2024年11月08日更新

時を喰らう街

  • 難易度:★★|
  • 人数:1人~4人|
  • プレイ時間:3~4時間(ボイスセッション)

あぁ、こうしてやさしい時間の中に居られたら。 || 「懐かしい街並み」がテーマのシティ。

0

3

ストック

0

コメント

あぁ、こうしてやさしい時間の中に居られたら。

概要

シナリオ名:時を喰らう街
推奨技能:基礎探索技能 生き残りたければ高DEXか回避
あれば使うかも:歴史 値切り 生物学or博物学
ロスト:あり
形式:シティ

登場NPC

海月 亜凛(かいづき ありん)

10代後半の女性。ロングヘアー、白いワンピース、どこか古風なセンスが特徴。
この街の住人らしく、観光教会に訪れた探索者たちに、道案内を申し出る。
実は「悠遠町」をつくりだした張本人である。
ヨグ=ソトースの信者であり、「子供時代の記憶」の中で永遠の幸せを得るため、時の止まった街を作った。
探索者たちをはじめとした来訪者も町へと取り込み、大勢の「ともだち」に囲まれた幸せな生活を送り続けようとしている。

導入

あなた達は下道バスツアーに参加しています。食事や体験の様々なプログラムを楽しみ、そろそろ良い感じにお腹も膨れたころ。あなた達は眠気に襲われ、そのまま眠りに落ちます。
ふと、目を覚ましたあなた達は、霧の深い街に居ることに気づきます。
バス運転手が「お客様にお詫び申し上げます。ただいま、バスの計器の異常を確認いたしました。霧が深く、運行が大変危険なため、臨時停車いたします。お急ぎのところ申し訳ありません」とアナウンスを流します。
バスは小さな駐車場に入って停止します。
「ただいま停車している町は"悠遠町"、現在停車している地点の傍に観光案内所がございます。修理の間、観光案内所にて休憩をおとりになってお待ちください」
とアナウンスがあります。このままバスの中に居ても、運転手にバスの修理の支障が出るからと外に出されますので、バスからPCを下ろしてください。観光所にPCを誘導したら、探索スタートです。

探索:ときわすれの侵蝕について

この情報は、<侵蝕Lv2>以降のアイデアに成功するか、時計台のイベントで海月から聞き出さないと提示されないシークレットな情報である。
「悠遠町」に長時間留まると、街に宿るヨグ=ソトースの念に身体が侵食され、あたかも街に最初から住んでいたかのような錯覚を覚えていく。
そうなるとこの町の違和感に気づきにくくなり、またヨグと敵対するティンダロスの追跡を受けやすくなる。

・深度00:到着直後。霧の多い街だと思う。
・深度01:観光案内所を出た直後。霧は少し晴れ、景色が見え始める。「この町はいい雰囲気の街だ」と思う。
・深度02:時計台に行く直前。
この時点で<アイデア>で判定。これ以降、深度が上がるごとにアイデアを行うが、違和感に気づきにくくなるため、この判定での達成値は-10される。
成功すると「この町に妙に心惹かれている」と気づくが、失敗すると「この町に住んでみたい」とかなりの好感を抱く。
・深度03:時計台から出た後。
霧はもはや霞程度にしかない。以後、違和感に気づく<アイデア>に成功してない場合、特定の技能に-10。また、ティンダロスの襲来幸運判定に-10。
「これだけ居心地がいいなら、自分は最初からこの町に住んでいたのではないか?」と故郷にも似た懐かしさを覚える。
・深度04:時計台を出て、霧以外の2か所以上の場所を回ったあと。
もはや霧は無く景色は澄み渡る。探索者はこの町から離れたくなくなる。ティンダロスの襲来幸運判定がさらに-10し、合計で-20に下がる。
ヨグ=ソトースへの無意識の崇拝を得るため、生還した場合は神話技能が+3上がる。

探索

基本的に行けばいい場所は「観光案内所」→「時計台」→「教会」→「霧」です。

地図にない場所への移動について

「霧の中に入りたい」と要望があった場合は、「街の霧」の描写を参考にしてください。
「店に行きたい」と要望があった場合、商店街のほか、『郊外の町にありそうな、ホームセンター、レストランなどのチェーン』などは行ってもかまいません。ニ〇リとか。バーミ〇ンとか。
その他はKPの判断にお任せします。

・紗の街観光案内所
平屋の案内所。インフォメーションカウンターの職員は愛想が良く、人々もどこかのんびりとした、アットホームな雰囲気が案内所の中には流れています。
観光案内を受けることで、「公民館付属図書館」「レトロクロックミュージアム」「悠遠町駅」が新たに調査地点として出現します。
(この時、職員のRPは少々親切すぎるくらいのお人よしを演じてください。)
職員に対し<心理学><人類学>を振ると、職員はこの町に対し、疑いを持たぬくらいの深い愛を抱いていることがわかります。
館内の<目星>に成功すれば、悠遠町では時計が名産品であることがわかるでしょう。失敗しても、この町にはノスタルジーな風景が数多くあり撮影スポットとして良いことがわかります。
(<歴史>でさらに、悠遠町と時計は古くからなじみあるものと解って構いません。)
 ↓
観光案内所を出ようとすると、見慣れない白いワンピースの少女が話しかけてきます。
「こんにちは。私は自称悠遠町親善大使の海月と申します」
と愛想よくあなたたちに話しかけ、
「よろしければ私が行きたい場所への道案内をしますよ」
と申し出ます。
断っても構わないですが、その場合は1か所観光スポットを回った後で再会させ、時計台の紹介をさせ、時計台に連れていくよう誘導してください。

「公民館付属図書館」「レトロクロックミュージアム」「紗の街駅」
どれか一つを調査すると、海月から「とっておきの場所」と時計台を紹介され、時計台に行けるようになります。
 ↓

公民館付属図書館

小さな図書館ですが、悠遠町の文化を知る資料館の役割も果たします。観光客にも一般開放されています。
<図書館>成功で「悠遠町の歴史と民性」と「悠遠町いろはに」、失敗しても「悠遠町いろはに」が見つかります。

悠遠町いろはに

悠遠町の広報誌。以下の情報がわかる。
・変わりゆく都市や自然の景色を惜しむ考えから、悠遠町ではノスタルジーの光景を各所に残している。
(※通りすがりにノスタルジーなインスタ映えするスポットが多くあり、特に移動時間は取らないので茶番ロールにどうぞ。<写真術>とか<芸術:すごいポーズ>とか成長狙っていきましょう。)
・パンフレットの隅に見慣れないマークがあり、これが街の紋章なのだろう
(※実はこのマーク、ヨグ=ソトースの教団の印を模したものであり、<クトゥルフ神話>でそれがわかる。<歴史/2>でも「時間を司るという神様を記すマークと似ている」くらいは解ってよい。)

悠遠町の歴史と民性

文字通り、悠遠町の歴史と住民性について書かれています。
ざっくり読んだところ、以下の情報がわかります。
・この町には時の神様がおり、その神様を信仰する流れから、時計が名産品になった。
・古くより、神様に清められた時計をお守りとし、大切にしていた。
<目星>成功で、資料の数冊に乱暴に破り捨てられた部分があることに気づきます。

レトロクロックミュージアム

古今東西の古い時計を飾っているミュージアム。現在は時計のメンテナンスのため閉店しています。店の入口を掃除している店主と会うことができます。
彼は友好的で、「何か困ったことがあれば助ける」と申し出てくれます。
彼と会うことで時間が経過します(=浸食が進みます)が、次に進むべき方向をざっくりと暗示してくれます。
例:「海月というお嬢さんには会ったかい?彼女が勧めるスポットなら間違いないはずさ」「この町には時計が沢山あるけど、その中でも特別な加護を受けた時計があるんだよ。例えば、教会ならその加護を受けられるんじゃない?」

紗の街駅/下町商店街

様々な民芸品やご当地グルメを買うことが出来ます。
「記念時計」を買うこともできます。記念時計は少々お高いので、<値切り>で値切ることが出来ます。レッツ初期値5%!運試しにでもどうぞ。

時計台

白に紫の混じった柔らかな花が咲き誇り、その枝の下にはまばゆいほど鮮やかな黄色の花が咲いている。
<生物学><博物学><知識-10>で、紫の花が「ジンチョウゲ」、黄色が「フクジュソウ」だとわかります。
花言葉はジンチョウゲが「不死、永遠」、フクジュソウが「永遠の喜び」。
(これは知識を振ったならそのまま分かってもいいし、<人文学>など振らせてもいいでしょう。
スマホを使えば図書館無しでも簡単に調べられます。)
さらに<アイデア>に成功すると、ジンチョウゲは冬の花・フクジュソウは春の花、と
咲くタイミングが明らかに異なる花であることがわかります。
時計台の頂上に辿り着くと、イベントが発生します。
イベント後に「教会」が新たに調査地点として出現します。

イベント:ときのながれないまち

時計台の頂上に辿り着くと、周囲の花畑が一望できます。
白と黄色、そしてまぶしい五月晴れの青。淡い霧が色をぼかして、幻想的なムードを醸し出す。
夢のような景色の中、時計台を巡るそよ風に吹かれながら、その少女、海月は口を開きます。
「すごいでしょう?ずっと昔から綺麗に守ってるこの景色、皆さんに見せたかったんです」
(※ここから、KPは会話の流れに応じて以下のセリフを差し込んでください。)
「10年前、20年前?いやもっともっと前から、この町の景色はほとんど変わりません。時の神様が守ってくださるおかげです」
「私は、時が経ち無くなっていく光景が、大人になっていくことが、たまらなく嫌でした。いっそ永遠に子供のまま、楽しい時を生きられたらいいのにって考えました」
「そうだ。だったら、いっそ時なんか流れなければいい」
「ここにいればいつまでも子供で、青春時代のままで、新婚の姿で、老いても永遠を生きる人間でいられる。ああ、なんて素晴らしい。死も変化も恐れなくていい!」
「この幸せを他の皆さんにも分けてあげたくて。この町にずっといると、この街の住人に最初からなっていたかのように思うようにしたんです。だって誰だって、ここにいれば幸せですから」
「うふふ、あなたもそう思いませんか?」

ここまで聞いたあなた達は、海月の異常な行動理念に触れてしまい、少なからず心乱されるだろう。SANチェック
あなた達が呆気にとられていると……
(適当なタイミングでRPを見ながら描写を入れてください。掴みかかるなど危害を加えそうになった場合は、割り込ませて構いません。)

「きゃっ」と一声上げたかと思うと、海月がふいに姿を消したのだ。
嫌な予感に振り返れば、霧に紛れた微かな煙。そして時計台の部屋の角から、ぬるりとソレは身体を露わにする。
それは水晶か?それとも数多の棘なのか?いずれにせよ、窓の傍に佇むそれは人間の知る動物の風貌とはあまりにかけ離れていて。その視線は貴方たちの心臓を締め付けるように、こちらを睨みつける。
ぐしゃりと。時計台の下、何かがつぶれる音が小さく響いた。何が肉塊となったかなんて、見なくたって判る。
SANチェック 窓の下を見た場合は海月の死体を発見し、追加SANチェック
なお、KPが採用する場合はティンダロスの特性「死体安置所の匂い」についてもここでロールを行えます。CON×5に失敗するとティンダロスの纏う悪臭にあてられてひどい吐き気に襲われ、次のDEXロールの成功値がDEX×2まで下がります。

あなた達はDEX10との対抗でこの化け物から逃げなければなりません。
失敗すると猟犬の攻撃を受けてしまいます。回避は可能です。
攻撃についてはCoC公式ルールブックP184を参照してください。

攻撃を受けた、受けていないにかかわらず、あなた達は時計台の外に出て、街まで逃げてきます。
化け物はこちらを見逃したのか、追ってきません。
しかしどうにか対処法を調べなければ、奴はどこまでも付きまとうでしょう。
この町で調べ物をするなら、図書館が良いでしょう。

イベント:時の番人

以後、エンディング直前を除き、スポット一か所を訪れるごとに<幸運>判定を行います。
幸運に失敗すると、化け物=ティンダロスの猟犬に遭遇します。留まるターン数は幸運に失敗した人数ぶんと同じです。
DEX対抗で逃げることができますが、失敗すると攻撃の対象となります。攻撃対象は失敗者の中からランダム1名です。

このあとの図書館について

この時点で図書館に戻った場合、調べられる情報が追加されております。
<図書館>
・悠遠町の霧は神様の加護であり、神様と同質の力を身にまとえば気にならなくなるだろう。
→同じページに殴り書きのメモが挟まっており、「街に身体がなじんだら同じ力を持てそうだが、余計に出たくなくなるのでは?」「神様の力を持つ道具が教会にあるらしい」「なんでも、神様のお守りを手に入れれば、霧を通り街の外に出られるらしい。おんなじ性質ってことなんかね」などと書かれている。
・妖怪は「カド」に住んでいるので、丸い時計をお守りに持とう、と掲示があった。
(時計を持っていれば、<アイデア>や時計を見る宣言などで、悠遠町の時計は針も丸く作られていることがわかる。)

教会

(※メタ的にはヨグ=ソトースの信者の教会。)
石造りの教会。中に入ると、見たことも無い景色を描いたステンドグラスと、その前にたたずむ神父が目に入ります。
神父はこちらに友好的であり、聞いたことはわかる範囲で答えてくれる。信仰を否定する、勧誘をける、などのことを言った場合は「理解していただけなくて残念です。ですが、いずれ歳を取れば解ることですよ」とあくまで温和な姿勢を崩さない。

*何を信仰してるの?
→悠遠町を守る時の神様。球体の見た目をしており、その形をかたどって、この町の時計は丸く作られているのだとか。
*お守りください
→お守りあげましょう。
(探索者たちは人数分の「AF:時守の時計」を入手します。これを持っていれば、エンディング「霧の中に踏み込む」に進むことが可能になります。)
*お守りはどう使うの?
→時計として使ってもよし。街の外に出るときもお守りとして持っていれば、霧の中でも道に迷わず街から出れる。
*あの化け物は何?
→神様に仇なす化け物。
*海月のことは知っていた?
→頻繁にこの教会を訪れている。熱心で良き魂を持った教徒だが、いささか考えが行き過ぎてて怖がられやしないかと心配。
*海月が亡くなったことを伝える
→「おそらく化け物にやられたのでしょう」と悲しげな表情で、弔わせてほしい、と申し出る。

ステンドグラスは、ぐにゃぐにゃの線と極彩色の中に、太陽か月のような球体がぽっかりと浮かんでいる柄になっています。
これに対しては<クトゥルフ神話技能>がふれ、成功で「時を司る神様ヨグ=ソトース」についての絵だとわかります。

街の霧

(概要:この街の端は霧に覆われて見えなくなっており、その霧に入って無理やり町から出ようとすると、元の場所へと戻されてしまいます。)

[探索者名]は霧の中に踏み入ります。どこまでも果てしなく続くような、視界を覆いつくす白い霧。
行く手を阻むようなそれを潜り抜け、やがて霧を抜けた先には、あなたが見たことある光景が広がっていました。
そう、貴方が霧に入る前に見ていた景色です。

<アイデア><ナビゲート+10>をふり、成功した場合、貴方は自分がまっすぐ歩いたはずなのに、同じ場所に戻ったことに気づくでしょう。
(パンくずをまくなどの行動をしていれば、判定無しで分かります。)
SANチェック

エンディング

「おまもり」を所持した状態で、町を覆う霧の中へと踏み込む

あなた達はお守りを持ち、霧へと踏み込みます。
霧は果て無く続くように見えますが、あなた達は今歩む方向が正しいという妙な確信をもって、深い霧の中を進みます。

しばらく経つと、あなた達の周りからざぁっと霧が晴れます。
するとそこは道の駅のようです。後ろから慌てた様子のバスの運転手が駆け寄ってきます。
「お客様、どちらに行かれたかと…!もう発車時刻は過ぎております、バスの中にお戻りください」
どうやらバスはどこかの道の駅に止まっており、休憩時間を5分ほど過ぎてもあなた達が戻らず、迷子になったかと探しに来ていたようです。
あなた達は指示に従ってバスに戻り、引き続きバスツアーを楽しむでしょう。

ところで、あの街は一体何だったのでしょう?
疑問に思うあなた達のポケットから、ふとあの時使った時計が出てきます。
あの街はもしかして夢ではなかったのかもしれない。夢か現か、何にせよこの奇妙な体験は、あなた達のバスツアーの思い出の1ページとして残るでしょう。

おめでとうございます、シナリオクリアです。

報酬

SAN + 1d6+1
ときわすれの侵蝕を最後まで受けた 神話技能+3

・AF「時守の時計」
時計や電波が機能しないクローズドのシナリオでも動作し、タイマーに出来る。(ただし時刻自体はでたらめで、今の時刻を正確に知ることはできない。)
フレーバーテキスト:
ただしく時を刻むものの証。なんとなく飾っておくにはいいデザインなので、気味が悪くてもなんとなく捨てる気にならない。

ティンダロスに殺された場合

あなたは異形の化け物の凶刃に倒れます。
心の臓を突いた一撃は間違いなくあなたの命を引き裂き、二度と朝日は拝めそうにないだろうとあなたは直感するでしょう。
そして、徐々に消えゆく意識の中。……最期に見たのは、幻想的な街の真ん中にひときわ目を引く、歪な鏡のような煌めきでした。

お疲れさまでした。キャラクターロストです。

484f8481 429e 461a bd58 84341a8239fb