沖縄諸島に属する阿井島。
ヒーリング&パワースポットとして近年有名になってきているこの小さな島へ、
探索者たちは滑り込みで宿をとることに成功した。
日頃の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュするために……探索者たちは南国へと旅立った!
[プレイ人数] 2~4人程度
[プレイ時間] オンセ4時間程度
[推奨技能] 【目星】【図書館】【精神分析】
回復用シナリオとして制作しました。
エンドまで到達すれば、持病や他シナリオで負った弱体効果を解除できる可能性があります。
堅実にプレイしていれば死亡はほぼ無いですが、それでもクトゥルフなのでロストの可能性はあります。
沖縄諸島に属する阿井島(あいじま)。
ヒーリング&パワースポットとして近年有名になってきているこの小さな島へ、探索者たちは滑り込みで宿をとることに成功した。
時期は4月末。梅雨入り直前の好シーズン、青い空と広い海。
日頃の疲れを癒し、琉球文化に触れ、心身ともにリフレッシュするために……探索者たちは南国へと旅立った!
[プレイ人数] 2~4人程度(女性PCがいるといい。いない場合はNPC参加となる)
[プレイ時間] オンセ4時間程度
[推奨技能] 【目星】【図書館】【精神分析】
[準推奨技能] 【英語】【医学】【日本語】【地質学】ほか
※推奨技能はシナリオクリアに必要な技能、準推奨技能は情報を回収するためにあると役立つ技能としています。
回復用シナリオとして制作しました。
エンドまで到達すれば、持病や他シナリオで負った弱体効果を解除できる可能性があります。どこまで適用するかはKPの裁量によります。
堅実にプレイしていれば死亡はほぼ無いですが、それでもクトゥルフなのでロストの可能性はあります。
アイホート
ゼヒレーテ(存在を匂わせるのみでシナリオ内での言及はありません)
舞台は沖縄諸島に属する「阿井島(あいじま)」。
琉球王朝期にその一政区として編入されていた歴史を持ち、琉球王朝の国家宗教、
琉球神道の社ともいうべき「御嶽(うたき)」が北部に存在している。
とある難病の患者が唯一その病を治癒した地として一部に知られており、
そのことから近年パワースポット・ヒーリングスポットとして注目を浴びるようになった。
現在は梅雨明けのシーズン期から宿の予約がほとんど取れなくなるほどの人気ぶりである。
そのヒーリングスポットとして有名になった原因が、御嶽にある「イビの聖盃」である。
イビとは琉球神道における聖性のシンボルであり、神の偶像ではないが祈りの対象となるものである。
斎礼当御嶽(せいれーてうたき)にはイビとして石の盃があり、それが古くから島民の信仰を集めていた。
「イビの盃は島全体の穢れを払い、土地を清めてくれる」
「石の器からあふれる水を得たものは身も心も浄化され、新しい魂(マブイ)に生まれ変わる」
実はこの石を御嶽に置いたものが旧神ゼヒレーテ。別名「清浄かつ聖なる光の子宮 」とも呼ばれるノーデンスの奥方である。
石にかかる雨水がゼヒレーテの力をまといながら島中を巡ることにより、阿井島は治癒の島として注目されるに至った。
だがヒーリングスポットとして有名になったことにより、島の習慣に理解の無い者も観光に来るようになる。
ある時外国人の観光客が男士禁制の御嶽にうっかり足を踏み入れ、ゼヒレーテの怒りを買い発狂。
同時に聖盃は行方不明になってしまう。以降島を巡る水は聖性を失い、今まで浄化されていた地にも穢れが溜まり始めてしまう。
そうしたところに、ある神話生物が島の井戸へ門を繋げてしまった―――アイホートである。
島民はゼヒレーテの力がまだ体に残っているためアイホートの影響を受けない。
しかし何も知らずに観光でやってきた者は無防備だ。アイホートはそんな探索者に契約を迫る―――
探索者はこの阿井島を観光し、行方不明になった聖杯探索をし、島の聖性を取り戻すことを目的に行動することとなる。
シナリオ内で出てくる用語について解説しています。長いのでページ末尾に掲載します。
シナリオ内の出来事の時系列を解説しています。同じくページ末尾に掲載します。
*オバー(80歳程度、女性)
宿「いわい荘」を経営している島のオバー。島のノロ(=カンナギ)としての血を引いており、島の中でも尊敬を集める人物。
当人は気さくで明るいかわいいおばあちゃん。
以前から御嶽周辺の見回りを行っていたが、最近は腰を痛めているため出来ていない。
STR:5 / CON:8 / POW:15 / DEX:4
APP:7 / SIZ:9 / INT:12 / EDU:12
耐久:9 / MP:15 / db: -1d4 / SAN: 75
[武器] なし
[呪文] 天候を変える(p273)
[技能] KPが必要に応じて決めて良い。
*朝比奈(35歳程度、男性)
昨年内地からやってきた医者。海辺に診療所を構えている。
元々は感染症の研究をしており、孤虫症の治癒報告(?)があるこの島に興味を持っていた。
孤虫がヘビ等の爬虫類を第一宿主にすることから、ヘビ食には難色を示している。
また、汚染された井戸水からも感染の例があるため、島民と異なり井戸にはあまり近付こうとしない。
島民に悪く思われない程度にはうまくやっており、手の空いているときはオバーを手伝っている。
STR:13 / CON:10 / POW:8 / DEX:14
APP:14 / SIZ:14 / INT:9 / EDU:18
耐久:12 / MP:8 / db: 1d4 / SAN:40
[武器] なし
[呪文] なし
[技能] 【精神分析 : 50】【応急手当:50】【医学:80】
その他探索技能についてはKPが必要に応じて決めて良い。
*高坂るい(16歳程度、男性)
朝比奈診療所で入院している青年。
今年の3月頃に観光で島に来た。既に土地の聖性が弱まっており、井戸を覗き込んだ時にアイホートの雛を植え付けられてしまったため、
島に残って療養生活を続けている。
STR:7 / CON:6 / POW:6 / DEX:10
APP:13 / SIZ:11 / INT:16 / EDU:10
耐久:9 / MP:6 / db: / SAN:15
[武器] なし
[呪文] なし
[技能] KPが必要に応じて決めて良い。
*穂ノ原千鈴(26歳程度、女性)
探索者が全員男性だった場合に参加するNPC。
ジャーナリストであり、阿井島のヒーリングスポット特集を記事にするためにいわい荘に滞在している。活動的で明るい女性。
STR:15 / CON:10 / POW:13 / DEX:7
APP:9 / SIZ:15 / INT:13 / EDU:7
耐久:13 / MP:13 / db: なし / SAN:65
[武器] なし
[呪文] なし
[技能] 【こぶし : 80】【忍び歩き:45】【写真術:75】【追跡:50】【水泳:55】
【言いくるめ:55】【値切り:25】
[所持品] カメラ
・島は大雑把に5つのエリアに分かれている。
西 :港、商店、みやげ屋、食堂
東 :島民会館
中央:宿「いわい荘」(カー含む)、診療所(砂浜含む)、住宅地
北 :林、御嶽、海中洞窟
南 :畑エリア
・隣接したエリアに移動するのに30分、島の反対側まで行くには1時間かかる。
・移動手段は徒歩でも自転車でも車でも同程度で処理して構わない。
・各施設の概要は以下の通り。
[港]
数台の漁船がある小さな港。沖縄本島からの舟もここから発着する。
12時~14時の舟を着けてから出すまでの間、船頭さんは舟か商店か食堂にいる。
[商店]
島外から運んできたものを売っている。島の中では品ぞろえが良いほう。
探索者が何か欲しいものがあった時はここを利用するといいだろう。
作りは簡単だが、シュノーケルなんかも置いている。
[みやげ屋]
コンビニの半分くらいの坪数でやっているちんまりした土産屋。
素朴なかたちをした石製の器、作物を編んでヘビの形にしたおもちゃ、
ラップでつつまれた黒砂糖のお菓子などがある。
[食堂]
漁師さん達や島の人たちが利用する食堂。もちろん探索者たちも利用して良い。
ここでヘビ料理は出てこないが、美味しい沖縄めしが食べられる。
[島民会館]
御嶽へ続く林のふもとにある。島民たちが集会を開いたり、お茶したりしている。
資料室があり、島の宗教史や民俗文化についての書籍や資料がおいてある。
[いわい荘]
オバーが経営しているこの島唯一の宿。ヘビ食を体験することができる。
敷地内にはカー(井戸)があり、このカーには一般島民もお参りに来る。
[朝比奈診療所]
内地から来た医師・朝比奈の働く診療所。
便宜上島の中央部としているが実際は北西にあたり、診療所の裏手は林、表は砂浜になっている。
[砂浜]
港の北部~診療所前まで続く綺麗な白浜の海岸。泳いで遊ぶことができる。
ここから30分ほど北に泳ぐと海中洞窟にたどり着く。
[林]
かむいきさんをはじめとする木々が茂る林。海風にあたるせいで葉の密度はそこまでではない。
日中なら十分探索できる明るさである。
[斎礼当御嶽]
島の心臓部。林を通って岩場を渡ると到着することができる、島内で一番海抜の高い場所。
道中、岩の裂け目である「命の産道」を通る。
「広場」は周囲をぐるりと木々に囲まれている。
「石舞台」は島の頂にある薄い岩が折り重なったような祠のことであり、男子は足を踏み入れることができない。
[海中洞窟]
ちょうど御嶽の真裏にあたる位置にある(探索者には秘匿情報)。綺麗な石や貝殻を見つけることができる。
[畑エリア]
ざわわしている。観光にいくことができるが、シナリオ進行には特に関係ない。
【】 SANチェック、技能ロール
[] 場所
「」 台詞、会話例
<> シナリオ内部描写
() 補足説明等
※ 条件付き行動
探索者たちは沖縄諸島に属する阿井島(あいじま)へ向かう。
阿井島は近年ヒーリングスポットとして有名になっており、向かう理由があれば探索者は問わない。
友人同士で行ったほうが行動はしやすいだろうが、強制ではない。
時期は沖縄の梅雨入り前なので、4月末ごろを想定している。
探索者たちは互いに連絡を入れあったり、インターネットや雑誌で島の情報を得たりして、阿井島へ向かうことを決める。
各探索者にあったシーンをKPのほうで用意すると良い。
島での日程は1泊2日。
旅程は下記の通り。
1.沖縄本島から出発、初日の昼(12:00頃)に島へ到着。
2.翌日の昼過ぎ(14:00頃)の舟で本島に戻る。
沖縄本島からの所要時間は2時間ほど。
10:00 沖縄本島発 ~ 12:00阿井島着
14:00 阿井島発 ~ 16:00 沖縄本島着
舟はこの一往復便のみである。
天気予報は初日晴れ、二日目に小雨となっている。
上述の情報はあらかじめKPから探索者に伝えても良いし、PLが質問しない限り伝えなくても構わない。
情報を得るためのロールは特に必要ない。
【図書館】【コンピュータ】の技能で、下記のうちのどちらかの情報を取得可能。
(片方の情報を取得するために両方の技能を振ってもいいし、一つの情報に対して一回しか振れないようにしてもいい。
この辺りはさほど重要ではなく、事前準備に数日をかける可能性もあるので振らせ方はKPの裁量で構わない。)
①島の情報
②島のみどころ
①島の情報
<御嶽(ウタキ)とその周囲の集落から形成される小さな南の島。
とある難病の患者が唯一その病を治癒した地として一部に知られている。
そのことから近年パワースポット・ヒーリングスポットとして注目を浴びはじめ、梅雨明けのシーズン期からは
宿の予約がとれなくなる程になった。
歴史として、琉球王朝期にその一政区として編入されており、琉球王朝の国家宗教である琉球神道の社ともいうべき御嶽が
中心部に存在している。ノロ(=カンナギ)の制度は現在は途絶えているが、その血を受け継いだものが宿を運営しているとのこと。
島国であるため水不足に悩まされた歴史が長く、井戸や水場に対する信仰が強いのは他の沖縄諸島と同じ。
ヘビ食を行う文化があり、宿ではヘビを食べることができる。ただし説明書にサインが要る。
電波があるので島でのスマホ使用は可能。>
②島のみどころ
<1.斎礼当御嶽
治癒の力があり、あらゆる不浄と穢れを払うとされる、阿井島の祈りの場。最深部は男子禁制。
祈りの場へ通じる岩場は「命の産道」とも呼ばれ、ここもパワースポットとして人気。
2.島民会館
島の宗教史に関して多少の資料がある。
3.宿「いわい荘」
漢字で書くと「祝」になるそうだ。ヘビを食べることができる。
4.カー(井戸)
いわい荘の敷地内にある井戸。琉球において井戸は神様の住む聖なる場所。>
※①②の情報のうちいずれかを取得した状態のPLから要望があった場合、次の情報を出すことができる。
①の情報を取得している場合
【医学】で「とある難病」の情報が出る。
<孤虫症
芽殖孤虫症とも。白い蟲が人体に寄生し、あらゆる部位で増殖してゆく病。成虫が見つかっていないため孤虫と呼ばれる。
皮膚に脹れができ、そこを破るとおびただしい量の蟲が溢れ出るという。
症例は全世界で20人に満たないが、およそ半数が発見国日本で報告されている。
治療には体内の全ての蟲を除去する必要があるが実質不可能。
「虫ヲ殺スヨリ人ヲ殺ス方ガ易シ」とさえあり、致死率は100%と言われる>
②の情報を取得している場合
【人類学】【博物学】いずれかで「命の産道」についての情報が出る。
<「命の産道」
斎礼当御嶽に続く道に洞窟状になっている岩場「命の産道」。
不浄と穢れを落とし、新しい魂として生まれ変わることができるとされる御嶽の性質から鑑みるに、
これは国内でよく見られる胎内くぐりの一種と見られる。
胎内くぐりとは、新しい魂へ生まれ変わるための擬死再生の行を、岩の裂け目を産道に見立てることで実践的にした行為とされている。>
現段階で出る情報は以上である。
取り逃しても、島民から聞くことができる話なので無理して情報をとる必要はない。
旅行前の下調べ的な雰囲気で、ダイス慣らしとしてロールプレイするとよいだろう。
<沖縄本島から舟で東に数時間。
到着した「阿井島」は小さな島ながら、白い砂浜と琉球石灰岩の岩場が共に存在する、良好な環境の美しい島である。
平地には100人にも満たない住民が暮らしており、畑や漁をしながら日々の生活を送っている。
遠くをみやると青い空の下に緑の林が見える。その奥に、おそらく御嶽だろう、岩場が頭をのぞかせていた。>
探索者たちは12:00に島の[西エリア・港]に到着する。
このエリアにあるのは[商店][みやげ屋][食堂]である。
船頭さんは探索者たちを下した後、翌日の舟の時間(14:00)を確認すると、積荷の段ボールを商店へと運んでいく。
宿へ行く前に買い物や食事をしても構わないし、先に荷物を下ろしに宿へ直行しても構わない。
[商店]
食料、飲料水、応急手当グッズ等のKPが認めた品を購入することができる。
海に入るための水着や、簡単な作りのシュノーケルがあることは伝えて良い。
探索者が島に到着してすぐの時間帯は舟から商品の荷下ろしを行っている。
[みやげ屋]
素朴なかたちをした石製の器、作物を編んでヘビの形にしたおもちゃ、
ラップでつつまれた黒砂糖のお菓子などを売っている。
店員のおじさんがいるので話を聞くことができる。
☆会話例:石の器について
「思ったより重かったろう?それは島につたわる聖盃を模したもので、石でできているんだ」
「良い石をみつけてきて削ったり、海辺で天然の形のものを拾ったりするんだ」
「謂れについてそこまで詳しいことはわからんが、オバー…宿の主が詳しいから、訊いてみるといい」
[食堂]
島のおばちゃんが2~3人で回している食堂。美味しい沖縄めしが食べられる。
ここではヘビ料理はでてこないが、伝統的にヘビを食する文化があることを教えてくれる。
☆会話例:ヘビ食について
「この島ではヘビを食べるのよ。ここでは出していないけどね」
「ヘビは水の流れに体が似ているから。ヘビを食べることで水の流れを自分の体に呼び込めるように、という願いが込められているの」
「私たち島民はずっとやっていることだから気にしていないけれど、本土のひとから見れば驚くでしょうね。
実際、本土からきた先生はすっごく注意しているもの。ちゃんと過熱して、虫とかいないかしっかり見て、
食べた後のことは自分で責任を負います、っていう了承が得られてからにしろって」
☆会話例:先生について
「一昨年あたりに本土からやってきた先生さ」
「面と向かって否定してくることはしないけどさ、実際のところヘビ食についてあんまり良くは思ってねえみたいだわ。
ま、お医者さんだしね…いろいろあるんだろうけれど」
「でも文句つけてくることはしないし。病気の時はたよりになるからねえ」
[いわい荘]
宿に到着すると杖をついた小さなおばあちゃん(オバー)が迎えてくれる。
島唯一の宿だが、部屋数は多くなくせいぜい泊まれて4~5人といったところ。
<探索者たちは宿「いわい荘」に到着した。
二階建てで部屋数は片手で足りる程度だろうか、最近のパワースポットブームにしては小さな宿である。
だがオレンジ色の瓦と緑が目に鮮やかで、宿の小ささも逆に趣のあるものに感じられる。
探索者たちはここに宿をとれた幸運をかみしめるだろう。>
<中に入ると机と椅子が数台、テレビとラジオが置かれた小さく居心地の良いロビーがあった。
受付もこぢんまりとしており、カウンターは銭湯の番台程度の大きさだ。
そこでラジオをききながら書き物をしていた老女は、探索者たちを認めるとくしゃりと黒糖色の顔を綻ばせ、
杖をつきながら迎えに出てきた。>
☆会話例:オバー(宿に到着)
「遠いところからよくきたさ!」
宿で探索できるのはカウンターのみであり、個々の部屋や食堂については特に描写はない。
なお、この時点でKPからカウンターが探索できると伝える必要はない。
PCの中に女性がいない場合は女性NPC・穂ノ原千鈴が宿泊しており、探索者たちが宿に入ると挨拶してくる。
☆会話例:穂ノ原
「あれっ、こんにちは!私以外にも島外から来てる人がいたのね! もしかして今さっき着いたところ?
……ああごめんなさい、私は穂ノ原千鈴。ジャーナリスト。この島の取材にきてるの」
この時点でオバーとの会話から得られる情報は以下の通り。会話の流れが向かなければ、全ての情報を出す必要はない。
*宿泊客は探索者たち(NPCがいる場合は穂ノ原含む)のみ。
*基本的に一人で切り盛りしているが、たまに診療所の先生「朝比奈君」が手伝ってくれる。
*最近はいろんなところから観光客がくる。半年前くらいには外国の方も来た。
*ここ数か月腰を痛めている。
*ヘビ食について(後述)
*オバー的おすすめスポット
1.御嶽
男の子は奥に入っちゃいけねぇよ!神様が怒ってマブイ抜かれるさー!
2.かむいきさん
御嶽の林のまわりに立派な木があるさ!おらの自慢さ!きっと神様が住んでるさ!
3.島民会館
御嶽について知りたいならここにいくといいさー
4.井戸
神様が住んでるから一度ご挨拶にいくといいさー
5.海岸
この季節なら十分泳げるさ!砂がきらきらしていてとってもきれいさー
岩場にまわると生き物がたくさんさ!ちょっとした洞窟みたいになってるところもあるさー
※みやげ屋で「伝統的な石の器」について簡単な情報を得た上でオバーに尋ねると、イビについて話してくれる。
☆会話例:オバー(イビについて)
「石の器?そりゃあイビのことさね。イビってのは、祈りをささげるためのシンボルのようなもの。
詳しく知りたいなら島民会館に資料が展示されているから、いってみるといいさ」
ここで会話をしていた探索者は【目星】を振ることができる。
成功で、オバーがちょっと不安そうな表情をしたことに気づく。
理由を尋ねると、現在イビが行方不明になってしまっていると話す。
一通りの会話が終わると(もしくは会話中で話題になると)、オバーがから夕食の料理にヘビ料理を出すかどうか尋ねられる。
同時に、食べる者は「ヘビを食べたことによる体調不良や、気分が悪くなるといった不調に関して自己で責任を負う」
という内容の承諾書にサインが必要であると伝えられる。
ここでは探索者ごとに食べる・食べないの判断をして良い。
オバーがヘビ食確認を終えたあたりで朝比奈が手伝いに入ってくる。
☆会話例:朝比奈とオバー
朝「オバー団体さん来たんでしょ。大丈夫?味付けは任せるけどヘビの皮剥くらいはやるよ」
婆「あい、朝比奈君ありがとさ!」
その後二、三言会話をして、朝比奈は探索者たちを向く。
※コールがあれば、【聞き耳】で会話の内容を聞き取ることが可能。
☆会話例:朝比奈とオバー(ひそひそ会話)
婆「高坂君の様子はどう?」
朝「さっき眠ったよ。今は落ち着いてる。こっちもあまり時間をかけないうちに戻るよ」
朝比奈は探索者を見ると当たり障りのない挨拶をした後、すぐに厨房へ向かってしまう。
厨房へ向かい際に、探索者のうちひとりに「井戸は気を付けて」とだけ小声で伝える。
その後は厨房で料理をはじめてしまうので、探索者が日中の観光を終えて宿に戻るまでは詳しい話を聞くことができない。
オバーも最後に夕食の時間の希望をきくと厨房に入るが、こちらは上述の内容についてなら引き続き会話が可能。
※ひそひそ会話の聞き耳に成功していると、「高坂君」とは数週間前にこの島に観光にきていた子で、
島で病気になってしまったため朝比奈診療所で療養を続けているといったことを教えてくれる。
なお、夕食時間は17:00~20:00頃で自由に設定して良い。
初日宿~夕食までは自由観光タイムとなり、謎らしい謎やクトゥルフらしい事象はあまり起こらない。
KPは探索者の望むままに遊ばせると良い。
探索可能箇所
[商店]
2.阿井島に到着 と同じ。店主がシュノーケルを勧めてくるかもしれない。
[みやげ屋]
2.阿井島に到着 と同じ。黒砂糖のおやつを勧めてくるかもしれない。
[食堂]
2.阿井島に到着 と同じ。
[いわい荘]
初日の時点ではオバーがいないときに限り、宿のカウンターの中をのぞくことができる。
【目星】で以下のものがみつかる。
*宿の宿泊客台帳……特に変わったことはない。半年前のイギリス人男性の名前が目立つ。
*鍵……コロコロとなる土鈴がついた鍵。(島民会館ごろごろ石のケースの鍵。)
*イギリスの手帳……おとしもの箱の中に入っている。【英語】成功で読むことができる。
手帳内容
「とても気分が良い。生活の水準は都市に遠く及ばないが、この島は美しい自然に囲まれている。
景色も空気も水もとても美味しい。そう、水だ!何よりもここの水は素晴らしい。
島国にとっては得難きもの――だからこそ聖性を感じるのだろうが――、それがここでは何よりの宝だ。
ああ!持病もよくなってきている気がする。資料館の図を見たところ、どうやら高台に水源があるようだ。
なんとかして水源から直接に水を得てみたいものだ。あわよくば本国までもって帰りたい。みやげもの屋に売っていないのかな?」
※このイギリス人男性が今回の元凶となっている。
探索者の自発的なRPが無い限り、KPから積極的に情報を出すことはしなくて良い。
イギリス人男性について尋ねると、オバーと朝比奈からそれぞれ情報をもらうことができる。
*オバー→ 御嶽の裏手から足を滑らせて落ちた外人さんがいたねえ
*朝比奈→ 服のまま海に入ったのか、ずぶ濡れで近くの砂浜にいた。
早口で英語でまくしたてられてよくわからんかったが、えらく興奮していたな
[カー(井戸)]
<宿の敷地の、割合道に近い位置に井戸がある。
石を円形に組んだかたちのもので、落下をふせぐための鉄格子がはめられており、頭上には小屋根がついていて日陰の風が心地よい。
探索者たちがその場に向かうと、宿泊客ではない一般島民も訪れていることに気づいた。
彼らは手を合わせるて「いつも私たちに水をありがとうございます」と言い、井戸に祈りを捧げているのだった。>
いわい荘の敷地内にある井戸。宿の水はここの井戸から得ている。
他の島民はここから水を得ているわけではなく、各々の井戸を持っていたり持っていなかったりするが、
この井戸が祈りの中心地としての地位を持っている。ここの水が特に治癒に効く、と島民は信じているのだ。
☆会話例:カーで祈る島民
「ここの水を飲み続けることで病気が治るとか、胸の痛みがなくなるとか、心が晴れやかになるとか、
とにかくたくさんの効能があるんだよ」
「雨水が島の土をとおって溜まり、このカーからくみ上げられる。島国にとって雨はほんとに命の源なんだ。
もうそろそろ雨の季節が始まる。畑も、人も、かむいきさんも、喜ぶ。体にたまった良くないものを洗い流して、
新しいマブイにしてくれるから」
「あんたら、観光客だろう?ヒーリングスポットとしてこの島が有名になったのも、だいたいこのカーのおかげだろうねえ。
あんたらも、身も心も綺麗になってお帰り」
[島民会館]
<島の中心街から少し東に外れた位置、林との境目のゆるやかな斜面に建っている。
エントランスには、何かの民俗資料と思しきものがガラスケースで飾られている。
ガラスケースに沿って壁際に進むと、「資料室」と書かれた扉がある。奥には畳の敷かれた集会所があり、
島民たちがお茶を楽しんでいるようだ。>
島民会館内のエリアはエントランス、資料室、集会所の3つ。
*エントランス
ガラスケースの中にはごつごつした石が入っている。瓜のような形をした巨大なものから、手のひらサイズのものまで様々。
説明書きには次のように書かれている。
「ごろごろ岩……雨不足に悩まされていたこの地では、雨乞いの儀式がノロによって執り行われていた。
岩を転がすことでごろごろとなる音を雷の音にみたて、神聖な場所で祝詞を唱える。するとたちどころに雨が降るという」
ガラスケースには鍵がかかっている。開けるには[いわい荘]カウンター内の土鈴の鍵が必要。
このごろごろ石にはMPが入っている。
*資料室
奥に細長い部屋となっており、片側に本棚、もう片側に額に入った資料が飾られている。
本棚に【図書館】成功で、以下の情報が手に入る。読むのに1時間かかる。
『「琉球神道と御嶽について」
琉球神道…祖先崇拝を主とする一種のアニミズム、多神教宗教。
琉球王朝時代に宗教支配のために整備され、祭政一致の礎として各地に社【御嶽】が配置された。
1.御嶽は基本的には祈りの場であり、神の偶像は存在しないが
神の依り代として石や岩、木などを一種の偶像・象徴として崇拝することがある。
この依り代となるものをイビと呼び、各御嶽の聖性のシンボルとみなされる。
2.各地の御嶽にノロ(祝女、巫)というシャーマン的な女性がおり、雨乞いや神事のほかに
政治も行った。
このノロは婚礼を行うこともあり、処女性が厳格に定められていたわけではない。
しかし、神をその身におろすという性格上、最初期にはやはり処女性が重視されていたと考
えられ、そのせいで現在でも御嶽の重要部分には男性は立ち入ることが禁止されている。』
額入りの資料は、写真と文書の二種類がある。
写真に【目星】することで、御嶽周辺の様子とイビの聖盃の姿がわかる。
<林を抜けると岩盤が折り重なるようにできた岩場があり、天然のトンネルになっている。
トンネルをくぐると開けた空間に出て、その先に4方(床・天井・左右)をふさがれた石舞台がある。
突き当り面は壁が無いようで、バックに青空が見えている。石舞台の上にはお椀のような石がのっている>
文書に【日本語】で、御嶽についてに情報が出る。
<斎礼当御嶽(せいれーてーうたき)
洞窟状になった岩間をくぐり抜けると到達することができる、阿井島の祈りの場。
祈りが聞き届けられると、あらゆる不浄と穢れを落とし、新しい魂として生まれ変わることができるとされる。
後にこの地を訪れた民俗学者が、本土でよく見られる胎内くぐりの一種と見て「命の産道/参道」と名付けた。
石舞台上は男子の立ち入りは禁止されている。>
*集会所
島民たちがラジオを聴いたり雑談をしたりしている。
ここまででオバーがノロの末裔だという情報を取り逃している場合、会話から情報を得ることが可能。
[朝比奈診療所]
<目の前に砂浜と海、背後に林という孤島ロケーションに建つ小さな診療所。
入り口から数十歩歩くだけで眼前には美しい海が広がり、振り返れば林越しに御嶽裏の岩場も望むことができる>
初日の宿を出てすぐの段階では、朝比奈が宿に手伝いにいっているため不在。チャイムがついているが、鳴らしても反応は無い。
想定しているタイミングは夜のイベント時だが、一応この段階でも入ることができる。
中には待合に椅子た3脚と本棚がひとつあり、受付カウンターがわりの机が中ほどに設置されている。
朝比奈の個室らしき部屋へ通じるドアと、ドアのない通路が奥へ通じているのがわかる。
*本棚
雑誌などは置いておらず、医学書がほとんど。医学持ちの探索者が調べた場合は、感染症関連の本が多いことに気づいて良い。
【医学】【図書館】の組み合わせロールで、孤虫症についての情報を取得可能。
「孤虫症
芽殖孤虫症とも。白い蟲が人体に寄生し、あらゆる部位で増殖してゆく病。成虫が見つかっていないため孤虫と呼ばれる。
皮膚に脹れができ、そこを破るとおびただしい量の蟲が溢れ出るという。
症例は全世界で20人に満たないが、およそ半数が発見国日本で報告されている。
治療には体内の全ての蟲を除去する必要があるが実質不可能。
「虫ヲ殺スヨリ人ヲ殺ス方ガ易シ」とさえあり、致死率は100%と言われる」
*机の上
電話がおかれていて、「御用の方はこちらまで」と携帯電話番号がかかれている。
*机の下
ミネラルウォーターのペットボトルがたくさんあることがわかる。
*朝比奈の個室
【鍵開け】で侵入可能。キッチンや本棚、ベッドなどがある。自宅も兼ねているようだ。
やはりミネラルウォーターのボトルがたくさんある。
*奥の廊下
どうやら病室らしい。カーテンにかこまれたベッドがあり、「病人がいます お静かに」と札が下がっている。
ベッドでは全身を包帯で覆った高坂が眠っている。カーテンを開け、高坂の姿を見た者はその痛々しい姿を見ることになる。
<全身を包帯で覆った青年が横たわっていた。ところどころ血が滲んでいて施術の多さがうかがえる。
包帯の無い場所にはのど元、腕、腹部、脚の付け根…あらゆる場所に異常なふくれが出来上がっていた。
赤く熟れたように腫れているそれは、明らかに「中に何かいる」類のものだった。やわく盛り上がった皮膚が僅かに蠢いている。
非常にゆっくりだが、不規則に、ばらばらに、高坂の体の中で別の何かが棲んで活動している。
それを見た探索者は背筋や首筋が泡立つような感覚を抱くだろう。>
【SANチェック 0/1d3】。
[砂浜]
港の北部~診療所前まで続く綺麗な白浜の海岸。泳いで遊ぶことができる。
ここから30分ほど北に泳ぐと砂浜は岩場に変わる。
岩場方面まで泳ぐには技能【水泳】もしくはシュノーケルが必要。
岩場まできたところで【目星】に成功すると、海中洞窟を発見することができる。
[海中洞窟]
<御嶽を形作る岩が自然に削られてできた洞穴のようだ。渦巻く海流で濁っているかと思いきや、水は澄んでいて気持ちよく、
外から入り込む光と波が底の石や貝殻を転がしている>
実は初日探索段階からここにイビの聖盃が落ちているのだが、単に探索しただけでは見つけることができない。
※「島民会館の写真資料を見たか、島民から聖杯の詳細な描写を得ている」
「イギリスの手帳、もしくは石舞台を見た情報から聖盃が海に転落したと気づいている」の条件を満たした上で
「聖杯を探す」宣言があった場合のみ【目星】で聖盃を取得可能となる。
条件を満たしていない場合の【目星】は「アーティファクト:海の思い出」が手に入る。
「アーティファクト:海の思い出」
内側が淡いピンク色をした綺麗な貝殻。耳にあてると波の音が聞こえる気がする。
効果例:以降のセッションで、本シナリオに参加した探索者同士で友情RPをするとき、直後のダイスロールに+10の補正 など
ただの貝殻にしても良いが、こんな思わせぶりな場所なのに見つかるのがただの貝殻ひとつな訳ない…と怪しまれてしまうので、ちょっと良いものを渡すといい。
[林]
<御嶽のふもとにひろがる林。海風あたるため葉は多くなく、日中でも十分に探索できる明るさだ。>
樹種はガジュマルやニッケイを想定している。
探索者はオバーおすすめのかむいきさんを探して歩くだろう。しばらく歩くと、ひときわ太い幹を持つ、
これがおそらく「かむいきさん」だろうという木に出会う。
<それを見た探索者はぎょっとする。幹の中腹から梢の方向にかけて、触手のようなものが生えているのだ。
幹は硬質で灰緑色のすべすべとした木肌をしているが、まるで人の腕から骨をぬいたような柔らかそうなものが、
一株に10~20本群がって脇目からうにょりと垂れている。>
これに気づいた探索者の全員が【SANチェック 0/1】。
周囲を見回すと、他の木々も同じような触手におかされていることに気づくことができる。
【生物学】成功で、類似の症例があることを知っていてよい。ヤブニッケイもち病菌といい、奇妙な形に育った菌が寄生する木の病気。
ここで【目星】成功で、視界の端に白くてカサカサ動く丸いものを見つける。
さらに【追跡】成功で、追いかけて白くてぷるぷるした生き物を捕まえることができる。
大きさは五百円玉くらいで、うるうるした青い瞳がついている。見たことのない生き物だが、
まるで目玉がそのまま移動しているかのようなそれに【SANチェック 0/1】を行う。
この青い瞳の生き物はアイホートの雛。HPは1。
基本的には無害だが、つついたり圧力をかけるとかじられる。
潰すこともできるが、後にたくさん出てくる雛とあわせてPL人数×10潰すとアイホート本体が現れる。
潰した場合は何か巨大なものに睨まれるような寒気を感じる演出を入れると良い。
アイホート雛は林から出るタイミングで逃げてしまい、それ以降は追うことができない。
[斎礼当御嶽]
<林を抜けると岩盤が折り重なるようにできた岩場があり、天然のトンネルになっている。>
<トンネルをくぐると開けた空間に出た。まばらな木々と岩に囲まれたその場所は2~30人は入れるだろうかというくらいで、
頭上からは暖かい陽の光が降り注いでいる。海風が通り抜けるたびに木の葉や下草が揺れ、ざわざわと耳に心地よい音を響かせていた。
視線をその先にやると、石の祭壇のようなものが目に入るだろう。手前の広場より1メートルほど床が高く、
床・天井・左右の四方を岩でふさがれて小部屋のようになっている。しかし突き当り面は壁が無く、背後の青空が見えている。
差し込む光が岩肌を照らし、なるほどそこが神聖な場所だということが探索者たちにも理解できるだろう。>
<石舞台に近づくと、古ぼけた手書きの看板が立っているのに目が行くだろう。
そこには手書きで「祭壇上は男子の入場を禁ずる」と書かれていた。>
広間にいる時に【目星】成功で、ここは島の中で最も標高が高い場所であるということ、
そして石舞台の向こう側には地面がなく、崖から海へと続いていることがわかる。
女性が石舞台に上がったうえで【目星】を振ることで、以下のことがわかる。
*床→何もない(クリティカルや、聖杯に特に注目した宣言があった場合には「あるべきものが無い」と思う)
*天井→岩が天蓋を覆って言えるが、小さく光が見える。どうやら一部分だけ穴に岩が開いているようだ。
※天井の情報を抜いた上で【地質学】または【関連する学術技能の1/2】で、雨で穿たれた穴だということがわかる。
※床にあるべきものが無いと気づいている状態でさらに探索者から詳細を求められた場合は、
KPは「物があるべき場所のちょうど真上に穴があいている」ということを伝えて良い。
ここで男性が石舞台に上った場合はゼヒレーテの呪いが即座に発動する。
【ゼヒレーテの呪い:石の呪い(p251)パワーアップ版】
<探索者が石舞台に上った瞬間、恐ろしい寒気が身を包み、頭にイメージが直接流れ込む。
それは無数の人々の悲鳴と岩をひっかくような音のまじりあったノイズと叫び。
地面の下からカタカタとあごを鳴らしながら這い上がってくる屍……
今までこの土地で死んだ者たちの怒りが空気を震わせているように感じ、
探索者は言いようのない恐怖にとりつかれる。>
【5のSAN喪失】【アイデア自動成功】の処理(=自動発狂)を行う。
そして以降、寝るごとに【1のSAN喪失】が入る。
これは本シナリオをクリアした後も継続するが、クリア条件③を満たしてクリアした場合は解消される。
なお以前イギリスから来た観光客も、看板の日本語が読めずに石舞台へ立ち入り発狂している。
彼は石舞台の裏から海に転落し、その時に盃も一緒に海の中へ落ちてしまっている。
[畑エリア]
サトウキビが揺れている。
シナリオ進行上のイベントは無いが、他の場所でできる島民との会話はここでも可能。
特に、この時点でオバーがノロの末裔であるという情報をぬけていない場合は積極的に会話させると良い。
あらかじめ打ち合わせた時間に宿に戻り、夕食をとる。
メニューは雑穀米とお味噌汁、魚料理、根菜をつかった副菜…といった感じで、これに加えて承諾書を書いた探索者は
ヘビ肉料理が出てくる。味付けは甘辛く、食感は鶏肉に少し似ている。
探索者たちが宿に戻る時間には、朝比奈は診療所に戻っている。
オバーは配膳の後は探索者たちの近くに座り、昼探索の感想を尋ねてくる。
☆会話例:かむいきさんんの病気について
「あいさー、今年はかむいきさんもやられてしまったかね。
あれは木の病気さ。今までも雨が少ないときとかはなったことがある。
わしがちゃんと手入れできていれば……」
「けどなんくるないさー、雨の季節が始まれば悪いものはすべて流される。
雨はわしらに命をくれるし、病気や穢れの悪いものを追い出してくれるんさ」
☆会話例:イビの聖盃がないことについて
「そうらしいねえ…それがちょっと心配さ。
イビは神様の目印って教わってる、それが無いと神様が阿井島をみつけられなくて
困ってしまうんじゃないだろうか。
わしが元気なら聖盃を探しに行くんだけど、あの岩場はさすがにオバーにはきっついさー…」
「やっぱり、たくさん観光客がきたのがよくなかったのかもしれん。
お客さんたちが悪いとは言わねえけど、外から来るものは島の大事なことを知らない人もいる。
聖盃の効能に目がくらんで、持って行っちゃった人がいるのかねぇ……」
「聖盃から溢れた水が阿井島の全てを浄めてくれる・あらゆる不浄、つまり病、怪我、菌、虫…
それらを治癒し、新しいマブイ<魂>として生まれ変わらせてくれる。
そんな力を求める人がいて、聖杯は姿を消してしまったのかもしれないが……
力は持とうとして持てるものじゃない。神様が分けてくれるものさー……」
しばらく話した後、オバーは診療所に行くと言う。
☆会話例:お見舞いにいくオバー
「朝比奈くんの診療所にお見舞いに行ってくるさ。少し前にこの宿に泊まってた子なんだよ。
癒しの力があるってきいて来た島でこんなことになるなんてねぇ、本当に可哀想だよ」
探索者が尋ねれば、高坂るいという男の子で、3月ごろにいわい荘に宿泊した子だと教えてくれる。
ただし症状については「気持ちのいい話じゃないから…」と言って口をつぐむ。
【説得】【言いくるめ】に成功すると、この場で高坂るいの症状について教えてくれる。
☆会話例:高坂るいの症状について
「体の中で虫が増えていき、体が食い荒らされる病気さ。朝比奈君は孤虫症、って言ってたかな。
昔、この島で治ったといわれている病気だけんど、ほんとうに珍しくてむごい病気らしいさ。
実際、高坂君はすごく苦しそうだよ。体のあちこちが腫れて、そこに虫がたまるんだとさ」
「先生はこの島で治った患者がいるってきいて阿井島の島医者としてここに来たらしいよ」
探索者たちはオバーのお見舞いについて行ってもいいし、残る選択をしてもいい。
*PCたちが残る場合
オバーがお見舞いにもっていく水を忘れたというので、とってきてほしいと頼まれる。
台所に水筒があるから井戸から汲んできてほしいと言われ、
探索者の全員もしくは一人が井戸に向かう。
*PCたちがお見舞いについていく場合
オバーが「井戸の水は癒しの水だからお見舞いに持っていこうね」と言う。
自分は果物を用意するから探索者に汲んできてほしいと頼み、
探索者の全員もしくは一人が井戸に向かう。
宿の敷地内にある井戸で、日中探索可能な[カー]と同じものである。
落下防止の鉄格子がはめられているので、探索者はその隙間から鶴瓶を落として水を汲むことになる。
このシーンで一番最初に井戸を覗き込んだ探索者が、アイホートに契約を迫られることになる。
<あなたは鶴瓶を手にし、水を汲もうと井戸の中を覗き込んだ。
鉄格子の奥に暗く揺らめく水面がある。ゆらゆらと波打つそこを見ていると、
あなたは意識がぼんやりしてくるのを感じるだろう。
そして気づくとあなたは暗闇に一人ぽつんと立っていた。
――いや、一人ではない。目の前に、もうひとつの存在がある。
それは白く、うすぼんやりと発光する巨大な何かだった。身体は蛆虫のように醜く膨らんでおり、
たるんで皺がよっている。下部には蹄のついた肉の無い脚が寒気がするほどたくさん生えていて、
ぶよぶよとした体を支えている。
そしてあなたを見下ろすように、無数の目が――青いゼリーのような、どこかしら蜘蛛を
思い起こさせるような無数の目が、白い肉の隙間からのぞいていた。
今まで見たこともない化け物。あなたは指一本動かせず、声を上げることもできず、
本能的な恐怖と圧迫感に包まれながら、その姿をしっかりと網膜に映すことだろう。>
【SANチェック】1d6/1d20。(発狂のアイデアロールは目が覚めてから行う)
<探索者の頭の中におぞましい声が響いてくる。
目の前の怪物が話しているのだろうか。しかし口はどこにあるのだろう?
あなたははたと気づく。この怪物は私の頭の中に直接話しかけてきている…!>
<今…わたしはあなたの心の中に直接語りかけています……
契約です…わたしの雛をあなたの体の中に植え付けます……あなたは宿主となるのです……
この契約を受け入れない場合は……どうなるかわかりますね……?>※口調はイメージです
*受け入れない場合
アイホートに踏み潰されて即死。井戸のすぐ傍で顔面蒼白の死体が見つかることになる。
駆け寄ってきた他の探索者に同様の処理を行い、アイホートの宿主が決まるまで繰り返す。
*受け入れる場合
<目の前の怪物から何か白いものがわらわらと零れてくる。
ぼとり、ぼとりと見えない地面にぶつかって、それからあなたのほうにカサカサと向かってくる。
白いものは目の前の化け物を小型にしたような姿をしていた。青い目を持つ、まるで蜘蛛のような、
しかしでっぷりと太った白い球状の虫は、間もなく大挙してあなたの体を覆いつくすだろう。
痛みは無い。しかし全身で感じる。
皮膚を通り抜けて体の中へ入り込んでくる感覚。
頭蓋を通して虫が脳の中にしみいる感覚。
耳の奥で虫がうごめく。眼窩の奥で蟲が歩き回る。
――気が狂う。あなたはそう思うだろう。>
【1d6のSAN喪失】
契約を受け入れた後、探索者は汗びっしょりで井戸のそばに倒れている自分に気が付く。
この時点で身体に外傷は無く、体内に何かあるような感覚も無い。
起き上がった時点で、契約時に失ったSAN値に対応した処理(アイデアロール、発狂など)を行う。
もともと診療所に行く予定だった場合は、井戸の水を持って(持っていかなくてもいい)お見舞いへ行く。
診療所に行く予定がなかった場合も、オバーなり他の人なりが契約した探索者(以降:宿主探索者)を心配して診療所へ連れていかれる。
朝比奈診療所に到着するとオバーがチャイムを鳴らし、朝比奈が奥の自室から出てくる。
描写は「3.自由観光タイム」のものと同じで、探索も同様に行える。
ただし本棚については、朝比奈本人に質問することで内容を取得することが可能。
またオバーがいることによって朝比奈から出ない情報があるので、見舞い中のオバーの行動は探索者次第で先に帰らせるなりして良い。
探索者が到着一番に宿主探索者が倒れていたことについて朝比奈に報告しない場合、オバーが伝える。
☆会話例:オバーが宿主探索者について朝比奈に報告
「朝比奈君、大変だよ!(宿主探索者)くんが井戸の傍で倒れていたさ!」
朝比奈が迎えに出てくるが、井戸のそばで倒れていたということきくと表情を一変させる。
「体に腫れはでていないか?」
「うなされたりしないか?」
「自分が誰だかはわかるか?」
「虫に心当たりはないか?」
等のことを立て続けに尋ねてくる。(オバーがいる前では井戸とヘビについては訊かない)
嵐のような問診を終えると朝比奈は一息つき、契約探索者と高坂の類似点、そしてこの島が有名になった原因である病について話す。
ここで必ず伝えるべき内容は以下。
*高坂は井戸端で倒れていたところを一緒に旅行にきていた友人らに担がれてきた
*以降、体が腫れるようになった。切開したところ、虫が出てきた
*おそらく、高坂の症状は「芽殖孤虫症」といわれるものである
☆会話例:高坂の症状と芽殖孤虫症について
「今この奥で伏せている高坂が、君と同じように井戸のそばで倒れていた。
彼は島に滞在中からうなされるようになり、そして「発症」した……
いや、発症というべきか、孵化…成長したというべきか。彼の体は今、虫におかされている」
「この島がかつて難病を治癒したことがあるとされて有名になったのは知っているか?
その病の名前は「芽殖孤虫症」。単に孤虫症ともいう。
世界で20例もない奇病で、発症した場合の致死率は100%。
体の中に白い虫が巣食い、増殖していく。皮膚のあらゆる場所に膨れができ、
そこを破くとおびただしい量の虫が外に出てくる、不治の感染症だ」
「(宿主探索者)の状態は、高坂がここに運び込まれた時とまったく同じだ」
*治療法について尋ねると、朝比奈はわからないと首を振る。
☆会話例:芽殖孤虫症の治療法について
「現状、俺ができることは無い。この病については知られてないことが多すぎる。
今は世界のどこの病院に行ってもこの病を治す手立てはない。だから、ほとんど言い伝えの域を出ないが、
治癒したという話のあるここで彼は奇跡を待っている……毎夜命をすり減らしながらね」
*感染経路について尋ねると、朝比奈はオバーの耳を気にする。
オバーが高坂の病室へ行っているか、すでに帰宅している場合は答えてくれる。
☆会話例:芽殖孤虫症の感染経路について
「この病は治療法こそないが、感染経路はある程度割り出されている。汚染された井戸水や爬虫類の肉だ。
島民が今まで無事だから本当のことはわからないが……島民は井戸やヘビ肉を恒常的に接種してきた歴史から
この孤虫症に耐性があるのかもしれない。
だがいくら島の風習や治癒の伝説があったとしても、注意するべきものだと俺は考えている」
「ヘビ肉については、俺が見た限りでは適切な処理をしている。
ほとんどその確認で厨房に入らせてもらっているんだからな。……オバーには秘密だ」
*もし探索者から「本当に芽殖孤虫症か?」という問が何らかの裏付けをもって発せられた場合、朝比奈はいったん口を閉ざす。
ここで【説得】等に成功すると、朝比奈は胸中を語る。
ただし、オバーが一緒の場合は再度【説得】に成功するか、よほどの自体が起きない限り話すことはないだろう。
☆会話例:本当に芽殖孤虫症かについて
「本当に孤虫症か、か……わからない。俺が実際に対面した患者も高坂が初めてだ。
だが、俺はこんな虫が巣食う病だとは思っていなかった。資料で見たことのある虫じゃあなかった。
あり得ない、大きさも、増え方も、全体があり得ない。あんなのが体の中に入るなんて正気でいられるはずがない。
……本当に酷い話だ、治癒の伝説を頼って来た島でこんなことになるなんて……」
高坂の様子を見る場合は、奥の廊下へ進みカーテンをあける。
<全身を包帯で覆った青年が横たわっていた。ところどころ血が滲んでいて施術の多さがうかがえる。
包帯の無い場所にはのど元、腕、腹部、脚の付け根…あらゆる場所に異常なふくれが出来上がっていた。
赤く熟れたように腫れているそれは、明らかに「中に何かいる」類のものだ。やわく盛り上がった皮膚が僅かに蠢いている。
非常にゆっくりだが、不規則に、ばらばらに、高坂の体の中で別の何かが棲んで活動している。
それを見た探索者は背筋や首筋が泡立つような感覚を抱くだろう。>
高坂の悲惨な姿を見た探索者は【SANチェック 0/1d3】、
すでに体内に虫がいる探索者は【SANチェック 1d3/1d6】。
ここで高坂は眠っており、起こそうとしても朝比奈が止める。
朝の時間帯は調子が良いことが多いので、話を聞きたいならまた明日来るように言われる。
包帯について朝比奈は「切開して虫を取り出した痕だ」と説明する。
ここで一日目の探索は終了する。
朝比奈は宿主探索者に対し、何かあったらすぐに連絡を寄越すようにと連絡先を渡してくる。
※この時点でイビの聖盃が無くなっているという情報を抜けていなくて、かつオバーが同席していない場合、朝比奈が去り際に話す。
☆会話例:朝比奈の阿井島に対する感想
「この島は治癒の力があるというが、旅行者がこんなことになっているなんてひどい話だ。
だが、虫の病を治したという話があるのも事実だ……実際、俺はその話にひかれてここまでやってきた。
この島は今どこかがおかしい、のだと思う。俺はオカルトはあまり信じてはいないが、
……御嶽のイビがなくなったことが関わっているのか、とも思う」
夜間の探索は可能だが、全て【目星1/2】の補正が入り、
睡眠時間によっては翌日のロールの成功率を下げる等の処理を行うことをKPは告げる。
夜時間で探索に変化があるのは以下。
*[商店][みやげ屋][食堂][島民会館]
閉まっていて入ることができない。
*[港][畑][住宅地]
散策可能だが、島民との会話は発生しない。
*[カー(井戸)]
診療所のイベント以降、井戸に近づく度にKPが【シークレット:幸運】を行う。
失敗するとアイホートに契約を迫られる。
あまり契約を頻発させてもありがたみが無いので、低幸運パーティーの場合は適宜幸運×2などにして良い。
就寝後、宿主探索者には次の描写が入る。
<耳障りな音がきこえている。
カサカサカサカサと、自分の皮膚の下で別の何物かが意思を持って動いているようだった。
体中が痒いような気がして、何度も寝返りをうつだろう。
仰向けになってじっと耐えていると、突如、皮膚がぼこりと盛り上がった。
腹のところから、こぶしより一回り小さいくらいの何かが、ズリズリと、
まるで布団の中を這い動くように、皮膚の下をゆっくりゆっくり動いてくる。
それはあなたの体の正中線をとおり、腹から胸のほうへ、心臓のうえを通り、喉へ。
喉へやって来る。そんな細いところそんな大きなものがやってきたらどうなるか。
カサカサカサカサ、顔に近づくにつれて大きくなる音。気づくと皮膚の下を這いずり回っているのは一つだけではなかった。
たくさんの何かが、喉を食い破らんと上に向かってくる>
という夢をみる。【1d4のSAN喪失】【1d3のクトゥルフ神話技能獲得】
また男性で石舞台に入った探索者がいる場合は、【1のSAN喪失】
朝になると、天気予報のとおり天気はどんよりと曇り。
オバーは探索者たちの体調を気遣う。
洗顔は井戸になる。[7.夜の間]の通り、井戸に近づく度にKPが【シークレット:幸運】を行い、
失敗するとアイホートとの契約が発生する。
2日目で大きく変化する探索場所は無いが、[朝比奈診療所]のみ新規で会話イベントが発生する。
また、非常事態の探索者たちによって調査の必然性がRPされた場合はオバーがいる場合でも[いわい荘:カウンター内]の探索が可能になる。
[朝比奈診療所(2日目①)]
朝比奈が朝から在院し、高坂とも会話が可能になっている。
既に高坂の様子を見てSANチェックを行っている者はSAN値の減少は無いが、ここで初めて高坂の様子を見る探索者は処理が入る。
ただし朝の時点では容体は比較的安定しており、意識もあるため、減少値は少ない。
<全身を包帯で覆った青年が横たわっていた。ところどころ血が滲んでいて施術の多さがうかがえる。
包帯の無い場所にはのど元、腕、腹部、脚の付け根…あらゆる場所に異常なふくれが出来上がっていた。
げっそりとやつれているが、腫物のせいで輪郭が歪んでおり、まだら模様の肌と相まって奇妙でおぞましいような姿になっていた>
【SANチェック 0/1】、すでに体内に虫がいる探索者は【SANチェック 1/1d4】。
高坂は自分の身に起こったことを話してくれる。
☆会話例:高坂の身に起きたこと
「もともと僕は体が弱くて、ちょうど春休みだし、南の島にリフレッシュも兼ねて遊びにきていたんだ。
この島は病気にもいいっていうから、お参りもできたらいいな、って。
同じくいわい荘に泊まって、夜に喉が渇いたから井戸に行ったら、気づいたら倒れていた」
高坂は倒れる前は普通に島を観光しているので、当時の様子をきくこともできる。
当時はかむいきさんの触手はまだ生えていないが、イビの聖盃はすでに石舞台から失われている。
☆会話例:御嶽の様子について
「御嶽にも行ったよ。一番奥の石舞台には上がっていないけど……聖盃はその時にはもうなかったと思う。おかしいな?ってなった」
また、アイホートの夢について見覚えがあるか?の質問をした場合、高坂は顔を青ざめせる。
具合が悪くなったと言い、朝比奈のドクターストップが入る。以降高坂は目を閉じてしまい、質問には答えてくれなくなる。
2日目の10時頃になると、朝比奈から連絡が来る。
イベントを起こす時間は任意だが、なるべく診療所ではないところで起こすと良い。
連絡の内容は以下のようなもの。
*高坂の体を内側から食い破り、虫があふれ出してきた
*この島の治癒の伝説なんてとてもじゃないがあてにできない。さっさと内地に戻って病院に入るのが良い
連絡中、朝比奈も何かに襲われたり齧られたりしているような声を出しており、最後に大きな水音をたてて通話は途切れる。(海に落ちた)
☆会話例:朝比奈との通話
「おい!お前はなんともないか!」
「そうか!ならいい、だか高坂が駄目だ、……イテッ、くそ!」
「……ああ、こんな……近付けねえ。駄目だ、溢れてやがる。手に負えねぇ」
「こっちには来ないほうがいいかも知れねえ……この島の伝説は何処に行ったんだ?
悪いものを流してくれるなんて話、とても信じられん。高坂はあんたの将来の姿だ」
「早いところこの島を出て、何処か大きな病院に入れ。定期的に虫を摘出して、巧く誤魔化せ。
それが多分あんたが一番長生きできる方法だ」
「……嘘、だろ、おいっ!(水音)」
これ以降、次の探索場所へ向かう移動中に雛の群れに出会う。(アイホートの雛p203)
現れるのは1d20匹。回避×3に失敗すると齧られる。
振り払うためにはDEX×3、引きちぎる場合はロールは要らないが必ず1ダメージが入る。
放っておくと1d10分ごとにダメージ1。
1d6匹殺すことかできるが、殺した総数がPC人数×10になると激怒したアイホートが現れて全滅エンドとなる。
初めて殺したときに寒気を感じる演出などで警告すると良い。
[朝比奈診療所(2日目②)]
朝比奈から連絡をうけた後に診療所に来ると、診療所の回りにはアイホートの雛がうようよしている。
砂浜には血痕があり、足跡と共に海に続いている。
探索者が診療所の前まで来ると、ちょうど全身びしょ濡れの朝比奈が海からあがってくる。シャツが一部赤く滲んでおり、
怪我をしているということがわかるだろう。
朝比奈は高坂の様子を見るなら覚悟するように言う。まだ息はあるがもって昼ごろまで、とも伝える。
この昼に間に合うかどうかがエンド分岐のポイントのひとつとなる。
☆会話例:蟲のでてきた高坂について
「まだ息はある。だがもう手の施しようが無い……。もって昼まで、といったくらいか……」
☆会話例:朝比奈の怪我について
「大したことはない、齧られただけだ。思わず海に入ったが、気づいたら取れていた。萎んだかな」
探索者が高坂の様子をみる場合は、朝比奈もついてくる。
<診療所に入った瞬間、鉄のにおいが鼻をついた。
廊下の先にベッドが見える。高坂が横たわっていた白いベッドは、真っ赤に染まってぐずぐずと鈍く光っていた。
体に巻かれた包帯は千切れ、床に垂れさがりながらぽたぽたと雫を垂らしているのが離れたところからでも見える。
白い虫の流れに逆らいながら、探索者たちはベッドに近づく。
果たしてそこには、体中にかっぽりと口をあけた高坂の姿があった。腹に、腕に、腿に、頬に、赤くみずみずしい口が開いている。
口はまだかすかに溢れてくる血で渇くことがなく、てらてらと光りながら白い虫を吐き出していた。
ぼたり、ぼちゃり、と、青い目を持つ白い虫が生まれてくる。まるで宿主の命を吸い取ったかのように膨らんだ虫は、
呆然と立ち尽くす探索者の足の間を通り、これから島中へ拡がっていくのだろう。>
【SANチェック 1d3/1d6】
朝比奈はすでに見ているのでSANチェックは発生しない。
この時点での高坂のHPは1。
朝比奈診療所(2日目②)のイベントが終わった時点で、雨が降り始める。
雨の強さは髪がしっとりとする程度の小雨で、ほとんど霧やもやと変わらない弱いものである。
これからエンディングにかけて、探索者は島と高坂、そして自分自身を救うために聖盃を探すこととなる。
ベストエンドでクリアする条件は下記の4つ全てを満たすこと。
①イビの聖盃を発見し、石舞台に戻す
②雨を石舞台の聖盃で受け、そこからあふれた水を島中に巡らせる
③聖盃から受けた水を宿主探索者が飲む
④聖盃から受けた水を高坂にも飲ませる
どれか一部分だけを満たす場合や、一つも満たさずに帰宅する場合はそれぞれ別エンドとなる。
①イビの聖盃を発見し、石舞台に戻すために
聖盃は御嶽の真下にある[海中洞窟]の中に落ちている。
これは探索によって拾った情報を組みあわせて推理し、【海中洞窟で聖盃を探す目星】の宣言で取得可能になる。
ヒント
・御嶽の石舞台は突き当りの壁が無く、真下の崖と海が見えていた(探索:[御嶽・石舞台にて])
・癒しの水を求めたイギリス人が海へ落下、診療所付近に流れ着いた(イギリス人の手帳、オバーや朝比奈の証言)
・水が澄んでいて気持ちが良い([海中洞窟]の描写/2日目でも変える必要は無い)
・朝比奈が海に入ったことにより雛が消滅
必要があれば、診療所前の砂浜から【目星】で、以下のような情報を渡しても良い。
<雨で薄暗く濁って見える海水だが、洞窟付近だけ明らかに色が違う。
太陽の弱いこの日ですら綺麗な青をしており、美しく澄んだ色の海が見える>
聖盃はくぼみのある椀のような石で、ひんやりと冷たい。
宿主探索者は聖盃に触れると【HP-1】。
【地質学】【知識】成功で、穴の形状から水滴によって穿たれたのだとわかる。
これを石舞台の上に戻すことができれば、①の条件はクリアとなる。
②雨を石舞台の聖盃で受け、そこからあふれた水を島中に巡らせるために
この時点での雨では弱すぎて聖盃から水を溢れさせるのは不可能。
雨を強くさせるために、ノロの末裔であるオバーに呪文「天候を変える」(p.273)を使用してもらう必要がある。
ヒント
・オバーがノロの末裔
・島民会館資料
・島民会館エントランス 「ごろごろ石」展示説明文
島全体に聖盃の水を巡らせるためには御嶽で詠唱する必要があるが、オバーは腰が悪いので一人では御嶽に上ることができない。
誰かがオバーを背負って御嶽まで連れていかなくてはならない。
また、呪文「天候を変える」はMP消費が大きいので補助アイテム(島民会館のごろごろ石)が必要になる。
<オバーが石舞台にのぼり、聖盃の前に膝をつく。手の中で石をごろごろすり合わせると、まるで雷のような音が響いた。
やがてその皺くちゃの唇から呪文が紡ぎだされ、辺りに広がっていく。
ノロの雨乞いが始まった。オバーは真剣な顔で呪文を唱える。汗がその額に滲むのを探索者は見るだろう。
ぽたり、と雨粒を頬に感じた。頭上を見ると、曇天の空により黒ずんだ雲が湧き起っていた。
それは阿井島の上空だけを覆うようにまるく広がり、むくむくと膨らんでいく。間もなく成長した雨雲は、恵みの雨を――
――待ち望んだ癒しの水を、島全体に注ぎはじめた。
石舞台の天井の穴から、雨水が漏斗を伝うように垂れてくる。一滴一滴、神秘的に感じるほど静かに。雫は真下の聖盃へと溜まっていく。
やがて水は聖盃からあふれ、石舞台からも溢れ、探索者たちのいる広間へとたどり着く。じわりと土に滲み込み、島の土地へと行き渡る。
……見届けた探索者たちは感じるだろう。これで、阿井島は救われたのだと。聖なる盃は元通りになり、癒しの水は島中を巡る。
もう、あの虫の怪物が井戸に迷い込むことも無いのだと。>
③聖盃から受けた水を宿主探索者が飲むために
④聖盃から受けた水を高坂に飲ませるために
これは②の儀式後、聖盃にたまっている水を飲めばよい。水筒等ですくって持っていくでもOK。
また、ここをクリアするだけならば御嶽で儀式を行う必要は無い。
聖盃から得た水は、呪文「治癒」(p.272)と同等の効果があるためHPを失っていた探索者は水を飲むことで回復する。
またゼヒレーテの力により、本シナリオ以前に得たバッドステータス(持病、POWの喪失など)をKPの認める限りで治癒させて良い。
①を満たすことにより、ひとまず阿井島は救われる。なぜならこの場で雨を降らせなくても、すぐに沖縄の梅雨入りとなって
雨水が聖盃に満ちるからである。(追加報酬要件)
だが、その場合は高坂を救うことはできず、探索者も旅程通り帰るのならば一生蟲に体を食い荒らされる苦痛を受け続ける
ことになるだろう。アイホートの雛も島にひろがり、島民に多大な恐怖を与えることになる。
②を満たすことにより、直ちに阿井島全体に浄化の水が行き渡る。アイホートの雛は島から直ちに駆逐され、島民への被害も無い。
(追加報酬要件)
③を満たすことにより、探索者の体内からアイホートの雛がいなくなる。また、就寝時のSANチェックや過去のステータスダメージも
解除して良い。
④を満たすことにより、高坂の命が救われる。(追加報酬要件)
この項目だけ時間制限がある。朝比奈が連絡した通り、二日目の昼である。
厳密な時間は設定していないが、探索者が旅程通り帰れる時間でシナリオクリアができたならば、高坂は生存にして良い。
☆エンディング例:①②③④全て満たした場合
<雨は30分程度でもとの降雨量に戻り、舟を出すのも問題はなさそうだ。
探索者たちは思いがけずも島の文化に深く触れたことにより、阿井島に対して奇妙な愛着を持っているかもしれない。
だが、探索者たちには日常が待っている。
高坂は体の物理的な傷を癒すためもう少しこの島に滞在するとのことだ。傷は残っているが、晴れやかな顔で礼を言った高坂のことを
思い返し、探索者たちは彼を救えたことにも安堵するだろう。
帰路で、ラジオが沖縄の梅雨入り宣言を報道しているのを聞く。
この島はもう大丈夫だ。そして自分たちも。
こうして阿井島での冒険は終わりを迎えるのだった。>
☆エンディング例:①②③④どれも満たさず、朝比奈に言われるまま帰った場合
<(宿主探索者)は阿井島から戻った後、すぐに大きな病院へ入院することとなった。
あの恐ろしい体験をした島が、今どうなっているのかはわからない。
あの白い虫が地面を覆っていた島の、島民が今生きているのかもわからない。
だが、仕方なかったのだ。自分が生き延びるためには、こうして逃げ帰るしか方法が無かった。皮膚の下で蠢く正体不明の虫に
怯えながら、時折皮膚を切り裂いて虫を摘出しながら、だましだまし生きていくしか方法が無かったのだ。
(宿主探索者)は鏡を見る。包帯でおおわれ、腫物で輪郭の歪んだ顔がこちらを見ていた。
不意に腫物が、自分の意志とは関係なく動く。頬が歪み、持ちあがる。
いびつに笑った自分の顔が鏡の向こうから見返してきていた。カサカサという音を脳の奥で聞いた気がした。>
【SAN回復】
シナリオクリア報酬 1d6
聖盃を元に戻した① 1d3
島を救った② 1d3
高坂を救った④ 1d6
雛を植え付けられた 3d6
【クトゥルフ神話技能】
雛を植え付けられた +5
アイホートの雛を見た +1
ノロの儀式に遭遇した +1
*阿井島(あいじま)
御嶽とその周囲の集落から形成される小さな南の島。とある難病(孤虫症)の患者が唯一その病を治癒した地として一部に知られている。
そのことから近年パワースポット・ヒーリングスポットとして注目を浴びはじめ、
梅雨明けのシーズン期からは宿の予約がとれなくなる程になった。
琉球王朝期にその一政区として編入されており、琉球王朝の国家宗教である琉球神道の社ともいうべき御嶽が北部に存在している。
ノロ(カンナギ)は現在は途絶えているが、その血を受け継いだものが宿を運営している。
島国であるため水不足に悩まされた歴史が長く、井戸や水場に対する信仰が強いのは他の沖縄諸島と同じ。
ヘビ食を行う文化があり、宿ではヘビを食べることができる。ただし説明書にサインが要る。
*斎礼当御嶽(せいれーてうたき)
阿井島の祈りの場。
祈りが聞き届けられると、あらゆる不浄と穢れを落とし、新しい魂として生まれ変わることができるとされる。
構造としては集落に近いほうから順に(林)→(洞窟状の岩場)→(広間)→(石舞台)。
石舞台は男子禁制。かつてはここにイビの聖盃が置かれており、ノロが祭祀を執り行っていた。
広間は一般島民が祈り捧げる場であり、ここまでなら一般観光客も自由に立ち入り可能。
洞窟状の岩場は別名「命の産道/参道」と呼ばれる。国内でよく見られる胎内くぐりの一種とも見られるが、これが土着の伝承なのか、
後にこの島を訪れた者が内地の胎内くぐりの形式に関連付けたのかは定かではない。
*イビの聖盃(さかじち)
石舞台の中央に安置されていた石の盃。
斎礼戸御嶽の聖性のシンボル(=イビ)であり、聖盃から溢れた水が阿井島の全てを浄めてくれるという言い伝えがある。
元は単なる石であったようだが、御嶽の上部から滴る雨水に穿たれて盃のかたちになった。
*かむいきさん
御嶽周りの林に生えているなかで一等立派で大きな木。オバーが大切にしている。
緑灰色のすべすべした幹、人の手のひらほどのサイズの光沢がある葉を持つ、クスノキ(ニッケイ)の仲間。
毎年手入れしていたオバーが腰をやられてしまったのと、島をめぐる雨水から浄化の力が失われてしまったため、
今年は周囲の木々と共にもち病にやられてしまった。(参考:ヤブニッケイもち病菌)
*孤虫症
芽殖孤虫症とも。白い蟲が人体に寄生し、あらゆる部位で増殖してゆく病。成虫が見つかっていないため孤虫と呼ばれる。
皮膚に脹れができ、そこを破るとおびただしい量の蟲が溢れ出るという。
症例は全世界で20人に満たないが、およそ半数が発見国日本で報告されている。
治療には体内の全ての蟲を除去する必要があるが実質不可能。
「虫ヲ殺スヨリ人ヲ殺ス方ガ易シ」とさえあり、致死率は100%と言われるが、阿井島ではこれを治癒したという噂がある。
*カー
井戸のこと。
純水を得るのが困難な地方において、井戸は水神様の宿る聖なる場所である。
埋めると祟りがあるとさえ言われており、この島の住人ももちろん、井戸を非常に大切にしている。
井戸を埋めるときには鏡四枚と共に土をいれ、祝詞と供え物を捧げる。
*ヘビ食
阿井島のみならず、日本全国で散見される文化。
もともとは、水の流れる様に似たヘビを食べることにより、水の流れを体内に呼び込もうとする呪術的意図があったとされる。
孤虫症の患者が病を治癒したという噂が出始める(聖盃から治癒の水を得た)
↓
ヒーリングスポットとして有名になる
↓
朝比奈が島医者としてやってくる
↓
オバーが腰を痛めてしまう
↓
外国(イギリス)からの観光客。
この人は別に狂信者でもなんでもなく、単に持病の治癒に旅にきただけである。
ただ島の風習についてあまりよくわかっていなかったので男性ながら石舞台に潜入、聖杯を手にしてしまう。
結果としてゼヒレーテの石の呪いが発動し、発狂。盃と共に海に落ちてしまう。
聖杯に雨があたらなくなり、水の聖性が落ちる。
↓
島の土壌の聖性が弱る
1.林に治癒の水がいかなくなり、かむいきさんが病菌にやられる
2.土地の聖性が弱まり、井戸にアイホートが門をつくってしまう
↓
高坂るいがアイホートに契約を迫られ、体内に雛を埋め込まれる(3月ごろ)
↓
探索者たちが島にやってくる
本シナリオを用いて遊ぶ・改変して遊ぶ・動画作成等の連絡は不要ですが、コメント等で教えてもらえると喜びます。
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