【概要】
・タイプ対立型
・リミット:3サイクル
・シーン表:指定なし(日常シーン表可)
・人数:3.4人
《注意》
『※』で書かれている内容はテストプレイ後に追加、変更した点です。採用するかどうかは状況を見て決めてください。それに至った詳細は《テストプレイを経て》を参照。
・セッション開始時に任意の護衛対象に1度だけ情報判定を行うことが出来、その際ペルソナであれば全体公開、秘密であれば本人のみが情報を獲得する。その後1d6を振り、出目の大きい順に護衛対象を選択する。
・お互いに感情を結んでいる自分の護衛対象には対人術で補助判定を行うことが出来、成功すればその対象の秘密を獲得できる。(一サイクルに一度挑戦可能。ペルソナ無視して秘密を抜ける)
・判定を行えるのは護衛対象(自分の以外含む)に対してのみである。(シノビ同士で感情を結んだりはできないという意味)
・シノビとその護衛対象の『秘密』『居所』は共通であり、護衛対象の『秘密』『居所』を取得すると両方の『秘密』『居所』を取得している扱いとなる。(揺らしや電撃作戦等の扱いの都合)
・護衛対象への感情修正は、護衛しているシノビに効果を及ぼす。ただし自分の護衛対象に対する感情修正は例外。またPCの任意のタイミングで護衛対象からの感情修正を受けることが出来る。
・PCは護衛対象を1ラウンドに何度でも『かばう』ことが出来、またかばったうえで回避判定を行うことが出来る。(護衛対象が行えるのは基本的に『接近戦攻撃』のみであり、回避はできない。接近戦攻撃の指定特技は護衛しているPCが決め、その特技のみ習得扱いとする)
・公開されていないペルソナはクライマックスフェイズ開始時に護衛者のみに公開される。そのうち戦闘中に使用できるペルソナは、公開することで使用できるが、2回(2ターン)の使用制限がつく。(それまでに公開されていたものは制限なし。メインフェイズ中では公開非公開関係なく効果発揮する、としているが、詳しくはGMに任せます)。
数週間前、シノビと妖魔のそれなりに大きな戦いがあった。結果としてはとあるシノビが妖魔の軍団のボスを打ち倒したことによりシノビ側の勝利となったものの、人間の負った代償は小さくなかった。
特に妖魔の襲撃により精神的不安を負ったものは多く、護衛としてシノビを雇おうとするものが点々と現れ始める。それを受けてあなた達の恩師、翳森(かげりもり)はあなた達を呼び出したのだった。
「お前達を呼び出したのは他でもない。儂はもう隠居した身だというに、三厳の奴が任務を回してきよったのだ。それで今回お前達にはその任務――、一般人の護衛をしてもらいたい」
そう言って彼はあなた達に四枚の写真を見せる。
ここで護衛対象(NPC1~4)と翳森の使命が公開されます。
「護衛とはまずその対象を知ることから始まる。気になる相手を調査しろ。誰が誰の護衛をするかはその後決めるといい。では任せたぞ」
PCは1人につき一度好きな対象に情報判定を行える。
(この時NPC1の呪詛[今発動しても意味がない為]とNPC3の暴露[獲得できる情報が増えてしまうため]は対象からこっそり除く。三回調べられた場合は不思議な力のせいにする)
(NPC1を護衛しているPCをPC1、のように扱う)
『使命』
あなたは翳森の部下である。あなた達は彼から一般人護衛の命令を受けた。
あなたの『使命』は『護衛対象を護衛すること』だ。
『秘密』
あなたは翳森から護衛対象の要望には従うよう強く命を受けた。
あなたの『本当の使命』はそれぞれの護衛対象の『使命』達成に協力する事だ。
・一般人の生命力は4とする。
〈護衛対象1〉
参城院 要(さんじょういん かなめ)
『使命』
あなたは御伽学園に出資も行っている大企業のご令嬢である。
それ故シノビに命を狙われることが多く、今回護衛の依頼を出した。
あなたの『使命』は『生きて、企業を継ぐこと』である。
『秘密』
あなたは一途な人である。
そしてあなたは自分を護衛してくれるシノビに一目惚れした。故にあなたはそのシノビに対して愛情の感情を獲得しており、これはいかなる効果を持ってしても消えたり変化することがない。
あなたは彼(彼女)を独占したいと考えた。しかしそのためには彼(彼女)の主人である翳森の存在が邪魔である。
あなたの『本当の使命』は『翳森を倒し、自分の護衛をしているシノビを独占すること』だ。
(護衛対象が生きている必要あり、かつ自分で生命力を0にする必要なし)
[ペルソナ]
『偽装』応援しておりますわ
『真実』慟哭:感情修正が2倍
『偽装』ずっとそばにいますわ
『真実』呪詛(ヤンデレ):契約者に好きな変調二つ
〈護衛対象2〉
羽走 恭一郎(はばしり きょういちろう)
『使命』
あなたは妖魔を憎んでいる。そのため先の妖魔騒動の残党を倒したいと考えているが、自分ひとりではどうすることも出来ず、忍びを雇うことに決めた。
あなたの『使命』は『シノビの力を借り妖魔を倒すこと』だ。
『秘密』
あなたは妖魔殺しの一族の人間である。
あなたは護衛対象3が先の妖魔絡みの騒動を起こしながら、その後のシノビたちの追手から逃げ切り生きている要注意人物だと知っている。そしてそんな者を野放しにしていては行けないと考えている。
あなたの『本当の使命』は『護衛対象3の生命力を0にする』である。
(護衛対象が生きている必要なし、かつ自分で倒す必要なし)
※
あなたは妖魔殺しの一族の人間である。
あなたは護衛対象の中に、先の騒動を起こしながら、その後のシノビたちの追手から逃げ切り生きている妖魔が紛れていると知っている。そしてそんな者を野放しにしていては行けないと考えている。
あなたの『本当の使命』は『その妖魔の生命力を0にする』である。
(護衛対象が生きている必要なし、かつ自分で倒す必要なし)
『偽装』彼の強い思いは形となる。
『真実』魔仭:特殊忍具魔仭となり、契約者に使用される。
※正式契約者ではない扱いとする(命中判定時、使用者の生命力一点減少)。
『偽装』彼の意思は伝播する。
『真実』魔力源:契約者は一ラウンドに使える合計コストが+2
〈護衛対象3〉
満我 歩(みちるが あゆみ)
『使命』
あなたは身寄りのない孤児である。
しかし少し前に起こった妖魔とシノビの争いによって孤児が増えたためどこの孤児院に入ることもできず、今回保護という形で護衛されることとなった。
あなたの『使命』は『生き延びること』だ。
『秘密』
あなたは実は妖魔である。
かつてあなたは一部の妖魔を統べるほどの力を有していたが、翳森との戦いに敗北しその殆どを失った。
翳森(かげりもり)が自分をシノビに護衛させているのは、他の妖魔との接触を断つための監視だと考えている。
怒りに燃えたあなたはそのシノビを洗脳し、翳森へ復讐することに決めた。
あなたの『本当の使命』は『翳森を倒し妖魔の下へと帰ること』だ。
(護衛対象が生きている必要あり、自身で倒す必要なし)
『偽装』彩られた笑顔
『真実』暴露:この真実が公開された時、誰か一人の秘密を公開
『偽装』達観した少女
『真実』帰還者:1ラウンドに1度、生命力1減少することで奥義を無効化できる。
※クライマックスフェイズ開始時の生命力増強(好きな方を)
・獲得している秘密の数だけ追加の生命力
・毎サイクル補助判定を行わせその成功回数分追加の生命力(その場合は秘密に書き加える)
他に良い案があればそちらでも。
〈護衛対象4〉
朽端 萌葉(くちはし もえは)
『使命』
あなたは弱き人物である。先の騒動で妖魔に攫われていたところをシノビに救われ、その後事態が落ち着くまでの間シノビに護衛される運びとなった。意図せず巻き込まれてしまったあなたは、一刻も早く現状を脱したいと考えている。
あなたの『使命』は『無事に日常へと戻ること』だ。
『秘密』
あなたは心優しき人物である。故に例えシノビや妖魔であれど傷つけ合うのは間違いだと考えている。(あなたは接近戦攻撃を行うことが出来ず、またあなたの護衛者は一般人にいかなる効果[流星雨、禁術、絶対防御等。戦場効果は例外]も及ぼすことは出来ない)
そのため彼らを止めたいが、自分にそんな力がないことを理解しているあなたは、せめてそばにいる人を守ろうと決めた。
あなたの『本当の使命』は『自分を護衛してくれているシノビを死なせないこと』だ。
(護衛対象が生きていた場合功績点1点、シノビが生きていた場合2点、両方達成で3点)
※(そのため彼らを~以降を変更)
故にあなたは可能ならば彼らの争いを止めたいと考えている。
あなたの『本当の使命』は『自分の護衛者以外のシノビを行動不能
(クライマックスフェイズで戦闘脱落)させること』だ。
(使命達成の功績点は表の使命(クライマックスフェイズ生存)達成で2点、本当の使命達成で2点獲得できる。)
『偽装』想いを形に
『真実』命の器:契約者が誰かへの感情を取得する度追加の生命力獲得
『偽装』生への執着
『真実』命の波動:1サイクルに1度生命力1点か変調1つ回復
〈翳森〉
『使命』
あなたはかつてはシノビガミにも切迫したシノビであったが、怪我により力の一部を失い、隠居生活を送っている。そんなあなたの下へ護衛の依頼が届いた。しかし既に隠居しているあなたは部下のシノビにその依頼を任せることにした。
あなたの『使命』は『部下のシノビたちの力を借り、護衛対象を護衛すること』である。
『秘密』
あなたは妖魔との戦いで傷を負い、力とともに記憶の一部を失った。それにより、力を失った妖魔のボスが仮の姿としてとった人間の容姿を忘れてしまっている。 放っておくと力を取り戻し危険なことになるかもしれない。そう考えたあなたは、微かな情報から絞り込んだ彼の妖魔かもしれない4人の人間を護衛という形で監視する、という今回の計画を企てた。あなたの『本当の使命』は『かつての妖魔のボスを炙り出し、捉えること』である。
年齢:67 性別:男
流派:鞍馬神流 階級:上忍(名義上)
面の顔:鞍馬神流御隠居 生命力:6点
【忍法】
『接近戦攻撃』『神槍』『春雷』『陽炎』『疾風』『磐』『先の先』
※『接近戦攻撃』骨法術『神槍』『時雨』『先の先』『連撃』
【特技】
刀術 手裏剣術 骨法術 遊芸 腹話術 兵糧術 憑依術
【奥義】
『奥義:一閃』範囲攻撃 刀術 弱み:回数制限
『奥義:不動』絶対防御 憑依術 弱み:回数制限
『妙技:背車刀』判定妨害 刀術 弱み:回数制限
《奥義使用時の演出》
彼の放ったその技は、傷を負っているとは微塵も思わせない圧倒的なまでの美しさを内包していた。誰もが一瞬目を奪われた――その直後、翳森は口から血を溢れさせた。苦しそうに笑う翳森。しかし技に一切の乱れなく、背筋を凍らせるような闘志を瞳に湛えて、なおも強く刀を握っていた。
【忍具】
なし
〈翳森の補足〉
強めのNPCにしようと作ったところ、疾風で高プロットに居座り、陽炎春雷で避けにくい2点(3点)に磐で更にダメージ、と強すぎたのでかなり弱くしました。
ただ一般人がプロット0にいる都合上修正後でも十分強いと思うので、その時々で調整願います(丸投げ)。
奥義はNPC3のペルソナ帰還者の効果で何回か打ち消されることを想定して作っています。強すぎると感じた場合は一つ抜いてください。
あなた達は翳森に護衛対象を連れての集合を命じられる。
そして彼らが話している間、あなたたちはその部屋周辺の警備を言い渡される。
異変が起こったのはその時だった。
PC3がその場から消えていたのだ。身構えるあなた達。そして次の瞬間、部屋の中から甲高い金属音が鳴り響いた急いであなた達が中へ入ると、PC3と武器を合わせる翳森の姿があった
「やはりお前が妖魔だったか満我 歩」
殺意を滲ませたその声音に、満我 歩は苦い顔をして1歩背後へ距離を取る。
「お前達。彼らを護れ」
翳森はあなた達に短くそう言うと、PC3の武器を弾き満我 歩へと向き直った。
「お前という存在を残してしまったのは私の未熟さ故だ。禍根は残さん。死んでいけ!!」
そう叫び地を蹴った翳森。それとほぼ同時にシノビたちは護衛対象のため動き出したのだった。
戦闘開始です。
(以下はあくまでベースであり、大体こういう考えを持ってるよ、ってだけです。無視して自由にやっても大丈夫です)
(特に順番の指定はありませんが、参城院は最後がいいかと思います)
(口端裏の使命達成時はエンディングが指定のものになり、他のメンバーのエンディングはなくなります。他のキャラの使命達成や功績点については、演出的に達成出来ていなくても文面にあることを達成していれば達成とします)
〈歩生存、翳森死亡〉
満我は感傷なさ気に地に伏す翳森を見下ろし呟く。
「……うぬは確かに強かった。敗北した理由は一つ、うぬが人間であったことじゃ。人間は酷く脆い」
彼女は翳森が落とした刀を拾い、未だ洗脳されたままのPC3に向き直ると、大きくその刀を振り上げた。
「こんな風にのぉ!!」
その非力な風貌からは考えざる気迫を滲ませ、彼女はその刀を勢いよく振りおろした。PC3が正気を取り戻すには十二分な衝撃。肉が切り開かれ、血が噴き出る音が部屋中に広がる。
「…………否定するぞ、女狐」
二人の間に立ちはばかり、弱弱しくも確かな声音でそう反駁したのは他の誰でもない、翳森八助だった。
PC3を隠すように位置取り、歩へと再度向き直る。
「儂は人間だから強くなれた。この脆い体躯で、同じく脆く儚い誰かを護ろうと足掻いたからこそ、儂はここまでこれたのだ」
そういう間にも彼の身体からは血は溢れ出ている。立つのもやっとのような身体で、しかし凛として構えている。
「……相変わらず気に食わん男じゃ」
歩は退屈そうに息を吐き、背を向けた。
「興が冷めた。どうせうぬは勝手に死ぬじゃろう。わらわの復讐はこれで幕引きじゃ」
言い終わると同時、いつの間にかその場から彼女の姿は煙のように消えていた。
翳森は安堵したように微笑んだかと思うと、糸の切れた人形の如くその場に倒れた。
〈翳森生存 歩死亡〉
命尽き、跡形もなく消滅した満我 歩。
翳森はつい先程まで彼女がいた場所を見据え、まるでそこに彼女がいるかのように話しかけた。
「お前と出会ってより後ろ、儂は時折考える。人間と妖魔とが共存する未来はないのか、とな」
彼は記憶を取り戻していた。満我と共にある戦場が、彼にかつての記憶を蘇らせていた。
「……しかしそんなものは御伽話なのだろうな。お前は儂が憎かろう。儂もお前が憎い。……だが一つだけ、我儘を通させてくれ」
そう言って彼は手を合わせ頭を下げた。祈るように数秒、彼女の死に弔いを捧げた。
「さらばだ、満我 歩」
〈翳森 歩 共に死亡〉
「ハ……、無様じゃな、翳森」
「お前も、似たようなものだろう、満我」
絶命一歩手前。そんな傷を負って、二人は天を仰いでいた。
「人間の肉体は、弱い弱いと馬鹿にしておったが、いざ死にかけてみると、この身体も、対して変わらんの」
「馬鹿を言え。人間と同じであれば、あの時お前は死んでいる」
「……であれば、感謝せねばならんな。あの時生き残れたお陰で、うぬを殺し、未練なく死ねるのじゃから」
「全く、迷惑な話だ」
息苦しいのか、途切れ途切れになりながらも二人が交わす言葉には、友情とも敵意とも違う、彼らにしか理解できない独特の空気があった。
「――だが、お前を殺せたことで儂の未練もないも同然。折角だ。
地獄の果てまで付き合ってやろう」
「はん……っ。若造がふかしおって。上等じゃ。地獄の業火で我慢競べといくかの」
二人は嬉々とした高笑いが部屋全体を覆い尽くす。それがなり止んだとき、二人は息を引き取ったのだった。
以下は適当
〈羽走 使命達成〉
羽走 恭一郎は嬉しそうに跳ねていた。
「アンタすげーな! 俺の正式契約者にならねぇか!!」
「ま、気が向いたらまた声かけてくれよ!」
or「これからよろしくな、相棒!」
〈羽走 使命不達成〉
「待てよ――――っ!!!」
立ち去ろうとする歩に彼は手を伸ばす。傷つき、地に伏したままの彼の手は当然届くはずもなく、歩はその場から姿を消した。
「くそ!! お前はっ!! お前は俺が! 絶対にっ!!!」
ただ宙を掴んだだけの右手を彼は握りしめると、勢いよく地に叩き付けた。彼の唇からは血が滲んでいる。
「……俺がぶっ殺してやる……っ」
その悲痛な叫びは誰に届くこともなかった。
〈口端 表の使命のみ達成〉
「ふぅ……、何とか生きて帰れましたね……」
小さな戦場と化したあの一室。その場所から何とか脱した口端たちは、彼女の家の近くの公園で息をついていた。
「……やっぱり、止められませんでした」
口端は膝の上の拳をぎゅっと握った。
「最初から期待してたわけじゃないんです。私じゃ無理だろうなって、分かってましたから……だけど」
彼女は顔を上げ、その拳を解いて夕日に向かった掲げた。
「私は諦めませんよ! 私は私のできることをしますから!」
なにか決心が付いたのか勢いよく立ち上がると、彼女はPC4の方へ向き直る。
「そう思えるのもPC4さんのお陰です。今回は有難うございました」
口端は深々と頭を下げた後、街へと消えていった。
その小さく弱々しかった背中は、今までより大きく見えた。
〈口端 裏の使命達成〉
狭苦しい部屋で行われた熾烈な戦闘。手裏剣が宙を裂き、血飛沫が舞い、甲高い音と鈍い音が鳴り響いた――その面影なもはや見る
影もなかった。妖魔やシノビであるなしに関わらず、皆同様に地に伏している。ただ例外として、立っている二つの人影があった。
「……終わった、んですよね……?」
そのうちの一つ、口端がポツリと呟く。
[PCが肯定のセリフを言った場合]
「良かった……」
彼女は安堵したのか腰を抜かしたように座り込んだ。
[表の使命不達成時]
「痛…………っ」
口端は咄嗟に左の二の腕を抑えた。抑えている右手の指の間から血が溢れる。
彼女は苦い顔をしつつも、何処からか応急セットを取り出しすぐに応急処置してみせた。
「私、皆さんの手当をします」
言うが早いか、彼女は倒れている者達に駆け寄り慣れた手つきで手当していく。
そして全ての手当が終わり、彼女は額の汗を拭い腰をついた。
「……私はずっと、人間と妖魔は争うべきじゃないって、共存できるって思っていました。……もちろん、そんなの夢物語だって考えてもいましたけど」
口端は近くで横になっている歩の髪の毛をなぞるように触る。
「彼女は妖魔らしいですが、こうしていれば人間と何も変わらない。儚くて、でも暖かい。……彼女にとってこんな姿仮のものなのかも知れません。それでも」
彼女はPC4の方へ顔を向けた。
「仲良く出来る、って思いたいじゃないですか」
その表情は泣きそうで、しかしどこか安堵したような、喜んでいるような、そんな笑みだった。
〈口端 全使命不達成〉
「はは……、やっぱり、ダメでした……」
彼女は傷ついた身体で天を仰ぎながら渇いた笑みを浮かべた。それは諦観じみていて、しかし隠しきれない悔しさが滲んでいる。
「あの子とは、仲良くなれる気がしたんだけどなぁ……」
ポツリと呟く。彼女の視線の先には、あの少女がいるように見えた。
「ごめんなさい、PC4さん。私、少し眠ります」
彼女を眠りに誘ったのは疲れか悔しさか諦めか。口端萌葉はゆっくりと眠りについた。
〈参城院 使命達成〉
参城院家の一室。間接照明にのみ照らされ、薄暗い空間。そこに二つの人影があった。
「あぁ……っ、やっとあなたがわたくしのものに……っ!!」
一つは女性の影。いかにも金持ち然とした風体で、こころなしかその頬は紅い。
「わたくしの全てをあなたに捧げますわぁ……っ!」
女性は柔らかそうなその指で、もう一人の人影の首筋をそっとなぞった。人影は動かない、否動けないのだ。椅子に固定され、眼と口を塞がれている。
「もう絶対に手放しません。貴方様はずっとずぅっと、わたくしがお世話して差し上げますわ」
恍惚な笑みを浮かべる彼女。しかしこのときに彼女はまだ、シノビの力というものを侮っていたのだった。(キャラロス回避の一文)
〈参城院 使命不達成〉
「ふーんふーんふふーん♪」
場所は参城院家。その一室から陽気な鼻歌が廊下にまで漏れていた。
「これはこうで、これはこうして、これはここ!!」
部屋の中では、いかにも恋する少女といった風の女性が何やらがちゃがちゃと準備していた。そしてそれが一段落したのか少女は立ち上がると、そそくさとベットの横にある棚へ向かい一つの写真立てを手に取り、ぎゅっと抱きしめた。
「ああっ! PC1様ぁ!今回は失敗してしまいましたけど、わたくしは絶対に諦めませんから!」
腕を伸ばし向き合うようにその写真を彼女は見つめる。
「ですから、待っていてくださいね」
PLが3人だったためNPC4を除いて開始。
メインフェイズではほとんど全員が自分以外の秘密を獲得できました。
クライマックスフェイズでは秘密の都合上、翳森と歩が狙われ、特にどこからでも狙われる歩がかなり厳しい展開となりました。生命力の増強はこのためです。
また羽走の魔仭が攻撃面防御面(一般人が殴られなくなる)でかなり強く、それが歩への更なる負担になったため大幅に弱体化(生命力の減少効果や、他キャラと違い自分の秘密だけでは敵がわからない)させました。
終始歩と翳森が殴られ続け、最終的に二人が落ちた時点で残り2人の使命が達成され終了と、翳森サイドVS歩サイドの対立で組んだつもりの自分としては想定外の結果になりました。
当事者である羽走と参城院ですらほぼ狙われない現状、NPC4をそのまま加えても使命達成が容易と考えたので変更。ただ一般人を殴れるようになると歩の負担がまた増えるので制限を付けました
ただあくまでこれは自分のテストプレイにて、です。PCの様子を見つつ調整して下さい。
それと、このシナリオは一般人メインで進むためPCの影が薄くなりがちです。積極的に前に出るよう伝えてあげるといいかもしれません。
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