2024年01月28日更新

その問、解きがたしは

  • 難易度:★★★|
  • 人数:2人~4人|
  • プレイ時間:3~4時間(ボイスセッション)

『どうして、探索者というものはこんなにも諦めが悪いのだろう?』とある町で殺人事件が相次いでいる。そんな中、友人から行方不明の女性の捜索を頼まれた探索者は……

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ストック

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概要

[シナリオ名]その問、解きがたしは
[形式]シティ
[推奨人数]2〜4人
[所要時間]6〜10時間(テキスト)
[推奨技能]<図書館><交渉技能><回避> あれば多く使うのは<目星><医学>
[ロスト率]あり

場合によっては重たい後遺症を抱えます。

あらすじ

≪近年、残酷な殺人事件がこの竜胆市を賑わせている。≫
三人称の言葉にすれば、ただ不安を煽るだけの噂。
しかし矛先は、不幸にも貴方の方を向いた。
おぞましき毒牙、散る鮮血、そして絶望が迫る時、
―――「どうして」と、声が聞こえたのだ。

真相

・『雪無 紅(ゆきなし こう)』はクルーチュシャ方程式を解き、ニャルラトホテプの化身の1つに成り果てた『元探索者』である。
・神話的存在に脅かされる日々に疲れ、「探索者は何故諦めが悪いのか」という疑問に頭を悩ませていた雪無に、クルーチュシャ方程式を触らせたのはニャルラトホテプ。
・ニャルラトホテプの英知と力を得た雪無は、探索者を試す存在としてペトスーチの子『クリス』を竜胆市へ呼び寄せた。
・自らをペトスーチと知らなかったクリスは、変容することを嫌がり、救いを求めた末に雪無紅の口車に乗せられてしまう。
・クリスが助かる条件として雪無が提示したのは、「自分が指定する人間を50人食らうことで、その血肉を取り込み人間に戻る」というものだった。
これは、クリスが見初めた人間をペトスーチという敵に遭遇させ、その反応を見て探索者の諦めの悪さについて観察するためである。

NPCステータス

・雪無 紅
STR 10 CON 15 SIZ 10 DEX 15 INT 100 耐久 12 DB 0
あらゆる探索・行動・知識技能 99%(※必ずシークレットで処理すること。)
こぶし 70% ダメージ1d3
(変異後)鉤爪 85% ダメージ1d6

もとは探索者たちの友人であり、探索者たちに事件に関わる依頼をしたのも彼。
実は、人間男性の皮を被ったニャルラトホテプの化身の一人であり、探索者を命の危機に陥らせて、その様子を興味深く観察しようと目論む。
大人しい性格で、やや物事に対しては奥手なところもある。

・クリス(ペトスーチ)
STR 30 CON 22 SIZ 29 DEX 7 耐久 25 DB 3d6
噛みつき 60% 1d6+db
転がる 60% 1d6+db
《装甲》6ポイントの分厚い皮

クロコダイル人間(ペトスーチ)。詳細はマレウスP103
竜胆市で雪無の話に乗り、殺人を繰り返している。
ペトスーチは人間に近しい知能を持つクロコダイル人間なので、本シナリオでは交渉技能は効果を発揮する。
※他のシナリオではダメな場合もあるので、本シナリオを理由に他シナリオでゴネたりしないでください。

シナリオ本編

ぼたり。
重い音を上げて、生暖かい肉片が冷たい床へと落ちる。
先程まで人の形をしていた"それ"を顎から滴らせて、その存在は吠えた。

滴り落ちる血の匂いを嗅ぎつけたのか。
軟らかな闇の中で、だれかが嗤った。

《導入》

探索者達には「雪無 紅(ゆきなし こう)」という共通の友人がいる。
雪無が久しぶりに連絡してきたと思ったら、頼みごとがあるという。
そのため今日は雪無に集められ、探索者達はこの街、『竜胆市』のカフェへと集っていた。
(町の名前は仮称。PCに合わせて変えてもいいしぶっ飛んだ名前にしてもいい。)

カフェである程度の自己紹介や注文などを終えると、雪無は本題を話し始める。
「実は、僕の知り合いの神崎 鞠枝(かんざきまりえ)の行方が5日前から分からないんだ」
「警察には届けたんだけど、最近こういう事件が多いせいか、なかなか成果が得られなくって……
 居ても立っても居られないから、自分でも探してみようと思ったんだ」
「でも、一人じゃ探しきれないと思ったから、頼みに来た」
「お願い、人探しを手伝ってくれないかな。もちろんお礼はする」
探索者が了承し次第、探索に入る。

探索者が断っても、ある程度までは雪無も「そう言わずに」と、謝礼をちらつかせながら食い下がる。
どうしても断るようならば、エンディング0に移行する。

《探索開始~廃墟侵入前》

神崎の自宅

神崎の自宅の住所については、雪無が知ってることにしても良いし、
警察署で交渉して手に入れても良い。シナリオの雰囲気に合わせて情報を出す。

神崎家は住宅街の一角にある、何の変哲もない小さなアパートだ。
初めて入るときは、雪無が鍵の在処を知っている。
「確か鞠枝はここにカギを隠していてね……お、あったあった」
そう言って玄関ポストのダイアルを回し、器用に開けて鍵を取り出してくれる。

(※実はニャルラトホテプの力を持つ雪無が不思議な力で鍵を開けたのだが、そんなことを今の探索者が知る由もない。)

部屋の中は整頓されており、多少埃っぽいことを除けば整えられた部屋だ。
ベッド、机の上の新聞、パソコンが調査できる。

・ベッド
落ち着いた柄のシーツがかけてある。ふんわりしたベッドだ。
<アイデア>に成功すると、しばらく使われていないような痕跡があるのが分かる。

・机の上の新聞
新聞を取っているわけではなく、キャンペーンで配られた試し読みの新聞らしい。
日付は今日より一週間ほど前のものだ。
<図書館>に成功すると、三面くらいの記事から、以下の記述を読み取れる。

竜胆市を襲う行方不明事件

竜胆市では半月ほど前より、行方不明事件が多発している。
行方不明になる人物は老若男女問わずで、その数は30名以上にも及ぶと、警察当局は公表している。
この事件は竜胆市内でのみ起きており、遺留品がほとんど無いことから、警察は手慣れた複数人による同一犯の犯行であると見ているが、具体的な犯行の手口や、暴力団など反社会的勢力との関係は未だ掴めていないという。
警察では情報提供を呼び掛けていると同時に、市内の見回りを強化し、対応に当たるとのことだ。

・パソコン
パソコンの電源を付けると、鞠枝が個人的に付けているブログの画面が映る。
自動ログイン機能がオンになっているようで、内容はロール無しで見ることが出来る。
ブログにはとりとめもない日常が書かれているが、7日前からは気になる記述が載っている。

(今日から7日前の日付)

帰り道で、廃工場に入っていく変な人影を見た。
もう十年以上前に事故でやめちゃって、機材も全部引き払って、今あそこにはゴミとさび付いた建物しかない。
今更あそこを漁っても、宝物もガラクタも出てこないような場所だし、背丈は大人だったから、子供のかくれんぼってわけでもないだろうし。
変なの。

==========================

(今日から5日前の日付)

最近、近所の廃工場から変なにおいがする。
肉が腐ったような……誰かがゴミでも捨てに行っているのかしら?
そういえば、ちょっと前に人影が入っていったのを見た。
このまま放っておくと、近所迷惑も甚だしいし、ゴミ捨てをやめさせて掃除もさせなくちゃ。
今日は休みだし、散歩がてら様子を見に行ってみよう。

(廃工場の情報は、竜胆市に住んでいる設定のPCなら無条件で持っていて良い。
そうでないPCや住居が分からないPCだけの場合は、雪無から「警察署でどこにあるか聞いてみよう」と誘導を入れる。)

竜胆市警察署

入ってみると、いつもより警察官たちが忙しそうにしているように感じられる。
聞き込みをすると以下の情報を教えてくれる。

・最近、竜胆市では行方不明事件が多発している。
行方不明になった年齢層や性別は幅広く、規則性は無いようだ。
通り魔的な犯行だと思われる。
・行方不明事件はこの竜胆市内でのみ起きている。(神崎家で廃工場の情報を得ていた場合)
・廃工場のある場所を教えてくれる。

ここまで話すと、忙しさを理由に、担当の警察官は探索者たちに帰るように促す。
更に情報を聞く場合は、<説得><言いくるめ>による交渉が必要になる。
交渉次第で聞き出せる情報は以下の通り。

・行方不明事件は大通りや住宅街といった一目の多い場所では起きておらず、暗いところや閉所に入った被害者を狙っての犯行とみられる。
・現場に落ちていた遺留品が少なく、警察は頭を悩ませている。
携帯などに連絡を入れても「圏外か電源が入っていない」となることから、遺留品は加害者によって既に処分されている可能性が高い。
・神崎家の住所を知らなければ、神崎家の住所を教えてくれる。

インターネット

探索者達はインターネットで、竜胆市の行方不明事件について調査することが出来る。
<図書館>で判定し、成功するととあるオカルトサイトの記述が見つかる。

・オカルトサイト概要
竜胆市で最近、地下や廃ビルといった物陰にて、謎の血だまりが見つかることが増えている。
警察は口を開かないが、これは行方不明事件の被害者ではないか?ということや、被害者は惨たらしく殺されて川にでも捨てられたのではないか?という憶測が飛び交っている。

(クリティカルやスペシャルで、以下の情報も解禁する。)
竜胆市内で、1〜2か月ほど前に謎の大男が目撃されたという情報があった。
それはぱっと見はワニのような姿をしていたが、ワニにしてはあまりに人型に近く、このあたりに動物園が無いことから、逃げ出したワニであるとも考えにくい。
まだ見ぬ新種の動物か、はたまたオカルト的な化物であるか、議論がなされている。
なお、目撃個所についてはサイトでは記述がない。

物陰

警察署やインターネットの情報をもとに、地下や廃ビルを調べるといった提案が出るかもしれない。
その場合は、以下の描写を挟む。
なお探索者が能動的に調べなかった場合でも、「廃墟」の序盤で同じ描写が入る。

探索者達は、竜胆市の人気のない区画へとやってくる。
何かないかと視線をあたりに投げかければ、それは存外簡単に見つかるだろう。
何の変哲もないコンクリートの床の隅に、どす黒く染まった一角がある。
それは事件に気を向けていない一般人なら見逃してしまうようなもの。
だが、事件を追う探索者たちはそれを見逃さなかった。
ペンキのように勢いよくぶちまけられたそれは、乾いてこびりついた血液のようにも見える。
......この量では、人間ひとりの致死量ぶんは優にあるだろう。
そんな恐ろしい考えに行きついてしまった探索者たちはSANチェック

・<医学>
それが数日前の比較的新しいものではないかと気づく。

・<目星>
血は勢いよく飛び散っているが、この場所からどこかに続いている様子はなく、
この場所から被害者は動いてないだろうと推測できる。
しかし、肝心の被害者本体はどこにも見当たらない。

《廃墟(侵入~逃亡)》

(神崎家で情報を集めると、廃墟に向かうことが出来る。未通過の場合は、道中にて「4.物陰」の描写を挟む。)

工場に入ると、無機質なコンクリートがひんやりと冷えた空気を閉じ込めている。
しかし、それよりも鼻に付くのは、埃っぽさに混ざった腐臭だ。
工場に入った段階で<聞き耳>に成功すると、何かの気配がうっすらと、こちらを見ていることに気づくだろう。
周囲に<目星>をしても良いが、相手の姿は確認できない。

工場内は東エリア、西エリアが調査できる。

東エリア

工業機械なども撤去され、だだ広い空間の中に取り残されたように腐臭が広がっている。
工場内を<目星>に成功すると、工場内に散らばるように肉片が残されていたり、乾いた血液が飛び散っているのがわかる。
肉片の中には引きちぎられた片腕がもろに落ちているものもあり、半分腐り落ちてハエのたかったそれは嫌悪感を掻き立てる。
SANチェック
また、目星の成否にかかわらず、工場内を探索すると従業員用の通路を発見し、地下貯蔵庫に降りることが可能になる。
ただし、地下貯蔵庫への扉には鍵がかかっている。マスターキーがあれば開錠できる。

西エリア

従業員の休憩室や事務所などがあるが、今は打ち捨てられもの寂しい雰囲気を醸し出している。
事務所、休憩室の2ポイントが調査できる。

事務所を調べる宣言、または事務所への<目星>宣言があれば、事務所の壁に無造作にかけられたマスターキーを回収できる。

休憩室は冷蔵庫が置かれていたらしき痕や、空っぽの棚などが目立つ。
調べるなら<目星>を振り、成功で真っ二つに割れたスプレー缶、また目星の成否にかかわらず、懐中電灯が発見できる。
スプレー缶に関しては拾った者が<アイデア>を振り、成功すると、「このスプレー缶の厚みなら、人間の力でここまで潔く真っ二つに割れない」と考えるだろう。

地下貯蔵庫

西エリアから鍵を回収し、東エリアから非常口のドアを開けることで解放される。

地下への階段を降り、探索者たちは地下貯蔵庫に辿り着く。
明かりは無いが、スマートフォンや懐中電灯があれば中を照らすことが出来る。
中はがらんどうとしていて、湿っぽい空気が充満している。
黴臭さに閉口しながら周囲を見渡すと、入り口の傍の壁際に、うず高く積まれた小物類が目に入るだろう。
バッグ類や、服の切れ端、携帯電話など様々なものがある。
微かな鉄の匂いがし、暗い中でもあちこちに血がついていることがわかるだろう。

<目星>に成功すると、荷物の中から「神崎 鞠枝」の免許証を発見できる。
免許証は上下半分にばっくりと割れており、少しだけだが血液が付着している。
また<知識>に成功すると、ここにある荷物の中で名前が分かるモノをいくつか発見し、それが行方不明事件の被害者のものであるとわかるだろう。

ある程度の探索とRPが終わり、貯蔵庫の外に出た段階で、KPは秘匿でダイスを振る。

秘匿ダイスの値が60以下の場合、探索者のうち誰かが攻撃の対象になる。
対象の探索者を決め、回避を振ってもらう。
失敗で1d6+1のダメージを与える。ショックロールは適用。
(気絶した場合、PCが運ぶのが難しければ、雪無に運ばせて良い。)
秘匿ダイスの値が61以上だった場合、攻撃対象は雪無となる。
攻撃は自動成功となり、ダメージ5を雪無に与える。

その刹那。ぬう、と薄闇の中から這い出す気配があった。
咄嗟に振り返るには一瞬遅く。
ぱっと、血の花が咲く。
彼の存在を認識し、遅れてきたように(探索者名)の腕がかっと熱く、鋭い痛みに苛まれる。
恐る恐る見ればそこに、深々と何かが突き刺さっていた。
それは、巨大な牙だった。
そしてその牙の持ち主は、淀んだ深緑色のぬらりとした鱗に覆われた存在。
ぬうと伸びる鼻面、身体に埋没した首、短い腕の先には鈍く輝く爪。
巨大なワニだ。
いや、これはまさか人間なのか?
クロコダイルと断定するには骨格の形がいささか人間に寄りすぎてるようにも思えるし、よく見れば、鱗に覆われてない。
もしも是れがもともと人間だったとしたならば、見るもおぞましい変質を辿ったと言えるのだろう。
人間とクロコダイルの混じり物のような存在を目にした探索者は、1d3/1d6のSANチェックを行う。

攻撃の後、雪無から「逃げよう」と提案がある。
全員、クロコダイル人間から逃げるためのDEX対抗ロールを行う。
クロコダイル人間のDEXは7。
失敗すると、追加で先程と同じ攻撃で、1d6+1のダメージを受けてしまう。
(回避をふることができる。)

(クロコダイル人間と戦闘を行うことも、PL宣言があれば可能。
その場合は耐久値が半分(13)に到達した時点で、クロコダイル人間は撤退する。
クロコダイル人間は装甲持ちということもあり、激しい戦闘が予想されるだろう。
そのため、KPとしては積極的に逃走を推奨してほしい。)

無我夢中で探索者はクロコダイル人間から逃げてくる。
切らした息を整える。背筋を、冷たい汗が滴り落ちる。
見えぬ影、あの鮮血に濡れた牙が、爪が、いつ襲い来るとも分からない。
探索者たちの先を走っていた雪無が、「こっちへ隠れよう」と探索者を誘導し、とある一室へと探索者たちを押し込んだ。

《廃墟(ある一室)》

探索者達は、気が付くと家のようになっている一室に佇んでいた。
玄関の扉を開こうとしても、何故か扉はびくともしない。
雪無は何故か部屋には入ってこず、あのワニの怪物も追っては来ていないようだ。
この一角は玄関、廊下に備え付けのキッチン、ワンルームのリビングで構成されている。

・玄関
玄関に靴は置かれていない。
<目星>に成功するか、靴箱を開く宣言があったならば、
靴箱の中にはメンズものの同じサイズの靴が並んでいると分かる。
どうやら、この部屋は一人暮らしの男性の部屋のようだ。

・キッチン
普通のキッチン。最近使われてなかったらしい様子だ。
<目星>に成功するか、冷蔵庫をあける宣言があったならば、冷蔵庫の中に切断された人間の四肢が入っていることが分かる。
SANチェック(0/1d3)
<医学>に成功すると、傷口の様子からこれは何か大きな牙にかみ千切られたものであることがわかる。
死後数日も経っておらず、すっかり固くなってはいるがそこまで古い死体ではなさそうだ。

・リビング
ゴミは少ないが、壁にキズなどが多く随分と荒れている。
机の上には大量の本が積まれている。

・部屋全体目星
スマートフォンが落ちている。
画面を開いて見ると、メモ帳画面が表示される。

ペトスーチ→クロコダイルと人間の間のもの?
身体が痛みと共にだんだんクロコダイルに変化する
病気?かと思ったが違うらしい

人間の頃の脳は衰えないらしい→自分の名前やスマホの使い方を覚えている

元に戻る方法→わからない
青年が「選ばれた人間を50人喰らえば元に戻る」と言った

クロコダイルの神がナイルに居るらしい

これ以外のアプリは特にこれといった気になるものは無い。

連絡先アプリなどを開くなら、持ち主の名前が「クリス」であることはわかってよい。
が、「クリス」についてインターネットなどで調べても、この名前だけでは情報を得ることは出来ない。

・壁
壁はでこぼこと大きな穴やひっかき傷があり、人が暴れて出来たとは思えないような大きなヘコミもある。
壁に対して<目星>が振れる。
成功すると、『たすけて』という文字が壁に刻み付けられていることがわかる。
(これはクロコダイル人間へ変異したくないクリスの助けを求める声だ。)

・机
机の上は沢山の本が雑多に散らかっている。
この本の山に対して<目星><図書館>が振れる。
成功すると、とある古びた本から以下の記述が出てくる。成功した技能によって描写が違う。
図書館成功時:このノートは、この部屋にある書き物の中で唯一筆跡が違う。
目星成功時:このノートにはキズやホコリの付着が異様に少ない。

別の場所や世界に通じる扉を「門」と呼ぶ。
この門を生み出すには、特定の模様を描き魂と魔力を込める必要がある。
また、門を通るためにも魔力が必要になる。
門を創造する際に、閉じている門を活性化するために
何らかの言葉や身振りを必要とするように設定することも出来る。
(※ここに、何やら禍々しい魔法陣の模様が描かれている。)

(以下走り書きのメモ書き)
・合言葉 セベク

この記述を読み終えた者は、呪文<門の創造>を習得する。

【門の創造】
使う者を別の場所・次元・世界へ飛ばしてくれる門を作り出す呪文である。
1つの「門」は、別のところにある1つの場所にだけ通じている。
門を創造するためにはPOWを永久的に消費しなければならない。
消費する値は、基本ルールブックP289を参照。
門を使うためには、門を創造するために使ったPOWと同じ値のMPを消費しなければならない。
また、門を1回を通過するたび、SANを1消費する。

机を調べ終わると、玄関からカチャリと音がする。
玄関に向かえば、扉が開くようになっている。
扉の外は、<聞き耳>に成功しても物音はしないが、聞き耳に成功すると鉄のような香りを嗅ぎ取ることが出来る。

《廃墟(クライマックス)》

扉の外に出ると、目の前に血痕がぼたぼたと落ちている。
(外に出る宣言をしても良いが、出入り口付近にペトスーチが構えており脱出は難しい。)
血痕を辿っていくと、近くにあった部屋の一室で雪無が壁にもたれかかり座り込んでいる。
彼の右腕は食いちぎられ失われており、彼はそれを脱いだ上着で隠していた。
(ここで雪無のHPは3として扱う。)

この部屋には、床に赤いもので魔法陣のようなものが描かれている。
(前の部屋で門についての記述を見ていた者は、その「門」と同じ紋様であることに気づく。
また、<医学>を振ったならこの血液がかなり新しいものであると気づいてよい。)
雪無の上着をまくり傷口を見た場合、傷口は何か黒い物体で覆われており、応急手当を振ることが出来ない。
触ってみると、突っ込んだ指がうぞうぞと蠢くような感触に襲われ、まるで虫の大群に触れたような気色悪い感触だと思うだろう。
SANチェック(0/1)

探索者達が来たことに気づくと、雪無は口を開いた。
「ようやく来たんだ。気をつけたほうがいいよ。
奴は…あのワニ男は君たちを獲物としてマークしている。
この場所から逃がさぬよう、君たちを追いかけてくるはずだ」
その言葉を裏付けるかのように、遠くから足音がこちらに近づいてくる。
「怖い?」
探索者がどう答えるかに関わらず、雪無は話をし始めるだろう。
「僕は、こういう状況に陥ったら、どうしようもなく怖い。
怖さに膝を折って、生き延びることさえ諦めたくなる。
だけど、君たちは何故かそうは見えなくって」
(怖いふりを装って、探索者の真意を聞きだそうとしている。)

適当にロールプレイを挟む。
雪無は特に、探索者の意見に対して反論するようなことはない。
(雪無は探索者たちの心が聞きたいだけのため)
また、雪無は自分の正体や行動に関わる質問以外は、出来る限り答えるだろう。

Q.その腕は?
A.「ワニ男に食いちぎられちゃった」

Q.この魔法陣は誰が描いたの?
A.「あのワニ男が描いたんじゃない?あいつ、ナイルに行きたがってたし」

Q.その黒い傷跡は?
A.「さあ?なんだろうこれ」

Q.クロコダイルの神って?
A.「セベクっていって、ナイルに住む神らしいよ」

Q.神崎はどこに行ったんだろう?
A.「地下のあれを見るにここで殺されたんじゃないかな」

Q.門の創造の紙は何?誰のもの?
A.「そんなものあったんだ?」

Q.出口ある?
A.「あるけど出口全部閉めないと奴は追ってくるよ」

Q.クロコダイル人間は殺せる?
A.「武器でも無きゃだいぶ厳しいんじゃないかな」

(ここで雪無を疑い、危害を加えて気絶・死亡させようとした場合、エンディング2の項にある正体顕現シーンを参照して、描写とSANチェックを行う。以後、シナリオ中に雪無は登場しなくなる。)

ロールプレイがひと段落したところで、次の描写に移る。
ズルズルと、何かを引きずる音が近づいてくる。
おそらくあの怪物の尾を引きずる音だろう。
そう悟った途端、探索者達はこの部屋の扉の前に、あのクロコダイル男が現れるのを目にする。
彼はカチ、カチ、と牙を鳴らし、探索者達に迫る。
探索者達に敵意を向けていることは明らかだろう。恐怖が探索者達を支配する。
SANチェック(1d3/1d6)
(これは最初に彼を見たときのSANチェックと重複する。慣れルールに注意。)
なおここで、門の創造を覚えたPCがいる場合、アイデアを振る。
成功したら「この門を使えばこの怪物を遠くに飛ばせる。その後門を閉じれば追ってこれない」ということを思い立つだろう。

戦闘開始。ペトスーチの能力値についてはNPC欄を見る。
戦闘を終わらせる条件は2つあり、どっちを達成しても良い。

1... 門を使い、ペトスーチを転移させた上で門を閉じる
(門の創造を覚えている場合のみ可能。)

ペトスーチを門の上に誘導し、「セベク」と唱えて門を起動する。
門の上にペトスーチを誘導する場合は、おとり役がRP上適切な技能を使う。
(思いつかなければ、KP側から「APP×5」「交渉系技能」を提案してよい。)
おとり役が門の上から降りるRPは省略して構わない。
「セベク」ともう一度唱えれば、門を閉じることが出来る。

なお、誰かが時間稼ぎをしている間に先程の小部屋に戻り、図書館に再チャレンジして門の創造を覚えてきても良い。

2...戦闘でペトスーチを倒す
この方法を選ぶ場合は以下の警告を入れる。
「ペトスーチは装甲6を持っており、生半可な攻撃では通用しない。
ただし、この個体は人間交じりであり、鱗のついてない部分=人間の部分を殴ると宣言すれば、装甲値を半減できる。」
HP自体は25と、複数人で叩けば削り切れないこともない値。
だが当然神話生物の恐ろしい攻撃力が牙をむくので、オススメはしない方がいい。
でも蛮族PCを連れてきた場合は存分に戦わせるのもまた一興。

(工場から脱出した場合)
誰かがおとりになって残るか、DEX対抗に成功すれば、工場の外に脱出できる。
しかし、工場をそのままにしておけばこのまま町中を追い回される。
シャッターを閉じれば足止めは出来るものの、そのうちシャッターを破壊して外に抜け出てくるだろう。
即座に高跳びでもしない限り、ペトスーチは追いかけてくる。
ただ、武器や情報の収集の時間稼ぎにはなるかもしれない。

《エンディング》

ED1「恐怖と隣り合わせの日常」

条件:雪無の依頼を断った、途中で探索をやめた
探索者達は捜索を断り、日常へと戻ってきた。
こうして探索者達と、この町を巡る事件や雪無の境遇とは、縁は無くなった。
しばらくして、また竜胆市のどこかで「奇怪な殺人事件」が起きる。
しかしそれも日常のちょっとした不幸として消化され、探索者達の周りを取り巻く世界は、今日も明日も変わらぬままでいることだろう。

・SAN値報酬
なし

ED2「恐れを知る者たちよ」

条件:ペトスーチを撃破した、門を使って異界へと飛ばした

・描写例1
地面に描かれた印が奇妙な光を放つ。
探索者達の眼前で、クロコダイル人間は地面から立ち上る光に包まれる。
そしてそのまま、地面に飲み込まれるだろう。あとには探索者たちが残される。

・描写例2
探索者たちは激闘の末、ついにクロコダイル人間を撃破する。
それは、大きな肢体をぐらりと揺らし、冷たい地面へと倒れ伏した。
しばらく様子を見るが、それがもう起き上がってくる様子はない。

(以下共通描写)
クロコダイル人間が居なくなると、あたりは静寂に包まれる。
探索者達が一息ついていると、座り込んでいた雪無がゆっくりと立ち上がる。
「お疲れ様。とりあえず助かったみたいだね」
雪無は探索者たちを見て微笑むだろう。
ここで全員<目星>を振り、成功した探索者は雪無の笑顔が引きつり、そのまま歪んだ笑みへと変わるのを目にするだろう。
「さあ、後始末をして帰ろうか」
彼がそう言ったとたん、部屋の中から轟音がする。
見れば、魔法陣が描かれている床が砕かれている。
奇妙な現象にSANチェック

ここで何事もなく帰還するなら、その後、雪無は人知れず行方をくらますという描写を挟み、そのままシナリオクリア。

(もし雪無を疑い、問い詰めるようなRPや危害を加えた場合、以下の描写を挟む)
「ううん、やっぱり僕と君たちとは交わらない運命なんだねえ」
雪無の身体がミシリ、と音を立てたかと思うと、紙を破くようにバラバラにちぎれたのだ。
噴き出す鮮血の中、貴方たちの目を奪ったのは、肉と骨の隙間からズルズルと這い出てきた、黒い塊だ。
その蠢く塊は、何百もの羽虫の群れをぎゅうぎゅうに押し込めたようにも見えるが、よく見れば、数字と記号の羅列を、ぐちゃぐちゃに丸めたかのようだった。
「僕は、命の危機の中で人間が何を考え、どう恐怖に立ち向かうかが見たかった。
君たちが頑張ったおかげで興味深いものが見れたよ、ありがとう。
君たちならこの先も恐怖と立ち向かって生きていけそうだね。末永く生き延びてくれよ」
それはしばらくブンブンと宙を揺らめいたと思うと、空の彼方へと飛び消えていった。
探索者達は何故か、その数字の羅列から目を話すことが出来なかった。
それが飛び去った後、後には何故か、探索者たちには空虚な感情が残された。
SANチェック
(これはクルーチュシャ方程式の概念のようなものだが、 実際に探索者が方程式を解いたわけではないので、大幅に減衰している。)

こうして、探索者たちは無事、竜胆市を襲う恐怖から解放され、日常に戻ることができた。
この町ではもう、あの巨大なワニの怪物によって犠牲者が出ることは無い。
探索者たちが、この町の人々の未来を確かに守ったのだ。

・SAN値報酬
生還 1d10
竜胆町に平和を取り戻した 1d6

(雪無の正体を暴いた場合のみ、後遺症を得るかもしれないので、次の処理に進む)
このシナリオをクリアした後、1d100を振る。
「2〜100」ならば何事も起こらないが、「1」が出た場合、クルーチュシャ方程式への妄執が発生する。

・後遺症「方程式への妄執」
インターネットなどから未知の方程式「クルーチュシャ方程式」を検索し、夢中で解き進める。
狂気に陥るまでの間、探索者は強迫観念によりじわじわとSANをすり減らすため、次のシナリオ開始時に、1d30のSANを減少させてスタートする。
(これはKPの任意で減らしても良い。一時的狂気は起きないが、不定の狂気は適用する。)
効果は[365-EDU]日間か、何かしらの狂気に陥るまで。

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