探索者はいつも通り眠りにつく。「びたん、びたん」という湿っぽく重さのあるものが床に落ちるような音でだんだんと意識が浮上し、目を開くとそこは見知らぬ部屋。四角く白い部屋の中央の床には無造作に数本の蠟燭とマッチ箱が投げ捨てられたように置かれていた。
※探索者全員持ち物なし
部屋全体に「目星」…真四角の白い部屋で向かい合ったドアが二つある。一方のドアには「知りたいならこちら」もう一方には「逃げたいならこちら」と張り紙がしてある。ドアには両方とも鍵穴があり、「逃げたい…」のドアには鍵がかかっているようで開かない。
「知りたいならこちら」の張り紙に「目星」…張り紙の裏には「白い蝋燭はプルメリアの香り。あなたの心を癒します」と書かれている。
置かれていた蝋燭は全部で5本。その下にメモがあり、メモには「あなたの助けになりますように」と書いてある。
※KP情報※
蝋燭の情報は以下の通り。
青い蝋燭…ローズマリーのキャンドル。効果:技能マイナスの解除
白い蝋燭…プルメリアのキャンドル。効果:SAN回復1d3
赤い蝋燭…ハニーサックルのキャンドル。効果:精神分析と同等。発狂解消するがSANは回復しない。
紫の蝋燭…ラベンダーのキャンドル。効果:耐久回復1d3
黒い蝋燭…無臭のキャンドル。効果:ナガアエの行動を1d3ラウンド遅らせることが出来る。
探索者には蝋燭の色と香りの情報のみ開示。具体的になんの香りなのかを知るにはその香りを嗅いだことがあるか、アイデア。そして知っているか知識。
それぞれの蝋燭に火を灯すと効果が発動し、蝋燭はものの数秒でどろどろに溶けてなくなる。よって効果は一度限り。効果は蝋燭を手に持っていた者にのみ。
ドアを開けるとそこも真四角の白い部屋。その中心に一冊の本と鍵束が落ちている。
部屋全体に「目星」…最初の部屋と同じ作りで、今入ってきたドアの向かいにもう一つドアがある。
本…表紙を開くと中には何も書かれておらず、ぱらぱらとページを流し見ても白いページが続くばかりだった。裏表紙に近づくと、手書きの文字で何かのメモ書きのようなものが書かれているページがあった。
「全7体、うち4体処分済み。これより後始末を再開。生餌の用意。探すのが面倒だ」
本のページに「目星」…何も書かれていないと思った白紙のページの中に小さな文字列を見つけることが出来る。「紫の蝋燭はラベンダーの香り。あなたの傷を癒します」
※これを見つけることが出来たら続けて「幸運」…また違うページで文字を発見することが出来る。「青い蝋燭はローズマリーの香り。あなたに本来の力を取り戻させる」
鍵束に「目星」…4つの鍵がついた鍵束。鍵にはそれぞれ「さがす」「かえる」「とじる」「にげる」と書かれている。
※KP情報※
鍵の効果
「さがす」の鍵…「探したいなら…」のドアを開けることが出来る
「かえる」の鍵…「帰る?」のドアを開け、現実に帰ることが出来る。それ以外で使用すると、この鍵で開けたドアの向こうにナガアエが出現する。
「とじる」の鍵…すべてのドアを施錠することが出来る
「にげる」の鍵…「逃げたいなら…」のドアを開けることが出来る
※一通りこの部屋の探索を終えたら、全員「聞き耳」…向かいのドアから「びたん、びたん」という音が微かに聞こえる。
聞き耳ロール後、すぐに逃走宣言がなければ向かいのドアが開く。
開かれたドアの向こうは暗くよく見えない。ただ、向こう側からドアを開けた生白い腕がにょきりと明かりに照らし出されている。その腕の持ち主の姿を確認しようと薄暗いドアの向こうを凝視した時、その腕の持ち主がぬるりとこの部屋に入ってきた。それはでっぷりとした透明なヒキガエルのような体をしており、脈打つ内臓を視認することが出来た。おぞましいその体から生えた四本の人間の腕と、二本のカエルの後ろ足でカニのように動き、腐った沼のような悪臭を放っている。ぎょろりと膨らんだ二つの眼球でこちらを見つめ、まるで笑うかのように大きく避けた口から蛇のような舌を覗かせた。
シアエガの従者、ナガアエの姿を目撃した探索者は1/1d8のSANチェック。
※ここからナガアエとの鬼ごっこ開始
追いつかれるとナガアエは攻撃を始め、戦闘となる。丸腰の探索者ではほぼ勝ち目はない。
※KP情報※
最初の部屋に戻り「とじる」の鍵を使えばナガアエを「知りたい…」の部屋に2ラウンド閉じ込めておくことが出来る。以降、出てくるドアにはすべて両側に鍵穴があり、「とじる」の鍵で施錠することが可能。しかしナガアエの進行妨害での施錠は1d2ラウンドしかもたない。それを過ぎるとナガアエはドアを破壊して進行する。
このドアは「にげる」の鍵で開くことが出来る。
ドアの向こうは体育館を思わせるような広さの空間で、酷い悪臭が立ち込めている。そこには所々に黒い半液体のようなものが高所から零したように存在していた。黒い物体は点々と3カ所あり、それに近づくにつれて悪臭が強く感じられる。奥のほうを見ると、ドアが二つ並んでいるのが確認できた。
黒い物体に「目星」…それは粘着質そうな黒い塊で、周囲への広がり方がまるで水風船でも破裂させたような状態だということがわかる。そしてその物体の近くの床に小さく「黒い蝋燭の香りはあなたにはわからない。コレはこの匂いが大嫌い」と書かれていた。
この粘着物に目星をしたら、CON×3のロールを行い、失敗すれば悪臭による強烈な吐き気に襲われ、すべての技能に-10%。
奥のドアにはまた「知りたいならこちら」と「逃げたいならこちら」という張り紙がしてある。先ほどと同じように「逃げたいなら…」のドアには鍵がかかっている。
「知りたいなら…」の張り紙に「目星」…裏に「赤い蝋燭はハニーサックルの香り。あなたを落ち着かせます」と書かれている。
ドアを開けるとまたあの悪臭が漂い、思わず呼吸を止めてしまう。見慣れた真四角の部屋の中心にあの黒い塊と、その塊に半分塗りつぶされるようにして何かが転がっているのが見えた。よく見るとそれは、うつぶせに倒れた人間の胴体だった。かろうじて残っている左腕は黒い塊に塗りつぶされ、他の手足があったはずの場所には乱雑に引きちぎったような有様で血管や骨を露出させている。黒に下敷きにされた赤黒い血だまりに沈む、かつて人間だったものの残骸を目撃した探索者は1/1d4のSANチェック。
※部屋は狭いため、部屋の中を覗けば全容がすぐに見えてしまうのでSANチェックは回避できない。
この部屋には入ってきたドア以外にドアはない。この部屋に入ってドアを閉めると、「白い蝋燭はプルメリアの香り。あなたの心を癒します」とドアに張り紙がしてある。
……この辺で後ろからナガアエが追いついてくるのではないだろうか。
「にげる」の鍵を使ってドアを開けるとまた真四角の部屋。向かい合ったドアが二つある。一方には「逃げる?」もう一方には「探す?」の貼り紙がされている。
「逃げる?」のドアに「聞き耳」…中から「びたん、びたん」という音が聞こえる。
「探す?」のドアに「聞き耳」…中から微かに「テケリ、テケリリ」という鳴き声のような音が聞こえる。
※この辺でナガアエを追いつかせ、探索者の選択を急がせると良い。何なら後ろから攻撃をさせる。
迫りくる化け物から逃げるため、鍵を使って飛び込んだドアの先には後ろから追ってきているはずの化け物がもう一体、探索者たちを待ち構えていた。※挟み撃ちですね※
「さがす」の鍵を使って飛び込んだドアの先には、黒っぽい玉虫色の粘着質な塊が伸縮を繰り返しながら「テケリ、テケリリ」と奇妙な鳴き声を上げ、悪臭を放ちながら無数の目でこちらを見た。その塊は巨体はあのカエルの化け物の上にのしかかっており、ひきつるような切れ切れの叫び声をあげるカエルの化け物をそのままブシャリと押しつぶした。透明だったカエルの化け物は見る見るうちに形を失い、何度も目にした黒い粘着質の塊となった。
玉虫色の悪臭、ショゴスの姿を目撃した探索者は1d6/1d20
玉虫色の化け物の後ろに黒いフードを目深にかぶった人物が探索者たちに気づき、こちらを向いた。フードの中をうかがい知ることはできないが、驚いたような、どこか楽し気な声色でその人物はこう言った。
「凄いね、ゲームのつもりでおいてたヒントでよくここまで来られたね。」
フードの人物は探索者たちを手招きすると、玉虫色が探索者の後ろまで迫っていたカエルの化け物に襲い掛かった。
「もう後始末も終わるし、ゲームは君たちの勝ちだよ。さぁ、この先のドアから帰るといいよ」
指さした先に「帰る?」と貼り紙がされているドアがある。
「かえる」の鍵を使ってドアを開けると、探索者の視界が暗転する。
シナリオクリア。
※フードの人物について
特に設定されてませんので、自由に設定を作ってください。
殺意の高いPLが多い場合はショゴスを従えた魔術師のラスボスとしてといいかもしれません。
SAN回復
シナリオをクリアした…1d6
蝋燭を使用せずにクリアした…2d6
蝋燭の効果を全て確認した…1d6
使い残した蝋燭獲得。
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