2019年07月21日更新

クトゥルフ神話TRPGシナリオ・dlFmhp

  • 難易度:★★★★|
  • 人数:1人~3人|
  • プレイ時間:2~3時間(ボイスセッション)

あなたの記憶には穴がある。
思い出せないという事だけが、ガラリと空いた空洞を確かに示している――

==========
ガワは単純クローズド、
その実リアル正気度削り・メタ的展開要素などなど、「一口キャンペーン」なシナリオです。
オリジナルな神話的なにかと呪文が出ます。
テイルズオブシリーズのある要素が僅かに入っています。 未プレイでも無問題。

主に引退試合用・死に際ロール練習セッション用です。
シナリオ改造やリプレイ化、及びリプレイ動画化はご自由に。 ネタバレ注意の旨があると尚よし。

●シナリオ 会長(お忍び)の人 ●サンプル画像 もやし学士の人 ●校正・補足など バナナパイ

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ストック

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クトゥルフ神話TRPGシナリオ・dlFmhp

●レギュレーション
基本的には現代探索者(2010、2015も可)を使用して下さい。
・一部情報の都合上、「1890年以前の探索者」の使用を許可すると
キーパリングが難しくなる事が予想されるためです。
●シナリオの難易度について
・シナリオ自体は、厳密な時間軸の管理を強いるモノではありませんが
ロスト前提シナリオという点で、
PLを集めにくい、癖のあるシナリオであることは確かです。
ハンドアウト制や特殊処理があるため、
「これが初めてのクトゥルフ神話TRPG」というようなPLには難しいかもしれません。
・クライマックスの盛り上がりが印象深くなるため、
KP経験や、即興ロールプレイが得意なPLがいれば
生き生きとしていて、よりよいセッションをしやすくなるでしょう。
●ラヴクラフト御大度
・あまり高くありませんが、PL全員の
「自キャラをホラー作品の被害者にしてやるよ!」という熱意が必要でしょう。
要するに救いはあまりありません。

シナリオ背景

●当シナリオの舞台である異空間は、
シナリオの黒幕である「K.E.E.P.E.R.」が、製作中のシナリオを調整するうちに
偶発的に生み出された、ある種のデバッグ用空間であり、
死者たちが「死」を知覚する前に見る、最後の夢とも言える世界です。

・「黒服の男」は、もともとは『出目が技能値の1/5以下でスペシャル』、などといった
クトゥルフ神話TRPGの基礎システムにおける、
生ける『プレイ・サマリー』『キーパー・エイド』程度の補助ツールとして生み出されました。
彼? は劇中世界において「機械語」同時翻訳ツールの役目を果たしており、
≪母国語≫が違う探索者達が、問題なく対話可能になっているのも彼の力によるものです。

この「黒服の男」は実際に、シナリオ中でもキーパリングや、
シナリオの進行を助けるキャラとして登場します。

・「K.E.E.P.E.R.」目線ではまだまだ未完成のシナリオなため、シナリオ中に登場する
殆どの部屋や家具・調度品は、決まった形をとらずに変形し続けます。

後述する「大書庫」の蔵書も、
「タイトルだけがあって本文は白紙」、という珍妙なものがいくつも並んでいます。
不完全で歪んだまま、この舞台は理不尽なかたちで成立してしまっているのです。

・ロストしたキャラシートの中から適当に選ばれたのか。
それとも元々、彼らがテストプレイ用のキャラシートであったのかは解りませんが、
PCである探索者達は、このような「K.E.E.P.E.R.」による作りかけのシナリオ世界に
駒として並べられてしまいました。

・KPは、時にとある探索者(PC)には情けをかけ、ある探索者には容赦のない死を与えます。
しかし、そのようなキーパリング・および裁定のために、どうKPの感情が揺れ動いたか……
などを探索者たちが理解する事は永遠にありません。
このシナリオには、いかにもな異形・いかにもな敵性モンスターは登場しませんが、
ある意味、キーパーという存在こそが神話生物なのかもしれません。

「K.E.E.P.E.R.」

蓋を閉じるもの
DEX 12 APP 17 SIZ 175
装甲:次元の隔たりにより、当シナリオではいかなる物・呪文からも影響を受けない。
正気度喪失:1/1D8
武器:≪ダイスロール≫100% ダメージ・6D6
SIZ5程度の10面ダイスを2つ転がす。
ただし探索者達を狙っている訳ではないため、探索者に当たる可能性は
2D10を振って「虫取りの部屋」にいる探索者と同じPC番号が出た時に限られる。
10が出た場合は、「虫取りの部屋」にいる「黒服の男」に直撃する。

   ≪没にする≫  100% ダメージ・耐久力が0になる。
「K.E.E.P.E.R.」との戦闘が開始され、なおかつ
6ラウンド目開始時点で1回だけ発動する。
「虫取りの部屋」の床となっていたキャラシートや、シナリオのメモごと
犠牲者たちを丸めて紙くずにする。

後述する特殊処理により、被害を受けた探索者は即座にロストすることもなく、
「サロン」へ締め出されるものの、再び行動可能となる。
あっけなく紙玉にされた「虫取りの部屋」へは以降入室不可能になり、
一連の惨劇や、≪没にする≫の犠牲者のなれの果てを見た探索者は、1/1D6の正気度ロール。

******
・舞台となる世界を造り上げた、当シナリオの黒幕です。
探索者たちとは生きる世界の理が違っているだけで、正体はただの人間です。
なんらかの悪意があったわけではなく、少なくとも彼の中では
「ただ製作中のシナリオをテストプレイしているだけ」の認識なのです。
男性設定はテストプレイでの名残なので、
そのまま性別を変更して運用しても問題ありません。

・『クトゥルフ神話TRPG』をあまり読み込めていないのか、
著名な神話生物や魔道書をいくつも、劇中に落とし込んでいる割には
「黒服の男」に設定ミスのような個性を与えていたりと、
同格の存在であるPL視点から見れば、割とうっかりの多い人物なのかも知れません。

外見設定に変更を加える場合、身長=SIZとしてください。
「身長145cmの人物」をモチーフにするなら、SIZ 145という具合です。
●≪知識≫-20、≪生物学≫や≪医学≫など…… 実在する巨人症や極端な低身長の患者でさえ、
人体の骨格比は極端に変わるものである。
しかしこの巨人は、あなたの背丈の数倍を超えるほどの体躯でありながら、
一般的な中背・細身の成人男性と、なんら変わりない体型をしている。
このような骨格では、本来ならまともな生命活動すら行えないはずだ。
●≪心理学≫…… 彼はあなたに一度も視線を向けておらず、恐らくは
敵意を持つどころか、あなたの存在を認識してすらいない。
●≪クトゥルフ神話≫…… 異常な巨躯であるが、あなたの知るあらゆる神話生物とも一致しない。

「黒服の男」

擬人化・無毒化されたタウィル・アト=ウムル/精霊王の贋作
STR 数値化不能 DEX 11 APP 13 SIZ 12
耐久力 12
呪文:≪変転≫   使用条件:「黒服の男」の視界内に探索者が居る
セッション中に5回まで使用可能。
探索者による直前のD100ロールの結果を、6か94に変更する。
ただし因果を捻じ曲げている為、場合によっては異常な結果が描写され
正気度ロールをPLに要求する。


   ≪巻き戻し≫ 使用条件:「黒服の男」の視界内に、耐久力が0以下の探索者が居る
耐久力が0以下の探索者を蘇らせる。
真の蘇生ではない。 CON+SIZ÷4(初期作成時の半分)まで、対象の耐久力を回復させる。
ただし「挽肉が人型に戻るまでの映像を巻き戻す」ような惨状を晒すため、
呪文を受けた探索者は1/1D8、目撃した探索者は1/1D6の正気度ロール。

******
・シナリオの舞台に組み込まれた、プラグイン的存在です。
ヨグ=ソトースの化身「タウィル・アト=ウムル」の設定群を参考に、
「K.E.E.P.E.R.」が造り出した、お助けNPCの卵でした。
彼は探索者に一切抵抗せず、また探索者からの攻撃を≪回避≫することもありません。

シナリオ中に登場する全ての「黒服の男」は、ひとつの意識や記憶を共有しています。
当シナリオ中で、携帯電話やインターネットを使うと、電話やSNSアカウント等
全てが「黒服の男」にしか繋がらなくなり、0/1の正気度ロールとなります。
逆手にとれば、「黒服の男」に伝言を頼めば、別の部屋にいる探索者同士で
連絡を取り合うことが出来るでしょう。

オリジナル呪文である≪変転≫を持っていますが、
これはセッション進行が止まる前に、彼が「お助けNPCである」と
PL達に決め打ちさせるための誘導用データです。
彼に≪心理学≫を振りたい、と要求された時など都合がいいでしょう。

・『ヨグ=ソトースの息子』が存在することを考慮して
当シナリオでは男性の姿にしていますが、女性にしても構いません。
ただし、「K.E.E.P.E.R.」とは明確に別人だとわかる設定の方がいいです
(ハッキリとした声の高低差がある、外見上の性別が違うなど)。

・劇中では無数の「黒服の男」が存在しており、誰か一人が探索者に殺されようが
すぐに何処からともなく代わりがやってきます。
耐久力が0以下になった個体は、探索者達が死に様のむごさに
気付く前に、玉虫色の泡となって消えていきます。 正気度ロール1/1D4ぐらいを要求して下さい。
『探索者』が『キーパー・エイド』をどう殺すというのですか?

・本来の支配的かつ気紛れな性分の代わりに、無思慮な「個性」をあてがわれた影響で、
「全てにして一つのもの」「門にして鍵」である、本来の自分が別にいる事を知っています。

まともなシナリオであれば、彼の存在こそが最大の「バグ」です。
『神性』と『人間性』という矛盾した個性を与えられたため、
彼は『未知への飢餓感』に苦しんでおり、永続的に癒される事はないでしょう。
少しでも「知的な飢えを忘れたような気にさせてくれる」探索者には、全面的に力を貸すのです。

・探索者が技能ロールで失敗しても、彼に聞けば
「シナリオ上で手に入れられる情報」は教えてくれます。
「はぐらかす」「嘘をつく」ような上等な人間性は持っていません。
●≪心理学≫や、「黒服の男」に危害を加える……
「害意はないが、人間性とも言い難い、未完成な何かを持つ人ではないナニカ」を
感じ取ってしまい、0/1D2の正気度ロール。
●≪クトゥルフ神話≫…… あなたの知る中では「タウィル・アト=ウムル」に最も近いが、
気紛れさや害意と言ったものは感じられない。
●≪目星≫や≪アイデア≫など…… 彼は服の下にペンダントをつけている。
ハッキリと紐やペンダントの飾りが揺れているのが目に付き、
相当大きな飾りが一つだけつけられたデザインだとわかる。
「そこまで意匠の凝ったペンダントならば、普通目立つように付けるはずだ」。 あなたは違和感を感じた。
【KP情報】
ペンダントの飾りは『銀の鍵』です。
タウィル・アト=ウムルがこぞって携行するような品ではないのですが、
「K.E.E.P.E.R.」は「銀の鍵はヨグ=ソトースと関係のあるアイテムだ」という
程度のノリで持たせたのでしょう。※

【ハンドアウト】

ハンドアウトの内容 ※全員共通です。
念のために、ハンドアウトの控えをKPの手元に残しておくと事故率が下がります※

※使用可能なキャラ:ロストした探索者、または盛大な結末を迎えさせたい探索者である。

探索者の耐久力が0である場合、新規探索者と同様に耐久力を再計算し、
現在正気度が0である場合は、SANを元に再計算すること。
ただし、最大正気度以上になるまで
現在正気度を回復することは出来ない。 

あなたの記憶には穴がある。
思い出せないという事だけが、
ガラリと空いた空洞を確かに示している。

家族、恋人、友人、展望、
そのいずれかとは限らないが。
あなたは、未来への希望を失った事だけは理解できている。

あなたは真相を渇望する。
幸か不幸か、求めるものはここにあるとあなたは直感した。

あなたの目的は、「この世界を探索し、失った記憶を取り戻す」事だ。
このハンドアウトを最初に見たものは、
各自別紙に『死因』を書いて、KPに提示する事。

ハンドアウト・『死因』の何れも、KPの許可なく
他のPLに公開することは出来ない
(※仄めかす程度の表現は禁止しない)。

※後々の描写で必要になってくるので、『死因』は出来あがり次第、
おのおののPLから回収しておいて下さい※

KPの事前準備

以下の情報はとくに重要度が高いため、
オフセッションであらば『メモに取っておく』、オンラインセッションであれば
『テキストを保存しておく』など、すぐ必要な時に公開できるよう
備えてあるとより進行がスムーズになるでしょう。

「大書庫」の飛翔するメモ書き

===================
私たちは全てにして一つ。
私たちはルールの証。
私たちは門にして鍵。

これを読んだ人間の君たちよ、その全てを受け入れよう。
私たちは、その為に造られたモノなのだから。
===================

「大書庫」の「死亡届」

===================
※この帳簿には、探索者全員の名前と、
PLから提示された『死因』を掻い摘んだ内容が、淡々と記されています。

当シナリオでは、以下の例文を記載しておきます※

○○:首を吊って自殺
××:不可視の化け物に吸血され失血死
14:車に轢かれ事故死

この内容を知った探索者は正気度ロール0/1D2。
===================

『アカシア年代記』の本文

===================
※「大書庫」の「死亡届」同様、
探索者全員の名前と、PLから提示された『死因』を
掻い摘んだ内容を含む部分があるため、当ページでは例文を含めます※

ここには全てがある。

宇宙が誕生し、ありとあらゆる生命が誕生しては、
死滅して、無に還るまでの全てが。

人間の感性など容易く蹴散らす暴風のように、
無遠慮かつ無思慮に、「全ての真実」が記されている。

○○は、自ら首を吊って自殺した。
××は、不可視の化け物に血を吸い尽くされて死んだ。
14は、友人の死に動転するあまり、迫り来る自動車に
気付くことが出来ず、ひき肉になって死んだ。

君と親しい者かなど関係ない。
全ては死ぬ。
全ては無に還る。

これを読んだ探索者は、即座に正気度を2D8点失う。
また、≪クトゥルフ神話≫技能を100%になるまで加算する。
===================

●探索者の能力値
能力値が減少する可能性が非常に高いため、
セッション開始直前に、全探索者のキャラシートの能力値をメモしておいて下さい。

特殊な処理について

①当シナリオでは、探索者の耐久力が0になっても即ロストすることはありません。
また、耐久力が2以下になっても意識不明にはならず、
ショックロールは無視されます。
 どうせなら正気度を限界まで溶かしてやりましょう。

・この特殊処理については、無理に導入時点で説明する必要はありません。

PLはいきなり説明ばかりされても困惑しますし、なにより飽きてしまいます。
セッション中、探索者の耐久力がはじめて減ったタイミング
説明を入れるぐらいが丁度いいのかも知れません。

・耐久力が0以下になった探索者は、
「黒服の男」の持つ呪文≪巻き戻し≫によって
即座に耐久力をCON+SIZ÷4(端数切上げ)まで回復します。

ただし、≪巻き戻し≫は対象の肉体の損傷したぐあいを、
シナリオ初期時点の状態になるまで巻き戻すだけの呪文です。
イベントの進行による奇形化を治す効果はありません。
木っ端微塵になった「人体だったもの」に、骨肉や血液が纏わりついていく光景は
あまりにもおぞましいものでしょう。

・≪巻き戻し≫の対象になった探索者は1/1D8、
また≪巻き戻し≫の呪文によって死者が蘇るさまを見た探索者は、1/1D6の正気度ロールとなります。

・当シナリオでは、
:CONかSIZが0になった
:INTかEDU、または正気度が0になった
場合にのみ、ロストとして扱います。

②当シナリオでは、PLによるD100ロール
(正気度ロールは含まない)が成否問わず8回行われるたびに、以下のイベントが起こります。


・劇中のデバッグ空間は、少しずつ不要な部分が切り取られて行きます。
【KP情報】
:情報がない
:出入り口もない
:探索者に直接被害はない
:なおかつ、全ての探索者が見えるような地点
が切り取られていく描写を入れてください。
メタ的には、「K.E.E.P.E.R.」がシナリオの推敲中に
「ここは要らないな」と思った部分を削っているのです※

ただでさえ異常な環境下にいる探索者は、更なる非日常に見舞われて
正気を揺さぶられ、自己・「個(≒キャラシートの個性)」を失っていくのです。
この正気度ロールに『慣れルール』を適用するのは難しいでしょう。

戦闘中など、処理が忙しい時にフラグが立ってしまった場合、
発動のタイミングを「ラウンドを更新する前」に先送りしたりして、
流し聞き・流し読みがし辛く、印象的になるようなキーパリングに努めてください。

イベント回数を踏むごとに、探索者に襲い来る脅威は以下のように変化します。
○1回目…… 足指に強い痛みを感じます。
・裸足になると、足指の先からとても小さな足がフラクタル状に生えており、
その悉くが圧し折れていると知ってしまうでしょう。

・靴を脱がなかった場合、足指の痛みは慢性的で激烈なものになります。
正気度ロール1/1D3、足に起きた奇形化により、DEXが1減少します。

○2回目…… 太腿から下が奇妙に揺らぎ、ほかの探索者を見たり
自分の身体を見ると、「輪郭」がぼやけ、下半身から下は
風に吹かれる煙のようにたなびき、透け始めています。
例え目が視えない探索者であろうと、不意に身体に触れてしまい、
いやがおうにも異変に気付いてしまいます。
正気度ロール1/1D4、上手く全身に力が入らなくなり、STR・DEX・APPが1減少します。

○3回目以降…… 「自分自身」、他と個の認識が厳しくなるほどに、全身が揺らいでいきます。
探索者は、いずれ顔そのものが風に吹かれて消えてしまう。 そんな予感さえ抱くかもしれません。
正気度ロール1/1D4+1、肉体が自分の物ではないという違和感を拭えなくなり、
STR・DEX・INT・CON・APP・POWが1減少します。

導入

参加者全員の準備が済み次第、KPは以下の文章を読み上げてください。
出落ちぐらいの方がPLも覚えてくれるでしょう。

===================
――あなたの記憶には穴がある。
数日間、ともすれば数週間。
思い出せないという事だけが、ガラリと空いた空洞を確かに示している。

家族、恋人、友人、展望。
この何れかとは限らない。
どうであれ、未来への展望を、道を照らす光を失った。
それだけは、今のあなたにも理解できた。

君はきっと、真相を渇望する。
息を吸うように求めるが、失う事に耐えられる、そんな作りでは決してない。
人間とは、そういうものだろう?
私は痛感してきた。

それでも知りたいと思うかな?
なら、その閉じた瞼を開くといい。
ここは、知るための場ではない。
だが、君達の求めるものは、確かにここにある。
===================

【KP情報】
「黒服の男」が探索者達に語りかけた内容です※

・薄れそうな意識の中で、蜘蛛の糸が垂らされた。
そんな一声を耳にし、探索者達は縋るような思いで目を開けてしまいます。
気が付くと、探索者達は一様に棒立ちになっています。
立ち寝をするにも限度がありますし、明らかに踏んだことの無い床などを見て、
これはかなり異様な目覚めであると理解するでしょう。

「何万年ぶりだ? 君が
(または『君達が』。 探索者にどんな老人がいようが同じです)、
19951215組目の客人なのか」

探索者は、不意に話しかけられます。
声の主はカフェテーブルの一席に座っており、
男の方を見れば、芋っぽい喪服のような黒ずくめの姿をしています。

・「彼の他に人間はいないのか」、とPLが尋ねてきたり、
システムに慣れたPLなら、「周囲を見渡したい」と宣言するでしょう。
そんな宣言があったら、KPは探索者が周囲を見渡した事にしてください。

・探索者の周囲には、
:脱皮を繰り返す壁
:落ち着きがなく、壁面を這いずり回っている窓枠
:常に姿形を変え続けるカフェテーブル
:脈動する階段
:だまし絵のように、宙を歩いて去っていく黒ずくめ姿の男達

……といった、そんなものが日常生活であってたまるか! というような
理解不能な空間が広がっています。 正気度ロール0/1D3。

自己紹介のロールプレイや、「黒服の男」の描写が終わったところで、
KPは周囲の風景に対し1回、「黒服の男」に1回、
計2回の≪目星≫を要求して下さい。 探索者たちの≪目星≫が低い場合は
≪アイデア≫など、それらしい技能で代用させても構いません。

●周囲の風景への≪目星≫や≪アイデア≫など…… 黒ずくめの男達が数百人は居る。
彼らは、あなたが今そこで見た「黒服の男」と姿形・声色・立ち振る舞いなど全てが瓜二つである。
双子や三つ子などと言った、決して現実的にあり得るような
生温い多産児レベルの人数ではない。
そんな男達が一斉に、あなたの方を見ている事に気付いた。 正気度ロール0/1D2。
●「黒服の男」への≪目星≫や≪アイデア≫など……(再掲) 彼は服の下にペンダントをつけている。
ハッキリと紐やペンダントの飾りが揺れているのが目に付き、
相当大きな飾りが一つだけつけられたデザインだとわかる。
「そこまで意匠の凝ったペンダントならば、普通目立つように付けるはずだ」、あなたは違和感を覚えた。
【KP情報】
他の「黒服の男」に≪目星≫や≪アイデア≫などをしても提供できる情報は同じです。
すでに1回、「黒服の男」への≪目星≫や≪アイデア≫などが成功している探索者が
また同じロールを要求してきた場合、
成功したら「どの黒服の男達も同じペンダントをつけている」という情報を提供して下さい。※

・時間は有限ですし、いきなり見覚えの無い場所にいて
いつまでも探索者達が棒立ちで居られるわけもありません。
時間が厳しければ、適当なタイミングでKPは周囲を見渡すようPLを誘導し、
≪目星≫の処理をさせてください。

・正気度ロール、≪目星≫の処理が終わると、「黒服の男」は
探索者達の目の前で地図を描いて渡してきます。
KPもこのタイミングで、以下のような地図を公開してください。
'画像'
【KP情報】
地図の縮尺は目分量です。
単に部屋の位置関係を把握するものとして運用して下さい。

KPであるあなたには、部屋の大きさぐらい
自在に調整する権利があるので、
別に細かく何畳だのと設定しなくてもいいはずです。
おそらく「K.E.E.P.E.R.」もまじめに決めていません※

PL達が地図を確認でき次第、導入が終わったと明言し
探索を開始させて下さい。

「サロン」

・探索者達の初期位置です。 死ぬほど「黒服の男」達がいます。
ぐねぐねと超現実的に変形し続けており、他の部屋から入室するたびに
この部屋は様変わりしており、
その上でなお、扉の位置関係には一切変化がないため、正気度ロール0/1D3を要求します
(変形し続ける部屋に関しては、一律で慣れルールを適用しても構いません)。

この部屋に、導入で明かされる描写以上の情報はありません。

「大書庫」

・何十mあるのかという極端に高い天井や、
壁をびっしりと埋める本棚などが神秘的でありながらも、
:自分自身を喰らっては再生し続ける本棚
:だらしなくスライム状に流動していて、針すらない壁掛け時計
:小鳥に似た歩き方をする、メモ書きの群れ
:やはり不規則に変形し続ける壁や床、そして天井

などと、とても落ち着いて探し物が出来る環境ではありません。
入退室の度に正気度ロール0/1D3を要求します(慣れ適用可)。

・ここにも数百人単位の「黒服の男」がいるので、
情報共有がなされていない場合は、正気度ロール0/1D2ぐらいを
振らせても良いかもしれません。 無理に振らせなくても構いませんが。

・そもそも浮遊していて探索者達には手の届かない本棚も多数あり、
≪図書館≫などで探索するのにさほど時間はかからないでしょう。
●≪図書館≫や≪目星≫など…… 「ネクロノミコン」「レイバーイオニス」などといった
「製本された白紙」に目が移りそうな中、『死亡届』という奇妙な帳簿を見つけます。
以下の内容(再掲)を提供して下さい。
===================
※この帳簿には、探索者全員の名前と、
PLから提示された『死因』を掻い摘んだ内容が、淡々と記されています。

当シナリオでは、以下の例文を記載しておきます※

○○:首を吊って自殺
××:不可視の化け物に吸血され失血死
14:車に轢かれ事故死

この内容を知った探索者は正気度ロール0/1D2。
===================
【KP情報】
「黒服の男」が知的な飢えを紛らわせるために書いた、『アカシア年代記』のほんの一片です。
スペシャル・クリティカル処理に困った時、
「どこかで見たことがある筆跡だ」という情報を提供しても構いません。
実際に、PL達の推理や想像が楽になるかはともかく※

・≪図書館≫や≪目星≫などで探索者の誰かが
『死亡届』の情報を入手できたか否かに関わらず、
本棚の処理終了後、探索者達めがけて「飛翔するメモ書き」が飛んできます。
PL達に≪POW×5≫ロールを要求して下さい。
【KP情報】
このイベントは、初めて探索者が訪れて
≪図書館≫などで本棚を調べた判定後、1回きりのものです。
ここで誰も成功者がいなかったら、≪変転≫を使っても良いでしょう※

・≪POW×5≫に成功した探索者は、鳩に猛攻を喰らったような状況でも
落ち着いて、メモ書き達に何かが書かれていることに気付き、
1羽のメモ書きを捕まえることが出来ます。

「メモ書き」は、初めの内は探索者から逃れようと羽ばたいてもがきますが、
やがて死んだように動かなくなります。

本文は「達筆過ぎて逆に読みにくい」たぐいの癖字で、
解読には≪母国語≫が必要でしょう。
かなり≪母国語≫が高い探索者がいるならば、自動成功にしても構いません。
●≪母国語≫…… メモ書きの本文は、以下のような内容だと解ります(再掲)。
===================
私たちは全てにして一つ。
私たちはルールの証。
私たちは門にして鍵。

これを読んだ人間の君たちよ、その全てを受け入れよう。
私たちは、その為に造られたモノなのだから。
===================
【KP情報】
メモ書きの群れ達は、どれを捕まえても同じ内容が書かれています。
この怪文書も「黒服の男」が書いたものです。
彼は、永らく未完成のまま放置されたシナリオ世界の中で、幾つかの情報を残しています。
「黒服の男」なりの強迫観念なのかもしれません。※

・地図の通り、「大書庫」の奥には
「真実の部屋」への扉…… 何十mに達するのか解らない、荘厳な石造りの大扉。
見る者によっては、壮大すぎて逆に胡散臭いと感じるかもしれない。
「名も無い部屋」への扉…… 「真実の部屋」への扉と向い合わせになっていなければ、
そのまま見逃してしまったかもしれない。 それだけ陳腐で有り触れた木製の扉だ。
……以上二つの扉があります。

・「真実の部屋」かその扉についてPLが言及したり、探索者からロールプレイで
「この部屋の先になにがあるのか」と尋ねられた場合、
「真実は何よりも異常なものだ。
恐らく、私たちよりも遥かに。
色を付けられ値を吊り上げられ、やっとの思いで手にしたそれが、
途端に君をくびり殺す事だってある。
それでも君が全てを知りたいと言うなら、私たちが案内をしよう」
と「黒服の男」が忠告してきます。
【KP情報】
『向こう行くと正気度蒸発するよ』みたいなメタ的表現こそしませんが、
彼は嘘をつきませんし、つくことが出来ません。
そのようなファジーさや豊かな人格があったなら、
すでに「黒服の男」は劇中世界から脱出していることでしょう※

「虫取りの部屋」

●一度も入室しなくても問題の無い部屋です。
・まず、「部屋の名前について情報が欲しい」という質問や
宣言があったら、≪知識≫-20や≪機械修理≫、
現代探索者であれば≪コンピューター≫≪電子工作≫などもいいでしょう。
それらの技能ロールで判定をして貰って下さい。
●≪知識≫-20や≪機械修理≫などで判定…… 「技術者やエンジニア畑の中では、
もともと原因不明の不具合を『バグ』、つまり暗に虫と呼ぶ事がある」と、あなたは知っている。

≪知識≫-20などで成功した探索者は、さらに≪アイデア≫を振ることができます。
PLがリアル≪アイデア≫で気付いているなら、自動成功としても構いません。
●≪アイデア≫…… 「虫取りの部屋」の『虫』は昆虫のたぐいを指している訳ではない。
きっと、もっと重大な何かを指す符牒だ。 そうあなたは閃いた。

「虫取りの部屋」・内部

・室内には、翅が折れていたり、胴が千切れていたりと、素人仕事の
昆虫標本が雑多に置かれているのが目に付きます。
数百人単位の「黒服の男」たちがうろついており、まるで博覧会のような様子でしょう。
照明器具らしきものは見当たらないのですが、不思議なほど内部は明るいです。
じんわりと壁や床の模様が変化していますが、
もうこのバグ空間に慣れてきている探索者ならば、
正気度ロールが必要なほどショックを受けることはないでしょう。


・部屋の一番奥の壁は布地のようで、奇妙な事に
ゆっくりと、すこしだけ、収縮を繰り返しています。
【KP情報】
なんの事はありません。
部屋の奥にいる「K.E.E.P.E.R.」は呼吸をしているだけです。
もちろん、この時点で探索者がそんな事に気付けるわけがないのですが※
・探索者が壁に触れたり、天井の方を見ると宣言した場合、以下のようなイベントが起きます。

「――POW10だと幸運は50なんだよね、少し厳しいかな
※例文です。
実セッションでは、虫取りの部屋にいる適当な探索者の能力値を元に、
てきとうな技能ロールっぽい発言をK.E.E.P.E.R.にさせてください※
)」

天井をふと見上げると、そこにあるべき木材や石材の構造物は存在していませんでした。
かわりに、筆舌に尽くしがたいほどの巨躯でありながら、
非常に美しい容貌を併せ持つ巨人が、あなたの方を見ていると気付きます。
【KP情報】
実際には探索者のほうを見ている訳ではなく、
「K.E.E.P.E.R.」は、探索者の目線だと床のように見える「キャラシート」を見ているのです。
もし、「TRPGに慣れ親しんでいる」設定の探索者が
室内にいるのであらば、「床の図柄がキャラシートに似ている」といった
情報を提供しても構いません※

・希望者がいれば、「K.E.E.P.E.R.」には以下のような技能ロールを振ることが出来ます(再掲)。
●≪知識≫-20、≪生物学≫や≪医学≫など…… 実在する巨人症や極端な低身長の患者でさえ、
人体の骨格比は極端に変わるものである。
しかしこの巨人は、あなたの背丈の数倍を超えるほどの体躯でありながら、
一般的な中背・細身の成人男性と、なんら変わりない体型をしている。
このような骨格では、本来ならまともな生命活動すら行えないはずだ。
●≪心理学≫…… 彼はあなたに一度も視線を向けておらず、恐らくは
敵意を持つどころか、あなたの存在を認識してすらいない。
●≪クトゥルフ神話≫…… 異常な巨躯であるが、あなたの知るあらゆる神話生物とも一致しない。
技能ロールの有無に関わらず、蓋を閉じるもの「K.E.E.P.E.R.」を目撃した
探索者は、1/1D8の正気度ロールとなります。

・このような巨人を見たら、逃げる事を選ぶ探索者もいると思います。
非常に賢明な判断です。 「部屋から逃げる」行動は自動成功にさせましょう。
愚かにも立ち向かおうとする探索者がいる場合、「K.E.E.P.E.R.」との戦闘になります。

●K.E.E.P.E.R.戦●

・正直言いますと、どのような探索者であっても勝ち目はないでしょう。
PL側が先手を取れるチャンス自体はあるのですが、
探索者とは文字通り「存在している次元が違う」ため、
あらゆる攻撃や呪文は、彼に対して効果を発揮すること無く「K.E.E.P.E.R.」をすり抜けます。

KPは、1ラウンド目の行動順を決定する前に
①6ラウンド目開始時点に、危険極まりない事が起きる(呪文:≪没にする≫が発動します)
②「部屋から逃げる」宣言さえすれば、自分の手番を消費し自動成功で探索者達は逃走できる
ということを宣言して下さい。
「K.E.E.P.E.R.」は探索者達を認識していませんし、彼らを追うこともありません。
仮に探索者が「K.E.E.P.E.R.」に勝った所で、得るものはないのです。

・K.E.E.P.E.R.戦で6ラウンド目になるか、探索者達が
「虫取りの部屋」を脱出して6ラウンドぶん位の時間が経過すると、
≪没にする≫が発動します。

・≪没にする≫が発動すると、「虫取りの部屋」へは一切入室出来なくなります。
この場合、KPは地図を以下のような物に交換するか、
オフセッションの場合「虫取りの部屋」を千切り取って丸めてください。
'画像'

「真実の部屋」

・内部はまるで、石造りの雄大な祠のようです。
太い鎖が部屋中央の「何もないはずの虚空」を縛り上げており、
解き放ってはならないのだ、と誇示しているかのようです。
また、この部屋に「黒服の男」が二人以上存在することはありません。
常に一人になるように調整されています。

・探索者が後ろに回り込もうとすると、その身体は視えない壁に阻まれます(STR100)。
やみくもに破壊したところで、「中央部の虚空」の封印が解けることはありませんし、
解錠された後に回り込んでも情報はありません。

・何本もの鎖によって拘束された中心部には「錠前」がかけられており、
希望者がいれば、≪知識≫-30や≪鍵開け≫、≪機械修理≫などで技能ロールを行うことができます。
●≪知識≫-30や≪鍵開け≫など…… この錠前は、「錠前」としての役割を果たしていない。
呪術的、あるいは魔術的なまじないのような物なのかもしれない。
どうにもデタラメな構造をしており、これを開けるならば「相応しい鍵」が必要だろう。

・錠前を開けたいとPLや探索者が望んだ場合、
「君は全てを受け入れるか?」と「黒服の男」が尋ねてきます。
それでも錠前を開けたい、と望んでいるようなら、「黒服の男」は首にかけていたペンダントを外します。

何も宣言が無ければ、そのまますんなり「黒服の男」が解錠しますが、
探索者が鍵の情報を求めているのであれば、以下の描写と技能ロールを挟んで下さい。
:ペンダントの飾りは、13cm未満の大きな銀色の鍵である。
:手に持つと意外と重い。 鉄製ではないようだ。
:表面は奇妙なアラベスク模様で覆われている。

≪博物学≫などの技能、または≪クトゥルフ神話≫で情報が出ます。
●≪博物学≫など…… この鍵は純銀製のようだ。 道理で重いわけだ。
●≪クトゥルフ神話≫…… これは『銀の鍵』である。 なぜこの男が持っていたのだろう?
あなたは言いようのない不穏な空気を感じた。

この「ペンダントの鍵」ですが、「黒服の男がペンダントを付けている」情報を知っていれば、
または時間はかかりますが、手当たり次第ボディチェックをして奪わせても問題ありません。
「黒服の男」は抵抗しません。 複雑な顔をするかも知れませんが。

・錠前が「ペンダントの鍵」で解錠されると、視えない壁は砕け散って崩壊していきます。
【KP情報】
ここに『アカシア年代記』を配置したのは「K.E.E.P.E.R.」ですが、
このような封印を施したのは「黒服の男」でした。
封印は、『人間には堪えようの無い真実から、探索者達を守る』という役目を終えたのです※
不可視のカケラは玉虫色の光を反射し、跡形も無く消えていくその瞬間、
『死因』が首吊り自殺の探索者には、「輪っかを作った、垂れ下がるロープ」
車に轢かれて、事故死した探索者なら「迫り来る車影」と言ったふうに、
見る者によって違う光景を錯視することでしょう。

封印のカケラが消滅した時、気付けば部屋の中央に
「古ぼけた図鑑のような装丁の本」が落ちています。
表紙をめくると、表題には『アカシア年代記』とだけ書かれています。
装丁に反して真新しい紙質の本文を見ると、強烈な異物感を抱き、
また強く不安感を煽られる事でしょう。

この時点ならば、こんな本なんか見なかった事にして引き返す事も出来ます。
それでも「全てを知りたい」と明言した探索者には、
以下の情報が書かれたメモをこっそり渡して下さい(再掲)。
===================
『アカシア年代記』

※「大書庫」の「死亡届」同様、
探索者全員の名前と、PLから提示された『死因』を
掻い摘んだ内容を含む部分があるため、当ページでは例文を含めます※

ここには全てがある。

宇宙が誕生し、ありとあらゆる生命が誕生しては、
死滅して、無に還るまでの全てが。

人間の感性など容易く蹴散らす暴風のように、
無遠慮かつ無思慮に、「全ての真実」が記されている。

○○は、自ら首を吊って自殺した。
××は、不可視の化け物に血を吸い尽くされて死んだ。
14は、友人の死に動転するあまり、迫り来る自動車に
気付くことが出来ず、ひき肉になって死んだ。

君と親しい者かなど関係ない。
全ては死ぬ。
全ては無に還る。

これを読んだ探索者は、即座に正気度を2D8点失う。
また、≪クトゥルフ神話≫技能を100%になるまで加算する。
===================
『アカシア年代記』を読んだ探索者は、全知?エンドとなります。

「名も無い部屋」

・内部は静かなものです。
広大な草原が広がっていて、風も無いのに草むらはざわめいています。
この部屋に、「黒服の男」が二人以上存在することはありません。
常に一人になるように調整されています。

扉から正面の奥には、ただ一つだけ黒い物体が孤立しています。
この黒い物体は、見る探索者によって「石造り」であったり
「太い棒を突き立てたようなもの」に見えたりしますが、何れも
「名前が読めない墓」であることは共通しています。

・黒い物体に探索者が近付こうとするなら、「黒服の男」は
「君の記憶はここにある。 君は、それを受け入れるか?」と
最後に一つだけ尋ねてきます。

受け入れる事を選んだ探索者が、黒い物体に近付いてみると、
そこには探索者である、あなたの名前が刻まれている事に気が付くでしょう。
これによって、探索者は記憶を取り戻すのです。

KPは、各PLから提供された『死因』を元に、
走馬灯のように探索者の『死因』を描写したのち、
この選択を選んだ探索者のハンドアウト、および『死因』を公開してください。
「死を受け入れた」探索者は、帰路エンドを迎えます。

フレーバー的な情報

重要度は低いですが、セッションの深みは増すかも知れない情報群です。
スペシャルやクリティカル処理に困った時や、
セッション進行に余裕がある時に提供してみてください。

●導入で渡される地図、「大書庫」の『死亡届』や飛翔するメモ。
そして、『アカシア年代記』の筆跡……
 どれも「黒服の男」の筆跡です。
劇中には数え切れないほどの「黒服の男」が登場するわけですが、
筆跡までもが全くの同一なのです。

【KP情報】
シナリオ上「全てを知っている」黒服の男は、
未知なるものを必死に知ろうとして、「時に苦しむことが出来る」探索者達に、
やや見当違いにも思える、憧れのような感情を抱いているのです※

具体的には、前述した4つのうち2つの筆跡を突き合わせるか、
いずれかの情報のうち、2つ目を手に入れた探索者が、
≪INT×4≫などのロールで判定すれば「筆跡は全て同じものだ」と解ります。

●飛翔するメモ書きの≪POW×5≫…… 探索者がスペシャルやクリティカルの出目を
出した場合、「黒服の男」も同じ群れのうち、一羽を捕まえた事にしても良いでしょう。

●「虫取りの部屋」の雑な昆虫標本…… 要するに、リリースノートなどにある
「バグ取りをした旨を報告する」目的で標本化されています。
シナリオ中で判明する事はありませんが、本来はこの「虫取り」も「黒服の男」の仕事でした。

ただ「この虫(バグ)は確実に死んでいる」と証明する為の代物なので、
美観を損ねず丁重に作れているかは二の次であり、非常に雑な出来栄えになっているのです。
この情報は、「昆虫標本を詳しく観察したい」と望むPLがいれば、
技能ロールなしで提供して構いません。

結末

シナリオ上で想定しているのは、以下のような分岐となります。
正直に言うと、どれも探索者が死ぬという点では同じです。
当シナリオのセッションに参加したいと言った時点で、使用された探索者は死んだも同然なのです。
PL達の選んだものは全てがトゥルーエンドであり、
ハッピーとかバッドとかはありません。
これを読んだKPのあなたも含め、参加者全員が楽しいセッションになれば何でもハッピーです。

①CONかSIZが0になった…… 紙くずエンド
肉体がぼろぼろになってしまった探索者は、「K.E.E.P.E.R.」に愛想をつかれてしまったのでしょう。
この結末を迎えたキャラは、全身を紙か何かのように丸められて
「人型のシルエットが丸めて捨てられたような紙くず」にされてしまいます。

あなたが最期に耳にするのは、自らの致命的な何かが圧し折れる音かもしれませんが、
恐怖から喚き叫ぶぐらいの時間は幸運にも残されています。
この顛末を目撃した他の探索者は、1/1D6の正気度ロールとなります。

②INTかEDU、または『アカシア年代記』読破と
関係ないタイミングで正気度が0になった…… 新鮮エンド

人間性を失った探索者は、血と骨肉でできたマネキンのようになります。
あなたは永遠にも近いほどに引き伸ばされた、「一瞬の世界」で
自我も意志もないまま生きる事になるでしょう。

それを「生きている」と表現するかはあなたの自由です。
ただそんな肉塊に、「黒服の男」たちがいつまで関心を持つのかは、誰にも解りません。

③『アカシア年代記』を読み、全てを知った…… 全知?エンド
PLは、この結末を迎えた自分の探索者に関して、「この世界から脱出させる事」以外なら
何でもKPに提案して構いません。 KPが受け入れるかは別問題です。

「黒服の男」は、他の探索者を殺すような事は出来ませんが、
旧支配者達にも劣らないほど宇宙の真理を知ったあなたに、思い付かない事など無いはずです。

そんなふうに「人間ではなくなった探索者」を見た「黒服の男」が、
同族の誕生に喜ぶか、悲しむのか。
はたまた「神にでもなったつもりの人間」を見て、
神の化身が見切りをつけるのかどうかは、この場で長々と語るべきではないでしょう。

ボーナス『全てを知った』…… 正気度を2D10回復します。 人間に戻れるかは解りませんが。

④「名も無い部屋」で自らの記憶を取り戻し、死を受け入れた…… 帰路エンド
この結末を選んだ探索者は、すべての奇形化が治り当セッションで失った
『STR・DEX・INT・CON・APP・POW・SIZ・EDU』を
セッション開始時点の数値まで取り戻します。
 耐久力と正気度は回復しません。

玉虫色に煌めく世界。

「大きなものは、大きな檻に入れられる。
――君達は小さかった。
ああ、だからこの檻を抜けだす事が出来たのか。

魔術師の神なんて馬鹿馬鹿しい。
私たちよりも、君達の方がよほどその名前に相応しいな。
さようなら、刹那の神。
たとえ走馬灯の一瞬であろうと、君達の神性は本物だ……」

囁く様な声を最後に、あなたの視界は漂白されていきます。
ふと見ればそこには、あなたのよく知る世界が静かに待っていました。
随分と遠回りではありましたが、あなたはようやく
帰るべき場所に戻る事が出来たのです。

あなたは自分の死を受け入れました。
墓標の前で、嘆き悲しむ誰かの姿が見えます。
これから永い眠りにつくあなたにとっては、そんなちっぽけな真実が
大きな救いになるのかも知れません。

ボーナス『死を受け入れた』…… 正気度を2D10回復します。

・探索者全員がいずれかのエンドに辿り着けたら、
時間の余裕があるかぎり、後日談を個別にPLたちに演出してもらって
セッション終了としてください。

仮に、「黒服の男」と親交を深めていた探索者がいたら、その探索者の墓前に
「黒服の男」を彷彿とさせるような人物が弔いに来る、といった
KP側からの描写を入れても面白いかもしれません。

ロスト救済化の提案

このシナリオを、普通の探索者で脱出型として遊びたい。
あるいは、ロストした探索者を蘇生するシナリオに改変したいというKPもいるでしょう。

作者側からの改変案は単純なものです。 もっといい手立てがあるかも知れません。
「名も無い部屋」で見る墓標を『いつか、その探索者が迎える結末』の暗喩、
PLに提示させる『死因』は、
『こういう目に遭って、探索者が危篤状態に陥ったエピソード』を
書いてもらう事にしてしまえばいいのです。 走馬灯の世界ですから。
ハンドアウトの目的を達成できたかは問わず、どれかのエンドに辿り着けば
元の世界に帰れる
ことにすれば、探索者の未来が明るいものになるかはともかく、
一応脱出型や、救済系としての体面は整います。

これだけで、とりあえずは通常シナリオ・ロスト救済として運用は可能になるはずです。
ここをこうしたい、という所があったら自由に変更して下さい。

余談

シナリオ作者の人いわく、正式なタイトルは
「Condolence From The Spirits(精霊からの哀悼)」らしいです。

セッション終了後の感想戦にでも明かすと、ちょっとだけ盛り上がりが高まるかもしれません。

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①身内卓で持ちあった自作シナリオ ②同身内卓内のシナリオ作者、及びサンプル画像作者の人から、掲載・改変使用・リプレイ化など一通りの許可を頂いたもの ……以上ふたつの条件を満たしたものを、順次掲載していきたいと思っています。

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