部活も引退し進路も決まっているある3年の秋の日。最後の文化祭を控えたある放課後のこと、貴方達は普段開いていない屋上への扉が開いていたことに気づく。
好奇心に釣られて入るとそこには先客がいた。貴方達と同じ制服を着た黒髪の男子生徒。小柄な体格に落ち着いた眼差しが印象に残る。
そんな彼との青春譚。
その始まりは一つの約束から綴られる。
「僕のことはきっと忘れてね」
儚く鮮やかな秋の盛り。空を包んで宙に散りゆく紅はどんな夢を描くだろうか。
秋の幽玄
注意事項
本シナリオは以下の描写・要素を含みます
シナリオを回される方は参加者にお知らせの上よろしくお願いします
・いじめや自殺にまつわる描写(一部かつ真相につながりうる)
・未成年の死
・NPCとの強い関係性の構築
また、本シナリオはRPや描写が長く重くなっております。
基本情報(推奨技能、想定時間、難易度など)
推奨技能
・探索系技能 ([目星]、[聞き耳]、[図書館])
・[心理学]、交渉系技能 ([言いくるめ]、[信頼]、[説得])
想定時間:6〜8時間(RPによって大幅に変化)
ロスト率:ほぼ事故なし(エンドのみあり)
あらすじ
部活も引退し進路も決まっているある3年の秋の日。最後の文化祭を控えたある放課後のこと、貴方達は普段開いていない屋上への扉が開いていたことに気づく。
好奇心に釣られて入るとそこには先客がいた。貴方達と同じ制服を着た黒髪の男子生徒。小柄な体格に落ち着いた眼差しが印象に残る。
そんな彼との青春譚。
その始まりは一つの約束から綴られる。
「僕のことはきっと忘れてね」
儚く鮮やかな秋の盛り。空を包んで宙に散りゆく紅はどんな夢を描くだろうか。
共通HO
貴方達は仲のいい高校3年生のグループだ。進路は決まっており部活も引退ずみ。残った青春の猶予を楽しんでいる。
NPC
NPC:菊一 佳実(きくいち かさね)
能力値
/STR:10/CON:8/SIZ:8/DEX:14/
/INT:11/EDU:12/POW:17/APP:10/
技能値
[回避]50.[図書館]55.[目星]50.[聞き耳]60.[精神分析]65.
[闇の腕]90.
[闇の腕](最後のチェイスのみ使う)本来のダメージは2d6
享年17歳の男子高校生の幽霊。いじめと虐待を受けており、当時は小学生の頃からどこにも居場所がなく孤独にすごしていた。しかし、それでもいつかは友ができて、楽しく過ごすことができると夢を抱いており、前向きに生きていた。
そんなある日の放課後。文化祭の前日に屋上で過ごしていると、不幸にも誤って落ちてしまう。いじめと保護者の対応から自殺と早々に片付けられてしまった彼は、その後10年間、自覚しない未練を抱いて現世を彷徨うことになる。
そんなある日に探索者たちと出会い、青春のロスタイムを過ごしてく。
優しく友達思い。要領がよく人当たりのいい性格だ。特出すべきはどこまで追い付かれても決して折れることのなかった精神力であり、小学時代から続くいじめや虐待にも、その後10年に及ぶ幽霊としての時間にもほとんど歪むことなく過ごしたほどである。
自身の青春への未練を自覚した時も、探索者たちがしっかりと残ることを選ばない限りは現実へと帰そうとしており、悪霊化しても理性を保っている。
生まれや育ちが違えば、多くの人に愛されながら、多くの人たちを導く存在になっていたかもしれない。
真相
このシナリオは現実世界と幻世界で起きていることが複雑なためそれぞれの理解が必要とされます。
全容
進路も決まり部活も引退し、学園祭を少し先に控えた探索者たち。ある日の放課後に普段は閉じられている屋上への階段が解放されていることに気づきその先へ進む。そこには見覚えのない男子生徒:菊一佳実がおり、自然とその生徒と放課後を過ごしながら仲良くなっていく。
しかしその正体は10年前に死んでしまった幽霊。彼はいじめによって学校で、ネグレクト状態であったために家でも居場所がなかった。
それでも文化祭を楽しみにしながら強く生きていた彼だが、屋上から足を滑らせて死んでしまう。世間は自殺と断定し、それ以上調査されることはなかった。
そんな彼は楽しい学校生活を無意識に求めて未練として抱いてしまう。それから10年間、屋上が立ち入り禁止になって、近づくものが極端に減ったため誰にも発見されず、しかし恨みも持っていないので何も起こさず、ただただ時間を過ごしていた。
そんなある日の文化祭。現実世界では、文化祭の日に探索者たちと仲良くなり、彼らと1日だけだが楽しい青春を送ることができた。少しずつ未練を晴らし、思い出に残った1日の最後の瞬間。
菊一佳実と別れた探索者たちは彼の目の前でスピード違反のトラックに引かれて意識不明の重体に陥ってしまう。どうにか、1日限りの友人を引き止めようと幻世界を構築し、現世に帰そうと菊一佳実は考える。
しかし、心の底では永遠に探索者たちと共に時間を過ごしたいと考えてしまっており、それが夢に反映されたことで屋上への扉が解放。探索者たちが紛れ込むことで幻世界での偽物の青春が始まる。
このシナリオは夢の世界・幻世界での出来事であり、その記憶を忘却しなければ現世に帰ることはできない。我慢できずに青春を謳歌してしまった菊一佳実は、幻世界での学園祭の直前に姿を消す。
探索者たちは彼を追うために調査をかさね、彼の正体、そして世界の真実へと辿り着く。
しかし、そこで迫られるのは、忘却か死かの2択だった。
幻世界
菊一佳実と探索者たちの記憶と想像で構成された幻の世界。眠っている時に見る夢のような性質を持っており、菊一佳実や探索者の願望や予測を反映する。また夢の中ではその辻褄が反映されるように現実での記憶が一部なくなっている。もちろん違和感やデジャブは感じる。
実際はあの世とこの世をメインとした世界の狭間であり、ここでの要素を持ったまま現実へ帰ることはできない。
同時に、自分で立ち去れなければ追い出されることもなく、世界としては安定している。《エンド2》ではそのまま探索者や菊一佳実が完全に悪霊に成り下がるまでそこで青春を永遠と続けることとなる。
現実世界
最後の文化祭に一生懸命に用意した探索者たち。その当日を含めて満足いく結果に終わり、青春を謳歌していた。そんな彼は話しながら歩き回っていると偶然屋上へと続く階段の前まで辿り着く。そこで偶然菊一佳実と出会い、彼と共に文化祭の1日を楽しむが、その夜に悲惨な事故に遭ってしまう。
最後の別れ際に猛スピードで突っ込んできたトラックに轢かれてしまい生死の間を彷徨うことになる。そんな彼らをどうにか救うために菊一佳実は幻の世界へと彼らを誘う。
シナリオ本文
一行あきのところでPRが入る想定です
{導入}
文化祭を月末に控えた秋の日の残暑の香る放課後のこと。貴方達は3年生として最後の文化祭を楽しみにしながら、部活も無くなった時間を持て余していた。そのため、ここ最近はいつもよりもみんなで共にいることが多く、今日も誰からと言わずとも自然と集まって学校内を歩いていた。校内は部活や委員会、文化祭準備で残っている生徒が多くかなり賑やかで、行くあてもなく歩き回っていてものんびり腰を落ち着かせられる場所はあまりなさそうだ。
そんなふうに歩き回りながら雑談を続ける。しばらくそのまま歩いていくと、先程の賑やかさに比べて周りが静かになっていると気づくだろう。どうやら校舎の端側の方まで歩いてきたようで、部活や委員会で使われる教室ではない倉庫がわりの空き教室ほどしかこのあたりにはなさそうだ。
[目星、アイデア]
〈成功〉少し先に誰も使っていない屋上への階段を見つける([アイデア]の場合はその存在を思い出す)
この先に屋上への扉に続く階段があるとわかる。屋上への鍵は普段しまっており入ることはできない。そうでなくても校舎の端っこからしか通じず、近くには立ち寄る場所もないため、そもそも近づこうとすることも滅多にないような場所だ。屋上には行けないにしても、その珍しさはこの校内散歩の終点にしてはちょうど良い場所であり、貴方達はそのまま向かうことになるだろう。
しかし、階段の先は予想に反していた。普段であれば立ち入り禁止の看板と共に鍵がかかっているため開くことはないが、看板はなく、鍵どころか扉も開きかかっていた。看板もないためもしかしたら立ち入り禁止ではなくなったのかもしれない。新しい場所、普段入れない場所が開いているという事実が好奇心をくすぐる。加えて、隙間から優しく風が吹いており、涼みながら時間を過ごすにはちょうどいいかもしれないと考えるだろう。
扉は思ったよりも軽く、簡単に開いた。廊下や外では暑さを感じるかもしれない体感温度も、ここでは心地よくそよぐ風が調整してくれる。空はほんのりと赤く染まっており、まだ明るさを保ってはいるが放課後の終わりが近いことを教えてくれるだろう。入り口から見えるグラウンドには運動部が点々と活動しているのがわかり、時折彼らの声がここまで届く。
そんな秋の光景に溶け込むように彼はそこにいた。
貴方達と同じ制服を着て、遠くを見つめる黒髪の男子生徒。小柄な体格と合っていない落ち着いた眼差しが印象に残るだろう。
そんな先客だが、貴方達が入ってきたことに気づくと目を少し見開き驚いた様子を見せる。
[聞き耳]〈成功〉以下のセリフが聞こえる
「え…。どうして」
彼はそのまま貴方達に話しかける。
「初めまして、僕は3年の菊一だ。菊一佳実。みんなは?」
同級生を名乗る彼だが貴方達に見覚えはない。とはいえ、学年に10クラス。計400人以上が所属する高校ではそれも珍しいことではないので特別以外に感じることはないだろう。クラスについて聞いても貴方達のクラスとは接点のなさそうな回答をする。
(ここで探索者との会話RPとなります。以降想定される質問や発言に対する返答は『・』で整理しておきます。菊一佳実は探索者のことを覚えていますし、また仲良くしたいなとも考えています。)
・なぜここにいるのか
「ここは落ち着くからよく来るんだ。あんまり人が来ることもないし。君たちこそ何か用でも合ったの?もし邪魔になりそうなら別のとこいくよ」
・ここは立ち入り禁止だったのでは
「そうなの?鍵もなかったし看板とかもなかったよ。今は違うんじゃないかな」
・何していたのか
「何してた…。ただぼーっとのんびりしてたかな?みんなもそんな感じじゃないの?」
(以降はそのまま雑談だったり追加質問だったり。)
としばらくすると鐘を打つチャイムが聞こえてくる。どうやら放課後も終わるようで空は茜色に染まっていた。そろそろ下校の準備をすることになるだろう。そのような会話をしていると菊一佳実が意を決したかのように貴方達に声をかける。(ここは頭では適していないとわかっているけどどうしても友達になりたいという矛盾の結果です。罰が悪そうに少し苦しそうにRPしてください)
「えっとさ。迷惑じゃなければさ、僕一人でずっとここにいるのも退屈なんだ。それでみんなが良ければなんだけど…」
言い切る前に深く息を吸って続ける。
「また明日もここに来てくれない?」
《了承の場合》
貴方達が彼の提案を受け入れると嬉しそうに、安心したように微笑むだろう。
「そっかぁ!ありがとう、明日が今から楽しみになってきたよ」
ニコニコと微笑む彼からは、先ほどの雰囲気や3年生という印象よりは幼く感じられる。同時に心の底から喜んでいると察することができた。
次の日の約束を取り決め終わるとそのまま帰ることになるだろう。空はどんどんと暗くなっておりもうしばらくすれば夜と言って差し支えのないくらいになりそうだ。また、校舎の中からも残っている生徒に帰宅を呼びかける生徒指導の声が聞こえてくる。
貴方達はいそいそとその場を立ち去ることになるだろう。
・一緒に帰ろうなどの提案をすると
「ごめんよ。ちょっと職員室に行かなきゃなんだ。待たせてしまうからさ、一緒にはやめておくよ。」
探索者の去り際、扉の閉まる間際に貴方達の背中越しに声をかける。その声は確かに貴方達に向けられたものだがどこか独白のようにも聞こえた。
「またね。みんなと遊べるのが今から楽しみだよ。でも一つだけ約束だ」
「僕のことはきっと忘れてね」
溶け込むように届く声。一方的だが確かに告げられた約束に返事をしようにもすでに鉄の扉は閉まり切っていた。
(問いただそうと屋上を開けるとそこには誰もいなかった。)
《拒否の場合》(途中で了承することも可能)
貴方達が彼の提案を拒否すると、ひどく悲しそうに、またそれを誤魔化すように微笑む。
「そ、そうだよね。無理を言ったみたいでごめん」
力なく貼り付ける彼の笑みには慣れ切ったような自然さと同時にそれでも隠し切ることのできない異常なほどの落胆が見てとれた。
その光景に断った側である貴方達も暗い気持ちを感じるだろう。
しばらく心地の良くない沈黙が流れる。必死にどうにか誤魔化そうと頭を捻っているといつの間にか、空が黒くなっていることに気付く。
「もう暗くなってしまったし先に帰るといいよ。変なことを言ってしまってごめんね」
貴方達はその場から逃げるように、夜闇から隠れるように立ち去ることになる。
屋上の扉から全員が出ると、一際強い風が吹いたようで勢いよく扉が閉まった。
戻ろうにも入った時が嘘のように重く、動く気配はない。
(本当に向かわない場合はそのまま調査パートとなります。きっかけとして次の日は屋上が閉まっているなどが望ましいです)
(ここで導入終了です。)
{翌日}
約束の次の放課後。その日の終わりの授業はホームルームだった。最後の高校生活に残された少しの青春を彩る文化祭についての会議。出し物については夏前に決まっており、残り一月を切った今日はその進捗確認が主だった。
といっても3回目の文化祭。準備は順調すぎるほどで貴方達のやるべき仕事もクラス全体で手伝ったほうがいい仕事も特に残っていなかった。
そのため会議は予定よりかなり早く終わり、いつもよりもずっと長い放課後が訪れた。
RPなどの自由行動(屋上に向かうことで進展)
(下記にあるように多くの生徒は文化祭準備をしており一部の生徒のみが自由に過ごしています。その辺りを意識してPLに答えると、まだ菊一佳実の探索はほぼ進まないと伝わるでしょう。PLがそれ以外を望んだ場合はできる限り答えてください。判定も緩めで構いません)
まだ空は青く、少し日が傾いてきた頃。まだ文化祭準備のための授業時間であるため多くの生徒が残っており、各々の作業をしている。同時に貴方達と同じく時間を持て余した生徒もちらほらと見える。昨日よりもかなり賑やかな校舎内だが、やはり屋上への階段に近づくにつれてそれも遠くのものとなっていった。
自分たちの話し声と足音がよく聞こえる廊下。遠くから時折聞こえる喧騒を背にして階段を登る。すでに扉は開いており隙間からは青空が見えた。
屋上に入ると菊一佳実がすでに待っていた。昨日と同じく目を細めて遠くをただ眺めているだけで、まるで背景の一部かのようにその景色に馴染んでいた。貴方達が訪れたことに気づくと穏やかな笑みを浮かべて近づいてくる。
[目星]〈成功〉一瞬だけ罰の悪そうな顔を浮かべたのが見える
「おはようみんな。来てくれてありがとう」
(幻世界においても菊一佳実は学校から出ることはできません。彼にとっても夢のような感覚なので、気づいたらここで先に待っていたという感覚です。それも彼が先にここで待ちたかったと望んだからです)
・先についていること、早いことについて
「つい楽しみでさ。みんなも早いね。まだだと思ってたよ」
・約束の発言について尋ねる
「えっと…?今日遊ぼうねって約束じゃなくて?」などととぼけ通す。
・昨日屋上から消えたこと、あの後どう行動したか
「みんなを送ってから荷物まとめてそのまま帰ったよ」
消えたように見えたのは荷物を片付けていてたまたま視界に入らなかった、のように言い訳する。
しばらく屋上で話をしていると菊一佳実から提案を受ける。
「せっかくみんなで集まれたんだ。それにまだ時間も早い。何かして遊ばない?」
彼の提案を受けて共に時間を過ごすことになる。幸いなことに今の時間はかなり自由が効くため大体のことはできるだろう。しかし、ゲームや手持ちの遊具で遊ぼうにも彼のカバンはほとんど空っぽで共に遊ぶことはできなさそうだとわかる。
「あんまりおもちゃとかゲーム持ってなくてさ。スマホもないんだよね」
(何かPLが提案すればそこで遊ぶことになるでしょう。特に提案がなければ、PLの提案する遊びが終わったら以下の描写となります)
キリよく落ち着いたところで菊一佳実が遊び場を提案する。
or
みんなで考えていると、菊一佳実が遊び場を提案する。
「そうだ。普段は自由に使えないけど今なら人もいないしさ。体育館行かない?」
体育の授業や放課後の部活でしか使うことはできない体育館だが、特段鍵をかけられているわけではない。授業時間中は当然として、放課後は運動部が使っているためそこで遊ぶことは今まであまりなかっただけだが、いつもは使えない遊び場に心が躍ることだろう。
「運動が得意ってわけじゃないけど、体育館の貸切なんて夢みたいだしさ」
貴方達はそのまま体育館へ向かうことになるだろう。
校舎から屋根のついた連絡通路を通って体育館に通じる。ここを通る時は数十人で行くことが多いので貴方達しかいない静かな通り道にいつもと違った高揚感を覚える。校舎から離れていっているため、やはりここでも喧騒が遠くなっていくだろう。
体育館用のシューズに履き替えて、少し重ためな鉄の扉を動かす。鍵はかかっておらず、準備で誰かが使ってもいいようにか、あかりと空調はついていた。ほんのりと涼やかな空気が漂っており、暑い中で動くことにはならなそうだ。
準備室や体育館の教師は留守にしているようで倉庫の鍵も開いていた。
「準備したらなんでもできそうだよ。みんなは何がしたい?」
基本的になんでもできます。自由にPLの気が済むまでRPを楽しませてあげてください。菊一佳実もKPCのように積極的に会話に参加することが望ましいです。
困った時用に、以下にバレーボールのCOCルールを用意しました。必ず使う必要はありません。
〔バレーボールのルール〕
【サーブについて】⇨レシーブ、ブロックへ
・通常のサーブは[投擲2][DEX5]で判定します。この場合は〈ファンブル〉以外は入りはしますが返されやすいです。
・ジャンプサーブ、速いサーブは[跳躍][投擲]で判定します。〈失敗〉でアウトですが返されづらいです
【レシーブについて】
・レシーブは[DEX5]で判定します。ジャンプサーブ・速いサーブ・ブロック・アタックについては[DEXX]のXが減っていきます。⇨味方レシーブ、相手レシーブ、トスへ
【トス、アタックについて】
・トスは[DEX4]で判定します。〈失敗〉するとアタックにつながらず、レシーブで返すことになります。〈成功〉するとアタックにつながります
・アタックは[跳躍][投擲][STRX]で判定します。どの機能を振ってもいくつ振っても構いません⇨相手レシーブ、ブロックへ
【アタックvsブロックについて】
・アタックに対するブロックはアタッカーの判定の成功状況で判定が難しくなります。
・ブロックは[跳躍]に成功した上で[SIZ*X]の判定が必要です。⇨相手レシーブへ
しばらく遊んでいると授業時間の終了を知らせるチャイムの音が聞こえてくる。どうやら放課後に入るようで、体育館を使う生徒が来るだろう。部活の邪魔をするわけにも行かないので貴方達は後片付けを済ませてその場を後にすることとなる。
手早く片付けながらお互いの健闘を讃え合い、和気藹々と言葉をかわす。
「楽しかったね。こんなに体育館を使って遊んだのは初めてだよ」
[目星]〈成功〉そこそこ動いて暑いはずだが菊一佳実は上着を脱ぐ様子を見せない
・上着について触れる、暑くないかと問う
「あー…。僕昔から寒がりでさ。ちょうどいいくらいだよ」
片付けを終え、体育館から出る。ちょうど運動部と思われる生徒達が各々道具を持って連絡通路を渡っているのが見えた。先ほどとは打って変わって賑やかな連絡通路を通って校舎へと戻ることとなる。
[聞き耳]〈スペシャル〉誰かがくすくすと笑った声が聞こえた
校舎に戻った貴方達は、次は何をしようかと話しながら、運動で熱を帯びた体を冷ますことになるだろう。
(何かPLが提案すればそこで遊ぶことになるでしょう。特に提案がなければ、PLの提案する遊びが終わったら以下の描写となります)
キリよく落ち着いたところで菊一佳実が話そうとする
or
みんなで考えていると、菊一佳実が話そうとする
「みんなはさ、部活とか何かしていた?僕はやったことないから気になってさ」
所属している部活での思い出話や活動内容について話すと菊一佳実は興味深そうに話を聞くだろう。そのうち懐かしく感じるか、あるいは菊一佳実が提案するか、探索者達は引退した部活の活動区間へ遊びにいくことになるだろう。
どんな部活であれ、高校生活の青春を捧げた部活。今や後輩に受け継いだ空間だが貴方達を拒否することはない。また、久しぶりに部室へ顔を出すのも悪くないと考えて貴方達は向かうことになる。
(ここで、部活所属者がいない場合は委員会や生徒会、それもなければ他の生徒がいて、探索者達が何度か訪れていたコミュニティへ誘導してください。その場合は上記の描写も変更することを勧めます)
部室に近づくにつれて喧騒も大きくなる。活動中か、はたまた何か雑談でもしているのか。どちらにせよ青春真っ只中に後輩の1ページに、引退した先輩が遊びに来たというのは悪くないスパイスになるだろう。聞こえてくる声やその雰囲気に懐かしさと変な緊張を感じる。みんなへの紹介の途中で部室への扉の前にたどり着く。一息を置いてノックすると、中からは顧問の教師、それから突然の来客にざわつく後輩達の声が聞こえてくる。
しかし、それも貴方の来訪だとわかると驚きと歓迎の一色に染まり、嬉しそうに迎えてくれることとなる。
(探索者と菊一佳実以外の人間は全て彼らの夢の中でできている幻です。実体を持っていますし会話も交流も可能ですが、その行動は、意識的あるいは無意識的に探索者と菊一佳実の望む通りになります。これは望んでなくても予想すればその通りになります。
例)本当は遊びたくとも、探索者が部活の内容としてすぐに練習や他の作業で忙しいとわかっているため、少しの交流しかできないと考えていればその通りになる、といった具合です。ただし、何を想定しているか一つ一つ想定する必要はなく、イレギュラーの少ないご都合的なやり取りが進むと考えてください)
ここで菊一佳実を部活の後輩に紹介したり、部活をみんなに紹介したりすることができる。活動内容によれば少しのレクリエーションや活動の参加もできるだろう。
(必要に応じて顧問、コーチ、監督、後輩といったNPCを用意してください。後述の探索内容での聞き込み対象となります。
※必ずなんらかのNPCと菊一佳実が会話している様子を描写してください。)
部活の邪魔になるからか、あるいは満足するまで時間を過ごせたからか、貴方達は部室を後にすることになる。すでに空には赤みがかっており、なんとはなしに屋上へ向かうことになるだろう。
もう夕方になっていたようで、暑さの残る日差しは引っ込んで穏やかな赤が空を包んでいた。動き回って遊び回った体を休めて風をあびる。
屋上からは学校の全体が一望でき、貸し切りで使っていた体育館で汗をかく下級生達や、あちこちで活動している部活中の後輩が眺められる。自分たちはそこにもう所属していないのだと考えると一抹の寂しさを感じることになるだろうが、なぜかそれが一際大きく感じた。学校から菊一佳実へ視線を向け直すと、彼も同じように、いや貴方達よりも一層寂しそうな表情を浮かべていた。
彼はその視線に気づくといつもと同じようにささやかに微笑んで見せる。
[心理学、アイデア/2]〈成功〉寂しさを誤魔化しているというよりは考えないようにしていると感じる
・そのことについて彼に問う
「僕は部活とかそういうのやってなかったからさ。いいなぁって思って」
[心理学にアイデア/2も代用可能]〈成功〉本当のことを言ってはいるが確信を答えてはいないとわかる
(上記の[心理学、アイデア/2]とは違ってあくまで[心理学]としての判定です。PLからの提案がなければここの判定は必要ありません)
「今日楽しかったね。あんなに体動かしたのも久しぶりだし、部活っていうものがあんな感じだと初めて知ったよ。いやもちろんさ、知識としてはあったんだけどね。体感だとなかなか違うものだね」
ノスタルジーな雰囲気も束の間。貴方達は今日あったあれやこれやについて語り合うことになるだろう。
そうして雑談に花を咲かせていると少しずつ赤みを帯びた空は濃く黒くなってゆく。今日の放課後もまた終わりを迎えることになる。
「そろそろ帰ろうか。僕は用事を思い出したから先に帰ってて。それでさ」
少し間をおく彼は何か悩んだ様子で次の言葉を紡ぐ。
「よければ明日もここへ来てよ」
[心理学、アイデア/2]〈スペシャル〉何か諦めた様子で提案したことがわかる。
こうして、屋上で出会った少年、菊一佳実との猶予のような青春が始まった。
{青春の日々}
ここでは探索者と菊一佳実のおくる青春の一部始終を取り扱います。何かしたいことを自由に提案できます。終わったら、あるいは特になければ以下のイベントを用意しています。(これらのイベントは何日かに分けて描写し、短いが確かな期間がたったと演出してください。)
視聴覚室への侵入、調理室で料理対決、図書館(全ての青春パート後に必ず行うこと)
屋上にゆくことで放課後が始まり、屋上で解散することで終了が基本となります。以下にその描写を残します。
・屋上へ向かう
授業を終え、貴方達の時間がやってくる。残された子供としての時間は短く、1秒だって無駄にはできない。貴方達はいつものほんの少しだけ赤みを帯びた空の包みこむ秋の1ページに向かった。
そこではいつもと同じく彼が微笑みを湛えて振り返る。
「さ、今日は何をしようか」
・屋上で別れる
遊び終えて熱された心と体を秋の涼やかな風で冷ましていく。焼かれたような夕焼けと逃げるように支度を整える生徒達を眺めていると、この放課後ももう終わるとわかった。こうしてまた、残された猶予の1日がすぎて、その代わりにいつまででも取り出すことのできる鮮やかな記憶が記された。
いつもと同じの別れ際、彼は貴方達を見送ってその扉の裏で一言。
「また明日」
(菊一佳実は夜をPCと共に迎えることはありません。また、放課後が終われば、他の探索者は共に過ごしたとしても菊一佳実だけは途中で姿を消します。以下に、それらを提案されたときの描写を用意しています)
・肝試しやお泊まり会などの夜を過ごす必要のある提案をされた場合
貴方達の提案を受けるととても気まずそうに菊一佳実は答える。
「本当にごめん。遅い時間まで一緒にいることはちょっと難しいんだ。ごめんね。」
その後表情を少し明るくして続ける。
「僕のことは気にせずみんなで行ってきてよ。それでよければまた明日話を聞かせて」
理由を聞いても色々な理由で断られてしまう。
そのまま遅い時間まで一緒にいることになると、ふと目を離したすきに姿をけす。
翌日に遅い時間だったから帰らないといけなかった旨を伝えられる。
・放課後を過ぎると
目的の場所についた後だろうか、はたまた道の途中でだろうか、ふと菊一佳実が周りにいないことに気づく。周囲を探しても見つかることはない。
翌日聞いてみると、逸れてしまった旨を伝えられる。手を繋いだりした場合でも不意のタイミングで見失ってしまう。
{調理室へ}
「カレーとハヤシライスってどっちがうまいんだ?」
ある日の放課後に誰かが口にしたこの一言はその日の放課後を青春から闘争へと塗り替えてしまった。
黄金よりも貴重な種の生まれる富と陰謀の渦巻く熱の国インドから始まり、ニシンのパイやウサギのゼリーを作り出した紳士の国で奇跡的なマリアージュを遂げてついに来日したその料理は、さらに重なる進化と適合を経て今も老若男女を問わず愛される和食ではない日本食の代表に行き着いた。カレーライス。
奇しくも同時期に文明開化の鐘を鳴らし、和魂洋才を代表した一皿。海を超えた美食にアレンジを加えたデミグラスソースに牛肉とオニオンをふんだんに加えた黄金の光沢を放つそれは東京の洋食屋で生を受けた。子供達の夢の食卓を飾り、大人すらも惹きつける願書から不変の美食。ハヤシライス。
ついに彼らの戦争がここで始まってしまった。
いつもであれば和気藹々とした雰囲気とお腹の空くほど穏やかな空気の溢れる家庭科調理室。しかし今はそれらとはかけ離れ、鬼も裸足で逃げ出す様相を纏っていた。
〔料理戦争のルール〕
【概要】
両チームに同じ数ずつ分かれる。余る場合はその人物が判定を下す
【制作】
[DEX*5][芸術][ナイフ][化学or薬学]で判定を振る
成功で1、スペシャルで2、クリティカルで3のポイントを得ることになり、それが味へつながる
【判定】
審判がいない場合は上記のポイントの合計数、いる場合はその人の主観で決定する
{視聴覚室へ}
多くの特別教室が文化祭準備の名目で限定開放されている中、いまだに閉じられ続けている教室があった。入学してから指を折って数えるほどしか入ったことのないその空間は、使用頻度の割には設備が充実しており、使うたびに次はいつ入れるのかと落胆と期待を抱く。視聴覚室。数十人以上の生徒が同時に、それも遠くからでも確実に鮮明に経験できるように工夫されたその空間はさながら小さな映画館であり、備え付けられた機械も上等なものであった。
当然ながらそこで行う文化祭準備などなく、開放もされていない。
だが、否、だからこそ、君たちの心をくすぐり、行動を喚起した。
こうして最警戒エリアへの侵入ミッションが立案された。
〔視聴覚室潜入ミッションの内容〕
【概要】
視聴覚室に潜入し、思いっきり堪能する
【潜入要件】
1・鍵を職員室から入手すること
2・視聴覚室への視線を切ること
【隠密要件】
侵入後に気づかれない必要がある
1・鍵の入手を気づかれないこと
2・巡回の教師や通りがかった生徒に気づかれないこと
3・バレないように鍵を戻すこと
・潜入職員室
職員室。ここに用があるのは重大なものか、想像もしていない宣告に他ならず、貴方達のうちの何人かはその空気感にプレッシャーを覚えるだろう。職員室には生徒指導と体育教師が鎮座しており、彼らの目を誤魔化すかどうにかして鍵の元まで潜入する必要がある。
偶然居合わせた強固な守りに心の中で舌打ちをして行動を開始することとなる。
・視聴覚室の人払い
視聴覚室前。人通りが多いわけではないが、上下階への階段から視線が通り、また少し離れたところには1階を見下ろすことのできる吹き抜けの空間もある。そのため視線は多く、人通りの少なさが逆に近づくことだけで怪しく映るだろう。
教師はもちろんのこと、大事にしないためには生徒からの視線も切る必要がある。
・上映中はお静かに
鑑賞中に聞こえてくる足音と話し声。誰かの接近を確認するとともに息を殺して存在を散らす。我空也を念じながら不幸の訪問が起こらないことを祈るだろう。
・借りたものは返しましょう
満足いく限りの上映を楽しんだ貴方達は晴れやかな心で視聴覚室を出ることとなる。見たものによっては涙を流し、あるいは笑いを堪えるのに必死になって、あるいは義憤や正義に燃えた。最高の設備で友人と迎える物語はいつもよりも心に情景を残しただろう。
その面持ちのまま職員室へ鍵を戻す最後の任務へと取り掛かる。見たものにアクション映画があったら、そのBGMが頭では弾かれているかもしれない。
しかし、その必要はなかった。職員室は誰もおらず忍び歩きでさっさと返すことができそうだ。それでも心臓の鼓動は早くなる。安全と分かってはいても慎重にゆっくりと入り込み鍵をかける。
「映画は面白かったか?」
背後にはニンマリとした生徒指導が立っていた
{図書館}(青春パートの最後に必ず行う)
今日も放課後を満喫し、鐘が鳴るまで残り30分を切った。中途半端に余った時間では何か大きなことはできず、とはいえ解散するにしてはなんとなくもったいなく感じた。
結局校内をぶらぶらと歩き回って図書館に行き着いた。
図書館はかなり広く、残っている生徒も多い。しかし先ほどまでのガヤガヤといった喧騒はこの中では皆無であり、皆が黙々と各々の作業に従事していた。
「ここでは静かにね。僕はちょっと本を見てくるよ」
そう言うと菊一佳実は奥の方へと歩いていき本棚の影に見えなくなってしまった。
[聞き耳]〈クリティカル〉何か呟いた気がする(ここで菊一佳実は別れの挨拶をしています。本当はそれがとても嫌なので覚悟がし切れず、小さめの声になっています)
残された貴方達も自由に、蔵書されている本を物色することだろう。図書館の蔵書数はかなり多く、望む資料や本が見つかることだろう。
しばらくそのように過ごしていると気がつけば新聞や雑誌のコーナーに来ていた。古いものは何十年も前のものも置いてある。映画や漫画で見る図書館での調査はフィクションに限られた世界の話かもしれないが、その行為自体にロマンを感じてか、はたまた何か面白い記事でもないかと期待してか、君たちは新聞を調べ回ってみることにする。
[図書館]〈成功〉ある新聞記事を見つける
【10年ほど前の新聞の切り抜き】
丁寧に保存されているはずにもかかわらず、その切り抜きだけは不自然なほどに古くなっている。それが一層君たちの好奇心を刺激し、どうにか解読を試みることになる。
[日本語/2、図書館]〈成功〉文字の中に『菊一佳実』という文字列を見つける。しかし、ちょうどページが切れているためその後についてはみることができない。
10年も前の記事になぜ彼の名前が載っているのか、彼本人なのか、あるいは他人の空似なのか。どちらにせよ、不可思議な記事を見つけた貴方達はそれに関連する資料を探そうとするが、それに該当しそうなものは奥の書庫にあるようですぐに手に取ることはできない。
するとふとチャイムがなる。いつもは鮮やかに郷愁を感じさせるそれはどこか不気味に思えた。
どうやらもう放課後が終わり、合わせて図書館も閉館するようでそのままの退館を促される。菊一佳実に直接聞こうと、あるいは明日の約束をまたしようと考えて彼を待つかもしれないが、最後のひとりが退館し、司書さんが出てきて鍵を閉めても彼が出てくることはなかった。
{また翌日}
図書館での不思議な記事を見つけた翌日の放課後。君たちはいつものように屋上へと向かう。気持ち早歩きで向かう貴方達はどこか学校全体に違和感を覚える。しかしそれは不快なものではない。
[アイデア、知識]〈成功〉そういえば文化祭がもう明日に控えていることを思い出す
文化祭の準備にどこも慌ただしくしており、部活をやっているものも少し減ったように思える。逆に教室やその前の廊下では賑やか空気が出ている。しかし、それもどこかいつもよりほんの少し小さく感じるだろう。
最初の彼と会った日から時間が経ち、もう秋盛りになっていた。晩夏の香る暑さは顔を引っ込めて長袖がちょうど良く感じられる少しだけ冷たい風が窓から流れている。
学校の端っこ。教室に生徒が集まっている今ではなおのこと喧騒は遠く彼方のように感じられ、それが一層君たちに寂寥感を匂わせた。離れる喧騒、冷たい風、そして昨日の奇妙な記事の切り抜き。嫌な予感を覚えつつ、そんなわけないと思いながら屋上へ至る階段をあがる。
しかし、そこにはずいぶん見ていなかった景色があった。
『立入禁止』
無機質に書かれた看板が置かれ、扉には鉄の錠前が付けられている。開けようにもびくともせず、空の光はおろか風を感じることもできなかった。
{菊一佳実を探す、調査する場合}⇨調査パート
短い間であっても彼は友人であり少なくない思い出を共につくってきたと言う友情か、はたまた屋上の立ち入り禁止や図書館で見つけた記事に対する好奇心か。兎にも角にも君たちは学校での調査を開始する。
{調査をせずに日常に帰る場合}⇨文化祭当日
{調査パート}
屋上への閉じられた階段の前にいる君たちはまずは目の前の封鎖された扉から調べ直すだろう。
[目星]〈成功〉扉についている錠前の一部が錆びており、しばらくこのままにされていたとわかる
なんにせよ、到底無理矢理でも入ることはできそうになく君たちは他の調査を開始することになる。
以下探索対象
{友人に尋ねる}
{職員室で教師に尋ねる}
{図書館に行く}
{校舎で探しまわる}
{友人に尋ねる}
君たちは『菊一佳実』について、あるいは屋上について情報を集めるためにクラスメートや友人に話を聞くことになるだろう。
・屋上について尋ねる
「屋上?あー端っこに階段があるんだよね。でも確か立ち入り禁止でしょ?どうかしたの?」
・開いていたと伝える
「え〜?そんなわけないと思うけど。今更開けるの意味わかんないし。ずっと鍵そのままにしてるから開けるのも一苦労って聞いたけど」
・鍵のかかっていた原因について尋ねる
「なんだったっけなぁ。危ないとか?うーん、聞いた覚えあるけど思い出せないや」
・菊一佳実について尋ねる
「ん?菊一…?誰のこと?ちょっと知らないや」
どの友人に聞いてもあまり返答に違いはなさそうだ。そもそも屋上への鍵が開いていたことなんてなく、菊一佳実について知る人物も見つからない。他の学年だったか、あるいは事情のある生徒だったのか。他の手段で探す方が良さそうだ。
[アイデア]〈成功〉菊一佳実を確実に知っているであろう人物に尋ねることを思いつく
⇨{共通の知り合いに尋ねる}が開放される
{共通の知り合いに尋ねる}
君たちは先日、菊一佳実とともに訪れた部室(以前菊一佳実とともに訪れて部活や委員会を体験した場所です)へと再び足をはこぶ。文化祭準備で忙しい期間だが、部室には数人残っており、話を聞くことができそうだ。
部室の扉をノックすると先日訪れた時にいた何人かがそのままそこにいた。
「なんだまたきたのか〜?最後の文化祭だろう?しっかり準備はできているのか?」
顧問の教師が対応をしてくれる。他にも後輩の一部などもいるようで菊一佳実について尋ねることはできそうだ。
・屋上について
「屋上?立ち入り禁止だろ。というか鍵も古くなってて入るには入れないから立ち入り不可ってのが正しいんだろうがな。それがどうかしたのか?」(顧問例、他のNPCも同様の返答をする)
・屋上が開いていたと伝える
「開いていた…?まさか壊したのか?!」(顧問例、他のNPCも同様の返答をする)
・菊一佳実について
その名前を尋ねると顧問は困惑した様子を見せる。
君たちが先日訪れた際の菊一佳実について語れば語るほどにその困惑の色は強くなっていく様子だ。そうして途中で話を遮られる。
「ちょっと待ってくれ。一体なんの話をしている?」
顧問の先生は明らかに戸惑っており、考え込む様子を見せた。それが演技ではないというのは君たちに即座に理解できた。
「先日遊びに来た時のことだよな?菊一佳実なんて生徒を連れてきたのか?いつの話だ?私はあってないと思うが…」
その様子に得体の知れない恐怖を覚える。自分たちの大切なものが、その確かな記憶が幻のように考えてしまう。
[SANc]1/1D4
菊一佳実とあっていない。その名前を知らない。他のNPCもその会話を聞いたようで、その場にいた全員が困惑している様子だった。他のNPCに同様に菊一佳実の名前や外見的特徴について尋ねても知らないと返されることだろう。
「確かに遊びに来たが、その時はx(探索者の人数)人だっただろう?誰のことを言っているんだ?」
以降、菊一佳実の名前を出して話を聞いても特に進展はなく、会話をしていたNPCも同様の反応を見せる。
たった1日の一部の時間であったとはいえ、その場にいた全員が特定の一人を忘れることなんてあり得るのだろうか。それも人数まで間違えて他の全員を覚えているにも関わらず。
まるでみんなでよってたかって彼をないものとして扱っているようだった。
窓の外はいつもと同じく赤焼けの空が変わらずにあった。
{職員室へ行く}
屋上にせよ菊一佳実にせよ、職員室であれば事務的なデータはまとめられているはずだ。そのため信用できる確かな情報があり、何かしら進展するはずである。そう考えながら君たちは職員室へと向かうことだろう。
文化祭準備期間というのは生徒だけでなく、むしろイベント事に対する管理やサポートを行う一部の教師の方が忙しいほどであった。中では生徒との打ち合わせや何かしらの資料作り、一人くらいはどこかとの電話対応を行なっている者もいるだろう。
騒然としているが、同時にどこか厳とした雰囲気も漂っている。君たちは自分の所属や氏名を述べて要件を伝えるだろう。
しばらくすると君たちの誰か、あるいは全員の担任の教師がやってくる。
「はいはい〜。どしたの?」
明るく和やかで軽い先生だ。大体のことは答えてくれるだろうし、いつも生徒に協力してくれる。
・屋上について
「あーあー屋上ね。うん、立ち入り禁止、てか入れなかったでしょ?鍵が錆びちゃっててね、そろそろ手入れして交換もしなくちゃなんだけどね。それがどうかしたの?あ、言っとくけど使えないからね。そもそもすぐには開かないから」
・立ち入り禁止の理由について
「理由ねぇ…。まあ危ないからってのもあるよ。てかなんでそんなに気にするの?」
・菊一佳実の名前を出す
(菊一佳実の名前で答えたか、菊一佳実について尋ねたかによらず。)
菊一佳実の名前を出すと担任の先生は険しい顔つきになり、先ほどとは打って変わって厳しい雰囲気になる。
「………。君たちさ。どこで知ったのか知らないけど、そういう冗談はよくない。文化祭で舞い上がってしまうのはわかるけど、最後の文化祭を楽しめない空気にしないこと。もう子供ではないんだからね」
諭すように、しかし厳しい口調と声で君たちに言葉を投げる。突然のことだが、言葉選びからもその雰囲気からも、君たちはまさに今叱られているのだと遅れて気づくだろう。
しばらく聞き返しても同じように諭される。しかし2、3回以上問い続けると答えてくれる。
「…。わかった。とりあえずは信じるよ。全部が全部ほんととは思えないけど菊一佳実君については本当に詳しく知らないみたいだからね。ただとりあえず、その菊一佳実君が今3年生でまるで生きているみたいな言い方はやめなさい。僕が多めに見ても他の先生はそうとは限らないからね。とりあえずこっちに来なさい」
途中で反論したとしても
「いいから来なさい」
とだけ返されることだろう。
君たちは先生に連れられて職員室の中を通って、生徒指導室へと案内される。
[目星]〈成功〉菊一佳実が自称していたクラスの名簿を覗き見て彼の名前を探しても見つからなかった
全員が椅子に座り先生も向かい合って腰をかける。どうやら水を持ってきてくれたようで全員の前に紙コップが置かれる。自分の水を一口飲んで先生は話し始めた。
「菊一佳実君というのは10年前に本校の2年生の生徒だったんだよ。僕がきたのはここ数年の話だから当時のことは詳しく知らないけどね。屋上から飛び降りたらしい」
そのまま続ける。
「どうやらいじめを受けていたみたいでね。それも高校からとかじゃなくてずっと。原因は家庭環境だったみたいだ。裕福な家庭じゃなくて、その上かなり酷い扱いだった様子だよ。
服は連日変わらず同じもの、給食費はほとんど出せない、使っている道具も買い替えられないし物によっては買い与えられてすらなかったみたいだ。子供っていうのはそういうのに敏感だろう?匂いもそうだけど、変わっている子っていうものをしっかり見極めて排除する。そういう面は大人よりも無邪気で残酷だ。小学校からその様子だったからその時からいじめられていてね。そのまま中学高校と続いたらしい。
高校生になってアルバイトをしながら自分のものは揃えていったみたいだけどいじめは終わらなかった。それに稼いでも一部は親に取られていたみたいでね。結局他の生徒と同じような学生生活を送ることは叶わなかった。
結局、高校2年の文化祭の近いある秋の日に飛び降りたんだ。少しでも学校に復讐したかったのかもね。文化祭の日に近かったからかなり大事になってね。ただ、当の保護者が特に何も動かないもんだし、今よりはSNSも普及していなかったから。
意外とすぐに騒ぎはおさまったんだ。皮肉なことにね。
まぁ、そんなことがあったから屋上はそのまま立ち入り禁止になって錠前までつけることになったんだよ」
・初めてその真実を知った場合
君たちの過ごしていた友人がすでに死んでいた。その驚愕の事実に脳を揺さぶられる感覚を覚える。
[SANc]0/1d4
・すでにその情報を持っていた場合
やはり菊一佳実は自殺していた。予想されていたことではあるがショックを覚える
君たちが驚いた様子で唖然としていると先生が口をひらく。
「どうやら本当に知らなかったんだね。ごめんよ、僕の勘違いだったみたいだ。でも今話したことが事実だからさ、あんまり他の先生とかに言わないようにね。知らない人もいるだろうけど、そうでないとこうして勘違いされてしまうからね。
聞きたいことというのはこれで終わりでいいかな?もしもっと知りたいなら確か図書館に新聞の切り抜きがあったからそれを見るといい。
ただし、悪ふざけや軽い気持ちで調べないことね」
誤解も晴れ、同時に菊一佳実や屋上について知ることができた君たちは生徒指導室から離れることになる。だが、それは君たちと共に時間を過ごした友人が既に亡くなっていたという事実と共にしており、にわかには信じることができないかもしれない。実際のところ君たちは彼との時間を過ごしており、何度も屋上に足を運んでいたのだから。
その矛盾した現実を確かにするためにまた他の調査を行うことだろう。
{図書館へ行く}
屋上の情報が得られる確証はないが、菊一佳実の情報が唯一得られた図書館での調査をやり直すことになる。先日は確かに『菊一佳実』の名前を見つけることができた。しかしながらその内容については見つけることができず、そのまま閉館時間が来てしまった。
今日は十分に時間がある。きっと書庫にあるという記事の続きについても見つけることができるだろう。
図書館では昨日と同じく静寂が保たれていた。そこに不気味な雰囲気や奇妙な感覚を覚えることだろう。しかし、変わったのは図書館ではなく君たちであり、その目的と心構えがそう見せているに過ぎない。
受付には昨日と同じ司書が滞在しており、記事もすぐに同じものが見つかるだろう。
新聞の記事は2015/10/02のものであり、『菊一佳実』の名前は読めるがそれ以降の内容は途切れてしまっている。やはり続きは受付で申請して持ってきてもらう必要があるだろう。
受付では管理を担当している司書と二人の図書委員が退屈そうにしている。
・図書委員、司書に話しかける
「はい。貸し出しですか?」
・事情を話す
「ええと、10年前の10月の新聞記事、その続きがないと…。確かに記録では奥の書庫に置いてあるみたいです。ただ、資料の目的を教えていただけないと貸出は難しいです」
[交渉系技能]〈成功〉資料について借りることができる
【2015/10/02 高校生が校舎から転落死 いじめの可能性も視野に調査】
2日午後4時半ごろ、○○県内の県立高校で、同校に通う2年生の男子生徒(17)が校舎屋上から転落し、死亡する事故があった。警察によると、男子生徒は搬送先の病院で死亡が確認され、現場の状況などから自殺とみて調べている。
亡くなったのは同校2年の菊一佳実さん。校内の関係者によると、当日は放課後の時間帯で、部活動や文化祭準備をしていた生徒も多く、目撃情報も複数寄せられているという。
また、一部の生徒からは、菊一さんが日常的に同級生からの言動に悩んでいた可能性を指摘する声も上がっている。学校側は「現時点でいじめの事実は確認されていない」としつつも、「生徒間の人間関係を含め、事実関係を慎重に調査している」とコメントした。また菊一さんの保護者は発言を控えており、一連の出来事について沈黙を保っている。
現場となった屋上は通常施錠されているが、同校の文化祭準備期間であったために限定的に解放しており、その警備体制の不十分さが指摘されている。
警察は遺書の有無や直前の行動についても調べを進めており、引き続き詳しい経緯の解明を急ぐ方針だ。
・初めてその真実を知った場合
君たちの過ごしていた友人がすでに死んでいた。その驚愕の事実に脳を揺さぶられる感覚を覚える。
[SANc]0/1d4
・すでにその情報を持っていた場合
やはり菊一佳実は自殺していた。予想されていたことではあるがショックを覚える
この記事のみではなくさらに経緯や事件の経緯について追う場合は以下の判定。
[図書館]〈成功〉複数の新聞記事を見つけるが、かなり早期に騒ぎはおさまったようだ。またその理由として以下のことがわかる。
・菊一佳実の保護者がいじめの存在を肯定したが特に行動を起こさずにそのまま収束した
・遺書などは見つからなかったが状況証拠と保護者の発言により自殺と断定された
・学校側の謝罪と対応策の提案が早く、炎上しなかった
・その事件以降、屋上は錠前つきの鍵がつけられ、立ち入り禁止の看板も置かれている。
菊一佳実について確かな書類とともに情報を得ることができた。しかしその真実は君たちが過ごしてきた日々を根底から否定するものでもある。菊一佳実は故人であり屋上は立ち入りができる状態ではなかった。だが、事実として君たちは屋上で夕暮れを体験し、その風を彼と共に浴びた。矛盾した現実を確かめるために、さらに探索を進めることになるだろう。
{校舎で探しまわる}(菊一佳実の死を知った後のみ行なってください)
調査の途中で詰まったからか、あるいは思い当たる節を全て当たったからか、ゆくあてもなく君たちは学校内を彷徨うだろう。菊一佳実の姿や名前、その痕跡が何かないかと歩き回り色々な生徒に話を聞くことになる。だがあまり成果は得られていない。
[聞き耳]〈成功〉遠くで複数の男子生徒の笑い声が聞こえるが、その声が酷く異質なものとわかる。また声は最上階の屋上へと続く階段の反対側のトイレの方からだとわかる。
声のする方へ近づくと少しずつその声がはっきりと聞こえてくる。
[聞き耳]〈成功〉以下の描写が聞こえる
「あはははは。ほんっとダッセェなぁ。つかさ、感謝しろよ?くっさいお前をこうして洗ってやってるんだからさ。」
「そうそう。俺たちほんとシンセツだよな」
男子生徒の笑い声と共に、大量の水飛沫の音が聞こえる。そのところどころに菊一佳実のうめくような声が入っていると気づく。
「……。なんで…。」
今にも消え入りそうな声を掻き消すように声は重なる。
「ほら、センタク終えてやったぞ。あ、フロだったか?ま、なんでもいいや。いつも通りカンシャしろよ」
「なぁ!!菊一クン」
水飛沫の音が収まるとまた笑い声が校舎中に響いた。それ以外は何も聞こえない。
その笑い声がまるで君たちを取り囲んでいるような錯覚を覚える。謂れのない悪意と目を背きたくなるような醜悪な声に思わず耳を塞ぎたくなるだろう。
[SANc]0/1
しかし、そこにいるのは聞き違いでなければ君たちの友人だ。そうでなくても放置するわけにはいかない。君たちはそのまま階段を駆け上がる。
先走った心に体が追いつかず足がもつれることもあるだろう。まるで落ちるように登りきった最上階端のトイレ。全力で階段を登ったからか、悪意に立ち向かうための準備なのか、はたまた友人の身を案じてか。肩で呼吸する息もそのままにその場へと駆け込んでいった。
しかし、そこには何もなかった。男子生徒や菊一佳実はおろか、先程まで確かに聞こえていたはずの水飛沫すらも、その痕跡もなかった。
君たちは考えうる限り最速でここまでやってきた。途中で気づいて逃げようとしても間に合わない。どこかに隠れようにも狭い逃げ場のないトイレで隠れ場所なんてない。
彼らは、先ほど聞いたその声はなんだったんだろうか。
[SANc]0/1
その場を探索しようにも何も残っていない。離れたトイレであるため他と比べて汚れてはいるが、それでも水たまりなどはない。
声を呼んで探そうにも菊一佳実も男子生徒も見つかることはない。まるでそれは幻であったかのように。
{屋上前階段}(全ての探索を終えてから描写してください)
ついに行く宛がなくなり、さらには尋常ではない経験もした貴方達は無意識のうちに今はもう閉ざされた屋上へと辿り着いていた。当然ながら錆びた錠前のついた扉は開いておらず、そこに菊一佳実の姿もない。
淡い期待も霧散したところで放課後の終わりをつげるチャイムがなる。まるでタイムアップだとでもいうかのようなその鐘の音に多少の苛立ちを覚えるか、はたまた寂寥感を覚えることだろう。
[聞き耳]〈成功〉扉の奥で音がする
ふと、チャイムにかき消されているが誰かの音が扉の奥から聞こえてくる。穏やかで静かな話し声。おそらくは独り言だろう。
「ああ…。明後日は文化祭かぁ。ふふ、楽しみだな」
声の主は菊一佳実だ。扉越しの彼に驚きつつも声をかけるかもしれない。あるいはどうにか扉を破ろうとするかもしれない。しかしどちらも叶うことはない。
「きっと、いい思い出になるよね」
足音は遠ざかっていく。嬉しそうに、待ちきれなさそうに微笑む彼の顔を容易に想像できるだろう。その足音も歌っているかのように軽かった。
「もしかしたら…。友達ができるかも」
叶うことはないと思いながらも口にする。そんな妄想をして思わず楽しくなる。夢を見て胸を膨らませることは誰にだって許される。
次の瞬間。
「あっ」
細いが確かに聞こえたその声が永遠に耳を打つ。他にはもう何も音はしない。残ったのは永い静寂(しじま)に唯一残る彼の声だった。
親しい友人の死を理解した貴方達は
[SANc]0/1D6
{文化祭当日}
結局彼を見つけることはできなかった。また別の幻を見ることはなく、新しい情報も見つからない。君たちだけが彼の死の真実を知っているが、だからと言って取り返せるものもなければそれで何かが変わることはない。
そんな世界に暗澹たる気持ちを抱いて文化祭の当日はやってきた。多少の人混みがあちらこちらでできているがそこに菊一佳実の影はなく、半ばこころここにあらず、だが同時に文化祭自体は楽しむことになるだろう。
同時に多くの瞬間に強い既視感を覚える。もちろん文化祭は初めてではない。これは高校3年生として最後の文化祭であり、その経験は、あまりにも速く的確に終えた文化祭準備に活きている。
[アイデア]〈成功〉だが同時に気づく。本当にそれだけなのか?確かに下級生や去年に比べて慣れているのは真実だ。しかしその分だけ規模を大きく、細部まで作り込んでいるのにそんなことがあり得るのだろうか
そんなことを考えながら自分たちの仕事をこなす。常にではないがあまりにも多いデジャブ。菊一佳実の行方や正体のことだけでも精一杯な君たちだが、誤魔化しきれない違和感は精神的な疲労を呼び起こす。どうにか午前の仕事を終えるとその疲労は限界へと達していた。
君たちは教室の裏に用意された休憩ペースで少し横になって休むことになる。
{夢}(PCと表記があるところはPCにRPをさせてください)
ところどころモヤのかかったような景色。まるで映画のような視界に勝手に動く体。セピア調に褪せるシーンの中、やり過ぎなくらいに大袈裟なほどに彩られた飾りとそれを楽しそうに用意する君たちがそこにいた。
「明日は文化祭当日だね」(PC)
「なんとか準備が終わってよかったよ」(PC)
「いやぁ、ほんとほんと。3回目だってのにこんなにギリギリになるなんてね」(PC)
「ま、仕方ないよ。それだけすごいものを作ろうとしてるんだしさ」(PC)
文化祭前日。君たちは最後の最後までその仕上げに携わっていた。いや、そんなわけはない。君たちは菊一佳実を一日かけて探していた。授業を受けて、その放課後はいろいろな場所を探索していた。
それにここしばらくは彼と共に放課後を遊んでいた。そのため文化祭の準備に奔走した記憶などはないのだ。
矛盾した記憶と君たちの経験にめまいを覚える。ふと瞬きをした瞬間に、まるでスキップボタンを押したかのように、シーンは移った。
文化祭当日。最後の文化祭、その仕事を全力でやり切る君たちの顔にはなんの曇りもなかった。忙しいが同時に楽しく。賑わっているが最後という言葉にほんのり寂しさを覚える。友人達全員で迎える青春の盛りは先ほどの君たちとは全く異なっていた。
「めっちゃ賑わっているね。てかいそがし〜」(PC)
「それだけ人気ってことだよ。頑張って毎日残って準備した甲斐があったね」(PC)
「でも後輩のとことか部活とか顔出せなかったな」(PC)
「この後行けばいいじゃん?もうそろそろ交代だしさ」(PC)
その光景に覚えがある。だがどこか朧げで、よく思い出せない。何か遠い日の出来事のように感じるし、つい先ほどのことにも思える。ズキンと頭に痛みが走る。それに怯んで目を閉じると、またシーンが変わった。
和気藹々と話しながら校舎の外れで誰かと話している君たちがいた。普段は近寄ることもない屋上への階段。この日も閉ざされており、進むことはできないがその前には見慣れない男子生徒がいた。どうやら下級生のようで、のんびりと廊下の窓から校庭を眺めていたところ君たちがやってきたのだった。
「えっと?君こんなとこでそうしたの?」(PC)
「もしかして迷った?」(PC)
心配そうに、だが同時に楽しく上機嫌な気持ちのまま君たちは話しかける。
それに対して、酷く驚き慌てた様子で彼は答えた。
「え!?!?僕に話しかけてる……?え、なんで…?
えと、ぼ、僕は2年の菊一佳実です…」
どうやら本校の生徒だが、友達のいない彼はこうして一人で過ごしていたみたいだ。同時に話しかけられたことに酷く驚いており、それが面白くてか、あるいはその寂しそうな姿が放って置けなくてか、それともせっかくの祭りの日だからなのか。
なんにせよ、君たちは彼も連れて文化祭を楽しむことになった。
少しずつ視界は鮮明に移ってゆく。セピア調に色彩が纏い、痛む頭は冷やされたように落ち着いている。
間違いない。これは君たちの真実であり、現実だ。
するとまたシーンが入れ替わる。
楽しそうに彼を連れて文化祭を回る君たち。時折どこか怪訝な目を向けられることもあるし、決して彼が何かに参加することはなかったが、共に回って話をするだけで楽しかったのだろう。幸せそうに微笑む彼の顔は、君たちがこの一月で何度も見たものと同じだった。
そうしているうちに空は暗くなってゆく。後夜祭のキャンプファイアーも終え、多くの生徒が帰った後。教師や一部の生徒しか残っていない学校の人気はかなり落ち着いており、君たちも帰ろうとしていた。
昼間とは打って変わって静かで、しかしどこか寂しい夜の校門に君たちはいた。
校門の外にいる君たちと、少し距離を空けて内側にいる彼。ちょうど別れるところだろう。
「ほんとに一緒に帰らないの?」(PC)
「そうだよ。せっかくだしもう少し遊ぼう」(PC)
「あ、連絡先教えてよ。また後日会おう」(PC)
君たちが別れを惜しんで彼に話しかけるととても嬉しそうに、満足そうに彼は微笑んでそれらを断る。
「ごめんね。そうもいかなくて…。僕はここから出られないしさ」
同時に困ったように視線をおよがせる。要領をえない回答ではあったがとにかくできないということは君たちにも伝わる。
「あ、でも。また学校で話そうよ。きっと会えると思うしさ」
その言葉に満足したからか、あるいはもうすでに時間が遅いからか。
君たちは校門の内側から手を振り続ける彼に、君たちもまた手を振りかえして帰路に着く。
[目星]〈成功〉校門の内側で少年が鬼気迫った表情で何かを叫んでいるのがわかる
〈スペシャル〉少年以外にも教師や生徒の一部が何かを叫んでいる
〈決定的成功〉視界の端にこちらに突っ込んでくる明らかに法定速度を大幅に超えたトラックが映り込む
〈スペシャル/決定的成功〉⇨[聞き耳]〈成功〉道路を擦り切るような重くて高い音が響く
次の瞬間には視界が白い光に包まれた。
朧げに聞こえるのは救急車と君たちを呼ぶ声。ぼやけた視界に映るのは大破したトラックと覗き込んでくる救急隊員の顔。
君たちはそこで意識を失った。
{夜}
夢から覚めるとすでに辺りは暗くなっていた。全員が同時に目を覚ましたようで、君たち以外に教室には誰もいなかった。慌てて自分たちの体を見ても外傷はなく、痛みもない。
だが、あれが夢ではないとどこかで確信できる自分もいた。
君たちには二つの秋の記憶がある。
一つは、菊一佳実と共に過ごした放課後の積み重ね。その果てに彼の正体を知り、今なお彼がどこにいるかわからない中で参加した文化祭の記憶。
もう一つは最後の文化祭に全力で取り組んだ青春。達成感と共に新たな友人を得た文化祭の記憶。
どちらも確かに君たちが経験した事実であり、同じように大切な記憶だろう。
頭の中を整理する最中外の賑わいに耳を傾ける。どうやら文化祭は終わり、後夜祭としてのキャンプファイアーが始まっているみたいだった。多くの生徒が参加しており、校内にはほとんど人が残っていないように思える。
(必ずPCのRPを入れて進めてください)
[目星、聞き耳]〈成功〉黒髪の小柄な男子生徒が教室の前を横切るのに気づく。誰かの足音が遠くでしているのに気づく。
自分たち以外の生徒だろうか。しかしどこか見覚え/聞き覚えのあるそれに気を引かれ君たちは後を追っていくことになる。
すぐに動けばその男子生徒の後ろ姿を捉えることができる。どうやら彼はそのまま上階の方へ向かってゆくようだ。
[目星]〈成功〉彼の後ろ姿とわかる
〈スペシャル〉校内には誰もおらず、校庭のキャンプファイアーにも人いない
さらに追いかけるとその姿は屋上へと向かってゆく。彼の歩みに、君たちがどれだけ急いでも追いつくことができず、そのまま屋上への階段を登って行った。
君たちもそれを追ってゆく。
そこには立ち入り禁止の看板も、錆びて動かない錠前もなかった。
少し開いた屋上への扉からは、満点の星空を垣間見ることができ、冷たい夜風とほのかな月光が差し込んでいた。
君たちはその風と光に手を引かれるかのように屋上へと足を入れる。
彼は君たちの方を向いて待っていた。
{選択}
菊一佳実は口元に微笑みを浮かべているが前髪と夜の暗さから目元を見ることはできない。その姿に君たちはどんな感情を抱くだろうか。
「楽しかったね。文化祭」
彼の声は夜の乾いた空気によく響いた。誰もいなくなったグラウンドでは焚き火がパチパチと燃えている。
「そろそろおしまいの時間だよ」
泣いているのか、はたまた笑っているのか。その判別はつかなかった。
「約束。覚えているかな」
はるか前のことにも、今さっきのことにも思えるあの夕暮れの屋上を君たちは思い出す。その言葉に肯定するだろうか、あるいは拒否をするだろうか。彼はついにネタバラシを始めた。風が吹き髪を揺らすがそれでも目元は見えない。
「ここはね、狭間なんだ。始まりと終わり。昼と夜。夏と冬。現実と幻。
それから、この世とあの世。
言い換えれば三途の川の真っ只中って言ってもいいかもしれない。あるいは逢魔時でもいい。
現実の君たちはトラックに轢かれて意識不明の重体にいる。ああ、心配しなくていい、死んではいないよ。
でも、いずれそうなってしまう」
(間を開けてRPを入れてもいいです)
「大丈夫だよ。君たちは帰れる。元に戻ることができる。
それも簡単に、すぐにでも」
一際大きな風が吹いた。
「僕のことを、ここでのことを全部忘れればいい。忘れて校門から出るだけだ」
風は止んで星の光も見えなくなった。強く世闇を照らす月光だけがただあった。
「よもつへぐいって知ってる?あの世のものを食べたら帰れなくなっちゃうって話なんだけどね。どこの神話でもそれは変わらなくてね、ここでも同じなんだ。
向こうに帰るにはここでの記憶は置いていかなきゃいけない。
現実に幻は持っていけない」
「僕のことは忘れるんだ」
また風が吹いた。打ち付けるように、引き留めるように。
ふと彼の前髪を風が払う。その目の形は笑っていた。その瞳は潤んでいた。
(ここでPLの決定を聞いてください。その選択によって分岐します。菊一佳実と会話することも可能です)
・それ以外にないのか、一部でもダメなのか
「そうだね。忘れないと帰れない。忘れないと生きていけない。例外はないよ。」
・その後はどうなるのか
「どうにもならないよ。みんなは忘れて現実の体に戻る。僕は…また、屋上に戻るのかな。わかんないや」
・最初から気づいていたのか
「隠しててごめんね。みんなが覚えていないのはなんとなくわかってたから混乱させると思って」
・何故一緒に過ごしたのか
「……。一緒に、過ごしたかったんだ…。ごめん」
(ここで分岐です。
・一人でも忘れたくないと決める。かなりの時間悩む⇨悪霊化
・全員が忘れることを選ぶ⇨《エンド2》)
{悪霊化}
君たちがその選択を前に躊躇していると/忘れずに現実に帰らないことを選ぶと
周囲の様子が変わっていく。
[聞き耳]〈スペシャル〉「ありがとう」と菊一佳実が言ったのが聞こえる
優しく吹いていた風は君たちを縛り付けるように強く冷たく吹き荒れる。
星の光は完全に消え失せ、夜空には漆黒の闇が広がる。闇は月を多い、次第に月光も力なく弱くなる。気づけばグラウンドの炎は燃え尽き、校舎や家の光は消えていた。
真っ暗闇ほどではなく、ある程度視界も取れてはいるが、菊一佳実の姿も顔も見ることはできなくなる。
奥で彼の声が聞こえる。
「そっか。そっかそっかそっかそっかそっかそっかそっかそっかそっかそっかそっかそっかそっか。
あはははははははははははははははははははは。
みんなは一緒にいてくれるんだね。一緒に遊んでくれるんだね。
一緒に
死んでくれるんだね」
その声に正気は感じない。今まで共に過ごした彼から感じる優しさや穏やかさは消えており、そこにあるのは悪意にどっぷりと浸かった殺意のみだ。
凍てつくように周囲は寒く、痛いほどに風が打ち付ける。
[回避、聞き耳、跳躍]〈成功〉不意に闇の中から何かが迫ってくるのがわかり、避けることができた。それは足元のコンクリートを抉った。
〈失敗〉足元を何かが抉り壊した。
「一緒に、いよ????????」
未だ働いてくれる本能が警鐘をならす。ここから立ち去れなばならない。彼から逃げなければならない。
・この場で彼を受け入れる⇨《エンド2》へ
・とりあえず屋上から逃げだす
君たちは扉を開けて階段を駆け降りる。すると背後から鈍い破壊音が聞こえる。先程まで君たちがいた場所は砕け散っており、それを受ければひとたまりもないだろう。
弱い月明かりは彼の姿を移すことはなく、ただ闇の中から、同じく闇の塊が長くしなやかな腕のように飛んでくる。
他がひたすらに今は闇から逃げるのみだ。
[アイデア]〈先程菊一佳実が言っていた校門へとりあえず向かうのがいいと考える〉
【ラストチェイスのルール】(()内は知らせないでください)
・各PCは1ラウンドに行動と回避が可能
・現在は3階。1階の玄関から校門へ行ける
・各ラウンドごとに[DEX5]に成功することで一つずつ階を下ることができる
・1階から校門への移動も同じ判定
・(菊一佳実のダイスは基本全て秘匿で振ってください)
・(菊一佳実は攻撃を当てる気がありません。本来の成功と失敗を入れ替えて判定してください)
・(攻撃を当てた場合はさらに奥へ飛ばすことで[DEX5]にプラス補正を与えてください)
・(PCを能動的に殺すことは〈致命的失敗〉以外であり得ません。気絶で留めて、回復やそのPCを抱えているPCに攻撃はしません)
・(PLが逃げずに何かを模索しようとしても全ての教室に鍵がかかっており開くことはありません)
・(これでも残ろうと選択したPLには何もしませんそのまま《エンド2》になります)
君たちはどうにか校門へと辿り着く。
後ろから追ってくる闇から必死に逃げるなか、何を思うだろうか。
1ヶ月の幻を思い返すだろうか。他の方法を最後まで模索するだろうか。何故こうなってしまったのか原因を考えるだろうか。
命からがら校門へ蹴込む背中に彼の闇に染まった腕が届く。
(ここで菊一佳実の攻撃ロールをオープンで振ってください)
・〈失敗〉その攻撃は空をきり、コンクリート製の足元を穿つ。その衝撃で君たちは校舎の外まで追い出された。
[聞き耳]〈成功〉「ありがとう、みんな」と声が聞こえた
⇨《エンド1》へ
・〈成功〉その腕は君たちの急所を捉える。しかし拳のように握られたその手が寸前で開かれた。トンっと君たちの背中を優しく押す。そこに殺意や悪意はない。暖かな、同時に寂しい、まるで秋の夕焼けのような印象を抱く。
驚いてか、あるいはなんとなく想像がついていたかもしれない。君たちは振り返った。
そこには涙を流しながら満面の笑みで手を振る彼がいた。
「またね」
⇨《エンド1》へ
《エンド1》
瞬間、白い光に目をくらませる。目を逸らしたくなるほどに眩しく、だがどこか暖かく、郷愁を抱くような光。次第に強くなっていき、貴方達は思わず目を瞑った。
それと同時に意識を手放す。何か覚えておきたいことがあったはずだ。何か記録したいことがあったはずだ。何か、何か伝えたいことがあったはずだ。
しかしそれは光ともに彼方へと消えていった。
次に気がつくと白の天井と清潔な部屋に君たちはいた。君たちが目を覚ましたことに気付いたようでベッドの周りの家族が泣きながら抱きしめてくれるだろう。
怪我の痛みに思わず怯むが、その痛みが現実感を与えてくれる。
意識がはっきりすると家族や医者から説明を受けることになる。君たちはスピード違反のトラックに引かれてしまい意識不明の重体であったこと。それから1ヶ月ほどそのまま昏睡状態であったこと。だが、奇跡的にも完治して、特に問題なく社会生活に復帰できるということ。
その説明に安堵と安らぎを覚えるかもしれない。だが、どこか、何か大切なものを失った感覚が残った。
不意に風が吹く。紅く盛った紅葉は散った。少しすれば雪と寒さと共に冬が来る。
そして、それが溶ける頃には、君たちも卒業だ。
⇨最後の終わり際に《菊一佳実のエピローグ》へ(全員が《エンド1》の場合)
《エンド2》
優しく闇が貴方を包み込む。彼の闇は穏やかで暖かく、まるで彼そのものであるような気がした。どれくらいそうしていたのだろうか。数秒か、数年か、波一つ立たない静かな海のようなその空間がある時形を持った。
それは夜空だった。
灰色の月が出て、暗い星々が空に散りゆく。
風は凍てつくように冷たいが、その痛みもどこか心地よい。
少しずつ闇に目が慣れてゆく。何もなかった空間に、いつの間にかそこにあったかのように、暗闇の中で真っ黒な輪郭が見えてくる。
そこは学校だった。
木々は枯れ、日は枯れ、時間も枯れた。
しばらくすると雪が降ってくる。黒と灰の世界に唯一の白が降り積もる。
その屋上に貴方と、彼がいた。
困ったように、けれどもどこか嬉しそうな彼は君に向かって告げる。
「僕のことを覚えてくれてありがとう」
PCロスト
《菊一佳実のエピローグ》
弱々しい足取りと必死に抑える嗚咽の音。
行く宛がなくて、逃げ場所がなくて、誰も救ってくれなくて。とにかく人がいないところを目指して歩き回ってたどり着いた。
楽になりたい。逃げてしまいたい。終わりにしたい。だからとにかく高いところへ。人がいなくてすぐに終わるところへ。それでもあいつら全員に思い知らせることができるところへ。
そんなふうに考えながら訪れたそこは嫌になる程綺麗で穏やかだった。晴れ渡る夏の快晴に耳をうつ蝉の声。汗とかいろんなものを飛ばしてくれる風が気持ちよかった。
そんな夏の光景に溶け込むように彼はそこにいた。
私と同じ制服を着て、こちらを心配そうに見つめる黒髪の男子生徒。小柄な体格と合っていない穏やかで優しい眼差しが印象に残った。
私に気づくとにっこりと微笑んで声をかける。
「初めまして、僕は3年の菊一だ。菊一佳実。君は?」
私の、人生初めての、青春が始まった。
《エンド1》報酬 SAN+1d10
POW+1(必須ではない)
挨拶
ここまで読んでいただき、遊んでいただき本当にありがとうございます。
二作目としてRPや描写中心にシナリオを作ってみました。自由度を削ってストーリーで勝負するのは難しいですが楽しく、作っていて新鮮な気持ちでした。
色々と反省点はありますが、それも生かして次のシナリオ作成に進もうと思っていますので、次回も楽しみにしていただけたらと思っています。
実は10日に1作を目指していますので、このペースを保ちたいと思ってます!応援もお願いします!
著作権・改変など
前作同様に改変や二次配布などは自由とします。動画や配信で使っていただくのも全く構いません。ただし、『泥ぶね』や私たちの名前を必ず載せてください。
面倒かもしれませんが何卒お願いします。
作者・協力者
グループ名 泥ぶね
シナリオ担当
LRoki
二人で運営している泥ぶねと言います! 基本的にはココフォリア付きのデータも更新していきますので簡単にできるシナリオが多いです! BOOTHや外部サイトにも投稿します〜 XやYoutubeの方でお知らせもしていきますのでそちらも是非チェックしてください!
https://www.youtube.com/@dorobune07
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