【あらすじ】
探索者たちは叶えたい夢を持つ。
そんな探索者達はいつも通りの日常を送っていた。だがある日、ふと一人になった時、突然の意識の遠のきと浮遊感が探索者たちを襲う。
彼らが目を覚ますと、全体的に楕円形の形をした、薄い灰色の部屋にいた。
【推奨技能】
目星・聞き耳
【こんな人にお勧め】
特殊な役を演じてみたい!
秘匿HOをしてみたい!
きちんと考えながらRPをしてみたい!
<事前に出すHO>
HO1 夢を叶えようと奮闘する者
HO2 夢を叶えようと熟考する者
HO3 夢を叶えようと努力する者
<秘匿HO>
秘匿HO1 奇特なシャッガイ
貴方はアザトースに仕えるシャッガイ族の一員である。定期的に彼に捧げる生贄を得るために人間に寄生し、操り、発狂させていた。しかしそんな日々の中、貴方は様々な感情を有し、非効率的な事も平気で行う人間に興味を持った。「彼らはなぜ、わざわざこんなことをするんだ?」人間に対する興味は、貴方の鬱屈とした心に水を与えた。それから貴方は自ら人間の器を作り、そこに自身の精神を入れ、人間の感情を学ぼうとしてきた。
次第に、貴方は他のシャッガイが持たない感情を持つことになる。『人間になりたい』、と。だが、どれだけ発展した技術を持っていても、完全な人間の器を作ることはできなかった。何千回の失敗を繰り返した後、面白がったニャルラトホテプが貴方を訪ねてきた。「愚かな羽虫、僕が君の願いを叶えてあげようか?そうだな……、君が憧れる人間の真似をしてみよう。僕が用意する儀式を無事に乗り越えたら、その願いを聞き届けてやる」と、彼は嘲笑を浮かべた。そしてこう続けた。「君は自分が理想とする器に入っていれば良い。そうすればいずれ僕がその舞台に連れて行ってやる」
貴方の夢は『人間になりたい』。
PCを作る上での注意点:
・EDUを21とする。その他のパラメータは通常のPCを作る時と同じ。
・「アザトースの呪詛」を覚えている:MPを4、正気度を1d6失ってアザトースの秘めたる「名前」を繰り返し唱える。名前を対象に発し、対象とのMP対抗に成功すれば相手のPOWを1d3減らすことができる。
・「アザトースの招来」を覚えている(フレーバー):参加者の消費MPの合計が呪文の成功率となる。呪文を唱えることで1d10の正気度を失う。アザトースが来ればさらにその分正気度が減る。
・職業技能:クトゥルフ神話技能に30%振っておく。他は好きなの選んでオーケー。
プレイする上での注意点:
貴方の精神が入っている人間の器は不完全なので、一定時間ごと(強いて言えば寝る前)に破壊衝動が起こる。何かを壊さなければ気が済まない。ただし、何も壊さない選択をした場合、CON×5の判定に成功しなければCONが1d3減少する。シャッガイとしての貴方は人間の死体を見ても何も動じないが、器に入っている擬似人間の時は恐怖心を覚えるのでSANチェックは普通に入る。(そして貴方はそれをどことなく嬉しく感じるだろう)また、面白そうな人間には好意的に接するかもしれない。
秘匿HO2 おちこぼれのヴァンパイア
貴方は正統なヴァンパイア一族の一員である。しかし、幼少の頃から周囲から蔑まれ成長してきた。それは、貴方の能力が人間とさほど変わりなかったからだ。ヴァンパイア特有の麗しい容姿と俊敏さ以外、ただの人間と何も変わらなかった。嘲笑の中育った貴方にとって、世の中とは理不尽なものだった。次第に貴方は「彼らを見返してやりたい」と思うようになる。では見返すにはどうしたら良い?
貴方は彼らが最も畏怖する太陽を克服すれば一族への見返しになるのではないかと考えた。いや、見返しどころか種族として完璧な存在になるのでは。だが、勿論その方法はわからない、少しでも失敗するとすぐに焼け死ぬだろう。何百回と方法を模索しては実行できずに終わっていた貴方の元に、浅黒い肌の美男性が訪ねてきた。「美しくも可哀想で不便な吸血鬼、僕がその夢を叶える手伝いをしてやろう」と、彼は嘲笑を浮かべた。そしてこう続けた。「ただし儀式を無事に終えられたらの話だがね。君はその日が来るまで無駄な日々を過ごしているが良い。僕が迎えに来るからさ」
貴方の夢は『完璧なヴァンパイアになりたい』。
PCを作る上での注意点:
・APPは1d4+14、DEXは18とする。その他のパラメータは通常のPCと同じ。
・ヴァンパイアの「見つめる」を使用できる:対象とのPOW対抗に成功すれば対象は催眠術にかかったようになり単純な命令を聞いてくれるようになる。もし命令が自己破壊的なものであるならば、対象はINT×5の成功で目が覚める。
*自然ではない状況で「見つめる」を使用する場合、周囲のPCは目星判定を行い、成功するとHO2が対象をじっと見つめているのに気づくことができる。
・ヴァンパイアの「噛みつき」を使用できる(初期値50%):成功すると最初のラウンドで1d4ダメージ、その後は対象の組み付きが成功するまで各ラウンドで1d3のSTRを吸血できる。
・職業技能:クトゥルフ神話技能に5%振っておく。
図書館、歴史、言語(ラテン語など)、聞き耳、応急手当、隠れる、オカルト+この中から一つ選択<生物学、薬学、心理学、信用>
プレイする上での注意点:
貴方はヴァンパイアなので吸血衝動が起こる。1日に一回以上誰かの血を吸わなければ気が済まない。吸われた相手はSTRが1d3減少する。ただし、吸血衝動を抑える選択をした場合はSANチェック1/1d6が起こる。また、死体を見たときは死体に対するSANチェックではなく、吸血衝動に対するSANチェックが発生する。(この時、即座に血を飲む選択をするならばSANチェックは免れる)
秘匿HO3 人外に憧れるサイコパス
貴方は優秀なエリート一家の一員である。しかし、幼少の頃から周囲の人間との間に壁を感じてきた。それは、貴方が他人の感情を理解できなかったからだ。なぜこの子はこんなことで泣く?なぜ悲しそうな顔をする?と、常々思ってきたに違いない。ある時、貴方は一冊の絵本からヴァンパイアに興味を持った。美しく冷酷な夜の生き物。その孤高さは自分の孤独を認めてくれる気がした。
貴方は彼らのようになりたいと願い、まずは彼らに倣って人の血を飲んでみることにした。美味しくはないが力がみなぎるような気がし、いつしか貴方は人の血を飲むことが日課となっていた。いつの日か自分が人外になれると信じて。だが、当然のことながらそんな日は来ない。何十回と人の血を飲み続けた貴方の元に、浅黒い肌の美男性が訪ねてきた。「弱くて脆い人間、僕がその夢を叶える手伝いをしてやろう」と、彼は嘲笑を浮かべた。そしてこう続けた。「ただし僕の用意した舞台で見事に演じられたらの話だがね。君はその日が来るまで怠惰な日々を過ごしているが良い。僕が迎えに来るまで」
貴方の夢は『人間をやめたい』。
PCを作る上での注意点:
・STRは1d6+12、INTは1d4+14とする。その他のパラメータは通常のPCと同じ。
(KP情報:STRは血の量を想定している。HO3だけ人間で不利だと思うかもしれないが、後に彼の命令を最優先で聞く(たぶん)メイドさんが出てくるので問題ない)
<質問の答えと真相>
このシナリオは「産まれ直し」をテーマにしている。嫌いな自分、どうあがいても叶わない夢を持った自分を、ニャル様の力を使って「母胎から」「産まれ直す」ことで夢を叶えさせることを想定しており、ニャル様はこれを「儀式」と呼んでいる。ニャル様はその舞台を用意するため、HO1が仕えるアザトースに母胎の夢を見させ、そこにPC達の精神を放り込んでいる。
質問の答えは「母胎(子宮でも可)」。こう答えたPCは「産まれ直しに成功し」、夢を叶えることができる。(トゥルーエンド)
また、「(アザトースの)夢」と答えても間違いではない。こう答えたPCは「(ここが夢だと自覚し)夢から覚める」ことになり、以前と何ら変わりない生活に戻る。(ノーマルエンド)
「母胎(または子宮)」、「夢」以外の答えを書いた、シナリオ途中で殺された、部屋の窓から出て出歩いた、あるいはタイムリミットが来てアザトースが目覚めた場合、永遠にアザトースの「夢をさまよう」ことになる。(バッドエンド;ロスト)
PvP要素もあり、母胎の中で養分競争のために胎児であるPCたちが争う、という意味になる。
<色々な状況の対処>
・HO1がアザトースやニャルラトホテプについて他PCに話す場合
アザトースについて話す場合《SANチェック1d3/1d10》(クトゥルフ神話技能8%獲得)
ニャルラトホテプについて話す場合《SAN値チェック1d3/1d10》(クトゥルフ神話技能8%獲得)
同時にどちらのことも話す場合《SAN値チェック1d6/1d20》(クトゥルフ神話技能16%獲得)
(どこまで話すかでSANチェックが変わってきます。ただし、実物を見たわけではないのでSAN値減少は低めです。(それでも発狂は十分にしますが……。))
・HO1が自分をシャッガイだと話す場合
他PCは《SANチェック0/1d3》
(HO1の正体はシャッガイであろうとも、人間の姿をしているため、正気度喪失は低くなる)
・HO2が自分をヴァンパイアだと話す場合
他PCは《SANチェック0/1d4》
・HO2が《HO1に対して聞き耳》に成功すると、HO1から何やらちぐはぐとした不思議な気配を察知することができる。
<NPC>
毒にも薬にもならないメイド
STR:15 CON:15 SIZ:11 POW:10 DEX:17 APP:14 db:1d4
家事、料理、戦闘なんでもオーケーな万能メイド。ニャル様に作られた感情のない人間。最初に聞いた声の持ち主を主人とする(一番初めはHO3の部屋にいる)。口癖は「ご命令を」。太腿にナイフを忍ばせており、主人の命令により戦闘に入るとナイフを用いて戦う。すべてを把握しているが、「ここはどこか」、「他PCの素性」に対する質問には「お答えできかねません」、そのほかの質問には「はい」/「いいえ」で出来得る限り答える。そのようにニャル様から作られているので、料理、攻撃は自動成功する。
彼女には心がないのでHO2の「見つめる」は効かない。一方、HO1の「アザトースの呪詛」には判定が入る。また、HO1の破壊衝動の対象になったりHO2の吸血衝動の対象になったりしても、主人に危害が加えられないのならば身を捧げるだろう。
<冒頭>
貴方達はいつも通りの日常を送っていた。だがある日、ふと貴方が一人になった時、突然の意識の遠のきと浮遊感が貴方を襲った。
《聞き耳》「やあ、待たせて悪かったね。舞台が整った。それじゃあ行こうか。」
貴方方が目を覚ますと、全体的に楕円形の形をした、薄い灰色の部屋にいた。電灯の類は見当たらないが、なぜか仄かに明るい。
部屋の中を見渡せば貴方方の他に、右側に青い扉と白い扉が一つずつ、左側に青い扉が二つ、正面には机、机の奥には黒い扉が見える。
【ルール説明:行動をスムーズにするために、部屋の明るさの移り変わりを朝、昼、晩と暫定する。技能を1~2回、または長めの行動を取るごとに時間は過ぎていく。】
(KP情報:母胎を意識して楕円形にしています。黒い扉からは細く長い通路が続いており、「産まれる時の胎児の通り道(産道)」を示しています。また、日数が過ぎると壁は次第に赤黒くなっていきます。二日目は《目星》成功でなんとなく壁が薄紅色になっているのに気づくでしょう。三日目からは判定無しで薄紅色になっているのに気づくはずです。四日目からどんどん赤色が濃くなり、六日目の壁は血のような赤黒い色をしています。あと、ニャル様の力でどの国出身でも会話は通じるよ!)
<探索>
● 中央の机
引き出しのついた机。机の上には一通の手紙、鉛筆、消しゴムがある。
手紙の内容:
一枚目
『それじゃあ君たちの夢を叶えるために儀式を始めようか。方法は簡単!「選ばれし一人になる」、あるいは「質問に正確に答える」だけだ。簡単だろう?「選ばれし一人になる方法」は君たちで考えてくれたまえ。「質問に答える」には引き出しの中に入っている紙に質問の答えを書いて、黒い扉で処理するだけ。紙は一人一枚あるよ。ただし、注意してね。答えは何回でも書き直せるけど、黒い扉で処理できるのは一回きりだ。間違った答えを書いたら……』
二枚目
『優秀な君達には必要ないかもしれないけど、一応期限を決めておこう。六日間。六日間だ。神も七日目に休まれたというし。それでは健闘を祈る。』
(KP情報:「選ばれし一人になる方法」はPvPを想定している。PvPをせずに《謎解きを頑張っているPLにはアイデア》を振らせ、「この最初の部屋が楕円形をしているのには意味があるのではないか」と教えても良い)
・引き出し
薄い紅色の紙が三枚入っている。
(KP情報:どうでもいいですが、選挙の時の投票用紙みたいに自分の字がいきなり綺麗になったと錯覚するくらいの。めっちゃ書きやすい紙です。)
● 黒い扉
ドアノブもついていない黒い扉。黒い扉には紅文字でこう書かれている。「ここはどこ?」
その文字の下には、自販機で1000円札を入れる時のような、紙を吸い込む場所がある。
(KP情報:一枚しか吸い込めないし、一人ずつでしか黒い扉の先に行けません。他の人が一緒に行こうとすると不思議な力で吹っ飛ばされます(HP1d3の減少)。つまり、PCがそれぞれ別の答えを書いたら、行きつくエンドは別になります。また、PvPが行われた場合、一人勝ち残った時点でこの扉は開きます。)
● 部屋1
扉の前には「HO1様のお部屋」と書かれている。
(HO1しか開閉することができない。HO1が許可すれば他の人も入れる。)
入って向かいには机と窓、右側にはベッド、左側には本棚がある。右奥には白い扉、左奥には紅い扉が見える。
<机>
・引き出しがある机。机上に一枚のメモ。
メモの内容:
『大鯰が起きたら地震が起こるらしい。気を付けろ。』
《知識×1/2》 江戸時代に信じられていた、地震が起こる仕組み。大鯰(おおなまず)は、巨大なナマズの姿をした日本の伝説の生物で、地下に棲み、身体を揺することで地震を引き起こすとされた。
→《アイデア-20》 この世界はアザトース様が見ている夢であり、彼が起きると世界が滅ぶ、と他のシャッガイが噂していたことを思い出す。
→《アイデア×1/2》 ニャルラトホテプが期限を六日目としたのは、もしかしてアザトース様が起きるからでは…?と気づく。
(KP情報:アザトースが目覚めてもこの世界全体が滅びるわけではない。タイムリミットが来てアザトースが目を覚ましたら、「PCたちが夢に囚われて滅ぶ」ことを暗に示している。)
・引き出し
鉄製の鍵(紅い扉の鍵)がある。
<本棚>
あらゆる国の絵本や小説が所狭しに並んでいる
《アイデア 》どことなく、子どもが情緒を育むための本だと感じる
<窓>
カーテンはかかっていない。
窓の外を見ると、漆黒の暗闇がどこまでも続いているのがわかる。
《HO1が窓の外に聞き耳》 外の暗闇に、どこか懐かしく、けれど恐ろしい気配を感じる
(KP情報:この窓は開けられる。ただし窓から抜け出す場合、アザトースの夢をさまようこととなり、ロストとなる。人間の器に入っているので、この気配が主人であるアザトースのものだと確証は持てない。)
<ベッド>
何の変哲もないベッド。羽毛布団ですやすや眠れそう。
<白い扉>
トイレとユニットバスがある。
<紅い扉の部屋>
通常は鍵がかかっており、机の引き出しにある鉄製の鍵で開く。
《聞き耳をする場合》何も聞こえない
中には純白の絹織物で覆われた壇がある。壁には紅い五芒星が描かれている。
《壇に目星》 壇の下に一通の手紙が落ちている
手紙の内容(綺麗な文字で書かれている。):
『これでも、わが父に尽くしてくれている君には感謝しているんだ。もしここから抜け出したいのであれば、この祭壇に新鮮な生贄を捧げてくれ。ただし、二度と君の夢は叶わなくなるが。 敬愛を込めて ××(名前が書かれているはずだが読めない)』
(KP情報:名前が読めなくても、この手紙を書いたのはニャルラトホテプだとHO1はすぐに気づくでしょう。HO1が生贄を捧げた瞬間、ニャル様によってHO1はこの空間から脱出し、シャッガイとして目が覚めることになります。ノーマルエンドです。)
● 部屋2
扉の前には「HO2様のお部屋」と書かれている。
(HO2しか開閉することができない。HO2が許可すれば他の人も入れる。)
入って向かいには机と窓、右側にはベッド、左側には本棚がある。右奥には白い扉、左奥には紅い扉が見える。
<机>
・引き出しがある机。机上に一枚のメモ
メモの内容:
表『女の産道を通ったものにはマクベスは倒せない』
裏『だが、儀式を経た者はマクダフに成れるだろう』
イタリア・フランス出身者、本・戯曲好きの者:《知識》
それ以外の国出身者:《知識-20》 (メモ表の文言は)ウィリアム・シェイクスピアの同名戯曲『マクベス』に基づいており、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラ、その中で出てきた有名なセリフ。
→イタリア・フランス出身者、本・戯曲好きの者:《知識》
それ以外の国出身者:《知識-20》 劇中、「女の産道を通ったものにはマクベスは倒せない」と言われていたが、産道を通らず帝王切開で生まれたマクダフはマクベスを討ち取った。
《HO1がメモ表の内容を知った場合、アイデア》 メモ表の内容は、「君達みたいな何の変哲もない産まれをした者に壮大な夢なんて叶えられないよ」、というニャルラトホテプからのめちゃくちゃ遠回しの皮肉であることが分かる。
(KP情報:メモ表で「産道」という言葉を出し、裏で産道と関連した儀式を経たら勝ち組になる、ということを伝えたい)
・引き出し
鉄製の鍵(紅い扉の鍵)がある。
<本棚>
あらゆる国の演劇やオペラをまとめた本が所狭しに並んでいる。(《メモ読了後、図書館》に成功したら「マクベス」を見つけることができる。知識に失敗していたら、一晩かけてこれを読むことで情報を開示しても良い)
<窓>
カーテンはかかっていない。
窓の外を見ると、漆黒の暗闇がどこまでも続いているのがわかる。
《HO2が窓の外に聞き耳をする場合》なぜかわからないが、心の底から恐怖を感じる。(ヴァンパイアの本能から)
(KP情報:この窓は開けられる。ただし窓から抜け出す場合、アザトースの夢をさまようこととなり、ロストとなる。)
<ベッド>
何の変哲もないベッド。羽毛布団ですやすや眠れそう。
<白い扉>
トイレとユニットバスがある。
<紅い扉の部屋>
《聞き耳をする場合》 中からかすかな血の匂いがする。
暗い部屋だ。だが、隣の部屋から洩れる光で貴方ははっきりと見ることができる。中には女性が一人、壁に磔にされている。裸であり、胸から血を流していた。
《吸血衝動に耐える場合SANチェック 1/1d6》
《女性に対し目星》一枚のメモを握っている
メモの内容(綺麗な文字で書かれている):
『美しい君にささやかなプレゼントだ。その血は美味しいだろう?君が好みそうな味のものをわざわざ用意させたんだ。ただ、君の食欲を満たせるのはあと一日だけだろう……。』
<吸血衝動が治まった後、部屋を見渡す> 奥に黒い扉を見つけることができる
・黒い扉
近づくと、紅い文字でこう書かれている。
『この扉は選ばれし三人の内、たった一人の犠牲によって開かれる』
(KP情報:ヴァンパイアであるHO2のみ、この暗い部屋で黒い扉を見つけることができる)
・黒い扉の先
扉の先は小さい部屋だった。中央に一つの机があり、机の上には一冊の手帳が置かれている。他にどれだけ見回しても、特に何もなさそうだ。
手帳の内容:
『僕が長年観察する限り、人間どもは心の内に何かしらコンプレックスを抱えて生きているみたいだ。そんなものに苦しむなんて、絶対の存在である僕には一生理解できない。実に無駄だと思う。
…
……
無駄なことをしているやつを身近に見つけてしまった。何も考えていないと思っていた虫が悩みを持っているなんて!そんなもの、僕からしたらほんの一瞬で解決してしまうのに。しかし、失敗し慌てふためく虫を眺めているのは実に面白い。揺さぶりをかけたくなってしまう。
…
……
暇で暇で下等生物を眺めていたら、綺麗なものに出会った。悩み続けているが全く行動できていないようだ。そんな実行できないことを悩むなんて無駄の極みじゃないか?だがまあ、その姿は滑稽さと美しさ両方を引き出していて、見ていて飽きないが。
…
……
ふーむ、変なことをしている人間を見た。その行動に何の意味がある?……そういえば、一昔前のヨーロッパで似たようなことをしていた女がいたっけ?多種多様に存在する生物の中で人が一番奇妙なことを考えつくものだ。さすがの僕もわけがわからん。
…
……
………
どいつもこいつも身の丈に合わない夢を持つものばかり。
……そうだ!僕がちょっとお手伝いしたら良い暇つぶしになるんじゃないか?
決めた、そうしよう。
…
……
………
でも普通に叶えるだけだとそれこそつまらない。何か良いアイデアはないものか。
僕を楽しませるような、、興味を惹かせるような。
…
……
………
僕が一生経験しないであろうこと、しかし雑多な生物は経験すること………死とか転生?
そういえばあの虫は人間にご執心だったな。人間の真似事をしてみたら何かわかるのだろうか。
…
……
………
ふむ。転生とは産まれ直しか。確かに僕が一生経験しなさそうなことだ。
今回はこれをテーマにしてみるか。無能な奴らを憧れの存在へと産まれ直させてやろう。
産まれ直しというと、舞台はどこがいいだろう?
…
……
………
…………
胎内はどうだ?
…
……
………
父に夢を見させた。いつも愚鈍な父だし、可愛い息子の悪戯くらいは許してほしいものだ。
さて、準備は整ったし、あの哀れな存在たちを呼んでやろう。
どんなことを繰り広げてくれるのか、楽しみだ。』
● 部屋3
扉の前には「HO3様のお部屋」と書かれている。
(HO3しか開閉することができない。HO3が許可すれば他の人も入れる。)
入って向かいには机と窓、右側にはベッド、左側には本棚がある。右奥には白い扉、左奥には紅い扉が見える
<机>
・引き出しがある机。机上に一枚のメモ
メモの内容:
『胎児よ 胎児よ 何故躍る 母親の心がわかって おそろしいのか』
日本出身者:《知識×1/2》or《オカルト》
それ以外の国出身者:《知識-60》or《オカルト×1/2》 小説家夢野久作の代表作で、日本三大奇書の一つと言われている「ドグラ・マグラ」に出てくるセリフ。また、「ドグラ・マグラ」を読んだ者は必ず一度は精神に異常を来たす」とも言われている。
→日本出身者:《知識×1/2》or《オカルト》
それ以外の国出身者:《知識-20》or《オカルト×1/2》 「ドグラ・マグラ」作中に登場する架空の論文のタイトルに「胎児の夢」がある。内容は、「胎児は母の胎内で数十億年の万有進化という大悪夢を見ている」というもの。
(KP情報:胎児はいわずもがなPC達のこと。「母親」は色んな解釈がありますが、ここでは主に彼らがどうあがいても逆らえない絶対意志を示しています。HO1にとってはアザトース、HO3にとってはふつうの母親から神の意志まで様々です。HO2にとっては、それこそ太陽を拝めないよう進化してしまった過程のことかもしれません。なんなら、この空間を生み出したニャルラトホテプのことかも。)
・引き出し
鉄製の鍵(紅い扉の鍵)がある。
<本棚>
あらゆる日本文学、歴史本が所狭しに並んでいる。(《メモ読了後、図書館》に成功したら「ドグラ・マグラ」を見つけることができる。知識に失敗していたら、一晩かけてこれを読むことで情報を開示しても良い)
<窓>
カーテンはかかっていない。
窓の外を見ると、漆黒の暗闇がどこまでも続いているのがわかる。
(KP情報:この窓は開けられる。ただし窓から抜け出す場合、アザトースの夢をさまようこととなり、ロストとなる。人間は本能的に鈍いので、聞き耳をしても何も聞こえないし感じない。)
<ベッド>
何の変哲もないベッド。羽毛布団ですやすや眠れそう。
<白い扉>
トイレとユニットバスがある。
<紅い扉の部屋>
《聞き耳をする場合》何も聞こえない。
中には一台のベッドがある。その上にはメイド服を着た女性が横たわっている。
《女性に対し声を掛ける》 貴方の声に反応して目を覚ます。第一声は「ご主人様、ご命令を」。
(KP情報:刷り込みの如く、メイドは最初に聞いた声の持ち主を主人と認識する。)
《ベッドに目星》 手紙が一枚落ちている
手紙の内容(綺麗な文字で書かれている):
『その子は料理に家事、その他のこともできる万能メイドさんだ。君の命令に忠実に動く。可愛いだろう?存分に可愛がってくれたまえ。』
部屋4
扉の前には「談話室」と書かれている。
(誰でもいつでも開閉可能)
《聞き耳をする場合》何も聞こえない。
中に入ると、白く円形の机があり、3つの椅子が等間隔に並んでいる。その机上にはステレオ型のラジオが置いてある。
また、右方向を見ると隣の部屋に続いているのが見える。調理台が見えていることから、隣部屋はキッチンだろう。
《ラジオの電源ボタンを押す》男性の麗しい声がスピーカーから流れてくる。
『こんにちは、諸君。気分は如何かな?まあそんなつまらない挨拶はさておいて。僕は「友情・努力・勝利」は素晴らしいものだと思うんだ。日本のアニメでその有り様を見てね、いたく感動してしまった。そこで、よく言えば孤高、そこそこに言えば友達が少ない、悪く言えば友達のいない君たちに友情を育んでもらいたいと思ったんだ。努力・勝利は個人でも可能だが、友情は相手がいないと成り立たないからね。難易度が高い分、より素晴らしいものに感じるだろう。友情を育てるには何が必要か?それは語らいだ。疲れ切ったきみ達が美味しいご飯を食べながら互いについて語り合う。なんと素晴らしいことか。ただ一つの問題は君たちがシャイだということだ。お互いに話したくても話せない性分だろう?だったら僕がその手伝いをしてやろう。朝・昼・晩と美味しい食事と共に皆で席につきたまえ。僕が話題のきっかけを作ってあげよう。(一拍置いて)まあ勿論、僕は君たちの個性や気持ちを尊重するつもりだ。気分が乗らない場合は致し方ない。残念なことだけれど』
男性の声が止まった後、食事の時間を優雅にするような心地の良い音楽がスピーカーから流れてくることでしょう。
【ルール説明:この部屋ではランダムに質問者と回答者が選ばれ、質問者は回答者に一つ質問ができる。回答者はその質問にのみ嘘を言ってはいけない。嘘を言おうとすると電気ショックが流れ、CON×5の気絶判定が入る。質問者と回答者の選び方は、まずPLに1d100を振ってもらい、一番出目の低い者が質問者、高い者が回答者になる。質問者は思いつかなければ質問をしなくても良い。また、食事が終わるまで途中退出はできない。このような状況になる条件は、「食事を前にして」「3人が共に座っている」ことである。】
(KP情報:争わせようとしているのに仲良くさせようとする、ニャル様の完全お遊びの部屋です。必ずしも活用させなくても良いです。HO2が「見つめる」を使って質問者を操り好きな質問をさせることは可能です。ただし、他PCに目星判定が入り、成功すると「HO2が対象を見つめている」のに気づくことになります)
<キッチン>
中に入ると、調理台、冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースターなどが見受けられる。壁の端には段ボールがあり、中には缶詰や乾燥ものが大量に入っている。
・冷蔵庫
冷蔵室には様々な野菜があり、冷凍庫にはあらゆる部位の肉がある。
《肉に医学》 一部の肉に対し、確信はないがどこかで見たことがあると感じる。
<エンディング>
トゥルーエンド:紙に「母胎(または子宮)」と書いた。PvPをした場合、勝ち残った一人のみ
貴方は黒い扉の先の、細く暗い道を一人歩く。気持ちは心細さと不安で一杯だ。「一体どれだけ歩けばいいんだ?」そう思った時、前方に光が見えた。貴方はホッとしてその光の元に迷いなく赴くだろう。
ふと目が覚めた。ここはどこだ?とあたりを見渡す。どうやらいつも自分が眠っている場所のようだ。だが、以前の自分と確実に違うことが本能でわかった。自分の夢は叶ったのだ!
クリア報酬:SAN値3d6回復(PvPに勝利した場合 +2d6)
ノーマルエンド:紙に「(アザトースの)夢」と書いた。HO1の場合、紅の扉の部屋で生贄を捧げた。
貴方は黒い扉の先の、細く暗い道を一人歩く。気持ちは心細さと不安で一杯だ。「一体どれだけ歩けばいいんだ?」そのような不信が頭をかすめた時、ふと目が覚めた。ここはどこだ?とあたりを見渡す。どうやらいつも自分が眠っている場所のようだ。だが、以前の自分と変わったところは何もない。ふと、あの不思議な夢を思い出し、自分は夢を叶えることはこれで永遠にできなくなった、となぜか思った。
クリア報酬:SAN値回復2d6
バッドエンド(ロスト):紙に「母胎(または子宮)」、「夢」以外の答えを書いた。部屋の窓から出て出歩いた。(タイムリミットが来てアザトースが目覚めた。)
貴方は(いつのまにか)細く暗い道を一人歩く(歩いている)。気持ちは心細さと不安で一杯だ。「一体どれだけ歩けばいいんだ?」そのような不信が頭をかすめたとしても、歩みを止めることはできない。立ち止まったらその場で足が竦んで一生歩けなくなるだろうから。そうして貴方は永遠に暗闇を彷徨うことになる。
(参考程度に)
友人とskypeでテストプレイをした時、約4時間で終わりました。
3日目にHO1が他PCに自身の事情を知らせず、紅い紙に「アザトース様の夢」と書きノーマルエンドへ。
その後、HO2がメイドさんを自分の部屋に閉じ込めた後、HO3を殺害し、勝ち残って無事に儀式を終えました。(HO2は太陽を克服して便利探索者になったよ!)
Comment
とてもいいシナリオだと思いました!
今度やりたいと考えているんですが、プレイの様子をyoutubeliveで流しても大丈夫でしょうか?
もちろんネタバレ注意等の文言は入れた上で行う予定です。
コメントありがとうございます。
勿論、大丈夫です。
お楽しみいただけたら嬉しいです😊
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