2025年08月10日更新

深山の晩餐会

  • 難易度:★|
  • 人数:1人~上限なし|
  • プレイ時間:1~2時間(ボイスセッション)

ドリームランドが舞台のSAN回復シナリオです。

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ストック

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PL概要

形式:半クローズド
推奨人数:1~人
所要時間:4~6時間
推奨技能:なし RPが楽しくなるのは製作(料理)、登攀
ロスト:よほどのことがなければ無い

それはまるで、おとぎ話に出るような森の隠れ家。
ちょっと変わった森の王様との、秘密の晩餐会がはじまります。

NPC

・ロビグス
菌糸類の君主ロビグス。詳細はマレウス・モンストロルムP258に掲載。
ここでは麗しい体格の良い人間の男性の姿。自らに敬意を払う者へは好意的。
キノコの森の宮殿で探索者を迎え、祝宴を開こうとしている。
シナリオで使う可能性のある能力は以下に記載。
これ以外はマレウス・モンストロルムがあればそれに準拠、なければ自由に設定して良い。
STR30 / SIZ15 / APP18 / <アイデア>75 / HP18
<こぶし>100 <頭突き>100 <日本語>40(日常会話レベル) ダメージボーナス2d6

※以下、ふれる技能
<心理学>
何を考えてるかは掴みがたい。敵意はないらしい。
<オカルト/2><人類学/2>
古き童話に、森を統べるキノコの王が居るらしく、その王様と外見的特徴が似ている。
<クトゥルフ神話技能>
ドリームランドのきのこ森に棲み、敬意ある旅人へは好意的に、叛意ある旅人へは無慈悲に振舞う『大いなるもの』。

・ゴブリン
ロビグスを崇拝する小鬼たち。何人かは人間へのおもてなしと称してメイド服を着てる。
データはマレウス・モンストロルムP46「ゴフン・フーパジ・シュブ=ニグラス」を参照。
STR10 / SIZ13 / DEX10 / <アイデア>55 / HP11
<こん棒>25-ダメージ1d6 <かぎ爪>30-ダメージ1d6
本シナリオでは緊急時のみ≪スペクトラル・ハンターへの変身≫の呪文を使う。
その際は動物の血を所持する調理班ゴブリンが変身を行うこと。

導入

探索者たちは一日を終えて眠りにつきます。おやすみなさい。

探索者たちは、ふと濃い緑の香りに目を覚まします。
そこは探索者たちが眠りについたベッドではありませんでした。
あたりを見回せば、見上げるほどの背の高いキノコが、まるで雑木林の木々のように
並びたち、あたりには草木が生い茂る、森林のど真ん中。
おまけに、目の前にはヘンテコな生き物と王様が仲良く鎮座しているのです。
いや、確かに王様らしき人間の見てくれは素晴らしく、この世のものと思えないような
美しさと肉体を兼ね備えているのですが。しかし彼がイスにしているそれは
どう見ても大きな白いキノコ、そして彼が侍らせているのは
メイド服や執事服を着た、映画にでも出そうなしわがれ肌のいきものばかり。

まるで意味が解らないよ!そんな状況に探索者はSANチェック
(ゴブリンぶん+異邦へ飛ばされたショックのSANチェックを合算しております。)

困惑する探索者たちに、ロビグスは気さくに話しかけます。
「おはよう、諸君!そしてようこそ我が宮殿へ。吾は菌糸類と豊穣の神、ロビグスである」
男は探索者たちを見回し、尊大に微笑みます。
そして以下の話をRPを交えながら探索者たちに伝えてください。
「困惑しているかね?そうとも。人間は理屈の分からないことを何よりも怖がるからな。
 だが安心したまえ。吾(われ)はお前達を取って食うなどと言うつもりはない」
「こたび、豊穣を祝い吾の恵みに感謝する祝宴にお前達を呼んだのだ。
 とはいっても、難しきことではない。人間のとれんど?で言うならば、
 いわゆるホームパーティというやつだ。そして宴が終われば家には送り届けよう」
「ああ、逃げようとは思わぬほうがいい。吾は寛大な神であるが、
 お前達のような人間ひとり、その辺のキノコに変えてしまうくらいは容易いのだ」
「祝宴に当たり、お前たちには食いたいものを森から調達してもらう。
 なにぶん、吾は人間の食事に疎いのでな。
『くっくぱっど』とやらを読むだけじゃよくわからんのだ」
以上を踏まえ、探索者たちに祝宴への参加を取り付けましょう。

不信感が強い場合や、無理にでも帰ろうとする探索者が居る場合は、付近に居るゴブリン1体をキノコへ変える描写をすることで、逃げた場合の末路を想像させるのも良いでしょう。
その場合は身の危険を感じた探索者たちにSANチェックを与えます。
それでも逃げ出そうとする探索者へは説得を続けつつ、やむを得ないと判断した場合は[ロビグスの好感度について]を参考にKPの裁量で成敗を与えてください。

探索者たちが祝宴への参加を了承したら、探索に入ります。
服装はいつもの姿(KP次第ではパジャマ)、持ち物は料理に関わるもの以外は無くなっています。

探索/ロビグスの好感度について

基本的に、よっぽどの無礼を働かない限りは、ロビグスとゴブリンたちは探索者たちに危害を加えることはありません。

ただし『しつこく扉から外に出て行こうとする』『ロビグスに大きな危害を加える』などの行動を探索者がとった場合、ロビグスの怒りを買います。
その場合、その探索者はロビグスの視線に射すくめられ、動けなくなります。
(ロビグスは同時に1名しか射すくめられないことに注意すること)
そして、ロビグスによって踊るキノコに姿を変えられるか、ゴブリンに命じて何らかの制裁を与えたり供物として殺されたりするでしょう。

※キノコへの変化呪文について
ロビグスは何か唱える様子もなく、対象に手を一振りするだけで魔法をかけます。
かけられたとき、探索者のPOWとロビグスのPOW(20)の対抗となります。
抵抗に失敗すると、探索者は踊り歌う巨大なキノコに姿を変えられてしまいます。

キノコに変えられてしまった探索者は、同行者がロビグスと交渉して解放を願うか、ロビグスの耐久力を削り切るかしなければ、もとには戻れません。
キノコとなった場合はドリームランドの外に出ることが出来ないため、元に戻されずにシナリオが終了した場合、ロストが確定します。
なお、ロストせずに元に戻れた場合も、ちょっとした副作用が起こります。
(エンディング:一度キノコに変えられたが、無事に戻ってきた場合を参照)

応接間

巨大なキノコが木々に交じって生え、奇妙ながらも壮観な景色。
白いキノコの王座の前には、机や食器が並べられた木のテーブルがあり、あたりは皿磨きや給仕に駆け回るゴブリンの執事たちで騒がしい。

テーブルの上には調味料が沢山あり、調味料が不足することはなさそうだ。
またタブレット端末(モスグリーン)があり、見ると某料理レシピ紹介サイトが開かれている。
以下のレシピが表示されているので、食べるものが決まらないパーティの参考に。
・基本のローストチキン
 →鶏肉、塩、胡椒
・基本のムニエル
 →シャケ、バター、塩、胡椒
・基本のお鍋
 →白菜、鶏肉、きんちゃく、白滝、しょうゆ、だし
・基本のポテトサラダ
 →じゃがいも、にんじん、ハム、マヨネーズ
・基本のいちごムース
 →いちご、生クリーム、砂糖
・基本のみたらしだんご
 →白玉粉、しょうゆ、砂糖

レシピは<人類学>で良い感じの世界各国の郷土料理を思いついても良い。

AREA:保管所,泉,果樹園,秘密の売店への移動が可能。

保管所

ツタの絡まった木でできた格子状の屋根があり、そこに干し肉がつるされている。
スーパーに売っていそうな精肉(鶏・豚・牛・羊・鴨など)・肉加工品はここに保管されている。
売っていなさそうな肉(ダチョウなど)は<幸運>であるかどうか決定する。

<目星><アイデア>などに成功すると、『特選』とラベルが付いた燻製された肉塊を入手する。
これに<生物学><クトゥルフ神話技能>を振っても、何の肉塊か分からないが…?
これを料理に入れると、報酬が[+★]される。触感はふんわりよりはもっちり系。
(※<考古学><歴史>をふると、始祖鳥の肉であることがわかる。)

一見、澄んだ水をたたえた湖で、少し歩けば海もある。
しかし<目星>などでよーく見ると、湖のそこはなんだか怪しげな蛍光色で染まっており…?

釣り道具と網があり、水生生物を釣りあげて食材にできる。
湖畔にメイドゴブリンがおり、血・ワタ抜きは彼女がやってくれる。
スーパーで買える類の魚なら幸運不要、珍しい魚(あんこうなど)は<幸運>で発見する。

KPはゲームテンポを見ながら、以下の茶番ギミックを追加しても良い。
≪魚釣りゲーム≫
1.魚の傍に釣り針を垂らす。<投擲>に成功したら2の項で技能ボーナス+10。
2.<生物学><芸術:釣り>など任意の技能でRPをしながら魚を引っかける。
 成功すると大物が引っ掛かる。失敗するとしょぼい魚が来る。ファンブルで糸が切れる。
3.魚がかかったら、(腕力)か(気合)で魚を引き上げる。
 失敗しても魚は捕まえられるが、勢い余って顔に直撃する、引き負けて湖に落ちるなど茶番アクシデントが発生する。なおファンブルした時は逃げられる。
4.上手に釣れました。

果樹園

木の上に様々な実があり、また畑(とは言うが耕してるとは言えない)が近いため野菜も取れる。
果実・野菜・キノコ類の調達ができる。ドラゴンフルーツなどの珍しい食品は
<幸運>であるかどうか決定し、また毒キノコなどはここには無いものとする。

<登攀><投擲>などに成功すると、ひときわ目立つ大木から果実が収穫できる。
見た目や香りは林檎のように思えるが…?これを料理に入れると、報酬が+[★]される。
(※<歴史>などを振ると、この林檎は古い神話に伝わる『禁断の果実』ではないかと考える。食べてもなにか起こるわけではないが、世界最初の人間の気持ちを味わえるかもしれない…?)

秘密の売店

ござが敷かれており、その上にマッチョのゴブリンの男性が商品を並べている。

練り物や加工品、ビスケット、牛乳など、果樹園・泉・保管所で揃わないような食材はここで購入できる。
購入の際は他のエリアを回って得た食材と物々交換をする。
(食材の一部を交換に使うため、食材は無くなる扱いではない。戻って取り直す必要はない。)

初回の購入時のみ、店主がくじ引きを持ち掛ける。
(<値切り>を持っていれば、ここで成功するとあたり確率を50まで上げることが出来る。)
参加者は1d100をロールし、30以下を出すことが出来ればあたりで、
店主から「ウチの神様の加護が宿った逸品だよ~」と黄金のマッシュルームを渡される。
料理に入れると報酬が[+★★]される。

祝祭準備

食材を手に入れて戻ってくると、ロビグスと執事&メイドゴブリン達が探索者を迎え入れる。
「うむ、大儀であった。して、調理は我がしもべに任せるか、それともお前たちがするのか?
 人間界では『どぅいっとゆあせるふ』なるものが流行っているとも聞くでな」
ここで自分たちが調理をするか、ゴブリンに任せるか選ぶこと。
ゴブリンに任せる場合は祝祭へとシーンを飛ばす。

調理を自分でする場合は、製作(料理)など料理に関わる技能をロールする。
無い場合はINT×3でフィーリング調理をしても構わない。
1人成功ごとに料理の質が上がり、食事のときのSAN回復値に+2する。
ファンブルしなければ、技能失敗しても、アクシデントこそ起きるが調理はなんとか進行する。
(例:野菜の皮を分厚く剥いてしまう、味見でうっかりやけどする、など)

なお自分たちで調理をする場合、RP次第でロビグスも調理担当に誘うことが出来る。
このシナリオのロビグスはノリが良いのだ。
ただしロビグスは人間の文化に疎いため、EDUや任意の調理技能・交渉技能、RPなどで正しいやり方を教えないと、珍行動を始める。
(例:火のついたコンロにフライパンを置かず直接肉を置く、勝手にデザートにシメジを乗せるなど)
なお、お付きのゴブリンたちは優秀なので、誘えばテキパキと手伝ってくれる。

祝祭

料理が完成し、ゴブリン達による盛り付けも終わり、探索者たちは席に着くよう促される。
席に着くと、キノコの王座に戻ったロビグスが、手をたたいて高らかに言う。
「ふっふっふ、よくぞ我が祝宴に参られた、人間たちよ。
 今一度宣言しよう。我が名はロビグス、豊穣の神である!
 人の世を支える大地の恵みの一端は我が御力にありと、とくと心得て、
 大いなる敬意と感謝をもって、その恵みを享受するが良い。さぁ、宴だ!」
その掛け声とともに祝祭が始まり、ゴブリン達もめいめいにはしゃぎながら食事を始める。

探索者たちは料理を食べることが出来る。しかし、一口食べた時に違和感に気づく。
いや、確かに美味しいのだ。美味に、日々に疲れた心が解けて和らいでいくのが解る。
しかし何なんだろう、かすかな背徳感が脳裏をかすめる。
一口食べるだけなのに、宇宙の深淵を覗き見たような、世界の常識の裏側を知ったような、いずれにせよ、人間界には無いようなナニかの存在を、知覚してしまった気がする。
この食材、本当に人間界のモノなのか?と探索者たちは少しだけ疑う。
いや、まあそんなことはどうでも良くなるくらい味は良いのだが。……うん、美味い。

その場で探索者たちは[SAN +1d6][神話技能+1d4]を獲得する。
<アイデア>に成功すれば、この違和感はおそらくこの空間そのもの、ひいてはここで得る食材自身に、ロビグスの力が宿ることが理由ではないかと気づく。
ちなみにこのことをロビグスに指摘すると、ロビグスは顎を撫でながらこう返す。
「ふーむ、そうであったか。やはり人間界のものを模倣するのは難しいな。
 次回はもう少し人間界に近づけるか…いや、いっそ人間界から食材を持ち込むのも良いな。
 なに、その料理も人間に害はない。遠慮なく食事を続けるが良い」

祝祭で食事RPをほどよく楽しんだら、帰還シーンへと移る。
「うむ、吾は満足だ。人間たちよ、そういえば自宅へ戻りたいと言っていたかな」
ロビグスから探索者たちにこう告げると、ロビグスは<夢見>を使い広場の一角に門を作ります。
「大儀であった。その門をくぐれば、各々の家へとつながっているぞ。
 だが、ここは異の世界なので、料理を持ち出したりなどは人間業では出来ぬ。
 十分楽しんでから戻ると良い。またの良き出会いを吾は楽しみにしておるぞ」
そう言い、ロビグスは探索者たちを送り出します。

全員が門をくぐったらエンディングに移行します。
この時、一度でも途中でキノコに変えられたか否かでエンディングが変わります。

エンディング

祝宴を何事もなく終わらせ、帰還した場合

探索者たちは柔らかな光に目を覚まします。
そこは夜ベッドで眠った場所。あの濃すぎるくらいの緑の香りは、どこにもありません。
しかし、テーブルの上を見たあなたは、昨晩は無かったものがあることに気づきます。
『なかなかに良き宴だった。礼に吾の恵みを分け与えよう。人間はこのような食事を好むのだな』
そう置手紙が添えられた、キノコソース入りのタッパーです。
(探索者がキノコ嫌いorキノコアレルギーだった場合、代わりにライ麦パンを入れておく。)
夢にしてはあまりにもヘンテコなような、しかしなんとなく忘れがたいようなあの時間を、
あなたは誰かとの笑い話のタネにするも、夢の話として終わらせて仕舞い込むも自由でしょう。
そして、あのひと時は本物か嘘か。信じるか否かは、あなた次第なのです。

お疲れさまでした。シナリオクリアです。

一度キノコに変えられたが、無事に戻ってきた場合

探索者たちは柔らかな光に目を覚まします。
そこは夜ベッドで眠った場所。今まで夢の森の中で、なにか妙な体験をしていた気がします。
おや?でも、夢から覚めたにしては、緑の匂いがまだ残っているような、

……その時、目を開いたあなたは後悔します。
そこは確かに自分の部屋だったはずです。自分の部屋に間違いないのです。
しかし、部屋の壁や家具の上に、あろうことかキノコやカビが生い茂っているのです。
SANチェック

――そういえば。夢の中の"あの人"は、菌糸類の神、と名乗っていたような。

あなたは心の中で後悔を零すか、それともあの神への文句を零すか。
いずれにしよ、憂鬱な思いで部屋の掃除を始めねばならぬでしょう。
しかし、あなたはあの気まぐれな神の怒りが収まるまで、このタタリと
付き合っていくことになります。しかしそれはまた、別の話。

お疲れさまでした。シナリオクリアです。

キノコの状態のまま王宮から出られなかった場合

どこまでも続くキノコの樹海。その片隅で、今日も彼らは歌を歌う。
王様と愉快なしもべたちに囲まれながら、今日も彼らは舞い踊る。
しかしそれが――生き物のように良く動くキノコたちが、かつて人であったなど、きっとかの王以外は誰一人覚えていないのでしょう。
そしてゆくゆくは、彼らは人の世でも風化する思い出として忘れ去られていくのでしょう。
その日を境に人間界から姿を消した、"そのヒト"の姿など。

探索者は行方不明扱いとなり、ロストします。

生還SAN報酬

無事帰還する SAN + 1d10
報酬[★]1個につき SAN + 1d3 / 神話技能 +1

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