・こんな方にオススメ
面倒な処理がしたい
無駄な目星の描写がお好きな人
ただただ面倒な処理のアーティファクトがほしい
戦いたい（直接的な戦闘は回避できるようには作っているつもりです。）
ルールは基本ルルブ準拠

＜推奨技能＞
目星、聞き耳、各種戦闘技能

        ハンドアウト

　ここは1980年代日本。金銭的な理由で探索者は、ある日新聞でこんな求人広告を目にします。
　

さっそく酢味橋（すみはし）ビルの条件のよいアルバイト求人を見て電話し、特に怪しくもなので、受けることに。
きっと普通の警備の仕事だろう・・・
　
　
探索者は金銭的の困窮し、このバイトに応募することを決心しています。
　
そして探索者は事前情報として、バイト先の地域に関する以下の情報を持っています。
　
『23区内の暑気河原（しょきがわら）駅周辺。最近の国の経済発展で、ここ5年で一気に開発が進んだ地域のひとつだ。
ただ街の急成長にも弊害があり、この地域がかなり無計画なビル乱立の為に、入り組んで迷路の
ようになっている。異名の「23区の九龍城」とは、この事が原因でついた名前だ。』
　
なるべく難易度を調節しやすいよう、オプションの処理を加えています。（※の箇所です）
あくまで骨組みのようなものとしてお考えください。
　

１．真相

　実はこの暑気河原（しょきがわら）周辺一帯のビル群の一部はイス人達の管理下に置かれている。
地理的に関東平野をイスの超技術で見通すのに絶好なこの場所で、イス人達は人間の文化をそれなりにうまく調べていたのだ。
探索者がバイトに向かった、酸味橋ビルもその一つで、様々な実験のために使われていた。しかし、その実験も終わり、いよいよ用も
無くなってきた時を見計らい、ラーン＝テゴスを信仰するカルトが乗っ取りを計画、実行した。
また酢味橋ビルは不気味な外見から心霊スポットとして雑誌に特集されている。異常な高額バイトの広告があっても、人が来なかったのはそのためだ。
　
　

２．始まり

　
・早速この広告の電話番号に電話してみると酸味橋ビルの管理人と名乗る男が電話に出てくる。
「いやぁ、なかなか人がみつからなくて困っていたんだよ。よろしければ明日から来てほしいんだけど。」
電話の最中にアイデア、日本語に成功すれば、この男のしゃべり方（イントネーション）が非常に独特であることが分かります。
　
　そして指定された日時、ここは23区内の暑気河原（しょきがわら）駅周辺。

駅から出て、大通りから外れ何度か曲がった先に、４階建ての中規模のビルが立っている。薄緑色の人工光でぼんやりと
全体が映し出されたそれは、駅から見れるような新しいビルとは違い、くすんでいる。築20年はたっているんじゃないだろうか。
周りを建物が囲み、初めて来たものでも日中は、光を通さないだろうことは容易に思いつく。現在は夜10時前で、周りに人はいない。

ビルの正面玄関の横に「守衛室」と書かれたドアがあり、ノックあるいはチャイムを押せば、中から警備員姿の初老の男が出てくるだろう。

「やあ、どうも。よく来たね。君が、今日から入るバイトさん？」
「私はここのチーフの国立（くにたち）だ。よろしく頼む。」

彼はネームプレートを胸につけており、それを見れば彼の名前は、「国立新太郎（くにたち　しんたろう）」だということが分かる。

守衛室の中は、非常に簡素である。正面玄関側に窓と扉があり、テーブルとイス、水道、緑茶セット、更衣室に繋がるドア。

「早速だが、この仕事について簡単に説明するぞ。主な仕事は建物内の巡回だ。30分毎に、交代でビル内を回る。
監視カメラがあれば楽なんだが、そんな費用も無いもんでな。後は、その日始めの、巡回時にビル内の全部屋の戸締りが
してあることを確認することくらいかな。短い間だが、よろしく頼む。何か聞きたいことはあるかね？」

警備員の国立は、ここに来て3ヶ月ほど経っているので、建物の構造や、どんな事務所・店が入っているかくらいは
答えることができます。そして特に以下のような質問に対して、このように答えてくれるでしょう。
・なぜこんなに待遇がいいのか
「なんでも私一人ではビルの管理人が心配だっていうんだよ。わたしゃあ、まだまだもうろくしてないってんだけど、臨時で
バイトを雇うと聞かなくてねえ。すぐにでも来てもらうために、法外な給料を提示したんだ。管理人さんもなんだか変な人だよ。」

・あまりに仕事が楽すぎることについて
「いや、30分毎にビル全体を見回るわけだからね。特に楽というわけでもないよ。」

・ここ最近の出来事について
「最近は強盗事件が多発しててね。ビルのオーナーも気が気じゃないんじゃないかね。」

「更衣室の◯番のロッカーに、制服があるから着替えてくれ。」

着替えた時点で以下のものを手に入れる。
警棒　杖（１D6＋DB）
スタンガン　こぶし（スタン）
携帯無線機

３．異変

着替えているときに、探索者は突然大きな悲鳴を耳にします！

廊下に飛び出して見ると、２階へと続く階段のそばに、国立が倒れている。
周りには人はおらず、全く静かである。非常口のドアの向こうが何やら白く、
そして２階へ続く階段も先の方がかすんでいる。
国立は頭から血を流しており、助かりそうにないことが、医学の判定無しに分かる。
最後の力を振り絞るように、弱弱しい手つきで彼は探索者に手帳とマスターキーを差し出したあと、息絶える。

ついさっきまで話していた人間が息絶えたことにより、探索者は0/1のＳＡＮチェック

手帳を開いて最初のページを見ると、以下のことが書かれたメモが挟まれている。

【手帳】

各階のテーマ
2Ｆ　火
3Ｆ　水
4Ｆ　雷

出口は表玄関のみ
仕掛けはすべて解除すること
警備員は異常をすぐに調べること
（以下のページにはその日その日の予定が書かれた、スケジュール表のようで、特に不審なところは見つからない。）
　
　
そして非常口の扉には真っ白で濃い、暗い中でもはっきりと見えるもやがかかっていることに気が付くだろう。
もやの向こう側はわずかに透けており、そこから本来は外の囲いの塀や道路が広がっているはずが、
まるで非常口とメインエントランスがつながっているように見えてしまっている。
つまり、非常口から見ると守衛室の応対用の窓、カウンターと郵便受け、メインエントランス側からは２階への階段と
休息コーナーが見えている。
もしその非常口の白いもやに向かって進んでみれば、その探索者は１階の表玄関に出てくるだろう。
現実にはありえない空間のつながり方を体験・目撃した探索者全員は、１／1D3のSANチェック。
メインエントランスの右の、守衛室扉から出ても、非常口につながる。

ただし、よく見てみると、２階へ続く階段のもやが薄く、向こう側が見える。２階へ進むと、しかけを解除するまでその階に閉じ込められることになる。

各部屋のデータ

【1階の部屋・施設】

　

◆守衛室
探索者がおそらく最初に来るだろう場所。

・メインエントランス側の窓
そこで応対・案内をしていることがわかる。
窓のそばにでっぱりがあり、そこには来客の名前を書く紙を挟んだ、クリップボードとボールペンが置いてある。

・テーブル
部屋の中心に、町の行事に使われるような、折り畳みのテーブルが２つ、3つ繋げられて置いてある。
上には飲みかけのお茶、急須、新聞、雑誌、茶菓子などがある。
新聞や雑誌には特に気になる記事はない。

・ロッカー
部屋の隅にぽつんと置かれている。中には掃除用具が収納されている。

・電話
内線、外線、ファクシミリなどの機能がついている。国吉死亡後はつながらなくなる。

　
　
◆男子更衣室
もともとは別の用途の部屋のようで、廊下側に窓が高い位置に設置されている。
国吉のロッカーがあり、中には書道、盆栽、俳句の入門書。ほとんど読まれていない。
　
◆女子更衣室
もともとは別の用途の部屋のようで、廊下側に窓が高い位置に設置されている。
　
　
◆物置
鍵がかかっている。守衛室にあるマスターキーが必要だろう。
中にはこのシナリオに役に立つものが置いてあるだろう。

目星に成功すると、以下のものが見つかる。
オーブングローブ、アイスピッケル、溶接マスク、救急キット（ガーゼ、消毒液、軟膏、はさみ、包帯、使い捨てゴム手袋）

　
　
◆休息コーナー
自販機とベンチが２階への階段の前にある
自販機には精飲料水が並んでいる。横にはごみ箱があるが、回収されているのか、空である。
目星に成功すると、ベンチの下に噛んだガムが貼り付けられているのがわかる。

◆ブレーカー室
ビルの電源管理を行っているようだ。たくさんのスイッチが並んでいるのが確認できる。
電気修理に成功すれば、ブレーカーに異常がないことがわかる。

【２階の部屋・施設】

　

　
火の階層。国立死亡後に侵入すると、探索者たちは視界が赤く感じ、また明らかに暑いことに気が付く。
そして気温が次第に上がっていっていくの感じるだろう。長居は危険だ。本能でそう思う。階段のそばの柱に温度計がかけられており、
それが現在45度を指していることに気が付く。目の前の廊下にはこの場に似つかわしくない古めかしい燭台がおいてある。

※廊下の方からカタンという音がする。みてみれば、その場に似つかわしくない燭台が倒れているだろう。
そして、この階の気温が少し和らいでいることに探索者は気がついて良い。

この階では、５回行動を宣言するごとにＣＯＮ対抗ロールを行い、失敗した場合、耐久力の最大値を１点減らす。
最大値は階の仕掛けを解除することで元に戻る。
暑さを回避するような行動（水をかぶるなど）行えば、最初のＣＯＮ対抗をさけることができる。

◆アクセサリー店
中は廊下の方より熱い。まるでローストされる鶏肉のような気分を味わえるだろう。
廊下より熱いため、入った瞬間からＣＯＮ対抗ロール、失敗した場合耐久力の最大値を1点減らす。
カウンターの中に燭台が設置されており、木でできていたのだろう、カウンターに火が付いている。
燭台は火に囲まれている。探索者は見るだけで燭台自体がかなり赤熱化していることがわかる。
素手で触り無事でいられそうではない。
火傷せずに火を消す解決策としては、以下のようなものが考えられる。
・投擲でものを投げ、燭台を倒す
・水をカウンターの外からぶっかける
・たばこ店の扇風機をここまで持ってき、電源をつける

※貴金属に明るい探索者は、アクセサリーに使われてる金属に鉛などの不純物があることに気が付くことができる。


◆たばこ専門店
店の扉を開くと、煙が充満し、呼吸がしづらい。ガラスの棚や、葉巻を吸えるコーナーなどがかろうじて見える。
入った瞬間から窒息ロールを行う。扉の側に扇風機が設置されている。目星に成功、或いは扇風機を付けて
煙を飛ばすことで燭台を発見できる。懐中電灯など、光源を使うことで目星にボーナスはつくだろう。
中の燭台の火を消しても煙はしばらく残り、扇風機でけむりを散らした場合は視界がやや悪くなるだろう。
本来はこの街の隠れた名店であり、探索者の望む銘柄のたばこ・葉巻が見つかるかもしれない。

・しかけ
廊下、アクセサリー店、たばこ店それぞれに火のついた燭台があり、そのろうそくをすべて消せば、３階と１階への階段が開放される。
燭台に探索者が近づいただけでそれが熱源であることが、理解できる。

【３階の部屋・施設】

　

　

水の階層。２階から階段をあがっていくと、今までのような薄いもやだ。
探索者達は視界がぼんやりと青みがかっているように感じる。そして夏だというのに肌寒さを感じるだろう。
天井からはつららが垂れ下がり、全体に氷が張っている。どこからか水の流れる音も聞こえてくるだろう。
床を見てみると、ビルの床材ではなく、氷が張っており、探索者達は氷の上に立つことになる。そして下には水が流れているようだ。
そして、男子トイレから悲鳴が聞こえてきた。

※何かしらの上着があれば、寒さによるCON対抗を回避することができる。
※２階層の熱の燭台を持ちだして火を灯せば、氷を溶かすことができるが、正体不明の怪魚が襲ってくるだろう。

◆男子トイレ
３Ｆに侵入すると同時にここから悲鳴が聞こえる。
奥に下半身が氷の下の水につっこんで、狼狽した表情のスーツ姿の男が叫んでいる。

「た、助けてくれ！ひ、引っ張られてる！引き上げてくれ！」

男のそばの氷の下に、うようよと泳ぐ２～３ｍはあるような大きな魚影が居ることに気がつく。

「い、痛い！噛まれてる！助けてくれ！」

水が赤に染まってきている。この男に時間はあまり残されていないようだ。

＜助けようと引っ張りあげようとした場合＞
STRの対抗ロールなく、いとも簡単に引っ張り上げることができる。しかし、上にあげた男の脚と下腹部がないことに気が付く。
にょろにょろとはみ出た臓物が、習字の筆のように白い氷にぱっと赤黒い線を描く。さっきまで生きていた男の無残な死にざまを
目撃した探索者は1/1D4のSANチェック。

＜助けないで傍観、長い相談を挟んだことによる時間切れの場合＞
探索者は迷っているうちに男のひときわ大きな悲鳴を聞く。それからは一瞬だった。あっというまに氷にできた穴に引きずり込まれる。
そして氷の下は赤一色になった。穴のそばには男の最期の抵抗を表す、指から剥げた爪がいくつか残っていた。さっきまで生きていた
男の無残な死にざまを目撃した探索者は1/1D4のSANチェック。

怪魚はそのまま男を食っているので、しばらくは大丈夫だろう。もし、男の死体が氷上に残っており、それを調べるのであれば、以下のような情報が手に入る。

①男は浅黒い肌の、アジア系の顔立ちの人間。(加えて人類学ロールに成功すれば、外見的特徴により男が北アメリカの氷雪地帯に住む、
モンゴロイド系のイヌイットであることがわかる。言語学ロールに成功すれば、彼の話していた日本語のアクセントから、同上の追加情報が得られる。)

②財布は見つからない。着ている服はワイシャツである。洋服に関する知識を所有している探索者は、男のワイシャツが現在旅行者に人気のあるものであると気づいて良い。

・個室、便器
凍っているので水が流れない。それ以外には異常はない、普通の個室トイレである。

・用具入れ
合成洗剤（液状,POT20）、パイプクリーナー(POT15)、ラバーカップ、モップが入っている。

　
　

◆女子トイレ
女子トイレに近づくほど水の流れる音がする。ここに水の発生源があるだろう。
奥にある水を絶え間なく流す陶器（水吐吸）の近くには怪魚が一匹、それを守るように泳いでいる。
探索者が初めて侵入するとまわりをうろうろと泳いでくる。時間経過で耐久力１０の氷を壊し水中に落とそうとする。

　

・用具入れ
合成洗剤（液状,POT20）、パイプクリーナー(POT15)、ラバーカップ、モップが入っている。

　

・個室
凍っているので水が流れない。それ以外には異常はない、普通の個室トイレである。

　
・最奥の個室
水を吐いている陶器がある。３Fの「しかけ」欄参照。
　

◆アクアリウム専門店
・店舗
多くの熱帯魚を販売していたアクアリウム専門店。水槽は全て健在だが、急激な気温の変化で商品の魚が
腹を見せている。
※経理に成功すると、店の被害総額を算出できる。店の規模を考えるとかなり厳しい出費。

・スタッフルーム
整然としているが、とても表にあるようなサイズではない、あからさまにおおきな水槽が置かれている。
扉のそばにはゴムホースとゴム手袋、ゴム長靴がある。
銀色の金属で装飾されている、何やら高級だが簡素な水槽には何も居ない。
机の上に「『引け』と念じること」というメモが置かれ、ぼんやりと光るコインが１０+１Ｄ１０枚入った手のひらサイズの袋がある。

　

◆釣り具屋
長靴や釣具などが置いてある。規模は小さいがなかなか品揃えが良く、胸まであるゴム長や、ゴム手袋がある。
ワカサギ釣り用の氷を切り抜く装置も存在する。

・店内の柱
以下のようなポスターが貼られてある。
「やめよう！根流し・ビリ
漁には数多くの手法が作られましたが、この２つはその水域全域にダメージを与える為、水産資源保護法により
禁止されています！決してしてはいけません。根流しとは、毒を水域に流すことで浮いてきた魚を総取りする漁法です。
ビリは、電気を水域に流します。特に、海に含まれる塩分は電気をよく通し、水域に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
（イラストは悪そうな漁師風の男が電池のようなものを水に近づけ、ひっくり返った魚を
獲っているものと、木こり風の男が毒々しい液体を川に流すものが描かれている）」

※ポスターへの目星に成功すると、ポスターの裏に「根ながしすっぺ」と落書きがされているのが発見できる。



・しかけ
トイレの最奥の個室に青白く輝く人間の口のような陶器。壁にかかっており、止めどなく水を吐き続けている。コインが5枚はめ込まれているが、すべて輝きがない、くすんだ色になっている。陶器を破壊するか、
新しくコインを5枚はめ込み、陶器に直接触れ、「引け」と念じれば、２／１+１D３のSANチェックと引き換えに口が水を吐き出すことを
止め、逆にそれに水が吸い込まれていく。１５分ほどで水がひき、２階４階へ続く階段が開放される。水が引くとこの階の怪魚は全滅する。

【４階の部屋・施設】

雷の階層。バチバチという音とともに廊下の方に人型のものが歩き回っています。しかしそれは人ではなく、探索者がみたこともないような
もの、否、怪物！電撃をまとういきものではなく電撃そのものが人の形をして、歩いてる！この世あらざる超常現象を目撃した者は、１／１D6のSANチェック

◆会計事務所
・本棚
分厚いファイルが立ち並ぶ本棚が奥に座している。図書館ロールに成功すれば、酸味橋ビルについてのファイルを発見し、建立してから数年ごとにすべての
テナントが同時に入れ替わっているという情報を得る。さらに経理ロールに成功すれば、出処不明の「援助金」という名目の金が各店舗に振り分けられ、
ビル全体の店舗の売上金をこの会計事務所で管理していることを示す資料が見つかる。

・金庫
これも事務所の奥に置かれている。鍵は閉まっている。中には現金1000万円が入っている。

◆不動産
一見普通の不動産だ。応接間やデスクがあるだろう。
・壁
一面にマンション、一戸建て、アパートのチラシが貼られている。目星に成功すれば、駅から徒歩3分、４ＬＤＫで角部屋の家賃3万円の物件のチラシを発見できる。

・応接間
ソファと低いテーブル、敷居で構成された簡素な応接間。ソファに座ればふかふかな時間を得られるだろう。目星に成功すると、テーブルの裏にいくつか噛んだガムが貼り付けられてるのがわかる。

・従業員のデスク
金属でできたオフィスデスクと、オフィスチェアー。
窓際には見るからに高そうな椅子とデスクがある。現在のビル全てのテナントが今年の１月から埋まった、という資料がある。

・高級デスク
高そうなデスクとチェアーが窓際に置かれている。目星を行えば、引き出しのひとつに腕輪（不動のアミュレット）

・しかけ
電人から手に入るコアのチップを手にとる。手に取った場合即座に霧が消えていく。取らない場合でも時間経過で霧は失せていくだろう。

電人を討ち滅ぼすと、空気が抜ける音がして、窓の外から光が差している。喧騒。そして、屋上へ続く階段から男が一人やってくる。
アイデアロールにスペシャル以下の成功をすれば、それはバイトを受けるときに聞いた声だとわかる。
「き、君たちは！今までずっとここにいたのかね？私は警察官だ。ここで人が倒れていると通報があったのだが、下が封鎖されてるようで、上から侵入を試みたのだ。」
無線で一般人の保護を伝えたのち、男は探索者とついていくことを命令する。（ビルから出ていくルートは屋上からでもメインエントランスからでも構わない。）
男に対しての心理学、その他彼の思考を読み取ろうとする行為はすべて自動失敗となる。
無線で連絡をした後、男の無線にもう一つ連絡が来る。そして、応答のために、探索者から一旦離れる。この時、探索者が勝手にビルから出ようとしても良い。
　

３．エンディング

　
外に戻る間、男は「このビルで手に入れたものとか無いかね？」と聞く。探索者の言葉を、男は疑いもなく信じるだろう。
　

ed.1(男と同行して)

探索者は警備員の殺人事件に関して証言をした後、警察から解放されるだろう。
　
　

ed.２(男と同行せずに脱出)

その人の理由により、男を待たずにビルの外までついた。うまくいけば警察に気づかれることなく、この場を抜け出すことも可能だろう・・・
　
　

ed.３(アーティファクト没収)

外に戻る間の男の質問に対して「持っている」と答えた場合、男は銀色のペンのようなモノを取り出し、サングラスをかけ、「このペン見ててね」
と言う。そのペンのようなものからまばゆい光が放たれ、その場に居る探索者全員はこのシナリオに登場したアーティファクトや
怪異に関する全ての記憶が隠蔽され、所持していた本シナリオで手に入ったアーティファクトを全て失う。怪異は暴漢に置き換えられ、
それを撃退した、という偽の記憶を手に入れる。このシナリオで本当にあったことを思い出すにはＰＯＷ２２との、ＰＯＷ対抗ロールに成功しなければならない。
ＳＡＮ値回復は暴漢を撃退したことによって勇気が出たので１Ｄ４。成長ロールも通常通り行う。

『やはりこんな怪しげなバイトにはやばいことがつきものらしい。なんと昨日暴漢が3人も入り込んできて、チーフの国吉が殺されてしまった。
なんとか撃退することには成功したし、口座にはしっかりと報酬は振り込まれているが、これから警察と事情聴取かと思うと、憂鬱な者もいるだろう。
夜勤明けのぼんやりとした頭で、警察署の方へ君（君たち）は向かった。』ＥＮＤ
　
　
※エンディング分岐（ＨＡＲＤ）
アーティファクトを隠し持っている探索者に対して屋上から来た男の心理学ロール（30％）を行わせよう。
もし１度でも成功した場合、所持していることがバレ、男は銀色のペンのようなモノを取り出し、サングラスをかけ、「このペン見ててね」
と言い、そのペンのようなものからまばゆい光が放たれ、その場に居る探索者全員はこのシナリオに関する全ての記憶を失う。
このビルで手に入れた全ての物も失う。SAN値はそのままに、SAN値回復もない。気がついた時には、探索者はみな見覚えのある
いつもの場所にいるだろう。なんら変わりない昨日の記憶を持って。
　
シナリオクリア報酬
＜ＳＡＮ回復＞
・ペストコントロール（怪魚を殺した）　倒した数×１ｄ２
・電人を打ち滅ぼした　１ｄ４
　
＜成長ロール＞
通常通り行います
　
※このまま探索者を「望まぬ冒険」に参加させる場合は、時間が、６ヶ月以上経過したとして、
シナリオクリア報酬に加えて、好きな技能一つ（８０％以下のもの）の成長ロールを行ってください。

《NPC》

【国立新太郎（66歳）】

STR16　APP10
CON13　SIZ14
POW 9　INT12
DEX14　EDU20
HP１４
MP　9　SAN45
アイデア60
幸運45
db +1D4

元警察官。定年退職し、暇を持て余して色々老人らしい趣味に手を出してみたものの、元来体育会系の人間だったので、
似たような職に就いた。
そんな理由で警備員をしてるじいさん。だったのだが現在は酢味橋ビルのイス人の意のままに動かされている。

組み付き60 拳銃50 杖80 武道＜柔道＞75
応急手当40 写真術20 機械修理30 電器修理20 コンピュータ6
忍び歩き50 経理25 目星65 聞き耳61
言いくるめ55 法律45
芸術＜書道＞35 芸術＜俳句＞20

【怪魚】

STR16（5D4+6）　
CON1５(3D6)　SIZ20(5D4)
POW 9(2D6)　INT3(1D3)
DEX14(3D6)
HP18
　
イス人の研究の副産物。育ちすぎで維持費が利益を上回り、数日後に破棄する予定があった。ウナギの様な細長く大きな体に、牙と強靭な顎を備えている。
長年の水槽生活からか、縄張りが狭い性質を持ち、その範囲からあまりでたがらない。このシナリオでは丁度部屋一つ分が縄張りのようだ。縄張りに入ってきたものには凶暴であり、
身が滅びるような事態にあっても目の前の敵を食わんとする。moveは水中の魚準拠。

＜噛みちぎる＞水中にいるものに対して噛み付いて肉をちぎる　30％　ダメージ 1D6
　

【電人】

STR1(1D3)
CON☓　SIZ0.1（電気なので重さはほとんどありません。身長は1．7～2．2ｍ）
POW30(5D6+10) INT3(1D3)
DEX40(5D8) EDU☓
HP20（5D8）

金属の物で攻撃した場合、倍のダメージ。その代わりショックロールを行う。手に絶縁体を身に着けている場合はこれを回避できる。

人の形をしたほとばしる電気。イス人が４階に放すように設置した番犬。
触れるとCON対抗に失敗した場合スタン状態になる。しかし未だ研究状態であり、金属、塩水などに触れると散ってしまう。

戦闘技能
＜こぶし＞１５％　ダメージ１D2　スタン　　＜キック＞２０％　ダメージ１D３　スタン　＜放電＞40％　距離で変動。電人のHPダメージ１D６と引き換えに電気を放ちます。ダメージ１D10　スタン

その他の技能
聞き耳50　
　
　

《アーティファクト》

【魔力のコイン】

魔力が込められた輝くコイン。このシナリオでは1枚につき１０MP分込められている。魔力がなくなると、輝きが消える。シナリオクリア時点で、余りがある場合は、報酬としてよい。
余りはその探索者の次回参加シナリオでのみ使用することができ、コイン1枚に込められているMPは１D３ポイントとする。
　

【熱の燭台】

年代物に見える、みつまたの燭台。
燭台に付属している３つの、ろうそくに見える装置に火を灯すことで、半径１０ｍの球範囲に少しづつ熱をもたせる。１つのろうそくに12時間灯し続けることで周囲は紙が燃える温度になる。
火を灯したろうそくの数で温度の上昇スピードを調節できる。つまり、３つ灯すことで3時間で紙が燃える。付けた火は普通に吹き消すことができる。
外見はただの骨董品の燭台だが、中身は現在の技術ではとても再現ができない精巧な機械が詰め込まれている。分解した場合、
クトゥルフ神話技能及び機械修理を両方ともクリティカルすることで元に戻すことができる。機械修理・電気修理に長けた（６０％以上）者は、
持ち帰って分解し、４週間かけて内部構造について研究することができ、その場合クトゥルフ神話技能を１得る。
このシナリオでは、２階の廊下、アクセサリー店、タバコ屋に
それぞれ１つ、合計３つ設置されている。高さ1.5ｍ、SIZ３。耐久力８。
　

【水吐吸（すいとすい）】

人間の口を模した、不気味な陶器。通常のタブレットのような手持ちサイズ。「あ」や「う」を発音しているように見える。どこかの次元の、
我々の世界に存在する海水によく似た液体を出したり引いたりする事ができる。液体はただただ塩辛く、舐めても人体には無害である。
触れて「出せ」、「出ろ」などと念じ、２／１+１D３のSANチェックを行えば、消費したMP×1トンの液体を吐き出す。逆に「引け」、「戻せ」などと念じれば、
２／１+１D３のSANチェックののち消費した1MPにつき1トンの半径２m以内の液体を吸い込む。液体は「止めろ」、「止まれ」などと念じればいつでも止められる。
吸い込まれる液体はなぜかこの口から出てきたもののみである。イス人により改良が試みられ、魔力を込められたコインをはめ込む５つのくぼみがあり、手で持つグリップのようなものも搭載されている。
はめ込んだコインで消費するMPを肩代わりできる。1ラウンド（約10秒）に1トンの勢いで液体は出て、戻る。その際グリップに触れている者に反動は来ない。
真正面から出てくる水に対抗して進む場合はＳＴＲ１５との対抗ロール。水は消化用ホースのように出てくる。本来はアクアリウム店の展示水槽用の海水を作り出すためのもの。
耐久力10。修理不可。

アーティファクトを持ち帰った探索者を別セッションで使う際はKPに必ず許可をもらうように！