2024年01月03日更新

DEMISE・S・WITCH

  • 難易度:★★★★|
  • 人数:2人~5人|
  • プレイ時間:4~5時間(ボイスセッション)

 1927年4月、アメリカはまさに、ジャズエイジと呼ばれる狂瀾の時代の真っ最中であった。群衆は娯楽に酔い、禁酒法の鬱憤を晴らすかのような大量消費の時代へと昇華する。

 さて、そんな狂騒とは無縁な鬱屈の町アーカムでは、こんな都市伝説が囁かれている。

「森の中に、入ったら二度と出られない『人喰い町・S』という町がある」

 その町には消えた悪しき風習が今でも行われ、時代錯誤の恐怖が満ちていた。だが、全ては1人の少女に捧げる、巨大な讒誣である。

 最後の『魔女』は、セイレムに真実を隠した。暴くのは目か、絞首台か。今宵も魔女裁判が催されるのだろう。

3637

17

ストック

0

コメント

'画像'




DEMISE・S・WITCH
ディマイズ・エス・ウィッチ

舞台装置は主役の為だけ。

【はじめに】

 5作目です、今回も宜しくお願い致します。
 今回は私個人も初めてであります、1920年代のジャズエイジシナリオとして作らせていただきました。言えども友人原案、私が構成と言った形で脚本を書きました故に、共著と言った方が良いですね。
 舞台は1927年、禁酒法時代でもあり、娯楽とメディアが発展し、大量消費社会として発展したアメリカ……の、そんな狂騒と発展とは無縁だと言わんばかりに閑散とした町、マサチューセッツ州アーカム。
 内容的には前のシナリオ同様FGOに影響を受けたような感じになっていましたが(笑)今回は更に密に話し込んで作りました。『異端なるセイレム』な感じにしたい友人と、『サイレントヒル』のようにしたい私とで話し合い、折り合いを付け、今作が出来た事を明記しておきます。

 生憎私がFGOを知らないばかりに、友人が原案にどれ程要素を盛り込んだのかが分かりません。「ここは影響を受けているな」と言った判断はプレイなさる皆々様に委ねます。まずその点を留意し、ロールプレイを願います。

課金と雀が好きな原案者・hagetakaへ、金欠の時と雀のいない夜での慰めとなるような作品を。



『1920年代探索者』限定
 日本人の有無に関しては、当時は世界恐慌前で留学も学生であれば行けるので可能。ただしシナリオ年数の1927年は日本にて昭和金融恐慌が発生しており、お金持ちと言えどお気楽に旅行出来る年代ではないだろう。関係ないが芥川龍之介が自殺した年でもあるのでとても悲しい。


『Sの意味』
 Demiseは「終焉、死去」を意味する単語で、直で訳すと「魔女の死去、魔女の終焉」となる。真ん中の謎のSは「セイレム(Salem)」だの何だのと捉えられるが、これは「探索者(Searcher)」のSであり、PL自身の事を指す。つまり、「終焉」と「魔女」の間に「探索者」がいて、双方の間で探索者が動く様を表している。
 またSは「救う事(Save)」や「生き残る事(Survive)」と言う探索者の目的でもあり、或いは罪人(Sinner)になるか犠牲(Sacrifice)となるかと言った、行く末を表しているかもしれない。何にせよ、この物語の「特異点(Singularity)」が探索者と成り得る訳である。

【キーパー向け情報】

 1927年アメリカ。『ジャズエイジ』或いは狂騒の20年代とも後に呼ばれる程の、享楽的で活気に満ちた時代でもあった。故に禁酒法による快楽の抑制はこの時代に相反し、密造酒を求めた観衆がマフィアやギャングを肥やした。力を強めた裏組織は官僚と癒着し、賄賂と圧力による腐敗が横行する。光に満ちた時代である一方で、影が深く濃い時代でもあった。

 そんな煌びやかなジャズエイジの喧騒とは無縁な町、マサチューセッツ州『アーカム』。南西にあるセイラム同様、中世の『魔女裁判』と言う陰険で忌まわしい歴史を持つ、海沿いの閑散とした港町である。このアーカムは1905年に腸チフスの流行のせいもあり、一層町に暗い空気を充満させていた。
 この静謐なるアーカムには、ボストン市の旺盛で瀟洒な若者の間でこんな噂が囁かれていた。「地図にない町がある」、アーカムの北にある森林地帯には古い町がある。その村は地図に載っておらず、そして一度町に入れば二度と出られない秘密の『人喰い町・S』。Sはイニシャルであり、「シャイニング」やら「サイレント」やら「スモーク」とまちまちに呼ばれているが、大抵はS町と呼ばれる。

 S町の正体は、『ヨグ=ソトース』を召喚せんと画策する神父『グリス・ゲットマン』が、魔術によって近隣の墓場から死者を青白い塩で欠損部を補ったゾンビとして操り、築き上げた町だ。グリス神父はあの『ミスカトニック大学』の卒業者であり、神学校を出ていないので、実際は神父ではないが父親が熱心なプロテスタント派のキリスト教神父と言う事もあり、仕草や話し方は聖職者と疑わない程だ。
 彼はミスカトニック大学にある『ネクロノミコン』を在学中に偶然にも読んだ事により、魔術と異形の神々への憧れを芽生えさせた。残念ながら卒業までの間に半分も読む事が叶わなかったものの、そこからヨグ=ソトースの召喚儀礼と死者の復活呪文を知り、15年の年月をかけて魔術として会得したのだ。彼は「門であり鍵」たるヨグ=ソトースより時空を旅し、神々との謁見を叶える方法を授かろうとしている。

 ヨグ=ソトースの召喚には10メートルの高い塔が必要であり、更には特別な造りでなければならない。グリス神父はアーカム北の森林地帯にあった廃村に隠れ、近くの墓場から死者をゾンビにして使役し、5年の末に塔とS町を作ったのだ。彼は建築学にも精通しており、それが可能だったのだ。彼自身はこの町をセイラムならぬ『セイレム』と呼称した。
 そして彼は生贄を用意し、初めて『タウィル・アト=ウムル』としてのヨグ=ソトースを召喚したのだが、彼は「我が娘の魂を捧げよ」と啓示した。ヨグ=ソトースはかのウェイトリーの双子以外にも、人間との間に子を設けていたのだ。その子どもは遺伝子の合致か、確率の果てか、ヨグ=ソトースに及ばずとも時空に干渉する力を持っており、彼はそこに興味を抱きその子どもを手元に置きたいと願っていた。

 子どもの名前はセイラムに住む齢6の『エイヴィー・フリックス』という娘で、無意識ながらに時空を不安定にする力を持っていた。例えば、彼女に近付こうとしてもいつの間にか過ぎ去っていたり、合わせたハズの時計がどんどんズレていったり、採れたての野菜が腐ったり、虫や動物が老衰で死んだりした。彼女の母親はセイラム魔女裁判を逃れた、本物の魔女の家系であり、その遺伝子がヨグ=ソトースの物と上手く適合したのではないかと考えられる。
 エイヴィーはその不気味な力から町の人々に忌み嫌われ、ヨグ=ソトースを受け入れ自身を産んだ母親はすぐに亡くなり、一人ぼっちだった。

 そんな彼女の存在を知ったグリス神父は、アーカムの共用墓地(ポッターズ・フィールド)から復活させた、男ゾンビに『ビクター・エンポリオ』と名乗る紳士を彼女の「父親」として向かわせ、エイヴィーをS町に引き入れた。

 ヨグ=ソトース曰く、彼女を『夢の国』に誘うには強い「憧れと同意、そして讒誣(さんぶ)と生贄」が必要との事だ。純真無垢な彼女に、本当の父であるヨグ=ソトースを受け入れる同意、共に夢へ至る憧れ、人間世界への未練を消す讒誣と別途、慰めとしての生贄13人を与えなければ夢の国に行けないのだ。
 グリス神父はエイヴィーの魂を捧げるべく、憧れと同意を教育として植え付け、残る讒誣を「嘘と狂気の象徴」である魔女裁判を再現する事で成し遂げようとし、ゾンビを使った一芝居を計画する。
 更にはヨグ=ソトースに仕える13体のデーモン達への慰めとして、13人の生贄が必要だ。グリス神父は『人喰い町S』の噂で人間を誘い、生贄を呼び込んだ。その甲斐もあり、1年間で既に12人の生贄を捧げられた。生贄の12人には様々な処刑を敢行した。最後の1人を呼ぶ時、グリス神父は町の全てと自身の全てを賭けた『大嘘』を開始し、生贄と讒誣を完遂させようとする。もしこれが成功し、化身ではなくヨグ=ソトース自身がこの世界へ招来したのならば、世界の時空に激しい混沌を発生させ、滅亡に至る災厄が起こるだろう。

 その最後の1人が探索者達の中の誰かか、再び夢の国へ至る力を探す悲しき紳士『ランドルフ・カーター』だ。カーターは町に対してきな臭さを感じており、保身として消えてしまった親友『ハーリー・ウォーラン』を名乗り、ミスカトニック大学の神秘学者として偶然居合わせた探索者らと共に「セイレム」へ赴くのだ。

【登場人物】

『ハーリー・ウォーラン(ランドルフ・カーター)』
 マサチューセッツ州で噂される人喰い町・Sの正体を探ろうとする、ミスカトニック大学に在籍する自称神秘学者。物腰柔らかな紳士であり、知的で瀟洒な中老の男。立派な髭を蓄えており、探検家風の帽子が異様に似合う面長の顔が特徴的だ。
 その正体は1928年にて失踪する前のランドルフ・カーターであり、失くした銀の鍵の手掛かりを求めてセイラムにやって来る。髭は付け髭で鬘も被っているので、本人だと気付けないだろう。彼の先祖であるエドマンド・カーターはセイラム魔女裁判から逃れた妖術師であり、アーカム或いはセイラムに手掛かりがないかと探していたのだ。
 彼は隙の無い男で、決して自分の正体を明かさないが、猫に目が無い点や夢の話に興味津々な所、自身の趣味に関するとつい我を忘れてしまう面がある。


『グリス・ゲットマン』
 S町の神父で、町内を取り仕切る実質の長。残酷極まりない性格で、魔女狩りと称して次々に人を絞首台に立たせて行く。その正体はネクロノミコンとヨグ=ソトースに陶酔してしまった言語学者で、神学校を出ていないので本当は神父ではない。様々な魔術を使いこなし、攻め立てて行く。
 エイヴィーに人間世界への未練を捨てさせる為、残虐な魔女裁判を起こしてゾンビを処刑し、汚らしい世界と夢の世界を対比させようとしている。
 ヨグ=ソトースに会える最後の条件として、13人目の生贄を求めている。


『ビクター・エンポリオ』
 S町外れの屋敷に住まう初老の男。地主を名乗っており、町の支配権は自分にあると主張するが、1年前にやって来た神父のせいで町民が洗脳された事を嘆いている。町に迷い込んだ探索者達に部屋を貸し、食事も用意する紳士。
 その正体はグリス神父の作り上げたゾンビであり、限り無く人間に近く作られている為、人間ではないと気付けないだろう。


『エイヴィー・フリックス』
 ビクターと共に住む、6歳の少女。4日後に誕生日を控えている。不思議な雰囲気の少女で、天真爛漫としながらも何処か影がある。ここではエイヴィー・エンポリオと名乗り、ビクターを父として慕っている。
 その正体はヨグ=ソトースと人間との間に出来た子どもで、それも限り無く彼に近い遺伝子を持っている。無意識の内に時空を不安定にする能力を持っており、彼女に近付けばいつの間にか通り過ぎていたり見失ったり、果実が腐ったり元気な動物が老衰で死んだりと、その能力が滲み出ている。ヨグ=ソトースはそんな彼女に興味を持ち、彼女を魂として取り込みたいと考えている。
 町から出ようとしても出られないのはまさに、エイヴィーの能力による物で、この地への愛着がそのような異常状況を作り出していた。

【プレイヤー向け情報】

 1927年、ジャズエイジの狂騒に沸くアメリカ。娯楽とメディアが進歩し、この世に対する無知が無くなって来た時期だ。世界一生活水準の高い国と評されるアメリカだが、ここアーカムはそうではなく、まだまだ陰険な雰囲気を醸し出していた。

 さて、アーカムの属するマサチューセッツ州の、特に大都市であるボストンやケンブリッジと言った賑やかな場所でまことしやかに若者に噂される伝説がある。我々はこの噂の真相を求め、4月26日にてアーカムに向かうのだ。

【シナリオ】

 探索者は何かしらの導入と動機を持って、アーカムに集結する。最も動機と言うのは人喰い町・Sの真相究明だが、興味を抱かせる点では導入は必然となるだろう。

《4月26日火曜、導入》

 26日は動機付けの日程であり、このシーンをこなすに10分もかからないだろう。参加探索者には、以下の導入が予想される。


『アーカムの怪』
 探索者はボストンのとあるモグリ酒場で飲んでいた。禁酒法により酒は禁じられていたが、ここでは密造酒にありつけられた。20年代アメリカを代表する、アップテンポなジャズの演奏を横目に微睡む最中、飲み仲間が酒の肴にと面白い話をしてくれる。

「人喰い町・Sって噂知っているか? Sってのはシャイニングだったり、スモークだったり、サイレントだったり、シグナルだったり言われているが、みんなS町って呼んでいる。この町は森の奥にあって、自分の願いが叶うけど、2度とこっちに戻ってこれないって噂だ」

 探索者は様々な質問をするだろう。場所は何処か、誰から聞いただとか、真相はどう思うだとか。場所に関しては「アーカムの何処か」と言い、誰から聞いたかは友人とか適当に示し、真相考察については飲んでいる密造酒を挙げて「マフィアの密造酒の製造所だろうか。酒は一生分飲めるだろうが、見られたら帰ってこれない」と冗談めかして話してやろう。


『遥かなるセイレムに友を求めて』
 探索者は友人或いは知人が、行方不明になってしまい捜索している。その知人は行方不明になる前の日に「人喰い町を探して行く」事を探索者に伝えていた。残念ながらその知人はヨグ=ソトースの11、または12番目の生贄に捧げられてしまっている。
 探索者は生前、知人の残した調査手帳を入手しており、場所はアーカム北部の森林地帯であると把握し、そこへ赴く。
 友人の名前は自由にして構わない。


『怪老人』
 探索者は街中のモグリ酒場で、呑んだくれの老人に遭遇する。老人は単なる酔っ払いだが人喰い町に関する違った伝説を知っており、微睡みながらも面白い話をしてくれる。「アーカム北部の森には、かのセイラムの魔女裁判から逃れた魔女の末裔が隠者のように暮らしている。若いモンは人喰い町だの小難しくしてやがるが、ワシのは大祖父から聞いた話だ。ワシの大祖父はセイラム魔女裁判を見届けたんじゃ。そこには魔女が記した、この世をひっくり返すようなグリモワールの数々と錬金術により得たお宝が犇いている!」
 何故、今時の話なのに老人の大祖父が話していたのかは別として、その場にいた面々は老人の話を面白がり「そこへ向かい、お宝を持って戻って来れるか、賭けでもしないか」と言う話になる。クジの結果、探索者が向かう事となった。


『セイラムの影』
 探索者は何らかの事情でセイラムにいる。友人に会いに来たでも良いし、忌まわしき魔女裁判の歴史を観光しに来た旅行者でも良い。探索者がセイラムのボロいレストランで食事をしていると、チキングリルを食べるある紳士が目に付くだろう。店内と比べて不相応な程に、その紳士の服装は綺麗で小洒落ていたからだ。
 紳士を探索者が訝しげに見るのならば彼の注意を引き、自然と挨拶を交わすだろう。この紳士こそがハーリー・ウォーランこと、ランドルフ・カーターだ(進行上、彼が正体を明かすまで一先ずウォーランと表記する)。ウォーランはミスカトニック大学の教授をしている言語学者で、神秘学者でもあると自己紹介する。彼は探索者と話をしていると、「馬鹿馬鹿しいと思わないで欲しいが、私はS町を探している」と、自身の目的を語ってくれる。「人喰い町・S」の事だと察せるだろう。

 深い目的については【信用】に成功する事でウォーランは「物を探していてね……ずっと前に無くした大切な物だ。深い思い出だよ」と話してくれる。彼はS町の噂を聞き、夢の国を紀行して培った直感によってその場所に銀の鍵の手掛かりがあると予測したのだ。彼は1人で行くのは心細い、謝礼を出すから用心棒になってくれないかと探索者に依頼をする。ここでは500ドル(現在のレートで約4万8千円)と提示するが、クリア後の後日談によっては謝礼金は5万ドル(現在のレートで約5.300万円)に跳ね上がる。


『暗澹の墓地にて』
 アーカムの共用墓地(ポッターズ・フィールド)に関する噂を聞く。最近、ここの墓地では納棺されたばかりの死体が無くなると言う事件が多発しているそうだ。大男が死体を運んだだの、魔女がいるだのと錯綜しているが、【幸運】に成功で墓守と話が出来、「犯人だと思う足跡があったんだが……森の中へ消えてんだ。あの森は不気味だからな、行きたくねぇんだわ」とぼやかれる。
 その墓地は、S町の噂が囁かれる件の森の前にあった。

《4月27日水曜、深奥》

 探索者らはS町に向かうべく、アーカムで支度をするだろう。品物や装備等の価格は《ルールブックP.334》を参照願いたい。
 ある程度揃え終えた時点で時刻は正午、そのまま探索者はS町があると言う北部の森林地帯に赴く。道中で他の探索者と合流させても良いし、町に到着した時点で、或いはエンポリオ邸で合流させても良い。その場合はウォーランと同行している探索者のグループに、エイヴィーとの邂逅イベントを発生させよう。


『霧雨の森』
 マサチューセッツ州の春は寒暖差が激しく、良く霧が発生する。探索者が件の森に到着すると、まだ正午であるのに薄暗い曇天が広がり、霧雨が降る。不穏な空気を感じつつも探索者は森の中に足を踏み入れる。
 既にそこは自然の世界だ、不幸にも狼や気性の荒い鹿に遭遇する場合もあるだろう。探索者は【DEX×3】で逃げるか戦うかする。動物に追われている最中、【アイディア】に成功する事で、動物が突如として怯み、一目散に逃げる所に気付ける。その逃げた先がエイヴィーの能力の範囲であり、探索者らはS町に到着した事になる。
 動物に襲われる展開が無くとも、森の動物が異様に怯えている事に【アイディア】か【生物学】で気が付ける。


・「エイヴィー・エンポリオ」
 ウォーランと探索者は森を突き進むと、霧の中で人の声が聞こえて来る事に気が付くだろう。【聞き耳】に成功で声を頼りに近付けるだろうし、【目星】に成功で足跡を発見して辿れる。どちらも失敗の場合はこのイベントを飛ばし、エンポリオ邸に着く。
 声や足跡を辿れば、森の中で和気藹々と遊ぶ6歳前後と思われる4人の子どもたちを発見出来る。内3人はそれぞれアンドレ、リリー、アンナと言う名前で、子どもたちのリーダー的存在がエイヴィーだ。
 エイヴィーは探索者らに気付くと、警戒する所か人懐っこく近寄り「旅のお方ですか?」と聞いてエンポリオ邸ないし、S町に案内してくれる。彼女らに町の事を聞くなら、「ここに来る旅のお方はみんなS町と呼んでいるけど、町の名前は『セイレム』。いつも霧の中にあるような場所」と紹介してくれる。
 道すがら、エイヴィーが代表して「私はエイヴィー・エンポリオ」と自己紹介する。エイヴィーらに何をしていたのか質問したのなら、「幸福になる儀式」だと答えてくれる。やり方は1人の人間を中心に歌いながらリズム良く回る。日本で言う所の「かごめかごめ」に近く、シナリオ内の雰囲気に合わせたいのならば「ロンドン橋落ちた」のような遊びだろうと察せる。

 探索者が頼むならエイヴィーは歌ってくれる。「1人目は火の中妖精さん、2人目は首無し子鹿さん、3人目は鋸大工さん、4人目は磔泥棒さん、5人目は溺れたお魚さん、6人目は石打ち雌鶏さん、7人目は鉄砲兵隊さん、8人目は牛引き農民さん……9人目もあるけど、まだ読めないの」
 彼女の歌は、ヨグ=ソトースに捧げられた生贄たちの処刑方法がモチーフだ。つまり1人目から順に、火刑、斬首刑、鋸挽き刑、磔刑、溺死刑、石打ち刑、銃殺刑、八つ裂き刑に処されてしまった訳だ。尚、9人目からは順に鞭打ち刑、圧死刑、毒殺刑、猛獣刑に処され、最後の13人目は絞首刑が予定されている。

 この歌のルーツについて聞くならば日記帳と思わしき黒い本を見せてくれる。本の中身は【知識】か【人類学】に成功或いは、読書家の探索者かウォーランに聞くとラテン語と分かる。探索者が【ほかの言語(ラテン語)】でロールを行わない限りは読む事が出来ない。
 ロールに成功の場合は「9人目は鞭打ち学生さん」だと分かるが、それは単語だけを繋いだ物で実際は「9人目、学生と思わしき若い男は鞭打ち刑に処した」とある。他も「記念すべき1人目は妖精のように可愛らしい女性で、火刑に処した」とある。
 この本はグリス神父の物であり、彼もミスカトニック大学のラテン語ネクロノミコンを読める程はラテン語に精通しており、勉学を兼ねてラテン語で日記を書いているのだ。この黒い日記には9人目までしか記録されていないが、それは9人目表記時点でエンポリオ邸に来たグリス神父が忘れて行った物を、エイヴィーが入手したのだ。書き直しをした完全版ないし英語版は神父の住む教会にある。
 エイヴィーらが行っている儀式は、処刑時の光景を再現されており、数人の者に囲まれつつ処刑が行われる様を記した箇所を儀式と思い込んでいるのだ。日記帳のタイトルだけは英語で『幸福の儀式』とあり、独学でラテン単語を辿々しく勉強したエイヴィーの勘違いだ。


・「幸福の儀式」
 エイヴィーらはこの儀式の本は「グリス神父の物だから、本物よ。神父さんの忘れ物。でもお父さんには内緒ね、お父さんは神父さんが嫌いなの。絶対に本の事は言わないでね、約束ね」と手に入れた経緯と内緒の約束を話す。他の子どもたちは口々に「エイヴィーの持っている本はとても難しいけど、エイヴィーが勉強して読めるようになったの。だから私たちも協力しているの」と囃し立てる。【心理学】に成功すると、彼女らはエイヴィーに心酔している程に慕っていると気付けるだろう。この子どもたちもまた、神父によって作られたゾンビであり、エイヴィーの友達と言う人格を作られ操作されているに過ぎない。
 エイヴィーはこの儀式を、「セイレムは貧しいし、神父さんがとても怖いから恵まれないの。だからみんなを幸福にしたいの」と理由を教えてくれる。



『エンポリオ邸』
 エイヴィーらの案内ないし、霧の中を無我夢中で突き進んだ探索者らは、大きな屋敷に辿り着く。ここがS町ことセイレム郊外であり入り口でもある、地主ビクター・エンポリオの家だ。エイヴィーらは探索者を案内し終えると、また儀式をしに森に戻って行く。この時に彼女たちへ付いて行こうとしても、不自然に霧が濃くなり、薄くなった頃にはエイヴィーを見失ってしまうと言う異常現象に見舞われる。これはエイヴィーの持つ能力によるものだ。探索者は狐に包まれたような気分から、【正気度 1/1D3】を行う。

 探索者が屋敷の扉を叩くと、中からメイドを背後に控えさせた紳士が出て来て探索者らを迎え入れてくれる。
「これは珍しい、お客さんかい? 私はビクター・エンポリオ、セイレムの地主をしているよ。この町には宿屋がないから、霧が晴れるまで空いている部屋を使いなさい。町の方は物騒だからね……」
 他の探索者がいる場合は、ここで全員と合流する事となる。
 ひと段落ついた所で、エンポリオが「エイヴィー……あぁ、私の娘は知らないかね」と聞いてくる。ウォーランが「複数人の子どもたちと、森の中で幸福の儀式と呼んでいる遊びをしていましたよ」と言うと「町に行った訳じゃないんだね、良かった良かった。そろそろ帰らせなければね……パンジー、連れ戻しに行きなさい、暗くならない内に」とメイドのパンジーに命じる。この時に【心理学】に成功すると、エンポリオは幸福の儀式と言うワードに動揺している事が伺えるだろう。グリス神父が漏らした言葉でもあるからだ。彼はゾンビとしての役柄、彼を嫌っている。


・「エンポリオへの質問」
 エンポリオに質問をすれば、ある程度は答えてくれるだろう。


→ここはどう言う町なのか。
「廃れた町だよ。町内で生産し、町内で売る、かなり閉鎖的な町さ。たまにお客さんも来るけど、大抵が迷い人だ。町は余所者嫌いだから、郊外は安全だよ」
 この質問に対し【心理学】に成功すると、何か別の意図があるのではと気付ける。それは悪意によるものではないとも分かる。

→人喰い町・Sについて。
「ここに来る人はそう言うね。人喰いなんてしないし、霧が晴れたら迷い人も帰っているよ。ここは閉鎖的で不気味だろ? 多分、帰った人が面白おかしく紹介したんだろう。噂は常に、虚ろな物さ」

→神父について。
「1年前に町に来た神父で、名を『グリス・ゲットマン』。元々セイレムはカトリック系教徒が多かったが、グリス神父が1年で町内の人をプロテスタントにしたんだ。変なカリスマ性のある人で、予知能力があるらしい。今じゃ町の人は彼を持ち上げ、崇拝し、長として奉っているよ……全く、この町の主権は地主の私にあると言うのに。あの神父、前に図々しく募金をお願いしに私の前に現れてな……腹立たしいペテン師だ」

→エイヴィーについて。
「私の娘だよ。離婚して故郷に帰った妻が亡くなってしまってね、身寄りもいなくて一人ぼっちだった所を引き取ったのさ。今じゃメイドのパンジーが母親代わりだよ。賢い子でね、趣味で買ったラテン語辞典を飲んで、単語だけとは言えラテン語も少し話せるんだ。月末、つまり日明後日の4月30日には7歳の誕生日だ。もし居てくれるのなら、お誕生日会に参加して欲しいが……ははは! なんてね!」

→幸福の儀式について。
「あの忌々しいグリス神父が良く言っているね。言う割には何をしたら良いのか教えないが……まぁ大方、他の町の遊びだろう。その程度は何も言わないよ、エイヴィーが知っていてもね」

→動揺を指摘された場合。
「あの子に悪い影響を与えないで欲しいだけなんだ。あまり町にも、特に神父には会わせないようにしてあげたいんだよ。不気味な男だ……だから、彼の言う儀式をしているなんて、残念だよ」

→神父の本について(内緒にされているが)。
「いつもエイヴィーが持ち歩いている黒い本かい?……神父の物だと? あの子はなんて事を……あの神父は何かを持っている、怪しい男だ。決して影響を受けさせてはならないんだ」


 彼は酷くグリス神父を嫌っており、頻りに「彼とは関わらない方が良い」と忠告する。もし内緒にされていた本の事を話すならば、彼は帰って来たエイヴィーから本を取り上げ、叱りつけてしまい、彼女は探索者に対しての信用を無くすだろう。エイヴィーは「あの人は嘘吐き」と周りに吹聴してしまい、ペナルティーとして対象の探索者はこのシナリオ内では【言いくるめ、説得、信用技能に-5】で行なってもらう。ただし取り上げられた日記は入手する事が可能であり、ラテン語辞典を使っての翻訳作業が出来る。それはまた後に表す。


・「屋敷の中」
 エンポリオは屋敷を、「自由に見て回っても構わないよ」と言って、探索者らを自由にさせる。屋敷は二階建て、シンメトリーの木造建築だ。一階には正面口ホールを抜けた先にあるリビングを中心に応接室、浴室、台所があり、ビリヤード室もある。ホールからは二階に上がる階段もあり、二階には書斎、エンポリオとエイヴィーの寝室、使用人寝室、そして未使用の部屋が7部屋ある。

 書斎にある本は読んでも構わないとの事で、探索者は自由に読む事が出来る。辞典や小難しい本に混じり、『レ・ミゼラブル』『罪と罰』『クリスマス・キャロル』と言った名作が並べられている。【図書館】に成功で、そう言った作品とは雰囲気が違う幻想小説が読める。それは夢の国に行ったカーターが書いた物で、著者も『ランドルフ・カーター』だ。
 また探索者が屋敷を隅々まで見たのなら、【アイディア】に成功で家族写真と言った、思い出の品らしき物が一つも無い事に疑問を抱くだろう。それに【博物学】に成功する事で、屋敷は築5年以内と気付き、昔からの地主にしては新し過ぎるのではないかと疑う。最も、思い出の品がないのは妻の事を忘れたいからで、屋敷が新しいのは引っ越したとも捉えられるだろう。

 また、エイヴィーの持つ日記を手に入れている状態でラテン語辞典での調べ物を行うと、【INT×3】で翻訳を開始、【1D6時間】で完了出来る。終了時間まで探索者は書斎を動かないので、以下のイベントには不参加となる。


『幸福の儀式』
・記念すべき1人目は妖精のように可愛らしい女性で、その姿で蠱惑せぬよう火刑に処した。

・2人目は子鹿のように神経質な少女で、ヒステリックを治すために斬首刑に処した。

・3人目は屈強な大工の大男で、自慢の鋸を奪って鋸挽き刑に処した。

・4人目は不埒で不潔な泥棒の老人で、神の子がそうであったように磔刑に処した。

・5人目は魚のような顔の浮浪者で、あまりに前世が魚かと思われる程に似ていた為に溺死刑に処した。インスマスの生まれだそうだ。

・6人目は雌鶏のように肥え、喧しい女で、屠殺を表現する為に石打ち刑に処した。

・7人目は陸軍帰りの兵隊で、軍内の死刑としては最も崇高な物である銃殺刑に処した。

・8人目はくたびれた農民で、牛を飼って育てていたらしいので、その牛に執行人になって貰い、牛引きでの八つ裂き刑に処した。

・9人目は、学生と思わしき若い男。自虐的な性癖があるので、鞭打ち刑に処した。


 この事実を幼いエイヴィーに伝えても、彼女はピンとこないだろうし、エンポリオに聞かれれば止められるだろう。
 また、5人目の犠牲者は間違いなく『深きもの』の血を引く者であるが、まだ人間としての身体であった為に溺死してしまった。この犠牲者らの死体は、教会の地下にある拷問部屋にて放置されている。


・「帰宅」
 暫くすると、パンジーがエイヴィーを連れて帰宅する。他の子どもたちは町に帰ったとの事だ。エイヴィーはパンジーに懐いており、パンジーもまた彼女を我が子のように愛している様はすぐに分かるだろう。パンジーもゾンビではあるが、人格を与えられたばかりに魂無き者を超越した感情を抱いている。
 エンポリオはエイヴィーに「幸福の儀式、またやっていたのだね?」と聞き、彼女は謝罪はするが「この大好きな町を幸せにしたいの。私にはこの町しかないの」と訴える。
 エンポリオはパンジーに、客人をもてなす晩餐の買い出しを頼み、彼女は町へ行く。探索者も付いて行こうとしても、エンポリオは「やめなさい、町の人に石を投げられるよ」と拒むだろう。



『グリス・ゲットマン神父』
 パンジーが買い出しに出て1時間半後、屋敷にグリス神父が現れる。グリスは探索者らと、エンポリオを睨みながら、「魔女がこの家から出た。報告をして貰わないと困りますよ、ミスターエンポリオ」と告げる。「ついでに子どもが3人、魔女と魔法使いでした。処刑を行いますので、ミスターエンポリオ、責任を持って見届けに参りなさい。来なければ、暴動が起きかねませんよ」と脅す。処刑されるのはメイドのパンジーと、アンドレ、リリー、アンナだ。最も全員ゾンビであるが、彼の目的はこの町を愛しているエイヴィーに讒誣を与え、世界への未練を断ち切る事だ。この魔女狩りはその劇に他ならない。

 グリス神父は探索者らに気付くと、「余所者か? 私も余所者だからそのよしみで言うが、町には出た方が良い。閉鎖的になると、君らも魔女或いは魔法使いとして疑われ、裁判をせねばならん」と忠告。
 支度もせず飛び出すエンポリオに続いて探索者らも町へ行ける。エイヴィーは置いて行かれるが、グリス神父は彼女を連れて行くだろう。


・「死者処刑」
 町の広場に到着すれば、パンジーらが絞首台の上に立たされている。4人は怯え、子どもたちは泣いている。その周りには罵詈雑言を情け容赦なく飛ばす群衆がおり、20人程度の人だかりのせいで絞首台には辿り着けないだろう。暫くするとエイヴィーを連れて、グリス神父がやって来る。連れている理由として、「この町の住人ならば、知る権利があるだろ」と言う。彼がやって来ると群衆は割れ、彼らを先へ行かせていた。
 エンポリオが「エイヴィーを連れて行くな! 頼む、見せるんじゃない! 止めてくれ!」と叫ぶ。彼はこの町で行われている魔女狩りを、エイヴィーや探索者には見せたくなかったのだ。だからこそ、彼女や探索者らが町に行く事を拒んでいた。

 グリス神父はエイヴィーを連れたまま絞首台に立ち、呆然とする彼女を無視して十字架を握ると、如何にも聖職者らしく厳かに、宣告する。

「群衆諸君、神に祝福されし群衆諸君! この悪魔に呪われし幼子3人と、エンポリオ氏のメイドの断罪を行う! 私としてもこれは些か不本意だが、私は神を祀り、神の導きに手を翳す者……仇なす魔女には鉄槌を下さねばならぬ!
 ああ、われらの主・イエス・キリストの御父なる天主、われら御身の聖なる御名を呼び、哀願者なるわれらは御身の寛大さを願い奉る。
 終世童貞にして無原罪なる御母マリアと、栄えある大天使聖ミカエルの御取次ぎによりて、この世を徘徊し人間を傷つけ霊魂を損なわんとするサタン及びすべての不浄なる霊より、かたじけなくも御身が我らを助け給わんことを! アーメン!」

 この町では日常的にこの魔女狩りが行われており、彼の言葉は死刑宣告でもあった。瞬間、絞首台の床が外れ、一斉に4人は宙ぶらりんとなり、(ゾンビではあるが)息絶える。その光景を見てしまった探索者は【正気度 1/1D6】を行う。対しての群衆は憐れむ声をあげず、「魔女め、ざまぁみろ!」「有難き神父様、町の平和は貴方様と我らが主のお陰です」と暴言か神父への賞賛かだ。見知っている者らの処刑を目の当たりにしたエイヴィーは立ち竦み、その間に神父や他の群衆は解散する。この後、処刑されて者らはゾンビの姿を現し、探索者らに襲いかかる。

 しかし心優しい探索者が死刑を阻止しようとするかもしれない。ならば探索者は【STR×3】に成功する事で群衆を掻き分け、尚且つ【DEX×3】で神父の詠唱中に彼女らへ齧り付けるだろう。或いは松明の火で枯れ草を焼いて陽動したり、銃での襲撃も可能だ。或いは絞首台の床を落とすレバーを握る執行人を止める事も出来るだろう。
 その場合にグリス神父は探索者らを「魔女の使いだ! 仲間だ!」と囃し立て、扇動するように見せかけ5人のゾンビをさし向ける。探索者らは助けた子どもたちを逃す為に、ウォーラン、エンポリオと共に3ラウンドは戦ってもらう。その後は【変装】で別人に変わって逃げ惑う群衆に溶け込むか、【隠れる】で同様の事をするかだ。【APP】が5〜10以内の至って平均的で没個性な顔立ちなら群衆に紛れた時点で逃げ果せるだろうし、【乗馬】に成功ならば放置されている馬で逃げる事も可能だ。逃走方法は数多くあるので、PLの提案を積極的に取り入れてみるべし。
 また、逃した子どもたちは探索者らと同行せず、何処かに隠れ潜む。屋敷に連れ帰った場合は、屋敷内でメイド以外の子どもたちがゾンビ化し、探索者を屋敷内で不意打ちするだろう。


・「猫と学者」
 集会が解散、或いは探索者が広場から逃げ帰る途中、ウォーランが野良猫を撫でている様子に遭遇する。探索者1人が彼に話しかけると、『ウルタールの猫』の話をしてくれる。因みにウルタール自体は夢の国にある町であり、夢見人として旅をした彼だからこそ知っている話である。

「昔、知人から聞いた話ですが。『ウルタール』と言う町があるそうなんですよ。後に調べましたが、そんな町は地球上の何処にも無かったのですが……しかし面白い話でしてね。そのウルタールには可愛い猫を殺すのが趣味な、酷い老夫婦がいたそうで。この老夫婦、町にやって来た流浪の民の少年が飼う黒猫を殺してしまったようなんですよ。悲しんだ少年は神に祈りを呟き、民は村を去りました。その数日後だそうです、猫殺しの老夫婦が、肉を剥がされ、骨だけになっている所を発見されたのは。そして村中の猫が何故か満腹になっていたのは。以来、この村では猫を殺してはならないと言う、規約が出来たそうです」

 この1人の探索者に限定して、【INT×2】か【オカルト-5】の技能に成功すると、学者の名前『ハーリー・ウォーラン』に聞き覚えがあり、それは1919年に曰く付きの失踪を遂げた事で捜索依頼がされている、ハーリー・ウォーランでは無いかと疑えるだろう。彼はその年にカーターと墓地へ行くが、地下坑内に入ったきり消息を絶っている人物で、オカルト界隈では実しやかに語られている名前だ。彼にその事を言っても「同姓同名ですよ」と呟く。【心理学】に成功すると、彼が懐かしんでいるような表情だと気付ける。

 ウォーランは猫を撫でながら、「猫は私たちが思うよりも、遥かに物を知っているのですよ。同時に、猫は何処にでも忍び込めるし、全てを見れる。猫は良いですよ」と言ってから、猫を抱えつつ屋敷に戻る。この時彼は猫と会話を試みており、この町の正体とグリス神父と言う人物について情報を集めようとしていたのだ。

 悍ましい光景を見て声も出せないほどに絶望していたエイヴィーだが、拾った猫に対して好意を示し、エンポリオもそれを確認したので持ち込みを許可した。


・「魔女裁判」
 屋敷に戻れば、探索者は色々とエンポリオに聞きたい事があるだろう。


→あの魔女裁判はなんだ。
「すまない、隠していたつもりじゃないんだ! あのグリス神父、信心深い町の人々を誑かして、魔女裁判と称して自分に従わない人間を定期的に処刑している男なんだ。今までに何人も殺された、中には君らのような外来人もいた。老若男女関係ない! 明日、霧が晴れたらここを去りなさい。次は君らかもしれない……!」

→グリス神父について。
「最初はプロテスタントの宣教師かと思っていたが、自身を聖人と名乗り、町で色んな奇跡を起こしているんだ。例えば水脈を発見し、水不足を解消した。結核の少年も治したし、マッチも無しに火を灯したりもした。そして何より彼の言った予言はピタリと当たる……町の人間は彼を神の申し子と崇めているんだ」

→エイヴィーについて。
「彼女はこの町に来て、まだ1年も満たない。あんな悍ましい儀式を、見せたくなかったんだ……しかし私には身寄りもいないし、処刑を免れる為に金を奴に寄付しているので引っ越す金もない。君らが良いのなら、エイヴィーを連れて行って欲しいんだ……辛い思いをさせたくない」

→他に協力してくれそうな人は。
「いないだろうね。皆、グリス神父の息がかかっている。町の人々は神父の主導で私たちを監視しているんだ。寧ろ、パンジーが珍しい人間なんだ……この町に味方は1人もいないと思ってくれ」


 その後探索者は、心身的に不安定なエイヴィーを慰めるも良し、屋敷を見て回るも良し、明日に備えて眠るも良し、町民の襲撃を警戒して夜通し見張りをするのも良しだ。怪我をしている探索者がいる場合は、耐久力に【1D6+1】の回復が可能だ。



『夜の屋敷』
 時刻は深夜を巡り、ホールの時計が空を指す。エイヴィーは眠りにつき、エンポリオはグリス神父の動向に気が気でない様子なのかコーヒーを飲んで読書に耽り、ウォーランは探索者をビリヤードに誘う。


・「エイヴィーの寝室」
 猫と共に寝ているエイヴィーに【忍び歩き】で近寄ると、グリス神父の日記を拝借可能だ。書斎のラテン語辞典で翻訳出来る。この時、【聞き耳】に成功すると、彼女の寝言が聞こえるだろう。
「絞首刑と、13人の……銀の鍵、夢の国……いあ、いあ」
 彼女に盛大な讒誣を与えたグリス神父だが、猫や探索者、エンポリオと言った面々がエイヴィーをこの世界と繋げる未練となっており、完全に憧れを抱いてはいない。しかし今回の件が彼女の心を激しく乱した事は確かであり、ヨグ=ソトースの啓示を拾ったのだ。


・「エンポリオの憂鬱」
 子どもたちを助けた場合、このイベントが起こる。彼は逃した子どもたちが屋敷にいると思っていたので、いない事に動揺しているのだ。町に隠れているのか、それともまた捕まってしまったのか、或いは町の外に逃げ果せられたのか。
 子どもたちを連れ帰った場合は、グリス神父や暴徒化した町民を警戒し、夜警をしてくれる。彼は警備に『20ゲージ・ショットガン』を使用している為、【信用】に成功で譲り受けられる。


・「ウォーランとビリヤード」
 ウォーランはビリヤードをしながら、声を潜めて探索者に提案する。「あのグリス神父とやらの、正体を明かしましょう。あの男のしている事は恐怖政治に他ならない、許されざる行為だ。神父の醜い本性を、白日の下に晒してやらねばならない。それを証拠に、警察も動かせるだろう」
 彼は屋敷から見つけて来た地図を取り出し、町の西方にある教会を指差した。探索者が承諾するのなら、明日には教会への潜入が開始される。


・「逃げられない」
 もし探索者が警察を呼ぼうと、或いは怖気付いて逃げようと夜の森に入った場合、深い霧の中を無理矢理にでも進んではいたが、いつの間にか屋敷の前に戻って来てしまう。何度も何度も森の中に入っても、屋敷に戻る。探索者はこの異常に怯え、【正気度 1/1D4】を行う。
 この事をエンポリオに問い詰めたとしても「分からない、そんな事は初めてだ。霧が濃いから、惑わされたのでは」と宥められる。

《4月28日木曜日、暗澹》

 探索者は朝目覚めると、リビングに一先ず集合する。安価なパンと、ミルクセーキを朝食にして窓を眺めるが、奇妙な事に霧は晴れず、昨日よりも濃くなっていた。【アイディア】に成功すると、この霧は町を中心に、囲むように発生しているのではと気付けるだろう。

 窓の外を見た探索者は、屋敷の裏手に処刑されたハズの、或いは助けた3人の子ども、アンドレ、リリー、アンナとメイドのパンジーを発見する。絞首刑から救った場合は子どもたちだけで、パンジーはいない。
 いずれにせよ、探索者は死んだハズの人間が佇んでいるように見えて【正気度 0/1D4】を行い警戒するか、助けた彼らを見つけて安堵し、近付くかだ。近付いた場合、彼らの悍ましい姿を見てしまう。

 様子見の場合は、同じタイミングで正面玄関より、グリス神父がやって来る。彼はエイヴィーや探索者の様子を伺いに来たのだ。グリス神父が入って来て、ホールでエンポリオと口論している最中、子どもたちは窓を蹴破り屋敷に襲撃する。その姿は凶暴に歯をむき出した獣性の表情に、土気色の肌に青白い血管の浮き出た悍ましいゾンビだ。探索者は【正気度 1/1D6】を行う。
 勿論、エイヴィーを絶望させる為の神父の讒誣だが、彼は演技に徹し、探索者らを守るかのように前に立ち、銃を取り出した。
 事態を把握しきれていないエイヴィーは子どもたちに近付こうとするが、ウォーランが彼女を止めてやる。彼女の泣き噦る声と、呆然とするエンポリオを前に、グリス神父は白々しく「見て分かるだろ、人ならざる悪魔だ! 手を貸せ、こうなったら我々で葬るぞ!」と加勢を呼びかける。

 屋敷には飾られている剣や、棍棒など武器になる物が沢山ある。探索者は自身の所持品とを照らし合わせ、或いは打開策を考えつつゾンビを倒さねばならない。ゾンビを倒すと、グリス神父が死体を脇に抱えたり、担いだり、引き摺りながら外に出る。
「言っただろ、この者らは呪われし者。私はそれを見越し、魔女狩りをしていたのだ。今回は首の締めが甘かったのか(君らが愚かにも、偽善から助けてしまったばかりに)このような形になってしまったが。諸君、この町では私に従いたまえ。もしかしたら、君たちの誰かは呪いを受けているやもしれんぞ。誰がこんな怪物を作る? 誰が操る? 真の魔女がいるのだ……この町に」

 神父は町の方に消え、エンポリオは項垂れ、エイヴィーはただひたすら泣く。探索者はエイヴィーを慰めなけらばならない。
 その時、ウォーランが探索者1人(導入で用心棒として雇われている探索者がいればその者に)を密かにエイヴィーの寝室に連れて行く。すると彼女と一緒に寝ていたハズの猫が死んでいたのだ。【目星】に成功すると筋肉が萎縮しているようにも見え、【生物学】に成功すると死因は老衰だと分かる。驚きから、【正気度 0/1D4】を行う。この時にウォーランへ【心理学】を行うと、酷く悲しんでいる事に気付け、それは慈しみと言うより謝罪とも取れる感情だと分かる。彼はエイヴィーのお目付役として、猫を選んでいたからだ。

 ウォーランは気を取り直して話す。
「それだけではない……これは彼女が握っていたパンだが、見たまえ! 腐ってカビが生え、パサパサだ! 我々と同じパンだったハズなのに! なぁ君、もしやあのエイヴィーと言う少女は、普通の少女ではないのかもしれません……だが、これは他言無用。神父にバレれば何かされるか分からないし、あの子は不安定だ。今後は彼女の動向を確認していてくれたまえ。あの子はこの世界にとって、『特異点』であるのか!」

 またこの時に町から出ようとしても、「逃げられない」イベントと同様の事が起こる。それを確認したウォーランは「我々の、知らない力が働いている」と驚いた声で呟く。



『町での調査』
 ウォーランの言った通り、探索者は神父について調査をしなければならない。その前に町には奇妙な物がある。町の中心には高さ10メートルはあろう石の塔があり、幽霊屋敷と呼ばれる家屋が北に存在する。石の塔はヨグ=ソトースの招来に必要な物であり、幽霊屋敷はグリス神父の書庫のような場所だ。
 そして彼が1日の大半を過ごすであろう教会は、絞首台を見下ろすように、広場に建っている。

 探索者がまず、恐る恐る町に着くと、死んだ顔で往来する町民に目が行くだろう。全員が探索者を睨み、目線が合えば忌まわしい物から逃れるかのように目を逸らしそそくさと去る。探索者がもし、絞首刑を阻止した場合でも町民は同様の態度を取り、忌まわしい目を向けはするが激しい敵意は向けないだろう。
 探索者がそんな町民らに困惑していると、グリス神父が何処からともなく現れ、「魔女狩りは、元々このセイレムに伝わる厄災を抑える儀式的なもの。君達も不自然な動きさえしなければ、余所者とは言え魔女と認識はされはしない。身の安全を尽くすなら不本意な行為はあまりやめた方が良いだろう」と忠告する。

 探索者が口答えをするのなら、「あそこにいるご老人、今からクシャミをする」と予言し、的中させる。その後も「あくびをする」「転ぶ」「頭を掻く」と予言しては全て的中。これはゾンビをその通りに操っているだけだが、何も知らない探索者には予知能力があるように見えるだろう。
「私もまた、人ならざる力がある。しかしこれは悪魔ではなく、神の恩恵だ。あまり私にたてつかない方が良いぞ」と言い、教会へ戻る。この時に【心理学】に成功すると、彼は探索者らを舐めるような目で見ていた事に気が付ける。彼は13人目の犠牲者を選別しているのだ。



『町の散策』
 探索者は町を見回る事となるだろう。しかしかなり閉鎖的な村である為、生活必需品を揃える店は無く、町民やエンポリオに聞くなら「そう言う類は町の外まで行って買う」と言われる。故に娯楽的な場所もなく、居酒屋やダーツバーも存在しない。
 何処までも続く家々に、鬱屈な表情を浮かべる町民が畑仕事や家畜の世話でウロウロと街路を往来するだけだ。町民に話しかけたり、家を観察したり、家畜や野良犬、野良猫と遊んだり、ある程度自由にぶらついている探索者に限り【アイディア】に成功すると、この辺の家々は同じ造りのものばかりであり、更にはやけに新しいものばかりとも気付ける。
 また、町民に話しかけたりした場合、【目星】に成功で町民の顔色がやけに悪い事に気が付ける。人相も何処か生気がない。


・「石の塔」
 この町で1番高い建築物であり、高さは一般的な建物の4階分に相当する。教会よりやや高い。この塔について町民に聞けども「昔からある、よく分からない」としか話さない。塔は梯子を使って頂上に登る事は可能で、登った場合は、不気味な印を発見する。
'画像'
 この印は良く見ると、ヨグ=ソトースの紋章を踏襲している。更に印には13の球が描かれており、ヨグ=ソトースに従う13の球霊を表現しているのだ。


・「絞首台」
 探索者は絞首台を調べると、確かに新しく作られた物だと分かる。1年前に来たグリス神父が始めたのだから妥当だ。しかし【知識】に成功すると、逆に新し過ぎやしないかと考える。まるで1ヶ月前に作られたかのような代物だ。
 この絞首刑による魔女狩りと言う風習は、エイヴィーを捧げる儀式を行う為の讒誣による作り話であり、最後の13人目に行う処刑の為の準備だ。この前には火刑、磔刑、鋸挽きと、専用の処刑台が入れ替わり立ち替わりで用意されていた。


・「墓地がない」
 この町には何処を見ても墓地が存在しない。ならば死体は何処にあるのか?
 町民はゾンビである為、埋葬される事はない。前の犠牲者や今朝に殺した子どもたちのゾンビは全て、教会地下にあるカタコンベに放置されている。


・「幽霊屋敷」
 屋敷とは言うが、一般家屋よりやや大きい程度の一階建てだ。屋敷の前に来ると、エンポリオとも偶然遭遇する。「この屋敷、今はあのグリス神父が出入りしていると聞いた。こうなったら、とことん協力しますよ! 侵入してみますか?」と提案。
 侵入方法は【鍵開け】だろう。それが不可能な場合は窓を破り、【幸運】に成功する事で音が第三者に届かないで済む。もし聞かれたら誰かが飛んで来る為、失敗に終わる。或いはこの家の鍵をグリス神父は教会に置いている為、そこから拝借するのも手だ。

 家内には本棚しか存在せず、びっしりと本が詰められている図書館のような場所だ。普通に眺めるのならば『黒い本』が手に入り、【オカルト】に成功すると、これは幻の奇書たる『ネクロノミコン』ではないかと疑うが、すぐに偽物だと分かる。その通り、中身は聖書であった。
【図書館】に成功すると、羊皮紙に包まれた、1cmほどの大きさの木箱が手に入る。それは非常にグリテスクな彫刻がされており、触っているのも嫌な代物だ。これはカーター邸にある、銀の鍵が入っている木箱と同じ物である。グリス神父はこれを、箱だけ入手していたのだ。箱だけなので、中身は存在しない。

 しかし【幸運】に成功すると、中は二重底になっている事を偶然発見出来る。そこには1枚の破れた紙がある。


「主は告げた。タウィル・アト=ウムルは告げた。必要な物は、憧れと、同意と、同時に嘘。そして我が行いの赦しを請う為、13の添え物が必要だ。鍵は、その先にある」


 ここに書かれている事は、グリス神父がヨグ=ソトースの化身たるタウィル・アト=ウムルから授かった、ヨグ=ソトース本体を招来する条件だ。つまり、エイヴィーの魂を時空へ持ち上げる方法でもある。その紙の後ろに数枚の紙があり、その一枚に「知人の軍人より、処理した方が高いと言う壊れたガトリング砲を譲り受けたが、やはり無用の長物だ。懺悔室裏に置いておこう」と書かれた日記の切れ端を見つける。



『教会』
 探索者は神父の目を潜って、教会を調査せねばならない。聞けば神父はこの教会を殆ど家にしているそうだ。この教会自体は元からあった物を改築しており、【アイディア】に成功で他の家々よりかなり古い印象を受ける。グリス神父に教会の事を尋ねると、「町で一番古い、それこそセイラム魔女裁判の時代に匹敵する。調べたが、当時の神父は魔女と裁かれた女性をこっそり逃す通路を作ったらしい。全く、悪魔を逃してどうするのやら」と話してくれる。

 グリス神父は1日に何度か町を見回りに外に出る事があり、そのタイミングをウォーランは見計らい、探索者と共に教会に入り込む。教会はプロテスタントらしく、地味で装飾のない、シンプルな造りだ。聖堂には町民が祈りを捧げている為、突っ込んだ調査は出来ないが、シスターや他の牧師がいないので他の部屋には【忍び歩き】で入れる。それらが厳しい場合、他の探索者が何か陽動するか、ウォーランにそれを頼むかをするべきだ。

 神父の部屋は殺風景で、机と椅子とベッドと衣装タンスのみ。ベッドの下を覗くと、エイヴィーの持つ神父の日記帳の完全版が手に入る。1人目から9人目まではエイヴィーの持つ物と変わらないが、そこから先が英語で続けられている。


・10人目は、単純で無学なお転婆な女。その身体に罪を乗せるように、圧死刑に処した。

・11人目は、没落貴族のがめつい男。魔女の宝と言う匂いに釣られたこの哀れ者を、いままで贅沢させた身体を無駄にせぬよう、猛獣刑に処した。人の味を覚えた犬は危険な為、地下に幽閉する。

・12人目は、飢えて目を鈍く輝かせた老人。毒さえも食らうのかと試す為、毒殺刑に処した。かのソクラテスがそうであったように、ドクニンジンを使用した。


 また、【目星】に成功するとタンスの裏から飛び出た切り込みに、【聞き耳】に成功すると隙間風の音に気が付ける。タンスの裏には隠し扉があり、地下へ通じる道があったのだ。探索者は気を付けなくてはいけないが、地下には死体を食べて生き長らえている飢えた狂犬が2匹、潜んでいる。


・「地下」
 探索者は地下へと入って行く。地下は今まで処刑した者らの死体が記念碑として、天井に吊るされている。使えなくなったゾンビはその下に放置だ。探索者は地下への階段を降りて行くにつれて強くなる腐臭に、吐き気と嫌悪を催し【正気度 0/1D4】を行う。【聞き耳】に成功すると、獣の唸り声が聞こえ、犬の不意打ちを回避出来る。
 更に奥へ続く扉を開けた所で、例の飢えた犬2匹が不意打ちをかましてくる。先に聞き耳に成功しているとそれを予知して防げるのだが、失敗の場合は探索者2人が腕を噛まれ、【1D6】のダメージを負う。そのまま犬は探索者を噛み続け、【STR対抗ロール】で打ち勝つか、他の探索者が介入しない限りは【1D4】のダメージを受け続けてしまう。

 探索者は犬を倒して先に進むと、12人の吊るされた裸の死体に、床には腐り果てた数々の死体が目に入る。探索者は【正気度 1/1D6】をしなければならない。その死体の中には、探索者が探していた知人も混じっているだろうが、誰かは自由だ。
 12人の死体はそれぞれ傷跡があり、全身が焼け爛れて誰だか分からない死体、手の平に大穴が開いた死体、首の無い死体、引き裂かれたであろう身体を無理やり接合されたような死体、股から胸まで鋸で切られた死体など、様々だ。探索者はこれらの死体を見た上で、エイヴィーの歌っていた幸福の儀式の歌を知っている者は、【アイディア】に成功で死体はあの歌に擬えて殺されているのではと気付ける。そして奇妙な事に、これらの死体は魔力により保存され、腐敗をしていないのだ。

 尚、溺死刑にされたインスマス面の男を見た場合、その余りに魚或いは蛙に似た顔立ちと低い背丈を見て、【オカルト】か【人類学】に成功した時、インスマスの人間らしい姿だと気付ける。ウォーランが同行している場合、彼は「未発達なエラのような物が首にあるぞ……見た感じは溺死のようだ」と呟く。因みに、このシナリオは1927年4月末だが、その年の冬にインスマスへの政府の攻撃が開始される。

 床に放置された死体は老若男女の10人弱で、腐敗し、蛆虫や蝿がたかっている。良く見れば探索者が倒したゾンビの子どもたちもいた。この時に【聞き耳】に成功すると、階段から誰かが降りてくる音に気付け、【隠れる】に成功しなければ神父に見つかってしまう。死体の真似も可能だが、【変装】で装いを変えた上で【幸運】に成功しなけらばバレてしまうだろう。
 隠れている時に神父は4人の銃を持った男ゾンビらを従えさせながら部屋中を探るが、更に死体の詰まった木箱を開けるまでで探索者は見つけられない。「入った痕跡はあったが……出られたか。私の正体に奴らは近付きつつあるな……さて、どう見つけるか」と呟き、地上に戻って行く。
 見つからなかった探索者は地下室内で【目星】か【聞き耳】に成功で、隙間風の存在か音に気付ける。十字架の窪みのある壁があり、そこに秘密の通路がある事が分かるだろう。


・「見つかった場合」
 彼は4人とは別に、更に5人のゾンビらを降ろさせ、探索者を包囲する。そしてこう、告げる。「宣告する、君らの内、誰かが魔女、或いは魔法使いだ。さて、魔女裁判の始まりだ」
 ウォーランがいた場合は、苦々しく言いながら、「これでは猫殺しの老夫婦の庭に忍び込んだ、猫ではないか」とぼやくだろう。


・「もし探索者がメイドらを助けていた場合」
 今も消息不明なメイド、パンジーはここにおり、いきなり立ち上がって探索者の1人に抱き着くだろう。抱き着いたまま彼女は「あ、あの子をらお、ね、がい」と辿々しく伝える。パンジーは探索者を殺すのではなく、呻き声をあげながら部屋の隅にある木箱の裏へ彼らを隠す。人間に近いゾンビとしてあまりに完成度高く作った為、エイヴィーへの愛慕を持ったパンジーは探索者を守ろうとしてくれたのだ。探索者らを隠した時、扉の方へ行く。パンジーはやって来たグリス神父に襲いかかるが、彼が連れていた4人のゾンビによって撃たれ、息絶える。
「屍人が母性を抱くのか。少し良く作り過ぎた。次からは少し馬鹿にしなければな。ビクターもそろそろか?」
 ここからの流れは、前の流れと同様だ。



『魔女裁判の夜が来る』
 探索者らが地上に出ると、教会のすぐ目の前にある絞首台にはエイヴィーとエンポリオが立たされていた。首には縄をかけられ、処刑の秒読みだ。
 これに関しては探索者らは2人を助けようとしても、今回はやけに厳重で銃を持ったゾンビらが守っており、突破は不可能だろう。そしてグリス神父は探索者を見ると、してやったり顔で宣言する。
「貴様ら並びに、ビクター・エンポリオとその娘エイヴィーに、魔女或いは魔法使いの疑惑がかけられている。だが、誰か1人のようだ。誰が魔女だ?」

 地下室で見つかった場合は、既に探索者らも絞首台に立たされているだろう。エンポリオに伺うと、「君らと神父の正体を暴く計画がバレた……なんて事だ」と嘆く。
 グリス神父は誰が魔女か、名乗り出る事を繰り返すが、何とエイヴィーが震えながら手を挙げた。手を挙げた次の瞬間、『序盤でエイヴィーらと最初に出会った』かつ『屋敷或いは教会に忍び込んだ』探索者1人を指差し、「この人です。この人、アンドレたちが怪物になる前に、会っていました。教会(屋敷)にも忍び込んでいました」と暴露する。この時エイヴィーは、「君自身と、父親を救いたければ、誰か君のお友だちを差し出しなさい。出なければ君も父親も殺すし、町の人も殺す」とグリス神父に脅され、泣く泣くこんな事をしたのだ。これにより彼女は絶望し、人間の世界への未練が薄れて行く。
 神父は処刑を執り行うとして、他の探索者やエンポリオを取り押さえたまま、選ばれた探索者1人の死刑執行が行われる。


・「仮死薬」
 一瞬の隙にウォーランは捕らえられた探索者に近寄り、「助かりたければ、この薬を飲みなさい」と無理やり何かの薬を飲まされる。それを見たエイヴィーは「それ、毒でしょ」と看破。「苦しむ姿を見たくはない。苦しみから逃れる事が救いのハズだ。安心したまえ、眠るように死ねる」とウォーランは説明する。【心理学】に成功すると、彼は何か隠している素振りがある事に気付ける。

 彼が手にしているのは、夢の国より現世へ持ち込んだ、仮死薬だ。これを飲んだ探索者は一定時間だけ死にながらも生きていると言う、妙な状態に陥る。薬はすぐに効き、首に縄をかけられた状態で突然、自分から縄にかかって息絶えたかのように眠った。何も知らない探索者は【正気度 0/1D4】を行う。
 グリス神父は「絶望からか、自ら死を選んだ」と解釈し、仮死状態の探索者を疑いもなく下ろさせる。最後の1人を処刑した彼は上機嫌であり、「この町で初めての墓地を作ろう。この忌まわしき魔女の申し子を封印する、封印墓地を作ろう」と告げ、質素な棺桶に詰められ町外れに埋葬される。

 その様を見届けたエイヴィーは、目がどんよりと濁っており、最初の時のような快活さは消え失せ、闇に飲まれたような顔を見せた。探索者を見る目にも興味は宿っておらず、養豚場の豚を見るような目で全てを見つめている。
 エンポリオは優しいエイヴィーの行動を信じられず、グリス神父に詰め寄ったりしている。ウォーランは表向き、心痛な面持ちを演じつつ、「夜、彼の葬式を我々で行いましょう……彼には毒を飲ませた。苦しむ事なく逝けた」と神父の前では絶望するフリをしたまま町の中に消えた。
 グリス神父は非常に機嫌が良く、生贄が揃った今は他の探索者に興味はなく、「霧が晴れたら出て行くがよい」と勝ち誇るだろう。



『絶望前夜』
 屋敷に戻った頃には夜になっていたが、月が良く照る昼と見紛うような明るい夜だった。つまり、霧が晴れているのだ。エイヴィーからは町に対する愛情が消え失せ、全体を覆う能力が消されたのだ。グリス神父は生贄が揃った今、探索者らに興味はなく、逃げ出しても追う気はない。

 エンポリオは「すぐに身支度を。この町から出なさい。そして、警察を呼ぶのです。恐ろしい、あの神父が……彼はこのセイレムの人間全てを殺戮するつもりだ。だが、あの怪物たちの存在も存在だ……本当に、一体、誰が正義なんだ」と狼狽えている。それでも「エイヴィーの件は、どうか、許してやって欲しい……まだ、幼いんだ……怖くて、仕方なかったんだ……まだ人の命を天秤にかける重要性を知らないんだ」と彼女を庇うだろう。

 エイヴィーは自分の寝室で泣いている。泣き声は部屋を覗くか、【聞き耳】で聞ける。朝にエイヴィーを慰めたか、或いは彼女と親愛が高いと思われる探索者に限り、彼女の懺悔が聞ける。それ以外は部屋に入った瞬間、霧に包まれたような幻覚に襲われ、気付けば屋敷の外にいたという異常現象に見舞われ【正気度 1/1D4】を行う。これは部屋に行った場合に何度も起こる。
 エイヴィーは泣き噦りながら「ごめんなさい! ごめんなさい!」と謝罪し、自身がグリス神父から脅されていた事実を教えてくれるだろう。

 夜は深まり、日を跨ぐ。エンポリオとエイヴィーが寝静まる頃にウォーランは探索者らを誘い、町外れの墓地に行く。何故か彼は上機嫌だ。


・「種明かし」
 ウォーランは探索者に墓を掘り返す事を命じる。掘り返し、棺桶を取り出すと中から蓋が叩かれた。急いでこじ開けると、処刑されたであろう探索者が仮死状態から目覚めていた。ウォーランは「恐らく、埋められた後すぐに目覚めたでしょうね。すまない、すぐに行けなくてな。さて、驚いている皆様、彼には仮死薬を飲ませていたのですよ……どんな成分かは、聞かないで欲しい。だから絞首刑を免れたのです。しかし、この人は屋敷に戻るべきではない、すぐそこの廃屋に身を隠しなさい。そして棺桶はまた埋めておきましょう」と言い、目覚めた探索者を廃屋に隠し、残りはまた屋敷に戻る。

 その途中、ウォーランは「屋敷に戻った時に確認して欲しいが……屋敷の時計には日付も共に指し示される高い時計だったが、さっき見た時は『4月30日』となっていた。来た時はきちんと、4月28日だったのに! 君、4月30日は何か分かりますか? そう、『ヴァルプルギスの夜』です。今日の夜は、このヴァルプルギスの夜が起こる事を肝に免じておきましょう……!」
 生贄が揃ったと思い込んだグリス神父は儀式の準備を始めた結果、ヨグ=ソトースの影響で、町の時間が1日飛んだのだ。この瞬間、この神性の化身が町に降りた。

《4月30日土曜日、叛逆》

 探索者は夜に始まるであろう、ヴァルプルギスの夜に対する漠然とした脅威に対し、備えなければならない。昼にセイレムを出てアーカムに戻り、銃器の準備や警察の応援を頼む事が可能だ。しかし警察にセイレムの事を言っても「そんな町はない、頭おかしいんじゃないのか」と言われ、相手にされないだろう。
 しかし【幸運】に成功した時、ある1人の年老いた警視正が探索者らの話を聞いてくれる。この警視正は、あの『クトゥルフの呼び声』で冒涜的なカルティストの儀式を暴いた、現在59歳の『ジョン・レイモンド・ルグラース警部』だ。幸運にも、アーカムに出張に来ていたのだ。彼は19年前の一件からカルティストの犯行を重く見ており、人喰い町・Sの話と行方不明者の事実を認めた上で、カルト犯罪の可能性を見出し3人の警官を向かわせる事を命じるだろう。
 また、町の外に行ける為、ない事を祈るが、全探索者がシナリオから脱出する事も可能だ。その場合エンディングは『END事勿れ』となる。

 アーカムから再びセイレムに戻る頃には、夕方に差し掛かる。アーカム内で時間を確かめると、4月30日と1日吹っ飛んでいる事が事実と分かる。


『皆の様子』
 探索者は神父の目的を知りたがるだろう。地下の死体たち、何度も行う処刑からして、生贄を捧げている事は明白だ。探索者は神父の正体を探る為に再び教会に行くか、幽霊屋敷に忍び込むかをしなければならない。或いはエイヴィーの様子、エンポリオの様子を伺い、或いは神父の動向に目を光らせなければならないだろう。


・「エイヴィー」
 屋敷の前でぼんやり佇む、エイヴィーに気付ける。エイヴィーを見れば、静かに涙を流していた。話を聞くならば「今日は7歳の誕生日だからって、神父さんがプレゼントにって言ったの。私の『本当』のお父さんは、別の場所にいるって……じゃあ、私のお父さんは誰なの?」と混乱している様を見れる。
 この後、グリス神父は彼女の目の前でエンポリオを殺し、未練の剥離と共に新世界への憧れと同意を求め、讒誣によって生贄の魂と共にヨグ=ソトースを呼び起こすつもりだ。探索者がエイヴィーを町から連れ出そうとしても、彼女は泣き喚いて拒否し、「この町以外、私の場所はないの! みんな私を『魔女』扱いするの!」と訴える。【信用】に成功すると、「昔から、抱いた猫が死んじゃうの。林檎が腐っちゃうの。前の町は、みんなが私を魔女って嫌うの。でも、お父さんがそこから私を助けてくれた。この町しかないの!」と心中を曝け出す。この話から、彼女は普通の少女ではない事が確信となる。
 彼女とは一緒に行動しても良いが、ある時にエイヴィーの特殊能力によって逸れてしまい、神父の所に行ってしまうだろう。また、「今日は7歳の誕生日」と言う台詞に【アイディア】に成功すると、彼女は飛んだ時間を認知している事に気が付けるだろう。


・「エンポリオ」
 エンポリオは朝から姿が見えない。しかし昼になると、町を散策している様を【幸運】で見れる。話しかけると、「……足りないな」とだけ呟く。どれだけ話しかけてもそれしか答えない上、少し目を離した隙に消えてしまう。驚きから【正気度 0/1D4】を行うこと。
 今のエンポリオには、ヨグ=ソトースの化身が入り込んでいるのだ。そして神父の儀式の完成を待ちわびている。


・「ウォーラン」
 ここまで探索者を助け、窮地さえ救った彼だが、良く考えてみればその正体が分からない。探索者が彼に突っ込んだ話をしようとすると、「私の事より、今は今に集中しましょう」と話す。しかし【説得】か【信用】に成功すると彼は観念したように続ける。
「私はハーリー・ウォーランではない。彼は随分前にいなくなった。私は彼の名を、親愛から借りているに過ぎない……それしか言わない、騙して悪かった。しかし信じて欲しい、名はまだ言えないが、私は君たちの味方だ」


・「グリス神父」
 話しかけた時、彼はエイヴィーについて話してくれる。「まだこの町にいたのか。霧は晴れたぞ、帰りなさい。あの霧は何だと思う? 例えば、この町が好きであとの全部を嫌う少女の思念だとしたら?」

 彼の様子は、遠い位置から【追跡】する事で動向を掴める。教会で祈ったり、町民と挨拶したりは変わらないが、あの石の塔に登り何かを唱えるだろう。【聞き耳】に成功すると、「いあ、いあ……んぐああ、んんがい、がい……」と聞きなれない呪文を唱えていると分かる。それから追跡はするが、ある一点で見失ってしまうだろう。



『教会、再度』
 グリス神父がいないタイミングで教会を再度調べると、2階の部屋に行けるようになる。2階には十字架が幾つかあり、彼の経歴書が飾ってある。


「グリス・ゲットマン。1905年、ミスカトニック大学言語学科過程、卒業」


 ここから彼は聖職者ではなく、更にあのミスカトニック大学を卒業している事も知れるだろう。更にはエイヴィーの養子縁組に関した書類も見つかる。


「エイヴィー・フリックス氏とグリス・ゲットマン氏の養子縁組を認証する。
1926年5月15日、マサチューセッツ州セイラム孤児院」


 エイヴィーの父はエンポリオではなく、そして何故か養子縁組の認証はグリス神父の名で通されている。既に死者であるエンポリオを父親にして司法に食い込むのは危険だと判断し、グリス本人が戸籍上の養父となったのだ。


・「幽霊屋敷、再度」
 ウォーラン同行の元、前の時と同様の手口でも忍び込める。あの一件の後なのに全く対策されていない事に疑問を持ちつつ書庫に入ると、あの数多の本は消え去り、テーブルの上に置かれた手紙のみ。


「偉大なる主は、娘を求めている。神の子を天へ送らねばならない。それが私の役目なり。さぁ、暴いてみせよ、探索者(サーチャー)たちよ。


 謂わばこれは、探索者への挑戦状だ。探索者は彼がエイヴィーを生贄に捧げるのではと考え、屋敷へ引き返すだろうが、例え他の探索者がいたとしてもエイヴィーの姿は消えてしまっている。神父が連れ去り、隠れたのだ。ウォーランは悔しがりながら、「行くぞ、サーチャーたち。この町の目(Sight)になってやろう」と叫ぶ。


・「適当にブラブラ」
 適当に町を歩いていると、【アイディア】に成功で町の人が異様に少ない事に気付きだし、少し進めば全くいなくなってしまい不安になる。少し経てば家畜がざわつき始め、馬が興奮し出し暴れて路上を暴走する。
 町の異変に気付いた所で【聞き耳】に成功すると、何かを潰すような音を聞く。その音が鳴る家を覗くと、ゾンビとしての正体を表した数体の町民が、家畜を貪り食っている様子を見てしまい、【正気度 1/1D4】を行う。その後【忍び歩き】か【幸運】で場を離れなければならないが、見つかってしまえば【隠れる】か【DEX対抗ロール】で逃げなければならない。


・「廃屋で」
 町外れの廃屋で隠れ潜む探索者だが、ふと外を見れば、自分が埋められていた箇所を掘り返す一団が目に入る。6人程度の町民と、その中にはグリス神父と彼に付き従うエイヴィーが確認出来る。【聞き耳】に成功で、棺桶を掘り返しながら「最後の13人目の魂を捧げよう。あぁ、これで神は降臨する」と恍惚の表情で語る。俯くエイヴィーに対し彼は「君の、父親に会えるよ」と呟く。
 エイヴィーとグリス神父は作業中に何処かに消えるが、残りは棺桶を黙々と掘り返す。取り出した棺桶を放置し、全員が一度報告のために離れるが、探索者はこの隙にまた棺桶に入り込める。ここに入っていれば、最終局面で不意打ちが可能だ。



『ヴァルプルギスの夜』
 時刻は夜を迎え、再び町には霧が立ち込める。町に行った探索者は、警官を連れて来たのなら彼らと共に町に戻り、他の探索者と合流出来る。
 町は不気味なほどに静まり返り、家畜は全て食い殺され鳴き声も消えた。霧の中で【目星】に成功すると、その食い散らかされた家畜を見てしまい、【正気度 0/1D4】を行う。

 神父は教会におらず、必然的に塔にいると考える。しかし広場まで来た時、明かり一つなかった町中に火が灯り、更には松明を持った多数のゾンビが家から飛び出し、探索者らに襲い掛かる。探索者らはゾンビを撃ちつつ後退し、教会に逃げ込まなければならない。教会に入れば扉を塞ぎ、脱出経路を探さねばならないが、教会の大聖堂の天井を見れば、あの12人の死体が吊るされていた。ゾンビに追われ、その光景を見た探索者は【正気度 1/1D6】を行う。

 吊るされた死体はいきなり崩れ出し、その粉塵は風もないのに天窓から外へ抜け、石の塔の方へ流れて行く。閉じ込められた魂が、捧げられ始めたのだ。探索者はゾンビに囲まれた教会より脱出し、グリス神父が召喚を行わんとする石の塔まで行かなければならない。またゾンビはその間も入り込もうとしており、ゾンビ3体との【STR対抗ロール】で皆が協力して扉を押さえなければならない。失敗の場合はゾンビが入り込み、戦闘となる。戦闘の場合、ゾンビ5体ずつの三連戦と言う事にして15体を表現すれば良い。
 以下の方法が提案される。


・教会から石の塔まで30メートルだ。2階の窓から覗けば、ゾンビはあまり多くはなく、15体程度と推測。群れの背後に積み上げられた枯れ草を発見、それに飛び込み、クッションとして使えばゾンビたちを飛び越え、石の塔まで全力疾走出来る。【跳躍】に成功した上で、【幸運】成功で無傷で降りられる。失敗の場合は【1D6】のダメージを負う。その後はゾンビらとの【DEX対抗ロール】に成功で石の塔に辿り着ける。また、【目星】に成功で生き残りの馬を発見し、【乗馬】に成功で対抗ロール無しで引き離せられる。
 跳躍か対抗ロールに失敗の場合、ゾンビらの群れに囲まれてしまい、まずは【1D6】のダメージを受け、抵抗するか【STR対抗ロール】に成功しない限りはゾンビ5体との戦闘が続く。


・ゾンビの群れを陽動しなくてはならない。教会内には松明があり、教会自体に火を放ち、ゾンビが火に怯んでいる隙に強行突破する。しかし燃え広がるまで待たなければならず、【1D6ラウンド】はゾンビが入り込もうとする扉を押さえておかなければならない。教会内を突っ切り、扉や窓から脱出せねばならず、【DEX×3】でダメージを負わずに脱出出来る。
 失敗の場合、何の対策も無しならばその際に【1D4】ダメージを2回負う。また酸素が薄く、有毒ガスの発生もある。【水泳】に失敗で【CON×10】を行い、それにも失敗したならば【1D6】ダメージを受ける。脱出後、火に怯むゾンビを攻撃し、【DEX×3】で一気に引き離せる。失敗の場合は【DEX対抗ロール】でゾンビに打ち勝たねばならない。【目星】に成功で馬を発見、【乗馬】で引き離せる事も可能だ。


・幽霊屋敷でガトリング砲の有無を知っている探索者は、懺悔室を【STR×2】で剥がし、壊れたガトリング砲を発見出来る。しかも100発の弾が入った状態の『1882型ガトリングガン』だ。【機械修理】で【1D6ラウンド】の後に修理完了出来る。使用可能になったのならば台座を押して準備し、ガトリング砲の圧倒的火力でゾンビらを一掃可能だ。それでもゾンビ側が【回避】に成功の場合は懐にまで侵攻するかもしれないが、それは砲手以外の探索者が処理するべきだ。
 ゾンビ一掃完了後は修理不可の所までまた故障してしまい、最終局面には持って行けないだろう。


・地下室に隠し通路を疑うのならば、地下にて【目星】に成功で隙間風が通る壁を見つける。開ける方法だが、稼働させるには仕掛けを解かなければならない。通路を塞ぐ壁には十字架型の窪みがあり、探索者は教会2階の神父の部屋から十字架を持って来なければならない。その間もゾンビの侵攻を食い止めなければならないだろう。
 仕掛けを解いたのなら、秘密通路に入れる。秘密通路からは石の塔近くの井戸まで続き、ゾンビに気付かれる事なく到着出来る。


 以上が提案される脱出方法だが、それ以外でもPLが画期的な提案をした場合、受け入れるべきだろう。



『最期の生贄』
 イベント「廃屋で」で再び棺桶に入った探索者に起こる。棺桶越しに神父は「13人目の生贄は、絞首刑。完璧だ、今に天に召され、鍵を迎える鍵穴となるだろう。そして供物は君だ、エイヴィー、恐れるな。君の父親の命との等価交換だ。父親を助けたければ、私の言う事に従いたまえ」と話す。彼はそうと言うが、彼女の前でエンポリオがゾンビであるとバラし、この世界との未練を断つ事が目的なのだ。
 すぐにエンポリオが石の塔に到着し、「エイヴィーに何をするつもりだ」と叫ぶ彼の声を聞く事が出来る。その後にグリス神父は「本当に良く作り過ぎた。ここまで来るとは思わなかった。そしてここまで父親になれるとも。最悪で最高傑作だ。しかし用済みだ。エイヴィー、やはり約束は破る、この男を殺す」と言い、2発の銃声と呻き声が聞こえる。実はこの時、エンポリオがグリス神父の両足を撃ったのだ。

 探索者がどのタイミングで棺桶を破り、姿を現わすかは自由だ。結局、驚いて隙を見せた彼をエンポリオが撃つのだから。
 探索者は紋章の中心に座らされるエイヴィーと、隣に佇むエンポリオを見るが、【アイディア】に成功でエンポリオの様子が普段と全く違う事に気が付ける。今の彼には、タウィル・アト=ウムルが操っているのだ。



『名前を呼んではいけない方』
 ここからは探索者らを集結させても良いし、まだ棺桶にいた探索者1人に応対させても良しだ。タウィル・アト=ウムルでもあるエンポリオは、両足を撃たれただけのグリス神父に向かい、「13人目はまだ揃っていない。夢を超えるに値しない小人が、娘を持ち上げる為の鍵にされたと気付かないとは。貴様は単なる保険だった、13人も集められない愚者め。アフォーゴモンによって全てを抹消されないだけ有り難いと思え。では、貴様の進行通りに、絞首刑に処す」と告げ、間髪いれずに魔法によってグリス神父の首を絞める。【目星】に成功すれば、何も無いのに彼の首には縄の痕が浮かび上がっており、【正気度 0/1D4】を行う。

 探索者が止めようとしても、エンポリオは塔の下に隠していたゾンビ3体を差し向け、足止めさせる。グリス神父は生き絶えると、身体が崩れて煤塵と化し、空に舞い上がる。舞い上がったそれは12の生贄たちの灰と混ざり合って広がり、硬質化したと思えば夜空に門が浮かぶ。探索者はその光景に【正気度 1/1D6】を行う。



『神が降りるか』
 このタイミングでは、探索者らとウォーラン等全ての人物を集結させよう。空の門を見た場合、【正気度 1/1D6】を行う。エンポリオは「こいつめ、最後の最後に私を崩そうしたか。まともに戦えん。貴様ら、私は娘を迎えに来ただけだ、大人しくしていろ」と呟く。呆然とするエイヴィーに対し優しく、「私は本当の父親だよ。さぁ、私の元へおいで。こんな世界なんかより、素晴らしく美しい世界だ」と言う。

 直後、エイヴィーが倒れて苦しみ出した。グリス神父と同じように魔法で絞首刑を行い、肉体と魂とを剥がそうとしているのだ。探索者は【目星】に成功すると彼女が笑っているように見え、【聞き耳】に成功すると呻き声混じりに「お、お父さんの、所に……行き、たい」と告げている事が分かる。【心理学】に成功なら、彼女はこの処刑を受け入れている事が知れる。魔法を初めて見た探索者なら、【正気度 0/1D4】を行う。

 ウォーランはこの光景を見て、「いけない! 来るぞ!『全にして一、一にして全なる者』! あの子を死なせてはならない! 我々もただでは済まないし、この世界が恐ろしい事になるだろう!」と叫ぶ。彼の発言に【オカルト】で成功したならば、実しやかに噂される時の番人『ヨグ=ソトース』の名を思い出すだろう。
 エンポリオは邪魔をする探索者らに、神父から支配権が移ったゾンビ7体が探索者に襲い掛かる。最低4人がゾンビの相手を行い、他の探索者はエンポリオとの勝負になる。

《最終決戦》

 エイヴィーは1ラウンドずつ耐久力を低下させ、5ラウンドの後に死亡する。死亡したとしても、3ラウンド以内ならば彼女に対し【医学】を行って蘇生させる事が可能だ。
 だがエンポリオはそれを阻止するだろう。強化ゾンビ2体を差し向け、自身も戦闘に参加する。タウィル・アト=ウムルが移ったエンポリオは物理攻撃を行わない、後方から魔法攻撃を行う。彼の今の身体とても脆く、一撃食らえば即座に崩れてしまうのだ。証拠に【目星】に成功で、彼の身体から青白い灰が風と共に舞い、崩れている様子に気付ける。
 それを2体の強化ゾンビが阻止するが、双方の内1体を駆除したのならエンポリオへの攻撃チャンスが発生する。エンポリオの回避が失敗した上で、一度に6ダメージ以上が入ったのならば、塩の身体は崩れて彼を倒せる。

 また、エイヴィーが死んだとしも、彼女と親和性が高い探索者がいる場合は、その探索者の存在が未練となり彼女に死が訪れる時間が伸び、5ラウンドの猶予が与えられる。その際エンポリオは「娘にまだ、この世界への未練があるのか? 成る程、貴様らの誰かの存在か。ならばその魂も添えてやる」と告げ、ゾンビを【1D10】回復させて攻撃を激化させるだろう。



『エイヴィーが死んだ』
 エイヴィーが完全に死んだとしても、バッドエンドにはならない。門が開き切るまでにエンポリオを倒せば良いのだ。門は4ラウンドで開き、そこからヨグ=ソトース本体が娘を迎えに来るのだ。エイヴィーの死を悟った探索者は、【正気度 1D4/1D10】を行う。
 エンポリオは最後の凌ぎとばかりにゾンビらを回復、或いは復活させ、攻撃する。これを越えて何とか倒せば、ノーマルエンドだ。



『エンドロール』
 エンドロールは3種類用意しており、その後の展開が3つ用意してある。


・「バッドエンド」
 門が開き、ヨグ=ソトースと邂逅する。彼が現れた途端、探索者らの持つ時計が高速で進み出し、身体も老化し始めて腐り出した。呼応するかのように石の塔も劣化で崩れ、探索者らとエイヴィーの死体やゾンビを巻き込んで消えた。
 最後、探索者に対してウォーランの声が聞こえた。「私の探し物は、ここには無かった。諦めよう、私の夢も、私たちの世界も……」


・「ノーマルエンド」
 エイヴィーは死んだが、門が開く前にエンポリオを倒した場合のエンド。
 門は消失し、彼方より尊大な声が響く。「迎えには来れなかったが、魂はこっちに来た。免じて貴様らを赦してやる」
 ゾンビは青白い塩と化していなくなり、その場には微笑んだまま息絶えたエイヴィーの死体だけだ。ウォーランは告げる。「彼女は愛情を欲していた。本当の愛はあっちにあるのかもしれないと思っておらんよな……人間の魂があちらで迎える結末は『無』だ。彼女は愛情を欲したまま死んだ……あれ?」
 ウォーランは探索者らの表情を見て、驚く。探索者らの記憶には、この町での出来事が欠落しており、自分らの立たされている場所に驚いていたのだ。ヨグ=ソトースは夢見る力を持つウォーラン以外の者の記憶を抹消したのだ。
 ウォーランは質問する探索者に対し、「いや、忘れた方が良い。これは全て、夢だった」と微笑む。エイヴィーの死体は融解し、ただの染みとなっていた。
 探索者はこの町での出来事を忘却した為、受けた正気度の減少を無かった事にする。


・「トゥルーエンド」
 エイヴィーが死なずに済み、ヨグ=ソトースの来訪を阻止した場合。
 彼方からの声は「ならば娘が死ぬまで待ってやろう。人間の寿命は刹那だ、それまでにその子が、この世界を愛していたのならば、私は諦めよう」と告げてから門と共に消える。
 エイヴィーは気絶し、ウォーランに抱かれて運ばれる。ウォーランは「あの者に魂が行けば、それは『無』だった。この子は人間として、育てるべきだろう。人間としての愛を与え、人間としての生涯を全うさせるべきだ。私にその任は厳しいが、愛を与えてくれる人を探してやろう。さぁ、帰ろうではないか」
 夜はまだまだ続くが、町を包む月光は明るい。探索者は【2D6】の正気度を手に入れる。また、ウォーランの用心棒をした探索者へは後日、5万ドルの小切手が送られる。



『後日談』
・「事勿れ」
 探索者が最終決戦前に、町から逃げてシナリオを終えた場合。
 30日の朝を迎えた探索者は、やけに身体が疲れている事に気が付く。そして身体中が痛く、遅鈍としている。鏡で自分の顔を見ると、なんと探索者は40年先も老いていたのだ。探索者だけではない、近所の住民も、マサチューセッツ州もアメリカ全土の国民が歳をとった。ヨグ=ソトース襲来の影響は、世界の時間を遥か先まで早めてしまったのだ。
 探索者は【正気度 1D10/1D100】を行い、更にはPCの年齢を+40まで引き上げ、それに乗じて様々な技能値やステータスが変化する。


・「ノーマルエンド後」
 世界の何処からも、『人喰い町・S』の噂が忘れられ、エイヴィーやグリス神父、果てはゾンビと化してしまった死体の事も忘れられてしまった。
 あの町での出来事を忘れ、普段通りの生活に戻ってから1年が経過した、1928年10月7日。あの謎の紳士、ウォーランが探索者1人の前に現れる。用心棒として雇った探索者に対してなら彼は「渡しそびれた」と言って500ドルを渡す。
 そして彼はこう言う。「これは鬘で、これは付け髭だ。初めまして、私は『ランドルフ・カーター』と申し上げます。貴方の記憶にはないでしょうが、貴方は私に大いに助けを下さった方で、謝礼を。何故、今頃になったかは、私の中で整理をする時間が欲しかった事と……探し物が見つかった事です。私はまた旅に出ます、もしかしたら彼と彼女にも会えるかと……まぁ、彼女には無理ですか」
 ウォーランもとい、ランドルフは一礼し、探索者から去る。その後、このランドルフ・カーターが行方不明となって記事が出た。


・「トゥルーエンド後」
 セイレムでの悪夢のような3日間から、1年後の1928年10月7日、ウォーランが探索者の前に現れる。鬘と付け髭がない為、一瞬誰だか分からないだろう。
「エイヴィーは健やかに育っていますよ。彼女はあの、神の子どもでした。あれだけ人間の身体と精神を保っていられるとは、私としても興味深い所です。しかし、私は行かねばならない。探し物を見つけたのですよ。貴方には忠告に来ました、株を買っているのなら即刻売りなさい。そしてお金を蓄えておきなさい。あの神が少しでも現れたのです、何かしら世界を揺るがす混沌が起こるハズだ……では、これで」と告げて出て行く。後日、『ランドルフ・カーター』と言う資産家が行方不明となり、彼の写真を見た探索者は驚くだろう、あのハーリー・ウォーランと名乗っていた人物がそうなのだ。

 その1年後、1929年10月24日、ランドルフの言う通り株式市場が大暴落を起こし、『世界恐慌』が発生。ここから世界は混沌に向かって進んで行く事となるが、それは別の話だ。

【NPC】

ハーリー・ウォーラン(54)、夢見人で探し人
STR.15 CON.17 SIZ.15 INT.18
POW.19 DEX.14 APP.15 EDU.21
正気度:50 耐久力:16
db:+1D4
武器:45口径リボルバー、60% ダメージ1D10+2
技能:考古学、14% 信用、60% クトゥルフ神話、10% 図書館、55% 心理学、70% ナビゲート、65% 説得、55% 猫と話す、35%


グリス・ゲットマン(48)、異界を夢見る狂信者
STR.12 CON.14 SIZ.15 INT.19
POW.20 DEX.12 APP.13 EDU.16
耐久力:14
db:+1D4
武器:ステッキ、50% ダメージ、1D6
38口径リボルバー、50% ダメージ、1D10
技能:クトゥルフ神話、35% 隠れる、50% 目星、40% 心理学、65%
呪文:ヨグ=ソトースの将来、治癒、動物を魅了する、復活、支配


ビクター・エンポリオ(43)、父性的な屍人
STR.11 CON.10 SIZ.14 INT.14
POW.13 DEX.13 APP.14 EDU.15
正気度:45 耐久力:14
db:+1D4
武器:警棒、50% ダメージ・1D6
技能:言いくるめ、65% 目星、40% 隠れる、50% 人類学、50% 図書館、58%


エイヴィー・フリックス(6)、神の子ども
STR.7 CON.10 SIZ.8 INT.13
POW.16 DEX.14 APP.15 EDU.7
正気度:60 耐久力:10
技能:忍び歩き、65% ラテン語、10% 聞き耳、60% 異常現象を起こす、80%


パンジー、母性的なゾンビ
STR.16 CON.15 SIZ.12
DEX.12 APP.14
耐久力:16
db:+1D4
武器:噛み付き、50% ダメージ・1D3
引っ掻く、55% ダメージ・1D4
技能:回避、40%
装甲:貫通武器は1ダメージ、その他全ての武器は半分のダメージ


町民たち
     A  B   C   D   E
STR.  13  12  14  12  14
CON. 11  10  10  13  14
SIZ.  13  12  12  15  12
INT. 10   14  13  12  11
POW. 10  13  11  10   10
DEX. 14   12  12  13  11
耐久力: 13   14  14  16   12
db: +1D4 +0 +1D4 +1D4   +1D4
武器:こぶし、65% ダメージ・1D3
キック、50% ダメージ・1D4
棍棒、60% ダメージ・1D6
技能:回避、35% 忍び歩き、50%


子どもたちのゾンビ
     A  B  C
STR   10  12  14
CON   13  12  13
SIZ    10  9  6
POW   11  14  13
DEX   8  13  15
耐久力:  13  13  12
db:    +0 +0 +0
武器:噛み付き60・ダメージ1d3
装甲:貫通武器は1ダメージ、その他全ての武器は半分のダメージ


餓えた犬
    A  B
STR  13  14
CON  9  10
SIZ  13  15
POW  13  12
DEX  14  15
db  +1D4 +1D4
武器:噛みつき、40% ダメージ・1D8


ゾンビ群 A
     1  2  3  4  5
STR   15  12  18  13  12
CON   12 16  15  11  13
SIZ    11  13  11  15  14
DEX    10  13  8   14  16
耐久力:  12  15  13  13  14
db:   +1d4 +1d4 +1d4 +1d4 +1d4
武器:噛み付き、30% ダメージ・1D6
松明、50% ダメージ・1D8+火
装甲:貫通武器は1ダメージ、その他全ての武器は半分のダメージ


ゾンビ群 B
    1   2  3   4  5
STR  11  14  16  13  17
CON  15  10  12  12  14
SIZ  14  12  12  16  17
DEX  13  17  11  16  10
db +1d4 +1d4 +1d4 +1d4 +1d6
武器:噛み付き、40% ダメージ・1D6
松明、60% ダメージ・1D8+火
装甲:貫通武器は1ダメージ、その他全ての武器は半分のダメージ


警官
   A   B   C
STR. 13  10   12
CON. 12  16   12
SIZ. 13  14   10
POW.13  12   14
DEX. 10  13   14
耐久力:13 14   12
db: +1D4 +1D4  +0
技能:回避、40% 目星、50% 聞き耳、70% 信用、70%
武器:こぶし、60% ダメージ・1D3
棍棒、55% ダメージ・1D6
32口径リボルバー、40% ダメージ・1D8


強化ゾンビ
    A  B
STR. 13   15
CON. 10   16
SIZ. 18    16
DEX. 15   12
耐久力: 20   20
db: +1D6 +1D6
武器:噛み付き、45% ダメージ・1D10
キック、40% ダメージ・1D6
技能:回避、35%


タウィル・アト=ウムル
CON.200 SIZ.14 INT.40
POW.100 DEX.13 APP.14
耐久力:15
呪文:復活、治癒、支配、被害をそらす、ヨグ=ソトースのこぶし、精神力吸引、記憶を曇らせる、萎縮、破壊

1c5ace08 a1d7 417d b269 afb9bc755ce8

 クトゥルフTRPGが大の好き好きであります、映画みたいなCoCシナリオを書くの好きな人。監督と呼ばれたい。  こちらにあるシナリオは全て、旧CoC6版を遵守しております。7版対応に関しては、このサイトでは視野に入れておりませんので、留意願います。  色々は、URL辿ってTwitterより。

https://twitter.com/ergotBear

Post Comment

ログインするとコメントできます。