2018年11月16日更新

忌み子が生きていくという事

  • 難易度:★★★|
  • 人数:3人~5人|
  • プレイ時間:4~5時間(ボイスセッション)

ナイトメアの差別問題を扱ったシナリオです。PCに、左記についての考えを述べてもらうシーンがあります。
2.0のルールブックⅠがあれば回せます。2.5でもモンスターを差し替えればプレイ可能です。

あらすじ
蛮族領で生きることを決意したダークナイトの男が、決意を固めるために手近な村を襲った。そこで男は、地下牢に幽閉されていたナイトメアの少年を発見する。激怒した男は大人たちを皆殺しにして、子どもたちを連れ去った。徹底的に破壊された村の惨状を通りがかった行商が発見し、冒険者の店に依頼が出された。

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SW2.0シナリオ「忌み子が生きていくという事」


概要

ナイトメアPCがいる卓向け。ナイトメアの差別問題を扱ったシナリオ。左記問題に対する考えを述べてもらうシーンがあります。
レベル帯:3〜4向け
PL人数:3〜5人向け
所要時間:5人で十分にRPを行ったうえで4〜5時間(オフセ)
キーパリング難易度:低〜中。情報管理や戦闘は簡単です。RPが好きなGMには合うと思いますが、苦手なGMさんは、地の文をそのまま読み上げても大丈夫です。


あらすじ

蛮族領で生きることを決意したダークナイトの男が、決意を固めるために手近な村を襲った。そこで男は、地下牢に幽閉されていたナイトメアの少年を発見する。激怒した男は大人たちを皆殺しにして、子どもたちを連れ去った。徹底的に破壊された村の惨状を通りがかった行商が発見し、冒険者の店に依頼が出された。


舞台

蛮族領が近くにある街(ルーフェリア-ゼルブリス、リオス-ディルフラム、ルキスラ帝国-レーゼルドーン大陸など)ならどこでも。


導入

冒険者の店にたむろするPCたちに、マスターが声をかける。「急な依頼が入ったんだ。お前ら、今すぐ出れるか?」
依頼内容は以下の通り:
つい先ほど街に到着した行商人から報告があった。街から馬を走らせて3時間ほどのところにある「ルイン村」に、襲撃された形跡がある(焼き払われ黒い煙がくすぶっていた、蛮族のものらしき足跡が周辺に見られた)。恐ろしくなった行商人は村には立ち入らず、急いで街に入ってきた。
おそらく襲撃されて間もないであろうことから、冒険者ギルドは迅速に被害状況の確認をしたい。また、犯行グループの追跡・討伐や、連れ去られた者がいる場合にはそれの奪還など、現場の判断で可能な限り任せたい。
報酬は、被害状況を確認するだけで500ガメル。それ以上は現場の判断による。(追跡のみ…+200、討伐…さらに+800、捕虜の奪還…さらに+500)
敵の規模が不明なため、この依頼書は他の冒険者の店にも出されている。30分後に冒険者を集められるだけ集めたら、ライダーギルドから借りた馬で出発。
各パーティの代表者1名に「通話のピアス」が貸し出される。これにより、1日1回、10分間だけ現地から冒険者の店のマスターへ報告が可能。通話可能な時間が限られているため、ギルドへの報告は、その時点でパーティは任務を完了したと判断したということを意味する。報酬は報告時点までの出来高によって決定される。

GMは「魔晶石、救命草、魔香草、ヒーリングポーション、アウェイクポーション」をパーティの実力に応じた量支給してもいいでしょう。

ルイン村での探索

 馬を走らせて3時間でルインの村へ到着します。
ルインの村はおよそ30戸の、小〜中規模の村です。ほとんどの家屋は破壊され、火を放たれて黒く焼け焦げています。あちこちに、死体が転がっています。
○全員に探索判定(GMが促す):
6:大人の死体ばかりで、子どもの死体は見当たらない。
8:「ルイン村の戸籍資料」を発見する。人口は50名、そのうち子どもは15名。以下はジェラルディン家前に着いてから公開する:村一番の有力者ジェラルディン家には子どもが1名、種族は人間。
10:下級妖魔と人の足跡が入り乱れている。ぐちゃぐちゃなので、魔物知識や追跡には別途判定が必要。
12〜:丸い2足歩行の足跡もある。(フラービィゴーレム。)
○足跡から魔物知識判定:−2で判定。後述する見張りの蛮族と、フラービィゴーレムがいたとわかる。
○足跡追跡判定:下級妖魔と子ども、丸い足跡、鎧の具足。足跡を隠す様子はなく、目標値8で山の中に入っていき、洞穴までたどり着ける。

 村内の奥まったところに、大きめの屋敷(ただし、徹底的に破壊され焼かれていて、家屋としての原型をとどめていない)の残骸があります。
屋敷の前には、地面に突き立てられた2本の廃木材があり、一方が40代くらいの人間の男性、もう一方は同じく40代くらいの女性の遺体を貫いています。まるで見せしめの処刑のような印象を受けるでしょう。その近くには、上半身と下半身を真っ二つに斬られた女性型ルーンフォークの体が、ごみのように打ち捨てられています。

PCが「ルイン村の戸籍資料」を発見していれば、GMは以下のことを公開してください:
①ここはジェラルディン家の屋敷であり、貫かれた遺体はジェラルディン夫妻であろう
②女性型ルーンフォークはこの家のメイド、「ジーナ」である

○ジェラルディン夫妻の遺体を詳しく見る:判定不要。全身に打撲、切り傷が無数にある。相当痛めつけられたのち、杭に貫かれたのだろう。犯人の激しい怒りが感じられる。
○ジーナの体を詳しく見る:判定不要。PLの宣言がなければ聞き耳判定を振らせてもいいでしょう。なんと、ジーナはまだ生きている。わずかに口を動かし、PCに必死に何かを伝えようとしている。 


ジーナ

 ジーナに回復魔法をかけてやると多少話せるようにはなりますが、もう間もなく死亡することは明らかです。ジーナは最後の力を振り絞り、PCらに以下のことを語ります。

・昨日の日暮れどき、蛮族を従えた男が村を襲ってきた。異貌化したナイトメアだった。蛮族は村人を蹂躙し、家を破壊しつくした。
・ジェラルディン家を襲撃した男は、夫妻が地下牢に幽閉していた隠し子「クラウス」を見つけた。
・クラウスは12歳、ナイトメアの男の子。夫妻は彼を忌み嫌い、翌年に人間の子が生まれると、クラウスの育児を完全に放棄した。殆どの時間を地下牢に閉じ込め、様子を見に来ることすらなかった。代わりにジーナが彼の食事を作り、抱きしめてやり、遊んでやり、本を読んでやり、自分にできる精一杯の愛情を以って育ててきた。
・男は地下牢とクラウスを見て激怒し、問答無用で夫妻とジーナに襲いかかった。特に夫妻は、長く時間をかけて痛めつけてから殺した。
・男はクラウスと村の子どもたちを連れてどこかへ行った。男はクラウスに付き添い、他の子どもたちには蛮族を付き添わせていた。


 ここまで語るとジーナは目の焦点が合わなくなり、口から大量の血を吐き出します。そして、
「これまで不憫な人生を送らされ、今度は蛮族の奴隷にされるなんて、あまりにも辛すぎます。どうか、坊っちゃまをあの男から助け出してください。そして、もし叶うことならば、坊っちゃまが生きて行く道を、一緒に探して差し上げて…」
と言って、完全に停止します。
(ジーナはルーンフォークであるため、マギテック商会に連れて行けば蘇生は可能です。しかし今ジーナを街まで連れて帰るならば、犯行グループの追跡は不可能となります。)


突入

 足跡追跡判定(目標値8)に成功すると、山林の中の洞窟にたどり着きます。洞窟の入り口の前には見張りの蛮族(パーティの強さに合わせてください。当方プレイ時には冒険者レベル3〜4の5人パーティ+フェロー2人で、ボガードトルーパー×2、ボガード×3)が立っています。PCらは40m離れたところから彼らを視認でき、30mまで近づくと気付かれる可能性があります。
見張りの蛮族を倒せば、洞穴の中に入れます。

洞穴は明かりのない一本道です。
途中には、線に引っかかることで作動する矢の罠が1つ仕掛けられています。
(探索判定:目標値10 罠回避判定:目標値12 暗視や光源がない場合には目標値+4 対象:罠を作動させた1人 威力30+4 クリティカルなしの物理ダメージ)

 最奧には簡素な檻があり、クラウス以外の子ども達15名が押し込められています。檻は武器で攻撃すれば簡単に破壊できます。子ども達は真っ暗闇の中、これから自分たちはどんな目に遭うのかと悪い想像ばかりをして怯えています。PCが優しい言葉をかけてやれば落ち着きを取り戻し、話に応じてくれます。
クラウスのことを聞くなら、「角がある子は、鎧の男に連れられて違うところへ行ったよ。むちむちの気持ち悪いばけもの(フラービィゴーレム)も一緒だった」と教えてくれます。
クラウスの11歳の妹もいますが、地下へ行ってはならない・ジーナと話してはならないと厳しく躾けられており、きょうだいがいることを何となく気付いてはいるものの、殆どのことを知りません。

 足跡追跡判定(目標値10、フラービィゴーレムのことを子どもたちから聞いているなら目標値8)に成功すれば、そう遠くないところに同じような洞穴の入り口を発見できます。木々などで巧妙に隠されており、見張りはいません。洞窟内はたいまつで光源が確保されていることが外からでもわかります。

実はこの洞窟は蛮族領へ繋がる長いトンネルです。上向きのわずかな傾斜があり、通風も確保されているので水責めや放火は効果がありません。PCがそのような提案をした場合には、GMはやんわりと却下してください。
トンネルはリルドラケンがすれ違えるほどの高さと幅があります。1分ほど歩いたところで左に脇道があります。
脇道へ進むと「クラウス」が、まっすぐ進むとダークナイトの「ノアール」がいます。


クラウス

 脇道へ進んでいくと、ほどなくして小部屋と呼べるような空間があります。クラウスは冷たい床に腰を下ろし、吊るされたランタンの炎をただ見つめています。
 クラウスは淡い金の長髪をサイドテール風に下ろした美少年です。額の左上あたりに小ぶりな角があります。細く儚げな印象ですが、話をしてみると歳の割には大人びた印象を受けます。

PCが「助けに来た、ここから出よう」などと話しかけるなら、「逃げたければ逃げてもいいと、ノアールというナイトメアの男から言われているが、少し考えさせてほしい」と答えます。
以下は、想定されるPCとのやりとりです。

PC:なぜ?蛮族の奴隷にされるんだぞ? 
クラウス:ノアールと名乗るナイトメアの男に、「君だけは奴隷として蛮族に渡したりはしない。地獄のような人族社会を捨てて、差別のない実力主義の蛮族社会へ一緒に行こう。俺が鍛えてやるから大丈夫だ。」と誘われているんだ。唯一の家族だったジーナも失った今となっては、人族社会にこれっぽっちの未練もない。正直、ノアールについていってもいいと思っている。
PC:ジーナは蘇生できる。
クラウス:わかっているが、ジーナを蘇生させたとしても、ナイトメアは人族の中で生きていけないということはこれまでの人生を以ってよくわかった。今後も僕と一緒にいるせいでジーナまでもが差別的な扱いを受けるかもしれない。ジーナは僕のことは忘れて別の主人を見つけたほうがいい。あなた達がどうしても蘇生させるっていうなら、僕は仕事を見つけて旅立ったとでも言っておいてくれ。
PC:なんの恨みもない他の村人や、ジーナまでも殺した男について行くのか?
クラウス:正直言って、大人達には罰が当たったんだと思うよ。狭い村の中で、僕が生まれたあとどうなったのか噂にならなかったはずがないんだ。見て見ぬ振りをしていたのさ。大人達が殺されていくのを見て確かに怖かったけど、悲しいとは思わなかったんだ。両親だって、顔を見たのも昨日が初めてだよ。(男がジーナを殺したことについては、考えるのを避けています。PCがグイグイつっこまない限り自分からは言及しません。)
PC:冒険者になったらいいじゃん?
クラウス:冒険者は人族のために働くんだろう?僕は、人族のために働きたいとは考えられない。


ロールプレイの指針:クラウスは年の割にたいへん大人びて見えますが、頭脳に対して感情が未発達なだけです。ただし、人の話を真剣に聞き、自分なりに考えられる柔軟さがあります。
ナイトメアに対する偏見・自分に対する仕打ちの理由については、ジーナに尋ねた際の歯切れの悪い返答や書物のみから人族社会をイメージしており、「差別する人もいればしない人もいる」ことについては全く実感を持てていません。ジーナについては、「ルーンフォークは穢れと無縁だし、仕えると決めた相手にとことん尽くす、そういう種族だから」と考えています。
しかし本当のところ、彼にとってジーナは母親であり、姉であり、友人であり、守りたい存在です。クラウスの考え方は合理性が優っているためにそのことを自覚できておらず、ノワールがジーナを殺したことについても感情が追いついていません。ゆえにジーナの気持ちを考えず、「蘇生後は自分がいないほうがジーナのためだ」と決めつけています。PCがジーナのことで食い下がった場合のみ、クラウスは感情を揺さぶられ説得に応じるでしょう。

 クラウスを説得し、洞窟の入り口まで連れてきたらノアールを登場させましょう。もしPLが二手に分かれた場合には、いかにも強そうであるとかフラービィゴーレムが見張っていて近づくのが難しいなどと描写して、ノアールと先に接触するのは避けた方がいいとPLに思わせるほうがいいと思います。「ノアールを先に倒してからクラウスを救出する」などと宣言されたならば、事情をよく確かめずに事を運んでしまう迂闊さを思い知らせるのもまた一興です。

ノアール

 「クラウスよ、冒険者どもにほだされたか」などと言いながら登場させましょう。
ノアールは黒い甲冑を纏い大剣を携えた魔法戦士です。常に異貌化しており、その目には怒りと孤独をたたえています。また、PCと戦うのに丁度いい数のフラービィゴーレムを従えています。
ノアールはクラウスに対し、
「自分の生き方は自分で決めろ。だが、歯を食いしばり人里で生きようとした成れの果てが俺だ。残るのならば、俺よりもうまくやれ」と言います。
PCらに対しては、「俺はトンネルの先にある蛮族領に行き、くだらない差別のない実力主義の中で生きる。邪魔をするならば容赦はしない」と言います。面倒なので、ノアールからは戦いを挑んではきません。

ロールプレイの指針:PCとは様々な掛け合いが考えられますが、彼とは絶対に和解できません。
彼は蛮族領で生きる決意を固めるためだけに蛮族を力で従わせ村を襲い、怒りに任せて大量虐殺という大罪を犯しています。もう引き返せないところまで来てしまっており、それを後悔するつもりもありません。
ノアールは本名ではなく、ダークナイトとして自らにつけた名前です。ノアールもクラウスと同様、幼少期に村を蛮族に襲われました。その際両親は命乞いのために彼を蛮族の大群の前に突き出したのです。その後冒険者に助け出され、差別されにくいために冒険者となりましたが、自分を裏切った人族のために生きる意味をどうしても見出せませんでした。
子どもを連れ去ろうとしたのは、奴隷にするという理由も一応ありますが、それ以上に「殺せなかったから」です。子どもははじめは純粋な心を持っているのに、成長するにしたがい差別意識に触れ、やがて染まっていきます。ノアールはそのことに嘆いてきました。しかしそのことをPCに突っ込まれても、彼は考えを改めません。人族社会に絶望しているからです。
もしPCが、「ナイトメア生来の穢れを取り除く方法を探せばいい」などと提案した場合には、「ふざけるな!この体で生まれてきたことがなぜいけない!?不当な差別に己を合わせることが正しいなど、俺は絶対に認めない!」と激怒します。

 クラウス・ノアールとの掛け合いの中で、GMはPC全員に、ナイトメア差別に対する考え方を述べる機会を必ず作ってください。どのような考え方であっても、たとえ考えるのが面倒だ、という答えでも「GMとして否定する」のは避けましょう。フェローがいた場合考え方の一例として意見を述べさせても構いませんが、クラウス・ノアール以外のNPCは子どもたちの警護などをさせてシーンから排除したほうが、RPに集中できると思います。

PCはノアールと戦ってもいいですし、見逃しても構いません。見張りの蛮族を倒し、子どもたちを保護した時点で依頼の最高条件は達成しています。ノアールのことを黙っていても、冒険者ギルドにバレることはありません。PCの倫理観にお任せします。

戦う場合はノアール、フラービィゴーレム×(GMの設定した数)との戦闘です。フラービィゴーレムにはそれぞれ、合計してPC人数と同じになるように剣のかけらを入れておいてください。
ノアールについては以下のステータスを、フラービィゴーレムについては「2.0ルールブックⅠ」または「バルバロステイルズ」を参照してください。


ノアール(ダークナイト:人間生まれ)

知名度:弱点=自動成功
弱点:土属性ダメージ+2、銀製武器からのダメージ+2
移動力:18/54
先制値:5+2d
生命抵抗:8+2d
精神抵抗:8+2d
防護点:7
回避:4+2d
攻撃方法:ツーハンドソード(威力30+6、C⑩)、操霊魔法6レベル/魔力9)
戦闘特技:魔法収束、魔力撃、マルチアクション
備考:金属鎧(刃のついた武器から受けるダメージのC値+1)
戦利品:ツーハンドソード、プレートアーマー、魔化された肉×1(全て自動習得)



ノアールを倒したなら、
「なんてくだらない人生だった。いや、俺はもう外道だったな…」
と言って絶命します。
見逃すなら
「本当にいいんだな?二度と人族には関わりたくないが、お互い自由の効かない身だ。再び顔を合わせることがない事を願うぜ。」と言ってトンネルの闇の中へ消えていきます。
数分後フラービィゴーレムがトンネルから出てきて、PCたちの前で「魔化された肉」に戻り、中に入っていた剣のかけらを取得できます。

 子どもたちを連れて山を下り、通話のピアスで報告をすれば3時間後にライダーギルドが迎えに来て、子どもたちを保護します。そのまま街へ帰還し、依頼完遂です。
ロールプレイ次第ですが、クラウスを説得できた場合には帰りの道中で「ノアールやあなた達の言うことを聞いていて思ったけど、僕は相当狭い見識でものを見ていたらしい。ジーナのことも…彼女の気持ちに寄り添って考えたことなどなかった。ノアールのようになる前に、僕は自分の目で確かめてみようと思う。そして、ジーナのそばに連れ戻してくれてありがとう」とPC達に言います。


報酬

被害状況を確認 500ガメル
犯行グループの追跡(山の中の洞穴まで) +200ガメル
犯行グループの討伐(見張りの蛮族まで。ノアールを倒しても追加はなし) +500ガメル
子どもたちを救出(クラウスは戸籍上存在しないため、クラウスがいてもいなくても増減はなし)+800ガメル


経験点

被害状況を確認 500点
見張りの蛮族を討伐 500点
ナイトメアの差別に対する考えを表明した(内容は問わない) 左記を達成した人数×100点(パーティ全員に入る)

※GMは、PCがたとえクラウスとノワールを見送ったとしても、PCの選択を尊重し、経験点には反映させないでください。 


マスタリングのポイント

 本シナリオをプレイしてくださるのは、おそらくRP重視卓の方だと思います。うまくいくセッションは、導入の時点で自分のキャラにログインし、ワクワクできます。言い方を変えれば、導入が雑だとRPの興が乗るのに時間がかかってしまいます。依頼を受注する前のPCらの日常パート、プロローグがとにかく大事です。
 架空世界の差別問題を扱う本シナリオでは、PLに「差別のあるラクシア世界」を体験させてやる必要があります。でないと考える材料がなく、クラウスやノアールを前にPLが黙り込んでしまうかもしれません。
導入時にいくつかの視点を提示してあげましょう。視点は、「忌避」「平等」「当事者」「利用」「無知・無関心」など、いろいろ考えられます。
例えば街中ではナイトメアPCを見かけて顔をしかめる一般市民がいる一方で、スラム街の空き地に開かれる青空教室では、様々な種族の子ども達が額を寄せ合い、自分の名前を書こうと悪戦苦闘しているかもしれません。
ナイトメアPCが出自に悩んでいるなら、街の図書館で穢れを取り除く方法を探しているシーンから始めてもいいでしょう。レベル13の神聖魔法「リーンカーネーション」を用いれば、7日以内にラクシアのどこかで赤ん坊として生まれ変わる事ができ、高確率でナイトメア以外の種族になれるでしょうが、果たしてそれはPCの望むところでしょうか。(ちなみにウィザーズトゥームには「パジャリガー・スラッシュ」という、ナイトメアの穢れすら簡単に取り除く事ができる魔剣が掲載されていますが、これの存在を示唆してしまうと議論する必要がなくなってしまう可能性が高いので出さないほうがいいです)
ナイトメアは冒険者の素養が高いとはいえ、みなが冒険者を目指そうとは思わないでしょう。差別に晒されやすい一般的な職業につけるのはよほど運がいいか、差別などとものともしないような高い職業的技術や手腕を持つ者に限られるでしょう。そうでない者たちの社会的立場につけ込んで後ろ暗い仕事をさせる輩はいるでしょうし、不老という特徴を生かし娼婦(夫)となる者もいるかもしれません。
 恵まれた家庭に生まれた者は、そもそも差別問題に触れる機会のないまま大人になるかもしれません。「人はそれぞれ違っているのに、なぜ種族で一括りに扱うのか。ナイトメアを憎む人々と、自分たち以外の人族を嫌う・恐る・恨むナイトメアは、本質的に同じではないか」などと語るPCの友人を出してもいいかもしれません。尊重されるべき視点だと思いますが、クラウスやノアールが受けた仕打ちを聞いてなお、同じ意見を持ち続けられるでしょうか。
 
 導入では、PCを上記のようなキャラクターに接触させたり、見かけさせたりするだけで十分です。「今回のシナリオはこういうテーマなんだな」とPLが予想してくれれば導入は成功といえるでしょう。

一例として、私の卓でのプロローグを載せておきます。

○「打ち倒した蛮族の剥製を展示しようとしているあなたのところに、いかにも悪徳成金ゲス商人みたいな男がやってきて『その話乗らせてくれ!』と言ってきます。男は、
『ナイトメアの娼館も併設しよう。やつら穢れちゃいるが見た目は人族とほとんど変わらねぇし、男女とも顔にハズレはねぇときてる。蛮族の剥製なんて悪趣味なモンを見にくる奴らなら、ついでに金と劣情もぶちまけてくれるだろうよ。冒険者になって命を危険に晒す以外の道をやつらに作ってやるんだ。素晴らしい慈善事業だろ?』と続けてきます」

○「あなたは知り合いのスラム出身のNPCに頼まれて、ガキンチョたちに読み書きを教えているところです。彼らは目を輝かせ、あなたの話を熱心に聞いています。その輪から少し離れたところで、最近スラム街に仲間入りした7歳くらいのナイトメアの少年が羨ましそうに見ています。あなたにつられてドワーフの少年が彼に気付き、『そんなとこで何してんだ?こっち来いよ!あ、もしかしてツノのこと気にしてんのか?ばっかやろー!オレなんかまだ9歳なのにこーんな立派なヒゲがあるんだぜ!』『お前のツノけっこう手触り良さそうだな!触ってもいいか!?』などと言いながらナイトメアの少年を輪の中に引きずりこんでいます」

○「あなたは図書館で、穢れを取り除く方法を探しているナイトメアに出会います(別卓の私のPCです。今回はフェローとして参加)。あなたたちは、高位の神聖魔法の中に生まれ変わりの奇跡を見つけます。どうやら一度死亡する必要があるようですが、魔法がかかればあなたの魂は新たな赤ん坊に宿るようです。しかしそれを見た彼女は『やっぱ私らは、いちゃいけないってことなんだろうね』と呟きます。


追記(読まなくてもいいです)

うちの卓のナイトメアPCの人間嫌いがどうしても治らないので、あえて人間嫌いガチ勢の敵キャラをぶつけて「ノアールと自分はどう違うのか?」と線引きをしてもらいつつ、他のPCもナイトメアPCを理解するきっかけを作ってみようとしたシナリオです。
PL達はみな真剣に考え、十人十色の意見を出してくれました。GMは中の人とPCで意見が違ったりして葛藤するさまを見ることができました。
うちのPC達の印象的なセリフを抜粋します。

わたしは最近まで差別というものを知らなかった。だから、あなたを見ていてわからないこと、不思議なことがある。あなたの角や肌を見て決めつけ忌み嫌った人たちと、差別された経験からひとくくりに人間を嫌うあなたと、一体なにが違うの?(人間)

旅の途中で出会った人達の中には、ご飯をくれる人もいたし、こっちを見もせずに去っていくこともあったよ。だから種族関係なくいい人も悪い人もいるんじゃないかな?(グラスランナー)

ノアールとともに蛮族の国へ行くか、それともエリザ(ナイトメアPC)のリルドラケンの村へ行くか。全てはクラウス、キミの自由だ。だから見ていてくれ、ここでのオレたちとノアールの戦いを。キミならどちらの心と一緒に行くのか。(ルーンフォーク)

思い浮かべて。あなたにとっての大切な人。それが思い浮かぶのなら、あなたはその人といたほうがいいわ。
私も人里に出て差別された経験があるから気持ちはわかる。でも、だからといって殺すのは蛮族となんら変わりないわ。人族としてのあなたは、あの村で死んでいる。同族のよしみで見逃す代わりに、二度と人族に関わらないで。
(リルドラケン生まれのナイトメア)

お金くれるんなら蛮族領へだってついていきますぜダンナ!(シャドウ)

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ソードワールドとクトゥルフのシナリオを時々自作します。 感想や、「こここうしたらもっとうまく回せたよ!」などあればお気軽に教えてください!飛びあがって喜びます。 ニコニコでクトゥルフ動画も投稿しています。https://www.nicovideo.jp/watch/sm31500873 twitterID→numachipachi

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