2019年12月28日更新

聖夜の塔

  • 難易度:★★|
  • 人数:3人~5人|
  • プレイ時間:3~4時間(ボイスセッション)

クリスマス用に作ったシナリオ。遅くなりましたが上げます。

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ストック

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『聖夜の塔』

〈概要〉
探索者たちは聖夜の塔へと足を踏み入れる。そこで彼らは悪しき教団の秘密へと迫るのだ。

〈導入〉
・クリスマス。探索者たちは恋愛成就のパワースポットと言われる聖夜の塔について知っている。

〈聖夜の塔 概要〉
高さは七階建てのビル程度。塔の中央部は完全に吹き抜けになっていて、七階までを一階から見上げることができる。70年代に建設された。当時の知名度はとても低く、規模もとても現在ほどのものではなかったが、21世紀に入ってから恋愛成就のパワースポットとして有名になった。探索者がジャーナリストや探偵、ディレッタントなどでニュースに詳しい場合は、裏になんらかの組織による多額の投資があった、という噂を知っているだろう。現在は毎年大勢のカップルや若者たちでにぎわっている。クリスマス期間以外は関係者以外立ち入り禁止である。

・探索者のうち探偵やジャーナリストは仕事で噂を調べに来ているのだろう。他の探索者たちは自由だ。
・彼らが何気なく足を踏み入れた瞬間、ありえない現象が起こる。

〈殺戮〉
・突如、奇妙な人影が探索者たちの前に、落ちてくる。それはどうやら七階から落ちてきたようだった。

〈描写〉
それを見た瞬間、あなたたちは吐き気を覚えた。その姿を忘れることは中々難しいだろう。なぜなら、まるで骨と皮だけのようなその体からは一滴も血が流れていなかったのだから。けれども、その腕も、足も、そして首すらも何かによって握り潰されていたのだから。そして、微かに奇妙なクスクス笑いが聞こえたような気がした。

正気度ロール 1/1D6+1

・勿論、その場にいた多くの者たちは出口へ殺到する。探索者がそこの中に居ても構わない。なぜなら、突如として鋼鉄の扉が閉まり、出ることは叶わなくなるのだから。
・そして直後に、一人の女性が何かによって上空へと連れ去られていく。だが、その何かを見ることは叶わないだろう。急速に浮上した彼女は、七階から硬い床へと悲鳴を上げながら落下して、無残な骸をさらす。

正気度ロール 1/1D4

・それが引き金となったかのように人々は地下へと殺到する。ところが、運悪く地下への扉は探索者たちの目の前で閉まってしまう。おそらく誰かが閉めたのだろう。分厚い鋼鉄の扉を開けることは不可能である。

〈残された者たち〉
・一階には、探索者たちと他に二十人ほどが残されたが、探索者と四人を除いて、地下や出口の扉を叩き続けながら怒声を上げているばかりである。四人はこの状況において比較的冷静な探索者たちに協力して脱出しようと提案してくる。なお、携帯電話は圏外である。

〈NPC〉
・結城順平(ゆうきじゅんぺい) 20歳 男 大学生

都内の大学に通う大学三年生。元陸上部であり、体力には自信がある(CON16である)。聖夜の塔にはデートで来ていたが、恋人は外のコンビニにいたのだという。

・晴馬久美(はるまくみ) 33歳 女 会計事務

都内の中小企業で働く会計事務。キビキビとした感じの女性だが、閉所恐怖症である。聖夜の塔には夫と来ていたが、夫とは地下室に逃げる間に離れ離れになってしまった。

・小林利休(こばやしりきゅう) 27歳 男 フリーター

聖夜の塔で清掃員のアルバイトをしているフリーター。どこかチャラチャラとした印象を受けるが、実は京都大学卒業の理系。本当の役割は教団が派遣した下っ端である。まだ自分が捨て駒であることに気付いていない。

・来栖希子(くるすきこ) 29歳 女 清掃員

利休と同じく清掃員。ただし、本職である。実は、教団の一員であり、利休が捨て駒であることを知っている。爆薬のエキスパート。

〈探索〉
・利休が探索者のうち三人と利休、順平と久美と希子と残りの探索者に分割して、それぞれが二階と三階を探そう、と言い出す。探索者がもっともらしい提案をしなければその案が採用される。なお、人数が四人未満の場合はそれぞれに一人以上探索者がいるようにすること。

〈一階〉
・地下へと続く開かない扉と、出口の開かない扉がある。また、死体を調べることができる。
・最初の死体は《目星》または《医学》に成功すると、なんらかの鋭いものが刺さったような跡が心臓付近にあり、《目星》の場合は《アイデア》、《医学》の場合は自動成功で、ここから血を吸われたのではないか、という風に推察できる。
・二番目の死体には、何か縄のようなもので掴まれた跡がある。
・物が散乱している現場を1時間探索する、または《目星》ロールに成功すると、一つだけ変に分厚い扉が見つかる。位置的には清掃員用の休憩室である。しかし、複雑な鍵で封鎖されているため、『鍵開け』で開錠するのは不可能である。なお、一時間かかった場合は、20%の確率で星の精が現れるロールをする。星の精のデータは平均のものを使用する。呪文はなし。

〈星の精出現〉
・ルールブックの描写を読み上げること。そして、まだこちらには気づいておらず、倉庫に逃げ込むことが可能であることを告げること。ただし、発狂して声を上げてしまえばおしまいだ。

〈二階〉
・無人である。多くの出店が並んでいるため、様々な道具が入手可能。ただし、キーパーの判断で《幸運》を必要とする場合がある。(幸運が必要なもの:シャベル、バールなど)
・利休の態度を注意深く観察してみると、余裕がありすぎるように感じるだろう。キーパーの裁定で、《心理学》が必要か不要かは変更してよい。
・なお、あまり時間をかけすぎるようであれば、30%で星の精が現れるロールを行うこと。
・利休はいくつかの店舗を勝手に調べまわるが、この際に彼についていけば、彼が懐に何かを隠していることに気付くかもしれない。このあたりはプレイヤーがNPCをまったく疑わない場合に行うこと。

〈三階〉
・順平は積極的に探索を行うが、大したものは見つからない。一方、ベテラン狂信者である希子は目立たない程度に細工を行う。彼女について行っても気付けない。久美は震えてばかりであまり探索を行わない。
・同じく店舗が並んでいるが、こちらには死体もいくつか転がっている。正気度ロール 0/1D3。希子は死体を漁るなんてことは悪だ、と怒り、探索者たちが調べないようにしようとするが、これは嘘である。実際は銃殺したことを隠そうとしているのである。ただし、《心理学》60%以下の者では気付くことができない。
・じっくりと調べれば空薬莢が見つかるが、時間をかけ過ぎている場合は、40%で星の精が現れるロールを行うこと。察せると思うが、出現率は階層が一つ高くなるごとに10%ずつ上昇していく。

〈トラブル〉
・探索者たちが一通り二階と三階の探索を済ませた後に発生する。利休の懐にあった拳銃が滑り落ちてしまい、全員の目の前で落下してしまう。これで、探索者たちも利休を疑うだろう。拳銃は五十四式である。彼を尋問すれば、(久美や希子なんかがやってくれとせがむ)やがて教団のことについて漏らすだろう。
「お、俺はっただ、ここでこれを持って清掃員をやって、クリスマス当日まで潜伏してくれって言われただけなんだ!信じてくれ!こんなことになるなんて思わなかったんだ!」
「教団は『緋色の聖者』というもので、こんなことなんんてしなかった!」
「けど、ここがつぶれそうだったときにここのオーナーになったのは本当だ!」
 彼はこれくらい喋る。だが、これ以上は本当に知らない。希子が教団員であることも知らない。

・探索者たちが彼をどうするかは自由である。考えられるのは、武装解除したうえでロープで拘束しておく、気絶させる、殺害するなどがあるが、彼をメンバーに加えたままでも構わない。

〈四階〉
・この後、自由に探索を行う際に行ける場所について記しておく。自由に探索すればいいだろう。このフロアには、死体と教団が使っていたと思われる弾のない五十四式くらいしかない。(うっかり落としてしまっている)勿論、出現ロールを行うこと。

〈五階〉
・非常に破壊の跡が残っている。何らかの爆発物を使用したのか、酷い有様である。しかし、一部の死体には最初の者と同じように血のないものもある。正気度ロール1/1D4+1。慣れのルールを適用してよい。ここでは、なにも見つけることができないが、希子はこの光景を非常に喜んでおり、心理学を使わずとも時々笑みを浮かべているのに気付けるかもしれない。出現ロールを行うこと。

〈六階〉
・スタッフ以外立ち入り禁止のフロアである。が、実際は教団が使用している事務スペースのようなものである。なお、ここから上の階には怪物は現れない。古き印で封鎖されているためである。
・ここにあるコンピュータを調べれば、一つだけパスワードのかかっていないものがあり、情報を入手可能である。また、《コンピュータ》技能でメインサーバーへアクセスするということも可能かもしれない。その場合は、〈メインサーバー〉の情報のうち、教団についてと名簿を開示すること。

〈コンピュータ〉
・作業日誌

単純作業の繰り返しがあまりに酷く、精神の安定を保つため、今日から日誌をつけることにする。

11月25日
今日も通常業務。ところが、主任が奇妙な男と話しているのを聞いた。どうも、近々セキュリティについて見直しを行うらしい。ということは、あの男はオーナー側の人間なのだろうか。

11月30日
セキュリティの見直しを開始。俺のようなSEに回ってくるのだから、てっきりプログラムだけかと思えばハードも見直すらしい。もうすぐ繁忙期なのに、ちょっと遅くはないだろうか。

12月9日
ありえない。また残業だ。いや、それじゃない。本当に理解できない。なんで、あんな怪しい集団が指揮を執っているのかわからない。おまけに、あんな変更はむしろセキュリティの無駄を増やすだけだろう。まあ、どうせあと一か月の契約なんだ。気にすることはない。

12月20日
ジーザス!なんてこった!ちらりと見えたけど、あれ、拳銃じゃねえか。あんな犯罪者が背後にいたのか。もうここにはいられない。俺は犯罪に加担するのはごめんだ。訳の分からない印のついた扉も、クソッタレた犯罪者たちも、残業も安月給ももうたくさんだ!

12月21日
俺はここを去る。どうか、安全に姿をくらませますように。もしもすべてを止めようとする人間がいるならば、ここに記した情報が役に立つことを願う。

・テキストファイル
地下に存在するメインサーバーへの物理的なアクセス方法、七階にある謎の飼育スペース、そしてら地上へ脱出するための情報がメインサーバー内にあることが書かれている。

〈七階〉
・教団の本部として使われていた。が、今は無人である。何かを閉じ込めていたと思われる檻は完全に破壊されており、周辺には赤いローブの無数の死体が転がっている。彼らの懐にも銃がある。が、滅茶苦茶に荒らされている。しかし、幸運にも鍵は残っている。『通路』と書かれた簡素なプレートが付いている。

〈通路〉
・一階より移動可能。しかし、網膜認証が必要な扉でふさがれている。ここでは、教団員(要するに利休)を脅したりすればいいだろう。また、利休を殺してしまっている場合は、その場に気を失った人間が倒れている、ということにしてもいいだろう。

〈扉の先〉
・その先には階段があった。ここから三階層ほど降りていくと、サーバールームに辿り着く。サーバールームへの扉はなぜか開いている。探索者たちが入るとき、希子は必ず最後に入ろうとする。そして、ほかの全員が入った直後に入り口を爆破し、探索者たちを生き埋めにしようとする。《幸運》ロールを行い、成功すれば1D3のダメージで済むが、失敗すれば1D6のダメージを受けて1時間ほど意識を失う。応急手当で起こすことは可能。
・メインサーバーは幸運にも無傷であり、まだ動いているが、情報が徐々に削除され始めている。《コンピュータ》に成功すれば、情報を入手できる。三回まで挑戦が可能で、一度挑戦するたびに成功率は10%ずつ上昇するが、再挑戦するたびに40%の確率で星の精が現れる。

〈メインサーバー〉
・扉の開け方
暗証番号を入力すればよい。暗証番号も手に入る。
・教団について
『緋色の聖者』の創設は魔女狩りの時代にさかのぼる。その当時、魔女と呼ばれていた三人の女性(クトゥグアの崇拝者であった)が作り上げた教団であり、教会が迫害する宗教の擁護を行おうとした。だが、今やその考え方も数百年の年月に耐えられず形骸化し、ただのテロリストと成り果てた。今回の一件はおそらく四か月前に数人が殺人の疑いで逮捕されたことに対する報復であろう。
・名簿
教団員の名簿。すでに削除が始まっており、《コンピュータ》または《幸運》に成功すれば、一部を回収することができる。その中には希子の名前もある。

〈希子の狂気〉
・その情報を回収した直後、巨大な爆発音が響き渡る。塔は上部から徐々に崩れ始めている、ということを想像するのは容易だろう。すぐに脱出しなければならない。これは希子が起こしている。そして、崩壊の中で、探索者たちはそれを目撃する。

〈降臨〉
・それは、まさに災厄であった。空を覆いつくすほどの存在が哄笑とともに、現れた。それはまさに、星より来る吸血鬼であった。逃げ惑う人々の中で、血を吸い、赤いその実がおどる。それはまさに、地獄絵図と呼ぶべき光景だった。
正気度ロール1/1D10+3

〈崩壊〉
・探索者たちがその中を駆け抜けようとしたとき、塔のてっぺんに三人の人影が、ふわりと降りてきた。その顔はいずれも西洋人の女性のように思えた。赤いローブの彼女らは透き通るような声で、ぞっとするような言葉を紡ぐ。彼女らの言葉はやがて歌となり、すべてを満たしていく。すると、怪物たちは恨めしそうに彼女らを見て、空へと戻っていく。そして、すべてがいなくなった直後に三人は姿を消したのだった。
正気度ロール0/1D8

〈結末〉
・扉を開けることができ、生きていれば探索者やNPCたちは被害者として保護される。だが、そこに希子の姿はないだろう。彼女は逃げているはずだ。彼女が死ぬ場合は、探索者たちが確固たる証拠(希子の荷物をしっかり調べる、など)を掴み、手に入る拳銃等で直接殺害する場合だけである。探索者たちは1d10の正気度を得る。

〈補足〉
・難易度を上げ下げしたい場合は、星の精が襲う対象を完全なランダムにするか、NPCから狙うかなどで変化させるとよい。

Default dc97b68ac5e45fe6e796100df0104bd212cb6cb56de14e1772ab29062c337ef0

残念な学生。ごくたまにシナリオを投稿したりしています。動画はコチラ→http://www.nicovideo.jp/watch/sm28266833 不明なことのあるキーパーなどはツイッターへどうぞ。

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