インセイン初プレイ、TRPG初心者PL6人のために書いた協力型シナリオです。
こんな大人数でプレイすることはもうない気がするので、勿体ない精神で投稿。
とてもシンプルなシナリオになっているので、改変次第では少ない人数でも回せると思います。
表示難易度は6人プレイ時。PLを減らせばもっと難易度は上がります。
元々自分でマスタリングするために書いたので、書き方が結構雑です。
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キミがくれた言葉だった。
キミがくれた言葉だった、はずだった。
今はもう、聞こえない。
雨の音が、キミの声を散らしてしまった。
だからかな。
無性に、あの日のことが思い出された。
あの日のキミは、何と言っていたんだっけ?
降りやまない雨、消された言葉。
あの日語った■の言葉を、僕らはもう一度、キミから聞きたい。
・プレイヤー数:3~6人
・シーン数:3サイクル
・狂気カード:人数に合わせて可変
・備考:PCは全員中学3年のときのクラスメイト、年齢設定は18歳(大学生年齢)以上
長雨が続く中、今までよりも一際強い雨が降った、ある日のこと。
PC達は、かつて友人であった一人の少女のことを考えていた。
彼女のことを思い返すとき、PC達の脳裏にはいつも雨の音が響くような気がしていた。それはきっと、彼女と最後に会話をしたのが雨の日だったからだろう。
ふと、その最後の会話を思い返す。
彼女としたやりとり、その顛末、そして、最後に彼女の口からこぼれた言葉―――その声を思い返そうとした、その瞬間だった。
突然、彼女の顔にノイズが走り、肝心の言葉が強い雨音にかき消される。聞こえない。
同時にPC達は強い頭痛に襲われ意識を失った。
そして、目を覚ましたPC達は一台のバスに乗っていた。
バスの中には一枚の電光掲示板。そこには、このバスの停留所が示されていた。
無人の運転席、走り続けるバス。男のものにも、女のものにも聞こえる、不思議な声の車内放送が響く。
「本日は、ご乗車ありがとうございます。このバスは、終点まで各駅に留まります。それぞれの停留所では、ご乗車頂いております全てのお客様に、一度お降り頂いております―――」
それぞれの停留所は示していた。PC達が、各々思い出そうとしていた、彼女とのやり取りの場所を―――。
PC1~6
あなたは「三国ハル」と最後に話したときの出来事を思い出しているとき、意識を失いこのバスにやってきた。
あなたの【使命】は「彼女の言葉を思い出す」ことだ。
PC達の共通の友人「三国はる」は、15歳の雨の日に、通学路である神社の石階段を落ちて亡くなっている。PC5に対して恋心を抱いており、PC5と格別仲良くしているように見えた三国に対して嫉妬を覚えていたPC2が、足を滑らせた三国の手を取らなかったのだ。そのことを、PC2は深く後悔している。
しかし、亡くなったはずの三国はるは、PC1が引っ越しをするその日、高校を卒業した18歳の春にPC1の前に現れた。PC1に、自分の想いを伝えるために。
三国が死してなお彼の前に現れることができた理由は、PC6の本来の姿、都市伝説「蜃気楼と長雨」が彼女の『PC1に自分の気持ちを伝えたい』という願いに応えたためだ。
「蜃気楼と長雨」は長雨が続いているときにのみ現れ、たまたまその期間に亡くなった誰かに行き遭ったとき、その人が望めば死者の魂を蜃気楼「うたかたの夢」に変えてくれる。その姿を取れば、死者は最期に一度だけ、行きたい場所に行くことが出来、一言だけ言葉を口にすることができる。
その代償は、「最期の機会を使った後は、魂が生前に強い思いを遺した場所へ散り散りに縛られてしまう」「強い思いを遺した会話の相手の記憶から、その場所で交わした最後の会話とそのときの自分の姿が失われてしまう」こと。三国はその代償を支払った上で、「うたかたの夢」になったのだ。
彼女の最後の言葉を思い出すことができないのは「蜃気楼と長雨」も例外ではなく、PC達が彼女の最後の言葉を思い出すにはプライズ「欠片」を集めて「夢を映すカガミ」を完成させなければならない。カガミを完成させ、彼女の姿を映すという儀式を完成させることで、彼女は「うたかたの夢」ではなくなり、最後のことを思い出すと同時に、彼女の魂を解放することができる。
大人になったPC達は、いつも通りに日々を過ごしていた。
ここひと月近く降り続く雨は、なんとなく人々の気を滅入らせる。PC達も例外なく、物思いに耽っていた。
屋根を打ち、木の葉を打ち、地面を打ち、傘を打つ、雨音。もはや日常となりつつ音が、妙に耳についた。
思考を妨げる雨音に耳を傾けていると、ふと、自分たちがまだ子供だった頃にいなくなってしまった一人の友人のことを思い出した。
彼女、三国ハルのことを思い返すとき、PC達の脳裏にはいつも雨の音が響くような気がしていた。それはきっと、彼女と最後に会話をしたのが雨の日だったからだろう。
彼女としたやりとり、その顛末、そして、最後に彼女の口からこぼれた言葉―――その声を思い返そうとした、その瞬間だった。
突然、彼女の顔にノイズが走り、肝心の言葉が強い雨音にかき消される。聞こえない。
同時に強い頭痛がPC達を襲った。ひどい痛みだ、立っていられない。崩れ落ちるその一歩手前で、PC達の意識は消失した。
目を覚ましたPC達は一台のバスに乗っていた。窓の外は暗く、街灯らしい明かりもない。蛍光灯で照らされた車内には、自分のほかにも、かつて仲の良かった友人たちが座席に座り、この状況に動揺しているようだった。
バスの中には一枚の電光掲示板。そこには、このバスの停留所が示されていた。明確な行き先というよりも曖昧に示されたその停留所は、明らかに普通のバスが走るものではない。
運転席を覗き込んでも、その席には誰もいない。それでもバスは走っている。そんな異常な車内に、男のものにも、女のものにも聞こえる、不思議な声の車内放送が響く。
「本日は、ご乗車ありがとうございます。このバスは、終点まで各駅に留まります。それぞれの停留所では、ご乗車頂いております全てのお客様に、一度お降り頂いております―――」
HO「教室」「都築神社」「河川敷」「参道」「水溜まり」「都築駅」を公開。
このシナリオではシーン表の代わりに上記で公開した6枚のHOと「バスの中」というシーンを使うことができる。
PLが希望すれば、通常のシーン表を使ったうえで改変して適応させてもよい。
また、上記で公開した6枚のHOに書かれている「特定のPC」は以下の通りである。
「都築駅」:PC1
「都築神社」:PC2
「参道」:PC3
「河川敷」:PC4
「教室」:PC5
「水溜まり」:PC6
その場所に残されていたもの(桜の花、ローファー、ビー玉、クッキー、ノート、手紙)をPCが手に取りその物を眺めていると、それが仄かに発光し、やがて小さなガラス片のようなものになった。
PCが獲得したプライズが、プライズ「欠片」に変化する。
HO「三国ハル」を公開。
シーン描写は「一瞬雨音が途切れ、PC達の視界の端にひとりの少女の姿が映る」というもの。
演出はお任せします。
PC達の秘密が一切開かなかったり、停滞した場合は、適宜マスターシーンを挟む。
PC達が全ての停留所を回り終えてバスに戻ると、車内放送が響く。
「次は終点、■■■、■■■―――」
その声は確かに行き先を告げているはずなのだが、なぜかその言葉を聞き取ることができない。
バスはしばらく走ったような、あっという間に辿り着いたような、奇妙な時間を走り、やがて終点に辿り着いた。
PC達がバスを降りると、そこは一面の桜並木だった。
美しく咲いた花々はしかし、大粒の雨に打たれてその花を散らしていく。桃色の雨が吹き荒れるその只中に、一人の少女が佇んでいた。
彼女、三国はるは、15歳のときのままの姿で、PC達の姿を見ると、目を大きく見開いた。
「どうして……、どうして皆がここにいるの」
PC達が目的を告げれば、彼女は丸く開いた瞳から、ぽろぽろと涙を零し始める。
「私、私、自分の我儘で、皆に忘れられてもいい、って……そんな願い事したのに……」
顔をくしゃくしゃにしながらあなたたちの元へ歩みだそうとする彼女とPC達を隔てるように、桜の花びらが、雨粒が、風が、壁となって立ち塞がる。
PC達が彼女の元に辿り着くには、この壁を打ち壊さなければならない。
PC達は、全てを思い出す。彼女との記憶、彼女の最後の言葉を。
夕方の教室、吹き込む土砂降りの雨とはためくカーテンを背に、頬を橙に染めた三国ハルが笑う。『がんばるね』
河川敷の土手、ランニングコースにもなっている道の上、ぬかるんだ地面に落ちたクッキーの、杏色のリボンを見つめ、悲し気な色をした瞳のハルが震えた声で呟く。『どうして?』
神社の石段、足を滑らせた彼女の紅色の傘が宙を舞って――投げ出された彼女の手を取らなかった貴方に向けて、ハルは申し訳なさそうに微笑む。『ごめんね』
神社に続く参道、茂みの奥に駆け寄った貴方に向けて、緋に染まったせいで表情の窺えないハルの唇が小さく紡ぐ。『わすれて』
街灯に照らされて、黒く輝く水溜まりの上で、薄く透けるハルは涙を零した。『ありがとう』
踏切の音が鳴り響く中、滑り込んできた電車があなたの視界を遮る直前、対岸のホームに立ったハルは、初めて見る幸せそうで、儚い笑顔を浮かべて手を振った。桃色のスカーフをたなびかせて――『だいすきだったよ』
思い出していく。思い返していく。彼女の表情に、声に、言葉に、桜吹雪が舞って―――あなた達は辿り着く。
ついに手の届く距離までたどり着いた貴方たちを見つめて、ハルは大粒の涙を零した。
「みつけて、くれて、」
『うれしかった』
そう動いた唇が音を紡ぐ直前、あたたかな風が彼女を中心に優しく吹いた。軽く乾いた桜の花びらが、彼女とあなたたちの間を流れていく。
ハルは、PC達の顔を順番に見て、最後に、PC1の顔を見て―――。
桜吹雪に攫われるように、音もなく、消えた。
同時に、PC達の意識も徐々に薄れていき、気が付くとPC達は頭痛に襲われたときの状況に戻っていた。
あの出来事は夢だったのか、変わりゆく季節が見せた幻だったのだろうか。PC達には判断しようがない。
しかし、その後、PC達の記憶に雨音が邪魔をすることは、二度となかった。
生命力:20 好奇心:情動 特技:恋、愛、情景、霊魂
基本攻撃:<霊魂>
踊る花弁の壁:<愛>好きな数だけ目標を選び、回避に失敗した相手に3点ダメージ。
危険感知:<情景>バッティングダメージ無効
あなたは「三国ハル」と最後に話したときの出来事を思い出しているとき、意識を失いこのバスにやってきた。
あなたの【使命】は「彼女の言葉を思い出す」ことだ。
あなたが彼女と最後に言葉を交わしたのは、あなたが大学進学のために引っ越すその日、18歳の春のことだった。15歳のときに死んだはずの彼女が対岸のホームに立っているのが見えて、彼女の名前を呟いたあなたに、ハルは何か大きな声で呼びかけた。そのことは覚えているのに、彼女の言葉も、そのときの表情も思い出すことができない。あの日現れた彼女はいったい何者で、なぜ自分の前に現れたのだろうか。
あなたは15歳のとき、三国ハルを見殺しにしてしまった。PC5に恋をしていたあなたは、PC5と特に親しくしているように見えた彼女に嫉妬し、通学路にある神社の、雨に濡れた石段で足を滑らせた彼女の手を掴むことを一瞬ためらったのだ。あなたがその場を逃げた後、彼女はそのまま落下して亡くなり、あなたはそのことを酷く悔やんでいる。落下しながら彼女があなたに向かって紡いだ言葉はきっと恨み言だっただろうに、思い出せない。あなたの本当の【使命】は「彼女の言葉を思い出し、その冥福を祈る」ことだ。
あなたは三国ハルの死に、PC2が関わっているのではないかと疑っている。神社に繋がる参道を歩いていたとき、石段から茂みに向かって落下してくるハルと走り去るPC2を見ていたからだ。慌てて茂みに駆け寄ると頭から彼女は血を流しており、すぐに救急車を呼んだものの彼女は亡くなってしまった。唯一血に汚れていなかった唇で、あなたに何かを呟いて。あなたの本当の【使命】は「ハルの死の真相を確かめる」ことだ。
あなたはハルの親友を自負しており、彼女がPC1に対して強い好意を抱いていることを知っていた。ハルがPC1に取られたようで悔しかったあなたは、そのことでハルと言い争い、彼女があなたに焼いてきてくれたクッキーを地面に叩きつけてしまった。謝りたくても、もう彼女はこの世界にはいない。悔やんでいるとき、この街には死者に関する都市伝説が存在することを知った。もし彼女にもう一度会うことができるのなら謝りたい。あなたの本当の【使命】は「ハルにもう一度会う方法を探す」ことだ。
PC1と仲の良かったあなたは、ハルからPC1への恋愛相談を受けていた。彼女と一緒に夕方の教室で作戦会議をしていたとき、彼女が調べた様々なおまじないの中に、忘れてしまった大切なものを思い出すことができるおまじないがあった。その日が彼女と交わした最後の会話になってしまったが、帰る直前彼女が自分に向けて言った言葉がどうしても思い出せない。そのおまじないを使えば、もしかしたら思い出せるのではないか。あなたの本当の【使命】は「おまじないのやり方を探す」ことである。
あなたはこの町に伝わる都市伝説「蜃気楼と長雨」の正体である。普段は人間の姿を取って暮らしているが、長雨の夜にだけ蜃気楼の姿を取る。あなたがある長雨の夜外を揺蕩っていると、その日の夕方に亡くなったハルの幽霊を見つけてしまう。「想いを伝えたい人がいる」と泣く友人にあなたは自分の正体を告げ、代償を受け入れた彼女にあなたは願いを叶えさせることを選んだ。あの暗い夜、黒い水溜まりの上で彼女が最期、自分に告げた言葉は何だったのだろう。あなたはプライズ「都市伝説」を所持している。
バス停「都築駅、対岸のプラットフォーム」。特定のPCがこのHOを調査するとき、目標値が1下がる。
あの日、彼女が立っていたその場所には、一輪の桜の花が落ちていた。プライズ「桜の花」を獲得する。この情報を最初にPC1が調査していたとき、この【秘密】を全体公開すると、マスターシーンが発生する。
バス停「都築神社、長い石段」。特定のPCがこのHOを調査するとき、目標値が1下がる。
秘密を最初に見たPCに、ホラースケープが発生する。
あの日、彼女が足を滑らせたその段には、骨の折れた傘が残されていた。プライズ「傘」を獲得する。
バス停「参道、茂みの向こう」。特定のPCがこのHOを調査するとき、目標値が1下がる。
あの日、彼女が落ちてきたその場所には、彼女の顔を流れていた血を思わせる、赤いビー玉が落ちていた。プライズ「ビー玉」を獲得する。<死>で恐怖判定。
バス停「河川敷、ランニングロード」。特定のPCがこのHOを調査するとき、目標値が1下がる。
あの日、彼女が寂し気に見つめていたその場所には、泥濘に塗れて泥だらけになったリボンが落ちていた。プライズ「リボン」と鎮痛剤を1つ獲得する。
バス停「放課後、カーテンのはためく教室」。特定のPCがこのHOを調査するとき、目標値が1下がる。
あの日、なぜか窓を開けて吹きすさぶカーテンを背にして彼女が立っていたその場所には、チェック柄の表紙の小さなノートが落ちていた。プライズ「ノート」を獲得する。
バス停「街灯の下、水溜まりの上」。特定のPCがこのHOを調査するとき、目標値が1下がる。
あの日、彼女が涙を流して立っていたその中には、なぜか濡れていない、しわくちゃになった未開封の手紙が落ちていた。プライズ「手紙」を獲得する。
PC達と同い年の友人。15歳のとき、神社の石段で足を滑らせて落下し、亡くなった。
あなたは、都市伝説「蜃気楼と長雨」の力によって、「うたかたの夢」になっている。あなたがたくさんの代償を支払ってなお、「うたかたの夢」となることを選んだのは、自分の存在そのものを賭してでも、伝えたい思いがあったからだ。思いを遂げた今、あなたはこの世界の何処にも受容されない。そんな存在になって尚、消滅することも出来ずに、生前強い思いを遺した場所へと縛られている。
細い枝に一つだけ、薄桃色が咲いていた。咲き切ったその花弁は、今にも散ってしまいそうだ。このプライズをPC1が手に取った場合のみ、このプライズの【秘密】を見ることが出来、プライズの【秘密】は全体公開される。
その枝を手に取ると、それを待っていたかのように花弁が一つはらりと散った。やがて枝さえも花びらに姿を変えて風に流されていき、なぜか一つあなたの手に残った花弁はひとつのガラス片に姿を変えた。
このプライズはプライズ:「欠片」に変化する。
永く使われていたのだろう、紅色の傘の少し錆びた骨は、強い衝撃が加わったのか折れていた。このプライズをPC2が手に取った場合のみ、このプライズの【秘密】を見ることが出来、プライズの【秘密】は全体公開される。
永遠に使われることのなくなった傘が、水の粒になって解けていく。最後に残った柄が風に吹かれていったとき、あなたの手元にはひとつのガラス片が残った。
このプライズはプライズ:「欠片」に変化する。
恐ろしいほどの緋色をしたビー玉。見つめているとその赤が赤黒く見えてくる。このプライズをPC3が手に取った場合のみ、このプライズの【秘密】を見ることが出来、プライズの【秘密】は全体公開される。
真っ赤なビー玉はやがてどろりとした液体になって流れ落ちていく。しかし手には少しの染みの後もなく、代わりのように小さなガラス片が載っていた。
このプライズはプライズ:「欠片」に変化する。
何かのラッピングをしていたのだろうか、杏色をしたリボンにつけられたタグは泥だらけになって読むことができない。このプライズをPC4が手に取った場合のみ、このプライズの【秘密】を見ることが出来、プライズの【秘密】は全体公開される。
手に取ったリボンはあなたから逃れるようにするすると指の間を通り抜けていく。しかしタグは名残惜しそうにその手に留まり、やがてひとつのガラス片に姿を変えた。
このプライズはプライズ:「欠片」に変化する。
あの日の彼女が持っていた、橙色の表紙のノート。このプライズをPC5が手に取った場合のみ、このプライズの【秘密】を見ることが出来、プライズの【秘密】は全体公開される。
そこには彼女が調べたのであろう、たくさんのおまじないが載っていた。恋の叶うおまじないが大半を占めるその中にひとつ、「夢を映すカガミ」と書かれたものがあった。それをあなたが読み終えると、役目を終えたかのようにノートは端から砂になって崩れていき、あなたの手元には小さなガラス片が残った。儀式情報「魂の解放」を得る。
このプライズはプライズ:「欠片」に変化する。このHOで得られた追加情報は、入手者が自由に公開できる。
手紙にはきちんと封がされており、開けるのには少し罪悪感がある。この状況について知るためには仕方ないが。このプライズをPC6が手に取った場合のみ、このプライズの【秘密】を見ることが出来、プライズの【秘密】は全体公開される。
「好きになってもらわなくてもいい、いつか忘れられてもいい。もしかしたら言わない方がいいのかもしれないけど。私は、■■のことが好き」――少女の切なる心が綴られた紙片は端から燃え落ちていく。そこには一つのガラス片だけが残された。
このプライズはプライズ:「欠片」に変化する。
この地域に伝わるおとぎ話じみた怪談「蜃気楼と長雨」。長雨の日に死んだ魂は蜃気楼のように消えてしまうという物語。
「蜃気楼と長雨」は長雨のときにのみ現れ、その期間に亡くなった誰かの魂に行き遭ったとき、その人が望めば死者の魂を蜃気楼「うたかたの夢」に変えてくれる。その姿を取れば、死者は最期に一度だけ行きたい場所に行くことが出来、一言だけ言葉を口にすることができる。その代償は、「最期の機会を使った後は、魂が生前に強い思いを遺した場所へ散り散りに縛られてしまう」「強い思いを遺した会話の相手の記憶から、その場所で交わした最後の会話とそのときの自分の姿が失われてしまう」こと。
1)「記憶の欠片」を6つ揃える※メインフェイズ中に達成
2)「欠片」を合わせて「夢を映すカガミ」を作る 正気度-1
3)「三国ハル」の姿を鏡に映す ≪情景≫
※『春嵐』の生命力を5~10(PL人数やそのときのPCの状態によってGMが調整してください)以上減少させていないと、彼女の姿を鏡に映すことができない
地面に横たわった相手を見ながら、あなたは冷や汗が背中を伝うのを感じていた。
相手は倒れたまま、不自然に体を捻じ曲げて、ピクリとも動かない。じわじわと血だまりが広がっていく。
―――殺してしまった。
もう動かなくなったはずの首がぐるりと回り、あなたと目を合わせる。
良く見知ったその顔は、この状況に似つかわしくない、狂気すら感じるほど穏やかな笑顔だった。
ひゅっと息を呑み瞬きをすると、彼女の姿は掻き消えていた。
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