CoC6版。
人数:2人orKPCとタイマン
推奨:探索、交渉技能。
備考:探索者毎に、シナリオの多少の改変が必要です。
PCに望まざる設定が付与される場合があります。
『卵殻』
CoC6版。
人数:2人or PC1+KPCとタイマン
推奨:探索、交渉技能。二人で同じシナリオに参加した探索者。
ロスト:なし(とはいえKPの裁量次第ではありうるかも)
備考:探索者毎に、シナリオの多少の改変が必要です。
PC1(あるいはPC2)がシナリオを終了する意を見せた時がシナリオエンドです。
『多くの場合、PCに望まざる設定が付与されます』
シナリオ傾向/理由不明、理解不能の親切。
理由を究明するのか、手を引くのか。
どちらにせよ残るのは、未練と後悔だけ。
次項からKPのみの閲覧としてください。
①『PC1』が『事件』(後述)を起こす。
②『PC1』が病むなどして、『PC2』が見かねて『PC1』の『事件』に関する記憶を消す。
③シナリオ本文、選択によりエンディング分岐
基本的に、
PC1=消したい記憶があった。
PC2=PC1の記憶を消した。
として書き進めます。
(二人は過去同じセッション通過済み/PC2を KPCとしての運用。となっています)
・シナリオ進行について
基本的にKPCとして扱う場合のPC2の行動は決められていません。
というのも、PC2をKPCとして運用する場合を重視していたので、ぶっちゃけPC2がやることがない(というか犯人側)からです。
PC1について回ってもいいし、普段通りの生活を送っても、何をしようが自由です。
・シナリオの舞台について
探索者によって、自由に設定してください。
ただ、情報を出す場所が不自然になってはいけないので、最低限『PC1の生活拠点』『PC2の生活拠点』などがあり、それらがある程度近所に存在する設定ならやり易いと思います。
例)PC1とPC2は屋敷に仕えるメイドと執事だったので、屋敷に住み込みと言う事で全て屋敷内で完結した。
二人は近所に住んでいる。など
・『事件』について。
探索者によって、自由に設定してください。
ですが少なくとも、記憶を消したいと切実に思う程度(SAN減少が起こるくらい)にはPC1にとって重大な事であるべきです。
設定する秘密や、どちらが記憶を失いたかったかによって、シナリオの雰囲気と探索者がシナリオに挑むスタンスが変化しうることには留意すべきです。
基本的にPC1に「どんな事があれば記憶を消したいと思う?」と聞く事になると思いますが、その場合シナリオ内容のメタ読みが出来てしまうので、探索者2人が過去同じセッションに参加し、後遺症か何かを持っていなら、それに絡めると良いかもしれません。
例)PC1は前セッションの後遺症である『制御不可の性的興奮』によりPC2を襲ってしまった。
PC1はPC2にとても恥ずかしい場面や知られたくない趣味などを見られてしまった(あるいはその逆)。など
・記憶を消した手段について
消すのは、『事件発生』〜『呪文をかけられたPC1が目覚めるまで』くらいの記憶で想定しています。
事件前後の記憶はぼやけていて、思い出そうとすると違和感があるくらいにするとやり易いかもしれません。
探索者によって、自由に設定してください。
魔術、あるいはなんらかの技術(催眠術)など。
記憶を消す側のPCが、理由は不明ですがそのような呪文を知っている(偶然知った)事にするのが一番楽かもしれません。
探索者が、記憶を消すのに使えそうな(そしてそれを戻せそうな)魔術を所持しているのならそれで代用もできます。
例)PC2は前シナリオで『精神的隷属』を習得していたので、これを用いPC1の記憶を消した。
・シナリオ開始時のシュチュエーションについて。
PC1が目覚める描写で開始すると良いでしょうが、『記憶を消す手段』によって描写は改変する必要があります。
例)病んで自殺未遂まで行ったPC1を拘束するため、PC2はPC1をリードと手錠でベッドに拘束した、その後『記憶を消した』ので、PC1目線では、目が覚めるといきなり拘束されてるところからシナリオが開始。など。
・シナリオ展開について。
構造的に、最終的なED分岐の決定権はPC2に委ねられる事になります。
PC2がPC1の『事件での落ち込み様』に大いに危機感を抱いているなら、もちろんPC1が記憶を取り戻すのは困難になります。
-シナリオEDについて
どのようなRP、結末であっても、基本的に『納得』だけを得ることは出来ない(思い出さなければ疑問は残り続け、思い出せば行動への後悔も思い出す)ため、後味は悪いかも知れません。
基本的にロストするようには作っていませんが、一つの例として、PC1が記憶を取り戻りすと、神話生物の姿形を思い出してしまい発狂ロストする(あるいは大きなSANチェック)、と言うふうに改変する手もあります。
これらもPCたちの性格や、補足での設定により、改変が必要。
発見場所についても、NPCを出したり、設定次第で『鍵開け』が必要になったり、個性を出せるだろう。
《》→推奨設置場所
[]→KP向け説明
【】→【】内の技能成功によって出る情報
・手帳《PC1(記憶を消される方)の拠点》
行った事に対しての懺悔が書いてある。
しかし、その『行った事』に具体的な言及はなく、ただ謝罪や後悔の言葉だけが並んでいる。
【アイデア】
-震えていたり、雑に書かれてはいるが、筆跡はPC1(記憶を消された方)のものだ。
-いくつか消された跡がある。
読めはしないが、同じことを書いているようであるため、恐らくこれが『意図的に言及されていない事』なのだろう。
書くのも耐えられなかったようだと考えられる。
[PC1のもの。PC1がこれを書くようなタイプでなければ出さないか、別の手段を考えましょう]
・日記《PC2の拠点》
普通の日常が綴られているが、ある時からPC1を心配する内容に変わっていく。
どんどんエスカレートしていくPC1の衰弱に対して、最終的に『記憶を消す』事を決意して記述は途切れている。
[PC2が『記憶を消す手段』を手に入れた時の記述も入れると良いかもしれない]
・『記憶を消す手段』についての考察
『精神的隷属』に関する考察
・対象に物理的に不可能な命令以外であれば実行させられる。
・人間は、思い込みや勘違いで記憶さえもねじ曲げてしまう場合がある。
ならば、精神的隷属で対象の記憶に封をする事も可能か?
→人を使って実験台にするわけにもないので、悪影響が出てしまう可能性も否定出来ない。
しかし、放っておいて事態が好転するとは思えないし、あれ以上悪化すればどの道......
結論:呪文の行使に踏み切ることにする。
[『』内は手段によって入れ替える事。
ここでは精神的隷属として書いている]
・隠された文章。《PC2がこれを隠しそうな場所》
あれから数日経ってもPC1は起きない。
だが『記憶を消す手段』自体は上手くいっている。
次に目覚めれば、綺麗に忘れているだろう。
消した記憶について、PC1は気にするでしょうが、少なくともそれは過去のPC1が消したかったものの筈。
.....少なくとも本人が言い出すまでは、私は何も言わない事にしましょう。
.....PC1へ。
貴方がどうしても無くした記憶が気になって、勝手に私の部屋を漁ってこれを見つけた時のために、私はこれを用意しました。
これや、他のものを見て、それでも貴方がそれを思い出したいというなら、私はそれを止めません。
ただし、思い出した記憶をもう一度消すことはしません。
呪文が不安定なのもありますし、何より、中途半端な覚悟で望めば、結局は後悔を残すだけだからです。
[探索者によって、なんなら無い場合もある情報。この探索者は「まぁ強く言うなら」と考えるタイプだったのでこのようなものを残しています。]
・NPC《街中や電話》
PC1を見て→もう体調はいいの?随分と塞ぎ込んでいたみたいだから元気になって良かった。
【交渉系/あるいはRP】
PC1が何をしたのか→(覚えてないの?と疑問に思うor驚きつつ)何があったかは知らないけど、随分と気にしているようで、触れられるのも嫌だったみたいだから、私も黙っていた。
PC2は随分とPC1を気にかけていた様だから、キチンとありがとうとでも言っておいた方が良い。
[上記は『記憶を消す手段』やPC1が記憶を消した事について知らない場合を想定している。知っていた場合は、不自然な様子から心理学や交渉技能で「随分と落ち込んでいた」「思い出そうとしない方が良い」なんて事を言わせると良いでしょう。ただ、具体的にPC1が何をしたのかは言わせない様にしてください]
【】→振れる技能/SANチェックなど
[]→条件/注釈
探索者が提案する場所に対して、適当に散りばめましょう。
・導入『おはようございます』
『柔い肌に牙を突き立てるように』、卵にヒビが入るように。
日常とは斯くも容易く崩れ去るのだと思い知ったのはいつだったか。
そうして今日も、いつも通り貴方は目を覚ます。
違ったのは少しだけ。
貴方をベッドに拘束する手錠と、首につけられたリード。
リードから伸びるヒモを握るのは、いつも通りの無表情な同僚だった。
「おはようございます」
未だに固まったままの貴方の顔を覗き込んで、PC2はそう言った。
[『』の中の表現を探索者の通過シナリオと絡めると小癪な感じが出て良いと思います]
・導入-2『今日は雨が降っています』
貴方を拘束する諸々を外し終え、一通り会話を済ませたPC2は
「体調が優れないようでしたら暫くは仕事を休んでもいいと、『雇用主』も言っておられたので、自己判断でどうぞ。
それと、台風も近づいていますし雨もひどいので、屋敷の外には出ないようにお願いします」
[同じ職場住み込み設定なのでこんな文章になりましたが、探索者ごとにシナリオ内の行動範囲も目覚める環境も違うので自由に書いてください]
・『ズレ』
[探索者が気付いたタイミング/技能成功時]
カレンダーの日付が違う、まだ先だった筈の郵便物が届いている、部屋が荒れている、など。
PC1が数日間の記憶を失っている事を示すような描写を入れましょう。
・『失われた日々。止まらない罅』
[PC1が自分が記憶を失っている事を確信した場合]
最後の記憶は、いつも通りに仕事を終えたところ。
それから自分は.....自分は、どうしたんだっけ?
明らかに空白の期間がある。
それを思い出そうとすれば、ゾワリ、と、身体中が逆巻き、冷えていくような感覚が貴方を襲う。
自分は一体、何をしたんだ?
【SANチェック1/1d3】
[朧げに、何か恐ろしい事をしたのではないかという事を思い出す描写を入れると説得力が増すかも知れません]
・ED-1『薄いカラ』
[PC1が空白に気付かない/疑問の確信を得る事なく終了を宣言した場合]
その日は雨が降っていた。
貴方の答えを知ったPC2は「そうですか」とだけ言った。
そうして、また普段通りの生活が続く。
しばらくすれば、こんなことがあったのも忘れるだろう。
相変わらずの日常に囲まれて、割れなかったカラの中身を腐らせて。
割らないのなら空と同じだと言って、そこに閉じ込められた誰かの未練は消えることはない。
覚えていないのは貴方だけだ。
・ED-2『ヒビを撫でる』
[PC1が、自身の記憶の空白と何かをしたという事を確信し、シナリオ終了を宣言した場合]
その日は雨が降っていた。
貴方の答えを聞いたPC2は、
「そうですか」とだけ言った。
そうして、また普段通りの日々が始まる。
表面に走るヒビを残したまま。
いくら経っても、疑念が心を撫で付けて。
いつの日か、罅割れたところから、秘密が漏れ出てきてしまうんじゃないかという恐怖が、脳に染み付いて離れない。
表面上はいつも通りの穏やか日々は、薄い殻の上に立って、今日も続く。
・ED-3『中のモノ』
[PC1がPC2を説得して、記憶を取り戻した場合]
その日は雨が降っていた。
貴方の答えを聞いたPC2は、
「そうですか」とだけ言って、
『記憶を取り戻させる描写を自由に挿入しましょう』
貴方は思い出す。
自身が行った行為と、その結末を。
そうして、日常はヒビ割れて、元の日々には戻らない。
おめでとう。
貴方は見事、自分を包む殻を破り真実を目の当たりにした。
その殻は、貴方が望んだから与えられた物なのに。
後悔しても、もう遅い。
貴方がどれだけ変わろうとも、世界は変わらず回り続ける。
ED1/SAN値1d6回復
ED2/SAN値1d6-1d3回復
ED3/SAN値1d6-(1d3+1)回復、加えて思い出した記憶に対するSANチェックを任意で行う。
生き残るために、隠された秘密に迫るのが探索者ですが、今回のシナリオには悪役も、秘密も、素敵な結末も存在しません。
あるのはただ、忘れたかった記憶だけです。
どう生きようが後悔が存在するどうしようもなさを探索者に知ってもらいたい方はどうぞ回してみてください。
P.S シナリオ内の記述に不備、不明な点があればコメントしてもらえると幸いです。
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