PC1が男性なら、『THE ERASER』の性別を男性に、かりそめの名前をジャックに読み替え、口調等を適宜変更してください。
エマこと焚書官『THE ERASER』は、魔法使いを未熟なうちに潰すことを目的に、学院に潜伏します。
彼女は禁書〈反転する醜き茨〉を用いて、学院に「元型を錯乱させる魔法」をかけることを目論みました。
まず、断章〈醜悪〉を学院の校舎のまだ知られていない秘密の扉に隠された部屋に潜ませます。
そして、自らの力を増強するため、断章〈茨〉を自身に憑依させます。
人格を蹂躙され、彼女は地獄の苦しみに襲われますが……その苦痛に屈しないために、
外典のキヨシに無理やり【教唆】を使わせ、自らに「魔法を消し去りたい」という願いを植え付けさせます。
そして。ロバートが召喚術の授業をしているとき。
エマは彼が召喚した死の騎士に断章〈反転〉を憑依させるとともに、「元型を錯乱させる魔法」を発動させます。
彼女の目論見通り、惨劇が起こりました。
舞台は異境「学院」です。魔法学院シーン表と、通常の運命変転表を使います。また、世界法則に「元型錯乱」が追加されます。
元型錯乱
魔法戦のラウンド終了時、元型を使役しているPCは《狂気》で判定を行い、失敗すると1点のダメージを受ける。
このダメージに対し、【ブロック】は使用できない。
全ての〈断章〉を回収すると、この世界法則は無効化される。
PC2の導入シーンで、事件が起きる数日前のことです。マルガリータが、PC2に話しかけます。
PC2の表の顔を参考に、シーンを描写してください。
会話例
「私、言わなきゃいけないことがあるの」
「あのね、この前、学院で……」
「……」
「……ごめんね、やっぱり今日は言えない」
「言うべきだって分かってるけど……どうしても、怖くて……」
マルガリータが、何かを恐れているような描写をするとよいでしょう。
「マルガリータ」のハンドアウトを公開してください。
PC2はマルガリータに運命を1点獲得します。属性は任意です。その後、魔力決定を行います。
PC3の導入シーンで、同じく、事件が起きる数日前のことです。キヨシが、PC3に外典の拘束魔法について尋ねます。
PC3の表の顔を参考に、シーンを描写してください。
会話例
「なあ、聞きたいんだけどさ……」
「外典には、大法典に逆らったら発動する呪いがかけられてるんだろ?」
「それって、具体的にはどんなときだ?」
「たとえば……魔法を大法典の魔法使いに使ったらどうなる?」
基本的に、PC3に自由に回答させてかまいません。「分からない」という回答もありうるでしょう。
「キヨシ」のハンドアウトを公開してください。
PC3はキヨシに運命を1点獲得します。属性は任意です。その後、魔力決定を行います。
マスターシーンです。
描写
阿房宮から招かれた講師ロバートが、低階梯の魔法使いに授業をしています。
「……というように、元型が何なのか、というのは魔法使いごとに違うわけだな。さて、では実際に、元型を見てみようか」
ロバートが指をパチンと鳴らすと、彼の斜め後ろの空間が歪み、そこから「死の騎士」が現れる。
「騎士召喚は誰もが使う基本的な魔法だが、侮ったものじゃないぞ。例えば」
ロバートの台詞はそこで途切れる。なぜなら、死の騎士が背後から彼の胴体を両断したからだ。
さらに死の騎士は最前列の生徒に近づき、その首を切り落とす。
血飛沫が上がり、講堂は悲鳴に包まれた。
PC1の導入シーンで、事件直後のことです。PC1はフィンガルの自室にいるとしてください。
PCハンドアウトにある通り、エマはPC1のルームメイトです。
真っ青な顔をしたエマが、フィンガルの部屋に戻って来ます。その服は赤く染まっています。
会話例
「先生が召喚した騎士が、突然みんなを襲って……」
「わたし……仮にも書警なのに、何もできなかった……」
「授業を受けてたのは理論者が大半よ……だから復活もできないわ」
「先生だって、助からない」
最後の「先生だって、助からない」という台詞は、彼女が黒幕であることの伏線なので、なるべく言ってください。
ロバートは第四階梯であり、助からないと判断するのはおかしなことです。
もしPCがそのことを指摘したら、気が動転していたと言い訳してください。
「エマ」のハンドアウトを公開してください。
PC1はエマに運命を1点獲得します。属性は任意です。その後、魔力決定を行います。
シーン終了時に、「ロバート」のハンドアウトを公開してください。
事件の翌日、PCたちは学院の学長室に集められます。
ザナルパトスは、禁書の回収を依頼します。
会話例
「つい昨日、このような痛ましい事件が起きた」
「7名の生徒が死亡し、13名が重傷を負った……未だ生死の境をさまよう者もいる」
「調査の結果、この学院全体に元型を錯乱させる魔法がかけられていることが分かった」
「これだけ規模の大きな魔法となると、禁書が原因と考えるのが自然だ」
「そこで君たちに、禁書回収をお願いする」
「今回の件は、円卓からも早期に解決するよう言われている」
「準備ができ次第、すぐに編纂魔法を発動するとのことだ」
「時間は限られているが、どうかよろしく頼む」
メインフェイズに移ります。リミットが2であることをPLに伝えてください。
本性を表すRPをすると、印象付けられるでしょう。
会話例
「そうよ、わたしが禁書を学院に忍びこませたの」
「芽は若いうちに摘んでおかないとねぇ」
「7人しか殺せなかったのは残念だったけど……まあ、怪我した人も何人かくたばるでしょう」
「もっと多くの元型を狂わせ、いっぱい殺させないとねぇ!」
第1サイクル終了時、マルガリータの秘密が公開されていなければ発生します。
マルガリータがついに意を決して、〈醜悪〉の存在を伝えます。
描写例
「あの、あのね……この前、私」
「校舎の廊下の突き当りに、秘密の扉を見つけて」
「その向こうを覗いたら、そこに――」
次の瞬間、彼女の頭部が爆発四散する。
マルガリータの秘密を公開してください。
ここで、彼女の死はダメージを受けた結果であるということを強調しましょう。
すなわち、【ブロック】や【出口】で防ぐことができます。
そのことを明言はしなくて構いませんが、示唆はするべきです。
PLがそのことに気づいたら、先の描写は数秒後の未来の予知ということにして、あらためてシーンを描写するとよいでしょう。
【解呪】等でムハマドにかけられた【籠絡】を無効化すると、彼はロバートに弟子にしてほしいと願います。
ロバートはそれを受諾し、復活します。ムハマドはPCたちに感謝してお礼を渡します。
プライズ表を1回使用してください。ランクを参照する場合、4とします。
PC全員が、出た目の効果を得ます。ただし6が出た場合のみ、公開する秘密は1つだけとします。
【霊眼】がキヨシに対し使用されたら、下記データを公開してください。
キヨシの秘密公開時に、公開する必要はありません。
『囁きの書』キヨシ
攻撃力2・防御力2・根源力2
真の姿:大男(魔素放射)
特技:《歪み》《恋》《不安》《深淵》
魂の特技:《素直》 領域:闇
関係:メルリンド(恋愛・1)、エマ(宿敵・1)
蔵書:【緊急召喚】【騎士召喚】【教唆】【魅了】【抵抗】
禁書〈反転する醜き茨〉に集団戦を挑みます。未回収の〈断章〉があっても、禁書戦は発生します。
ただし〈茨〉が未回収なら、『THE ERASER』が禁書側に立ち会います。
描写例
白いスーツを着た男が現れ、偉そうな口調であなたたちに話しかける。
「〈断章〉は回収できたか? 編纂の準備ができた、すぐに学長室に来い」
学長室の床には魔法陣が描かれ、鈍い光を放っている。
部屋の奥にいるザナルパトスが、あなたたちを見つめている。
「〈断章〉を魔法陣に置いてください。それで、編纂魔法が発動します」
集団戦を行ってください。禁書の領域は「夢」です。
禁書に勝利したなら、事件は終息します。もっとも、多くの生徒が事件で心の傷を負いました。
特にマルガリータは、自分のせいで事件が起きたと、自分を責めています。
彼らのメンタルケアは必須でしょう。学院が完全に元の平和になるには、しばらくかかりそうです。
禁書に敗北したなら、「元型を錯乱させる魔法」が再び発動します。
アーデンの森に住んでいる元型が一斉に凶暴化し、生徒や講師に襲いかかります。
マルガリータとキヨシも巻き込まれ、死亡します。
PC1 条件:学院に所属している
あなたはフィンガルに住んでいる。ルームメイトのジャック/エマは、23歳の男性/女性で、第2階梯の書警だ。
彼/彼女は事件に居合わせたが、なんとか無事だった。
しかし、心の傷は深いようだ。
シナリオアンカー:PCが男性ならジャック、女性ならエマ
PC2 条件:特になし
あなたの親友のマルガリータは、12歳の少女で、魔法使い候補の愚者だ。
彼女は言わなければいけないことがあるらしいが、
それを言おうとしてやっぱりやめる、
というのをここ数日繰り返している。
シナリオアンカー:マルガリータ
PC3 条件:経歴が異端者・外典でない
あなたは、第2階梯の外典キヨシの管理・教育を担当している。彼は普段、少年の姿をしている。
ここ数日、なんだか彼の様子がおかしい。
シナリオアンカー:キヨシ
人物
PC2の親友で、魔法使い候補の愚者。12歳の少女。
言わなければいけないことがあるらしいが、それを言おうとしてやっぱりやめる、
というのをここ数日繰り返している。
秘密
数日前、彼女は学院校舎で、まだ知られていない秘密の扉を偶然見つけた。
その向こうの部屋を覗いてみると、そこには断章〈醜悪〉がいた。
彼女はそのことを誰かに伝えなければいけないと思っていたが、〈醜悪〉に
「居場所をバラしたら死ぬ呪い」をかけられたため、それを言えずにいた。
第1サイクル終了時までにこの秘密が公開されていなければ、彼女はPC2に断章の居場所を伝え、
呪いが発動して1点のダメージを受け死亡する。
断章〈醜悪〉
攻:2 防:3 根:3
魔力:5-2
魔法:【忌語(秘密の扉)】【人質《狂気》】
特技:《狂気》(領域:夢)
人物
PC3が管理・教育を担当している第2階梯の外典。少年の姿をしている。
ここ数日、なんだか様子がおかしい。
秘密
彼はエマに脅迫され、【教唆】をエマに使うことを強要された。
無理強いされたとはいえ、魔法を〈大法典〉の魔法使いに向けて使ってしまったため、
自身にかけられた呪いが発動しないか怯えている。
【教唆】で植え付けた願いは「魔法を消し去りたい」である。
人物
PC1のルームメイトで、第2階梯の書警。23歳の女性。
事件当時、ロバートの授業を受けていたが、幸い怪我無く逃げられた。
もっとも、心の傷は深いようだ。
秘密
彼女は焚書官『THE ERASER』であり、さらに断章〈茨〉と取引した禁書中毒である。
禁書の力を用いて学院に世界法則「元型錯乱」を追加し、事件を引き起こした。
目的は、魔法使いを未熟なうちに潰すこと。
彼女がPC1にみせた態度は全て演技である。
望むなら、エマの属性を「宿敵」に変更してもよい。
この秘密が調査により公開されたとき、調査者は〈茨〉に魔法戦を仕掛けることができる。
クライマックスフェイズまでに〈茨〉が回収されていなければ、エマは禁書戦に立ち会う。
断章〈茨〉
攻:4 防:1 根:3
魔力:5-1
魔法:【解呪】【魔棘】
領域:力 特技:《自由》
THE ERASER
ランク:4
攻撃力:3 防御力:3 根源力:3 魔力:7
特技:《炎》《太陽》《悪意》 領域:力 魂の特技:《裏側》
魔法:【緊急召喚】【騎士召喚《炎》】【灰燼召喚】【偽装】【籠絡《悪意》】
人物
阿房宮から招かれた講師。第4階梯で、元型学の専門家。
召喚術の講義中、自身が召喚した「死の騎士」に襲われ、死亡した。
彼は【転生】を修得しているはずだが、まだ復活していない。
秘密
ロバートは唯一のアンカーであるムハマドの力を借りて復活を試みているが、彼は申し出を拒絶している。
このままだと、ロバートはセッション終了時に消滅する。
「ムハマド」のハンドアウトが公開される。
ロバートを襲った「死の騎士」には断章〈反転〉が憑依している。
〈反転〉との魔法戦は、〈断章〉が「死の騎士」を召喚済みの状態で開始される。
断章〈反転〉
攻:3 防:2 根:3
魔力:5
魔法:【反乱】【衝動】
特技:《裏切り》《怒り》(領域:闇)
人物
学院で教養課程を学ぶ愚者。18歳の青年。
専門課程に進めたら、ロバートのもとで元型学を学ぼうと考えていた。
まだ師弟関係にはなっていないが、交流はあったようだ。
秘密
彼は何者かに【籠絡】をかけられ、魔法使いを信用できなくなり、見下すようになった。
【籠絡】を解かなければ、彼はロバートにもPC達にも一切協力しないだろう。
セッションの展開によって、これらがそぐわないと感じたなら、変更してもかまいません。
ただし、エマの願いは固定です。
マルガリータ:どうやって罪を償えばいいか教えてほしい
キヨシ:第三階梯に上がるための特訓に付き合ってほしい
エマ:魔法を消し去りたい
ロバート:このような事件が二度と起こらないでほしい
ムハマド:願い表でランダムに決める
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