長閑な山村を舞台にしたデジャヴなストーリー進行のシナリオです。
大きく2エンド構成になっており、撃破に向かうPC2とグッドエンドに向かうPC3でバランスを取っていく展開を想定しております。
シーン予言が多く調査メインとなるためリミットは3と設定していますが、リミット2で進行しても高難易度好きなら忙しくプレイできる内容かと思います。
03データを使っている箇所があります。
暗示の公開を含めた各々の導入を済ませ、神子達は万神殿へ集まります。(予言は最後に記載)
万神殿ではヤマト神群の主神であるアマテラスが待っており、以下の事を告げられます。
・尾張(愛知県)のある村を中心に最近不可解な事象が多発している、という知らせを受けた。
・今の所絶界化は見られないため担当が付けられず、その上未覚醒の神子が近くにいるらしいとの報告もあり、主神自ら同行する事になった。
・ゲーm、雑務も済ませたいので速やかに、できれば3日程度での解決を望む。(1サイクル=1日)
神子達はアマテラスに急かされながら活力の決定、冒険の準備を済ませ【危険な旅】へと望みます。
試練表を使用する場合、【愛知県知多郡 試練表】を使用します。
1 | どこからか低いうめき声が聞こえる。【霊力】で判定し、失敗すると【臆病1】の変調を受ける。
2 | かつて醸造工場だったらしい赤レンガの建物に迷い込み、そこで神統主義者である神子の襲撃を受ける。【武勇】で判定し、失敗すると黒のインガが1つ増える。
3 | 突然、無数の常滑焼(とこなめやき)が襲い掛かってくる。【技術】で判定し、失敗すると[1D6 / 2]点ダメージを受ける。(小数点以下切り捨て)
4 | 日本で唯一のお酢の博物館が気になり、結局見学する。1神貨失う。神貨が無い場合、試練表をもう一度振る。
5 | 局所的な地震に見舞われる。どうやら付近を治める神々の怒りを買ってしまったらしい。生命点を[2]点失う。
6 | ホタルを追いかけているうちに本来の目的を忘れかける。黒以外の領域に置かれているインガを2つ選択し取り除く。
全員が移動を終えたら、冒険フェイズへと移ります。
サイクル開始時にマスターシーン【第一村人】が発生します。
発生条件:第1サイクルを開始する
「おやっ、お客さんかい?」
村へ到着した神子達を男が迎える。
(男が会話の中で教えてくれる情報は下記)
「確かに最近色々起きてるねぇ。ご近所さんの畑が荒らされたり、ボヤ騒ぎなんかもあったかな」
「俺なんか大した話はできやしないが、道の先に兵藤って若い猟師が住んでてな。おっ母さんの葬式も落ち着いて寂しい頃だろうから、話でもしてやってくれねぇか」
「あいつは優しいというか、ちょっと前まで狐1匹撃てなくてな。一人前って言うにはまだまだかねぇ」
これから畑の片付けをしなければと男は別れを告げ、神子達は村の中へと向かい冒険フェイズを開始します。
冒険フェイズは下記の【シーン表】を用いて進めます。
括弧内はセッションを通して最初にその場所が登場した際に処理してください。
1 | お寺 | 六地蔵様が見守る小さな山寺。木の間に城の屋根瓦が覗き、隣接する墓地には彼岸花が赤い布のように咲き続いている。
(予言【彼岸花の咲く寺】の《暗示》を公開する)
2 | 荒れた畑 | 村の住民が管理している畑。しかし、今は畝が潰され、掘り起こされた作物が無残に散らばっている。
(シーンプレイヤーは【技術】で判定し、失敗すると畦道を踏み外し、黒以外の領域に置かれたインガを1つ選択し取り除く)
3 | 裏山 | 兵藤の家の裏手にある山。栗や松の木が並び、それにつられた狐など野生動物達の姿が見え隠れする。
(予言【裏山の穴ぐら】の《暗示》を公開する)
4 | 兵藤の家 | そばには素焼きの赤い井戸がある古風な民家。戸口には川に仕掛ける網や獲った魚を入れておくカゴが干してある。
(マスターシーン【兵藤の家】が発生する)
5 | 川原 | 村のそばを流れる小川。辺りのススキの穂にはまだ雨水が光り、川は長く降った雨で水かさが増している。
(シーンプレイヤーは【日常】で判定し、失敗するとぬかるみに足をとられ派手に転び、【恥辱】の変調を受ける)
6 | 城門の前 | かつてこの一帯を治めていた中山という城主の居城。辺りにはチンチロリンと、のどかな松虫の鳴き声が響く。
(予言【イワシ売りの証言】の《暗示》を公開する)
発生条件:「兵藤の家」のシーンを初めて処理する、または「兵藤の家」のシーンを処理しないまま第1サイクルが終了する
「おやっ、お客さんかい?」
あばら屋の前で薪を割っている男がこちらに気付き、声を掛けてくる。
男は「兵藤 清十郎」と名乗り、村で猟師をしているという。
(予言【兵藤清十郎】の《暗示》を公開する)
「まぁ立ち話も何だ、中へお入りよ。お茶くらいしか出せないけども」
と久々の来客に照れ臭そうな笑顔で家の中へ通される。
部屋を見渡すと、壁に猟銃が掛けてあるのが目にとまる。
※【兵藤の猟銃】については、下に記述するルールで扱ってください。
兵藤の猟銃ルール(以下のルールの公開範囲はGMに委ねます)
全員の行動が完了した時点で兵藤の暗示が公開されていない場合、マスターシーン【兵藤の家】が発生します。
兵藤は「もう日が暮れちまったし、泊まっていきなよ。」と神子達を泊めてくれ、第1サイクルを終了します。
兵藤の家から、シーン表を使って調査を続けます。
全員の行動が完了した時、マスターシーン【妖狐光臨】が発生します。
発生条件:第3サイクルが終了する
神子達が調査を続けていると、突然金切り声が静寂を裂いた。
木の葉は一斉にざわめき、足元の小石は細かく跳ねる。
頭が割れるような高音は耳を塞いでもなお強く響く。
そして、その一声を待っていたかのように景色が歪む。
ゆっくりと、低く重苦しい暗雲が村を覆う。
「いけない、絶界化が始まってる!」
異変に気付いたアマテラスの表情が曇る。
いつしか叫びは遠くに消え、地鳴りが轟々と響く。
「すぐ対処しないと、私達も無事じゃ済まないわ……」
向かうべき場所は既にはっきりしていた。
轟音よりも鋭い敵意が、ある一点より向けられている事に神子達は気付くだろう。
兵藤の住まい、その裏にある山の頂は今や雲間に紅い満月を背負い、うねる9本の影が月光を遮るーー。
決戦フェイズへ移ります。
本体 | 九尾狐
パラグラフ1 | 九尾
パラグラフ2 | なし
パラグラフ3 | 鬼火
パラグラフ4 | なし
パラグラフ5 | なぎはらい
また、欄外に兵藤を配置します。ステータスは以下の通り
※兵藤の真実が公開されていない場合
神群 | -
親神 | 謎の案内人
背景 | 忘却の子
能力値 | 武勇C, 日常A, 他全てB
生命力 | 10
ギフト | 謎の案内人、暴走、失われた物語x2
アイテム | 猟銃(性能は弓に準ずる)、護符x2
※兵藤の真実が公開されてる場合
神群 | ギリシア神群
親神 | アポロン
背景 | 非公開
能力値 | 武勇B++, 技術B, 頭脳B+, 霊力B+, 愛B+, 日常C-
生命力 | 24
ギフト | 親神の恵み、医霊、激励、星乙女
アイテム | 猟銃(性能は弓に準ずる)、護符x2
決戦フェイズでPC達が敗北した場合、また強制終了した場合は、ルールブックに従って【強制終了】の処理を行ってください。
勝利した場合、決戦フェイズでPC3の真実が公開されているかによって、以下のように分岐します。
・真実が公開された: マスターシーンの処理後、エピローグ1へ。
・真実が公開されずに九尾狐を撃破した: エピローグ2へ。
たちどころに暗雲は晴れ、怪物のいた場所には子狐が倒れていた。
兵藤は猟銃の姿へと戻ったそれをばたり、と取り落とし子狐へと駆け寄る。
荒く息をする子狐を抱きかかえると、近くに栗の実がいくつか散らばっているのが目に付く。
「ごん、お前だったのか。栗をくれたのは」
ごんと呼ばれた子狐は目を閉じたままぐったりと頷く。
・・・
「行きましょう。もう絶界化の危機は過ぎたわ」
アマテラスに促され山を下っていると、2つの小さな影が神子達を追い抜いていく。
それは狐であった。小さく、力無く走る子狐を大きな狐が庇うようにして並走している。
大小の狐は少し先を行くとこちらを振り返り、暫くしてまた走り出すと見えなくなった。
快晴だった空は突然天気雨に見舞われ、神子達は足早に帰路へと着いた。
以降の展開はPC達に委ねられます。
たちどころに暗雲は晴れ、怪物のいた場所には子狐がぴくりともせず横たえていた。
兵藤は猟銃をばたり、と取り落とし子狐へと駆け寄る。
子狐の亡骸を抱きかかえると、近くに栗の実がいくつか散らばっているのが目に付く。
「ごん、そんな、お前だったのか」
・・・
「……行きましょう」
アマテラスに促され山を下っていると、小さな影が神子達を追い抜いていく。
それは狐であった。狐はそのまま一目散に駆けていき、じきに見えなくなった。
以降の展開はPC達に委ねられます。
PC、NPC、場所等の予言です。
推奨親神:なし
推奨能力値:頭脳
《暗示》
貴方は夢を見る、大規模な神話災害の予兆とも言える事象の数々を。
作物は焼かれ、畑は酷く荒らされている。
放っておけば次は人の命さえ危険に晒される事となるだろう。
貴方の《任務》は、起こり得る神話災害を未然に防ぐ事だ。
《真実》
夢には続きがある。村を荒らしていたその犯人の姿、
その身を金色の体毛に覆われた恐ろしくも美しい巨大な四足獣の全容を貴方は認識するだろう。
この真実が公開されている場合、偵察ラウンドで脅威【なぎはらい】が公開される。
《トリガー》
リミットまでに真実が3つ以上公開される。
推奨親神:なし
推奨能力値:なし
《暗示》
貴方は幻視する。おぼろげにもその大きさを計り知れる、巨大な怪物と対峙している自らの様を。
その巨体を力任せでねじ伏せることが容易でない事は、誰が見るにも明らかだ。
貴方に課せられた《任務》は有効な攻撃手段を見出し、怪物を地に伏せることだ。
《真実》
貴方は幻視の続きを思い出す。膝を着きその巨体をかがめる怪物の姿を、
それに向けられた鈍く冷酷に光る銃口を。
この《真実》が公開されている場合、決戦フェイズで《脅威》を撃破した際に
《本体》に与えるダメージを[1D6]点上乗せする。(端数切り上げ)
《トリガー》
兵藤清十郎の猟銃を手に取る。
推奨親神:なし
推奨能力値:愛
《暗示》
貴方は肌で感じ取るだろう、親を失い、親友を失った男の深く悲しい感情を。
しかし同時にそれが今すぐでないことも貴方は直感する。
神子たる力でこの不確定な未来を覆すのが貴方に与えられた《任務》だ。
《真実》
男の親友とは「ごん」と名付けた同じく身寄りの無い野良狐の事である。
神話災害の影響で怪物へと望まない覚醒を遂げた親友を救えるのは男の強い《想い》だけだ。
この《真実》が公開された時、勝利扱いで決戦フェイズが終了し
マスターシーン【おくりものの真実】が発生する。
《トリガー》
NPCの《真実》が公開されており、かつ決戦フェイズにおいてPCのうち誰かが
NPCの《介入》を受けた攻撃を成功させる。
兵藤は猟銃を構えると、怪物に狙いを定める。
その銃口は小さく震え、額には汗が滲んでいる。
すると、猟銃は神性武器としてのあるべき姿を思い出したように光り輝く弓矢と姿を変えた。
兵藤は眼を一層強く見開き怪物を一点鋭く睨む。
※ここで所持している【栗の実】の数に応じて兵藤の台詞が変化します。
絹を裂くような鋭い風切音と共に矢が放たれ、一閃、怪物の首元へと突き刺さる。
それは唸り声を上げると小さくうずくまり、黒いモヤとなって森に溶けていった。
《暗示》
彼は村の猟師である。ある日突然村を訪れる者達と共に、
頻発する様々な出来事の真実を突き止め、村の平穏を取り戻すこととなるだろう。
《真実》
この《真実》が公開される前に、マスターシーン【調律の弓矢】が発生する。
貴方はアポロンの神子である。その力は来るべき決戦に於いて
一筋の光となり神子達を勝利へと導くであろう。
《トリガー》
2サイクル目開始以降公開できる。
「ところで、君達が時々話しているその人達は誰だい?」
兵藤は不思議そうにアマテラスやPCの親神達を指して尋ねる。
神子や親神達は驚くだろう、神々は《神の血》を媒介として初めて人間に干渉できる筈だ。
「あなたが未覚醒の神子ね。」
アマテラスが詳しく尋ねようとしたその時、民家の方から悲鳴が飛び込んでくる。
見ると、宙に浮かぶ真っ赤な火の玉が村人にジリジリと迫っていた。
PCのうち代表者1名は直ちに下記のどちらかで撃退判定。
・近接攻撃をする場合は《武勇》
・遠距離攻撃が可能な場合は《技術》もしくは《武勇》
成功すると偵察フェイズで【鬼火】の脅威カードが公開される。
失敗すると[1D6]点ダメージを負いながら撃退する。
村人を襲っていた火の玉は撃退したが、気が付くと神子達が無数の火の玉に取り囲まれていた。
絶望的にも思えたその時、光輝く矢が無数の火の玉一つひとつを正確に射抜き、姿を消した。
振り返ると兵藤の背後にギリシャ神群のアポロンが顕現していた。
兵藤の予言を読み上げ、シーンを終了します。
これらの《トリガー》は共通して「いつでも公開できる」となります。
《暗示》
六地蔵様が見守る小さな山寺。
木の間に城の屋根瓦が覗き、隣接する墓地には彼岸花が赤い布のように咲き続いている。
辺りには微かだが線香の匂いが漂っている。
《真実》
先日兵藤の母親が病死し、その葬儀が執り行われていたらしい。
また、その葬儀の最中に野良狐を見たという話も聞こえてくる。
この付近まで寄ってくる事は珍しいようだ。
聞き込みの中で不自然に落ちている栗を見つけた。
この真実を公開したPCは【栗の実】を1つ獲得する。
《暗示》
兵藤の家の裏手にある山。栗や松の木が並び、それにつられてかリスや狐など野生動物達の姿が見え隠れする。
少し入ると、シダの茂った陰に小さな穴ぐらがある。動物の寝床だろうか。
《真実》
穴ぐらを覗くと、入り口のところには太いうなぎのような魚の死骸が葉の上に乗せてあり、
穴の中には布団のように枯れ草の敷かれた空間がある。
穴ぐらでは隠してあるかのようにして栗の実も見つかった。
この真実を公開したPCは【栗の実】を1つ獲得する。
《暗示》
通りかかりに町から仕入れたイワシを売り歩く男に話を聞くと、
「そこにいる兵藤って奴がこないだうちのイワシを盗みやがったんだ!」と繰り返すが、
兵藤は「だからそれは何度言われても心当たりが無いんだ」と困り顔である。
※この時点で兵藤に会っていない場合
通りかかりに町から仕入れたイワシを売り歩く男に話を聞くと、
「この先の赤井戸の家の兵藤って奴がこないだうちのイワシを盗みやがったんだ!だけども知らねぇの一点張りでよぉ」と憤慨していた。
《真実》
いわし売りが盗まれたと言う時間に兵藤を川原で見たという町人が現れ、
何者かが兵藤の家にイワシを放り込んだ事が明らかとなった。
謝罪するイワシ売りは思い出したように
「そういえば、あの騒ぎの少し後に俺の家の玄関先にでっけぇ栗が置かれてたんだ。
俺は食わねぇから、やるよ」
と言い、PCに栗を差し出す。
この真実を公開したPCは【栗の実】を1つ獲得する。
モチーフは新美南吉 著「ごん狐」より。
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