2020年06月02日更新

モノトーンミュージアムTRPG演目「ほつる時」

  • 難易度:★★★|
  • 人数:2人~5人|
  • プレイ時間:4~5時間(ボイスセッション)

想定人数2~5人。想定時間4~6時間。(※オフセにおける想定時間)。
使用ルルブ:『MM』、『IZ』。所謂ループ物です。

 本演目は永久に続く苦しみに、少女を助けたい一心で耐える少年の心と、ほつれた時間から少女を救い出す物語である。
本演目は所謂ループ物である為、時間が巻き戻るタイミングや、巻き戻った後の変化などに注意する事。
※グロテスクな表現が含まれますのでご注意下さい。

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●最初に

 本シナリオを遊ぶGM(ゲームマスター)は、本文及びデータの内容を、複製したものに限り、改竄、削除及び加筆を行ってもよいものとします。
また本シナリオを遊んだことにより生じたあらゆる問題について、当方では一切の責任を負いかねます。予めご了承いただける方のみ、ご利用ください。また、一部グロテスクな表現が含まれておりますので、苦手な方はお気を付け下さい。
※このシナリオには世界観や設定への独自の解釈が含まれています。あらかじめご了承ください。
【要約:遊ぶ時に、話の流れやPCの設定で、シナリオの内容やデータ(エネミーデータ含む)が変わっても問題ありません。他のシナリオをプレイする時、このシナリオの設定を持ち込まない事。郷に入っては郷に従えって事です。】

プリプレイ

 

■演目データ

 
 プレイヤー:2~5人
 演者レベル:3
 プレイ時間:1~4時間(※オフセにおける想定時間)
 
※本演目は、GMが『モノトーンミュージアムRPG(以降MMと記載)』及び『モノトーンミュージアム リプレイ&データブック インカルツァンド(以降IZと記載)』を所持している必要がある。
 

■本演目について

 本演目は永久に続く苦しみに、少女を助けたい一心で耐える少年の心と、ほつれた時間から少女を救い出す物語である。
 本演目は所謂ループ物である為、時間が巻き戻るタイミングや、巻き戻った後の変化などに注意する事。
 
 

◆ 今回予告 ◆

 
 時を戻せるとされる伝説の"時戻りの国"。
 
 今まではおとぎ話でしかなかったその国の場所が特定された。
 
 その場所はかつて、ほつれに飲まれ滅んでしまった緑の国。
 
 既に忘れ去られたその国へ、
 人々はそれぞれの思惑の元に集うのであった。
 
 
 ほつれた時間の先にあるのは、
 一縷の希望か、それとも果てない絶望か。
 
 モノトーンミュージアムRPG
 『ほつる時』
 
         ――かくして、物語は紡がれる。

 

■舞台設定

 

・"緑の国(みどりのくに)"

 森林地帯の中ほどに位置する国。
交易が難しい立地で、作物も育ち辛い土地だが、国民達は豊かに暮らしている。 立地が悪いにも関わらず旅人の中では1度は訪れたい国とされていた。
 この国は数十年前にほつれに飲まれ滅んでいる。何故ほつれに飲み込まれたのかは不明。最近、そのほつれの中に“時戻りの国”があるのではないかと噂されている。
 

・"時戻りの国(ときもどりのくに)"

 左の地に古くから伝わる伝説の国。
この国ではどんな時間も戻せると伝えられている。死人を生き返らせる事。若返る事、やり直したい時間に戻る事。なんでも思いのままに時間を操る事が出来る。詳細は何一つ判明しておらず、おとぎ話として親しまれている。
 
 

■【NPC】

・ライル・レノン

 童子/術者
 緑の国の子供でPC①の親友。10歳 男性
 
 眼鏡をかけた頭の良い、魔法の素質を持った少年。
使える魔法は物体の“時”を少しだけ戻す魔法のみ。戻せる時間は3秒程度。 二コラの事を好いてたがPC①が二コラの事を好きな事を知っていて複雑な心境だった。
 
 

・ニコラ・パリージ

 童子
 緑の国の子供でPC①とライルが恋をしていた少女。10歳 女性
 
 活発で好奇心旺盛だが、とても優しく女の子らしさも合わせ持つ少女。 ライルとPC①の3人でよく悪戯をしては怒られていた。悪戯の提案は大体が彼女だった。
 
 

・ゴドフリー・ノット

 僧侶
 聖職者で地位は神父。36歳 男性
 
 聖教会からの信頼が厚く。ザラストロとも繋がりが深い。その信頼は神の宝とされる“逆時計(さかどけい)”を預けられる程。
彼には思いを寄せる恋人がおり、緑の国での祈りが終わったら神父を辞めてその恋人と結婚しようとしていた。 周りからの反発を恐れて親しいPC③にのみ打ち明けていた。
 
 

・ヤサイ・モリオ

 職工
 野菜の国出身の野菜をこよなく愛する男。見た目年齢25歳 男性
 
 自国の野菜を広めようと、大量の野菜を持ち各地を旅している。
伝説の国が発見され、お祭り騒ぎ状態のこの状況を彼が見逃す筈はなかった。 彼は一晩にして木造3階建て建築の宿を建て、更には温泉までも掘り起こし、破格の値段(この集落の中で大差をつけて一番安い)で研究者や、旅人相手に商売をしている。 それもこれも、野菜の美味しさを皆に伝える為である。
 その神出鬼没さと野菜を中心とした意味不明な行動原理から、ほんのほんの少数の人間からは神話に出てくるような化け物なのではないかと恐れられている。
 
 

・フランツ・キセリョフ(PC5がいない場合)

 賢者
 ほつれ専門の研究者。32歳 男性
 
 ほつれの研究を専門的に行っており、ほつれに飲み込まれた国の復興、ほつれに飲まれた人々の救済を目指し日々研究を重ねている。時戻りの国の第一発見者とされている。
 自身は紡ぎ手ではなく、強力な力もない一般的な人間。 しかし、頭の良さは研究者の中でも飛び抜けて良く、人当たりも悪くないが時々暴走しがち。
 
 

・ザラストロ・エテルネル・ベシュティムト

MM211ページ参照
 
 
 

■ハンドアウト

 各PCには以下の設定がつく。セッション開始時にプレイヤーとよく相談すること。
 PCが5人未満3人以上の場合は、PC①PC②を必須とし、それ以降のPC③~PC⑤は自由に選択が可能となる。
 
PC①:ほつれに飲まれた緑の国出身
PC②:伽藍を忌み嫌う狩人
PC③:ゴドフリー神父と親しかった聖職者
PC④:やり直したい過去があり時戻りの国を求める者
PC⑤:ほつれを主に調べている研究者
 
※GMはエネミーデータを確認した上で取得する逸脱能力を推奨しても構わない。

 

 

演目「ほつる時」【PC①用ハンドアウト】

■パートナー:ライル 感情:友情 
■PC間パートナー:PC②
 
 君は幼い頃、“緑の国”で親友の“ライル”と当時好きだった女の子“二コラ”と3人で平穏な日々を過ごしていた。 しかし、君が商人の父に連れられて数日間国から離れている間に、国はほつれに飲み込まれてしまった。
 
 あれから数十年経った今、ライルと二コラから宝物だと預かったビー玉を返す約束は…今だ果たせていない。
 ある時、ほつれの中に伝説の“時戻りの国”が存在しているかもしれないと噂を聞いた君に一つの御標が下る。
「友は生きている。かつての故郷…ほつれの中に答えはある。」
君は一縷の望みを抱き、ほつれに飲まれた“緑の国”へと向かうのだった。

 

 

演目「ほつる時」【PC②用ハンドアウト】

■パートナー:PC⑤(フランツ) 感情:プレイヤーの任意 
■PC間パートナー:PC③
 
 君は伽藍を憎み嫌う魔狩人だ。
安い依頼料にも関わらず、高い仕事の達成率から依頼は後を絶たない。 伽藍を狩り続けている君に研究者と思われる男から護衛の依頼を受ける。 男はほつれの研究をしており、あるほつれの中に強力な伽藍がいるというのだ。君は伽藍を殺す為、ほつれに飲まれた国を目指すのであった。
 
 
 
【GM用】
 オープニングについて、PC②の希望次第で戦闘シーンから始める事が出来る。 事前にやりたい演出などがないか確認しておく事。
※演出のみで実際の戦闘にしなくても構わない。あまりにも無茶な希望などはGMが却下する事。

 

 

演目「ほつる時」【PC③用ハンドアウト】

■パートナー:ゴドフリー神父 感情:尊敬 
■PC間パートナー:PC④
 
 君は聖職者だ。
 数十年前に行方がわからなかくなった、神の宝とされる“逆時計(サカドケイ)”を探して欲しいとザラストロから頼まれた。 その宝は、君が聖職者になるきっかけをくれたゴドフリー神父が所持しており、聖教会の指示で神父は各地の教会に“逆時計”を祀り祈りを捧げていた。 しかし、神父が訪れていた“緑の国”がほつれに飲まれ、神父と共に“逆時計”の行方もわからなくなっていた…。 ところが、最近になって“ほつれの中”に国があるという噂が流れ、その噂を聞いたザラストロがゴドフリー神父と親しかった君に頼み込んで来たのだ。
 君は噂の場所へと向かうのであった…。

 

 

演目「ほつる時」【PC④用ハンドアウト】

■パートナー:ヤサイ 感情:執着 
■PC間パートナー:PC⑤
 
 君には自分の命を賭けてでもやり直したい過去がある。
君は絶望の中、時戻りの国の噂を耳にする。 その国では死者さえも蘇り、老人は若返る。更には、伽藍でさえも元の姿へ戻せるとされている。 君は噂を聞きつけてから必死に調べ続け、そしてようやく時戻りの国の場所がわかった。
君は過去をやり直す為に、時戻りの国があるとされるほつれへと向かうのであった。
 
 
 
【GM用】

オープニングについて、事前にやりたいシーンなどがないか確認し、希望がある場合はPC④の希望を優先する事。

 

演目「ほつる時」【PC⑤用ハンドアウト】

■パートナー:PC② 感情:プレイヤーの任意 
■PC間パートナー:PC①
 
 君は研究者だ。
ほつれに関する研究をしており、ほつれに飲まれた緑の国を調査していた。 すると、ほつれの中からいきなり人間が現れたが途端に朽ちて死んだ。服すら残らず塵となってしまったのだ。
 数時間後にまた人間が現れ「中に…時戻りの国が…」と呟き同じく朽ちてしまった。その事がキッカケかはわからないが…研究の結果、ほつれが徐々に広がりつつあり中に伽藍がいる事を確信した。
君は身の危険を感じ、凄腕と名高いPC②へ護衛の依頼をしに行くのであった。
 
 
 
【GM用】
 PC⑤には下記情報を事前に伝える事。他のPCに公開するかしないかはGM、もしくはPC⑤が判断する事。

・"時戻りの国"の噂は、その時雇っていたガイドや、偶然近くを通りかかった旅人が流したもの。 ほつれの中に時戻りの国があると言うのは、根も葉もない噂である。
・オープニングでPC②を説得する必要がある。
※PC⑤にはロールプレイに慣れた人を推奨する。
 
 
 

■演目背景

※これ以降はシナリオの根幹が記載されている為、PLとしてプレイするのであれば読まない事をオススメする。

 
 所謂ループ物。プレイ時間は順当に進むと4時間程である。ミドルフェイズからはPC次第で一瞬で演目が終幕となる可能性がある。
 オープニングフェイズはミドルフェイズに入ってからどうしても暗くなってしまう為、どのPCも全体的に明るく演出するといいだろう。
 ミドルフェイズ以降はほつれに飲み込まれた緑の国が舞台である。
緑の国はほつれに飲み込まれつつ、逆時計、そしてライルの逸脱した力によって何度も二コラが死ぬまでの時間をループしている。
 
 シナリオ自体は長くないが、ループ物の為GMへの負担は大きいかもしれない。しかし、PC達の自由度が高く、順当にいけばプレイ時間も抑えられる上に満足度が高い為、面白いと思う…面白いと願う…きっと…面白いといいなぁ…。
 
 左の地に古くから伝わる伝説「時戻りの国」。
 その伝説の国が発見されたと噂が流れる。しかし、その場所はかつてほつれに飲み込まれてしまった緑の国があった場所。つまりはほつれの中に国があると言うのだ。
 
 時間を戻そうと願う者や、研究者、その集まりを利用しようと商人などが集まり、ほつれの周辺には集落が出来上がっていた。 しかし、実際に時戻りの国などは存在しない。ほつれの中で繰り返される時間の中で、幾度となく二コラを救おうとして伽藍に成り果てたライルが、知恵を絞って広めたデタラメである。 そもそも緑の国がほつれに飲まれたのは、ゴドフリー神父の歪んだ御標によるものである。 神父の恋人は、非人道的に商品として扱われた挙句殺されたのだ…。その行為はこの国一の商人が首謀者で、今まで幾度となく行われてきた。この事を国の殆どの大人達は知りつつも、自分たちの豊かな生活の為に見て見ぬふりをしていた。それを知り怒りに飲まれた神父は歪んだ御導によりこの国全てをほつれに飲み込もうとしたのだった。
 ほつれは緑の国をドーム状に覆い、内側へ向けて広がっていった。
《イメージとして【アンダーザドーム】と言う海外ドラマのドームをほつれへ置き換え、中心に向けて徐々に迫って行くとイメージするといいだろう》
 責任の一端が自分達にあると知っている大人達は、神父の「共感発声」と逸脱能力の「空間拡大」により激しい憎しみの感情を流し込まれ動けなくなった。
 徐々にほつれが迫る中、ライルと二コラは必死に逃げて逆時計が一時的に祀られている教会に辿り着いた。 二人は知らないが教会は国の中心に位置する為、ほつれに飲まれるのが最も遅い。 だが、怯える二人の前に更なる絶望が立ちはだかる。伽藍と化したゴドフリー神父だ。神父がここへ来たのはニコラが神父の恋人を残虐に殺した商人の娘だったからである。
 
 神父が二コラを殺そうとした時、ライルは二コラを守りたいと強く思い神父の歪んだ御導を乗り越えて紡ぎ手へと覚醒した。 しかし、伽藍と化した神父は強く、二コラを守る為には何度も逸脱能力を使う必要があった。肉体、精神、魂までも削り、やっと倒すことが出来た…と気を抜いた一瞬。死にかけの神父が最後の力を振り絞り二コラを殺した。
 ライルは二コラに駆け寄り、とっさに近くに落ちていた逆時計を握りしめ、物体の時間を戻せる力を使おうとした。しかし、ライルが戻せるのは“物体”の時間のみだ。それでもライルは強く願った。
『戻れぇえええ!!』と。 (逸脱能力:虚ろなる願い)
ライルの放った言葉は歪んだ御標となり響き渡った。この時点でライルは伽藍となっていたのだ。(歪み表ver2.0時間逆流をチョイス)
 そして二コラが息絶えた時、逆時計の針が凄い勢いで逆回転し始め全てが光に飲み込まれた。
 
 気が付くとライルは数時間前にいた場所で二コラと手を繋ぎ逃げていた。 身体のダメージは回復しており、二コラに以前の記憶はなく、ほつれに飲み込まれた人はどこか虚ろだった。歪んだ御標、逸脱能力、御標の歪みが逆時計に集約し時間が戻る奇跡が起きたのだ。 しかし、助かった訳ではない。いずれはほつれに飲まれる上に、ゴドフリー神父は二コラを殺しにくる。それ以上に二コラは決まった時間、0時丁度に死亡する。幸いなことに二コラは、ほつれに飲まれる前に死亡するので魂を失う事はないが、ゴドフリー神父を倒そうと何をしようと、二コラの死ぬ運命は変えられない。
 加えて、ライル自身の剥離は戻らず逸脱能力を使う度に自我は失われていった。そして、身体は完全なる化け物となった。
今まで二コラの心の支えだったライルが化け物に…いや、二コラからしたら突然ライルが消え、化け物が現れたのだ。更にほつれが迫り、国の人々は抜け殻の様になっている。二コラの精神は崩壊してしまった。 精神崩壊した二コラの姿に耐えられなかったライルは新たに得た特技(分割する魂)により、自分の魂の半分を自分と似ている手の甲に傷のある少年へ移した。 少年は“ライルとなり”二コラの支えとなった。 もう一人のライルは二コラと同じく紡ぎ手ではない為、毎回記憶を失った。 それどころか、漆黒の伽藍が自分の半身であることも覚えておらず二コラと共に怖がり逃げた。だが、二コラが精神崩壊することはなくなった。
 
 漆黒の伽藍となったライルはいずれ、心の底まで完全なる伽藍に成り果ててしまう。 もう自分1人の力では無理だと判断したライルは、外へ助けを求める事にした。
  そんな時、大好きだった時戻りの伝説を思い出し、何とか嘘の噂を広める事に成功した。 あとはこの嘘を聞きつけた力ある人、紡ぎ手を待つだけだ…。 そして、再び自我が戻った時、周囲にいる紡ぎ手を歪んだ御標と逸脱能力を使い、この空間に呼び込む事に成功したのだ。しかし、そこでまた意識が途切れてしまった…。
 
 

■補足

・ゴドフリー神父が恋人を隠していた理由。

 モノトーンミュージアムで神父は独身でなければならないと明記されている訳ではない。しかし、現実世界において一般的に神父は独身でなければならない為、今回のシナリオでは神父は独身でなければならない前提として作成している。
他のシナリオで結婚している神父がいても何ら不思議はないだろう。
 

・PC①が二コラとライルへ話しかけた時。

 二コラとライルにはいつでも接触可能だが、基本的にPC①と気付かれる事はない。 ライルと二コラにとっては同じぐらいの年齢だったPC①が突然大人の姿となったのだ。PC①を本物のPC①だと信じることは難しいだろう。 また、一度信じられたとしても、二コラとライルは記憶を失ってしまうため、もう一度信じさせるまでに時間がかかる。
二コラとライルが信じるかは判定、もしくはGMの判断で好きに決めるといいだろう。
 

・情報項目の漆黒の伽藍について

 漆黒の伽藍について全ての情報を取得すると、このシナリオに至るまでの経緯がほぼわかるようになっている。
 だが、難易度の高い情報はPC達にとって絶対に必要な情報ではない。 もし、PC達が漆黒の伽藍の情報に固執するようであれば演目の目的を達成する為に絶対に必要な情報ではない旨を伝えるといいだろう。
 

・シーン7 動き出した時について

 シーン7で漆黒の伽藍が神父の元へ直接向かうのは妨害装置を先に消す為である。 神父は二コラを外へ出さない為の妨害装置の様な物だ。神父を殺し半日(6時間)経つ前に二コラを外へ出さなければ二コラは死に再び時間が戻ってしまう。
 神父は大変手強い為、ライルのみでは逸脱能力を使わなければ倒す事が出来ず、自我が殆どないライルにとっては倒せたとしても二コラを外へ出す事が出来るかわからない。それどころか、完全なる化物になり二コラを自らの手で殺してしまうかもしれない。
更には戦闘で時間がかかり過ぎても二コラは死ぬ。そうするとまた時が巻き戻ってしまう為、PC達が来るのを待っていたのだ。
 

・ゴドフリー神父の恋人について

 ゴドフリー神父の恋人は、国を出た所で襲われ気を失った。その後は風俗テントで無理矢理働かされた挙句、使い物にならないと判断された彼女は、生きたまま、髪や歯、内臓等を全て売却された挙句教会の地下墓地に運ばれて来たのである。
 

・ほつれの中での時間軸について

ほつれの中での18時間は元の空間の1時間である。
尚、これは明確な決まりではなくあくまで目安である。ほつれの中での時間の進みが一定であるとは限らない。
ただ、緑の国がほつれに飲まれたのは数十年前である。ライルはどれだけの時間を終わりの見えない絶望の中で必死に二コラを守ろうして来たのか…ゴドフリー神父は何度狂気を繰り返して来たのか…。
GMである貴方には是非、想像した上でシナリオを回して頂きたい。
 
 
 

■ほつれの中でのルール

・徐々にほつれが迫っている。半日程(6時間)で全てがほつれに飲み込まれてしまう。 明確な時間は決まっていないが、大体18時~0時の間を繰り返している事とする。

 ほつれが迫る演出はGMが決定すること。
 例えば、砂時計、地図、ミープル(PCの駒)を用意し、一定の時間が経ったら一定のエリアがほつれに飲み込まれる。 もしくは、情報収集時に調べたい場所はほつれに飲み込まれてしまっている為、調べる事は不可とするとPC達に伝えるなど。うまくこの設定を利用して、PC達に緊張感を与えられるといいだろう。
 

【ループ時の処理】

・記憶を保持出来るのは紡ぎ手、もしくは異形、伽藍のみ。
・HPとMP、財産点を消費しているPCはこの空間へ来た時点の値に回復する。
・使用したアイテムは効力と共に元に戻るが、ほつれに飲み込まれた物は効力のみを失う。 また、「シナリオ中1度のみ」など記載がある物は、アイテムデータを優先する事。
・ほつれに飲まれたPCはMPを戻した後にMP-3
・剥離値は回復しない。
また、ほつれの中での戦闘時に、PC達全員のHPが0になったとしても、上記ルールに従いもう一度同じシーンを行う事が出来る。
 
 

【ほつれの外へ出るには】

 PC達はいつでも「砕ける境界」を使用し、縫製判定12を成功する事が出来れば外へ出る事が可能。 しかし、PCが1人でも外へ出てしまうとシナリオは終幕となる。PC達が外へ出る事を望む際は、シナリオが終幕となる事を必ず伝える事。
PCが外へ出た時点のシーンが終わり次第エンディングとなる。
 
※ 外へ出たシーン中、もしくはエンディング時にもう一度中に入る際は「砕ける境界」を使用し、縫製判定30を成功した場合のみ戻れる。いずれの縫製判定でも失敗すればほつれに飲み込まれるだろう。キャラクターをロストとするかはGMが判断する事。
 もしほつれの中に残るPCと外へ出るPCで別れるのであれば、残るPCは「剥離値+15」し、全PCはエンディング前の伽藍となるかの判定を行う事。
 
 以下はPCが外へ出た際のエンディングプロットとなる。これまでの展開に応じて、自由にシーンを演出すると良いだろう。
 
 ほつれの外には人気はなかった。君達がほつれに飲み込まれた事でこの場から全員が避難したのだ。
ほつれは広がる一方でいずれはこの左の地を飲み込んでしまうかもしれない…しかし、君達にはどうする事も出来ない。
 君達はこの不安定な世界でこの先も生き、そしていずれは終わるだろう。終わりがあると言うのはある意味幸せな事かもしれない。
 
 
 
 

オープニングフェイズ

■シーン1 時戻りの国 シーンプレイヤー:PC①

◆解説
 PC①のオープニング。"緑の国"での回想から、ほつれへ向かうシーン。
 回想はPC①にとって二コラとライルが大切な存在と思える様に演出するといいだろう。回想の台詞はPC①が黙っていても進行するように作られているが、必ずその通りに進行する必要はない。 むしろPC①とライル、二コラが掛け合った方がPC①にとっては印象深くなるだろう。回想の後は、ヤサイ・モリオを上手く使い賑やかにするとよい。
 
 

▼描写1

 これは君のかつての記憶。君が幼かった頃の記憶だ。
 
ライル「待って~PC①。」
二コラ「遅いよライル!」
ライル「二コラが早過ぎるんだよ。PC①、僕達から渡したい物があるんだ。」
二コラ「はいこれ!3人でよく遊んだビー玉!私が黄色で。」
ライル「僕が緑。言っとくけどあげるんじゃないよ。帰って来るまで貸しとくだけ。」
二コラ「ライルったら照れちゃって、PC①このビー玉は私達からの御守りだよ。絶対に帰って来てよ。約束だからね。」
 
それから数日後…
 
父「おい、聞いたか"緑の国"がほつれに飲み込まれたって、一瞬の事で国の人間は全員…」
 
…君は目を覚ました。頬には一筋の涙が流れていた。
 
 君は馬車に乗っていた。
左の地の伝説。"時戻りの国"。その国へ行けばどんな時間も戻せる。詳細は不明だが後悔している事をやり直す事が出来る等様々な噂がある。
 
 ほつれに飲み込まれた君の故郷、"緑の国"。そのほつれの中に伝説の国があると噂されている。噂を聞いた時に一つの御標が下ったのだ。
「友は生きている。かつての故郷…ほつれの中に答えはある。」
君は一縷の希望を抱き、かつての故郷へとやって来た。
 
 

▼描写2

「着いたよ。お客さん。」
 馬車から降りると、かつて何もない平地だった場所に集落が出来ており、降りると同時に人々に取り囲まれた。
 どうやら、宿の勧誘のようだ。
その中でもひと際元気に君に話しかけてくる人物がいた。
 
□セリフ:ヤサイ・モリオ
 
「ようこそ!俺はヤサイ・モリオ。宿ならうちにしな。うちの自慢は何と言っても、野菜の国自慢の野菜で作る料理さ!!あと俺が掘った露天風呂も好きに入れるぞ!」
 
「俺の目的は野菜の美味しさを広めることさ!」
 
「この道をまっすぐ進むと、時戻りの国…かはわからねぇけど大きなほつれがある。研究者やら狩人やら聖職者やら色んな奴が向かったぜ。」
 
 

◆結末

 "ほつれ"へ向かうと様々な人がいた。研究者に狩人、聖職者までもがそこに集まっていた。
PC①が"ほつれ"へ向かった所でシーンは終了となる。
 

 

 
 

■シーン2 広がるほつれ シーンプレイヤー:PC②・PC⑤

◆解説

 PC②・PC⑤のオープニング。
 伽藍を倒し終わったPC②へPC⑤(いない場合はフランツ)が護衛の依頼をするシーン。
特にPC②の希望がなければ、下記のように演出すると良いだろう。
 
 

▼描写1

 君は魔狩人だ。伽藍に深い憎悪を抱き伽藍を狩る日々。
今日も激しい死闘の末、伽藍を狩り終わった。そんな君に一人の研究者らしき男が仕事の依頼があると現れた。
君は先程の戦闘もあり武器の整備や、食料等何かと金が必要だった。
 
※PC⑤がいない場合
□セリフ:フランツ・キセリョフ
「お見事!流石噂に名高いPC②。君の腕を見込んで頼みがある。金は弾むよ。」
 
「数十年前"緑の国"がほつれに飲まれた。私はチームを組み、そのほつれの調査をしていると、突然一人の人間が現れ一瞬で朽ちて消えた。そのまま調査を続けていると、また人間が現れたんだ。その人間は「中に…時戻りの国が…」と呟き、同じ様に一瞬で服さえ残らずに朽ちてしまった。」
 
「ほつれを調査した結果、ほつれは僅かにだが広がっている事がわかった。中には間違いなく伽藍がいる。しかもとても強力な…。
そこで、私の護衛を頼みたいのだ。引き受けてくれるかい。」
 
 

◆結末

 依頼を引き受けた君は研究者と共に"時戻りの国"があるとされる場所へと向かうのであった。
 PC②が依頼を引き受けるとシーンは終了となる。
 

 

 
 

■シーン3 ザラストロの頼み シーンプレイヤー:PC③

◆解説

 PC③のオープニング。
ザラストロから"逆時計"の回収を依頼されるシーン。
エンディングでPC③が二コラから逆時計を奪うか等、葛藤出来るようにザラストロの真摯な思いがPC③に伝わるよに演出するといいだろう。
 
 

▼描写1

 PC③のオープニング。
 君は聖教会に属する聖職者だ。
 君の目の前には"ザラストロ・エテルネル・ベシュティムト"が居た。
 
□セリフ:ザラストロ・エテルネル・ベシュティムト
 
「PC③。君に頼みがある。神の宝とされる逆時計を探して来て欲しいのだ。君も噂ぐらいは聞いたことがあるだろう。君と親しかったゴドフリー神父に預け、聖教を広める為に各地で祈りを捧げていた。」
 
「しかし、祈りを捧げる最後の国、"緑の国"で、彼は…国ごとほつれに飲まれてしまったのだ。だが、最近その"ほつれの中に"時戻りの国が発見されたと噂がある。君にはその噂を調査し、逆時計を探し出してもらいたい。」
 
「無茶な頼みだが私はゴドフリー神父が亡くなった事が未だに信じられない。いや、信じたくないのだ。あの人は素晴らしい人だった。私も随分助けられた…。せめて彼と時を共にした逆時計だけでも、この教会へ祀り供養したい。」
 
「本来であれば私自ら探しに行きたいのだが、強硬派の動きが気になる…何やら嫌な予感がするのだ。」
 
「これは私の個人的な要望だ。PC③、一人の人間としてお願いする。どうかゴドフリー神父を…いや、逆時計を探してきてはくれないか。」
 

◆結末

 PC③が承諾、もしくは"緑の国"へと向かうとシーンは終了となる。
 

 

 
 

■シーン4 戻したい時間 シーンプレイヤー:PC④

◆解説

 PC④のオープニング。PC①のオープニングの前日。
PC達の中で唯一、時戻りの国の伝説を求めている人物となる。
PC④のどうしても戻りたい過去。その強い思いを演出するシーン。
特にPC④の希望がなければ、下記のように演出すると良いだろう。
 
 

▼描写1

 君は激しい砂嵐の中にいた。
伝説の時戻りの国が発見されたと言う噂…その噂に一縷の希望を抱きその場所へと向かっていた。
砂嵐は止む気配はなく時間が経つにつれ激しさを増している。
 

▼描写2

 激しい砂嵐に負けずに、歩みを進める君に一つの御導が下る。
「求む物は時計。ほつれの中にそれはある。君はそこで一縷の希望を見るだろう。」
 

▼描写3

 しばらくすると、砂嵐が晴れた。
そして、君が行く道に一人の男がたっていた。
 
□セリフ:ヤサイ・モリオ
「お、なんだい、あんたも時戻りの国の噂を聞きつけた口かい?俺の名前はヤサイ・モリオ。野菜の国の野菜を広める旅をしているんだ。今は時戻りの国があるって場所の近くで宿屋をやっている。」
 
「その様子じゃ腹が減ってるんじゃないか?よかったら自慢の野菜料理をご馳走するぜ。俺は俺の国の野菜を美味しく食べてもらうために生きてるんだ!」
 

▼描写4

 ヤサイ・モリオがくれた料理はそれはそれは美味しく、あっという間に平らげてしまった。例え野菜が嫌いであっても不思議とやみつきになる、圧倒的で暴力的なまでの美味さだった。
 
「もう日も暮れる。もし、少しでも俺の料理が美味いと思ってくれたんなら、うちの宿に泊まっていかないか?俺の野菜料理に加えて露天風呂付きだ。安くしとくぜ。」
 
「ありがとな。疲れも溜まってるだろ。まずは沢山食べて風呂に浸かって休みな。休んだら、ほつれの方へ行ってみるといい。噂の場所は宿から少しいった所だ。研究者やら色々な奴が集まってるぜ。」
 
 

◆結末

PC④が承諾、もしくは"ほつれ"へ向かうとシーンは終了となる。
 
 

 

ミドルフェイズ

■シーン5 ほつれた時間 シーンプレイヤー:PC①

◆解説

 PC達の合流シーン。PC①が向かった先で他のPCは既にその場にいると設定する。 この時既にPC同士が話して打ち解けているのか、ここに来た経緯などは、自由に設定すること。
 暫くすると紡ぎ手であるPC達はほつれの中に飲み込まれる。PC⑤がいない場合、NPCのフランツは紡ぎ手でないのでほつれの中に引き込まれない。 ほつれの中にはかつての緑の国があり、二コラとライルが幼い姿のまま伽藍から逃げており、ほつれが内側に向けて徐々に迫ってくる。ほつれが迫る演出はGMが好きに演出する事。
 PC②は恐らく漆黒の伽藍に敵意を向けるだろう。 しかし、その漆黒の伽藍は"本物のライル"である。漆黒の伽藍は敵意を向けなければ何もせず、情報収集が可能。重要な情報を得れば一瞬で演目を終幕にすることが出来るだろう。 だが、漆黒の伽藍と戦闘になれば、演目上のペナルティとして、戦闘終了後は好きに動けずに、ゴドフリー神父に殺される。 次のシーンからは漆黒の伽藍と戦闘になろうとなるまいと情報収集が可能。
※PC達はこのシナリオ中いつでも逸脱能力(砕ける境界)を使用し脱出する事が可能。「ほつれの外へ出るには」参照。
 
 

▼描写1

 PC①がほつれへ向かうと研究者だけでなく、聖職者や狩人など様々な人間が集まっていた。
※自動的に全員登場。
 

▼描写2

 集まった君達の頭に少年の声が流れてくる。
『助けて、彼女を救って』
→(MMp263 歪み表「時空歪曲」をチョイス)
 
 
 君達は本能的に理解する。これは御標だと。
その瞬間ほつれから黒い手の様な物が伸びてきて君達を包み込んだ。(逸脱能力:天より伸びる手)
そして気が付くと君たちは見知らぬ場所…いや、PC①は良く知っている場所にいた。
 

◇精神判定:達成値10

 
・成功=とてつもない憎しみの感情が流れ込んでくる。
PC③成功時:この感情がゴドフリー神父の「共感発声」による物だとわかる。
 
・失敗=とてつもない憎しみにより、暫く動く事が出来なくなる。このシーン中での戦闘時に麻痺を付与
 
 
 周りは"ほつれにドーム状に覆われており"薄暗い。辺りには緑の国の人々が立っていたが、全く生気を感じられず人形の様だ。だが憎しみの感情が流れると同時に膝から崩れ落ち涙を流していた。
ほつれは徐々に内側に迫っており、半日(6時間)もすれば全てがほつれに飲まれてしまうだろう。
 そんな中、少年と少女がおぞましく歪な姿をした“漆黒の伽藍”から必死で逃げていた。その2人の姿をPC①はよく知っている。幼い姿のまま、何も変わっていない"ニコラ"と"ライル"だ。
伽藍は一歩一歩確実に2人へ迫っていた。
 
 

●分岐点

・PC達が漆黒の伽藍へ敵意を向けなければ、戦闘は行われずに情報収集が可能になる。描写3へ。
 
・PCが一人でも敵意を向ければ戦闘になる。ミドルフェイズ戦闘①へ。
※敵意を向けたかはGMが判断する事。
 
 

〇ミドルフェイズ戦闘①(敵意を向けた場合)

 漆黒の伽藍と戦闘となる。この戦闘では、漆黒の伽藍は逸脱能力を使用しない。
 漆黒の伽藍にダメージを累計20点与えたら、戦闘は終了となる。 
⇒描写を全て飛ばし結末③へ
 
 

▼描写3(伽藍は敵意を向けなければ触れたとしても何もしてこない。)

 二コラとライルは教会へ入り、伽藍は教会の扉の前で立ち止まった。
伽藍が中へ入る様子はない。
→ここから情報収集が可能になる。
 

★情報項目(漆黒の伽藍を倒していない場合のみ)

・緑の国について 【社会】難易度:8、13
・黒い腕について 【縫製】難易度:16
・逆時計について 【縫製】難易度:10
・ゴドフリー神父について 【社会】難易度:12
・漆黒の伽藍について 【感応】難易度:8、12、20、30
※1人1回情報収集が可能。状況により回数を増やすのも良いだろう。
 

▼描写4

 君達がこの空間へ来てから半日(6時間)が経とうとしてた頃、地下墓地の入り口から曇白に包まれたゴドフリー神父が姿を現した。
 神父は教会へ入ろうとしたが、漆黒の伽藍が阻止している。しかしすぐに漆黒の伽藍は倒され、神父は二コラへ向かって歪んだ笑みを浮かべながら迫っていた。
 
◇判定:達成値15 ここでの判定は基本能力値ボーナスの好きな項目で判定する事が可能。
 
・成功⇒結末①へ

・失敗⇒結末②へ
 
 

◆結末①(判定成功)

 神父を倒し、ライルと二コラが安堵の表情を浮かべていると君達の頭に声が流れ込んで来る。
『許さない。あいつの一族全員…彼女と同じようにバラバラにしてやる』
→(歪み表ver2.0からROC。但し効果は次のシーンから適用される。)
 
 君たちは本能的に理解する。これは御導だと。
 突然二コラの四肢がバラバラに引き千切れ、二コラの首は安堵の表情を浮かべたまま床に転がった。 倒れている漆黒の伽藍からは一筋の黒い涙が流れていた。 その瞬間、二コラが握りしめていた"逆時計"が輝き出し、君達を包み込む。
 
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。 最初の状況と同じく二コラとライルが漆黒の伽藍から必死で逃げていた。シーンを終了する。
 
 

◆結末②(判定失敗)

 ゴドフリー神父は君達を倒し、二コラを笑いながら殺した。
君達が死ぬ間際、ライルの叫びと共に何かが光った気がした…。
 
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。 最初の状況と同じく二コラとライルが漆黒の伽藍から必死で逃げていた。シーンを終了する。
 
 

◆結末③

 君達がここへ来てから半日(6時間)が経過しようとしていた頃、地下墓地の入り口から曇白に包まれたゴドフリー神父が姿を現した。
 君達は伽藍となった神父に"殺されてしまう"。君達が死ぬ間際、二コラが神父に殺されると同時に何かが光った気がした…。 神父の笑い声が響く中、君達は息を引き取るのだった…。
 
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。 最初の状況と同じく二コラとライルが漆黒の伽藍から必死で逃げていた。シーンを終了する。
 

 

 
 

■シーン6 繰り返す時 シーンプレイヤーPC②

◆解説

 シーンの始まりと同時にPC達へ■ほつれの中でのルール【ループ時の処理】を適用する事。
 PC達が漆黒の伽藍に敵意を向ける限り何度もシーンを繰り返し戦闘を行う可能性がある。 長引くようなら敵意を向けたかの判断を甘くする、もしくは漆黒の伽藍が敵ではない描写を追加するといいだろう。
 伽藍生存ルートへ進めば、漆黒の伽藍の姿をしたライルが魂を少年から戻し、自我を取り戻す。そして「動き出す時」へ進む事が可能となる。
 
 

▼描写1

 気が付くと君たちは、最初にいた場所と同じ場所に立っていた。
最初に感じた憎悪の感情が君達に流れ込むが、一度体験した君たちは特に影響を受ける事はなかった。
 辺りには生気がない人々が立っており憎しみの感情が流れると同時に膝から崩れ落ち涙をながしていた。そして、最初の状況と同じく二コラとライルが漆黒の伽藍から必死で逃げている。
 
 

●分岐点

・ここでPC達が漆黒の伽藍へ敵意を向けなければ戦闘は行われず、情報収集が可能になる。
【伽藍生存ルート】描写2-1へ。
 
・PCが一人でも敵意を向ければ戦闘になる。
【伽藍死亡ルート】ミドルフェイズ戦闘②へ。
※敵意を向けたかはGMが判断する事。
 
 

〇【伽藍死亡ルート】ミドルフェイズ戦闘②(敵意を向けた場合)

 漆黒の伽藍と戦闘になる。この戦闘では、漆黒の伽藍は逸脱能力を使用しない。
 漆黒の伽藍にダメージを累計20点与えたら、戦闘は終了となる。 
 
→戦闘終了演出
 伽藍が倒れる間際、君達の頭の中に声が響いた。
「二コラヲ タスケテ」⇒【伽藍死亡ルート】描写2-2へ。
 
 

▼【伽藍生存ルート】描写2-1

 二コラとライルは教会へ入り、伽藍は教会の前で立ち止まった。伽藍が中へ入る様子はない。
 伽藍は君達に対して敵意はなく、例え触れたとしても何もして来ない。
→ここから情報収集が可能になる。
情報を一通り集め終わったら描写3へ
 

▽【伽藍死亡ルート】描写2-2

 二コラとライルは教会へ逃げ込んだ。
→ここから情報収集が可能になる。
情報を集め終わったら描写3へ
 
 

★情報項目

・時戻りの国について 【社会】難易度:8
・ゴドフリー神父について 【社会】難易度:12
・ニコラ・パリージについて 【社会】難易度:10
・ライル・レノンについて 【社会】難易度:10
・町の人々について 【知覚】難易度:10
・ほつれから突如現れた人間について 【感応】難易度:10
・緑の国について 【社会】難易度:8、13
・逆時計について 【縫製】難易度:10
・黒い腕について 【縫製】難易度:16
・漆黒の伽藍について 【感応】難易度:8、12、20、30
・ライル・レノンについて② 【知覚】難易度:12
・ニコラ・パリージについて② 【縫製】難易度:11
※1人1回情報収集が可能。状況により回数を増やすのも良いだろう。
 
 

▼描写3

 ちょうど半日(6時間)が経過しようとした頃、地下墓地の入り口から曇白に包まれたゴドフリー神父が姿を現した。神父は君達の前に歪な笑みを浮かべながら迫ってきた。
 

【伽藍生存ルート】描写3に下記文章を追加。

 漆黒の伽藍は神父に対し、まるで教会を守るかの様に攻撃を始めた。しかし、神父の強力な攻撃に押され教会の扉ごと押し込まれてしまう。
 

〇ミドルフェイズ戦闘③

 ゴドフリー神父との戦闘。戦闘データはエネミーデータを参照する事。
 ミドルフェイズ戦闘ではダメージを合計50点与えたら、戦闘終了となる。このダメージは、クライマックスの【HP】には影響しない。この戦闘ではゴドフリー神父は逸脱能力を使用しない。
 

【伽藍生存ルート】漆黒の伽藍が味方となる。

このシーン中に1度だけPC達の任意のタイミングで逸脱能力(幸福の壁)を使用させる事が可能となる。
 
 

◆【伽藍生存ルート】結末①

 神父は笑いながら息を引き取った。
漆黒の伽藍はライルに向かい、凄く怯えるライルに触れるとライルの表情から生気が薄れた。若干ライルの姿が変化した様にも見える。
 
 君たちが目を離した一瞬、教会の天井が二コラに落ちてきて二コラは潰れてしまう。
その瞬間、逆時計が眩く輝き出し、君達を包み込む。
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。 最初の状況と同じく二コラとライルが伽藍から必死で逃げている。シーンを終了する。
 
※⇒シーン7 動き出す時へ
 
 

◆【伽藍死亡ルート】結末②

 神父は笑いながら息を引き取った。
ライルと二コラが安堵の表情を浮かべていると、君達の頭に声が流れ込んできた。
『許さない。あいつの血が流れてる奴は彼女と同じようにバラバラにしてやる』
→(歪み表ver2.0からROC。但し効果は次のシーンから適用される。)
 
君たちは本能的に、これは御導だと理解する。
突然二コラの四肢がバラバラに引き千切れ、 二コラの首は安堵の表情を浮かべたまま床に転がった。 倒れている漆黒の伽藍からは一筋の黒い涙が流れていた。 その瞬間、逆時計が眩く輝き出し、君達を包み込む。
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。 最初の状況と同じく二コラとライルが伽藍から必死で逃げている。シーンを終了する。
 
※⇒シーン6 繰り返す時へ
 

 

 
 

■シーン7 動き出す時 シーンプレイヤーPC③

◆解説

 シーンの始まりと同時にPC達へ■ほつれの中でのルール【ループ時の処理】を適用する事。
 PCの敵意に関わらず、このシーンでは情報収集が可能。
また、敵意を向けなければ漆黒の伽藍が地下墓地へと向かいPC達の代わりに神父が仕掛けた罠の身代わりとなる。 しかし、敵意を向けるとループしてしまう為、状況に応じて敵意の判断をゆるくするといいだろう。
 漆黒の伽藍が身代わりになる際、逸脱能力(墓所を超えるもの)を使用している。
 
 

▼描写1

 気が付くと君たちは、最初にいた場所と同じ場所に立っていた。
最初に感じた憎悪の感情が君達に流れてくるが、一度体験した君たちは特に影響を受ける事はなかった。
 目の前には漆黒の伽藍から逃げる二コラとライルがいた。
しかし、今までとは漆黒の伽藍とライルの様子が少し違った。ライルはどこか虚ろな目をしており、動きも鈍く見える。漆黒の伽藍は2人が逃げる方向ではなく地下墓地の入り口に向けて歩いていた。
 
 

●分岐点

・PC達が漆黒の伽藍へ敵意を向けなければ戦闘は行われない。描写2-1へ。
 
・PCが一人でも敵意を向ければ戦闘になる。ミドルフェイズ戦闘④へ。
※敵意を向けたかはGMが判断する事。
 
 

▼描写2-1

→ここから情報収集が可能になる。
 
(情報収集が終わったら下記描写を伝える事。)
 伽藍は地下墓地に向かって歩いていた。
そして地下墓地の入り口に辿り着くと、そのまま中へ入って行った。
 
 入ると同時に無数の棘が伽藍を串刺しにする。だが、漆黒の伽藍は一瞬動きを止めただけでそのまま歩き出した。(墓所を超えるもの)
漆黒の伽藍は振り返りPC①を真っすぐ見つめ、奥へと歩みを進めていく。
その瞳はPC①に“ついて来い”と訴えかける様だ。
伽藍がしばらく歩みを進めると、また串刺しにされては一瞬動きを止め、そのまま歩き出した。
それを5回程繰り返している。
 
 
※⇒◆結末③へ
 
 

〇ミドルフェイズ戦闘④

 漆黒の伽藍と戦闘になる。この戦闘では、漆黒の伽藍は逸脱能力を使用しない。
 漆黒の伽藍にダメージを累計20点与えたら、戦闘は終了となる。
 
▼戦闘終了演出
伽藍が倒れる間際、君達の頭の中に声が響いた。
「二コラ二、トケイヲ…PC①」
伽藍は力尽き倒れ、二コラとライルは教会へと逃げ延びていた。
 
→ここから情報収集が可能になる。
情報を調べ終わったら描写2-2へ。
 

▽描写2-2

 ちょうど半日(6時間)が経過する頃、地下墓地の入り口から曇白に包まれたゴドフリー神父が姿を現した。ゴドフリー神父は歪んだ笑みを浮かべながら二コラのいる方へ向かっている。
 
 

◇戦闘の判定 達成値15 好きな能力値ボーナスで判定する事が可能。

 
成功⇒◆結末①へ。

失敗⇒◆結末②へ。
 
 

◆結末①(判定成功)

 神父を倒し、ライルと二コラが安堵の表情を浮かべていると逆時計の針が午前0時を指した。 その瞬間、突然二コラの四肢がバラバラに引き千切れ、二コラの首は安堵の表情を浮かべたまま床に転がった。 倒された漆黒の伽藍からは一筋の黒い涙が流れていた。 その瞬間、"逆時計"が輝き出し、君達を包み込む。
 
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。 最初の状況と同じく二コラとライルが漆黒の伽藍から必死で逃げている。シーンを終了する。
 
※⇒シーン7 動き出す時へ
 

◆結末②(判定失敗)

 ゴドフリー神父は君達を倒し、二コラを笑いながら殺した。
ライルの叫びと共に何かが光った気がしたが、すぐに君達は息を引き取るのだった…。
 
 そして、気が付くと君たちは最初にいた場所と同じ場所に立っていた。最初の状況と同じく二コラとライルが漆黒の伽藍から必死で逃げている。シーンを終了する。
 
※⇒シーン7 動き出す時へ
 

◆結末③

PC達が着いていくとシーンを切りクライマックスフェイズへ
 

クライマックスフェイズ

■シーン8 全ては彼女の為に シーンプレイヤーPC①

◆解説

 ゴドフリー神父との最終決戦。ゴドフリー神父の扱いはエネミーデータを参照すること。神父を倒すとライルが全ての魂を取り戻し、一時的に会話する事が可能となる。
 そして、ライルの逸脱能力(砕ける境界)によって、外へ出る亀裂が作り出され亀裂へ入るとエンディングになる。 また、自我を失いつつあるライルの最後の一言は歪められた御標である。この歪みを引き受けるか受けないかにより、エンディング演出が僅かに変わる。
 
 

▼描写1

 地下墓地では、ゴドフリー神父が恰幅のいい男の遺体をバラバラにしていた。PC①はその顔に見覚えがある。二コラの父だ。
 
・敵意を向けると怒りの咆哮を上げ襲い掛かって来る。
・敵意を向けないでいると、神父が歪な笑みを浮かべ攻撃してくる。
 

◯クライマックス戦闘

エネミーデータのゴドフリー神父を参照。
 罠を突破するのに逸脱能力を使用している為、漆黒の伽藍は戦闘に参加しない。
※戦闘の終了条件はゴドフリー神父に“止めをさす”事であるとプレイヤーに必ず伝えること。
 

▼描写2

「彼女ヲ殺シタ…コノ国全テ…許サナイ。ドウシテ…彼女ガ…」
 ゴドフリー神父は笑みを浮かべたまま涙を流し、後ろの棺へもたれ灰となった。
後には大きなロザリオが一つ残るのみ…。棺のなかには、腐敗が進み、顔の損傷が激しいバラバラになった遺体がある。よく見ると瞳や臓器などが綺麗になくなっており、恐らく胃袋であった物の中にはゴドフリー神父が持っていたロザリオと同じ形の小さいネックレスがあった。
 

▼描写3

 漆黒の伽藍は棺に興味を示さず教会へと歩いていく。
漆黒の伽藍がライルに触れると、ライルからは完全に生気が抜け、その場へ目を開いたまま倒れた。
 その光景を見た二コラは恐怖に怯えた。伽藍は二コラの前に触手を掲げると、二コラは気を失ってしまった。(術者特技:魂の囁き)
 漆黒の伽藍が口を開くと、ライルの声が聞こえてきた。
 

□セリフ:ライル・レノン(漆黒の伽藍)

 
「ごめん。二コラ。きっと君は優しいから、この先ずっと僕の事を忘れないで悲しんでくれると思う。でも、僕は君に笑っていて欲しいんだ。…PC①、皆さん、突然で申し訳ないけど詳しい説明をしている時間がない。これが最後のチャンスなんです。二コラをこのほつれてしまった空間から連れ出して欲しい。」
 
「僕はもう、心まで伽藍になってしまった。こうして話せているのも一時的な物です。もし、また時が戻ったら完全に僕の意識はなくなってしまう。そしたら僕は…自分の手で二コラを殺してしまうかもしれない。そうなったら永遠に僕が殺し続ける事に…その前に、お願いだPC①…その逆時計を持たせて、二コラを連れ出してくれ。」
 
「ありがとう。…二コラを頼むよ。」
 
ライルが両手を掲げると、空間に亀裂が現れる。(逸脱能力:砕ける境界)
「この先は元居た場所に繋がっている。」
 
「PC①。僕のビー玉…PC①にあげるよ。僕の大事な宝物…。実はそれ、二コラから始めて貰ったプレゼントなんだ。二コラはあまり覚えてなかったけどね。…さっき、二コラの記憶から、僕の事を消した。だからさ、せめて君だけでも…時々でいいから僕の事を思い出してくれると嬉しいな。」
 
『二コラを…幸せにしてね。』
(MMp263 歪み表 “人体消失”をチョイス。PC①はこの歪みを引き受ける事が出来る。)
 

◆結末

亀裂へ入るとシーンを終了する。
⇒エンディングフェイズへ。
 

エンディングフェイズ

 以下はエンディングプロットとなる。これまでの展開に応じて、自由にシーンを演出すると良いだろう。

◆解説

 このシーン以降ニコラの身体から逆時計が一瞬でも離れる事があれば、ニコラは消滅する。 逆時計の効果は人の時間の進みを遅くする事だ。ほつれの中で長く過ごした者が外へ出ると、外との時間の帳尻を身体が合わせようとする。ほつれの中で果てしない時間を過ごした二コラは逆時計の効力により、普通の人間と同じ時間を生きる事が出来るのだ。その為一瞬でもその身から離してしまうと、急速に二コラの身体の時間が進み消滅してしまうのである。
 逆時計を身体から離したかの判断はGMが行う事。逆時計にはチェーンがついており、そのチェーンを首からかけている。そのチェーンが完全に二コラから一瞬でも離れると二コラは消滅してしまう。
 
 

▼描写1

 PC達が外に戻ると、ドーム状に覆われていたほつれは多少広がっていたがそれ以降広がる様子はない。
 辺りは最初と違い人の気配はなく静かだった。PC達がほつれに飲まれるのを見てその場にいた全員が避難したのだ。日の傾きから予想するに、1時間程しか経っていないようだ。
 
暫くすると二コラが目を覚ました。
 

□セリフ:二コラ・パリージ

「ここは?私…助かったの?」
 
「凄く怖い思いをした気がするけど、上手く思い出せない…。でも、"貴方達"が助けてくれたって事はわかるわ。助けてくれてありがとうございます。…あれ?安心したからかしら、涙が止まらないわ。」
 
「私、とても大切なことを忘れている気がする。とてもとても大切な人の事を…。おかしいですよね。そんな筈ないのに。」
 
(PC①が歪みを引き受けない場合、御標が演目に登場している全員に流れる)
『その人は、もうどこにもいません。誰もその人を見つける事は出来ないのです。めでたしめでたし。』
 
「あれ?おかしいわね。涙が…止まらない…。」
 
 彼女はそれから1日中泣いていた。
しかし自分が何故泣いているのか自分でも"わからない"と言う。
自分が発した"わからない"と言うその言葉に、彼女はまた涙を溢れさせた。
 
 

【個別エンディングプロット】

■PC⑤:今回興味深い体験をした君は、より一層ほつれの研究に打ち込むだろう。

しかし、それには危険が伴う。君は新たな研究の為にもPC②に再度依頼しに行く。
どう依頼するかは君の自由だ。依頼をしに行く所でもいいし、PC②に登場してもらうのもいいだろう。
 

■PC④:求める結果が手に入らなかった君はまた別の手段を探して旅にでるだろう。

もしくは今回の件で諦めがつき国へ戻るかもしれないし、他のPCについて行くかもしれない。
 

■PC③:逆時計が手に入る入らないに関わらずザラストロに事の顛末を伝えなくてはならない。君は聖都へ戻ってもいいし、自分の信念に従い旅に出てもいいだろう。

 

■PC②:今回の件で伽藍を殺すことに多少の戸惑いを覚えた君は今後どうするか悩むだろう。そんな時、PC⑤(PC⑤がいない場合はフランツ)から再度護衛の依頼が来た。君は自分の考えが決まるまでその依頼を引き受けてもいいし断ってもいい。

 

■PC①:ライルが自分の全てを犠牲にしてまで助けた二コラ。

彼女は幼く弱い。更に神の宝とされる逆時計まで持っている。
逆時計を狙う者、彼女を研究対象にする者から守らなければならない。それが親友と交わした最後の約束なのだから…。
彼女を守る為にも、君は彼女と安住の地を求めて旅に出るのであった。

◆ アフタープレイ ◆

 演目の目的を達成した項目については、以下のように判断すること。
 
・二コラを生存させる事に成功した。5
・クライマックスフェイズまで到達した。5
 
 
 

■情報項目

■緑の国について 【社会】難易度:8、13

□8
この国は豊かだった。人々は何不自由なく生活し、生活に困る事はなかった。
しかし、この国は土地的に食料が育ち難く、立地が悪いため貿易も難しい。特に名産品がある訳でもない。
 
□13
下記の2つの情報がわかる。
・町にいる人々の足元にメモ帳を見つける事が出来る。 そのメモにはこの国へきた旅人についての記載がズラリと並んでいた。 その最後のページに『最近この国へ訪れた旅人。凄く健康的でいい女性だった。』 と記載の後に見積が書いてある。そこには髪。歯。内臓等に加え風俗テントに採用等おぞましい記載が事細かに記載されていた。 また、身に付けていたネックレスもかなりの高額で売れると記載されている。
 そう…この国が豊かなのには理由があった。 この国の商人は他所から来る旅人を国の外で襲い、商品として利用出来るだけ利用していたのだ。 風俗テントの経営。人身売買。臓器売買。髪や、歯も売れる物は全て売る。 そして、国民は直接は協力していないものの、子供や一部の大人以外はほぼ全員がその事を知っていた。
 
・現在のこの空間には、強い歪みが発生している事がわかる。PC達はこの歪みを引き受ける事が可能。しかし、その結果どうなるかは分からない。
 
※解説(GM用)
もし引き受けるなら、今後全てのPCはほつれのルールの下記を適用した後、HP-5とする。
「・HPとMPを消費しているPCはこの空間へ来た時点の値に回復する。」
処理については、必ずこの空間へ来た時点"の値に回復させてから行う事。
 
 

■時戻りの国について 【社会】難易度:8

古くから伝わる伝説の国。その国へ行けばどんな時間でも戻す事が出来る。
やり直したい過去や、死んだ人を蘇らせる事。伽藍になった者を元に戻す事さえ可能とされる。ライルがよくPC①と二コラに、将来は国を出て時戻りの国を探し出すんだと言っていた。特に探し出したい理由があった訳ではなく子供心の好奇心から来る物だったようだ。
 
 

■漆黒の伽藍について 【感応】難易度:8、12、20、30

□8
 伽藍は敵意を向けなければ触れても襲ってこない。
よく観察していると、眼と思われる部分にメガネのフレームのような物があるが、伽藍の顔に埋まっていて詳しく調べる事は出来ない。
 
 
□12
 この伽藍は下記の特殊な特技を持っている事がわかる。
・分割する魂
自分の魂を任意の量、分割し与える事が出来る特技。
生物にのみ与える事が可能だが、対象に魂がある状態では成功率は著しく下がる。少ない量の魂を与えた場合は、対象を操り五感を共有する事も出来る。しかし、あまり多くの魂を与えてしまうと、その対象は自我を持ち、自分のコントロールから離れ独立した存在となる。
 
 
□20
 この伽藍はライル・レノンだと言う事がわかる。
ライルはニコラと逃げ込んだ教会で凶悪な伽藍となったゴドフリー神父に襲われてしまう。しかし、ニコラを守りたい一心からライルは紡ぎ手へと覚醒する。そうして激しい死闘の末ゴドフリー神父に勝利するも一瞬の油断の隙に、二コラを殺されてしまった。
 ライルは二コラに駆け寄り、とっさに近くに落ちていた逆時計を握りしめ、物体の時間を少し戻せる力を使おうとした。しかし、ライルが戻せるのは物体の時間のみだ。ライルは強く願った。(逸脱能力:虚ろなる願い)
『戻れ!!』と。(歪み表ver2.0時間逆流をチョイス)
すると、逆時計が光だし、逆時計の針が急速に逆に回転し始めた。
 気が付くと、教会に逃げ込む少し前に時間が戻っていた。
彼は既にこの時伽藍となっており、歪んだ御標、逸脱能力、歪みが逆時計に集約した事により奇跡が起きたのだ。
 しかし、世界から剝離した部分(剝離値)は元に戻る事はなかった。また、伽藍であるライル以外の人間は元に戻る前の記憶が失われている。ライルはニコラが助かったとひとまず安心し、また襲い掛かってくるであろうゴドフリー神父に備え、そして完全に神父を殺した。ゴドフリー神父を倒し二コラを救えたと安堵した瞬間、二コラの四肢が引きちぎれた。
 気が付くとまた、同じ場所に立っていた。それからは地獄の始まりだった。何度ゴドフリー神父を倒し、二コラを守ろうとしても二コラは必ず死ぬ。その度に時間は巻き戻りまた同じことの繰り返し…。
 剝離した部分は戻らない為、ライルは段々と自我が保てなくなった。ライルの姿は歪な化け物へと変貌してしまい、二コラはライルを恐れ逃げるようになった。それだけならまだ良かったが、迫るほつれ、ゴドフリー神父による憎しみの感情、周りの魂の抜けた歪な人間…そしてライルと言う心の支えを失い歪な伽藍に追われる状況。二コラの精神は崩壊してしまった。なんとかして、二コラを助けたいと思ったライルは自分の魂を半分移すことに決めた。自我は薄くなるが、それでも二コラのあんな姿を目にするよりはマシだと思えた。彼は自分と背丈や骨格が似ている手の甲に傷のある少年を選び魂を半分与えた。少年は自我を持ち、もう一人の自分となり、思惑通り二コラの支えとなった。二コラの精神が崩壊することはなくなったのだ。
 
 
□30
 ライルは自分の魂を半分失った事で、心の底まで伽藍へと近付いてしまった。このままでは二コラを自らの手で殺してしまうかもしれない。
 そこでライルは考えた。このまま逸脱能力を使い続けると二コラを殺す本当の化け物になるかもしれない。しかし、もう自分1人の力ではどうすることも出来ない。ライルは抜け殻となった人間に魂をほんの少しだけ与え、逸脱能力(砕ける境界)を使い外へ出れないか試してみた。
 すると上手いこと外へ出ることが出来た。しかし、実験に使った人間はすぐに朽ちて死んでしまった。だが、感覚を共有していたライルは外に複数の人間を見た。今だったら助けを呼べる。しかし、今までの事を伝え、助けを求める程の時間はない。伝える前に肉体が朽ちてしまう。そんな時ふと、昔大好きだった伝説の事を思い出した。「時戻りの国」この伝説の国の名前をほつれの中から出た人間が呟いたなら力を持った者が集まるかもしれない。もしかしたら、PC①が…助けてくれるかもしれない。
 一縷の望みを抱き、今の自分がなんとか自我を保てる限界の魂を使い、再度外へ送り出した。朽ちる寸前になんとか「中に…時戻りの国が…」と伝える事が出来た。後は助けが来たら逸脱能力を使い…ここへ…。
 逸脱能力を使い、自分の魂をも削ったライルは、既に自我を保てなくなっていた。
ふとした瞬間に思い出すことはあっても、魂も身体も伽藍となっていた。敵意を向けられると反射的に攻撃するまでに。しかし、彼が二コラを傷つける事は1度もなかった。
そして、再び自我が戻った時、一か八かで紡ぎ手を歪んだ御標と逸脱能力を使いこの空間に呼び込む事に成功したのだ。しかし、そこでまた意識が途切れてしまった。

 
 

■ゴドフリー神父について 【社会】難易度:12

 聖教会からの信頼が厚く、神の宝とされる逆時計を任されていた。
普通の物より一回り大きいロザリオを常に身に付けており、聖人として名高い人物だった。しかし、神父であるはずの彼には恋人がいた。神父のままでは結婚する事が出来ない為、この逆時計を祀る仕事を全て終えたら結婚する事をPC③にのみ話していた。
そして、この緑の国での祈りが最後の仕事になる筈だった。
 ゴドフリー神父は緑の国で旅人を装った恋人と密会していた。緑の国の人々は旅人を装った彼女がゴドフリー神父の恋人とは知らなかっただろう。緑の国がほつれに飲み込まれる数日前に、恋人は婚約の準備と、神父の仕事の邪魔にならない様にと先に国を出ている。
 
 

■ほつれから突如現れた人間について 【感応】難易度:10

 ほつれから出た人間がすぐに朽ちてしまったのは、ほつれの中で過ごした時間の帳尻を合わせようと身体が現実の時間の流れに合わせる為に一気に身体が老化してしまう為である。また、ほつれから出てきた人間二人について、漆黒の伽藍が意図的に操っていたものとわかる。時戻りの国の噂は、ほつれの中から出てきた二人目の人間の呟きを聞いていたガイドや、たまたま近くを通りかかった業者などによって広まった。漆黒の伽藍が意図的に時戻りの国の噂を広めたと考えられる。
 
 

■ニコラ・パリージについて 【社会】難易度:10

 金髪で緑色の瞳をした可愛らしい少女。幼い姿のまま何一つ変わりはない。性格は好奇心旺盛で活発だが、今では伽藍に怯えて大人しく、本来の彼女らしさは見られない。
父親はこの国一の商人だが、二コラはあまり父親の事が好きではなかった。普段は優しい父親だが、仕事の事となるとなんとなく嫌な雰囲気がしたからだ。周りの人々は父親の娘だからといつも偽りの笑顔を向けており、よそよそしかった。
 
 

■ニコラ・パリージについて② 【縫製】難易度:11

 彼女が死ぬことをきっかけに、時が巻き戻る。
彼女はほつれに飲まれる前に必ず死ぬ。そういう運命なのだ。この場にいる限りはどれだけゴドフリー神父を倒そうとも彼女は死ぬ。いくら鋼鉄のシェルターなどに身を隠しても、心臓発作や、目に見えないなにかの力で四肢を引きちぎられたり等、様々な方法で彼女は必ず死ぬ。
 
 

■ライル・レノンについて 【社会】難易度:10

 PC①の記憶に残るライルと若干違和感がある。目の前にいるライルは背丈が少し低い気がする。しかし他人は知るはずのない昔話など間違いなくライルその人だという事がわかる。
 
 

■ライル・レノンについて② 【知覚】難易度:12

 ライルの手の甲には昔はなかった大きな傷がありPC①はその傷に見覚えがあった。
教会の近くにいた少年が、大人しい印象にも関わらず手の甲に大きな傷があったのだ。
そしてその傷はライルの傷と酷似しており、背丈や骨格などがライルと似ていた事を。
 
 

■町の人々について 【知覚】難易度:10

 町の人々に魂はない。魂は既に消滅しているが身体は生きている。そして、憎しみの感情が流れると涙を流し膝から崩れ落ちる。しかし奇妙な事に、崩れ落ちるのは大人のみで子供は膝をつくこともなければ涙を流す事もなかった。
 
 

■黒い腕について 【縫製】難易度:16

 逸脱能力【天より伸びる手】による物だという事がわかる。また、逸脱能力によってこの空間に来る事が出来たと言う事は、逸脱能力を使用すれば、外へ出る事が出来そうだ。
 逸脱能力【砕ける境界】縫製判定12で外へ出る事が可能ということがわかる。
 
 

■逆時計について 【縫製】難易度:10

 持ち主の時間の進みを遅くするアイテム。この時計を所持している者は老いる事はないと言っても過言ではないだろう。様々な要因によって、今はその力が暴走して時を繰り返している。
 
 
 

エネミーデータ

■漆黒の伽藍

肉:14/+4 知:11/+3 感:22/+7
意:19/+6 社:9/+3 縫:14/+4
 
命:5 回:5 術:11 抵:7
行:10 HP:20 剥:20 サイズ:2
攻:3 / 術
対:範囲(選択) 射:視界
防:斬 3/ 刺 3/ 殴3
 

◆特技:《無限の魔》(MMp238)、《黒の飛散》(IZp230)、《呪い:邪毒》(MMp238)3、《無慈悲な悪意》(IZp232)5、《伝播する歪み》(IZp231)2《魂の囁き》1

◆逸脱能力(戦闘では使用しない)

砕ける境界(IZp142)天より伸びる手(IZp145)墓所を超えるもの(MMp144)幸福の壁(MMp127)
 

■解説:全身漆黒で歪な姿をした伽藍。敵意を向けると反射的に襲ってくる。ライル・レノンの成れの果て。彼の意識が戻る事は稀だが、意識を失い伽藍となっても彼が二コラを傷つける事はない。

 

■初期配置

 PC全員でひとつのエンゲージを構成する。
 そこから15m離れた位置に漆黒の伽藍を配置する。ライルと二コラは逃げ続ける為、戦闘には参加しない。
 

■戦闘プラン

 メジャーで《黒の飛散》で攻撃する。
 攻撃が成功時、PCに「邪毒Lv3」「剝離値2上昇」「財産ポイント-5」付与。
 また、《魂の囁き》を使用する際は、下記に変更となる。
対象:単体 射程:10m「放心」「重圧」のみを与える。
 

【特殊行動】《分割する魂》(オリジナル)

・下記は戦闘で使用する事をお勧めしない。私の趣味で書いた物である。
タイミング:メジャー
判定値:対決 難易度:対象の意思+15
対象:単体 射程:至近
解説:自分の魂を任意の量、分割し与える事が出来る特技。
生物にのみ与える事が可能だが、対象に魂がある状態では成功率は著しく下がる。少ない量の魂を与えた場合は、対象を操り五感を共有する事も出来る。しかし、あまり多くの魂を与えてしまうと、その対象は自我を持ち、自分のコントロールから離れ独立した存在となる。
 対象との対決に勝利すると、自分の意思の能力地ボーナスの好きな値を減らす事が出来る。
(減らした値)ラウンドの間対象を自分(GM)の意のままに操る。しかし、自分の意思の半分以上の値を減らした場合は、ライルレノンを元にした人格となり操作するのはPLとなる。

 

 
 以下のデータはPCが5人の場合を想定している。
 PCが4人の場合は“完全否定”を削除。3人の場合は“更に空間拡大"を削除。2人の場合は更にHPを50削る事。

 

 
 

■ゴドフリーノット神父

肉:15/+5 知:12/+4 感:18/+6
意:21/+7 社:8/+2 縫:15/+5
 
命:6 回:6 術:11 抵:9
行:9 HP:180 剥:60 サイズ:1
 
攻:10 / 術
対:単体 射:15
防:斬 1/ 刺 0/ 殴0
 
 

◆逸脱能力

 □□《憤怒の一撃》(MMp125)
ダメージロールに宣言。8D6。逸脱能力以外での減少なし。対象複数いた場合はその中の1人のみ。
 □《空間拡大》(IZp142)

メジャー直前に使用する。対象を場面(選択)射程を視界に変更する。
 □□《虚構現出》(MMp125)  使用された逸脱能力を打ち消す。
 □□《瞬速行動》(MMp126)  即座にメインプロセスを行う。1ラウンド1回。自身のみ。
基本はGMが状況に合わせて使用すると良い。
 □《完全否定》(MMp125)  実ダメージを0にし、不利な効果を受けない。自身のみ。
 

◆特技:《無限の魔》 (MMp238)、《虚ろなる魂》(MMp236)、《聖光の印》(IZp121)、《攻撃増幅》(IZp230)、《神の拳》(MMp85)、《祈りの歌》(MMp85)、《神の唸り》(MMp85)、《無慈悲なる一撃》(MMp237)、《呪い:重圧》(MMp238)、《響き渡る祈り》(IZp121)、《共感発声》(MMp85)

 

■解説:彼は完全なる伽藍だ。憎しみに縛られ彼との意思疎通は出来ない。彼は常に歪に笑い続けており、時折歪に笑いながら涙を零す。彼の絶対的な目的は二コラであるが、見て見ぬふりをしていた国民も彼の憎悪の対象である。彼は目の前に立つ者を容赦なく、神の拳で串刺しにするだろう。

 

■初期配置

 PC全員でひとつのエンゲージを構成する。
 そこから10m離れた位置に漆黒の伽藍を配置する。
※補足だが真上には教会がある。地下墓地はかなり広いが天井を破壊すれば教会にいる者も巻き添えになる可能性があるだろう。
 

■戦闘プラン

【常時】《無限の魔》1

MPの消費が無くなる。
【オート】《虚ろなる魂》 1
バッドステータスを受けた時にそれを回復する。重圧には使用不可。HP-3
 

【攻撃】“狂圧の棘”(きょうあつのとげ)

《攻撃増幅》3+《神の拳》1+《祈りの歌》3+《響き渡る祈り》3+《神の唸り》3+《無慈悲なる一撃》3+《呪い:重圧》1
タイミング:マイナー+メジャー+オート+常時
 
判定値:10 難易度:対決
対象:範囲(選択)“シーン中3回まで”
射程:視界“1ラウンドに3回まで”
攻撃力:〈術〉17(26)+9D6
解説:手のひら大の大きなロザリオを自分の腹に無理やりねじ込み悲痛な笑い声を上げながら黒き棘で誰彼構わず串刺しにする攻撃。
 
・セットアップで《聖光の印》で攻撃力を()内のものに変更する。
・“狂圧の棘”で攻撃。1点でもダメージを与えた場合、更に重圧を与える。
 
※《祈りの歌》《響き渡る祈り》を使用する事により、対象と射程を変更している。射程は本来「15m」対象は「単体」である。使用回数に注意すること。

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ボードゲームやTRPGが好きな芋です。 最近、野菜農園てサークルを仲間の野菜達と立ち上げました。 農園では『モノトーンミュージアムRPG 』のシナリオを主に育ててます。 基本シナリオ書いたりしております。野菜農園のメンバーでのオンラインセッションなども積極的にやっていこうと思うので、モノトーンミュージアムに興味がある方、もう既に知っていて仲間をお探しの方…是非仲良くしてください。

http://yasainouen.blog.jp/archives/1839857.html

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