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また特定の地域・宗教・職業・病気・身体的特徴などを擁護、あるいは非難する目的で作成されたものではありません。
佐渡川 龍吾の殺害。
☆☆☆ ないとクリアが厳しい技能(誰か1人は持っててほしい)
戦闘技能/【言いくるめ】or【説得】/【目星】
☆☆ なくても構わないが、あったほうがいい技能
【図書館】/【精神分析】/【医学】or【応急手当】
☆ あると楽しい技能
【心理学】/【追跡】
棚洞市(たなうろ・し)
棚洞(たなうろ)市は、首都の中心都市から少し外れてはいるもののそこそこ大きな市である。
電車で上りに一駅行けば、都会のビル街。下りに一駅行けば、トンネルを通って山を突っ切り田舎町が現れる。
そんな都会と田舎の境界線のような市である。
棚洞駅には小さな貨物ターミナルも併設されており、物資運搬出発点となることも多い。
自然の穏やかさを残しながらも利便性に富み、様々な産業が発展している。
その分、端の方には治安の悪い地域も見られる。
3年前 ・佐渡川(この時点では木村)が魔術書の一部を手に入れる
・魔術書の解読
・ツァトゥグアとの接触を試み、オサダゴワに憑りつかれる
・本格的な信者になり、人生をツァトゥグアのために捧げることを決める
2年前 ・佐渡川と闇崎の接触
・佐渡川がキャラクター原案を描くアニメ映画の制作を闇崎が承認
・佐渡川が今砂に依頼
1年前 ・アニメ制作がスタート
・インクが蠢くのを今砂が偶然見る
・佐渡川、自身の死期を悟る
現在(初日)・映画の試写会
闇崎 靄男(やみざき もやお)
全人類が笑えそうで笑えないブラックジョークファンタジーであるシャブリ映画シリーズの総監督。
最新作『ちかばのタタラ』の内容は以下の通り。
『2人の兄弟が、ある田舎に越してくる。
近所に今はもう使われていない線路があると聞いて、2人は探検気分で辿って行くとそこにはトンネルが。
中に入ると真っ暗で、怖さ半分面白半分で2人は進んでいく。
トンネルを抜けるとそこは、天空に浮かぶ動く城だった。
そこには2人の倍はあろうかという大きな狸のような生き物がいた。
言葉の通じないその生き物を、2人はタタラと名付け一緒に遊んだ。
何度も遊ぶうちに、タタラといると嫌なことをすっかり忘れることができることに気づいた兄弟。
「きっと、タタラが悪い物ぜーんぶ食べっちゃったんだね」と笑う2人。
タタラが大きな口を開ける。その様は笑っているように見えた。
トンネルの向こうの世界は居心地よく、そこにいる時間は日に日に長くなっていった。
ある日、弟のジュンが「タタラと離れたくないから帰りたくない」と駄々をこねた。
兄の方は、それでも帰らなくちゃいけないことを伝えたが、弟は全く聞く耳を持たない。
耐えきれず、兄は弟に怒鳴る。
「そんな悪い子はタタラに食べられちゃうんだぞ!」
気付くと弟の姿はなかった。
おや、と兄は思う。果たして自分に弟なんていただろうか。
「ばいばいタタラ。また明日ね」
そう言った兄に、タタラが大きな口を開けて笑うところで映画は終わる。』
佐渡川 龍吾(さどがわ たつご)
◎表向き
シャブリ映画の制作陣。
タタラを代表とするトンネルの向こうにいる架空の生き物達のキャラクター原案を担当。
佐田川と闇崎の共通の知り合いの男がいて、その男が闇崎に佐田川を紹介する形で今回制作に関わることになった。
田舎のそこそこ優秀な高校を卒業後、美大に進学。大学卒業後は、小さな出版社でイラストの仕事を受け持つ。
オカルト系の雑誌や本を読む趣味が高じて、そういった類の挿絵なんかを描いて生計を立てていた。
◎正体
本名:木村 龍吾(きむら たつご)
ツァトゥグァ信者の魔術師。
オカルト系の趣味があったことは事実。
そこからほんの偶然で3年程前に魔術書の一部を手にする機会があり、それが『ニューイングランドの楽園における魔術師驚異』のコピー数枚であった。
そこにはツァトゥグアとの接触の呪文がメモ書きされており、興味本位で実践したところ不完全ではあるが成功してしまった。
結果、オサダゴワ(ツァトゥグアの息子にあたる)に憑りつかれ、オサダゴワの操り人形のような存在となる。
ツァトゥグアに身も心も捧げるため名前を佐渡川に改名。(魔術書にはツァトゥグアは「サドゴワ」と表記されていたため)
魔術書解読から着々と自身の正気度と寿命が減っていくが、信仰心はそれに伴い増していった。
そして自分が死ぬ前にツァトゥグアをこの世に召喚しようと決意(もちろんオサダゴワに唆されて)
闇崎の映画を利用して、ツァトゥグア召喚と同時に、信者を大量に増やそうとしている。
召喚の儀式を前にMPがギリギリ足りないことを察した佐渡川は、“そういった体質”の人間を探し、今砂のうわさを耳にする。
実際に会い、彼の才能を見込んでデザインを依頼する。
今砂 夏風香(いますな かふか)
事件の発端係のNPC。
彼の細かいプロフィールはここを参照。
オサダゴワ
佐渡川によって呼び出されたグレート・オールド・ワン。
詳しくは〔マレウス・モンストロルム〕P.149参照。
ステータスはここに記載されている値の半分とする。(端数切捨て)
探索者のうち何人かは、訳あってとある映画の試写会に向かうことになっている。
(便宜上、試写会へ行った探索者をAとする)
A
探索者が今回観る映画は「ちかばのタタラ」というアニメ映画である。
知る人ぞ知る「闇崎靄男」という監督のシャブリ映画作品(まるでシャブのような中毒性のあるアニメであることから世間からこう呼ばれている)の最新作であり、既にテレビやネットではかなり話題となっている。
探索者は入口でもらったパンフレットを眺めながら、周りを見渡す。
試写会に来ている人物としては、報道陣や映画評論家はもちろん、抽選を勝ち取った幸運な一般市民もいる。
探索者も含め全員が席に座ると、アナウンスが入る。
携帯の電源を切れだの、飲食は禁止だの、盗撮・盗聴は犯罪だ、などなど。よくある上演マナーである。
探索者の隣にい座る記者らしき男が、アナウンスを聞いて携帯の電源を切った。(探索者がどうするかは自由である。)
しばらくすると、館内の照明がゆっくりと消え、上映が始まる。
もう1人の探索者(便宜上Bとする)は訳あって棚洞市の駅に来ている。
B
駅に直結して大きめのショッピングモールが入っていて、Bはここに買い物をしに来た。
このショッピングモールは、洋服屋や飲食店を中心に、カラオケや映画館など娯楽施設も充実している。
探索者が広い店内を歩いていると、ドン、と誰かにぶつかってしまう。(ぶつかった相手は今砂である。)
ぶつかった相手は、貧相な恰好をした男であり、たいして強くぶつかったわけではないのに派手にすっ転んでいる。
そばには、おそらく彼の物であろう汚くて古臭いボストンバックが中身を広げていた。
◎探索者が男を何かしら助けるつもりならば【目星】判定を行う。
《成功》
(倒れた男自身に手を貸す場合)
男の服がただ汚れているだけでなく、ところどころ絵の具で汚れていることが分かる。
(荷物を片そうとする場合)
荷物からは色んな物が溢れている。
絵の具、画用紙、鉛筆、筆、インク壺などなど。
《失敗》
男が急に飛び起きる。
驚いてその場に留まる。
男は飛び起き様「すいません!ああ、良かった……ああ!すいません……」とおどおどしながら猛スピードで荷物を片付け、大慌てでその場から立ち去っていく。
コケそうになりながらも、ばたばたと階段を下りていくのが見えた。
あなたの足元に、1枚のメモ用紙と黒い折り畳み財布が落ちたのに気づく。
彼の持ち物だろうか。メモには、今日の日付と共に『13時 3F タナウロシネマ』と書かれている。
現在午前10時過ぎ、探索者は2階にいる。
◎男を追う場合(判定後、②へ)
【DEX×5】【追跡】どちらかで判定をする。
《成功》
男を追うことに成功する。
《失敗》
男を追うがなかなか見つからずかなり時間がかかる。
◎3Fに行く場合
3Fの奥にはタナウロシネマという映画館があった。
そこでは、3日後に公開予定の『ちかばのタタラ』というアニメ映画の試写会が行われており、中には入れないようだ。
ふと、知り合いがその試写会に行くと言っていたことを思い出す。
◎連絡をする場合
Aが電源を切っていたり、サイレントマナーの場合、電話は繋がらない。
切っていない場合、もしくはマナーモードの場合は、映画のエンドロール前で電話がつながる。
【聞き耳】
《成功》
近くを歩いていた女性達の会話が聞こえる。
「さっきの人怖かったね~まじやばい。」
「ホームレスかな?でも地下駐車場の方行ったよね?」
「地上の光は合わないんじゃない?」
「やば~い!超ウケる~」
《失敗》
近くを歩いていた女子高生数人の会話が断片的に聞こえた。
「こわ……ちか……超ウケる~!」
A
『ちかばのタタラ』の上映がもうラストにさしかかっている。
内容としては、NPC:闇崎靄男の欄を参照。
映画を観た探索者は【正気度】判定0/1
【電話】
出るなら会場を一度出る必要がある。
◎出た場合
ここでAとBが合流する。
Aと行動を共にするのであれば、Bは制作陣の挨拶や記者会見を聞くことはできない。
情報交換だけで、別行動を続けるのであればBは闇崎監督の挨拶に間に合うで良い。
◎出ない場合
そのまま続ける。
エンドロールが流れ、拍手と共に場内が明るくなっていく。
これから、制作陣の挨拶がある。
(電話に出れていなかった場合)【幸運】判定
《成功》誰かから電話が来ていたことに気づく。
かけ直すならば、◎出た場合 と同じ行動となる。
かけ直さない場合は続ける。
相変わらずのハートフルボッコストーリーに息をつくと、闇崎靄男が登場し挨拶を始める。
「えー……今回の作品は、私にとっても、制作陣にとっても、実に挑戦的作品だったかと思います。
内容云々ではございません。私はその辺りはずっと一貫して同じことをやっておりますから……」
しゃがれた声でゆっくりと語りかけるようなその話し方に、引き込まれるような感覚を覚えた。
「タタラというキャラクターは、新しく入った佐渡川龍吾君に原案をお願いしたのですが、今日は来れずに本当に残念です。
体調不良だと言っておりましたがね、このじじいがこんなにピンピンしてるのに、何が体調不良かとね。へっへっへ……」
監督が一通り話したところで、記者会見に移る。
Bも一応質問できる。
※質問の答えに対しては、闇崎が分かりうる範囲のことを正直に話す。
分からないことは少し臭わせても良い。
佐渡川については、とにかく褒める。
探索者が地下へと降りると、先ほどの男がいた。
荷物を抱えるように三角座りをして、眠っているようだ。
近づいていくと男は飛び起きる。
「ぎゃあ!すいません!どっか行きます!!」
男はこの場から離れようとに荷物を掴んだ。
探索者が紙を渡すと男は驚き、礼を言う。
【心理学】
《成功》
男が、
(え、わざわざ?こんな奴に物を返すのに2階からこの地下駐車場まで見ず知らずの男を追いかけてきたのか?馬鹿なんじゃないのか?)
と、探索者を酷く疑っていることが分かる。
《失敗》
男が、
(こんな見ず知らずの男のためになんて優しい人なんだろう)
と、探索者にとても感謝していることが分かる。
探索者が話を聞こうとすると、男はインク壺を取り出して、
「あの、僕、これを返しに行こうとしてたんでした。忘れてました!」
と言い、駆け出そうとした。
その時、彼は自分のズボンの裾を踏んで、これまた派手にすっ転ぶ。
インク壺は地面に叩きつけられ、粉々に砕け散った。
零れたインクがじわじわとコンクリートに広がっていく。
……ぼこり、とそのインクが沸き立つ。
ヒィッとひきつった悲鳴を上げて男が引き下がる。
インクから吹き上げる気泡は見る間に激しくなっていく。
ぼこぼこと沸騰するかのように泡を吹きだすインク溜まりは、やがて形の無いスライムのような生物に変貌する。
地球上の科学を無視した非現実的な光景を目撃した探索者は、
【正気度】判定 1/1D10
ここで、無形の落とし子との戦闘になる。
無形の落とし子の能力値は〔CALL of CTHULHU〕のP.193に記載されている値の最低値とする。
もしも、探索者が発狂等で戦えなかったり、無形の落とし子に手間取ったり、気絶させられた場合は今砂が戦う。
男は、半べそをかきながら傍にあった消火器を取り、沸き立つインクに向かって噴射した。
すると、黒いインクはみるみるうちに白い消火剤に飲まれるようにして消えていった。
戦闘が終わると、男は泣きながら、ドタバタと覚束ない足元で走っていく。
(探索者が発狂気絶している場合はこの時点で治る。)
探索者の足元にはおそらく男の持ち物であろう、鍵が落ちていた。
鍵には棚洞市のなかでもそこそこ治安の悪い地区の名前と、「陽ノ月荘一〇一」と書かれている。(ひのつきそういちまるいち)
(不良もそこそこいて、スラム街というほどではないがホームレスなんかもそこそこいる地区)
A
試写会がすべて終わって外に出ると、携帯に着信が来ていることに気づく。(もしくは思い出す。)
ここでAとBは何らかの形で合流すること。
探索者達が、鍵の住所を調べて向かうと、今にも崩れそうな二階建ての木造ボロアパートに行きつく。
階段の下に寄りかかる様にして男が倒れている。
技能の必要なく、Bはそれが先ほどの男であると分かるだろう。
探索者が近寄っても男は飛び起きたりせず、ぐったりとしている。
【医学】【応急手当】【目星】判定が可能。
【医学】
《成功》
気を失っているようだ。
全身に打撲痕があるが骨折はしていない模様。
適切な処置を行ったため、男は目を覚ます。
《失敗》
全身を打って気を失っているようだ。
しばらくすれば目を覚ますだろう。
【応急手当】
《成功》
全身を打って気を失っているようだ。
適切な処置を行ったため、男は目を覚ます。
《失敗》
気を失っているだけのようだ。
しばらくしたら目を覚ますだろう。
【目星】
《成功》
男の体のあちこちに打撲痕がある。
死んではいないようだが、酷い怪我だ。
しばらくは起きないだろう。
《失敗》
死んではいなさそうだが、しばらく起きそうにない。
◎男が目を覚ました場合
男は、状況が分かると半信半疑ながらも探索者達に協力してくれる。
とりあえず、部屋に招待すると言って一〇一号室へ向かう。
◎男が目を覚まさない場合
今後探索者が何らかの方法で目を覚まさせない限り、探索者がいなくなるまで目を覚まさない。
目を覚まさずともシナリオを進めることが可能だが、ある程度の判定や推察が必要になる。
KPはそれとなく、鍵を使って一〇一号室へ入るように誘導させる。
間取り図
◎男が起きている場合
男は一〇一号室の扉を返ってきた鍵を使って入る。
扉には『今砂』と書かれている。
「汚いところですけど、上がってください」
そういって彼は部屋に入る。
部屋はぴったり四畳半しかなく、床には画材が散らばっている。
入口のすぐそばの家事台から人数分のカップを取り出す。
「あ、その辺の、適当にどかしちゃっていいですから。座布団もなくてすみませんが、お座りください。」
男は畳の上に座り、コーヒーサイフォンに火をつける。
探索者はぐるりと部屋を見渡す。
(ここでKPは部屋の間取り図をPLに見せる)
ぼこぼことお湯が沸きはじめる。
その音と、コーヒーの色も相まって、Bは嫌な記憶が思い出される。
先ほどの黒い化け物は一体なんだったのか、この男がそれに関わっていることは確かである。
もしかしたら自分は今とんでもなく恐ろしいことに巻き込まれているのではないか、そんな不安があなたをじっとりと襲った。
【正気度】判定0/1
男は種類のバラバラなカップにコーヒーを注ぎ、探索者達に振る舞う。
ここから男に質問することが可能。
Q,名前と職業は?
A,今砂 夏風香と言います。一応、画家をやっています。
Q,何故アパートの前で倒れていた?
A,家に帰って、鍵がないことに気づいたんです。仕方がないから二階の知り合い……ああ、二階に友人の先輩が住んでるんです。
そこに行って相談しようと思ったら、留守でして。色々ショックで眩暈がしまして、階段で倒れてしまったんです。
それからは記憶がないんですけど、多分そこで倒れてたんですよね?情けないです、本当に。
Q,何故最初に出会ったときにあんなに焦っていたのか?
A,……あのインク壺。ときどき、さっきみたいにぼこっと泡立つんです。
気のせいかな?とも思ったんですけれど、なんか気味悪くて。
怖くて、とにかくはやく返したかったんです。
Q,誰に返す予定だったの?
A,それが、分からないんです。ぼんやりと顔を覚えている程度で。男性だったのは覚えてます。
僕に絵の依頼をしてくる人って、本当に碌な人がいなくって。意識的に覚えないようにする癖があったので、今回もつい……。
そもそも返す予定なかったんです。インクはくれるって言ったんで。ただ、気味が悪かったから。
Q,何を頼まれたのか?
A,そのインクで思うように絵を描いてほしいって言われました。
なるべくデフォルメされた、かわいい感じのがいいって。
ただ、絵を描いている間、ずっと変に頭が痛いし、もやもやして気分が悪いし。
ああ、僕に依頼してくる人はなんでこう、変な人ばっかりなんだろって思いました。
Q,その絵見れる?
A,紙は依頼主の男性が持ってっちゃったからないんですけど、ラフというか下書きがここにあったような……
(部屋の一画の紙束の山から数枚取り出して見せる)
最初は勝手に手が動くような感じで描きやすかったんですけど、なんか不気味なキャラになってしまって。
(その紙にはおそらくタタラの元になったであろうキャラクター達がたくさん描かれていた。
その中でも一番最初の方に描かれたキャラを見ると、確かにぞっとするような生き物がそこには描かれていた。
不快で、気味が悪いのに何故だか目が離せない。
真っ黒なインクで描かれたその絵が今にもぼこぼこと、沸き立つように紙の中から出てくるのではないか。
そんな不穏な想像が頭をよぎり、イヤな汗が出る。
【正気度】判定1/1d5)
Q,依頼主の男の名前とか顔は覚えてる?
A,名前も顔も覚えてません。ひげが生えてたような気はするんです。おじさんのようなおじいさんのような……
Q,連絡は取れる?
A,電話番号を教えてもらったが、1回しか繋がらなかった。
Q,(闇崎監督の写真を見せる)
A,うーん……この人じゃないような気が。でもそれっぽい気もする。
Q,(佐渡川の写真を見せる)
A,うーーん……この人な気もするし、そうじゃない気もする。
◎男が気絶したままの場合
探索者が一〇一号室へ向かうと、扉には『今砂』と書かれている。
鍵はすんなりと鍵穴に入り、開けることができる。
部屋はぴったり四畳半しかなく、全体的に散らかっている。
(ここでKPは部屋の間取り図をPLに見せる)
ここから部屋の探索が可能。
部屋で調べられる場所は以下の通り。
・本棚
床から天井にかけてすっぽり埋めこまれているように存在する本棚。
三段になっているが、種類分けなどはされていない。
スケッチブックやカンバスなどが多い中、いくつか画集もある。
【目星】【図書館】
本棚の作品を見て彼の絵の作風が分かる。
絵はほとんど、写実的風景のなかに架空の生き物が存在するものである。
風景は見覚えのあるものがいくつかあるため、棚洞市の様々な場所を描いたのだろうと思われるが、一貫性はない。
架空の生き物は、妖精や動物のような可愛らしいものから、妖怪の類かと思われるおどろおどろしいものまでこれまた様々である。
・机
木製の机。引き出しが1つある。
机の上にはあらゆる筆記具が散乱している。
・机の引き出し
文庫本が数冊入っている。
青春ファンタジー小説、冒険小説、文学系、官能小説などジャンルは色々。
・家事台
小さなシンクとコンロが2つ。
足元には段ボールが置いてあり、中には缶詰などの保存食が入っている。
隣には小さな棚と冷蔵庫がある。
・棚
食器と調味料が置いてある。
同じ種類のものはほとんどない。
・冷蔵庫
冷凍食品がほとんど。野菜や肉など生物は入っていない。
・床
画材や紙で散らかっている。
【目星】《失敗》
タタラのよく似たキャラクターが描かれた紙を見つける。
その周辺にある紙のいくつかも同じようなものらしい。
その中の1つに自然と目が行く。
思わずぞっとした。
タタラのような風貌ではるが、それとは似つかない生き物がそこには描かれていた。
不気味で、恐ろしいのに何故だか目が離せない。
真っ黒なインクで描かれたその絵が今にもぼこぼこと、沸き立つように紙の中から出てくるのではないか。
そんな不穏な想像が頭をよぎり、イヤな汗が出る。
【正気度】判定1/1d3
部屋を一通り調べると、今砂は目を覚ます。
「え!ああ、やった!見慣れたボロアパートだ!!帰ってきたんだ……うわあ!誰だ!!」
今砂はかなり混乱状態であるため【精神分析】やリアルRPで落ち着かせる必要がある。
一通り話が終わった(落ち着かせた)あと、今砂は探索者達に話しをする。
「あの、皆さんのお話を聞いて、皆さんが、とんでもなく、度を越えた、それはもう仏も腰を抜かすほどのお人好しであることに付け込んだうえでお願いがあるんですけれど……僕を助けてもらえませんか。」
なんでも依頼主の男にこう言われたらしい。
「そのインクとインク壺は差しあげます。ただ、くれぐれも割らないように気を付けてください。ほら、この壺には見たこともない文字が書いてあるでしょう?これはちょっとした“まじない”でしてね。」
なんて胡散臭い話だろうと思った。
まじないや呪いなんてくだらないし、そんなことは信じないようにしている。
ある時、壺の中のインクが蠢くのを見て、急に怖くなってしまった。
教えられていた連絡先に電話したところ、今日の13時にタナウロシネマに来るように言われた。
そして、昼の騒動へと繋がる。
「インク壺は割れてしまいました。きっと恐ろしいことが起きるに違いないです。依頼主の男性を探してなんとかしてもらうように頼みたいんです。」
探索者が断るなら今砂は【言いくるめ】50% を使う。
今砂は、探索者達と行動を共にする。
相当な無茶ぶりでなければある程度の事はやってくれる。
やってくれなそうなことは【言いくるめ】【説得】【信用】等に成功することでやらせることができる。
KPは探索者が詰まったときのヒント係として今砂を使ってやってください。
探索者達が向かった先には、白い3階建ての四角い建物があった。
外観にはツタが絡まっているが、決して古い訳ではなく、小洒落た感じがする。
玄関先に『本日の受付は終了しました。』という看板が立っている。
窓から明かりが漏れている部屋がいくつかあるため、中に人はいるだろう。
玄関にはインターホンもあるため、押せば誰かしら出てくるかもしれない。
インターホンを押すと、女性が出る。
「どちら様でしょうか?」
探索者が話をすると、女性は以下のように答える。
Q,闇崎監督はいるか?
A,いらっしゃいますが、今はちょっと出られる状況ではありません。
Q,それは何故?
A,自室に籠って次回作の構想を練っております。こうなったらそうそう出てこないものでして。
Q,話しできる職員はいる?
A,映画の公開前で色々立て込んでおります。誰も手が離せそうになくって……申し訳ありません。
Q,佐渡川はいる?
A,今日は来ておりません。昨日連絡したときは家にいらっしゃいましたけれど。
これ以上の情報を求めるなら、【言いくるめ】or【説得】の判定が可能(もしくはリアルRP)
成功したらある程度の情報は出てくる。
Q,他の職員はどうして出てこれないの?
A,グッズの出荷に当たってトラブルが起きたらしくて。今晩中になんとかしないと公開日に間に合わないかもしれないんです。
Q,トラブル?
A,トラックで各所に配送する予定だったんですけれど、貨物列車を使った大規模な配送になりまして。
棚洞駅のターミナルに今晩集められて、早朝には出荷する予定なんですけど、間に合うかどうか……
Q,グッズ?
A,はい。色々ですけど、今回の作品はぬいぐるみが多いですかね。
Q,佐渡川はどこにいるか?
A,家にいると思うが、今朝は電話に出なかった。昨日は出たのに。
Q,佐渡川の家の住所を教えてくれ。
A,(探索者が信用に足る人物であると理解出来たら教えてくれる)
佐渡川は住宅街にあるマンションの三〇五号室(さんまるご)に住んでいるらしい。
探索者達が教えてもらった住所の場所へ行くと、教えてもらったような外観のマンションがあった。
表札がなく、本当にここが佐渡川の家なのかも怪しい。
インターホンを押しても誰も出ない。留守のようだ。
「こんにちわあ」
探索者達はその女性の声に振り返る。
そこには30代ぐらいの女性が立っていた。
「“木村さん”なら出かけてますよ。今日はもう帰らないって仰ってました」
女性は優しい笑顔をこちらに向けて、三〇六号室のドアノブに鍵を差す。
話を聞くなら、女性は快く話してくれるだろう。
Q,木村さん?
A,はい、そこの三〇五号室に住んでらっしゃる木村さん。木村……龍吾さんだったかしら?
Q,いつどこで会ったのか。
A,ほんの30分くらい前に、バス停で。仕事があるから駅まで行くって仰ってましたよ。
こんな夜中にお仕事なんて大変ですよねえ。
Q,女性について聞く。
A,私?私はこの部屋で友人と2人で住んでいるだけですよ。
Q,木村はどんな人?
A,どんな?って言われても普通の方でしたよ。ご近所付き合いもよかったですし。
佐渡川の家には【鍵開け】で入るか、大家さんに交渉技能を使うことで開けてくれる。
室内は10畳程の部屋である。
間取り図
・本棚
オカルト本と、イラスト関係の本が半々で置いてある。
ジャンルや出版社ごとにきちんと仕切りで分けられている。
【目星】【図書館】判定成功で『ニューイングランドの楽園における魔術師驚異』と書かれたファイルを発見する。
・『ニューイングランドの楽園における魔術師驚異』
『ニューイングランドの楽園における魔術師驚異』という英語で書かれた本の一部と、それを佐渡川が翻訳しまとめたものがファイリングされている。
本の内容としては、魔女や魔法使い、シャーマンなど、植民地時代の邪悪な者たちの冒瀆行為のことが書かれている。>引用
また、本にはメモ書きがされており、それは何かの呪文やまじないではないかと佐渡川は考えたらしく、実践しようと試みたようだ。
佐渡川の手記は初めて知る単語が並んでいる。
さらに所々消し潰した跡もあり、意味を理解するのは難しい。
【目星】
文章の中にかなりの回数出てくる“サドゴワ”という単語が気になる。
また、ページをめくるうちに、タタラのイラストが出てくる。
【母国語(日本語)】で判定
“ンカイ”に住む“サドゴワ”と接触方法について書かれていたらしい。
・机
きれいに整頓されている。
机のうえにはノートパソコンが1台。
机の下には引き出しが2つあり、1つは鍵がかかっている。
(鍵は机の裏に貼ってある。【目星】で発見できる)
・鍵の無い引き出し
タタラの原画が入っている。
・鍵のある引き出し
紙が一枚入っていて「パスワード 神」と書かれている
・ノートパソコン
パスワードがかかっている(パスは「sadogowa」)。
デスクトップアイコンの中に「日記」を見つける。
クリックすると数年分の日記が出てくる。
几帳面に毎日つけていたようで、欲しい情報を探すには時間がかかりそうだ。
【図書館】判定に成功することで時間短縮可能。
・パソコンの日記
日付はおよそ3年前の物に遡る。
『大学で超心理学の研究をしている教授と対談した。なんでも今度本を出すからその挿絵を描いて欲しいらしい。
挿絵に描く生物の特徴を聞くと、おおよそこの地球上でありえない生き物ばかりで実に心躍った。
教授自身も僕があんまり興味を示すから嬉しかったらしい。2人で大いに盛り上がった。
別れ際、教授が「お土産に面白いものをあげる」と言って相当古そうな本のコピーをくれた。』
『貰った本のコピーは英語で書かれていたため、読むのにかなり時間を要した。
なんでも“サドゴワ”という生き物だか人物だか分からないが、そういう名前の何かと接触するものだそうだ。
試しに呪文とやらを唱えてみることにした。
その時から頭の中で声がするようになった。向こうからの一方的もので、こちらから何を聞いても答えてくれない。
この声が“サドゴワ”のものなのだろうか。』
2年前
『声は日に日にはっきりと、意味のあるものになっていった。
不思議と恐怖感はなかった。いや、怖いという感情はあったけれど、それ以上に言いしえない幸福感の方が強かった。
声に言われた通りの行動を取ると、物事が万事うまく進む。嫌なことを忘れられる。』
『ここのところ体がだるい。寝ても寝ても眠い。しかしどんなに疲れていてもサドゴワ様の声を聴けば安らげる。
今日も幸せだ。また明日も頑張れる。』
一年前
『仕事の関係でかの有名な闇崎監督と食事をした。
監督の次回作の方向性について聞いていると、その作品に出てくる超心理的な生き物をどことなくサドゴワ様と重ねている自分に気がついた。
まだビジュアルを決めかねているとのことだったので、僕に書かせてくれと頼み込んだら了承してくれた。』
最近
『駄目だ。僕には描けない。サドゴワ様のためにできることは何だ。』
『サドゴワ様に会いたい。』
『サドゴワ様の偶像を媒介に、サドゴワ様をこちらにご招待できるかもしれない。僕に残された力は少ない。
最後に、サドゴワ様に御馳走を。』
駅に向かうと、作業着を着た男と私服の男が話しているのが見える。
2人は何かを話したあと、私服の男は駅の中へと向かっていった。
作業着を着ている方の男は、中へと入らず、入り口付近をうろうろしている。
作業着の男を無視していくなら【忍び歩き】判定。
失敗した場合は、話しかけられる。
こそこそせずに話しかけに行くのなら、男は驚いた顔をする。
「おや、こんな夜中にこんなところに何の用ですか?」
Q,駅に入りたい。
A,すみません、関係者以外は立ち入り禁止なんです。
見学でしたら昼間にお願いしますね。
Q,さっきの男は誰?
A,配送予定の荷物の関係者の人です。
Q,それは『ちかばのタタラ』のグッズではないか?
A,そうですよ。
男をどかすためには、暴力か話し合いで決めるしかない。
◎暴力で決める場合
作業服の男との戦闘になる。
(ステータスはNPCを参照)
好きなだけタコ殴りにして構わないが、男が流血した場合は以下の描写をする。
ぼたり。
男の傷口から血が流れ、地面を汚す。
血?はたして血だろうか。
血とはあんなにも黒かっただろうか。
深い闇のようなその黒に、吸い込まれるように目が離せなくなる。
男から吐き出される黒い液体は、ごぼごぼと音を立てながら地面に埋まるように染み込まれ、跡形もなくなった。
男はゆっくりと倒れた。
【正気度】判定
無形の落とし子を初めて見た場合 1/1D10
2回目以降 0/1D3
◎話し合いで解決する場合
【説得】【言いくるめ】などの技能が振れる。
《成功》
「今回は、ほんとに、特別!すっごく特別ですからね!!」
男は渋々通してくれる。
《失敗》
男は頑なに通そうとはしない。
こうなったらもう暴力でもなんでもして突破するしかないだろう。
探索者達が駅のホームに入ると、コンテナを引き連れた電車があった。
運転席のある先頭車両(ここは普通の電車と同じような構造)には、運転手と髭面の男がいた。
【忍び歩き】判定に成功することで、開いてるドアからこっそり車両に乗り込むことができる。
失敗した場合、または普通に走って向かったりする場合、佐渡川の【聞き耳】50%を振って成功した場合は気づかれる。
佐渡川は気づき次第列車を出発させるためドアを閉めようとするが、閉まるのは探索者達が全員入った後。
一瞬焦ったような顔をするが、すぐ穏やかな顔になり、落ち着きを取り戻す。
「随分とまあ賑やかなお客さんだね。これは旅客列車じゃあないんだけどなあ。」
ヴォンという機械音と共に車両がゆっくりと動き出す。
「まあ、仕方がないけれど、もう後戻りはできないんだ。一緒に行こう。」
列車は徐々にスピードを増していく。
【アイデア】判定
そのスピードはぐんぐん増していく。
車窓からの景色から、普通の貨物列車ではありえないだろう速度で走っていることが分かる。
このままでは非常に危険である。
【目星】判定
運転席には、運転手がいる。
が、それは文字通り“いる”だけで、何か操作をするわけでもなく前方を見ている。
ガゴンガゴンという音と共に列車が左右に揺れる。
佐渡川はぐっと呻くと、客席にゆっくり腰かけた。
「私ももう長くはない。しかしあと少し。あと少しなんだ。あのトンネルまで行けば……」
力なく笑う佐渡川の額は脂汗が噴き出していた。
【知識】判定
トンネルに到着するまではこの速度でいけばあと1時間もないだろう。
探索者たちは何とかしてこの暴走する貨物列車を止めなければならない。
運転席に向かおうとすると、佐渡川が止めに入る。
「やめろ!!」
佐渡川は叫び、運転席に一番近い探索者にタックル(ダメージ1D2)する。
【回避】可能。
「なあ、頼むよ。一緒に行こう。おとなしくしててくれ。死ぬのなんて怖かあないさ。あの方のためならさ。」
虚ろな目をして涎を垂らしながら探索者達へ近づいてくる。
彼の精神状態はギリギリのところで踏ん張っている。
ピンと張ったピアノ線のように張り詰めたその精神を少しでも刺激したら、彼の理性はプツリと切れてしまうだろう。
佐渡川を殺すには一撃で仕留めなければならない。
頭か心臓を狙うために、それぞれの戦闘技能-20%に成功する必要がある。
チャンスは1度だけ。
《成功》
佐渡川の口から、真っ赤な血が吐き出される。
傷口から噴き出した血は、車内に飛び散り、君の衣服を汚す。
独特の鉄臭さとその手の感覚で実感する。
(佐渡川を殺した探索者の一人称)は人を殺したんだ。
ひんやりとした空気が足先から伝わり、スッと昇る。
刹那、頭が真っ白な世界に飲まれていった。
【正気度】判定 殺した探索者は1D6
他は1/1D3
《失敗》
急所を外した傷口から真っ黒い液体が噴き出す。
佐渡川の体内から、質量保存の法則に反した液体が延々流れだす。
黒い液体は、徐々に形を成していく。
大きくでっぷりとしたヒキガエルの様な腹、大きなかぎ爪の生えた脚。
背中からは1対のコウモリ似た翼が生えていた。
顔と思しき場所からは長い触手がズルズルと蠢いていた。
異形のバケモノを見て、探索者たちは恐怖に戦く。
【正気度】判定 1D2/1D10
ここからオサダゴワとの戦闘になる。
ステータスはNPC参照。
戦闘は、戦闘可能探索者が1人になるまで行う。
今砂は自分からは動こうとしないが、探索者が残り1人になると戦いだす。
(ちなみに戦闘技能は持っていないため、全て初期値。
ただし、攻撃成功+今砂の【幸運】50%判定に成功すると、戦闘終了となる。)
異形のバケモノは金属のこすれるような高い声を上げながら、黒い霧となって消えていった。
ほっとしたのもつかの間、床が左右に大きく揺れる。
バランスを崩してこけそうになって思い出す。
まだ列車は止まっちゃいない。
運転席の扉を開けるには扉【STR10】との抵抗ロールに成功する必要がある。
今砂も手伝ってくれる。
運転席には運転をしていない運転手がぼうっと前方を眺めている。
生きてはいるようだが、目に光はなく、心ここにあらずといった様子だ。
「あ、と、トンネルです!!」気づくとトンネルの入り口がもう見え始めた。
トンネルは大きな口を開け、まるで飲み込まんばかりにこちらに迫ってきているようだ。
ブレーキは、どれだ。
運転台には、黒くて丸いレバー・白くて四角いレバー・赤くて丸いボタン・小さくて四角い白いのボタンが10個ほど。
【知識】【アイデア】【幸運】判定に成功することで、止め方が分かる。
テレビだったかアニメだったか忘れてしまったが、どこか遠くの記憶で、黒くて丸いレバーを下げた後で、白くて四角いレバーを引いていた様子がぼんやりと思い出される。
ちなみに赤丸は緊急ボタンで、ビービーという警報が鳴るだけ。
四角いレバーを引くだけだと、速度は変わらない。
黒いレバーだけだと、速度は落ちるが止まらない。
キキキキーッという機会と金属が擦れる音が響き、列車はゆっくりと停止する。
間に合ったのだ。
小さなうめき声がして、運転手の男が目を覚ます。
「あ、れ……?誰だ?どうなってるんだ?」
戸惑う運転手に探索者達は事情を話すだろう。
男は驚きながらも、話を理解してくれる。
しばらくして、運転手が連絡してくれた警察がやってくる。
なにやら事情聴取など色々面倒くさそうだ。
列車を下り、改めて大口を開けたトンネルを見上げる。
奥からゴオーという音とともに風が流れてきた。
まるで探索者を食べそこなって悔しかったかのようなその声は吹き抜けて消えていった。
後日、この事件は「グッズ運搬途中の機械トラブル」という事故として取り上げられた。
これにより映画の公開は延期されたが、話題性も上がって一大ブームとなった。
道行けばタタラの人形を小脇に抱えた少年少女とすれ違うだろう。
ちなみに映画のクレジットから、佐渡川の名前は消されていた。
残念ながら今砂の名前もなかった。
もちろん探索者の名前なんて流れるわけもなかったが、この映画の公開と、それを観て沸く人々がこうして今生活しているのも探索者達がいたからこそである。
摩訶不思議で壮絶だったあの夜のことを世間は知る由もない。
探索者達もそんなのどかで平和な日常へ、ゆっくりと帰っていくだろう。
【クトゥルフ神話】に+1D3%
シナリオをクリアした +1D10
今砂を気絶から助け起こした +1D3
CoC中心に、アマデウス・パラノイア・ダブルクロス・キルビジ・ドラクルージュのルルブを所持しており、いつかプレイしたいと夢見る日々。
https://twitter.com/Argoooooooon_18
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