、その地で巫女をしていたものに不老不死の力を授けた。
神楽はその様子を表しており、香辻祭の中でも欠かすことのできない大切な行事である

▼五芒星
五芒星について調べた場合の情報。
どの世でも魔除けなどの意味でつかわれることの多い記号、また幾何学にも関係があるとする説もある。
もう少し詳しく調べるかオカルトで振ると逆向きの五芒星は一転して悪しき者を呼び寄せるものにもなる。

▼神楽の起源、時の巫女について
時の巫女や神楽についてさらに調べた場合、絵巻を発見することができる。
そこには小さく黒い人影が空から舞い降り、巫女に力を授けている様子が描かれている。
巫女をよく見ると、刀を持ち長い髪を丸い髪留めで留め手には腕輪をしておりさらに左右には鏡と箱が浮かんでいることがわかる。
その姿はダオロスとは似ても似つかない。
この絵巻を見た探索者は1/1D4正気度ポイントを失う。

時の巫女とは【人躑躅】のことであり、絵巻の黒い人影はクァチルウタウスのことである。

〈香辻神社へ行く場合〉

今日は祭りの日ということもあってさらに人が多く歩くのも一苦労なほどである。
20時になったとき下記のイベント『香辻神社ボヤ騒ぎ』がおこる。
基本的に社務所には【辻 若葉】がおり話を聞くことができる、【喪神 臨】を連れているか知り合いであることを示せばより立ち入った内情を聞かせてくれる。
また19時半ちょうどに香辻神社周辺で地震が起こる、19時半以降に若葉に話を聞いた場合地震によって19時半ちょうどに止まった時計を見せてその話をしてくれる。
この情報を使えば次からのループで若葉の信用を得ることも可能だろう。

▼辻若葉の話
・探索者たちにどこかであったか聞いてくる(若葉は時の巫女の子孫なので微かにではあるが探索者のことを覚えている)
・ここ最近ほかの神社でも怪しい事件が起きている
・大学で羽音のようなものをよく聞く

2ループ目以降、若葉に地震を言い当てるなどして自分たちがループしていることを証明すれば、若葉が協力的になり、交渉次第では御神体を託してくれる。

 『香辻神社ボヤ騒ぎ』
20時に黒川が祠に現れ時限式で発火する薬品が入った袋を置いていく。
少ししたら発火しはじめボヤ騒ぎが起こる、このスキに本殿へ忍びこみご神体を盗むのが黒川の目的である。
発火し始める前に袋を発見し調べた場合、探索者に気付いた黒川が時間稼ぎのために通報し社務所の人間と警備員が「不審なものを持っている人間がいると通報を受けた」と言ってやってくる。
警備員ともめていると同じように野次馬ができることになるだろう。
警備員ともめた場合≪信用≫などの技能で解放してもらうことになるが、その時に「今後境内に怪しいものを見つけたならまず警備員に連絡をお願いします」と言わせておけば以降ループのヒントとして機能するだろう

黒川の御神体強奪を阻むためには騒ぎを起こさずに袋を処理する必要がある、袋が設置されていると警備員に通報することで穏便に処理することができ、その後少しの間本殿を見張ることで野次馬や警備員に邪魔されず黒川をあきらめさせることができる。

時間前から見張り続ける場合目星に成功すれば黒川が来たことがわかるが黒川を捕まえることはできない。
≪追跡≫などに成功した場合「今日の合鍵、鉢植え 19時半に研究室」と書かれたメモを落としたのを発見できる。

〈時日神社に行く場合〉
街の北にある神社香辻に次ぐ規模であり人もそれなりに多い
神社関係者の信用を得ると以下の情報を話してくれる。
また19時になったとき下記の『時日神社ボヤ騒ぎ』がおこる

▼神主の証言
・神楽の起源について(神社関係者共通情報)
「空から一つの光が舞い降り、その地の巫女に力を与えた、神楽はその様子を表している」
また中央図書館に詳しい資料があると教えてもらえる
・祭っているご神体は「鏡」
・19時以降に来た場合のみ、19時に納屋から火の手が上がり消火活動で忙しかったという話をしてもらえる。

 『時日神社ボヤ騒ぎ』
19時に黒川が納屋に現れ時限式で発火する薬品が入った袋を置いていく、少ししたら発火しはじめボヤ騒ぎが起こる、このスキに本殿へ忍びこみ御神体を盗むのが黒川の目的である。
発火し始める前に袋を発見し調べた場合、探索者に気付いた黒川が時間稼ぎのために通報し社務所の人間と警備員が「不審なものを持っている人間がいると通報を受けた」と言ってやってくる。
警備員ともめていると同じように野次馬ができることになるだろう。
警備員ともめた場合≪信用≫などの技能で解放してもらうことになるが、その時に「今後境内に怪しいものを見つけたならまず社務所に連絡をお願いします」と言わせておけば以降ループのヒントとして機能するだろう。

黒川の御神体強奪を阻むためには騒ぎを起こさずに袋を処理する必要がある。
袋が設置されていると警備員に通報することで穏便に処理することができ、その後少しの間本殿を見張ることで野次馬や警備員に邪魔されず黒川をあきらめさせることができる。
また黒川に見つからないように≪隠れる≫などで袋に近づき、≪薬学≫などに成功すると発火することもなく野次馬もできないので本殿を見張ることができる。

時間前から見張り続ける場合目星に成功すれば黒川が来たことがわかるが黒川を捕まえることはできない。
≪追跡≫などに成功した場合「今日の合鍵、鉢植え 19時半に研究室」と書かれたメモを落としたのを発見できる。

〈辻川神社か灰我神社に行く場合〉
この二つの神社がもっている情報は御神体を除いてほぼ同じなためまとめて記述する。
KPは探索者が時間をかけて同じ情報を入手することがないようにこのことを言っても構わない。

≪目星≫成功により入口の灯篭が壊れていることがわかる。
神社関係者の信頼を得ると以下の情報を話してくれる

▼神主の証言
・神楽の起源について(神社関係者共通情報)
「空から一つの光が舞い降り、その地の巫女に力を与えた、神楽はその様子を表している」
また中央図書館に詳しい資料があると教えてもらえる

・祭っている御神体は辻川神社の場合「箱」、灰我神社の場合「髪留め」。

以下の情報はなんらかの技能ロールが必要。
・壊れた灯篭について尋ねると、何日か前の早朝に壊れていたらしく、祭り前だというのにその日は灯篭の片付けでとても忙しかったという話をしてくれる、さらに深夜の見回りの際に本殿近くに人影を見たことがあるらしい。

・灰我(辻川)神社でも同様の事件が起きたらしく警備を強化しているという。

・少し前から大学へ研究のため御神体を貸し出しているのだが、今日までに返却予定なのだがまだ返却されていないという、黒川の名前を出すと責任者の名前がそのような名であると思い出す。

20時半になった時点で第五の神社の位置情報がわかる下記のイベントを起こす。
探索者はダオロス召喚の際に空に光の五芒星が浮かんでいたことを思い出す、その頂点は各神社に対応するように位置している。
しかし五芒星を形作るには神社が一つ足りないことに気付くだろう、その残った頂点と照らし合わせると、香辻山の森中に位置することがわかる。

『人躑躅神社へ』
探索者が記憶を頼りに香辻山を何かに導かれるように南東へ進んでいくと深い森の奥の奥、寂れてはいるが厳かな雰囲気をまとった神社をみつける。
探索者が本殿の様子をうかがうと暗がりの中に二つの影を発見する。
その影は踊っているようにうごめいており、よく目を凝らすとそのうちの一人が【黒川創】であることがわかる。
黒川はもう一つの影と話しはじめ、探索者は自然にもう一方の影へ目を向ける。
そこには、大きなピンクがかった肌の昆虫のような甲殻類のような体に渦巻き状の頭部に生えた小さな触手が蛆のように動き耳障りな羽音を出す大きく醜悪な翅はためかせる醜悪な存在ミ=ゴがいた。
ミ=ゴを目撃した探索者は1D4/1D6正気度ポイント減少を行う。
ここまでくると≪隠れる≫などに成功していた場合でも背後から来たもう一体のミ=ゴに見つかりそのまま前方の黒川達にも気づかれてしまい強制戦闘となる。
以下戦闘前描写
「黒川は冷静さを装いつつも瞳には狂気を湛えている、御神体の力と冒涜的な試みを行っていることから正気ではない様子である、昂る黒川に呼応するように黒川の身に着けた「髪留め」「鏡」「鉄輪」「箱」がそれぞれ発光し始める、最後に腰のさやから勢いよく刀を引き抜いた、その刀身は怪しく光を帯びていた。」

この戦闘は所謂負けイベントとなる。
この時の黒川は各神社から集めた御神体を身に着けていて、大幅にステータスがアップ(STR、DEX、CONにそれぞれ+15)している上に武器を持っているので、黒川の攻撃は不可避の上に致命傷は免れない。ミ=ゴもいるためまず勝てないだろう。
この戦闘は御神体の力と黒川が黒幕であるということを探索者に伝えるためのイベントであり、あまり長引かせても仕方がないので、戦闘の体で探索者を蹴散らすとよいだろう。
この戦闘の後すぐループするためロストの心配はないので心置きなく探索者を惨殺してあげよう。
程よいところでダオロスが降臨し、探索者は次のループにはいることとなるが、以下の【ループの幕間】イベントを起こすことを忘れないように。

完全体御神体「刀」 命中率90% ダメージ 2d8+2+DB

【ループの幕間】
再度ダオロスにより死亡してしまった探索者たち。
何も感じられない中意識に直接響くように声が聞こえる、声の主は【人躑躅】であり、自身が存在する第5の神社の祠に探索者が来たことにより少しだけ会話することが可能になった。

人躑躅は以下の情報を教えてくれる。・ループは人躑躅が起こしていたものであり、ダオロスにより滅びゆく運命からこの町を救うために探索者をループに閉じ込めた
・黒川とミ=ゴが御神体と神楽の力を利用しダオロスを召喚したようで、それを止めるには黒川に御神体を集めさせないか自分の祠にいくつか集めてほしいと探索者に頼む

SAN値減少が少ないと感じる場合、次のループの始まりに「今こうして生きて動いていても、黒川との戦闘で切り裂かれ、確かに感じた死の感覚は拭い去れなかった」としてSAN値減少を行ってもよい。

8.以降ループ
このループ以降には特に強制イベントはなく、黒川の御神体集めを妨害するために、今までのループで集めてきた情報を存分に使い先手を取り続けるループの醍醐味ともいえるパートとなる。
探索者はこの先に起きるイベントは大体把握しているであろうが、それだけに少し難解な解法を要求するところもある。
もしここで躓いてしまうと醍醐味が薄れてしまうのでKPはヒントを出しながらすすめるといい。
1~2ループで目的を達成できるとは思うが、探索者が余りにもループを当てにしてしまうのであれば、ティンダロスの猟犬の存在を匂わせて危機感をあおるとよいだろう。

妨害方法は主に二つ。「時日神社、香辻神社の御神体を盗ませない」か「黒川の研究室に侵入する」方法である。これに加えて人躑躅神社の御神体も、黒川が来る前に先回りすれば、こちらで抑えることができる。

「時日、香辻の御神体を盗ませない」
両神社ともに黒川は何かに注意をひきつけそのスキに本殿へ忍び入り御神体を奪うという手口を使う、そのため黒川は自動発火装置を直前に境内の別の場所に設置し、そこでボヤ騒ぎを起こし、警備を遠ざけ本殿へ侵入する、探索者が発火装置を止めようとした場合探索者に気付いた黒川は警備の人間を騙し、探索者に注意の目をひきつけようとする。これらを回避せずに監視しようとしても騒ぎにつられた野次馬が邪魔をして十分に監視することができない。
これを回避するにはとにかく穏便に発火装置を処理することである、想定的には設置された瞬間に神社の人間に危険物として通報してボヤが起きないようにするか技能を使い黒川の目を回避したうえで装置を無力化するなど。
騒ぎが起きず盗み出すスキがなくなれば黒川はあきらめて去って行く、黒川から御神体を守り本殿へ保管されたままであれば人躑躅の手元にあると同じ扱いとなる。

「黒川の研究室に侵入する」
まず研究室に御神体が保管されているのは19時半までであり19時半になると黒川が御神体をもっていってしまうので、このイベントは18時~19時までにこなす必要がある。
大学内には警備員が巡回しており≪鍵開け≫などを試みる場合、警備員に見つからないように細心の注意を払って行う必要がある。
鍵を開け入れたとしても警備員がいるため多くのことを調べる余裕はなく、御神体の隠し場所くらいしかわからないだろう。
また合鍵もあるのだが、研究室の合鍵は防犯のためにいくつかの候補地のうちの一つにランダムにおいてある。
学生から≪言いくるめ≫などで合鍵の場所を聞き出してもいくつかの場所を経由する必要があるので時間がかかる上に、学生がついてきて監視するため御神体を発見しても盗むことはできない。

研究室に侵入し御神体を奪い返すには研究室のカギを開け迅速に御神体を盗み返す体制を整える必要がある
まず入口の鍵は警備員をかいくぐって≪鍵開け≫を成功させるか合鍵をつかうことになる。黒川のメモや学生に聞くなどして合鍵の場所さえ知っていれば以降のループでも同じ場所にあるので学生の監視を気にせず研究室に入ることができるようになる、御神体の隠し場所を知っていればそのまま迅速に御神体を奪い返すことができるだろう。

妨害に成功し黒川が御神体を集めきれなかった場合、不足分をミ=ゴが神楽を踊ることにより補おうとする、この場合ミ=ゴが戦闘行動をとることはなくなり、撃破すれば黒川の御神体カウントが1減ることとなる。
探索者が手に入れたか守った御神体が一つか二つの場合戦闘でミ=ゴを倒すことで御神体カウントを4以下にすることも可能、その場合人躑躅がミ=ゴが御神体の代わりに力を送っているので狙うといいと助言してくれる。

ミ=ゴを含め黒川の持つ御神体が4以下であれば人躑躅が現れ黒川とミ=ゴを灰に変え戦闘終了と同時にエンディングとなる。

9.エンディング

黒川の顔に張り付いた笑みが音もなく崩れる、そこに残るは塵芥、見れば祠の上に巫女装束をまとった黒く長い黒髪を地面につこうかというところでまとめている巫女があぐらを崩し巫女というにはに似つかわしくない態度で座っている。
彼女は「ありがとう」と一言呟くと、風と共に流れ去った。
しばらく呆然としていた探索者だったがふと時計を確認すると[21:00]の文字が映し出されていた、反射的に空を仰いでしまう探索者、山中から見える夏空はいつもより綺麗な星々が輝いていた、時計に目を戻すと[21:01]になっていた、もう二度と同じ21時はやってこないのだと探索者たちは安堵に息を吐く、こうして探索者の最長の3時間は終わりを迎えたのであった。

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