冒険者ギルドの店内には、ハーヴェスの持つ活気が表れている。リルドラケンはリカントの工匠と鎧の肩当について相談をしており、まだ昼間なのに中央の席ではドワーフ達が樽を用意して豪快な飲み比べを始めている。エルフの軽騎士が人間の戦士と真剣な眼差しで壁に張られた依頼を見つめている。そして、一人の書士が僕たちのテーブルへとやってくる。今、冒険者としての一歩目が始める。
※本シナリオはSW2.5の初期作成3~5人を想定して作られています。
シナリオはルールブックⅠとⅡによって作られていますが、Ⅲや2.0のサプリを導入して遊ぶこともできます
本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作になります。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA
本作を読む際の注意点をいくつか説明いたします。
・本文中に、〔〕で囲まれた文章が出てきますが、これはGMがそのまま読みあげればよい部分になります。
・魔物名 ×X,Y,Z(⇒該当ページ)という表記がございますが、これはPCが3人なら記載されている魔物がX体、4人ならY体、5人ならZ体で戦闘を行うという意味になります。該当ページはその魔物がルールブック、サプリメントのどこに記載されているかを表しています。
・本文中、一部の単語を省略した形で用いています。以下にまとめます。
『Ⅰ』→ソード・ワールド2.5 ルールブックⅠ
『Ⅱ』→ソード・ワールド2.5 ルールブックⅡ
本シナリオでは、PC達はハーヴェス⇔グランゼール間の街道の近くに存在する洞窟に住み着いているゴブリン(⇒『Ⅰ』439頁)たちの討伐に向かうこととなります。しかし、PC達が洞窟に着いた時には既にゴブリンたちは既に別の何物かによって殺されてしまっています。
この洞窟はファーベルト平原の森からやってきたゴブリンを中心とする蛮族たちのグループが縄張りを広げようと占拠していましたが、ディガッド山脈に存在するフーグル(⇒『Ⅰ』440頁)を中心とする別の蛮族のグループに邪魔に思われ襲われることとなりました。ゴブリンたちの何匹かは逃れましたが、ほとんどのゴブリンはフーグルマンサー(⇒『Ⅰ』441頁)と、彼の支配下にあるガストナイト(⇒『Ⅰ』462頁)によって瞬く間に殺されてしまいました。PC達は洞窟の奥にてこのフーグルマンサーと相対することとなります。
このシナリオは、初期作成のPC、3~5人を想定してデザインされています。それ以外の場合、敵などをGMが調整してください。
アルフレイム大陸(⇒『Ⅰ』373頁)の南西部にある、ブルライト地方の都市、「ハーヴェス」(⇒『Ⅰ』379頁)から冒険は始まります。
PCたちは、ハーヴェスに存在するとある冒険者ギルド支部〈ドラゴンファイア〉に登録したばかりの駆け出し冒険者です。本シナリオでは便宜上、PLたちの所属する冒険者ギルド支部を〈ドラゴンファイア〉としていますが、その時のGMとPL達で決めてしまって構いません。毎回「とあるギルド支部」と書くと混乱を招く可能性があった為、ソード・ワールド2.5ルールブックⅠのサンプルシナリオに登場する〈ドラゴンファイア〉を借りています。シナリオ開始時に参加メンバーでギルド支部の名前を決めるのも楽しいでしょう。
GMがNPCをロールプレイする際の参考になるように、ある程度彼らの特徴、考え方などを記します。GMはその場その場に応じてRPしやすいように改変してくださってかまいません。
・マカオン・ガードナー(人間/男/17歳)
PC達の所属する冒険者ギルド支店〈ドラゴンファイア〉で冒険者と依頼の管理を担当している新米職員になります。髪は黒のショートカットで、いつも笑顔なので若々しい印象です。冒険者ギルドの職員に憧れがあったので、非常に仕事熱心です。PC達のパーティの登録を担当したのも彼なので、パーティのリーダーとは面識があるかもしれません。自分と同じ新米であるPC達に親近感めいたものを感じています。ちょっと喰い気味に話す悪い癖があります。
・ミリッツァ・ワサンシー(エルフ/女/69歳)
グランゼールにある冒険者ギルド支店に所属しているレベル4のフェンサーの冒険者です。髪は金髪で長く、全体的にすらっとした印象です。冒険者の不文律の“他の冒険者を助ける”(⇒『Ⅰ』366頁)に従い、街道を通るPC達と危険の情報共有(ゴブリンと交戦したこと)をしようと話しかけてきます。パーティのリーダーをしているだけあり、優しく面倒見のいい性格をしています。
・フーグルマンサー(フーグル/男/?歳)
ディガッド山脈に棲んでいるフーグル達の中の一匹です。彼らは自分たちの縄張りの中にゴブリンがいると冒険者たちに目をつけられてしまうのではないかと危惧し、今回は魔術を使え、ある程度闘いに自信のあるフーグルマンサーにガストを封じた〈魔石〉(⇒『Ⅰ』460頁)をいくつか持たせて始末することにしました。傲慢な性格であり、冒険者には力で勝てないかもしれないが、知恵では勝っていると考えており、PC達を騙そうとします。
シナリオの流れ
1)冒険者ギルド ~ 導入
2)道中 ~ 商人一行
3)洞窟
4)結末
〔きみたちは、つい先日“導きの港”ハーヴェス王国の中心部に存在する冒険者ギルド支店〈ドラゴンファイア〉に登録を済ませたばかりの駆け出し冒険者である。ブルライト地方一の活気を持つ国の冒険者ギルドなだけあり、鎧について相談するリルドラケンや、中央の席で飲み比べをするドワーフ達、ボードに張り出された依頼を眺めている冒険者のパーティなど、店内はなかなかの活気にあふれている。そんな中、君たちの所へと〈ドラゴンファイア〉の職員であるマカオン・ガードナー(人間/男/17歳)がやってくる。〕
「やあ、冒険者ギルドにはもう慣れたかい?なにかわからないことがあったらじゃんじゃん聞いていいよ。君たち冒険者のサポートが僕たちの仕事だからね。」
「それと、まだ冒険者になったばかりの君たちに丁度いい仕事があるんだけど、どうかな?」
〇依頼の内容
・ハーヴェス⇔グランゼール間の街道(⇒『Ⅰ』386頁)の半ばあたりから北西に少し進んだところにある洞窟にゴブリンが棲みついており、街道を通る行商人を襲っている。
・依頼の内容は洞窟内の蛮族の討伐である。
・だいたい歩きで2日ぐらいの場所にある。今から向かえば2日後の昼に着く。
・報酬はひとりにつき400ガメル(失敗時は0)。
・前だし報酬として、PCひとりにつき〈ヒーリングポーション〉(⇒『Ⅰ』325頁)×1と、保存食1週間分が支給される。
・出発から6日立っても帰還しなかった場合は失敗とみなし、救援及び死体の回収を目的とする別の冒険者への依頼が行われる。
・もし深刻な状況や、想定外の事態が発生し、それを現場の判断で解決することができた場合、追加の報酬が支払われる。
マカオンはPC達からの報酬のつりあげ交渉には応じません。また、PL達が依頼を断るなどした場合は、今のPC達のランク(⇒『Ⅱ』137頁)で受けられる依頼はないであろうことと、この依頼は冒険者ギルドが依頼主であり、これは“冒険の紋章(⇒『Ⅰ』365頁)”を渡す為の試験の意味合いも兼ねているということをこっそりと教えてくれます。
目的地は歩いて2日ほどの所にあり、途中までは街道を利用して行くことになります。移動している途中で、PC達は数人の冒険者たちを護衛につけた商人の馬車と出会います。護衛の冒険者のリーダーであるミリッツァ(エルフ/女/69歳)は、PC達一行を見つけると、馬車を止めて近づいてきます。
「やあ、お疲れ様。見たところ冒険者のようだけど、グランゼールに向かう途中かな?」
「ハーヴェスの守衛から聞いているとは思うんだけど、蛮族達に気をつけてね。僕たちの馬車もこの前襲われたんだ」
洞窟にいたゴブリンたちの一部はフーグルに襲われた時に逃げ出して、本来の住処であったファーベルト平原へと向かっていました。ミリッツァのパーティはそのゴブリンの一団と遭遇し、戦闘となりました。以下の情報を参考にしてミリツァとPC達を会話させてください。
・ミリッツァが遭遇したのはゴブリン5匹の群れだった。
・中には普段はあまり住処から出てこないゴブリンの司祭もいた。
・遭遇した場所はここから半日かからないぐらいの所である。
※このイベントはシナリオに必須なものではないので、セッションの簡略化をしたい場合には省略してもかまいません。
その後洞窟にたどり着くまで特に道中では何も起きません。ミリッツァとゴブリンが戦闘を行った場所に行きたいとPC達が考えた場合、行くことは可能ですが、ゴブリンの死体が見つかるのみで特に新しい発見はありません。当然ですが戦利品の獲得を行うこともできません。
洞窟は自然環境として扱います。ゴブリンは暗視を持っている為、洞窟内には松明などの明かりは一切ありません。洞窟に入る前にパーティの誰が暗視を持っているか、誰が松明を持つかなどを確認しましょう。洞窟内の構造や分岐に関しては、地図を参考にしてください。また、洞窟内の通路の横幅はだいたいPC2人が無理なく歩ける程度です。とくに後ろからの奇襲や通路内戦闘などは準備していませんが、言っておくと雰囲気がでるので伝えておきましょう。
※松明について
SW2.5の松明は半径10mを照らすことができます(⇒『Ⅰ』320頁)。しかし、10m先までくっきり見えるわけではなく、あくまで戦闘や行為判定をする際に10m以内であればペナルティ修正がかからない程度だと考えてください(つまり、入口から松明を照らすだけで分岐点まで見えたり、dの穴の上から、底の様子がはっきり分かるわけではないということです)。
※洞窟内の足跡
おそらくPC達は洞窟内部の様子について、「足跡追跡判定」(⇒『Ⅰ』113頁)を行おうとするかもしれません。基本的にはどの場所もゴブリンの足跡まみれなのですが、達成値が10以上であればゴブリン以外の足跡を見つけることができます。参考用に、洞窟内での各エネミーがどのように動いたかを記します。ただし、ガストとガストナイトの足跡を見分けるには達成値12が必要です。
・ゴブリン:洞窟内のありとあらゆる場所に残っています
・フーグルマンサー:a→c→d→e→g→h→i
・ガスト:e→h
・ガストナイト:c→g→e→h→i
※時間について
行為判定にはそれぞれ、一瞬か1分か10分か若しくはそれ以上の時間が必要になりますが、冒険者たちが意図的に行動しない限り、洞窟の中にいる間はあまり時間を気にしなくてもかまいません。よっぽど時間がかからない限り、フーグルマンサーは体を休めるためiの部屋にいますし、fの部屋のガスト達は突っ立っています。
洞窟に足を踏み入れると、肌で空気の澱みを感じます。洞窟内には妖魔特有の獣くさい臭いに混ざって異質な臭いが漂っています。目標値9で冒険者レベル+知力ボーナスで判定を行ない、成功すればその濃い匂いが血によるものであるとわかります。
入口からは10mほどまっすぐな道が続いており、そこで右に緩やかに下るような道と、左にまっすぐと続く道に分かれています。
入口から見て最初の分かれ道には、地面に引き摺ったような血の跡があります。目標値8の「足跡追跡判定」(⇒『Ⅰ』113頁)を行い、成功すれば血の跡から左から右へと引き摺ったことがわかります。さらに、達成値が10を越えている場合は、足跡がゴブリンのものではないこともわかります。これはフーグルが襲撃した際に、殺したゴブリンの死体をdの部屋に捨てにいく過程で出来た跡です。
この空間には、簡単な作りの木の机や寝床などがあり、ゴブリン達の生活スペースであったことがわかります。この部屋もbの通路と同じように血の跡が残っています。目標値10の「探索判定」(⇒『Ⅰ』114頁)を行い、成功すると隠された通路を見つけます。この通路は妖魔の体の大きさに合わせてある為か非常に狭く、タビットやグラスランナーならかろうじて通れるぐらいの幅しかありません。この通路は妖魔の作った緊急時用の避難口であり、洞窟の外へとつながっており、出口は植物の繁みによって隠されています。ミリッツァの遭遇したゴブリンたちはここから逃げ出しました。
また、目標値11の「異常感知判定」(⇒『Ⅰ』113頁)に成功することで、机に妙なキズがあることに気が付きます。それは何か剣で斬りつけたように見えるが、それにしては跡がきれいすぎるのです。この傷は、フーグルマンサーがゴブリンを襲ったときに真語魔法の【リ―プ・スラッシュ】(⇒『Ⅰ』250頁)を使用した時にできたものです。目標値10の「見識判定」に成功すれば、それが【リ―プ・スラッシュ】によるものだとわかるでしょう。
ここには深さ10mほどの深い穴があります。この穴は天然のもので、洞窟の妖魔たちはこの穴をゴミ捨て場として使っていました。今は大量のゴブリンの死体が捨てられています。
穴の周りの岩は頑丈でごつごつしており、充分な足場があり、ロープなどを括り付けることも可能です。穴を下る場合の「登攀判定」(⇒『Ⅰ』121頁)の目標値は9ですが、GMは、PC達の状況を加味し、「登攀判定へのボーナス修正とペナルティ修正」(⇒『Ⅰ』122頁)を参考にしてください。
穴の底には十数匹ほどの妖魔の死体があります。そのほかにも捌かれた鹿などの野生動物の残骸などがあり、おそらくそれらを養分としているであろう植物も見られます。この植物は目標値9の「薬品学判定」(⇒『Ⅰ』116頁)に成功することで、薬草として用いることができるとわかります。成功した場合は、PC人数分の救命草(⇒『Ⅰ』324頁)を入手することができます。
しばらく真っ直ぐの道が続いていき、20mほど進んだところで右への分かれ道があります。fの部屋の前には破壊された扉が散らばっています。通路からでは部屋の中はよくわかりませんが、部屋の奥の方に黒い影のようなものがあることだけは確認できます。
この空間もcと同じで、机や寝床などがあることから妖魔たちの生活スペースであったことが予想できます。入ってきた所の反対の壁際には数匹の(PC人数により変動)人型の影のような生き物が突っ立っています。彼らの丁度真ん中あたりに血まみれの妖魔が横たわっており、彼らはその死体をぼうっと眺めています。
この死体となっているゴブリンは、フーグルの襲撃の際にこの部屋に逃げ込んで立て籠もったのですが、粘ったものの最終的にガスト達に扉を壊されてそのまま殺されてしまいました。このガスト達は、主人であるフーグルから「この奥に行って敵を殺せ」という命令を受けていらい他の命令を受けていないのでここで待機しています。
もしPC達がfに入った場合はガスト達に気付かれてしまい、戦闘となります。
●戦闘
ガスト ×3,3,4(⇒『Ⅰ』460頁)
「基本戦闘」の場合、すべてのガストを前線エリアに配置します。「上級戦闘」の場合、eの分岐点からfの扉までは7m、扉からガスト達の居る位置までは8mとなりますので、GMはPC達の状況を加味して戦力の初期配置を行ってください。
洞窟内でも特に広いこの空間には、妖魔達が、商人を襲って奪った荷物などが溜めこまれています。布、調度品、食料など、合わせて1,000ガメル相当になります。PC達はこれを貰ってしまって構いませんが、もしこれらを襲われた商人たちに返すことを選ぶ場合は、GMは追加の名誉点を与えるなどするとよいでしょう。
gから奥へと続く通路は傾斜がきつく足元に気をつけながら進まなければ滑り落ちてしまいそうです(特に判定は必要ありません)、道は曲がりくねりながら下へ下へと続いています。
〔 洞窟を下っていきたどり着いた先は異様な光景だった。壁面には赤い血によって戦神ダルクレムを表す剣のシンボルが描かれており、不細工な石の祭壇にはいくつも蝋燭が並べられている。祭壇の手前には行商人から奪い取ったのか貴族用の椅子が置かれているが、そこにはゴブリンではなく、トカゲに似た妖魔がニヤついて鎮座している。そしてその横に、武器を持った大きな黒い影が直立していた。〕
礼拝堂にはフーグルマンサーとガストナイトがいます。フーグルマンサーはゴブリンたちの住処を奪い取った優越感を感じることができるこの場所が気に入っています。フーグルマンサーは探索者が来たことに気付くと、慌てて椅子から立ち上がってガストナイトの後ろに下がり杖を構えます。最初、フーグルマンサーは汎用蛮族語や妖魔語を使ってPC達と会話ができないか試みます。もし、PC達と会話ができないと考えた場合は戦闘になります。
もし会話ができると考えた場合、彼は「自分達の生活圏にゴブリンたちが入り込んでいて邪魔だった。自分たちは人を襲わなくても生きていけるし、行商人にちょっかいを出すこともない。自分はもう目的を果たしたので、これ以上争いたくもない。帰らせてくれないか」と説得を試みます。もしPC達がこの説得を受け入れた場合、フーグルマンサーとガストナイトはeの通路で待ち伏せをします。このフーグルマンサーは傲慢であり、自分は冒険者よりも賢いと考えています。蛮族にとって人族は最高の御ちそう(⇒『Ⅰ』350頁)であり、みすみす機会を逃そうとは考えません。PC達が待ち伏せを受けた場合、目標値12の「危機感知判定」(⇒『Ⅰ』114頁)を行い、失敗すると戦闘開始処理の先制判定に-3のペナルティ修正を受けます。
もちろん、説得に応じるフリをしてこちらから騙し討ちをすることもできます。その場合、フーグルマンサーと会話しているNPCの内一人が目標値8の冒険者レベル+知力ボーナスで判定を行い、成功すればフーグルマンサーは騙されます。その場合は逆に戦闘開始時処理の先制判定に+3のボーナス修正を得ることができますし、「上級戦闘」なら任意の距離で戦闘を始めることができます。
なお、フーグルマンサーの言葉がわかるPCが、彼は嘘をついているのではないかと疑う場合は、目標値11の真偽判定(⇒『Ⅰ』119頁)に成功することで、それが嘘だと見抜くことができます(失敗した場合は、“嘘か本当かは分からない”となります)。
●戦闘
フーグルマンサー ×1,1,1(⇒『Ⅰ』441頁)
ガストナイト ×1,1,1(⇒『Ⅰ』462頁)
ガスト ×0,0,1(⇒『Ⅰ』460頁)
※ガストナイトは(PC人数-1)個の、フーグルマンサーは1個の〈剣のかけら〉(⇒『Ⅰ』425頁)で強化されています。
「基本戦闘」の場合、ガストとガストナイトを前線エリアに、フーグルマンサーを敵軍後方エリアに配置します。
「上級戦闘」の場合、先頭のPCから7mの距離にガストナイトとガスト、そこからさらに1m後ろにフーグルマンサーを配置します。
ガスト達はフーグルマンサーをPC達から護るように戦います。移動妨害(⇒『Ⅱ』65頁)を行い、なるべくフーグルマンサーを乱戦エリアに巻き込ませないようにしましょう。
洞窟内の魔物を倒して、ハーヴェスの冒険者ギルド支部〈ドラゴンファイア〉へと返ればシナリオは終了となります。マカオンはPC達に「簡単だったかな?」と言いますが、洞窟に別の蛮族がいた事を聞くとイレギュラーがあったことを謝ります。そして冒険者を褒めた後、報酬を幾らか上乗せすることを伝えます。
※全滅した場合
洞窟内でパーティが全滅した場合、PC達の死体はフーグルマンサーによって彼らの棲み処へと運ばれることになります。運が良ければ(PL、GMが望むなら)、〈ドラゴンファイア〉によって死体回収の依頼が出され、ミリッツァ達(もしくはGMが今後出したいNPC)のパーティによってPC達の頭部と脊髄がフーグルの棲み処のゴミ捨て場から発見され蘇生されます。その場合、PC達は穢れ度が増加し、蘇生費用の借金返済生活が始まることとなります(⇒『Ⅰ』208頁)。
PC達は報酬として一人につき(400+100)Gと経験点1,000点(+無力化した魔物の分)を得ます。また、〈剣のかけら〉による名誉点の獲得(⇒『Ⅰ』214頁)も行います。
本シナリオでは、ゴブリンたちとフーグルたちの2つの蛮族グループが関係しています。今回の件でその2つのグループ間の不和が大きくなればその争いに人族が巻き込まれることになるかもしれません。もしくはシンプルにPC達はフーグルの一族の復讐の標的にされるかもしれません。
本シナリオ中のフーグルはガストを従えていました。もしかしたら彼らの後ろにはドレイク(⇒『Ⅰ』448頁)がいるのかもしれませんし、フーグルたちは山岳地帯に魔導機文明時代の遺跡を発見したのかもしれません。
もしPC達が洞窟内でみつけたゴブリンたちの略奪品を商人たちに返すことを選んだ場合、冒険者たちは特定の行商人に懇意にされるかもしれません。
本シナリオは初心者向けに作られたシナリオであり、難易度やセッション時間の為にいくつかのオプションを削っています。なので、ある程度TRPGやSWになれたプレイヤーには物足りないかもしれません。以下に今回採用しなかったギミックの一部を挙げますので、GMは自己責任でご参考にしてください。
・穴の底の捕食者
dの穴の底に、実はスチームポッド(⇒『Ⅰ』454頁)が隠れています。もしくは、ゴブリンの死体のうち1つにマナが宿りゾンビ(⇒『Ⅰ』457頁)となっています。1人以上のPCが1分以上穴の底にいた場合、その魔物が動きだしPCに襲い掛かります。もし穴の上にいる冒険者が助けに行こうとしても、登攀判定には6ラウンドかかることに気をつけてください。逆に、穴の底から逃げようとする場合は-2のペナルティ修正がかかった上で「登攀判定」に成功すれば、その次のラウンドには魔物の攻撃圏内から逃れることができます。穴の底にPCがいなくなると、魔物は活動を停止して、植物もしくは死体へと擬態します。存在さえ分かっていれば、穴の上から一方的に射撃攻撃を行ったり、【エネルギー・ボルト】で攻撃することができます。
このオプションを採用する際には、穴の底で見つかる薬草を、救命草から魔香草(⇒『Ⅰ』324頁)へと変更してください。
・宝と罠
ゴブリンたちは万が一にも自分たちの集めた者が誰かに奪われたくありません。彼らが巣を空けている時でも大丈夫なように、gの部屋には巧妙な罠が隠されています。PC達がgの部屋の荷物を調べようとした場合、隠されていた毒針がPC達の一人に刺さります。この罠は目標値10の「探索判定」(⇒『Ⅰ』114頁)に成功すれば見つけることができます。毒針が刺さったPCは防護点無視の3点のダメージを受けるとともに、目標値11の生命抵抗力判定(⇒『Ⅰ』118頁)を行い、失敗するとそれ以降の3ラウンドの間、毎ラウンド「1d」点の病気属性の魔法ダメージを受けます。
このオプションを採用する際には、gの部屋の荷物の中に〈巧みの指輪〉(⇒『Ⅰ』339頁)を追加してください。ただし、〈巧みの指輪〉と分かるには「宝物鑑定判定」(⇒『Ⅰ』115頁)を行う必要があります。失敗した場合は200G相当の価値の指輪と鑑定してしまいます。
〇参考図書
北沢慶/グループSNE(2018)『ソード・ワールド2.5 ルールブックⅠ』株式会社KADOKAWA
北沢慶/グループSNE(2018)『ソード・ワールド2.5 ルールブックⅡ』株式会社KADOKAWA
北沢慶/グループSNE(2015)『ソード・ワールド2.0 ルールブックⅠ 改訂版』株式会社KADOKAWA
北沢慶/グループSNE(2015)『ソード・ワールド2.0 ルールブックⅢ 改訂版』株式会社KADOKAWA
〇使用素材
フリーフォント ロゴたいぷゴシック
http://www.fontna.com/blog/1226/
ICOON MONO
http://icooon-mono.com/
FrameDesign
http://frames-design.com/
シナーチにシナリオを投稿するのは初めてになります。markdown記法?に慣れていないので見づらい所があるかもしれません。
本シナリオは第一回SWシナリオコンテストに向けて作らせていただきました。「初心者用シナリオ」ということだったので、ルルブに載っていそうなシナリオを目指してみました。少し地味だな?と思っていただけたのなら大成功です。派手なストーリーではないですが、TRPGならではの楽しさを感じられるシナリオになったと思います。
シナリオについての質問や、感想、アドバイス等いただけますと励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
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