ふっと、目が覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。
くらくらする頭を持ち上げると、バスの運転手の声が響いた。
「終点~、終点~。皆さま、切符を忘れずお降りください。」
チカチカと、バスの明かりが明滅した。
りんごさん考案の10分間クトゥルフの形式をお借りしました。
オフセで10分、オンセで1時間程度でさくっと遊べるクローズドシナリオ。
判断次第でヒーローにもヒールにもなれます。後味の悪い結末を選ぶかもしれませんが、それは探索者次第です。
【あらすじ】
ふっと、目が覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。
くらくらする頭を持ち上げると、バスの運転手の声が響いた。
「終点~、終点~。皆さま、切符を忘れずお降りください。」
チカチカと、バスの明かりが明滅した。
【基本情報】
推奨人数:1人(多くて3人)
目安時間:オフセで10分。オンセで1時間
発狂率:低
キャラロスト:ほぼ無し。
推奨技能:目星、説得系スキル。
■以降、KP向け情報
【導入】
ゴトリ、と座席が揺れる振動であなたの目は覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。
ここはバスの中だ。くらくらする頭を持ち上げると、運転手の声が響いた。
「終点~、終点~。皆さま、切符を忘れずお降りください。」
あなたは、切符を手にしている。
では、自由に行動してください。
【概要】
探索者は小型バスに乗っている。バスは深きものに導かれ、深海にある。帰還すればクリア。
■クリア条件
◇生存条件:運転手から、復路の切符を買う。
◇切符購入条件:運転手に切符の購入を求めれば購入可能。対価はPLに選ばせる。
■エンド分岐
END1(グッド):NPC+自分の切符を買い、帰還。
END2(ノーマル):自分の切符を買い、帰還。
END3(ロスト):帰れなかった。
【真相】
■状況
あなたは人生に絶望し、自殺しようとしてこのバスに乗り込んだ。他の乗客はともに集団自殺を行おうとしたメンバーだ。
■集団自殺について
集団自殺のメンバーを募るサイトにて応募したメンバーがバスに乗っている。
このサイトは、クトゥルフを信仰する教団によって運営されており、目にすると「何度も繰り返し見たくなる」「見ていると少しずつ自殺衝動にかられる」魔術が施されている。応募した人を深海行きのバスに乗せ、インスマスの生贄にしている。
PCに死ぬ理由がない場合、偶然飛んだ広告からサイトにアクセスしてしまってサイトを目にしてしまったということにする。
■PC
NPCと違い魔術の効きが甘く、正気に返ってしまった。
【MAP】
【NPC】
◆運転手(深きもの):戦闘技能などについては、ルルブのデータに準拠。
STR 15
CON 13
SIZ 20
INT 15
POW 9
DEX 10
◆NPC1
疲れた風のサラリーマン。
仕事のストレスが限界になり、自殺を図る。
◆NPC2
杖をついた老女。
伴侶に先立たれ、孤独なこの先を絶望して自殺を図る。
◆NPC3
ぼさぼさ髪の女子中学生
いじめを受け、自殺を図る。
NPCのステータスは、必要であれば適宜設定。
サイトの魔術により自殺願望が増幅されている状態。説得や精神分析などで魔術の解除は可能。
【探索】
◆強制イベント
2~3回行動すると、NPCが1→2→3の順にバスを降りようとゆっくりと動き出します。放置してバス外に出た場合、NPCは死亡。
NPCが死亡する際に、断末魔の悲鳴や貪り食う音などが発生。初回のみSANc1/1d4。
◆目星不要情報
小型バスの室内。
◆目星(室内)
NPCを発見する。MAPを渡す。見渡す宣言があれば、判定不要。
◆窓の外
・目星→深海生物を発見する。
・アイデア→水のようなものが見える。水底なのではないかと気づく。
・失敗→外は真っ暗であることのみ。
◆昇降口の外
目星→淀んだ瞳がいくつも浮かんでいるのに気づく。
強制アイデア→成功で、名状しがたい怪物(深きもの)が無数に扉の外をうろついている事に気が付く。SANc1d6/1d12。
◆切符
見たことない文字が書かれている。裏面を見るor目星で「往路切符」と書かれている事に気づく。
◆運転手
・帽子を目深にかぶっている&マフラーをしていて顔がよくわからない。手袋などもしていて、肌が見えない。肩から鞄を下げており、手には切符を切る改札鋏を持っている。
・目星→人ならざる姿(深きもの)であることに気づいてしまう。SANc0/1d6。
・アイデアなど→生臭い香りが運転手からする。また、人間にしては体格が異様に大きいことに気づく。
☆戦闘を仕掛けた場合
目星していなくても帽子などを脱ぎSANcからの戦闘開始。(戦闘前に姿を見ている場合はSANc無し)
勝利した場合、鞄の中を調べるなどの宣言があれば復路切符を手に入れることができるが、運転技能+ナビゲーター技能を-20で振ってもらわないと帰還できない。また、昇降口の外には[1d20]体の深きものがいる為、基本はEND3になる。やんわり止めよう。何か良い案があれば問題なし。
◆何故ここにいるのか
知識やアイデアで判定。海に向かうバスに自ら乗り込んだことを思い出す。
さらに詳しい推測、もしくはクリティカルや判定の提案があった場合、ここにいるNPCと集団自殺の為に乗ったバスだということを思い出す。
◆乗客NPC
話しかけても反応は薄い。皆虚ろな目をしている。(サイトに施された魔術によるもの)。PCに対して抵抗はしない。殴られたりしたら、殴られたまんま。
・目星など→PCと同じ往路の切符を持っていることに気づく。
・聞き耳→ぶつぶつと小声で「いいんだ・・・これでいいんだ・・・」「やっと解放される・・・」など、暗い言葉を呟いているのが聞き取れる。
☆NPCを止める方法は、説得でも物理でもなんでもOK。とりあえず降りなければそれで良し。
【切符の購入】
◆購入条件
運転手に言えば売ってくれる。
◆対価
・「切符の代金をお支払いください。」と運転手が言う。
・基本的に貨幣は受け取らない。
・「命の値段、それにふさわしいものをお出し下さい。」と言うので、PLに選ばせる。
なお、NPCの分も購入する場合は「〇人分の命、〇人分です。それにふさわしいものをお出し下さい。」と言わせる。だからといって、重くなければいけない必要はない。また、必ずNPCの分まで買わなければいけない訳ではない。PLの選択による。
・大事なものであれば、それで買える。差し出したものは失われる。
・明らかにネタor大事でないものを提示した場合は、【説得】【言いくるめ】【信用】などで判定可能。RPなどで補正をつける。
◆購入後
購入した場合、復路切符を持たないNPCが全員降りた後に、運転手の「復路切符を持つお客様は座席にお戻りください。このバスは、折り返し地上へと向かいます。」というアナウンスが入る。
座席に戻れば探索者は意識を失いENDへと移行。そのことはPLに伝える。NPCもちゃんと座る。
■END1:グッド
気が付けば、あなたは知らぬ海岸で目を覚ました。周囲には意識を失って倒れているNPC(助けた人数は問わない)の姿も見える。
◆自由行動
A:NPC放置で去る
無事あなたは地上に戻った。ここがどこかはわからないが、なんとでもなるだろう。なんせあなたは生きているのだから。
B:NPCを起こす
NPCに何故連れて帰ってきたのか、死にたかったと激高される。
説得や精神分析、RP次第で、生きていることやPCに感謝するようになる。そうでない限りは、死ぬ勇気もなくただ涙を流し悲しみにくれるNPCが海辺に残る。
助けた意味や、救った命に詰られることを体験しつつも、あなたは無事現実に帰ってきた。
■END2:ノーマル
気が付けば、あなたは知らぬ海岸で目を覚ました。無事、地上に帰ってきたのだ。
しかし、一緒にいたあの乗客たち、彼らはどこへ消えてしまったのだろう。それを知る術は、もはやあなたには残されていない。
自分だけが助かったわだかまりを抱えながら、あなたは日々を過ごすことになるのだ。
■END3:ロスト
あなたは死亡しました。PCロストです。
使いまわしOKルールでの使用につき、報酬などは設定していません。
必要であればKPの任意で設定して下さい。
【報酬例】
生存:1d6のSAN回復
NPC救出:助けたNPCの人数分1d3を振り、SAN回復
例:生存+NPC2人救出→1d6+2d3のSAN回復
pivixにも同シナリオを載せています。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8828105
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