2024年01月28日更新

ハーメルンは誰彼を類えるか

  • 難易度:★★|
  • 人数:1人~4人|
  • プレイ時間:5~6時間(テキストセッション)

人々を川へ連れ去る怪異の前に、二人の神様が現れる。探索者はどちらの神を信じる?///「メタ視点」を殺すことがメインのシナリオです。人数や技能はゆるっとふわっとできるシティです。

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[シナリオ名]ハーメルンは誰彼を類えるか
[形式]シティ
[推奨人数]1人~4人
[所要時間]4時間~9時間
[推奨技能]なし(図書館、交渉技能があれば役に立つ)
[ロスト率]低、ただしSANはそれなりに減る

※戦闘があるが、技能なしでも初期値こぶしでなんとかなるレベルなので、戦闘技能まで推奨しなくてもいい。

《特記・注意事項》
このシナリオは「ニャルラトホテプに対するメタ」を利用したシナリオです。
作中のヒントをもとに、ニャルに従うと、あっさりベストエンドへ。
ノーデンスに従った場合、紆余曲折あってのトゥルー(ビター)エンドとなります。

シナリオを回すKPは、PLに事前に
「シナリオ制作者が意地悪なシナリオである」
と前置きをしておくのをお勧めします。

《あらすじ》
ある町に、狂気の笛を操る「ハーメルンの怪異」が出現する。
怪異により街ごと人間が殺されかけた現状を見かねたノーデンスが活動を始めるが、
それを見つけて「おや、おもしれえことしてるやん」と介入しだした
ニャルラトホテプのせいで、状況が面倒なことになった。
ニャルさんは冒涜的なまでに「完璧」な手段で解決を迫り、実際にあっさりと成し遂げてしまう。
だって神様(ノーデンス)が悔しがるところが見たいもん。

《NPC》
・仁矢 累(にや るい)
純粋な少年のような瞳と言動をするAPP18美少年。
るいは女性名でも通じるので、女性に改変してもいい。
その正体は推してはかるべし、そう、神格ニャルラトホテプである。

・野寺 崇臥(ので すうが)
ちょっとやさぐれた白髪と白髭のおじさん。
献身的な性格だが、判断基準が人間のそれとズレている。
その正体は推してはかるべし、そう、神格ノーデンスである。

・ハーメルン
SAN0の狂人。ステータスは必要な時にKPが決定する。
狂気の笛(発狂はフェティッシュ固定)を持っている。

《導入》
探索者は仕事や旅行で、R市を訪れている。
必要なら、R市はぶどう狩りや庭園があり、観光名所になっていることも言っていい。
その場合は、そういった観光情報はシナリオに関係ないことも必ず伝えること。

各々がそれぞれの時間を過ごしていると、
「ひゅるりひゅるり」
探索者達は何か風のような音を聞く。その途端、探索者たちの意識が途切れる。

探索者たちはSANを5減らす。

「起きて」
探索者たちは聞きなれない声を聞いて目を覚ます。
目を覚ましたあなた達は、R市を流れる川の傍に佇んでいた。
探索者の周りには、虚ろな目をした人間がふらふらと歩いている。
理性を持って動いているのは、探索者たちだけだ。
呆然とする探索者たちの前で、歩いてきた人は次々と川へ飛び込んでいく。
川の傍には転落防止用の柵を設けてあったが、おかまいなしに人はそれを乗り越えていく。
川へ飛び込んだ人たちはそのまま帰ってこなかった。
異様な風景と、自分たちがそうなってたかもしれないという恐怖にSANチェック(1/1d4)

腕を掴んだりして引き留めても、探索者は川へと引きずられそうになるため、溺れたくなければ手を放すしかない。
STRが高ければ踏ん張れるが、延々と引き留めた人は歩き続けるので、
足を止めたければ動けないようにするか、原因をどうにかするしかない。

<目星>
歩いてきた人がほぼ全員、同じ方角からやってきてるとわかる。

<聞き耳>
足音の数が多く、ざっと見積もって数十人程度だとわかる。笛の音は聞こえない。

<心理学>
何かに強く心を囚われており、自分の意志ではないものに引き寄せられているように思う。

<精神分析>
成功すれば、その人間は我に返り、足を止める。
ただし周囲の壮絶な光景に青ざめ、へたり込む。
話を聞いても、探索者と同じく、街を歩いてたらいきなり意識を失ったことしか分からない。
この場を離れるように言えば、よろめきながら逃げ出していく。

ロールプレイが落ち着くか、全員が一回技能を振ったら、イベントを進める。
行動している探索者のもとに、年端も行かない、美しい外見の少年が現れる。
少年は仁矢 累(にや るい)と名乗り、探索者たちを住宅街へ連れて行く。
渋る探索者には説得(秘匿、値は99)をふり、救助を諦めついていく方向にもっていく。
最初の行動でこの場を離れた探索者がいれば、移動中にその探索者と合流をする。

二矢は探索者に、先程の笛が「ハーメルン」という幽霊が原因であると伝える。
そして「ハーメルンを止めたい、足取りを掴みたいから調べてほしい」と頼む。
<心理学>をふると、嘘はついてないように感じる。
(実際、ノーデンスの目の前で解決して悔しがらせたいので、止めたいというのは嘘じゃない)
探索者が参加を渋るようなら、

二矢は、自分は立脇公園に居ることと、白髭の男に気をつけろと言い残して去っていく。
プレイヤーにはここで、この都市には資料館があり、図書館のように使えることを公開する。

《探索》
資料館→警察署かスマホサイト→公園 で最速攻略が可能。
場所を移動するか、ある程度まとまった時間が経つたびに<幸運>をふり、
失敗すると笛を聞いてしまい、SANチェック(1d3/5)。
笛の効果による自動発狂は謎の声により都度解除される。

◆住民に話を聞く(好きな場所でできる)
住民は話し方次第で以下の情報を話す。
・行方不明事件は数か月前から起き、続いている。数十人単位でいなくなる。
・幸運にも行方不明現場に残った人物によると、
何か妙な笛が聞こえて、背筋が寒くなった。その後外に出ると住宅街に誰もいなくなっていた。
そこから行方不明事件は「ハーメルンのせい」と言われるようになった。
・行方不明になった人が何人か川に浮いているのが見つかったことがある。
それもあって、川の付近には柵が作られた。

◆買い物をする
買い物は適切な場所に行けばできる。
この町には業務用ホームセンターもあるので、物騒な装備を整えることもできる。

◆新聞・インターネットの情報
キーワードを絞り<図書館>で情報調査ができる。
成功しても何もない可能性があると、事前に言っておく。

「ハーメルン」
ハーメルンの笛吹き男について出てくる。
ハーメルンが約束を違えた村人に怒り、笛を吹いて子供たちを連れ去ってしまったと書かれている。

「ハーメルン+R市」
「行方不明事件+R市」
数か月前から行方不明事件が起きている。
川沿いの住民が行方不明になることが多い。
行方不明事件が起きている箇所のマップが出てくる。
この情報と、資料館の情報の両方を揃えて、公園に行くとイベントが起こる。

それ以外もKPは渡したい情報があれば適宜渡して構わない。
二矢、野出の正体だけは検索しても出ない。

◆資料館
<図書館>に成功すると、「新訳:ハーメルンの笛吹き男」という本が出てくる。
失敗しても時間を進める代わりに連続で再トライできる。
何回も失敗してたら適当なタイミングで笛判定を入れる。

「新訳:ハーメルンの笛吹き男」
ネズミに困っていた村にやってきたハーメルンは、
ネズミ退治をし、お礼を村からもらう約束をしていたが、村人に約束を裏切られた。
怒ったハーメルンは笛を使い、子供たちを誘い出して連れ去ってしまった。
そこに旅人の少年が現れて、「全て任せてくれ」と言われたので後を託すと、
子供たちはいつの間にか村に戻ってきていて、ハーメルンの被害もなくなった。

本を読んだ後で<目星>に成功すると、本の隅の方に
「尋常じゃない力で叩き割られた笛の欠片が見つかったらしい」と
書いて消したような跡があるのを見つける。

ハーメルンの情報と、警察署かネットでえられるマップを揃えて公園に行くと、イベントが起こる。

◆警察署
警察署で適切なロールプレイと交渉技能に成功すれば、
行方不明事件が起きている箇所のマップを見せてもらえる。
この情報と、資料館の情報の両方を揃えて、公園に行くとイベントが起こる。

警察署でそれ以外に聞ける話は、住人に聞ける話に加えて以下のもの。
・死者は300人を超えている。刑事からも何人か行方不明者が出た。
・犯人像はまったくわかっていない。
(これは犯人に近づくことに成功した刑事が、笛で発狂し入水したため。)
・行方不明者にはR市を訪れていた観光客も含まれている。
危険かもしれないので、用事が済んだ観光客は早急に街を出た方がいい。

◆これまでの事件現場
人通りが少ないこと以外、何も起きない。
空き巣は出来るかもしれないが逮捕エンドに注意すること。

◆立脇公園
二矢がいる。キーとなる情報をそろえるまでは、世間話しかしない。
自分の正体や事件の黒幕については誤魔化すような口ぶりをするが、基本的に彼は嘘はつかない。

キーになる情報を二つ渡すと、二矢はハーメルンの出現地点を特定する。
そして「あとは僕に全て任せてくれ」と言うが、そこで白髭の老人が現れる。
「この少年に解決させてはいけない、恐ろしいことを企んでいるに違いない」
「この私、野出に協力してくれ」
「この少年に人知を超えた力を使わせてなるものか」
と白髭の男は言うが、二矢は鼻で笑うだけだ。
<心理学>はどちらも嘘をついていないという結果になる。
白髭の男は二矢をひどく疑っている。

二矢に解決を頼むなら、その時点でED1に入る。

野出に解決を頼むなら、二矢は「後悔するなよ」と言って姿を消す。
野出は名を名乗り、怪異の解決法を伝える。
先程特定したハーメルンの出現予測ポイントに行き、笛を破壊することで怪異は消える。
野出は探索者たちひとりひとりに銀色のベルを渡し、
「これがあれば短時間なら笛の音に耐えられる」と説明する。
具体的には笛の音を一度だけ受け流し、5ラウンド間なら耐えられるとプレイヤーにも説明する。
(アーティファクト:テツチャプトルのチャイム。ルールブックの呪文欄参照)

この後は野出に従い、出現予測ポイントに向かうことになるが、寄り道も出来る。

◆出現予測ポイント
野出に解決を依頼した場合のみ訪れられる。
(野出と二矢どちらも振り切ってここを訪れた場合も、野出エンドルートに入る。)
笛の音が聞こえるが、不思議と心がざわめくこともない。
ベルを見ると、ベルは毒々しい紫色に変色している。
ハーメルンと戦闘になる。

「ハーメルン」
HP13、STR9
笛を吹く、笛を奪われたらSTR対抗で取り返す、以外の行動はしない。
笛を吹かれるなら5ラウンドごとに(1d3/5)のSANチェックが入る。
組み付き、ノックアウトは有効。

「笛」
HP8
探索者の火力に合わせてHP調整してもいい。

「野出」
探索者の指示に合わせて行動する。戦闘技能は初期値だが、<組み付き>のみ50にしてもいい。

《エンディング》
ED1「正邪なき生者を望むか」
条件:二矢に解決を頼む
二矢は微笑み、探索者たちに「よくここまで辿り着いた」とねぎらう。
そこに野出が現れて「そんな人知を超えた手はダメだ」と二矢を止めようとするが、
「見ていなよ偽善者。これが奇跡というやつさ」
と二矢は吐き捨てるように言い、両手を掲げる。
<目星>を全員振る。
成功すると、二矢が口角を吊り上げ、卑劣な笑みを浮かべているのがわかる。
目星のあと、何かする余裕もなく、探索者の意識は急に暗転する。

探索者が目を覚ますと、町中に佇んでいた。
時計を見ると、二矢への解決を依頼した時間帯から1時間ほど経っている。
探索者の傍に苦虫を噛み潰したような顔の野出がやってきて、怪異が解決したことと、
川に飛び込んだ町の住人が戻ってきたことを伝えて去っていく。

探索者たちが長く神話的現象に付き合っていくなら、
いつか二矢がどうやって死者を蘇らせたか、わかってしまう日が来るかもしれない。

SAN値報酬
事件の解決 1d6
住人の生還 1d6
神話による解決 神話技能+3%

ED2「聖者は終焉を望むか」
条件:野出に解決を頼み、ハーメルンの笛を破壊する
ハーメルンは笛を破壊されると、糸が切れたように倒れ、動かなくなる。
野出は探索者たちをねぎらい、お礼を言う。
探索者たちは怪異が解決し、これ以上の犠牲者は出ないことを直感するだろう。

日常に戻ろうとした探索者たちの耳元で、囁くような声がするだろう。
「事件は終わった。だけど川に落ちた人はもう帰ってこない」
「だから、僕に頼ればよかったのにね」
周囲を見回しても誰もいない。

SAN値報酬
事件の解決 1d6

ED3「ハーメルンは誰彼を殺めたか」
条件:事件解決前にこの町を脱出する。

町の脱出は通常通りできる。
探索者たちは何事もなく日常に戻る。
その後もR市では行方不明事件が続いているらしい。
KP次第では二矢から捨て台詞があるかもしれない。

《あとがき》
何か怪しい人物や事件を見るたびに「どうせニャル」ってなる風潮を、
逆手に取りたくて作りました。
実際ニャルとはっきり分かるものは警戒して正解だし、
ノーデンスはかなり信用のおける神様なのですが、
ニャルへの先入観ばかり持ってると、大事なことを見逃すかもしれないですね。

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