2024年04月22日更新

飛行船の行く先

  • 難易度:★★|
  • 人数:1人~上限なし|
  • プレイ時間:1~2時間(ボイスセッション)

空飛ぶ飛行船。その船の行き先は、人間世界と…宇宙と、リンクしている。その飛行船に乗り合わせてしまった‼一人の少女の人生と、世界の命運を賭けて、今、船の行き先を決める時…‼
クローズドで、若干謎解き系です。
 
 ファンブラーであるほどこのシナリオが面白くなるでしょう。シナリオが読みにくいので、経験を積んだKPさんをお勧めします。プレイヤーについては、比較的簡単なシナリオなので、初心者さんでも経験者さんでも回せると思います。
 
・推奨技能【オカルト】【アイデア】【説得】 若干戦闘あり
 クトゥルフ神話、ヴォイニッチ手稿、花言葉などには諸説あり、多少のガバもありますが、勘弁してください。

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ストック

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注意点 

 このシナリオにはsanチェックなどがあまり表記されておりません。KPさんの裁量で、適当なタイミングで入れてください。
       PCが一人である場合は、探索者の代わりにNPCに技能を振らせてもいいでしょう。
 

導入

 あなたは、仕事で海外出張することになった。あなたは、ビジネスクラスの座席に腰かけ、ついうとうとと眠ってしまう。眠りにつく寸前、あなたは見るだろう。隣に腰かけている、ベールをかぶった美しい女性の顔を。窓の外に、夜であるはずなのに真っ青な青空を…。
 

寝室(スタート地点)

・あなたはふと目が覚める。先ほどまでは狭いビジネスクラスの座席に座っていたのに、いつの間にかベッドで寝ている。その客室は、妙に
 豪華だった。ふかふかのベッド、机、電話、クローゼットがある。
 
 【目星】・クローゼットの中に上着が一枚かかっている。その上着はまだ新しく女物のようだ。
      その上着に【目星】すると、中からカードが見つかる。名刺には、「坂井夏美」という名前が書かれたものだ。電話番号らしき
      ものが書かれている。《1939-9294》という番号だ。
      上着に【聞き耳】をすると、どこかで嗅いだことのある香水の香りがする。しかも、かなり最近嗅いだ香りだ。
      その匂いに【薬学】をすると、最近発売された香水であることが分かる。
 
【聞き耳】・何かが動いているような感覚と音がする。今立っている床が動いているのだろう、ということが分かる。
 

電話 

・普通の電話番号を打ち込んでも何も起こらないが、坂井夏美の電話番号を打ち込むと女性の声が聞こえる。
 普通に質問に答えてくれる。ロールプレイをすると、大体以下のような情報を得られる。(この辺は、プレイヤーのロールプレイに応じてKPさんが情報を出してあげてください。)
 
 /坂井夏美は、先ほどまでこの飛行船に乗っていた。急にこの飛行船に飛ばされてきた。今の寝室から出て、向かい側の黄色いプレートがかかった部屋に『翡翠』という名前の女の子がいる。その少女は、人間世界とリンクしている。この飛行船はドリームランドに向かっている。翡翠を載せたままこの船がドリームランドについたら、人間界がドリームランドへ、つまり世界が滅びる。翡翠と協力して、この飛行船の行く先を変えなければいけない。私が知っているのはここまで。翡翠から聞いた内容である。私が除染室(シャワーとかがあるところ)で体を洗い、《神の部屋》と書かれた場所に入ると、元の世界に飛ばされた。あの《神の部屋》には、我々は入ってはいけない領域だと思う。
 また、彼女は現実世界の自室に居ると教えてくれる。しかし、【心理学(半分の値)】に成功すると、それが嘘ではないかと思う。
 

机・ベッド

 情報なし。
 

寝室の外

・廊下がある。PCが廊下に一歩踏み出すと、目の前にあった部屋の扉が開いた。中から顔をのぞかせたのは、美しい顔立ちの少女だ。
 《少女(遠藤翡翠)のステータス》
 Str 20 con 50 pow 99 app 90 dex 35 int 90 siz 60 edu 90
 【目星】その少女の髪のヘアピンが気になる。エンドウの花のヘアピンで、あまり見かけないものだ。
     そのヘアピンについて少女に尋ねると、「私がずっと持っているヘアピンなの。」と答える。
     そのヘアピンに【生物学】…エンドウの花言葉は《必ず来る幸福》《約束》など、《永遠》に関わる言葉が多いことが分かる。
 
 その少女は、質問をしたり話しかけると答えてくれる。(ここもKPさんがうまいことロールプレイに応じて情報を出してください)
 
 /少女は遠藤翡翠という名前の少女。何歳かは分からない。生まれてから、ずっとこの飛行船の中にいた。もう果てしない月日が流れているはずなのに、私はほとんど成長しなくなった。坂井夏美は、ついさっき…探索者たちが現れる直前までここにいた。この飛行船は、恐ろしく長く飛んでいる。出発点も目的地も分からない。船のコックピットにいる操縦士さんは、どこへ向かっているのか何も話してくれない。
 
 その少女は、船内を案内してくれる。
 

キッチン・食堂

・ごく普通のキッチンだ。テーブル席もいくつかある。少女は、「ここはキッチン兼食堂。私が自分で料理を作っているの。あのハンバーガーも私が作ったのよ。食べていってくれない?お腹空いたでしょう?」と言う。食べると、【san値回復】1d3。
 【薬学】【医学】などを振ると、そのハンバーガーは無害であることが分かる。特殊成功をすると、KPさんはこのように探索者たちに伝えるとよい。『このハンバーガーは無害であることが分かる…この世界の中では。』
 ハンバーガーを食べると、強制的に【アイデア】を振らせる。成功すると、《ヨモツヘグイ》という言葉が頭に浮かぶ。どんな意味かは、
探索者はまだわからない。
 (このハンバーガーを食べてしまった場合、除染室で体を洗わなければ探索者は人間界に戻れない。)
 【目星】キッチンの流し台に、翡翠が作ったハンバーガーが載っていた皿が何枚も使用された跡がある。だが、そのどれもが洗われず、放
     置されているように見える。
 

医務室

・ごく普通の医務室だ。清潔で、あまり使用された形跡がないように思う。
 【医学】【薬学】で、最新鋭の機材や薬品が揃っているのにもかかわらず、全く使用されていないことが分かる。そのことについて翡翠に聞くと、「だって、私以外に使う人、この飛行船の中にほとんどいないのよ?」と言う。
 【心理学】か【アイデア半分】に成功すると、探索者たちは不思議に思う。『使用者がいない、それにこの飛行船は長い間飛び続けているのに、何でこんな最新機器を飛行船に積み込むことが出来たのだろう』と。
 それ以外は情報なし。
 

貨物室

・いろいろな物が積まれている。
 【目星】の出目に応じて、探索者が望むものをいくつか与えてもよい。
 それ以外は情報なし。
 

ラウンジ

・ごく普通の、社交室のような、休憩所のような場所だ。トイレもある。
 【目星】特に何もない。
・トイレ内部は、4つ個室がある。
 【目星】で、トイレが一つしか使われていないことが分かる。それについても、翡翠は「だって、トイレを使う人ってほとんどいないもの。」という。
 【アイデア(難易度調整で半分の値にしてもいいかも)】または【心理学】で、「飛行船内部の人がほとんどいない」ではなく「トイレを使う人がいない」と言ったところが気になる。

金庫室

・金庫室とある通り、金庫が並んでいる。
 ここでは【鍵開け】【手捌き】または翡翠を【説得】して金銀財宝をいくらでも盗むことができる。
 【アイデア】で、《ヨモツヘグイ》という言葉が強く浮かんでくる。
 それ以外は情報は無い。
 

資料室

・壁いっぱいに本が並んでいる。
 【1d100】で、1~25が出ればネクロノミコン、26~50までが出れば飛行船内のマップ、51~75が出ればヴォイニッチ文書、76~100が出ればある事象が起きる。
  [ネクロノミコン]探索者たちがこれを開けると、【アイデア】を強制的に振らせる。成功すると、san値の減少などに関わらず強制的に一
         時的狂気に陥らせる。
         【オカルト】【クトゥルフ神話】などの成功で、《ヨグ=ソト―ス》という単語が頭に浮かぶ。
 
  [飛行船のマップ]今まで通ってきた場所が載っている。まだ行っていないのは、除染室とコックピット、神の部屋だ。
         【目星】または【アイデア】成功で、資料室からしか行けない[昇降機]という場所があることに気が付く。そして、[昇降
          機]の先には、神の部屋があることも知ってもよい。また、神の部屋に行くには昇降機からしか入れないことも分かる。
          だが資料室に繋がっているはずの[昇降機]は、どうやっても見つからないだろう。
 
 [ヴォイニッチ文書]【アイデア】【知識の半分】【オカルト】で、それはヴォイニッチ文書(ヴォイニッチ手稿)だと分かる。それはもうすで
          に解読されているようだが、あなたはそれを見た時、ふと頭に大いなるクトゥルフの姿が浮かんでしまった。san値チェ
          ックに関わらず、強制的に一時的狂気に。それと同時に、ふと疑問がわく。「ヴォイニッチ手稿は現実世界でちゃんと
          保管されているはずだ。どうしてここにあるのだろう?」
          【目星の半分】に成功で、その手稿の中に見覚えのある花を見つける。エンドウのような花だ。
 
     [ある事象]あなたは資料室の中で一冊の本を引き出してしまった。すると、ガラガラと壁が崩れた。その先には、何だか空間が広が
          っていた。【目星】または【知識】成功でそれは昇降機…リフトであることが分かる。
 
・あなたが昇降機の先に進もうとすると、翡翠があなた達の前に立ちふさがった。「行かないで、そこからは…行ってはいけないの。危ない。行かないで。」そんなことを言って、探索者たちを全力で止めるだろう。
 探索者たちが昇降機の方へ行くのをやめると、次は除染室へ案内してくれる。
 もし探索者たちがそれでも神の部屋に進もうとすると、翡翠が覚醒する。その描写は以下の通り。
・あなたたちは翡翠の制止を聞かず、前に踏み出した。その時、あなたは知ってしまった。翡翠の本当の姿を…。彼女の姿が変化していく。巨人のような、いや、もっと恐ろしいものに。あなたは逃げなければ、と思うだろう。
 《翡翠(覚醒版)のステータス》
 Str 170 con 140 pow 99 app 90 dex 105 int 90 siz 220 edu 0
 この状態の翡翠の攻撃に一度も当たらずに、2ターン分走ると、コックピットに辿り着く。⇒エンディング1へ
 逃げずに神の部屋へ走り込む場合は、エンディング5へ。
 (この辺りの戦闘は、KPさんにお任せします。ただし、翡翠の攻撃に当たると強制気絶させてください。何しろ巨人に踏みつぶされるぐらいのパワーがあるので…。)
 戦闘で強制気絶した場合は、エンディング3へ。
 

除染室

・シャワーや洗濯機などがある。あなた達はここで体を洗うことができるだろう。翡翠は、あまり体を洗うことをお勧めしないようだ。
 [洗った場合]
 とても幸せな気分になる。【san値回復1d3】エンディング7へ。
 [翡翠にも体を洗わせた場合]
 【交渉技能】成功で翡翠も体を洗う。エンディング2へ
 [翡翠のみ体を洗わせた場合]
 【交渉技能】成功で翡翠が一人で体を洗う。エンディング4へ。
 [全員洗わなかった場合]
 エンディング6へ

エンディング

エンディング1

 探索者たちが走ってたどり着いたのは、コックピットだった。コックピットの窓の向こうには、黒い空が広がっている。
 コックピットに佇んでいたのは、深い緑色の髪をした美しい若い女性だった。しかし、そのえんじ色の瞳には、哀し気な光がある。
 「…翡翠を、目覚めさせたのですか。」
 その女性は悲しげな声であなた達に語り掛けた。
 「あの子…翡翠の存在とこの船と現実世界は、完全にリンクしていました。あの子の名前…遠藤翡翠。エンドウの花言葉は、《永遠》。翡翠の石言葉は《幸せ》。あの子はこの船の中で永遠に近い時間を過ごしながら、ずっとずっと幸せを望んでいた。その姿はあまりにも哀しかった。私の姿は、あの子には見えないのです。ずっと、私は見守るだけだった。」
 「でも、もうあの子は知性を失ってしまった。私はこの船の進行方向を監視し続けていました。ですがもう、私にもコントロールできません。この船の存在そのものである、彼女が知性を失ったのだから。真っすぐ、目的地へ…ドリームランドへ向かうでしょう。」
 「あなた達人間はよくこの船にやってきました。そんな人間たちと関わるたびに、翡翠は…あの子は少しづつ愛を知ったのです。ですが、もう世界は滅びます。あなたも確実に死んでしまいます。だから…私からのお願いです。」
 《柘榴》(ざくろ)という言葉が頭に浮かんだ。この女性の名は、きっと《柘榴》なのだろう。その瞳は真っすぐにあなた達を見つめていた。
 「せめて…最後にあの子に会いに行ってあげてくれませんか?あなた達をあの子は襲うでしょう。でも…あの子に、最後に人間に会わせてやりたいのです。」
 ここで探索者たちは選ぶことができる。
 ドリームランドにつくまでコックピットで待つか、コックピットの外にいる翡翠に会いに行くか…。
 
 [待った場合]
 徐々にガラス窓の向こうに、何かが見えてきた。混沌の象徴のような、何かが。突然、船が大きく揺れた。何かが壊れた音がした。高度が急激に下がったようだ。
 「この飛行船の中にいた神話生物たちが、ドリームランドを目指してここから飛び出したのです。」
 柘榴が窓の外を見て言った。
 「さて、私も行かなくては。…この飛行船は、最後は墜落します。どうぞお元気で。」
 そう言って、柘榴はコックピットの窓を叩き割る。そして、勢いよく振り向いた。あなたに向けられたその目は、恐ろしく冷たかった。失望したような、軽蔑したような、そんな目だ。
 「あなたのように…愛を知らない人間は…翡翠に愛を与えられなかった人間は、クトゥルフ様にいたぶられるといい。」
 窓枠に足を掛け、柘榴は背を向けたままあなたに言い放った。
 「…最後に言うのを忘れていました。私は、ヨグ=ソト―ス様の落とし子。…ドリームランドの住人です。」
 それはあなたが聞いた人生最後の言葉だった。
 《バットエンド・キャラロスト[クトゥルーエンド]》
 
 [会いに行った場合]
 あなたがコックピットを出た瞬間、体の感覚がなくなった。その感覚は一瞬だった。それが、死だったのか、あなたは今でも分からない。
 だが、あなたの意識は残っていた。その意識で、あなたは元の翡翠の声を聞いた。
 「どうして…私は…なんてことを…。」
 翡翠は、元の姿に戻っていた。翡翠は、コックピットを覗いた。
 「あなたは…‼」
 それを聞いて驚いたのは、柘榴だ。
 「私の姿が…見えるのですか?翡翠…。」
 「お願いです‼」
 翡翠が柘榴に近寄る。
 「この船を…。ドリームランドから遠ざけてください‼」
 「でも、この船には…神話生物がいるのですよ?元の場所に神話生物を返さなくては…。」
 柘榴が困惑したように言う。
 「私は…今、あの人を殺めました。でも、私は気付きました。やはり私は、人間のことを愛していたのだと。大切に思っているのだと。私は人間たちへの罪滅ぼしのため…この船を守ります。この船は、人間界そのものなのでしょう?私自身が人間界そのものなのでしょう?私は、この船を…人間界を、守り続けます。」
 「例え、あなたと戦ったとしても。人外…ヨグ=ソト―スの落とし子と、戦うことになったとしても。」
 そこまで言って、翡翠は柘榴を見据えた。
 「なぜ分かったのです?私がヨグ=ソト―ス様の落とし子だと。」
 柘榴が驚いたように訊き返した。
 「私は七十億年間…宇宙が、神話生物が誕生したときから、神話生物とともにいるのですよ?見破られないとでも思いましたか?そして…私も神の姿は見えます。今までずっと見えていました。でも、あなたは私に話しかけてくれなかった。…一度たりとも。」
 「さすがですね。…バレてしまったのなら…私は、ここから去ります。これからはあなたが…人間世界を守ってくれるのでしょう?」
 そう言って、柘榴は姿を消した。その直前、柘榴は翡翠に手を伸ばした。
 「翡翠…孤独だったのはあなただけではありません。私も一人でした。私は…あなたを愛していましたよ。」
 「…ありがとう。」
 そう言って翡翠は微笑んだ。
 人間界は、今日も元気に活動を続けている。それは、愛を知った少女の加護があるからだ。
 《ハッピーエンド・キャラロスト[愛を知った少女]》

エンディング2

 あなた達はコックピットに向かった。曇り空が窓の外に広がっている。
 コックピットに佇んでいたのは、深い緑色の髪をした美しい若い女性だった。しかし、そのえんじ色の瞳には、哀し気な光がある。
 「私は柘榴。この船の番人です。…あなた達は、どうしたいのです?」
 その女性は悲しげな声であなた達に語り掛けた。
 「あの子…翡翠の存在とこの船と現実世界は、完全にリンクしています。この船は、このままではドリームランドについてしまいます。この船を行き先を変えることができるのは、翡翠だけです。」
 それを聞いて、探索者は頷いた。
 「でも私の姿は…翡翠には見えないのです。」
 柘榴が悲しげにそう言った。
 探索者は、ここで翡翠を【説得】したりロールプレイで、翡翠の気持ちを変え、この船の行き先を変えなければいけない。ここで、説得などに成功した場合、以下の描写がある。失敗すると、エンディング1の[待った場合]の描写になる。
 
 「あなた達より前に…この飛行船にやって来た人はたくさんいた。皆、優しかった。でも、皆どこかへ消えてしまうの。人間界へ戻ってしまうの。あなたも、帰っちゃうの?人間界へ…。」
 探索者たちがどんな反応を示そうとも、翡翠は微笑む。
 「私は、やっとわかりかけてきた。今までたくさんの人間と交流を続けてきたもの…。人を愛するということが。人を大切にするということが。だから私は…人間界を、大切な人間たちを守りたい‼だから私は、戦ってもいい。…聞いていたでしょう、そこにいる…ヨグ=ソト―スの落とし子‼」
 探索者はそれを聞いてやっと理解する。この柘榴という女性は、ヨグ=ソト―スの落とし子であることを。
 「この七十億年間…あなたは一言も私に口をきいてくれなかった。私は、孤独だった。」
 柘榴は静かにそう言い放った。
 「私もよ、すごく寂しかった…。」
 翡翠はそう言って、涙を流す。その様子を見て、柘榴が小さな声で言った。
 「あなたが…あのヴォイニッチ文書を読んでから、自分を【遠藤翡翠】と名乗る理由は、私にもわかっていたのです。遠藤…エンドウの花言葉は《永遠》《いつか来る幸福》《約束》、翡翠の石言葉は…《幸せ》《繁栄》。あなたは永い月日の間、一人で、いつか訪れる幸せを待ち続けていた…。」
 「私も分かっているつもりよ。あなたの名前の【柘榴】…。柘榴石のことね。一途な愛の象徴。石言葉は《真実》。でも、分からない。あなたは、その真実の一途な愛を、誰に捧げていたの…?」
 「さぁ、あなたは人間界に行きなさい。帰りなさい。でも、そこの人間は元の世界には帰れない。私と一緒に、この船を守ってくれますか?」
 翡翠の質問には答えず、柘榴がコックピットの操縦席に座る。
 「そこの人間は、ヨモツヘグイの一種…こちらの世界のものに触れてしまったので、元の世界に戻れないのです。」
 そう言って、柘榴は翡翠の方を向いた。
 「翡翠、あなたの《幸せ》は、《繁栄》は…人間界にあるのだから。この船のことは任せて。私達がこの船を守り抜きます。永遠に。」
 柘榴のその声を聞いていると、だんだん体が軽くなるのを感じた。
 「私達が人間界を守ります。安心してください、翡翠。」
 「ありがとう…。」
 翡翠が呟く。翡翠の体はほとんど消えかかっていた。その中で、柘榴が呟く。
 「私はヨグ=ソト―スの落とし子。ドリームランドの住人。でも、私が真実の一途な愛をささげたのは…翡翠、あなた。人間界へ行くあなたを守るために、私はこの飛行船を守る。永遠(とわ)に。」
 あなたは柘榴とともに、その飛行船を永遠に守り続けるだろう。でも、あなたが守り続けている間は、人間たちは元気に生きていくことができるのだ。探索者たちはまるで、自分が神になったような感じがした。
 《ノーマルエンド・キャラロスト[神になった探索者]》

エンディング3

 その一撃で、体の感覚がなくなった。その感覚は一瞬だった。それが、死だったのか、あなたは今でも分からない。
 だが、あなたの意識は残っていた。その意識で、あなたは元の翡翠の声を聞いた。
 「どうして…私は…なんてことを…。」
 翡翠は、元の姿に戻っていた。
 「私は…今、あの人を殺めました。でも、私は気付きました。やはり私は、人間のことを愛していたのだと。大切に思っているのだと。私は人間たちへの罪滅ぼしのため…この船を守ります。この船は、人間界そのものなのでしょう?私自身が人間界そのものなのでしょう?私は、この船を…人間界を、守り続けます。」
 しかし、その願いはかなわなかった。
  徐々にガラス窓の向こうに、何かが見えてきた。混沌の象徴のような、何かが。突然、船が大きく揺れた。何かが壊れた音がした。高度が急激に下がったようだ。この飛行船の中にいた神話生物たちが、ドリームランドを目指してここから飛び出したのだ。
 「私は誰からも…愛されなかった。」
 それは翡翠が言い放った人生最後の言葉だった。
 《バットエンド・キャラロスト[報われなかった少女]》
 

エンディング4

 あなた達はコックピットに向かった。曇り空が窓の外に広がっている。
 コックピットに佇んでいたのは、深い緑色の髪をした美しい若い女性だった。しかし、そのえんじ色の瞳には、哀し気な光がある。
 「私は柘榴。この船の番人です。…あなた達は、どうしたいのです?」
 その女性は悲しげな声であなた達に語り掛けた。
 「あの子…翡翠の存在とこの船と現実世界は、完全にリンクしています。この船は、このままではドリームランドについてしまいます。この船を行き先を変えることができるのは、翡翠だけです。」
 それを聞いて、探索者は頷いた。
 「でも私の姿は…翡翠には見えないのです。」
 柘榴が悲しげにそう言った。
 探索者は、ここで翡翠を【説得】したりロールプレイで、翡翠の気持ちを変え、この船の行き先を変えなければいけない。ここで、説得などに成功した場合、以下の描写がある。失敗すると、エンディング1の[待った場合]の描写になる。
 
 「あなた達より前に…この飛行船にやって来た人はたくさんいた。皆、優しかった。でも、皆どこかへ消えてしまうの。人間界へ戻ってしまうの。あなたも、帰っちゃうの?人間界へ…。」
 探索者たちがどんな反応を示そうとも、翡翠は微笑む。
 「私は、やっとわかりかけてきた。今までたくさんの人間と交流を続けてきたもの…。人を愛するということが。人を大切にするということが。だから私は…人間界を、大切な人間たちを守りたい‼だから私は、戦ってもいい。…聞いていたでしょう、そこにいる…ヨグ=ソト―スの落とし子‼」
 探索者はそれを聞いてやっと理解する。この柘榴という女性は、ヨグ=ソト―スの落とし子であることを。
 「この七十億年間…あなたは一言も私に口をきいてくれなかった。私は、孤独だった。」
 柘榴は静かにそう言い放った。
 「私もよ、すごく寂しかった…。」
 翡翠はそう言って、涙を流す。その様子を見て、柘榴が小さな声で言った。
 「あなたが…あのヴォイニッチ文書を読んでから、自分を【遠藤翡翠】と名乗る理由は、私にもわかっていたのです。遠藤…エンドウの花言葉は《永遠》《いつか来る幸福》《約束》、翡翠の石言葉は…《幸せ》《繁栄》。あなたは永い月日の間、一人で、いつか訪れる幸せを待ち続けていた…。」
 「私も分かっているつもりよ。あなたの名前の【柘榴】…。柘榴石のことね。一途な愛の象徴。石言葉は《真実》。でも、分からない。あなたは、その真実の一途な愛を、誰に捧げていたの…?」
 「さぁ、あなたは人間界に行きなさい。帰りなさい。でも、そこの人間は元の世界には帰れない。私と一緒に、この船を守ってくれますか?」
 翡翠の質問には答えず、柘榴がコックピットの操縦席に座る。
 「そこの人間は、ヨモツヘグイの一種…こちらの世界のものに触れてしまったので、元の世界に戻れないのです。」
 そう言って、柘榴は翡翠の方を向いた。
 「翡翠、あなたの《幸せ》は、《繁栄》は…人間界にあるのだから。この船のことは任せて。私達がこの船を守り抜きます。永遠に。」
 柘榴のその声を聞いていると、だんだん体が軽くなるのを感じた。
 「私達が人間界を守ります。安心してください、翡翠。」
 「ありがとう…。」
 翡翠が呟く。翡翠の体はほとんど消えかかっていた。その中で、柘榴が呟く。
 「私はヨグ=ソト―スの落とし子。ドリームランドの住人。でも、私が真実の一途な愛をささげたのは…翡翠、あなた。人間界へ行くあなたを守るために、私はこの飛行船を守る。永遠(とわ)に。」
 あなたは柘榴とともに、その飛行船を永遠に守り続けるだろう。でも、あなたが守り続けている間は、人間たちは元気に生きていくことができるのだ。探索者たちはまるで、自分が神になったような感じがした。
 《ノーマルエンド・キャラロスト[神になった探索者]》
 

エンディング5

 そこには、恐ろしいものが待っていた。あなたは、なにも分からない。あなたの体の全てが、飲み込まれてしまった。邪神たちに食いつくされたのだろう。
 《バットエンド・キャラロスト[邪神たちの餌]》
 

エンディング6

 あなた達はコックピットに向かった。曇り空が窓の外に広がっている。
 コックピットに佇んでいたのは、深い緑色の髪をした美しい若い女性だった。しかし、そのえんじ色の瞳には、哀し気な光がある。
 「私は柘榴。この船の番人です。…あなた達は、どうしたいのです?」
 その女性は悲しげな声であなた達に語り掛けた。
 「あの子…翡翠の存在とこの船と現実世界は、完全にリンクしています。この船は、このままではドリームランドについてしまいます。この船を行き先を変えることができるのは、翡翠だけです。」
 それを聞いて、探索者は頷いた。
 「でも私の姿は…翡翠には見えないのです。」
 柘榴が悲しげにそう言った。
 探索者は、ここで翡翠を【説得】したりロールプレイで、翡翠の気持ちを変え、この船の行き先を変えなければいけない。ここで、説得などに成功した場合、以下の描写がある。失敗すると、エンディング1の[待った場合]の描写になる。
 
 「あなた達より前に…この飛行船にやって来た人はたくさんいた。皆、優しかった。でも、皆どこかへ消えてしまうの。人間界へ戻ってしまうの。あなたも、帰っちゃうの?人間界へ…。」
 探索者たちがどんな反応を示そうとも、翡翠は微笑む。
 「私は、やっとわかりかけてきた。今までたくさんの人間と交流を続けてきたもの…。人を愛するということが。人を大切にするということが。だから私は…人間界を、大切な人間たちを守りたい‼だから私は、戦ってもいい。…聞いていたでしょう、そこにいる…ヨグ=ソト―スの落とし子‼」
 探索者はそれを聞いてやっと理解する。この柘榴という女性は、ヨグ=ソト―スの落とし子であることを。
 「この七十億年間…あなたは一言も私に口をきいてくれなかった。私は、孤独だった。」
 柘榴は静かにそう言い放った。
 「私もよ、すごく寂しかった…。」
 翡翠はそう言って、涙を流す。その様子を見て、柘榴が小さな声で言った。
 「あなたが…あのヴォイニッチ文書を読んでから、自分を【遠藤翡翠】と名乗る理由は、私にもわかっていたのです。遠藤…エンドウの花言葉は《永遠》《いつか来る幸福》《約束》、翡翠の石言葉は…《幸せ》《繁栄》。あなたは永い月日の間、一人で、いつか訪れる幸せを待ち続けていた…。」
 「私も分かっているつもりよ。あなたの名前の【柘榴】…。柘榴石のことね。一途な愛の象徴。石言葉は《真実》。でも、分からない。あなたは、その真実の一途な愛を、誰に捧げていたの…?」
 「あなた達は人間界へはいけない、帰れない。だから、これからはずっと一緒にいましょう。」
 翡翠の質問には答えず、柘榴がコックピットの操縦席に座る。
 「そこの人間は、ヨモツヘグイの一種…こちらの世界のものに触れてしまったので、元の世界に戻れないのです。翡翠、あなたも。」
 柘榴は小さく呟いた。
 「私はヨグ=ソト―スの落とし子。ドリームランドの住人。でも、私が真実の一途な愛をささげたのは…翡翠、あなた。あなたが愛した人間を守るために、私はこの飛行船を守る。永遠(とわ)に。」
 あなたは柘榴とともに、その飛行船を永遠に守り続けるだろう。でも、あなたが守り続けている間は、人間たちは元気に生きていくことができるのだ。探索者たちはまるで、自分が神になったような感じがした。
 でも、孤独ではない。そこには3人の、愛があるからだ。
 《ノーマルエンド・キャラロスト[天空に浮かんだ愛]》
 

エンディング7

 あなた達はコックピットに向かった。曇り空が窓の外に広がっている。
 コックピットに佇んでいたのは、深い緑色の髪をした美しい若い女性だった。しかし、そのえんじ色の瞳には、哀し気な光がある。
 「私は柘榴。この船の番人です。…あなた達は、どうしたいのです?」
 その女性は悲しげな声であなた達に語り掛けた。
 「あの子…翡翠の存在とこの船と現実世界は、完全にリンクしています。この船は、このままではドリームランドについてしまいます。この船を行き先を変えることができるのは、翡翠だけです。」
 それを聞いて、探索者は頷いた。
 「でも私の姿は…翡翠には見えないのです。」
 柘榴が悲しげにそう言った。
 探索者は、ここで翡翠を【説得】したりロールプレイで、翡翠の気持ちを変え、この船の行き先を変えなければいけない。ここで、説得などに成功した場合、以下の描写がある。失敗すると、エンディング1の[待った場合]の描写になる。
 
 「あなた達より前に…この飛行船にやって来た人はたくさんいた。皆、優しかった。でも、皆どこかへ消えてしまうの。人間界へ戻ってしまうの。あなたも、帰っちゃうの?人間界へ…。」
 探索者たちがどんな反応を示そうとも、翡翠は微笑む。
 「私は、やっとわかりかけてきた。今までたくさんの人間と交流を続けてきたもの…。人を愛するということが。人を大切にするということが。だから私は…人間界を、大切な人間たちを守りたい‼だから私は、戦ってもいい。…聞いていたでしょう、そこにいる…ヨグ=ソト―スの落とし子‼」
 探索者はそれを聞いてやっと理解する。この柘榴という女性は、ヨグ=ソト―スの落とし子であることを。
 「この七十億年間…あなたは一言も私に口をきいてくれなかった。私は、孤独だった。」
 柘榴は静かにそう言い放った。
 「私もよ、すごく寂しかった…。」
 翡翠はそう言って、涙を流す。その様子を見て、柘榴が小さな声で言った。
 「あなたが…あのヴォイニッチ文書を読んでから、自分を【遠藤翡翠】と名乗る理由は、私にもわかっていたのです。遠藤…エンドウの花言葉は《永遠》《いつか来る幸福》《約束》、翡翠の石言葉は…《幸せ》《繁栄》。あなたは永い月日の間、一人で、いつか訪れる幸せを待ち続けていた…。」
 「私も分かっているつもりよ。あなたの名前の【柘榴】…。柘榴石のことね。一途な愛の象徴。石言葉は《真実》。でも、分からない。あなたは、その真実の一途な愛を、誰に捧げていたの…?」
 「さぁ、あなたは人間界に行きなさい。帰りなさい。でも、そこの人間は元の世界には帰れない。私と一緒に、この船を守ってくれますか?」
 翡翠の質問には答えず、柘榴がコックピットの操縦席に座る。
 「そこの人間は、元の世界に戻りなさい。」
 そう言って、柘榴は翡翠の方を向いた。
 「人間、翡翠の《幸せ》は、《繁栄》は…人間界にあるのだから…翡翠の幸せのためにも、この船のことは任せて。私達がこの船を守り抜きます。永遠に。」
 柘榴のその声を聞いていると、だんだん体が軽くなるのを感じた。
 「私達が人間界を守ります。安心してください。」
 柘榴の落ち着いた声が聞こえる。
 「(探索者の名前)、ありがとう。私達が、何があっても世界を守ります。」
 翡翠が明るく探索者に言う。
 探索者の体はほとんど消えかかっていた。その中で、柘榴が呟く。
 「私はヨグ=ソト―スの落とし子。ドリームランドの住人。でも、私が真実の一途な愛をささげたのは…翡翠、あなた。あなたの思いのままに、私はこの飛行船を守る。永遠(とわ)に。」
 ふと気づくと、あなたはもとの飛行機の中にいた。
 翡翠を柘榴は共に、あの飛行船を永遠に守り続けるだろう。でも、彼女たちはもう孤独ではない。あの二人は愛を知ったのだ。空の向こうで、今も仲良く人間界を見守っているだろう。
 《ハッピーエンド・san値回復1d3[愛の力の加護]》 
 

真相

 翡翠は宇宙誕生からしばらくして…約七十億年前に、船のようなものに乗った。最初は翡翠も人間の形をしていなかった。世界を象徴する存在…世界を動かす存在として。人間の文明が進んでいくうちに、翡翠は人間の形に近くなり、どんどん家具や船が新しくなっていく。結局は飛行船となったのだが。
 人類誕生頃から、柘榴も翡翠のそばにいた。柘榴はヨグ=ソト―ス…時空そのものの存在である神の子である。この飛行船に乗って、人間界…現実世界の時空を監視していた。翡翠は柘榴の存在に気付いていたが、お互いに口をきき合うことはなかった。そこから柘榴は、翡翠には自分の姿が見えていないのでは、と思っていた。
 柘榴はヨグ=ソト―スの血を引いているものの、ドリームランドの住人であった。ドリームランドに帰りたかったが、でも翡翠のことを大切に思っていたから彼女の判断に任せたのだ。
 坂井夏美は、探索者たちの前にあの飛行船に乗った。だが彼女は探索者たちとは違い、除染室で体を洗った後に神の部屋に入ったので、邪神たちは清められたものを好まず、現実世界に戻されてきたのだ。その時、コートは寝室に置いたままだった。「自室に居る」と嘘を言ったのはただのブラフ。
 翡翠が探索者が体を洗うことを勧めなかったのは、夏美が体を洗ったことで現実世界に帰ってしまったからだ。翡翠は探索者たちに現実世界に帰ってほしくなかったから、勧めなかったのだ。
 翡翠に意味深な言葉やトイレの使用状況については、さすがはヨグ=ソト―スの落とし子、何も食べないからか、トイレにもいかなくていいらしい。「トイレを使う人」がいないとは、柘榴はトイレを使わないからだ。
 キッチンの流し台の皿の描写は、船に来た人間たちに帰ってほしくなかったのでヨモツヘグイの状態にするため、翡翠がわざと人間たちにハンバーガーを食べさせていたからだ。
 翡翠がよく「ほとんど人がいない」という言葉を言うのは、ほとんど…柘榴の存在も認知していたということもなんとなく察せられる。
 ヴォイニッチ文書を呼んだ翡翠は、そこに乗っていたエンドウの花をみて、その花言葉を調べ、そこから【遠藤翡翠】と名乗るようになった。(シナリオ製作者が、なぜこの遠藤の花の由来を普通の本にせずに、ヴォイニッチ文書を選んだのか…だって、ヴォイニッチ文書の方が普通の本より雰囲気が出ていいじゃないですか‼)
 

あとがき

 ちょっと長くなりましたが、どうだったでしょうか。
 この飛行船のモデルは、某ゲーム〇mong usから来ています。柘榴さんは、某時空の扉の番人のセーラー戦士を思い浮かべてください。
 色々ガバがあると思うので、コメントでご指摘いただけると助かります‼

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