あなたは知り合いの探偵に雇われ、とある発電所へ赴きます。
探偵はあなたの他にも雇っているようです。
始めは初対面ゆえに、衝突することも多いでしょう。
けれど、互いに助け合い、それは絆となっていくことでしょう。
調査を進めていくと、発電所がどうして封鎖されたのか判明していきます。
あなたは謎を解き、依頼者が知りたい未来を築けるでしょうか。
_______________________________________________
初めて作成したので、穴はあるかもしれません。
実際にプレイしており、その際の経過時間と人数を元にしています。
目星 聞き耳 電子工学
知識技能 回復技能 言いくるめ
場所固定:応急手当や医学の回復値ボーナス
全エリア:3回意識を手放してはいけない
形式 :クトゥルフ神話TRPG<第6版>
ジャンル:クローズドシナリオ(エリアマップあり)
NPCとして、探偵を作成しても構いません。
ただし調査隊を手助けする目的だけとし、NPCはいかなる状況になっても戦闘に参加しない。
(※言いくるめられてもいい。)
名前を変えても構いません。
KPはまず始めに、以下2つの『敵』について知っておく。
①ゴグ=フール
タイプ:神格 属性:カオス
夢の世界で、こちらに干渉してきます。最初は言語の影響か、精神状態の影響か。
何かを話していることは分かります。しかし、その内容に関しては分かりません。
調査隊が{発狂・気絶・睡眠・意識不明}のいずれか状態に陥った場合は、確実に接触を図る事でしょう。
②メンディラ
タイプ:通常 属性:ナチュラル
自然の生み出した怪物か、それとも偶然の産物か。
表皮に無数の触手を持ち、それが地面と接触することで高圧電流を纏っている。
大きさは100kmを下回るが、それでも人間が敵うサイズではない。
知能(INT)と移動速度値が低いことが唯一の救いである。
あなたは知り合いの探偵(三浦 道也)に雇われ、封鎖された発電所へ赴くことになりました。
探偵は調査に辺り、依頼者から4つの条件を提示されたことを伝えてきます。
探偵とあなたの二人では対処できないと判断したのか、他にも助けを求めているようです。
後日。あなたたち調査隊一行は現場近くの貸し会議場で、本件の依頼者(石上 茜)と対面します。
「
探偵さん、この人たちが協力者さんですか?
もう皆さん、依頼の条件については伺っていると思います。
とても危険な依頼ですが、それに見合う報酬をお約束します。
」
調査隊が同意すると、石上は依頼の詳細を語り始めます。
「
この先の山間部に『天竜村発電所』という発電所があります。
正確には、ありました。
数年前に封鎖されて以来、誰も訪れていません。
すっかり廃墟になっているはずです。
もしいるとすれば、廃墟観光のマニアくらいです。
」
「
……ですが、最近妙な噂が立っていまして。
『発電所が稼働している』という噂があるんです。
あそこには当時のまま、発電設備が残されています。
しかし経年劣化も酷く、本当に危険な行為で、大きな事故にもつながりかねません。
ですから。その実態を調査していただきたいのです。
」
そこまでは順調に、口を動かしていた石上は
冷や汗を滲ませ、肩を震わせ、再び語り出す。
「
お察しの方も、おられますでしょう。
私はあそこで会計係として働いていました。
事の始まりは、一人の職員。
『何かの声がする』それだけでした。
翌日、職員は『声がする』とだけ、何度も口にしました。
次の日も、その次の日も。
一週間ほどでしょうか。
職員は耳を塞ぎ、身を震わせることしかできなくなっていました。
そして、その現象は少しずつ。
他の職員にも伝染していきました。
しかし同じ頃、発電設備がよく誤作動を起こしていたんです。
上層部は不思議な音と聞いて、これが原因だと結論づけました。
誤作動を起こした機械の音だと。
最初のころ気付いた者たちは、職員の鑑であると言われました。
」
「
けれど、異変は起こりました。
震えていた職員が、姿を消したのです。何もかも跡形も無く。
二日後、また一人消えました。
そして、また一人。
食事も睡眠さえも忘れて震えていた職員は、忽然と姿を消しました。
」
石上は自分の震えを必死に抑えて、調査隊に向き直し、更に話を続けます。
「
ある時、発電所の中で焼き焦げた死体が発見されました。
死体が上がったことで、上層部はようやく重い腰を上げ、発電所は封鎖されました。
しかし、最近『発電所が動いている』という噂が立ちました。
誰かが動かしているのか、それとも別の何かがあるのか。
調査をお願いします。
」
調査隊(プレイヤーたち)は、探偵の運転する車で目的地を目指します。
道なりはしっかりと舗装されているようです。
しばらく走行していると、さびついた門が見えてきました。
しかし閉じているはずの門は完全に開いているようです。
門を抜けると、建物が見えてきます。
石上が伝えてきた建物である『管理棟A』に間違いありません。
車を降りると、探偵が一行のまとめ役をかってでました。
「
さて、調査隊の諸君。
準備はいいかな?
これからどんな危険があるか、わからない。
だが、安心したまえ。
君らは私が認めるスペシャリストだ。
この依頼、無事に達成しよう。
」
〇調査のススメ
以後、プレイヤーは調査隊と呼ばれる。
各々が好きに行動してよい。
ただし、部屋から部屋に移動することでかかる時間を1ターンと数える。
車から降りたタイミングで0巡目が始まる。
■ 巡目
各プレイヤーが1ターンずつ消費して、全員のターンが終わったときに+1としていく。
(例)
プレイヤーAとBが奥の部屋へ進み、プレイヤーCとプレイヤーDが今いる部屋を調査した。この場合、CとDが先に行動を起こせる。行動の末、CとDは部屋の調査を切り上げた。
→ 次の巡目に移る。
■ ターン
部屋から部屋に移動した(※1)、その部屋の調査を終えたとプレイヤー側が宣言した場合。
1ターンを消費したとする。同じ部屋にいる者達の会話はターン消費としない。
※1部屋の場合ではない。2部屋以上の移動を指す。
■ 行動
戦闘時:「攻撃」「逃走」「守る」に該当する技能の宣言
調査時:プレイヤーが技能の利用を宣言
(例)
1部屋だけの移動 → 1行動の消費のみ
目星をふる → 1行動
聞き耳 → 1行動
舞台は『管理棟A』と呼ばれる発電所の一区画です。
このほかの建物に関しては、封鎖が決定した際に撤去が完了しているようです。
①エントランスホール
石上を含む職員たちが頑張ろうと、活を入れた場所でしょう。
各職員2段ずつの下駄箱があるのが確認できます。
ホールの劣化・損傷は激しく小柄な人ならば通れる空間が空いています。
■ 目星
成功→
最近ではないが、人の足跡がある。
赤錆の目立つスコップがある。
失敗→
下駄箱にはまだ何足も、靴が残されたままだ。
■ 聞き耳
成功→
床から「ゴゥゴゥ」と重い音を耳にします。
失敗→
風のせせらぎが心地よいです。
ファンブル→
壁に耳を当てたあなたは「……」と聞きます。
恐ろしく声だった。
■ 指定技能<医学, 薬学, 科学>
成功→
スコップを見つけましたが、付着しているのは赤錆ではなく、人の血のようです。
SANチェック[1D4]
②休憩室
損傷が少なく、探偵はこの場所を調査隊の拠点にしようと言います。
奥側には仮眠室があるようです。
<特殊ギミック> 場所固定:有効
■ 目星
成功→
壁板が張り直されたとされる箇所があります。
失敗→
絨毯が敷かれていた痕跡があり、剥がされたことが分かります。
■ 聞き耳
成功→
床 :『ゴゥゴゥ』という重い音が近くからします。
壁 :風の通る音が聞こえます。
失敗→
水の流れる音がします。
■ 指定技能<物理学, ものづくり>
成功→
張り直された壁板はこちらからは壊せないようです。
②仮眠室
3台分のベッドスペースがあります。
それぞれにカーテンが備わっており、閉まっている。
■ 目星
成功(順不同)→
1 :何かの骨が一部だけ残されています。
2 :シーツは赤黒く変色していて、少し酸味のある臭いがします。
3 :ベッドの下にメモが落ちているようです。
失敗→
4 :何も見つかりません。
ファンブル→
成功と同じ結果ですが、SANチェック追加[1D4]
■ 聞き耳
休憩室と同様の結果です。
■ 指定技能<医学, 生物学>
成功→
骨が人間の骨の一部であると分かります。
■ 指定技能<全ての工学技能>
成功→
骨の切り口から、これは機械により発生したものでないと分かります。
③通信室
発電用タービンを遠隔操作でき、また電気会社の本社へ通信を繋いでいた。
数本の裸電球がつるされており、奥の隅に区切られた部屋がある。
天井の損傷が激しく、がれきで散乱しています。
■ 目星
成功→
区切られた部屋の近く:『所長室』と書いてあるプレートを発見します。
通信設備は全ての銅線が切られているようです。
失敗→
がれきをどかそうとして、ダメージを受けた。耐久力[1D6]
■ 聞き耳
成功→
通信機械の方でしょうか、バチバチという音がしています。
失敗→
天井からつるされた電球が突然光り、すぐに消灯します。
■ 指定技能<電子工学>
成功→
銅線の合間から火花が散っていて、ショートを起こしていたと推測します。
③所長室
通信室奥の区切られた部屋。周囲に比べて、不思議と新しさを感じます。
部屋には木製のデスク、ランプを視認できます。
■ 目星
成功→
部屋全体:ほかの部屋よりも数年は新しい。
床 :デスクの下にクリップで留められた書類が見つかります。
デスク:引き出しが3つあり、内1つは鍵付きのようです。
デスクの目星が成功した場合「引き出しを開けますか?」と聞くこと。
■ 聞き耳
通信室と同室扱いのため、同内容です。
■ 指定技能<ものづくり, 物理学>
成功→
鍵のついた引き出し、何か長物があれば壊せそうです。
④機械室
部屋は通信室より広いようですが、がれきが目に見えて散乱しています。
石上から聞いていた様子と違い、機械の痕跡が残っているのみです。
■ 目星
クリティカル→
機械が何らかの原因で融解した様子を見つけます。
成功→
壁に跡があり、それが人のような形をしています。SANチェック[1D6]
失敗→
がれきをどかそうとして、ダメージを受けた。耐久力[1D6]
■ 聞き耳
失敗→
調査をしていると、地響きのような低い音がします。
■ 指定技能<医学, 電子工学>
成功→
この跡が、高電によるによるものと分かります。
⑥監査室
床には絨毯が敷かれており、休憩室と同様に損傷が見られない。
大量の机がきちりと並べられている。
天井からつるされたプレートを見るに、経理部などの事務職員がいた部屋のようだ。
■ 目星
成功→
たくさんの机の中に石上の机を見つけます。その机の上に名簿のような書類を見つける。
失敗→
床に一冊のノート(アイテム)を見つけます。
■ 聞き耳
成功→
『ゴゥゴゥ』という重い音が真下から聞こえます。
失敗→
調査をしていると、地響きのような低い音がします。
⑦空調管理室
エントランスホールから監査室まで、全ての部屋の空調を管理していたようだ。
かなりの時間はかかるが修復は可能だろう。
■ 目星
成功→
壁 :稼働していた際の地図だろうか、古い地図を発見する。
下 :きちりと畳まれた衣服を見つける。
辺り:鍵のかかった裏口がある。こちらからなら解錠できるようだ。
失敗→
腐敗したような臭いがどこからか。SANチョック[1D6]
■ 聞き耳
成功・失敗→
調査をしていると、地響きのような低い音がします。
〇裏口から外へ
■ 目星
成功→
誰かの足跡を確認できます。
■ 聞き耳
成功→
水の音が聞こえてきます。おそらく近くに川があるのでは。
①赤錆のついたスコップ
赤錆のように赤黒いが、生臭く感じる。
またその周りだけ、へこみができている。
どれほどの力で扱ったというのだろうか。
②何かの骨
それがある周辺は黒く変色いているのが見える。
また、壁には黒いシミが確認できる。
あなたは手に取ってしまい、恐ろしいと感じてしまった。
SANチェック[1D6]
骨の部位は、GMの自由です。
好きな部位で構いませんが、話に合う部位がよいでしょう。
追加調査について:
骨の詳細について、知ってしまった。
指定技能<医学, 生物学>を持っていない場合はSANチェック[1D4]
③赤黒いシーツの跡
石上が『焼き焦げた』と言っていた死体が、一時的に置かれていたと思われます。
赤黒い跡はしっかりと人のかたちと知ることができ、あなたは恐怖を感じました。
SANチェック[1D4]
④誰かのメモ
ベッドスペース3で成功すると、見つける事が出来ます。
ノートをちぎって書いたようです。
少し読みにくいですが、こう書かれています。
『
暗がり
深くフードを被る
赤き線を引きずり
行く
』
と書かれているのが分かります。
⑤ランプ
まだつかえるそうですが、電球が切れている。
⑥クリップでまとめられた書類
表紙があり、そこには『天竜村発電所にようこそ!』と書かれている。
中を覗いてみると、この発電所へ見学に来た子供たちへ配っているパンフレットのようだ。
しおりのように、写真が挟まっている。
■ 目星
成功→
パンフレットの施設地図に違和感を覚える。
無理やり書き換えているような……
失敗→
写真の中に、石上を発見します。
⑦メンディラの手記
キーアイテムです。所長室のデスクにある鍵つきの引き出しから見つかります。
まさか……所長が黒幕なのか。
このアイテムに関しては『変動後のエリアマップ』のあとに、詳細が記載されています。
⑧サバイバルナイフ
2つ目の引き出しで見つかります。
草木を避けるのに使ったのか、草や土の臭いがします。
⑨未使用の換え電球
3つ目の引き出し。
おそらく卓上のランプに取り付ければ、灯りとして使えるかもしれません。
⑩融解した機械
熱で溶けたようには感じません。
何らかの薬品でしょうか、非常に強烈な臭いを伴っています。
⑪石上のデスクにあった名簿
中を開くと、赤いペンで書かれたバツのマークが目立っているのがわかります。
石上の欄にはマークが付いていなくて、ほか数名にも同じ特徴が見られます。
黄色のペンで線を引かれているのは、所長のようだ。
役職欄にそう書かれている。
⑫誰かのノート
誰かの日記のようで、今日の業務は~だったと書かれている。
しかし読み進めていると「声が」「音が」「うるさい」などの言葉で
ページの隙間が無くなるまで書き殴られている。
SANチェック[1D6]
⑬古びた地図
今までの情報では知らなかった通路が2つ見ることができます。
また右下に小さいですが『完成当時の天竜村発電所 管理棟Aマップ』と書かれています。
どうやらここが稼働した時期は12年前のようです。
→
この地図に調査隊が気が付いた時点で、特殊ギミック(崩落イベント)が強制発動します。
①回復技能の回復値上昇
調査隊が「ギミックの使用」を宣言することで、効果を発動します。
エリアマップの「②休憩室」でのみ、発動が可能です。
回復技能をかけた調査隊員、回復を受ける調査隊員の行動が2周(※)潰れる代わりに、回復量が1.5倍になります。
ただし最大値を超える回復はできません。
また、ファンブル判定による状態悪化が発動しません。
失敗した場合でも0.5倍の回復を見込めます。
※他の探索者が1回多くターンをおこなえる。
②這い寄る死の声
調査隊が{発狂・気絶・睡眠・意識不明}のいずれかに陥った場合、発動します。
エンドギミックですが、3回かかってしまうと……
3段階のギミックで、1回起きただけでは何の問題ありません。
「
夢の中。誰かが話しかけてきている。
この世のものではない、おぞましい声だ。
」
各段階の詳細は以下にまとめまています。
■ ①エントランスホールで壁に耳を当てた
カウントが1回数えられます。
SANチェック[1D4]
■ 1段階
カウントが1回数えられます。
SANチェックなどはありません。
■ 2段階
カウントが1回数えられます。
やっと、ここで調査隊の彼らは警戒することでしょう。
だが、もう遅い。
■ 3段階
カウントが3回となり、バッドエンドとなります。
DMは以下文章を読んで下さい。
「
あなたへ何かを呼びかけてくる声がすぐ近くから聞こえる。
夢の中、意識はあるのに、動く事が出来ない。
見えない壁の先に引き込まれ、それは引く力を増していく。
時間にして一瞬。
跡形もなく消えてしまった。
」
あなたは他の調査隊員に気が付かれることもなく、消えてしまいました。
※どんなに回復しても、一度刻まれたカウントは減りません。
③崩落イベント
地中で蠢く存在により、経年劣化の激しい発電所の床が崩落してしまいます。
休憩室を除くエリアマップ上であればどこが崩落してもおかしくありません。
調査隊の全員に耐久力チェック[1D4]が起こりますが、これによる『死の声』は発動しません。
■ 崩落の場所
GMは予め場所を決めておく。
しかし、このギミックが発動するまで伝えてはいけません。
■ 崩落に巻き込まれた場合
地下空間に落下したという扱いになります。
ダメージ量は[2D6]です。(GMによる変更可)
■ エリア更新
エリアとして地下が見つかります。
大きな差はありませんが、調査隊の探索域が広がります。
この『管理棟A』と呼ばれた建物には、地下空間があったようだ。
しかしそこに繋がる道は、誰かが閉ざしてしまった。
どうやら機械室から繋がる道は、強い衝撃を加えれば開けられそうだ。
⑧地下室
壁が朽ちていて、周辺を見る事ができます。
周辺は非常に暗いですが、ある方向に光が射し込んでいるのがわかります。
■ 目星
成功→
何かの測定をおこなう機械でしょうか、その残骸が落ちています。
失敗→
暗闇の中にランプのような灯りが見えます。
■ 聞き耳
成功→
遠くの方から、水の音がします。
失敗→
『ゴゥゴゥ』という音が近づいています。
■ 指定技能<電子工学>
成功→
地震測定器のようです。骨組みの様子から人為的に破壊されたことが分かります。
⑨地下空間
高さ60m以上の空間が、奥が捉えられないほど続いています。
辺りは暗く、かすかに床が振動しているのを感じます。
■ 目星
成功→
特に何も起こらない
失敗→
化け物が近付いてくる。
■ 聞き耳
成功→
目標によって変化します。
救出 :仲間の調査隊が発した声の方角が分かります。
戦闘 :怪物が来る方角が分かります。
失敗→
怪物がすぐ近くにいることが分かります。
指定技能<隠れる, 隠密>に成句すれば、戦闘を避けられるでしょう。
〇地下室に続く通路
他の部屋に比べても、より一層に古く感じる。
奥の方にかすかに光が見えるが、どこに繋がっているのだろうか。
また、中程でしょうか。右にそれる道を確認できます。
■ 目星
成功→
コルク封のされている試験管?を発見しました。
失敗→
下に続く階段がありますが、その先で何かが動いたような気がします。
■ 聞き耳
成功→
『ゴゥゴゥ』という重く、鈍い音が下から聞こえます。
失敗→
水の音が遠くから聞こえます。
①謎の試験管
中身の液体は薄い赤色をしています。
コルク封は劣化しており、少し中身が漏れ出しています。
※ 調査隊員が「臭いを確認してもいいですか?」と言った場合
■ GMは「どのように嗅ぎますか?」と質問する
手であおいで嗅ぐ→
異常な刺激臭と血生臭い臭いがします。
直接嗅ぐ→
あなたはあまりの臭いに気絶してしまいました。
(残りの耐久力に依存しない)
②壊れた地震計測器
測定結果を刻む紙は残っていませんが、小刻みにペン先が動いており、時折大きく動いています。
■ 目星
成功→
測定器の囲いでしょうか、金属製なのが分かります。
■ 聞き耳
成功→
『ゴゥゴゥ』という音が地下空間から響いているのが分かります。
失敗→
あなたが振り向くと、この世界の生物とは思えない怪物を見つけてしまいます。
(後述しますが、メンディラ遭遇シーンが発生します。)
通常のクトゥルフ神話TRPGはクリーチャーと戦うことを避けなければならない。
しかし、本シナリオでは「撃退する」ことがトゥルーエンドとなる。
岩盤を簡単に削り取っていることからも分かるだろうが、その怪物の戦闘能力は非常に高い。
〇メンディラ{蠢く電極}
岩盤にその巨躯を『ゴゥゴゥ』と擦らせて、進みゆく姿は恐怖そのもの。
また表皮の一部が光り、バチバチと音が鳴っている。
誰もが瞬時に理解するだろう。この世の生物ではない。
遭遇時:SANチェック[1D4]
各種ステータス
■ STR 1D100
■ CON 1D10+10
■ DEX 1D4
■ SIZ 2D6✕10
■ INT 2D6
■ POW 2D8
■ 幸運 2D6+40
動きが非常に遅く、攻撃を避けることも可能だろう。
戦闘で生き残れるのか、それは神に選ばれた運のある者だけだろう。
①戦闘
後述する『メンディラの手記』には、本シナリオの敵であるメンディラについて書かれています。その中には、バケモノの弱点も。
メンディラの持つ攻撃手段は以下2つです。
■ 電気を帯びた触手
これに触れてしまうと、全技能にデバフを受けます。[ -10% ]
戦闘時のダメージ: 1D10
非戦闘ダメージ : 0
■ 慈悲なる慢進
その速度は遅い、だがしかし。あなたが麻痺に陥った場合、無慈悲と変わる。
ダメージ : 即死
(この場合、ゴグ=フールによる追撃は発生しない。)
■ つばを吐く
粘液質で、皮膚がひりひりする程度の酸性をもつ。
GMとあなたでダイス[1D100]をふり、GMが振るメンディラのSTR値を超えなければ、抜け出せない。
ダメージ : 1ターン毎に耐久力 -1
②討伐
メンディラは3つの討伐方法がある。どちらも弱点に気が付けば、導ける方法だ。
■ 体内器官をショートさせる
自身に生えた触手の先端に電気を帯びているが、実は蓄電や放電する器官を持っていない。そのため、金属製の物体を突き刺し、それに触手で触れさせることができれば。
簡単に死んでしまう。
■ 感電
地下空間で聞き耳に成功すると、水の音を聞き取れる。それに従い、進んでいくと大きな水溜まりに突き当たる。
そこまで誘導させることで、感電死を起こす音が可能である。
■ 車で突撃カースタンド(一番盛り上がります!)
まず始めに、崩落位置まで車を動かせること。
次に、探偵を説得できること。
最後に、アクセル全開の車から飛び降りる勇気。
「
崩落位置近くまで誘われたバケモノに、あなたは車で突撃を仕掛けます。
調査隊の全員が固唾を飲む。
バケモノは口を広げ、迎え撃つ。
車を餌と勘違いしているのか、喜んでいるようにも見える。
無数の歯で呑み込む瞬間。閃光と爆音。
バケモノの悲鳴が辺りに響くも、つかの間。
全ては終わりを告げたのだ。
」
※この方法は、私が実際にプレイした時に行われた。
盛り上がりは大きいので採用させて頂いた。
③放置
クトゥルフ神話TRPGではクリーチャーと敵対しないのが、鉄則でもある。
ただし本シナリオではトゥルーエンドではなく、グッドエンドにあたる。
太く力強い男の字でタイトルが書かれている。他の書類とは明らかに年代が異なることが分かる。
※以降、手記の内容※
【10年前 5月】
発電所が揺れに襲われた。震源などが報道されなかったが、かなり大きく揺れたため、緊急体制を敷いた。調査を行ったが、何も分からなかった。
【10年前 5月】
また、揺れた。先日とよく似た揺れだ。
前の所長が書き換えたのか。この建物には地下室があり、そこに地震測定器があるようだ。
【10年前 5月】
地下室へ赴いた私は。
無数の歯が、私を見ていた。
私が固まっていると、それは動く出した。
薄い黄緑が永遠と、永遠のように続いていた。
あれは……
きっと疲れから見間違えたのだろう。
【10年前 5月】
前任の所長は、急に辞めていったと聞いている。
まさか。
【10年前 5月】
今日は揺れなかった。
地下室の様子を確認して、分かった。
数日前に出会ったアレは居ないようだった。
ただそこに大きな空間が広がっていた。
【10年前 5月】
夢の中で、黒いローブを着たヒトが現れた。
耳に残る不思議な声で『契約』と告げてきた。
あの言語はどこのものだったのか。
【10年前 6月】
一月ぶりに、あのヒトが現れた。
詳しく見ていなかったからだろう。ぞっとした。
黒のローブの下、そこに顔が半分しかないのだ。
再び、知らない言語で『あの怪物に聞く鎮静剤を渡そうか?』と。
【9年前 5月】
少し前からおかしな事が起きている。
声が聞こえる、そのような譫言を話す職員が連日出ているのだ。
そして。
ついには、消えた。
悪魔に遭ったか、そう聞いたがその答えは聞けていない。
【9年前 5月】
また、一人。
あのヒトは現れ、笑っていた。
そしてあの知らない言語で、私に問うのだ。
『契約』にのるのか。のらないのか。
【9年前 10月】
【9年前 11月】
取り戻せたのは一部だけだった。
悪魔相手にできることはない。ましてや、あのバケモノには。
発電所は閉鎖されることになった。
【7年前 8月】
あのおぞましさには慣れてきた。
最近生え始めたのか、触手が小さく踊っている。
【6年前 4月】
バケモノは光が苦手なようだ。
光は、バケモノの身体を鈍らせる。
太陽の光には近寄ろうともしない。
【6年前 10月】
バケモノめ。
電球が勝手についたり、機械が動き出すのは
バケモノが下を通った証だ。
……触手が伸び縮むのは気のせいだろうか。
【5年前 1月】
私は覚悟を決めた。
もしこの手記を読んでいるなら、私の責任を遂げてくれないか。
離れたページには、次のように書かれている。
・狂気はヤツを呼び寄せる。
・暗闇はバケモノの狩り場だ。
・触手の先から電気が起きている。しかしこれに怖がっているようだ。
まさか、進化に対応できていないのか?
〇トゥルーエンド
ある夜、所長は自室で仮眠をしていたら、強い揺れに目が覚めた。
発電所は、地震の影響を大きく受けるため、直ちに震源を調べたが、分からなかった。
数日後の昼、また同じ揺れが起きた。
数日の間に目星を立てており、彼は前の所長から地震測定器があると言われていた「地下室」へ出向くことになる。
そこで、彼はバケモノと邂逅することになる。同心円状に歯が並び、巨大な芋虫のような生物である。運がよかったのだろう、バケモノは彼に気が付くこともなく、消え去った。底に大きな横穴を残して。
場所は変わり、そこは彼の夢。黒いローブを身につけた長身のヒト型が見つめている。
顔の半分が無いそのヒト型は見知らぬ言語で告げる。
『契約をしないか』
一月後。そのヒト型は再び現れ、同じ事を告げる。
今度はバケモノに効く鎮静剤という見返りを提示して。
彼は恐怖のかぎり、何も言えなかった。
それがよくなかった。
あれから一年、その間も地響きは起きたが、問題なく発電は続けられた。
しかし、異変は始まる。
部下の1人が「音」が聞こえると言い、程なくして姿を消した。
整備員だったこともあり、意識がまだしっかりしているうちに『バケモノを見たか』と
問いただす。その答えは聴けなかった。
翌日、また1人が姿を消した。
彼は役職のおかげか、着手した裏口のカギを使い、その後も出入りした。
それは悪魔が連れ去った者たちをバケモノに喰わせていた光景を見たからではない。
バケモノの存在を知っていながら、どうしようもできなかった責任から、少しでも情報を得ようとしたのだ。
悪魔が言った『契約』の詳細は分からない、だから彼は日記を書き続けた。
いつか来る誰かのために。
調査隊の彼らがバケモノを倒せたのは、ひとえに彼が残した努力のおかげだったかもしれない。
全員が乗ったことを確認した、探偵の三浦は車を走らせる。
調査隊の彼らは疲れて、眠ってしまったようだ。
夢の中、黒いローブを着たヒトが遠ざかるあなたがたをずっと見ている。
クトゥルフ神話技能 : 1D6
一夜明け、三浦は石上に調査報告をしていた。
「
三浦さん、それに調査隊の彼らにも。
何と御礼を言えば良いのか。
あの地下のバケモノまで倒して下さったなんて、お父さんも浮かばれたと思います。
」
「
ずっとお父さんが、上から疑われているのが辛かった。
それに耐えきれず、黙認してしまった私達は家族と思われていないかもしれません。
今回の調査報告を聞いて。
やっと成仏できたのかもしれません。
本当にありがとうございます。
」
〇ハッピーエンド
■ 誰一人と死ななかった
帰路の最中、探偵の三浦は調査隊の彼らに告げる。
「
あんなバケモノたちと戦ったのに、誰一人として死んでいない。
やはり俺の目には狂いが無かった。
また今回みたいな依頼がきたら、協力してくれないか?
」
調査隊の彼らが暗い表情をしているのを見て、三浦は続けます。
「
言わなかったことは謝ろう。
もちろん、依頼の協力をする前に独自調査はした。
現地に来てみないと分からないこともあるが、な。
あのバケモノはおそらく偶然の産物だろうな。
発電所の下だったことが原因かもしれない。
」
最後に、三浦はこう締めます。
お互い生きて帰れて良かった。
〇グッドエンド
依頼された「消えた職員」が悪魔によるものと判明した。
この調査結果を持ちゆく、帰路の最中。
探偵の三浦はぼそり、呟いた。
「
これで、解決したんだろうか。
」
どこかに心残りがある、そんな感じをさせていた。
クトゥルフ神話技能 : 1D3
〇バッドエンド
■ 死の声
あなたへ何かを呼びかけてくる声がすぐ近くから聞こえる。
夢の中、意識はあるのに、動く事が出来ない。
見えない壁に引き込まれ、それは引く力を増していく。
時間にして一瞬。
跡形もなく消えてしまった。
→ シナリオがクリアされた場合、クトゥルフ神話技能のボーナスが得られます。
■ メンディラ接近時のファンブル
触手の動きを見極めきれなかった。動きは遅いはずなのに。
タイミングの問題だろうか。
複数の触手に触れられ、過剰な電気が身体を灼き焦げた。
→ シナリオがクリアされた場合、クトゥルフ神話技能のボーナスが得られます。
これまで起きた事例
⑴ メンディラと遭遇 技能「逃亡」でファンブル
⑵ 低SANで開始 2回の「死の声」でデッドエンド==3回に繰り上げ
⑶ メンディラに接近 技能「忍び足」で失敗==条件をファンブルのみに
■ 全プレイヤー及び調査隊が壊滅
音は次第に、発電所の付近だけではなく、近くの町まで聞こえるようになった。
住人も不安を募らせて、電力会社に抗議を入れることを決起したようだ。
私が依頼した探偵の三浦さん、そして協力者の方々はまだ戻らない。
きっと調査が難航しているのかもしれない。
無事を祈るばかりだ。
翌朝、町は大きな揺れに襲われた。
私は全てを悟った、彼らはもう……
私の希望はもう無いのだと。
「
ご覧下さい。町が見るも無惨な有様です。
一昨日までは、人々が営みをしていたはずでした。
しかし、一夜にして。
町は完全に陥没しています。
昨日の地震によるものなのでしょうか。
今、ヒトが。黒いローブを着たヒトがこちらに気づいて、手を振っています。
助けはまだか、そんな住人の嘆きが上空の私達にも伝わってきます。
刻々と生死をわける時計が針を進めていきます。
」
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