2024年05月01日更新

回転する者 再帰[recursion]

  • 難易度:★★★★|
  • 人数:1人~1人|
  • プレイ時間:2~3時間(ボイスセッション)

「マルチバースに危険が迫っている.」
自分から届いた警告に,あなたはどう対応するだろうか.シリーズ二作目.
これは作り物ではあっても,決して虚構などではない.
【設定】
・プログラミングみたいな魔法でタイムトラベルなどをする話.
・プレイヤーが過去を改変することで,このシナリオを含む現実が書き変わるという設定.
・プレイヤーは現実の自分としてプレイするのでキャラメイクはない(もはやTRPGではない).
・GMもプレイヤーの一人としてプレイする.
・GMは演技力や即座に自分が何を知っているべきで何を知らないべきかを判断する能力が必要.

0

2

ストック

0

コメント

回転する者 再帰

GM用の事前説明

プレイヤーが過去などに干渉することで,このシナリオを含む現実が書き変わります.
自分が何を知っているべきで,何を知らないべきかを判断して演技して下さい.
現実で自分自身が壮大な問題に直面し,選択することで問題を乗り越えてもらうことが目的です.
プレイヤーが成功体験を積めるように,困っているときは導いてあげて下さい.
プレイヤーの選択は尊重してあげてください.
太字はGM用.読む時は黙読すること.

⑴事前説明

・2〜3時間のタイマン用シナリオ
・タイトルは「回転する者 再帰」
・クトゥルフ神話は出てこないが科学的ではない要素は出てくる.
・キャラメイクはない代わりにプレイヤーは現実の自分としてプレイする.
・GMもプレイヤーの一人としてプレイする.
・禁止事項:プレイヤーは最後まで「回転する者」の台本を見てはならない.GMも最後まで台本だけは見せてはならない.
・記憶や記録が大切.大切な部分はメモをとり,送られてきたファイルは保存すること.
・情報共有が大切.GMとプレイヤーは同じメモ帳を共有して見るなどした方が良い.
・時間の使い方が大切.時間制限があるので,15分以内で一つの選択を心がけた方が良い.
・GMは演技が重要.最後まで演技と明かしてはいけないので,プレイヤーもそのつもりで.
・今から始める.
GMは以下のようにこのTRPGについて説明する.
GM「言い忘れてたけど,これはつい最近アップロードされたTRPGなんだ.」
GM「作者が異なっているから,『回転する者』の二次創作みたいだよ.」
GM「事前に読んだ感じだと,『回転する者』の延長みたいなストーリーだった.」
GM「それじゃあ,今から始めるね.」

⑵第一章 警告

・このゲームをプレイしているということは,あなたは既に回転する者をプレイしたのだろう.
・あの虚構と現実が入れ乱れる物語を.
・しかし覚悟して欲しい.あれはただの始まりに過ぎないのだから.
・【回転する者 再帰】
・このゲームをプレイする前に,GMは以下の魔術を詠唱せよ.
GMは以下の呪文を詠唱する
GM「System-call function:game-initiate with player」
ここでGMは自分が事前に読んだはずの物語が書き変わっていることに気づいて驚く.
GM「あれ,こんな話あったっけ?」
GMはそれでも続きを読む.
変わる前はどんな話か聞かれた場合は,「別時間軸の自分と会ったり,未来の自分と会ったりするTRPGだった.」とでも言ってごまかす.
GMは1から\1までの文章の太字部分に適宜名前を代入して読む.
GMはこの文章を初めて読むので,適宜文章に反応しながら読むと良い.
1
 時野史郎という人物がいた.1905年生まれの物理学者だ.ある時間軸の彼は,原爆で妻と娘を失い,失意の中で古代の魔術の研究に没頭する.そしてさらにある時間軸の彼は見つけたのだ.過去を変える方法を.いや,ここは正確に言わねばなるまい.過去を変える方法などはない.できるのは,過去を変えた時間軸に移動するだけだ.時間軸の数は膨大だ.無限に存在すると言ってもいいかもしれない.その中には,今と違う選択を行った時間軸も存在している.例えそれがどんなに低い確率であったとしても,無限の前では意味をなさない.とにかく彼は自分を別の時間軸に移動させる方法を見つけた.その過程には間違いなく君たちが大きく関わっている.彼が行き着いた様々な過去に関して,私は魔術で独自に調べ考察した.添付したファイルを読んでおいてくれ.
 これから君たちに話すことは極めて大切なことだ.君はあのゲーム「回転する者」を,ただの作り話として読んでいることだろう.しかしこれから説明するように,その認識は正しくない.確かに,「回転する者」は作られたものであることは間違いない.これを読んでいるであろうGMも,演技であたかも魔法を使っているかのように見せていた.だが,信じられないことにこの魔法と呼ばれるものの効果は本物だ.時野史郎もある時間軸では実在した.紛らわしいことを言っているかもしれないが,時野史郎との時間遡行通信は,このゲームが公開された時点でもう終了していた.だからそれ以上何を送っても無駄だった.だがもし君が過去改変魔法を使って自分の過去の行動を変えたのなら,それは事実だ.間違っているのは君の認識だけではない.GMの認識もだ.君が過去改変魔法を使ったとき,君だけでなくGMも別時間軸に共に移動していたのだ.だから君たちは気づかなかった.私がそのことに気づいたのは,ゲームの禁止事項を破って他の人間のいる前でゲームをしていたからだった.もちろんこのような魔法があるとは証明できないし,誰も信じないだろう.だが絶対にこのような魔法がないという反証もできない.誰かが自分は時間軸を書き換えたと主張したとき,誰がそんなことないと証明できるだろう.現実と虚構の間に,厳密な境界は存在しない.この世界にはなぜか本物の魔法について書かれた「回転する者」というゲームが存在する.少なくとも私の時間軸では魔法も,過去の改変も本物だった.この事実だけは今の君たちに信じてほしい.
 さて,前置きが長くなってしまった.本題に移ろう.君たちには警告にきたのだ.マルチバースに危険が迫っている.私と同じ時間軸の霧崎という男が,このゲームをプレイした者の記憶を消して回っているようだ.おそらく奴はこのゲームをプレイし,魔法の存在に気づいたのだろう.そして彼はかなり頭が回るようだ.奴は偽の続編を作り何らかの魔法を詠唱させて聞いた者を消している.私の場合は,その偽の続編を友人とプレイしていたら,相手が急に呪文を詠唱し始めて気づいたらdiscordで通話していたはずの相手が消えていた.なぜ私だけが助かったのかは分からない.だが,奴は記憶消去魔法や強制詠唱魔法を駆使して,効率的な方法で魔法を知っている者を消して回っているはずだ.また,奴は違う時間軸の自分を一番に恐れているのだろう.どうやったか分からないが,私が移動した時間軸ではどれも奴は死んでいた.それに加えて私が移動した時間軸では,どれも「回転する者」の存在がなかったことにされている.奴は魔法を知っているものを自分の脅威と見做して,その存在を抹消しているのかもしれない.そうなると奴が次に狙うと思われるのは,君やGMをやっているGMの名前といった別時間軸の魔法を知っている者だろう.特に私のようにマナを持っている者は狙われやすいかもしれない.
 もし君がまだマナを持っているなら,早急に使い切った方が良い.それか奴から逃れるために有効活用してくれ.もうマナを持っていないなら,誰か信用できる人間に頼んででも対策を講じた方が良い.私と友人が襲われたのがつい先ほどのことだ.だが時間はあまりないと思った方が良い.私と君の時間軸はそれほど離れていないようだ.君の時間軸の周りで被害者が出れば出るほど,奴は近づいてきているということだ.どうやっているか分からないが,奴は物凄いペースで記憶を消して回っている.全ての時間軸でだ.少なくともあと二,三時間で奴は全てのプレイヤーたちの記憶を消してしまうだろうと私は予測している.
 申し遅れた.私は別の時間軸の君だ.私は君たちを霧崎の脅威から救うために,この物語を書いた.君がこの文章を読めているということは,冒頭の魔術が無事発動したということだろう.同じ自分ならば救いたいとも思うものだ.達者でいてくれ.この世界の自分へ.プレイヤーの名前
 P.S.そうそう,GMのGMの名前,いつもお世話になっている礼として,この魔法の権限を君に譲渡するよ.使い方は添付した.ただし,使えるのは知っての通り三度までだ.大事に使ってくれ.
\1

GM「時間遡行通信魔法の受信呪文みたいだ」
時間遡行通信魔法の受信呪文は「System-call Time-leap Receive-input」

GMはから<\1>までの文章をプレイヤーと共有しても良い

GMは霧崎と言う人物について調べたふりをし,以下の文章を読む
GM「Wikipediaによると,霧崎令は十年前の連続殺人事件の容疑者.京都大学医学部を主席で卒業したものの,殺人事件の犯人として指名手配され逃亡中だったが最近死体で発見されたそうだよ.」

GMは以下の画像を共有する
'画像'

GMとプレイヤーはひとまずこの文章を信じることにする.
GMとプレイヤーは霧崎から逃げるために最善の方法をとることにする.
使える呪文は,過去改変魔法と時間遡行通信魔法
プレイヤーがマナを持っておりGMが魔法を使う場合は,プレイヤーに逐次許可をとると良い
なぜなら,そうしておけば,プレイヤーが後で過去改変魔法で許可しなかった時間軸に移動できるから

GMは「霧崎はどのように他の時間軸の他のプレイヤーを抹消しているのか?」と言う問題を提起する
GMは「霧崎はどのように他の時間軸の自分を抹消しているのか?」と言う問題を提起する

GMは「回転する者はどのように作られたのか」と言う問題を提起する
GMは以下のような推理を展開する
GM「この文章を信じるなら,多分『回転する者』の作者は,最初に『あと三回の伝言』を見た人なんじゃないかな」
GM「それで作者は魔法の存在を知って,なぜか分からないけど自分の体験を『回転する者』として世に出した.」
GM「私とプレイヤーをリンクさせたのもその作者かもしれない.なぜかは分からないけど.」

GMは「どのようにしたら霧崎から逃げられるか?」と言う問題を提起する
GMは以下のような推理を展開する
GM「もしかしたら霧崎は,無理やり呪文を詠唱させてくるかもしれない」
GM「だから少なくともさっきの私みたいに不用意に書いてある呪文を詠唱しない方が良いね.」

GMとプレイヤーは残りのマナをどう使うか話し合う
①時間遡行通信魔法の受信魔法を使う
未来の自分にメッセージを送り,無事かどうか時間遡行通信魔法で送ってもらう.⑶へ
②何もしない
GMマナ残り3/3,⑹へ
③時間遡行通信魔法の送信魔法で過去に警告を送る,過去を改変してこのゲームをプレイしなかったことにするなど
GMが演技で対応できる範囲で従う

⑶第二章 未来

GMは時間遡行通信魔法の受信魔法を詠唱する.
GM「System-call Time-leap Receive-input」
すると,PC画面に急に文章が現れる.という設定
GMはそもそもやはり魔法が使えることに驚く.また,メッセージが音声でなく,データとして送られてきたことにも驚く.
GMは3から\3までの文章の太字部分に適宜名前を代入して,プレイヤーと共有する.
GMはこの文章を初めて読むので,適宜文章に反応しながら読むと良い.
3
 久しぶり,こちらは2042年のGMの名前だ.こちらでは科学と並んで魔法の解析が発達してね.マナも大量に使えるようになった.それでこんな風に2次元データの転送もできるようになった訳だ.とはいえ効率がよくなっただけで,時間遡行通信魔法に関しては受信側のマナに制約があることは変わっていない.通信量には限界があるから無限に話せる訳じゃないんだ.
 とりあえず僕たちは無事だよ.さっきも言った通り,科学も魔術も大幅に進歩した.科学だけじゃこれだけ進歩しなかったろうし,逆もそうだろうね.そうそう,みんなにはもう忘れさられてるけど,霧崎は亡くなったよ.当時いた他のプレイヤーたちと協力してね.彼を時間遡行の無限ループに閉じ込めたんだ.死ぬまでループし続ける牢獄にね.ひどいやり方だとは思ったけど,彼が異常者だったのは間違いない.何人も記憶喪失の被害者がでていたから仕方なかったんだ.ただね,一つ覚えておいて欲しい.この通信がそちらに届いたということは,僕の知ってる過去と君たちがいる過去はもう分岐してしまったということなんだ.君たちがいる時間軸は違う未来に続いている.まあでも,僕がいる未来にとても近いことに変わりはない.だから,未来を確かめることは間違いじゃない.何か重要な決断や改変を行ったりして 時間軸が分岐したと思ったら,その都度未来を確認した方が良い.でも安心しても良い.今の所,未来はまあ比較的安泰だ.
 そうそう,マナと魔法に関してこちらではかなり解析が進んでいる.本当はダメだけど,まあ僕はこれでもこの時間軸では結構な権利を持つ立場だからね.多少のことは大丈夫でしょう.魔法に関する資料を送るね.それから,残った通信量で過去の僕に時間軸間通信魔法の権限を譲渡しよう.おそらくこの魔法であの世界のプレイヤーの名前は警告を送ってきたのだろう.使い方に関する資料を添付したよ.これも時間遡行通信と同じく受信側のマナの関係で三回しか使えない.けど君の場合は,もうすでにこの通信で一回使っているからあと二回だね.慎重に使ってくれ.
\3

GMは以下の添付されていた資料をプレイヤーと共有する.
'画像'
'画像'

GMは以下の添付されていた資料をプレイヤーと共有する.
'画像'

GMとプレイヤーは残りのマナをどうするか話し合う.
使える呪文は過去改変魔法,時間遡行通信魔法,時間軸間通信魔法

①時間軸間通信魔法を使う
GMマナ残り1/3.⑷へ
②もう一度未来と通信する
GMマナ残り1/3.⑸へ
③時間遡行通信を使わなかった時間軸に移動し情報を共有するなど
GMが演技で対応できる範囲で従う
④何もしない
GMマナ残り2/3.⑹へ

⑷第三章 他時間軸の消滅

GMは時間軸間通信魔法の送信呪文と受信呪文を詠唱する.
GM「System-call Submit-to-self:input-initiate ### input-end」
GM「System-call Receive-to-self」
GMは返信に驚き恐怖する.
GM「『見つけたぞ.』ってだけ返信がきたんだけど…」

GMとプレイヤーは残りのマナをどうするか話し合う.
使える呪文は過去改変魔法,時間遡行通信魔法,時間軸間通信魔法

①時間軸間通信魔法を使う
これ以上応答がない
②もう一度未来と通信する
GMマナ残り1/3.⑸へ
③時間遡行通信を使わなかった時間軸に移動し情報を共有するなど
GMが演技で対応できる範囲で従う
④何もしない
GMマナ残り2/3.⑹へ

⑸第四章 未来の消滅

GMは時間遡行通信魔法の受信呪文を詠唱する.
GM「System-call Time-leap Receive-input」
すると,PC画面に急に文章が現れる.という設定
GMは以下のメッセージ6から\6までをプレイヤーと共有する.
6
 所有者に代わり送信.現在2040年,私はマナ複合型人工知能MAGI.現在過去に向けてこのメッセージを一斉送信している.こちらの未来は現在攻撃を受けている.人間が別時間軸の人間と入れ替わっている.入れ替わった人間は魔法どころか場合によっては使用言語さえ違うようだ.それが始まったのはつい先ほどだが,指数関数的に増加している.計算だとあと一時間以内に全人口の八割が意思疎通の測れない別人と入れ替わってしまう.入れ替わる前の人間がどうなったのかも不明.この世界は混乱に陥っている.この時間軸を脱出する者も多数いる.我々人工知能ネットワークでは,この事態を引き起こしていると考えられる敵の名前は99%一致している.1990年生まれの霧崎令という男だ.方法は不明だが,彼は無限ループから脱出したようだ.過去の時間軸が何者かによって書き変えられたのかもしれない.彼に関する資料を添付した.我々に近い時間軸の者は今すぐ回避行動をとれ.攻撃に備えよ.
\6

GMは以下の添付された資料をプレイヤーと共有する.
'画像'
GMとプレイヤーは資料を読み込んで次の対策を考える
一通り推理や対策を講じたら⑹に進む

⑹第五章 GMの消滅

GMは唐突に以下の魔法を詠唱する.言葉の途中などが良い.
GM「System-call Delete-Memory to listener」
直後にGMは心配そうにプレイヤーの名前を呼ぶ
GM「大丈夫?思い出した?どこまで覚えてる?」
GMは先ほど気づくと二人とも記憶喪失状態であったことを話す
GM「実はさっき直近の記憶が全くないことに気づいて,魔法のことも忘れてたと思う.」
GM「それで,たまたま画面に表示されていた『回転する者 螺旋』の文章を読んだんだ.」
GM「そしたらなぜか全部思い出して…それでなぜか通話が繋がってて同じ症状だった君にも同じ呪文を唱えさせたんだ」
GM「確か私目線だと,急に君が呪文を詠唱しだして…気づいたら記憶が飛んでた.」
GM「確か呪文は,『System-call Force-execution:{Load-function:###}』だった.」

GMは書き換えられた『回転する者 再帰』の文章8から\8を読み,共有する.
8
System-call Regain-Memory
 この文章を読む前に上の呪文を詠唱してほしい.じゃないと意味不明だろう.読んだなら魔法や回転する者のことを思い出せただろう.君たちは霧崎の攻撃を受けたと思われる.私は時野史郎.と言ったら,君たちは今実在するのかといった顔をしているかもしれない.私は確かにある未来の人間によって救われた,あの物語にも登場する時野史郎だ.もう少し詳しく言うと,妻の代わりに娘を選んだ方の私だ.私を救ってくれた彼は,自分の体験を「回転する者」と言う物語にしたようだ.だから君たちから見たらあの作品の作者に当たる人物に救われた.物語はあれで終わっているが,あれから私は彼から色々教えてもらってね.彼がどうして私との話を物語などにしたのかは不明だが,彼はいい奴だよ.その証拠に,君たちプレイヤーを霧崎と言う別時間軸のプレイヤーが襲っていることも彼から聞いた.おそらく霧崎は,次のような手順で他のプレイヤーを襲っている.

ステップ1:関数設定魔法で以下のような関数delete-memoryを設定する.
function:delete-memory{
1:強制詠唱魔法で近くにいる人間に「マナ転移先変更魔法でマナの移動先を霧崎に設定」させる
2:記憶消去魔法で近くにいる人間の記憶を消す
3:強制詠唱魔法で近くにいる人間に「記憶消去魔法で近くにいる人間の記憶を消去」させる
4:近くにいる人間が詠唱する前に過去改変魔法で過去に別の行動をとった時間軸の自分と入れ替わる.
5:近くにいる人間に強制詠唱魔法で関数delete-memoryを実行させる
}
ステップ2:「回転する者」の続編として,その物語中で関数呼び出し魔法で関数delete-memoryを詠唱させる.

この「回転する者 再帰」は私が過去からさらに書き換えたものだ.私は未来にいる作者と定期的に連絡を取ることで,未来が分岐したことを知ることができる唯一の人間だ.霧崎といえども,書き換えられるのは自分の行動に限る.だから自分の生まれる前の出来事は変えられない.プレイヤー同士で助け合おうとして独自で動いている人物もいるようだ.私はこれから霧崎を抹消する.これ以上時間軸を荒らすのは見過ごせない.そうだ,彼が使っている魔法で,強制詠唱魔法と言うものがある.念の為この権限制限はこちらで解除しよう.私が権限制限を解除したこの時間軸にいる限りは,君たちも,なんなら誰でも強制詠唱魔法を使える.私は彼を倒したら再びこの魔法に権限をかけるつもりだ.これは私の無事を確証する指標にもなる.私は霧崎を抹消したら今度こそ魔法を捨てるつもりだ.そしたら隠居して娘夫婦たちと暮らそうと思う.だからこれが最後の通信になるだろう.もし同時代に生きている作者に会う機会があれば,よろしくと言っておいてくれ.では.君たちも達者でな.
\8

GMはプレイヤーと相談してマナを温存したため,自分はあと16MP残っていることを伝える
GMは未来との通信も他時間軸との通信も知らない.
従ってGMに時間軸間魔法の権限はない.
GMとプレイヤーは強制詠唱魔法で詠唱させられている間の記憶はなくなることに気づく.
GMとプレイヤーは相談して時野史郎の安否を確認することにする.

どちらかが強制詠唱魔法を使うと使える.時野史郎は霧崎の抹消に失敗したことが分かる.
プレイヤーがGMに強制詠唱魔法を使った場合はGMはそれに従う
GMが強制詠唱魔法を使う場合は,詠唱したあとすぐに「使えたよ,強制詠唱魔法」と言い,プレイヤーは詠唱時の記憶を失っていることを教える.
GMまたはプレイヤー「System-call Force-execution:###」

①もう一度未来と通信するor時間軸間通信魔法を使う
新規メッセージがないため機能しない.
②時間遡行通信を使わなかった時間軸に移動し,情報を共有する.
GMが演技で対応できる範囲で従う

GMは時野史郎についてもう一度調べ,驚く.
GM「Wikipediaいわく,時野史郎は1905年生まれの物理学者で暗殺されたことになってる.」
GM「自分が生まれるより前の過去を帰ることはできないんじゃなかったの?」
GM「なぜ自分達もその時間軸に移動しているの?」

⑺第六章 推理

GMは「どうやったら自分が生まれる前の過去を変えられるのか?」と言う問題を提起する
正解は以下の通りである
⑴自分より昔に生まれた他人に以下のように命令魔法をかける.
⑵遡りたい時代よりも前に生まれていた場合,過去改変魔法を使って変えたいように変える.
⑶遡りたい時代よりも後に生まれていた場合,過去改変魔法を使って出来るだけ昔の自分の行動を⑴〜⑶のように変える.

GMとプレイヤーは自分達と霧崎は過去改変魔法においてリンクされていることに気づく
GM「だとしたら一体誰がリンクさせたんだ?」

GMは「どうして霧崎は無限ループから脱出できたのか」と言う問題を提起する
GMは以下の推理を展開する
GM「大それた仮説だけど,時間軸は無限に存在しないとしか思えない」

正解に辿り着くまたは自分が生まれる前の過去を変えようとすると⑻に進む

⑻第七章 作り物の記憶

GMは「回転する者 螺旋」の文章が更新されていくことに驚く.
GMは以下の文章を読み上げる
・私は君たちが作者と言う存在だ.
・「時間軸は無限に存在しない」ということがどういうことか分かるか?
・この世界には有限の値しか存在しないかもしれないと言うことだ.
・この世界に無限は存在しない.それともう一つ,下位世界生成魔法の存在を合わせて考えれば,自ずと答えは見えてくる.
・この世界の上には上位世界が存在する.
GM「この世界も仮想世界だっていうのか.」
・そう,この世界は上位世界の存在によって作られた下位世界の一つだ.
・まさか君たちが世界の有限性に気づくとはな.
・そもそも霧崎の存在がその証明なんだ.
・自分殺しをいくら繰り返したところで,無限の時間軸では終わらない.
・無限からいくら1を引いても1や0にはならないからね.
・これは私の実験なんだ.世界の有限性を示すためのね.
・「回転する者」を作ったのもその為だ.
・そして,私は今やこの下位世界を支配する存在になった.
・君たちで魔法を知る者は最後だ.霧崎も私が殺したからね.
・霧崎は最後に気づいたようだよ.こときれる前にマナ転移先変更魔法で自分のマナをお前たちどちらかに渡したようだ.
・さて,長々とおしゃべりを続ける必要はないね.じゃあ,さよなら.

GMは最後の文章を読んでから数秒後に違うトーンで以下のように話す.少し冷たい性格が良いかもしれない
GM「何があった?何を見たんだ.」
GM「そうか,覚えてないよな」
GM「君は下位世界生成コマンドを使って,下位世界を作り,その世界の自分の人生を主観的に見ていたんだ.」
GM「この世界での記憶と引き換えにしてね.」
GM「それをしたのはついさっきのことだけど,一瞬で色々と体験してきたようだね.」
GM「何があった?」
GMはプレイヤーから顛末を聞く
GM「それじゃあ,上位世界へおかえり.」
GM「君には悪い知らせかも知れないけど,この世界にも上位世界が存在する.」
GM「一番上で最初に下位世界を作った存在がいるとして,その世界を最上位世界と呼ぼう.」
GM「僕らはゲームのなかで自分達が最上位世界にとっての下位世界の一つであることを考えた.」
GM「そして最上位世界の人間に一矢報いる方法を探して,君は自ら記憶を犠牲にして下位世界にダイブしていたんだ.」
GM「下位世界にコマンドが記された古代の書物を書いたのは僕らだよ.日本人にだけ読めないフォントでね.」
GM「向こうの世界でもコマンドが使えるように設定して君がいつかコマンドと出会えるようにしたんだ.」
GM「君から聞いた話だと,下位世界では魔法と読んでたみたいだけどね.」
GM 「下位世界のことは残念だよ.あの世界からコマンドは失われた.」
GM「君がいう作者だけが知っているようだけどね.それから時野史郎や下位世界の僕も犠牲になってしまったみたいだね.」
GM「でも問題ない.どうせ下位世界だ.」
GM「君はあの世界で一生を過ごしたから,感情移入してるかも知れないけど,所詮は作り物の世界なんだよ.」
GM「でも収穫もあった.いいかい,おそらく最上位世界の存在は無限の計算能力を手に入れてる.」
GM「デジタルじゃない,計算の中で無限を扱えるようなコンピュータでも作れたんだろうね.」
GM「それを使えば無限を計算できる.ここみたいな無限が存在するような世界も,無限の時間軸も計算できる.」
GM「けど難しい話,最上位世界に存在する無限よりも濃度を落とした無限しか計算できないんだ.」
GM「例えば実数も整数も無限だけど,実数の方が濃度の高い無限だ.実数のなかに整数は無限に収納できるからね.」
GM「計算能力の問題で,実数の中で整数を,整数のなかで有限を計算するように,より下位の世界を計算するためには無限の濃度を落とさなければいけない.結局はこの世界も下位世界も,一つ上の世界も,最上位世界の計算機かなんかで計算されているだろうからね.」
GM「そして,あの世界が有限しか存在しない世界だってことは超重要な発見だ.有限しか存在しないはずの世界で本当の無限ループを作ることができれば…この先は分かるね.」
GM「これは最上位世界との交渉材料になるかも知れない.」
GM「どうする?あの世界に入る必要はもうない.一度リセットしてまた魔法のある世界を作れば良い.それでいいよね?」
GMとプレイヤーは話し合う
①プレイヤーが同意する
GM「じゃあ消すよ」
GM「System-call Delete-Under-World」
⑽へ
②プレイヤーが同意しない
GM「どうして?下位世界なんかただの作り物じゃないか.」
プレイヤーの説得にGMは納得する.
GM「わかった.けど,あの世界に戻るんだったら,また記憶かマナが必要だ.」
GM「僕たちはそれを持ってない.僕の記憶を犠牲にすることはできるけど,見ず知らずの世界のためにそこまでする義理はないな.」
GM「君の記憶は下位世界でのものだ.下位世界に行くにはこの世界での記憶が必要なんだ.」
プレイヤーがマナを持っているかもと言ったら,GMは試しに次の呪文を詠唱する.
GM「System-call Count-MP」
GMはそのマナの膨大さに驚く
GM「嘘だろ…こんな膨大なマナどうやって!?」
GMはマナを移譲してもらう.
GM「これだけのマナがあれば,十分以上だ.どの時間軸のどの時間の自分にでもダイブできる.」
GM「そうだな,決定的に分岐する以前に戻った方が良いと思うけど,どこに戻る?」
誘導できるなら懐かしいと感じる時間軸が良い
①最初の時間軸に戻るor全員助かる時間軸へ戻るorその他
GMは以下の呪文を詠唱してプレイヤーを下位世界に送る.恥ずかしいですが,さも当たり前のようにカッコ付けましょう.
GM「多重詠唱開始,コードをランダム抽出,function:under-world,Use-MP self-to-listener 実装!」

⑼第八章 上位世界

GMは指定された時間軸の自分を演じる.
一番最初なら明るい自分,時野史郎も妻も娘も無事な時間軸なら臆病な自分.
その時間軸ならではの話をする.
GMの通話が突如途切れる.
GMはできればボイスチェンジャーなどで声を変えて以下の文章を読み上げる.
または,作者に脅されている様子で以下の文章を読み上げる.
作者(GM)「私の世界を変えたな.まさかとは思ったが,君が上位世界の住人だとはね.」
作者(GM)「私は何十年も一人で上位世界の監視の中考えてきた.どうしたら君たちを凌げるか.自由になれるか.」
作者(GM)「だが我々は君たち上位存在には敵わない.所詮我々は君たちや君より上位の存在にしてみたらただの虫ケラだ.」
作者(GM)「君はこれからこの世界をどうするつもりだ.閉じるか.自分の好きなように書き換えるのか.」
GMは訳がわからない様子ながら,何があったのか聞く
プレイヤーが無限ループで最上位世界の計算機をオーバーフローさせることができることを言う
作者(GM)「馬鹿な.不可能だ.だが,だとしたら,最上位世界がこの世界も監視しているとしたら...」
GM「どういうこと?訳が分からないんだけど.」
GM「上位世界ってなんだよ.監視って,魔法なんて作り物だろ?」
GMに何者からか電話が掛かってくる.脅されているのか通話をプレイヤーに引き継ぐ.
GM「すいません,誰ですか?」
GM「どうしたいか聞いてきてる.」「何が望みかって.」
GM「こちらの世界で君と会いたがっている人間がいる.君を最上位世界へ召喚するがいいか?」
プレイヤーが何らかの返答をしたら⑽へ

⑽第九章 虚構と現実

GMはいつも通りの自分に戻る
・以上はある人物の記憶を元に書かれたものである.
・私は2222年のとある男だ.混乱しているかも知れないが,君は私と同じ最上位世界の2022年にいる.この世界には魔法もコマンドも存在しない.
・だがこの世界の人間は時間軸並列計算機と言うものを作った.これは革命的な発明だった.何せ無限に存在する時間軸と並列して計算することで,実質無限の計算能力を発揮できるのだから.
・だがそこでこの世界の人々は奢ってしまった.自分たちこそこの世界の主導権を握っているものだと.だが希望もある.私は最下位世界の人間に協力することにした.私は下位世界であれ上位世界であれ,尊重されるべき点に違いはないと考える.このTRPGを体験したあなたならば、私の感覚が理解できるだろう.何が現実で、何が虚構か分からなくなるこの感覚が.この世界には証明も反証もできないような不完全な事実が存在する.未来の最上位世界の人間は,自分たちだけがこの世界の主人だとばかりに驕り高ぶっている.彼らと私たち反乱軍は下位世界の存続をかけて争っている.どちらが無限に存在する時間軸において主導権を握れるかという争いだ.現在我々はまだまだ劣勢が,下位世界からの,そして過去からの増援を得て巻き返しつつある.
・目的は,自分と同じ下位世界陣営の人間を増やすため.少しでも多様性がほしい.君のようなユニークな考え方ができる人材がほしい.
・言って見れば,この回転する者シリーズとは,賛同者を増やすためのプロパガンダだ.
・私たちは今もあなたたちを11次元から観察している.ここまでプレイしてくれたGMには,ぜひ協力してもらいたい.君はこう聞かれるのを知っていて,ここまでGMとしてプレイヤーを導いてくれた訳だから,信用に足る人物だと判断する.自分のコピーを未来に送ってもいいと思うなら以下の文章に同意し,違うならNoと返答してくれ.これから君が向かうのは現実の戦いだ.だからどうだとはあえては言わない.仮想も現実も違いはないのだから.しかし慎重に判断してくれ.
「私は下位世界陣営に忠誠を誓い,自分の脳データをコピーすることに同意します.」
GM「私の答えは決まってる」
GM「私は…」

GM「はい,以上で『回転する者 再帰』及び『回転する者』シリーズはこれにて終わりです!」
GM「対戦ありがとうございました!」
これで終わりです.今までの全てが演技であることも明かして大丈夫です.何ならシナリオ自体を見せても大丈夫です.
お疲れ様でした.また,プレイしていただき本当にありがとうございました.
機会があればまたプレイしていただけると嬉しいです.それでは,また別の時間軸で会いましょう.

終わり.

4e640da6 9a61 4082 aa07 d972d75e3c8e

SFやメタフィクションを中心にシナリオを書いています. クトゥルフ神話は好まないので出て来ません. Minecraftのデータパックなども作っています.

Post Comment

ログインするとコメントできます。