PC1は恋人であるPC2と付き合っていましたが、PC2は少々ヤンデレ気味でした。
辟易していたPC1ですが、ある日ひょんなことから精神交換器なるものを手に入れてしまいます。
綿密な調査の結果、これが本物だと確信したPC1は、
「これがあればPC2とも後腐れもなく別れ、しかも犯罪を犯しても足がつくことはない」
と考えました。
そして強盗殺人(本来は強盗だけのつもりだったかもしれませんが)を犯したPC1は、
健康そうで独り身のちょうど良さそうな人物(タクシードライバー)と精神を入れ替え、
そのドライバーを殺してPC2と電話で別れ話をし、さあ死体の始末だ。と、タクシーを走らせたところ
電話での別れ話に殺意を滾らせたPC2につかまってしまいました。
山道を走るうちに奇妙な出来事が発生し始めます。
それは殺されたタクシードライバーの霊の仕業です。
果たしてPC1は逃げ切り新しい人生を迎えるのか。
PC2は目の前の人物がPC1だと気がつけるのか。
特殊型
プレイヤー人数 2人
リミット 3サイクル
狂気カード
基本ルールブックの狂気カードから
「疑心暗鬼」「広がる恐怖」「挙動不審」「盲目」「血への渇望」
「絶叫」「怪物」「暴力衝動」
の8枚を用意してください。
特記事項
・車内での出来事になりますので、PCは2人ともシーンに強制的に登場することになります。
・お互いの【居所】は最初から所持しています。
・PC1には「タクシーの運転手の名前等のパーソナルデータ」と「本来のPC1のパーソナルデータ」を決めてもらってください。
・PC1の職業は「運転手(特技《乗物》《我慢》)」で作成してください。
PC1の秘密の書き換わりタイミングについて
PC1の中身にPC2が気がついた場合、おそらくPC1へ何らかのアクション(攻撃等)をすることでしょう。
その時にPC2へ理由を聞いてください。
「PC1の中身は自分の恋人である」、もしくはそれに近い答えが返ってきた場合、秘密の書き換わりが行われます。
PC1に対してPC2が特にアクションを起こさなかった場合、特に何もしなくていいでしょう。
舞台
「本当は怖い現代日本」の山に囲まれてイマイチ交通が不便な街と、そこから隣町に通じる山道が舞台です。
電車は通っていますが、深夜になって終電が過ぎれば隣の街までは車で1時間ほど山道を走らなければならないようなところです。
シーン表
1:雨が車に当たる音と、規則的に動くワイパーの音だけが車内に響く。未だ止む気配はない……。
2:ラジオからノイズのようなものが流れた。電源入れたっけ……?
3:車の前を小さな黒い影が横切る。猫か、イタチか、狸か、それとも……。
4:窓の外は真っ暗だ。明かりの一つもない。
5:ふと、誰かに見られている気がした。自分たち以外に誰か居るはずもないのだが……。
6:山の木々の奥に、くねくねと揺らめく白い影が見えた気がした。……気のせいだろう。
とある雨の夜、PC1は仕事のため街のはずれを走っていた。
しばらく街を流すが深夜のため人もおらず、雨も激しくなる一方だ。
そんな中、PC2が道の端で手を上げている。
隣町まで行って欲しいとの事だ。
PC1はPC2を乗せて、車を走らせる。
そして2人を乗せたタクシーは、対向車もすれ違わぬ山道へと差し掛かる。
……しばらく走っていると、急に車の速度が落ちていく。
PC1がアクセルを踏んでも、スピードの上がる気配はない。
なんとか道路脇に寄せてエンジンを点検しても、故障している箇所などは見当たらない。
こんな山の中では携帯もつながらないし、通りがかる車か朝を待つしかないようだ。
こうして、奇妙な長い夜が始まる……。
■ メインフェイズ
ゾーキングで分かる情報
・ラジオの声について
(PC1へ)PC1が精神を入れ替えたドライバーの声とよく似ています。
・バックミラーの幽霊について
今現在タクシーを運転している人物とよく似ています。
・ロープのようなもの、精神交換器について
(PC1へ)あれはたしかに捨てたはずだ。
不意に「ドン!」と音がする。
何事かと音の出処を探ってみると、車の後方。トランクの中から音がするようだ。
トランクのドアを叩く音は段々と激しくなっていき、ついにはドアを破壊して
「男の死体」がタクシーの天井へと這いずりながら登ってくる。
「男の死体」を見たタイミングで《死》で恐怖判定。
ひと目見れば、もう息はないだろうと思われるその死体だが、
ずるずると移動し、ついにはフロントガラスを塞いで前方を塞いでしまう。
ダメ元でPC1がキーを回すと、先程まで反応もなかったエンジンがかかりそうな気がする。
・外に出て迎撃する
「男の死体」と戦闘になります。
・タクシーを走らせる
戦闘に入りますが、この状態で走り続けるにはPC1が自分のターンで《乗物》に成功し続けなければなりません。
もし《乗物》に失敗した場合、山道の脇にある崖下に車ごと落ちることになるでしょう。
PC2は、自分のターンで死体に攻撃をすることも可能ですが、死体からの反撃も覚悟しなければなりません。
死体の生命力を0にして、PC1が《乗物》に成功すれば、車から振り落としたことになります。
途中で車を止め、外に出て迎撃する場合は通常の戦闘になります。
終了条件
戦闘に参加しているキャラクターが1人以下になる。
5ラウンドが経過する。
5ラウンド経過した場合
タクシーの中から黒い靄が発生して、PCを捉えようと迫ってきます。
知覚分野の特技の中からランダムに決定して、逃亡判定を行ってください。
「男の死体」
脅威度:3 属性:怪異 生命力:12
好奇心:情動 特技:《破壊》《恨み》《乗物》《霊魂》
アビリティ
基本攻撃 《恨み》攻撃
連撃 《破壊》サポート
トリック 《乗物》攻撃
PC2がPC1の正体に気が付かず、男の死体を倒して戦闘終了になった場合、
PC1はそのまま逃げ切り、新しい人生を謳歌することでしょう。
PC2がPC1の正体に気がつき、使命を達成した場合、PC1、PC2共に男の死体に倒された場合、
5ラウンド経過で靄に捕まった場合は、
タクシーの中から黒いもやが湧き出し、PC1(全滅の場合はPC2も)と男の死体をあっというまに包み込み、タクシーの中へ引きずり込みます。
そしてタクシーは急発進し、ガードレールを突き破ってそのまま崖の下へと転落していきます。
後日、崖の下から燃えたタクシーが見つかるが乗客も運転手も発見されなかったという小さなニュースになります。
PC1が戦闘に勝利した場合は、山の中でPC2と男の死体が首吊り死体となって(PC1の仕業です)発見されます。
警察は、強盗殺人犯である男が、恋人であるPC2と無理心中をしたと判断してこの事件を解決してしまいます。
そのほかの解決法が発生した場合はPLと相談をしてふさわしいエンディングを用意してください。
PC1
推奨:男性
あなたはタクシーのドライバーだ。
終電を逃した客でもいないかと街を流していたところ、
PC2が乗客としてやってきた。
あなたの【使命】は
「乗客を無事に目的地へ送り届ける」
ことである。
秘密
ショック:なし
あなたはPC2を知っている。
だがそのことをPC2には感づかれたくない。
あなたの【本当の使命】は
「PC2のことを知っている理由をPC2に悟られないこと」
である。
※以下の情報はPC1への追加情報です。作成するときに伝えてください。
PC2が「PC1の精神は恋人である」と確信した時に書き換わります。
ショック:全員
実はあなたは強盗殺人犯である。
すべてをやり直して新しい人生を歩みたいと思っていた。
そんな時に、偶然にも精神交換器なるものを手に入れたのだ。
手に入れた金を隠し、目をつけたタクシードライバーと身体を交換し、そいつは始末してトランクに押し込めてある。精神交換器は誤作動したら怖いので捨てておこう。
恋人のPC2にも別れを伝えて、死体の始末をしたら新しい人生の始まりだ。
と思ったらPC2が乗り込んできた。やべえ。
あなたの【本当の使命】は
「PC2から逃げ延びる」
である。
この秘密を見たPCは《混沌》で恐怖判定。
PC2
推奨:女性
あなたは今から恋人のところへ行こうとしているが、
あいにく終電を逃してしまった。
そんなところに、PC1のタクシーが目にとまったので、
それで行くことにした。
あなたの【使命】は
「恋人のところへ行く」
事である。
秘密
ショック:全員
あなたはつい先程、恋人から別れを切り出された。
結婚まで考えていたのに。許しておけぬ。
頭に血の登ったあなたは、のろのろと走っていたタクシーをとめてそれに乗り込み、恋人の元へと向かう。
あなたの【本当の使命】は
「恋人を殺す」
ことである。
この秘密を見たPCは《恋》で恐怖判定
ラジオ
備え付けのカーラジオ。
気のせいか、ノイズがそこから流れているような。
秘密
ショック:全員
よく耳を澄まして聞いてみれば、ノイズに混じって人の声がする。
その声は恨めしげに「……返せ……返せ……」と繰り返している。
この秘密を見たPCは《物音》で恐怖判定。
バックミラー
何の変哲もないバックミラー。
後部座席からでもよく見える。
秘密
ショック:全員
後ろに座るPC2の隣に、ぼんやりとした姿だが、男が座っている。
あれは確実にこの世のものではない。
その人物は、恨みがましい目でじっと前方を睨んでいる。
この秘密を見たPCは《恨み》で恐怖判定。
窓の外
相変わらずの大雨だ。
秘密
拡散情報
ショック:全員
雨粒の流れる窓を見ていると、突如「バン!」と音がして、赤黒い手形が窓につく。
「バン!バン!バンバンバン!」何度も窓を叩く音、そして手形。
何事かと戸惑っていると、音はなくなり、手形は次第に雨に流されていった。
この秘密を見たPCは《情景》で恐怖判定
新聞
後部座席に無造作に置かれていた新聞。
日付は今日のもののようだ。
秘密
拡散情報
ショック:PC2
何気なく読んでいると、ある記事が目に止まった。
それはごく近所で起きた強盗殺人の記事だ。
その事件の容疑者の名前、それはPC2の恋人の名前だった。
PC2がこの秘密を知った場合《驚き》で恐怖判定。
新聞の下には、ロープのようなものが置いてあった。
ハンドアウト「ロープのようなもの」が公開される。
ロープのようなもの
60cmほどのロープのようなもの。
秘密
ショック:全員
これは精神交換器である。
ロープの両端をそれぞれ握ると、握った者同士の精神を入れ替えることができる。
なぜこんなものが……?
この秘密を見たPCは《混沌》で恐怖判定。
プライズ「精神交換器」を入手する。
プライズ:精神交換器
両端に矢印の描かれた球体がついたロープ状の物体。
ロープの両端をそれぞれ握ると、握った者同士の精神を入れ替えることができる。
このプライズに秘密は存在しない。