【作成コンセプト】探索者にとっては、どうあがいても絶望。探索者がNPCを犠牲にしてでも、黄泉がえりを行う道が正しいと思うのか、です。(どうあがいても絶望という程には、激しい悲劇はありません。マイルドに怪物落ちか死亡)
【内容】目覚めると廃村で倒れていた探索者たち。どうしてそこにいるのかわかりませんが、村の入り口と言われる門は閉ざされ、探索者たちは閉じ込められてしまいます。探索する内に答えを導き出すが、その結末はあまりにも残酷なものだった。
【使用環境】新クトゥルフTRPG対応。体力よりも、正気度削り系、それよりPOW削り系。キーパーもNPCでロールプレイ必須。
このシナリオは、死後の世界の話になります。
出て来る敵も神話生物というより霊的です。
死亡してキャラロストした探索者か、使い回しを行えなくても構わない前提で死者探索者を作成することをおすすめします。
なお、このシナリオは救済シナリオではありません。キャラロストした探索者を復活させるなどは出来ません。
タグでも書いてあるように、どうあがいても絶望です。
このシナリオで最終的に黄泉がえりを選んだとしても、人間として黄泉がえりすることは出来ず、神話生物(怪異)となってしまいます。
また、この黄泉がえりを行うためとしてNPCを探索者の意思で殺す選択を迫られることがあります。
そういう残酷な選択肢が迫られる展開が大丈夫な人たちでのみお楽しみくださると良いかと思います。
※今回のシナリオは、ルールブックに書かれていることから参照している部分があるので、クイックスタートルールなどでは行えないと思います。
書いていない部分などは、キーパーの判断などで変更しても構いません。
こうしなければいけないという訳ではなく、このシナリオを参考に自由にTRPGを楽しんで頂けるのが一番です。
同じ理由で、「ここわからないんですが」という部分がある場合は、キーパーなりに好きな理由つけを行ってください。
一応、参考技能はルールブックの基本的なキャラシートに書いてある範囲でしか書いていないので、ルールブックやサプリでの追加技能、プレイヤーによる創作技能で近い技能がある場合は、キーパーの判断によって使用可能にして構いません。
そこは常世(死者の国)と現世(生者の国)の間で、遥か昔に常世へといざなわれてしまった平安時代にあった村が舞台です。
ただし、そこにいざなわれた人々は全員死んでしまったようで、死体となって周囲にいくつか転がっています。
探索者からすれば、よくわからないので遥か昔に人が住まなくなって荒れ果てたような日本の廃村に見えます。
平安時代なので、現代でならあってしかるべき電化製品や車、道路が舗装されているなどの文明の利器らしきものはありません。
探索者たちがその場に来たのは、死亡して常夜に行くところを「ニャルラトテップ」が救い上げ、娯楽と好奇心として「自分のために他者を犠牲にしなければいけないとしたら、この魂たちはどうするのか」を試そうとしています。
陰陽師の安倍は、平安時代から常世へといざなわれてしまった村の調査として迷い込んだ人物です。
「ニャルラトテップ」はそれも面白いかと、安倍も閉じ込め放置しています。
もう一人のNPCの斎は、生贄として「ニャルラトテップ」に生きたまま連れてこられた探索者です。
村人が狂う中、盲目の巫女を殺した村人は、墓に名前が書かれた「松尾」「藤宮」「椿崎」「立花」「葛木」の五家で、この五人は盲目の巫女の血を取り込んだ多少神通力がある家の者だったから、なんとか狂うのを抑制していました。
遥か昔に残酷なる邪神「ニャルラトテップ」のきまぐれによって、村ごと常世と現世の間へといざなわれてしまった村がありました。
村と共にいざなわれてきた人々は、常世と現世の間と言う混沌の空気にすぐに発狂し死んでいきました。
生き残った数人の村人たちが縋るような思いで導き出した答えが、数十年前で途絶えた忌まわしい習わし「盲目の巫女」を生贄として捧げることでした。
助かりたいと色々と走り回る村人に「ニャルラトテップ」は面白くなり、本当にそうすれば門が開くようにしてあげました。
自分達が正しいと思い込んでいる村人たちは、彼女を生贄にすることを決定し実行してしまいます。
しかし、常世と現世の間にいざなわれただけだと思われた村人たちはすでに死に人ならざる存在へと変貌しており、現世に帰っても「怪異」や「神話生物」となってしまうのでした。
※このシナリオは、この村人たちの考えを模倣するヒントで探索者たちに行動してもらうことになります。
「ニャルラトテップ」が斎を贄として用意したのは、村人たちの考えに従い「盲目の巫女」を捧げることをキーワードとしたためです。
南:閉ざされた赤い門があります。この門は村の周辺を囲うように3m程の柵と繋がっており、この柵を避けて村を抜ける方法は門しかありません。
西:山道があり、その頂上に墓があり、その中に「勾玉」が入っている社があります。
東:大きな池があり、その真ん中に「鏡」が入っている社があります。
中央:廃墟となった日本家屋がいくつかあります。その片隅に「剣」が入っている社があります。
北:最奥に鳥居があり、本殿だけの神社があります。神社に入るためには、狛犬に「三つの宝」を持っていくことで入ることができます。
※このシナリオにおいて、NPCは特殊技能「見鬼(霊を見る能力)」「霊符(陰陽師が使用する魔法のような物)」「芸術および製作:霊符」「除霊」を持っています。
静以外は場合によって同行者とすることできるため、ステータスを振ってあります。
NPCについては、役割を変えなければ、性別や口調などはキーパーの好みで変更しても構いません。
キーパーにNPCを演じる上で意識して欲しいことは、祥子(または安倍)と探索者が仲良くなることです。最後に殺すのは惜しいと迷わせられれば勝ちです。
軍荼利明王の梵字(読み方:ウン 効果:外敵から身を護ってくれる)が書かれた黒い目隠しの布を目に巻き付けられている高校生ぐらいの少女。
他のプレイヤーの探索者たちと同じような時代から来たと思われる服装をしている。
もともと盲目。
このPCだけが、生者のまま連れてこられている。
目隠しの布が、常世と現世の間にいる間も生者であり続けられる効果を生んでいる。
↑この目隠しを剥がす方法はシナリオ中にありませんが、キーパーの判断で剥がした場合、この布を剥がしてしまうとすぐに発狂したり、死者扱いになってしまいます。
ケンという盲導犬を飼っている。
年齢と性別にあった口調。
(目隠しの梵字)
STR 40 CON 35 SIZ 55 INT 55 POW 55 DEX 40 APP 65 EDU 65 幸運 35
正気度 55 耐久力 9 ダメージ・ボーナス 0 ビルド 0 移動 7
技能:回避 20%、隠密 50%、聞き耳 70%、母国語(日本語) 65%、見鬼 50%、説得(除霊、祈り) 40%
戦闘補足:戦えません。もし、確定戦闘に巻き込まれた場合、自行動ターンで「隠密」を成功させることで戦線離脱する(攻撃対象から外れる)ことができます。
ただし、幽霊との対戦中に<見鬼>を行うと死体や思いが残るものを探すことができ、それを使用して<説得(除霊)>することでその地固定の幽霊を除霊させることができます。
白い狩衣を着た20代の美女。
総髪(ポニーテイル)で、鼈甲のかんざしを着けている。
間(はざま)にいざなわれた村の調査をしている陰陽師と名乗る人物。
陰陽師の安倍だが、女性であり、安倍晴明と言われても首を傾げるなど知らない様子。
鼈甲のかんざしのおかげで実はまだ常世の人間になっていない生者。
斎がシナリオ中に死亡した際に、目を潰せば盲目になる事に気付いて目を潰せれば、盲目の巫女として生贄に捧げることができる。
少し時代がかった男言葉。
STR 65 CON 40 SIZ 60 INT 70 POW 100 DEX 50 APP 90 EDU 75 幸運 50
正気度 70 耐久力 10 MP 20 ダメージ・ボーナス +1D4 ビルド 1 移動 8
技能:近接戦闘 (格闘) 50%、遠距離攻撃(霊符)80%、回避 25%、母国語(日本語) 75%、見鬼 80%、芸術および製作(霊符) 50%、精神分析(除霊)70%
持ち物:行灯、火打ち石、護神刀の小刀(ナイフ扱い。技能格闘で使用)、鼈甲のかんざし(魔除け)、筆、墨壺、紙×3(札を作成するための道具)、攻撃用霊符(霊符が空気のつぶてとなって飛ぶ)×3
戦闘補足:攻撃用霊符のダメージ2D6+4。消費MP2。攻撃用霊符を1枚消費。
使用を宣言したターンは呪文を唱えるのに消費し、次のターンで「遠距離攻撃(霊符)」を成功させることで発動する。失敗した場合も、MPと霊符1枚を消費する。
使用を宣言してから発動するまでの間に、攻撃を受けたり回避を行うと霊符攻撃がキャンセルされる。キャンセルの場合、霊符やMPは消費しない。(誰かが自らの手番の代わりに庇うを選び<DEX>に成功すれば、キャンセルされなくすることができる)
幽霊と対峙している時に、精神分析(除霊)を使用することで幽霊に直接攻撃が行え、2D10POWを削ることができる。その時に幽霊はPOWを使用して対抗することができる。(安倍は精神分析(除霊)、幽霊はPOWハードで判定。幽霊の回避が成功しても、安倍のPOW減少はありません)
戦闘中に札を書こうとすると、成功失敗に関係なく1ターン消費される。
技能特記:霊符は陰陽師にしか扱えない。
霊符は「攻撃用」「回復用(消費MP2、探索者のHP1回復)」「除霊用(消費HP2、行動1回の間霊的な者を寄せ付けない)」「探知用(消費HP1、蝶となった札が探索者が探している物の場所に案内してくれる)」と種類があり、芸術および製作(霊符)の判定と紙を1枚消費することで、任意の霊符を作成することができる。失敗しても、紙は1枚消費される。
どの霊符を製作するかは、探索者の補助やヒントとして使用するなどとしてキーパーが好きに作成すると良い。
遠距離攻撃(霊符)は戦闘時のみ使用となりますので、探索パートでは霊符を使用する判定は行わなくて良いです。
ちなみに、精神分析(除霊)としているのは、このシナリオでの正気度減少の狂気は霊障との判断で精神分析としてあります。
※サプリのコデックスなどに職業「陰陽師」はありますが、完全なる別物です。
巫女の装束を纏い、祥子と同じ目隠しを身に着けている髪の長い美女。
年齢的には20代程度。
ニャルラトテップが生贄となった「盲目の巫女」の姿を借りて、探索者の周りをフラフラしている。
口調は敬語。
※もし、どうしてもステータスが欲しい場合は、ニャルラトテップ人間のステータスを参考にして下さい。
三つの宝は、探索者でも幽霊に攻撃ができる武器です。
剣は、剣を振るので、<刀剣>。鏡は、幽霊を鏡に映すように動かすため、<手さばき>。勾玉は、勾玉を投げてぶつけるため、<投擲>。
で判定を行い、使用ができます。
1m程の石製の狛犬。
右が角がなく口を開けている「阿形(あぎょう)」、左が真ん中に一角があり口を閉じている「吽形(うんぎょう)」の二体が存在し、戦闘では同時に登場する。
ステータスは一体のステータスなので、同じステータスのものが二体登場するため、ほぼ倒すのは不可能。
この狛犬は邪悪なものを神社に近づけないようにする見張りであり、「神の証」を持ってこいと言う。
それは「墓」「池」「村」にある三つの宝のことで、それを持ってくれば戦うことなく通してくれる。
ステータスの特徴としては、石製のために装甲が厚い。
STR 90 CON 100 SIZ 45 POW 80 DEX 80
耐久力 20(装甲 4) ダメージ・ボーナス+1D4 ビルド +1 移動 10
戦闘技能:近接戦闘 50% 攻撃手段:牙、体当たり ダメージ:1D8+1D4
この空間で死んだ平安時代の平民の格好をした幽霊たち。
話しかけると怯えたように逃げたりする。
除霊効果のあるアイテムを使用するか、説得のハード(祥子の場合はレギュラー)に成功したりするか、POWを0にすることで一時的に退散させられる。
いろいろなところでイベントとして登場する。
INT 50 POW 50 移動 7(攻撃回数:1ターン1回)
正気度消失ポイント 0/1D3
戦闘技能:霊障(体調を悪くさせる、POW2D10減少)、憑依(探索者を操り自傷行為を行わせる、物理攻撃ダメージは対象探索者の攻撃力と同じ)、記憶同調(自分が死んだときの苦しみや痛みを追体験させる、正気度1D10減少)
幽霊が対抗ロールに勝利にすれば、上記の戦闘技能の1つの攻撃を探索者に与えられるとする。対抗ロールに敗北すれば、幽霊のPOW2D10減少。
※このシナリオの幽霊は強い力を持っているため、色々できるのです。
特記:除霊用霊符を使用された次のシーンには登場しなくなる。
実態がないので物理攻撃は受け付けないが、戦闘のターンで何かの技能で注意を引く等は可能。
安倍の精神分析(除霊)や三つの宝の攻撃を行うと、POWの残りに関係なく一発で退けることができるとする。(幽霊は除霊に弱い)
ニャルラトテップが装っている静の幽霊。
綺麗なニャルラトテップ静と違い、こちらは血に塗れ巫女服がボロボロに破れ、空中に浮いているおぞましい怨霊。
黒い目隠しの下から血の涙を流している。
基本的には、神社の中に居る。
このシナリオにおいてのラスボス。
POWを0にすることで行動不能にできる。
また、三つの宝の「剣」「鏡」「勾玉」を神社の中にある神棚に供えることでも、抑えることができる。その場合は、誰かが囮になり注意を引くか、<隠密><DEX>などで、幽霊の目をかいくぐり置きに行くことが必要。
<説得><言いくるめ><魅了>など説得技能のイクストリームに成功したりすると、一時的戦闘不能にでき、その間に三つの宝を置きに行くと邪魔されない。
INT 50 POW 90 移動 10(攻撃回数:1ターン1回)
正気度消失ポイント 1/1D10
戦闘技能:霊障(体調を悪くさせる、POW2D10減少)、憑依(探索者を操り自傷行為を行わせる、物理攻撃ダメージは対象探索者の攻撃力と同じ)、記憶同調(自分が死んだときの苦しみや痛みを追体験させる、正気度1D10減少)
盲目の巫女が対抗ロールに勝利すれば、上記の戦闘技能の1つの攻撃を探索者に与えられるとする。対抗ロールに敗北すれば、盲目の巫女のPOW2D10減少。
遠距離攻撃 50% ポルターガイスト(尖った木片を浮かび上がらせて攻撃する、ダメージ1D10。この攻撃は物理攻撃なので、回避で避けられる)
※このシナリオの幽霊は強い力を持っているため、色々できるのです。
特記:除霊用霊符を使用された次のシーンで登場した場合、戦闘開始時にキーパーが1D6を振り効果継続ターンを決定してください。霊符の効果が続いている間、このエネミーの対抗ロールに使用する数値が半分で判定することになる。(総量が変わる訳ではないので、幽霊のHPとしてのPOWなどは変化しない)
実態がないので物理攻撃は受け付けないが、戦闘のターンで何かの技能で注意を引く等は可能。
探索者は、日本人もしくは外国人でも日本の歴史に明るい人物としてください。
少なくとも神社や古い日本家屋などが理解できる程度の知識は持っていないと、話が通じないことになりややこしくなります。
探索者の時代背景は現代日本にしてもらうのが無難ですが、平安時代以降ならどの時代の探索者でも構いません。
また使用する探索者は、死亡してキャラロストした探索者か、使い回しを行えなくても構わない前提で死者探索者を作成することをおすすめします。
死亡してキャラロストした探索者を使用する場合は、HPは全回復または2D6で回復してください。(この世界は死後の世界のため、HPが戻ったわけではなく、ニャルラトテップが与えた仮の命みたいなものです。終わると0に戻ります)
この世界に来る前は一度死んで魂だけを持って来たという設定のため、所持アイテムを持参することができません。
(ただしキーパーの判断によって、ポケットに入れられる物は大丈夫とか、ニャルラトテップが気を利かせて置いてくれたなど、したければ所持を許可しても構いません)
・導入
・探索 1章 南門から神社への道
探索ポイント①
探索ポイント②③④
探索ポイント⑤→2章へ
・探索 2章 三つの宝を探す
ランダムイベント(探索ポイント移動する毎に発生)
探索ポイント⑥⑦⑧+特定発生イベント
・探索 3章 結末
ポイント⑨⑩⑪+エンド①②③④
※エンド⑤は死亡エンド
※用語
<>は技能またはロール指定。いくつかの<>が書かれている場合は、いずれかの技能成功でその行為を行えます。※全ての技能判定成功が必要というわけではありません。
(数字/数字)は(成功時/失敗時)です。
探索者は、いつの間にか地面に直接横たわり、月のない星だけが瞬く夜空を見上げていました。
次に気付くのは、ほのかながらどこか嫌悪を覚え鼻に引っかかる腐敗臭に似た悪臭。この悪臭は非情にほのかで強烈と言う訳でありませんが、ずっと嗅いでいたくないと思うような臭いです。
臭いの原因はどこからというわけではなく、空気に広範囲に混じっているようでした。
起き上がると、そこには高い建物がどこにも見えない、森の草木とそこだけ整備と言う程でもなく剥げた地面を覗かせる道が一本ありました。
そして、振り返れば探索者の背丈を遥かに超える赤い門が堂々と立ちふさがっています。
門から伸びた柵は、左右に遥か遠くまで伸び、暗い森の中に消えています。
明かりのない夜の暗闇の中では目が慣れたとしても、近くに見える門と遠目に山影が見えるくらいです。
☆探索者が起きた場所は、村の南端にある門の前です。
もし、探索者が数人いる場合はここで自己紹介などをしてもらってください。
なお、探索者はどんな人間だったかは思い出すことはできますが、死んだ状況や死んだ事実などを思い出すことはできません。
あくまで探索者は死んでいると知らない状態です。
※どうしても思い出したいというのならば<正気度ロール(5/3D10) 対象者 思い出した探索者のみ>発生。自分が死んだ瞬間の痛みと感覚が鮮明に思い出され、正気度が大幅に減ります。
※ここで武器を見つけようとした場合、「木の枝(小さい棍棒扱い)」「石(投石扱い)」くらいしか見つかりません。
もし、「木の枝」を刀剣で扱いたい場合は木刀のような手ごろな大きさの物を探せます。使用技能「刀剣」を使用するので、少し剣術の心得があり、ダメージは大きい棍棒扱いとする。
☆門に鍵穴などもなく、門や柵はどんなことをしても壊れませんし上ることも出来ません。
閂がかかっていない門は押せば開くはずなのですが、不思議な力が働いているのか開きません。
・<登攀><跳躍>などで門や塀を上った場合→「上った瞬間目の前が真っ暗になり、自らの体が崩れ落ち醜い姿に変わっていくノイズがかかったような映像と何故と疑問と混乱に叫ぶ声が、飛び飛びに頭に流れ込んで来ました」→<正気度ロール(0/1D6) 対象者 判定を行った探索者のみ>
着地<幸運ロール(ダメージ 0/1D3)>を行い、眩暈のように地面へと崩れ落ちた探索者でしたが、頭がくらくらとして今見た光景はおぼろげになり感じた不快感もすぐに消えますが、手が震えています。
門を調べると、巫女の装束を纏い黒い布で目を隠した長い黒髪の女性が、提灯を持って現れました。
その女性は名前を聞かれれば、「静」と名乗ります。
☆静を調べる。
・静の服装を見る。
技能無しまたは失敗では、「巫女の装束を纏い黒い布で目を隠した長い黒髪の女性」「美女」だとしかわかりません。
①<目星>→目隠しの黒い布は、白文字で何やら梵字らしい文字が中央に書かれています。
②<鑑定><人類学><変装><歴史>→巫女の服は、絹のようで、コスプレなどの安物ではなさそうです。
・目隠しの黒い布を調べる。
①<オカルト><鑑定><人類学><考古学><歴史>→目隠しの黒い布には、白文字で梵字の「ウン」と書かれているとわかります。効果は「外敵から身を護ってくれる」です。
・静が嘘をついているかなどを調べる。
①<心理学>→成功/失敗 表情や真意などを読むことができません。
・静の持っている提灯を欲しいと言う。
①<言いくるめ><説得><魅惑>→もらえる。
②<威圧><信用>ハードで成功→もらえる。
失敗したり他の技能で行いたいと追われた場合、静が「それでしたら、何か面白い話や事を見せて頂けましたら、差し上げましょう」と言います。
リアル説得であげても構いません。
提灯を持っていなくても、何となく道くらいは見えますが、それ以外の深い探索は難しいです。(最悪安倍のいる神社まで行けば松明を入手できます)
静は探索者が門を調べていると、「その門は開きませんよ」と言います。
目隠しをしていて目が見えるのかなど聞くと、「お優しいのですね。ご心配は無用です」とおしとやかに口元を隠して笑います。
門がどこに繋がっているのかと聞くと、「ここではない、彼方(あちら)側」と答えます。
門を開く方法と聞けば、北に続く地肌が見える土の道の先を指さして、「この道の先に答えはありますよ」と微笑みます。
静を無視する、もしくは静が現れる前に門から続く柵に沿って森を突き進む場合→<ナビゲート>を行い、成功したら「左側に行くなら、西の墓」か「右側に行くなら、東の池」に出ることができる。失敗したら、迷い結局門に戻ってきます。
探索はパーティ移動を推奨しますが、キーパーが管理できるのならば別行動を許可しても構いません。
また「安倍」「斎 祥子」が同行させられるのですが、キーパーが管理できなさそうならば、「斎 祥子」のみが同行できるとしても構いません。
門から何となく草が剥げむき出しの地面の道を進んでいると、道が3つに分かれているのがわかりました。
道の先に目を凝らしても暗くどこに続くのかは見当もつきません。
☆左右か、真っ直ぐにそのまま進むのか、選択してもらってください。
・地形から行き先を読む。
①<サバイバル><自然>→左側の道は若干坂道になっており森の奥に続いており、右側の道は下がっているので水場でもありそうな気がします。そして、中央に続く道は若干他の場所に続く道よりも太くはっきりとした道であることがわかります。
(はっきりとしたというのは、人通りが他より多く踏みしめられた地面っぽいというニュアンスです)
②<人類学><目星>→真ん中の道だけが、他の道よりも太く踏みしめられているような気がします。この3本の道の中で一番人の痕跡など発見できそうなのは真ん中の道だと思います。
→門(南)からやって来て「左側に行くなら、西の墓」へ
→門(南)からやって来て「右側に行くなら、東の池」へ
→門(南)からやって来て「真っ直ぐに行くなら、中央の廃村」へ
整備という程には整っていない山道を登っていると、何かが風に乗って聞こえてきました。
周囲は森に囲まれ、誰かが居そうな気配はありませんが、誰かがいるのでしょうか。
※ここで武器を見つけようとした場合、「木の枝(小さい棍棒扱い)」「石(投石扱い)」くらいしか見つかりません。
もし、「木の枝」を刀剣で扱いたい場合は木刀のような手ごろな大きさの物を探せます。使用技能「刀剣」を使用するので、少し剣術の心得があり、ダメージは大きい棍棒扱いとする。
☆その声に気付いた探索者が、その声の主を探したり、追いかけたりします。
・その声を良く聞こうと耳を澄ます。
①<聞き耳>→耳を澄ますと、子どものような笑い声が「こっちだよ」「ここにいるよ」「おいで」と聞こえます。
・子どもの声を聞く前に、声がする方向に記憶を頼りに近づく。
①<ナビゲート><幸運>→墓の奥に行き「斎 祥子」と会うことができます。
・子どもの声を聞いてから、声がする方に近づく。
①<目星><追跡><ナビゲート>→周囲を見渡すと、暗闇の中光るように浮かび上がる着物姿の子どもがそこに立っていました。更に近づけば、探索者は不思議なことに気付きます。子どもの姿はそこにあるはずなのに、まるで映像のように半透明で、後ろにある大きめの石が透けて見えます。何故と思ったと同時に探索者はもう一つのことに気づきます。子どもの後ろにある石は墓石で、周囲にも同じような墓石が立ち並んでいます。
夜に墓場で着物を着た子どもといえば幽霊?と感じた探索者は<正気度ロール(0/1D3) 対象者 見た全探索者>。
透明な子どもはすっと墓の奥に消えてきます。
→失敗の場合、子どもの霊も見つからなければ、祥子も見つかりません。→その後<ナビゲート><幸運>で更に探すと、祥子が見つかります。
子どもに導かれて訪れた墓場の奥、そこにうずくまっている黒い影が見えました。
☆近づくか、近付かずに去ることができます。
・近づかずに去る。
①<隠密><幸運のハード>→黒い影に気付かれることなく逃げることができます。
②<DEX>→黒い影は気づいて、探索者の方を見た気がしますが、探索者は走るように墓場から出ました。
→失敗 黒い影(斎 祥子)に気付かれます。「誰かいるんですか?そこに誰かいるんですか?」と少女の声が聞こえます。
・近づく。近づくのに判定は必要ありません。
①黒い影に怯えて近づくので、<正気度ロール (0/1) 対象者 近付く探索者のみ>→失敗すると、振り返った黒い影にとても驚きます。
うずくまる黒い影に近づき見ると、そこに居たのは高校生ぐらいの少女でした。
目には黒い目隠しの布を巻いています。
ビックリしたような顔で振り向いた少女は「だ、誰ですか?そこに誰かいるんですか?」と怯えたような声を出します。
少女は「斎 祥子」と名乗ります。
祥子も、「どうしてここに来たのかはわからない」と言います。
目隠しの布についても何で着けているのかと聞いても、「わからないんです。目が覚めたら着けられていて、どうやっても取れないようなんです」と首を振ります。※目隠しは取れないし、壊すことも出来ません。
目隠しの布が邪魔ではないかなど聞くと、「いいえ。わたし、元々目が見えないので不自由はないのですが、1人だとゆっくりとしか動けなくて……」と俯きます。
☆祥子を調べる。
・祥子の服装を見る。
技能無しまたは失敗では、「黒い目隠しの布を目に巻き付けられている高校生くらいの少女」だとしかわかりません。
※門の前に居た「静」を調べている場合、その目隠しが同じ物であることも分かります。
①<目星>→目隠しの黒い布は、白文字で何やら梵字らしい文字が中央に書かれています。
②<鑑定><人類学><変装>→服装は探索者と同じような服装だと思います。
・目隠しの黒い布を調べる。
①<オカルト><鑑定><人類学><考古学><歴史>→目隠しの黒い布には、白文字で梵字の「ウン」と書かれているとわかります。効果は「外敵から身を護ってくれる」です。
・祥子が嘘をついているかなどを調べる。
①<心理学>→祥子は知らない人に少し緊張や不安などの感情を滲ませていますが、嘘をついているような様子はありません。
☆祥子は余程怪しかったり、不信であったり、暴力的そうでない限り、「一緒に行かないか」と言うと判定なしで同行してくれます。
怪しかったり、不信であったり、暴力的そうだった場合、信じてもらうために<信用><言いくるめ><説得>で成功するか、リアル説得などで付いてくる理由を納得させれば少し怪しくても同行してくれます。
ただし、<威圧><近接攻撃>などで暴力的に言うことを聞かせようとすると、怯えて森の奥に闇雲に逃げてしまいます。
※ここで同行させられずとも、その後はランダム遭遇イベントで再度同行の交渉が行えます。
☆更に墓や社などを調べる場合は、「第2章の「西の墓」」を参照してください。
むき出しの地面に導かれるまま木々の間を歩いていた探索者でしたが、視界が晴れてきます。
木に隠された空と共に現れたのは、全長20m程はある池でした。
※ここで武器を見つけようとした場合、「木の枝」「石」くらいしか見つかりません。
☆池を調べる。
・周囲を見る。
技能無しで、周囲を軽く見渡すと、上がっている木製の跳ね橋と橋から縄が繋がる引き上げの装置などがあるのがわかります。
①<聞き耳>→周囲の音に耳を澄ませてみますが、風が木を揺らすどこか不安を煽る騒めきくらいしか聞こえません。
②<目星>→周辺は何かありそうにありません。池が星を映してキラキラとしているだけです。
・池を見る。(凝視または目を凝らす)
①<目星>→池に目を凝らすと、池の真ん中に離れ小島のような部分があり、そこに鳥居と社の影が見えます。跳ね橋というのは、その離れ小島へ渡るための物のようです。
②池の水を覗き込む。→見えたか<幸運>
→成功 探索者は池に映った自分の顔を覗き込みました。暗闇の水は光り、覗き込んだ探索者の顔を映しました。
しかし、そこに映っている自らの顔は青白く、濁った眼球が覗く目は落ち窪み、唖然と開いた口はカラカラに干からび割れています。
死んだような変わり果てた自らの顔を見てしまった探索者は、底知れない恐怖に襲われました。
<正気度ロール 0/1D6>
※この死に顔は、探索者が実際に死んだ時の様子を描写しても構いません。
→そのまま驚くと、幽霊登場。それが探索者が映ったのではなく、幽霊の姿が映っていたみたいにすり替えましょう。
→失敗 池の水は暗すぎて闇しか見えません。
池の中央にある社に気付いた探索者の耳に、突然「コオォー!」という風の音とも叫び声とも取れるような音がどこからか聞こえてきます。
<幸運ロール>発生。
→成功 不気味な音が聞こえ続けますが、すぐに聞こえなくなります。
→失敗 風の声に意味がこもった声が混じります。「……タチサレ……タチサレ……」と低い男性の声です。その声に導かれるように向けた池の上に、青ざめた肌に濡れた着物を着た半透明の男が浮かび上がりました。池に浮かび上がる形で現れた半透明の男は、どう見ても人間には思えません。→<正気度ロール 0/1D3 対象者 全探索者>
☆敵エネミー「幽霊」が出現すると、<DEX><隠密>などでその場からすぐに退散しない限り対戦開始。
「幽霊」の手番が来ると対抗ロールが発生しますが、探索者の手番では逃げる、気を引く、攻撃もダメージを与えることはできないが行う事はできます。
この「幽霊」が記憶同調を行って見えるのは、「狂気に狂い胸を掻きむしり、池に落ちて死んだ男の無念。冷たい水の感覚、息が吸えない窒息する苦しさ、死ぬ恐怖」の記憶。
このエネミーが出てきた時に「斎 祥子」を同行させていると、更に怒りを湧き上がらせ『……モウモクノ……ミコ……オマエダケ……ナゼ、イキテ……イル……ヤハリ、オマエガ……』と手を伸ばします。
もちろん「斎 祥子」には心当たりはありません。
この「幽霊」を<見鬼>させると、溺れ死んだのが苦痛だと気づき、池の中を指さして「そこに彼が眠っています。助けてあげてください」と探索者に、池の幽霊の死体を引き上げるようにお願いします。
探索者が<水泳>で死体を見つけ、<STR>で死体を引き上げることができると、祥子が<説得>を使用して「安らかにお眠りください」と祈ると除霊できます。
☆更に橋や社などを調べる場合は、「第2章の「東の池」」を参照してください。
門から真っ直ぐむき出しの地面に導かれるまま歩いていた探索者は、視線の先に掘っ立て小屋のような簡素な日本家屋が建ち並ぶ影が見えました。その様子は村のようです。
暗闇の中なので遠目でもはっきりとわかりますが、どの家にも明かりが灯っている様子はありません。
村に向かえば、道から見える範囲でも家々は手入れがされておらず、壁が崩れ屋根が傾いている家もあります。
ほのかな悪臭に慣れた鼻でも嗅ぎ分けられる饐えたような悪臭は、人が久しく住んでおらず荒れ果てているためでしょうか。
家に気を取られて歩いていた探索者は、ぐしゃりと枝か何かを踏んだような感覚を覚えました。
それを見ようと下に視線を向けた探索者は、地面に倒れ伏している人の着物に隠された腕を踏んだのだと気づきました。
明かりを向けて、その人物の顔を覗き込もうとした探索者は、ミイラのように干からびた顔、叫ぶように大きく開けられた口や眼球がなくなった目の穴から零れる蛆虫を間近で見てしまいました。
<正気度ロール 0/1D3、対象者 全探索者>
怯えたり、驚いた探索者が、死体から村へ続く道に視線を戻すと、道のところどころに盛り上がる岩のような影が見えます。今見たのが死体だと認識してしまうと、影のはためきが身に着けている着物のはためきだと気付き、それら全てが人の成れの果てであることがわかりました。
その村は、死体で埋め尽くされているようです。
☆村を詳しく調べる。
・村の道を歩き回って調べる。
①<ナビゲート><幸運>→歩き回っていると、村の中では大きめの家の裏にあった、赤い鳥居と小さな社を見つけました。
②<目星>→歩き回っていると、村の家にも少しばかり大きさの違いがあるようでした。
③<考古学><人類学>→歩き回っていると、村の中では大きめの家があることに気付きました。日本文化などを考えると、その家がこの辺りの権力者などの家ではないかと思いました。
☆漠然と近くの家の中を調べる。
①<人類学><考古学><歴史>→土間で竈を使って料理をするというような家ばかりで、文明の利器などがなく、まるで明治以前の生活を送っている人々が住んでいるように思われ、どんなに田舎でも珍しいと思います。
※同時に武器なども入手可能です。
☆村の中では大きめの家を調べる。(村の権力者の家 松尾の家)
・大きめの家の外を調べる。
①大きめの家の裏に回ると宣言した場合、技能無しで鳥居と小さい社を発見します。
②<ナビゲート><目星><人類学><幸運>→その家には裏庭があるようです。家の裏へと回ると、鳥居と小さな社がぽつんと立っていました。
・大きめの家の中を調べる。
技能無しで得られる情報は、箪笥、棚、神棚、鏡が目に入ります。台所などもあるですか?と聞かれたら、土間のような場所に釜がありますと伝えましょう。→台所のような場所を調べる場合は、武器の調理道具を見つけます。
①<目星><人類学><考古学><歴史>→土間で竈を使って料理をするというような家ばかりで、文明の利器などがなく、まるで明治以前の生活を送っている人々が住んでいるように思われ、どんなに田舎でも珍しいと思います。
②箪笥を調べる。→隠された物を探す。
<STR><隠密><手さばき><幸運>→切れ端に書かれた「松尾の家当主のメモ」が出てきます。
③棚を調べる。→隠された物を探す。
<STR><隠密><手さばき><幸運>→「盲目の巫女の伝説」が書かれた巻物を見つけます。
④神棚を調べる。→天井に近い位置にある神棚に手が届くか。
<SIZ><跳躍>→神棚を調べると、「松尾の家秘伝書」と書かれた巻物を見つけます。
「松尾の家秘伝書」には、「社を封じている呪符の解除方法」が書かれています。
⑤鏡を調べる。→鏡は蓋の付いた鏡で、それを開きます。
<幸運>
→成功 探索者は鏡に映った自分の顔を覗き込みました。ところどころ錆や汚れはついているものの覗き込んだ探索者の顔を映しました。
しかし、そこに映っている自らの顔は青白く、濁った眼球が覗く目は落ち窪み、唖然と開いた口はカラカラに干からび割れています。
死んだような変わり果てた自らの顔を見てしまった探索者は、底知れない恐怖に襲われました。
<正気度ロール 0/1D6>
※この死に顔は、探索者が実際に死んだ時の様子を描写しても構いません。
→失敗 鏡は錆か汚れで汚れおり、何も映しません。
☆武器となる物を家の中から探す。
<目星><幸運>→武器となる物は、平安時代の農民が持っていても不思議でないものなら取得できます。農具系(鎌、鍬)や調理道具(包丁、鉄鍋、釜)、着物や手ぬぐい、木片(木片は他の場所でも入手可能)などが見つかります。
霊に利くのではと、塩や酒や米などは探しても見つかりません。(平安時代では高級品だと思われるため)
☆更に社などを調べる場合は、「第2章の「中央の廃村」」を参照してください。
道を更に進むと、また交差路に出ました。
しかし、今度は左右は普通の地面の道ですが、正面にある道は巨大な鳥居があり、その先には不揃いの石をいくつも地面に埋め込んで作ったような階段があり遥か頭上まで続いていました。
☆この交差路は、「西の墓」「東の池」「中央の廃村」へと繋がっており、門の前と神社の前でつながるようになっています。
神社から門へと直接行く道はなく、「西の墓」「東の池」「中央の廃村」を経由して抜けることになります。
階段を上がり切ろうとした時、探索者に背を向けている人影が目に入りました。
更に近づくと、神社という空間に相応しい神主が着るような白い狩衣を着、黒髪を1つにまとめた人物がそこに立っています。
人物が手持ちの行灯で照らす視線の先は、鳥居と小さめの神社があり、鳥居の両端に構えた石の狛犬が訪問者の方を向いて睨みを利かせています。
※この神社は、他の場所で見た社よりは大きく人が入れる大きさの建物です。
探索者の足音を聞いたのか、背を向ける人物が振り返らないまま「何者だ」と声をかけてきます。
探索者が話す姿勢を見せれば、視線だけで振り返り「迷いし魂か」と呟くと、すぐに興味無さそうな無表情で視線を前に戻します。
探索者が名前を聞けばぶっきらぼうに「安倍だ」と名乗ります。
※この時点で「斎 祥子」を連れていると、探索者には興味無さそうだが斎 祥子だけは凝視し、不意に視線を落とすと「お前も運が悪かったな」と呟きます。
安倍は一目見ただけで斎 祥子が生者で、探索者が死者だと見抜いている故の態度です。
探索者が安倍より前に出ようとすると、安倍は手を上げて押さえ、「それ以上進むな。あれを見よ」と顎だけで狛犬を示します。
示されて意識して狛犬を見ると、明らかに前に出ようとした探索者の方に顔を向けるように二体とも体を動かしており、ギロリと睨みつけています。
狛犬がただの石の像ではないと気づいた探索者は、<正気度ロール 0/1D2 対象者 全探索者>。
狛犬が唸ると荘厳な声が頭に直接響きます。
『ソレ以上チカヅクナ。三ツノ神ノ証持タヌ。ケガレタ魂。タチサレ』と告げられます。
☆それ以上進むなら、狛犬の目が突然強烈な光を発し、『愚カナモノドモメ。ソノ身デ報イヲ受ケロ』と言って動き出します。
敵エネミー「狛犬」×2との戦闘開始。
安倍は肩をすくめて、忠告を聞かなかった探索者に呆れ背を向けると階段を下りて行きます。
ここで狛犬を2体撃破して、神社の中に入ると、盲目の巫女が登場します。
☆安倍に止められたところから前に出ようとしなければ、安倍と話すことができます。
安倍はぶっきらぼうながら返事は返してくれます。
・安倍は何故ここに居るのか聞くと、「仕事だ。この『間(はざま)』にいざなわれた村の調査のな」と答えます。
探索者と違い、安倍は自分の意思でこの村に来たようです。
・『間(はざま)』とは?とは聞くと、「常世と現世の間。生者と死者が交わる混沌だ」と要領の得ないスピリチュアルな回答をします。
・この村から出る方法を聞くと、「出る方法とは?」と問い返されます。
元居た場所だとか、この村の外だとか、言うと「村から出られる道は、彼方(あちら)にある」と神社とは反対方向の南にある門の方を指さします。
「しかし、この世界は今は閉じている。その呪詛の原因はこの先の神社にある」と、神社の方を指さします。
・「三つの神の証とは?」と聞くと、「この村には、この神社の他に三つの宝が納められた摂末社の社があるらしい。その社に祀られた三つの宝のことではないだろうか」と教えてくれます。
☆門で静から「提灯」を貰っていない場合は、安倍に手に持っている「行灯」を欲しいと言うと、「これはやれない。だが、そうか……明かりが欲しいのか。ならば、これで、そこいらに落ちている木にでも火をつけて持っていけ」と言って懐から火打石を差し出します。
探索者が火打石で火をつけるためには、<サバイバル><歴史><手さばき>などの判定が必要です。
最悪、安倍に頼めば火をつけてくれます。
ある程度会話をすると、安倍は「そろそろ良いだろうか?」と言って、階段を下りて行こうと背を向けます。
どこに行くのかと聞かれれば「村の調査に戻る。三つの神の証も、その間に見つかるだろう」と告げます。
☆この初対面の状態で安倍の同行を頼む場合は、<説得>のイクストリームに成功することでのみ、渋々同行してくれます。
<威圧><信用><言いくるめ><魅惑>などでは代用できません。<信用>も平安時代の人間には、金銭的職業的信用度は関係ないでしょう。
※安倍は、この状態では探索者は彷徨える死者で、死者がこの世界から出る方法に手を貸す時間などないと思っています。
→失敗すると、付いていこうとするのも断られ、階段から下りて行ったのを慌てて追いかけようとするが、一瞬目を離した隙にどこかへ消えてしまいます。
「え?」と思って、階段の先の道に目を凝らして見ますが、それらしき姿は見当たりません。
2章から探索者が場所に移動した最初に、キーパーがシークレットダイスで1D6を振って下さい。
①同行していない場合、NPC「安倍」と遭遇。同行している場合、NPC「斎 祥子」と遭遇に変更して良い。
安倍と遭遇した時に、再度同行を頼むことができます。
安倍は会う毎に同行する確率が上がり、<説得>1回目イクストリーム、2回目ハード、3回目レギュラー、4回目以降ボーナスダイス1個追加します。
その他に、詰まっている場合はヒントを出してくれたり、霊符を上げることができます。
②同行していない場合、NPC「斎 祥子」と遭遇。同行している場合、NPC「安倍」と遭遇に変更して良い。
祥子を「西の墓」で見つけていない場合は、探索者と同じような服装をした少女が走り去る背中が、目の端に映るだけとなります。追いかけても、声をかけても止まりません。(キーパーの判断で、<幸運>に成功すればその場でも捕まえて、同行交渉可能と変更しても構いません)
斎 祥子と遭遇した時に、再度同行を頼むことができます。
<信用><言いくるめ><説得>で成功すれば、同行してもらえます。
③NPC「静」と遭遇。
静香は同行はしませんので、ヒントやアイテムなどをキーパーの判断によってあげて良いです。
④敵エネミー「幽霊」と遭遇し、戦闘開始。
ここで出てくる幽霊は村人です。心残りのキーアイテムは、髪飾りや我が子の骨や水など、キーパーが好きに決めてください。
⑤霊障 ポルターガイストと遭遇。(周辺に落ちている木片や石などが人数分飛んできます。1人ずつ回避成功が必要/失敗でダメージ 1D3)
※あくまでポルターガイスト1回発現のみで、幽霊の本体が出現ではありません。
⑥霊障 自殺衝動の発生。(探索者1人をキーパーが指定し、幽霊とのPOW対抗もしくは他探索者が<近接戦闘>などで止めると止めることができます。失敗でダメージ 1D3)
※あくまで自殺衝動1回発生するのみで、幽霊の本体が出現ではありません。
※特定のNPCに会いに行きたい場合は、このランダムイベントで遭遇しなくても、キーパーはNPCを好きな場所に登場させて構いません。
このイベントは、特定の場所と登場人物が揃うことで発生します。
重要ではありませんが、NPCとのドラマを演出するのに必要です。
キーパーの判断で、その場所に来たら確定的に発生にしても構いません。
①発生場所:中央の廃村 登場NPC:安倍、祥子
歩き疲れた祥子が、バランスを崩して地面にこけてしまいます。
どこか休める場所はないかと見渡せば、安倍が「それならば、私が使わせてもらっている小屋に案内しよう。あそこならば怪異が入り込まぬよう結界が張ってある。他よりは安心して休むことができるだろう」と、案内してくれます。
小屋につくと、そこの小屋も古めかしく朽ちていましたが、他よりはまだ家の体裁は保っている場所でした。
板の間にゴザを引いただけの一間。真ん中には埃に塗れた鉄鍋が吊り下がる囲炉裏の跡などがあります。
「お茶や水などはないですか?」と聞く祥子に、安倍は「止めておけ。常世の食べ物を喰えば、もう戻れない。……案ずるな。この空間は時が狂っている。水を口にしなくて動けない、腹が減って動けない、となることはない」と言います。
※安倍は祥子が生者だと気づいているから、常世の食べ物を口にしようとするのを止めます。
②発生場所:どこでも可 登場NPC:安倍、静
安倍と静が出会うと、安倍は静にいつになく緊張した様子で臨戦状態となり、霊符を構えます。
「お前はなんだ!」と叫ぶ安倍に、静は穏やかで艶やかな微笑みを浮かべ「静と申します」と挨拶します。
今にも飛びかかりそうな安倍ですが、その額には脂汗が滲み、霊符を構えた手は震えています。尋常ならざる状態の安倍は、余裕がありません。
探索者は安倍を<説得>で口で止める、<STR対抗ロール><近接戦闘対抗ロール>で力で抑えることができます。
もし、探索者が安倍を止めるのに失敗すると、安倍は「攻撃用の霊符1枚」を消費します。
そして、人ならざる身体能力で飛び上がった静は、「荒々しいですね」とクスクスと笑って消えます。
安倍に静のことを聞くと乱れた息の元、カタカタと震えた手を必死に抑え、「私にも、正確には捉えきれないが……あれは、他の迷える魂とは違う……私が全力で戦っても、手も足も出ないだろう……」と呟きます。
☆安倍は静が強い力を持つ存在(神)であることを、本能的に感じ取っています。しかし、静は本性を巧妙に隠しており、神である事まではわかりません。
③発生場所:どこでも可 登場NPC:静、祥子
祥子を同行させた探索者が探索を行おうと村を歩いていると、静に遭遇しました。
静は、祥子を見ると微笑み頬に手を伸ばすと撫でながら、「あなたは、まだ覚醒していないのですね。あなたには聞こえ見えるはずですよ。彼らの叫び声、最後の時を」と告げます。
よくわからない祥子ですが、次の瞬間に「うわぁっ」と短い叫び声を上げて、うずくまります。
「な、なんですか?この声、この世界は……?」と半狂乱状態で呟きます。
祥子の神通力が解放され、意識せずとも幽霊の姿、呪いの正体、断末魔の記憶などを見ることができる(常時見鬼発動)ようになります。
※祥子や安倍が、「見鬼」や「探知の霊符」を使用してわかるヒントが、すぐにわかるようになります。
④発生場所:どこでも 登場NPC:安倍
安倍の鼈甲の髪飾りについて聞くと、「これは母の形見だ。鼈甲には邪を払う効果がある。このような瘴気が満ちた場所で私が正気でいられるのもこれのおかげやもしれない」と、かんざしを撫でます。
探索者が自分も平気だがと言うと、「お前はすでに……いや、気づいていないのならば……」と意味深に言葉を濁し止めます。
※探索者がすでに死人であることを告げられないようです。
・「松尾の家」の墓の下に埋まっている「血の呪符」を使用することで、全ての社の封印が解けます。
→それに導く手がかりは、「松尾の家」の神棚にある「松尾の家秘伝書」。
・池の跳ね橋のレバーは、「松尾の家」の棚にあります。
整備という程には整っていない山道を登っていると、何かが風に乗って聞こえてきました。
周囲は森に囲まれ、誰かが居そうな気配はありませんが、誰かがいるのでしょうか。
※ここで武器を見つけようとした場合、「木の枝」「石」くらいしか見つかりません。
→祥子がまだ登場していない場合、「第1章の「西の墓」」を参照して、祥子を登場させてください。
☆墓を調べる。
・周辺を調べる。
①<目星>→苔むした様子もなく墓石自体は綺麗ですが、その形は歪で機械などで成形された様子はなく、、自然の石を積んだだけの墓がほとんどのようです。中には名前が彫られている物もあります。
読もうとすれば、「松尾」「藤宮」「椿崎」「立花」「葛木」などと読めます。
②<オカルト><人類学><考古学><歴史>→苔むした様子もなく墓石自体は綺麗ですが、その形は歪で機械などで成形された様子はなく、自然の石を積んだだけの墓がほとんどのようです。中には名前が彫られている物もあります。現代日本では、年季の入った墓くらいでしか見ない形だと思いました。
読もうとすれば、「松尾」「藤宮」「椿崎」「立花」「葛木」などと読めます。
③「松尾の家秘伝書」を読んでおり、特定して探す場合は、技能無しで発見することができます。
☆「松尾」の墓を調べる。(松尾の家秘伝書を読んでいることで特定できると思います)
・「松尾の家秘伝書」を読んでいると、松尾の墓の下に「血の呪符」が埋まっている事を知っているので掘り返すことができます。
・「松尾の家秘伝書」を読んでいない場合、探索者の<幸運>成功。またはNPCが<見鬼>を使用することで、松尾の墓の下に違和感を感じます。
→「血の呪符」は、文庫本程の大きさの木片に社と同じような血文字が書かれている札です。
それを社の入り口に貼ってある札に触れることで、札が燃えて消えます。
更に墓を散策するように進むと、横道が見え、その先に鳥居が立っていました。
人一人が通れる程度の赤い鳥居の方に近づくと、木で作られた小さな社が目に入ります。
社は大きな石の上に乗っており目線の高さにありますが、1mあるかないか程度の本当に小さな社です。
☆小さな社を調べる。近づく。
・社を調べる。
①<オカルト><人類学><考古学><歴史>→その社は誰かの墓ではなく、「摂末社」の類ではなのではないだろうかと思います。
摂末社とは、神社の本社とは別に作られた小規模の社のことです。
・社の入口に近づくと、赤い文字で書かれた札が貼られていることに気付きます。
開けようとしても、不思議な力で開きませんし、紙のはずの札はぴったり貼りつき剥がすことができません。
・札を調べる。
①<目星><オカルト>→貼られる札を凝視すると、その札に書かれた文字が血であることに気付いてしまいます。→<正気度ロール (0/1)>
・社を壊す。
ここは門とは違い、やる気があれば扉以外を壊し社の中を見ることができます。
素手であると<近接戦闘>のハード成功、武器を使用する場合はレギュラー成功で壊せます。
・社を開ける。
「松尾の墓」に埋まっている「血の呪符」を、社を封印している札にくっつけることで、熱くない炎で札が燃え上がり封印が消える。
☆社の中には、虹色に光を反射する「勾玉」が納められています。
更に調べると、走り書きされたメモ(布切れ)が見つかります。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>判定が必要。
『走り書きのメモ①(布切れ)
何故、門は閂を外しても開かない。
柵も登れない。
森に入っても、村へと戻ってきてしまう。
どういうことだ。
これは呪詛か。村は呪われてしまったのか。
気が狂った村人が何人も何人も発狂して死んだ。
もう村にも死体が溢れかえり、どうしようもない。
松尾様、盲目の巫女様、お救いください』
むき出しの地面に導かれるまま木々の間を歩いていた探索者でしたが、視界が晴れてきます。
木に隠された空と共に現れたのは、全長20m程はある池でした。
※ここで武器を見つけようとした場合、「木の枝」「石」くらいしか見つかりません。
☆池を調べる。
・周囲を見る。
技能無しで、周囲を軽く見渡すと、上がっている木製の跳ね橋と橋から縄が繋がる引き上げの装置などがあるのがわかります。
①<聞き耳>→周囲の音に耳を澄ませてみますが、風が木を揺らすどこか不安を煽る騒めきくらいしか聞こえません。
②<目星>→周辺は何かありそうにありません。池が星を映してキラキラとしているだけです。
・池を見る。(凝視または目を凝らす)
①<目星>→池に目を凝らすと、池の真ん中に離れ小島のような部分があり、そこに鳥居と社の影が見えます。跳ね橋というのは、その離れ小島へ渡るための物のようです。
②池の水を覗き込む。→見えたか<幸運>
→成功 探索者は池に映った自分の顔を覗き込みました。暗闇の水は光り、覗き込んだ探索者の顔を映しました。
しかし、そこに映っている自らの顔は青白く、濁った眼球が覗く目は落ち窪み、唖然と開いた口はカラカラに干からび割れています。
死んだような変わり果てた自らの顔を見てしまった探索者は、底知れない恐怖に襲われました。
<正気度ロール 0/1D6>
※この死に顔は、探索者が実際に死んだ時の様子を描写しても構いません。
→そのまま驚くと、幽霊登場。それが探索者が映ったのではなく、幽霊の姿が映っていたみたいにすり替えましょう。
→失敗 池の水は暗すぎて闇しか見えません。
池の中央にある社に気付いた探索者の耳に、突然「コオォー!」という風の音とも叫び声とも取れるような音がどこからか聞こえてきます。
<幸運ロール>発生。
→成功 不気味な音が聞こえ続けますが、すぐに聞こえなくなります。
→失敗 風の声に意味がこもった声が混じります。「……タチサレ……タチサレ……」と低い男性の声です。その声に導かれるように向けた池の上に、青ざめた肌に濡れた着物を着た半透明の男が浮かび上がりました。池に浮かび上がる形で現れた半透明の男は、どう見ても人間には思えません。→<正気度ロール 0/1D3 対象者 全探索者>
☆敵エネミー「幽霊」が出現すると、<DEX><隠密>などでその場からすぐに退散しない限り対戦開始。
「幽霊」の手番が来ると対抗ロールが発生しますが、探索者の手番では逃げる、気を引く、攻撃もダメージを与えることはできないが行う事はできます。
この「幽霊」が記憶同調を行って見えるのは、「狂気に狂い胸を掻きむしり、池に落ちて死んだ男の無念。冷たい水の感覚、息が吸えない窒息する苦しさ、死ぬ恐怖」の記憶。
☆1回目にのみ発生
このエネミーが出てきた時に「斎 祥子」を同行させていると、更に怒りを湧き上がらせ『……モウモクノ……ミコ……ヤハリ……オマエガ……』と手を伸ばします。
もちろん「斎 祥子」には心当たりはありません。
☆(ここまで)
この「幽霊」を<見鬼>すると、溺れ死んだのが苦痛だと気づき、池の中を指さして「そこに彼が眠っています。助けてあげてください」と探索者に、池の幽霊の死体を引き上げるようにお願いします。
探索者が<水泳>で死体を見つけ、<STR>で死体を引き上げることができると、祥子が<説得>を使用して「安らかにお眠りください」と祈ると除霊できます。
☆池を泳ぐ。
①<水泳>→2回成功することで離れ小島まで泳ぎ切ることができます。→失敗すると溺れ、ダメージ1D2。(溺れた場合は、移動距離は無し)
この方法で渡った場合、<水泳>を行った探索者のみしか渡ることはできません。
※ただし縄などを持っていれば、他の探索者を引っ張ったり、縄を頼りに泳ぐので<水泳>で失敗しても溺れなくさせることができたり、キーパーの判断で「水泳」にボーナスダイスを追加したりできます。
☆跳ね橋を操作する。
・縄を切る→<近接戦闘>→縄を切ると、跳ね橋は「バッシャーン!!」と大きな音を立てて水の中に突っ込み、壊れてしまい、通るには不安定です。
それでも渡る場合は、<幸運><跳躍>など(場合により<乗馬(バランス感覚)>などでも可)で判定が必要になります。
失敗すると、池に落ちます。その場合、追加で<水泳>1回を行うことで渡り切ることができます。
☆跳ね橋の操作機を調べる。
跳ね橋から縄が繋がっている装置を調べると、縄を動かすためのレバーなどはなく、側面に何か挿すことができそうな四角い穴が見つかります。
①<INT>→ここに縄を動かすためのレバーのような部品が必要なのでは?と思います。
☆跳ね橋を操作する。
①「松尾の家」の棚に入っていたレバーのような木の取っ手を挿してみると、しっくりきます。回すと言えば、技能無しで跳ね橋を下ろすことができます。
②<芸術および製作>が何か木や自然に落ちている物で装置を作れる技能ならば、それを使用し、レバーを回せる物を製作することも出来ます。
☆小さな社を調べる。近づく。
社は大きな石の上に乗っており目線の高さにありますが、1mあるかないか程度の本当に小さな社です。
・社を調べる。
①<オカルト><人類学><考古学><歴史>→その社はこの池にいる神を祀っている社か「摂末社」の類ではなのではないだろうかと思います。
摂末社とは、神社の本社とは別に作られた小規模の社のことです。
・社の入口に近づくと、赤い文字で書かれた札が貼られていることに気付きます。
開けようとしても、不思議な力で開きませんし、紙のはずの札はぴったり貼りつき剥がすことができません。
・札を調べる。
①<目星><オカルト>→貼られる札を凝視すると、その札に書かれた文字が血であることに気付いてしまいます。→<正気度ロール (0/1) 対象者 気づいた探索者のみ>
・社を壊す。
ここは門とは違い、やる気があれば扉以外を壊し社の中を見ることができます。
素手であると<近接戦闘>のハード成功、武器を使用する場合はレギュラー成功で壊せます。
・社を開ける。
「松尾の墓」に埋まっている「血の呪符」を、社を封印している札にくっつけることで、熱くない炎で札が燃え上がり封印が消える。
☆社の中には、漆・金・螺鈿などで裏が綺麗に装飾された「鏡」が納められていします。しかし、鏡面は曇っているのか、白く濁っており鏡というには何も映していません。
更に調べると、走り書きされたメモ(布切れ)が見つかります。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>判定が必要。
『走り書きのメモ②(布切れ)
この場所に来て幾日が過ぎたのかはわからない。
外はずっと夜だ。
この刻は止まっているようだ。
私も気が狂いそうだ。いや、気づかぬうちに狂っているのだろうか。
狂っていない人など居るのだろうか。
松尾様が、盲目の巫女様を捧げる儀式を行おうとおっしゃられた。
そうか、私たちにはまだ希望が残っていた』
門から真っ直ぐむき出しの地面に導かれるまま歩いていた探索者は、視線の先に掘っ立て小屋のような簡素な日本家屋が建ち並ぶ影が見えました。その様子は村のようです。
暗闇の中なので遠目でもはっきりとわかりますが、どの家にも明かりが灯っている様子はありません。
村に向かえば、道から見える範囲でも家々は手入れがされておらず、壁が崩れ屋根が傾いている家もあります。
ほのかな悪臭に慣れた鼻でも嗅ぎ分けられる饐えたような悪臭は、人が久しく住んでおらず荒れ果てているためでしょうか。
☆1回目にのみ発生
家に気を取られて歩いていた探索者は、ぐしゃりと枝か何かを踏んだような感覚を覚えました。
それを見ようと下に視線を向けた探索者は、地面に倒れ伏している人の着物に隠された腕を踏んだのだと気づきました。
明かりを向けて、その人物の顔を覗き込もうとした探索者は、ミイラのように干からびた顔、叫ぶように大きく口を開けたや眼球がなくなった目から零れる蛆虫を間近で見てしまいました。
<正気度ロール 0/1D3、対象者 全探索者>
怯えたり、驚いただけですんだ探索者が、死体から村へ続く道に視線を戻すと、道のところどころに盛り上がる岩のような影が見えます。今見たのが死体だと認識してしまうと、影のはためきが身に着けている着物のはためきが、それら全てが人の成れの果てであることに気付きます。
その村は、死体で埋め尽くされているようです。
☆(ここまで)2回目以降は死体だらけの廃村だとわかっているので、正気度ロールなどなしに調べられます。
☆村を詳しく調べる。
・村の道を歩き回って調べる。
①<ナビゲート><幸運>→歩き回っていると、村の中では大きめの家の裏にあった、赤い鳥居と小さな社を見つけました。
②<目星>→歩き回っていると、村の家にも少しばかり大きさの違いがあるようでした。
③<考古学><人類学>→歩き回っていると、村の中では大きめの家があることに気付きました。日本文化などを考えると、その家がこの辺りの権力者などの家ではないかと思いました。
☆漠然と近くの家の中を調べる。
①<人類学><考古学><歴史>→土間で竈を使って料理をするというような家ばかりで、文明の利器などがなく、まるで明治以前の生活を送っている人々が住んでいるように思われ、どんなに田舎でも珍しいと思います。
※同時に武器なども入手可能です。
☆村の中では大きめの家を調べる。(村の権力者の家 松尾の家)
・大きめの家の外を調べる。
①大きめの家の裏に回ると宣言した場合、技能無しで鳥居と小さい社を発見します。
②<ナビゲート><目星><人類学><幸運>→その家には裏庭があるようです。家の裏へと回ると、鳥居と小さな社がぽつんと立っていました。
・大きめの家の中を調べる。
技能無しで得られる情報は、箪笥、棚、神棚、鏡が目に入ります。台所などもあるですか?と聞かれたら、土間のような場所に釜がありますと伝えましょう。→台所のような場所を調べる場合は、武器の調理道具を見つけます。
①<目星><人類学><考古学><歴史>→土間で竈を使って料理をするというような家ばかりで、文明の利器などがなく、まるで明治以前の生活を送っている人々が住んでいるように思われ、どんなに田舎でも珍しいと思います。
②箪笥を調べる。→隠された物を探す。
<STR><隠密><手さばき><幸運>→切れ端に書かれた「松尾の家当主のメモ」が出てきます。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>が必要。
『松尾の家当主のメモ
もう正気を保てている人間は片手に足りる程だ。
みんな、みんな、狂って死んでしまった。
私たちも限界が近いだろう。
ここは「盲目の巫女」の力を借りるしかない』
→「安倍」に盲目の巫女を聞くと、「この村に代々伝わる伝承の巫女のようだな」と言います。
③棚を調べる。→隠された物を探す。
<STR><隠密><手さばき><幸運>→木でできた取っ手のようなレバーと、「盲目の巫女の伝説」が書かれた巻物を見つけます。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>判定が必要。
『盲目の巫女の伝説
遥か昔、1人の目が見えぬ捨て子が神社の前に現れた。
神社に引き取られた赤子は、人が見る世界を見ることが叶わなかったが、人の見えない世界をその神通力で見た。
そして、その赤子が大人になる頃、災厄が村を襲った。
人々は狂気に陥り、死んでいく。
そんな中、強力な神通力を持つ彼女だけは正気を保っていた。
彼女はある日神のお告げを受け、自らを犠牲にすることで、その災厄を退けられると知りました。
自らの身をかけて、村を救った彼女は、盲目の巫女と呼ばれました。
それ以来この村で生まれた目が見えぬ赤子は神社で盲目の巫女として育てられることになりました』
※そこには、挿絵が入っており、盲目の巫女は「黒い布」のような物を目に着けています。それが「斎 祥子」や「静」が着けているものと同じと気づいても良いでしょう。
→木でできた取っ手のようなレバーは、池で跳ね橋を下ろすための道具です。
④神棚を調べる。→天井に近い位置にある神棚に手が届くか。
<SIZ><跳躍>→神棚を調べると、「松尾の家秘伝書」と書かれた巻物を見つけます。
「松尾の家秘伝書」には、「社を封じている呪符の解除方法」が書かれています。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>が必要。
『松尾の家秘伝書
社にある呪符は、我が血族の血で封じている。
私に何かあれば、我が墓の下に埋まっている対の血の呪符で社を開け、盲目の巫女を送り出す儀式をしてくれ』
→「安倍」に「血の呪符とは?」と聞くと、「結界のことだな」と言います。
⑤鏡を調べる。→鏡は蓋の付いた鏡で、それを開きます。
<幸運>
→成功 探索者は鏡に映った自分の顔を覗き込みました。ところどころ錆や汚れはついているものの覗き込んだ探索者の顔を映しました。
しかし、そこに映っている自らの顔は青白く、濁った眼球が覗く目は落ち窪み、唖然と開いた口はカラカラに干からび割れています。
死んだような変わり果てた自らの顔を見てしまった探索者は、底知れない恐怖に襲われました。
<正気度ロール 0/1D6>
※この死に顔は、探索者が実際に死んだ時の様子を描写しても構いません。
→失敗 鏡は錆か汚れで汚れおり、何も映しません。
☆武器となる物を家の中から探す。
<目星><幸運>→武器となる物は、平安時代の農民が持っていても不思議でないものなら取得できます。農具系(鎌、鍬)や調理道具(包丁、鉄鍋、釜)、着物や手ぬぐい、木片(木片は他の場所でも入手可能)などが見つかります。
霊に利くのではと、塩や酒や米などは探しても見つかりません。(平安時代では高級品だと思われるため)
☆小さな社を調べる。近づく。
社は大きな石の上に乗っており目線の高さにありますが、1mあるかないか程度の本当に小さな社です。
・社を調べる。
①<オカルト><人類学><考古学><歴史>→その社はこの家の守り神か「摂末社」の類ではなのではないだろうかと思います。
摂末社とは、神社の本社とは別に作られた小規模の社のことです。
・社の入口に近づくと、赤い文字で書かれた札が貼られていることに気付きます。
開けようとしても、不思議な力で開きませんし、紙のはずの札はぴったり貼りつき剥がすことができません。
・札を調べる。
①<目星><オカルト>→貼られる札を凝視すると、その札に書かれた文字が血であることに気付いてしまいます。→<正気度ロール (0/1)>
・社を壊す。
ここは門とは違い、やる気があれば扉以外を壊し社の中を見ることができます。
素手であると<近接戦闘>のハード成功、武器を使用する場合はレギュラー成功で壊せます。
・社を開ける。
「松尾の墓」に埋まっている「血の呪符」を、社を封印している札にくっつけることで、熱くない炎で札が燃え上がり封印が消える。
☆社の中には、柄の部分まで鉄でできた黒い両刃の「剣」が納められています。
更に調べると、走り書きされたメモ(布切れ)が見つかります。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>判定が必要。
『走り書きのメモ③(布切れ)
松尾様に言われて、集まった。
今日、今夜、今宵、今、
盲目の巫女様の儀式を行う。
これで私たちは助かることができるだろう。
遥か昔、盲目の巫女様が助けて下さったように』
「剣」「鏡」「勾玉」の3つの宝を持って、神社を訪れました。
狛犬が唸り、その視線を探索者に向き、しばらくすると『三ツノ神ノ証示シ、進メ』と告げられます。
3つの宝を見せれば、狛犬は探索者が神社まで歩くのを見つめ続けますが、動き出しません。
神社の扉は、探索者を招き入れるように自動的に開きます。
神社の中に入った瞬間、その異常性に探索者は気づきます。
外から見た時よりは広く感じる10m×10m程の空間。
人が1人寝転べる程のベッドのような木で作られた儀式用の台が部屋の中央に鎮座し、
その奥には壁一面に大きな神棚のような祭壇が見え、そこに何も置かれていない刀置きや鏡置き、社の中にあった綿の入った敷布団などがあります。
それらは神社の中であれば、それほど奇妙なものではないでしょう。
しかし、そのベッドのような木で作られた儀式用の台には、大量の血の跡だと思われる染みが広がり、四方の柱から伸びた縄が垂れ下がっています。
縄の先には、それを巻きつき、締め上げるための回転装置。
その時、探索者が手にしていた明かりは全て消え、「あああああああぁぁぁ!!!」と耳に刺さるような女性の絶叫が神社内に木霊しました。
☆<POW>で判定発生。
→失敗すると、耳に刺さるような女性の絶叫だけがうるさくて頭が痛くなるような気がします。(ダメージなどはありません)
→成功すると、以下の映像を見ます。
叫び声に頭が朦朧とした探索者の頭の中に直接悲痛な女の叫び声と男の声、ノイズ交じりにコマ送りのような映像が唐突に入り込みました。
※同行者の「安倍」と「祥子」は、無条件でこの映像を見ます。もし、探索者全員が失敗してしまった場合は、NPCが盲目の巫女を殺していた旨を説明しましょう。
『何故ですか?!』
着物を着た四人ほどの男に、黒髪が長いに黒い目隠しをつけた女性が無理やり引きずられていく。
『私が何かしてしまったのですか?止めてください!!』
いつの間にか、女性の両手、両足に縄が繋がり、男達が回転装置を回す。
1人熱心に「剣」「鏡」「勾玉」が供えられた祭壇に祈る男の背中
『ぐぁああぁ!あし、て、がッ、ち、ちぎれ、る、ッ!!』
急に見上げるような視線に切り替わり、目の端に映る縄の影の間から男が見下しています。
「許してくれ。村のためだ。お前は、生まれた時から、この時のために存在していたのだから。これで閉ざされた門が開く。現世に繋がる門が!」
男が手にしていた短剣が貴方へと振り下されました。
『きゃああああぁぁぁ!!』
絶叫が木霊し、探索者はまるでそれが自らの身に起こったことのように、刺されたような感覚を受けて、脂汗を滲ませ荒い息を吐きながら目を覚ましました。
<正気度ロール (1/1D10) 対象者:映像を見た探索者のみ>
未だに憎悪を含んだ恐ろしい声が鳴り響く神社の中、地面から湧き上がるように、ボロボロになった白い着物の胸元を赤く染め、手足に縄をつけた恐ろしい姿をした幽霊が、赤く黒く燃える炎のように姿を揺らめかせ姿を見せました。
その女性は、変わり果てていましたが、探索者は気づくことでしょう。彼女は、門で出会った静、その人です。
『ユルサナイ、ユルサナイ……ワタシ、ガ、ナニヲ、シタノ?ワタシ、ハ、ミンナ、ノタメニ、……イタイイタイイタイ!!!』
<正気度ロール (1/1D10) 対象者:全探索者>
※上の正気度ロールは映像の正気度。下のは盲目の巫女の姿を見た正気度です。
☆敵エネミー「盲目の巫女」と戦闘開始。
盲目の巫女が見せる記憶は、手足がちぎれ飛び、血を吐き、胸に突き立つ刃、死ぬ間際に聞いた男の呪文を紡ぐ声。
「盲目の巫女」を退ける方法として、同行者に「安倍」もしくは「祥子」がいる場合、探索者に祭壇を指さし、「呪詛はそこにある。そこに三つの宝を置いたら、もしかした盲目の巫女をこの神社から浄化できるかもしれない」と言います。
探索者は各自の手番で、<隠密><DEX>などを使用し、部屋の中央にいる「盲目の巫女」をかいくぐり、祭壇へ三つの宝を置くことが必要になります。
この行動を起こした時、「盲目の巫女」は回避の代わりにPOW攻撃を仕掛けることができます。POW攻撃は、POW対抗してください。また、<DEX>を使用した場合、<隠密>よりも気付かれやすいのでペナルティダイスを追加して下さい。
このPOW攻撃は手番の攻撃とはならないので、眩暈や体調不良などを起させ行動を阻害し宝を置くことを防ぐだけで、ダメージとはなりません。
ただし、他の人が「盲目の巫女」の注意を引いている場合、「盲目の巫女」は気づいていないのでPOW攻撃で止めることは出来ないとします。
探索者が1人の場合、同行NPC「安倍」か「祥子」が、注意を引くか宝を運んでください。「安倍」は霊符、「祥子」は説得で注意が引けます。
ただし「安倍」は<隠密>が初期値なので、宝を運ぶのは難しいです。
☆同行者がいない、探索者が1人ならば、キーパーの判断で誰か登場させても構いません。
最悪、POW対抗に勝てば持っていけるので、探索者が1人でも絶対不可能ではありません。
※探索者へのダメージになるのは、「盲目の巫女」の手番でのPOW攻撃のみということにします。
盲目の巫女に「剣」「鏡」「勾玉」を使用すると、<近接戦闘>で行ってもPOWを減少させる攻撃ができます。
POW減少 2D10。
この方法をとった時、盲目の巫女はPOWのハードで回避を行えます。盲目の巫女が回避したとしても、探索者にはPOW減少は起こりません。
☆盲目の巫女を倒す。
①「盲目の巫女」のPOW0にして倒す。
「きゃあぁああぁぁ」と叫び声をあげ、「盲目の巫女」の姿が掻き消えます。
消えた明かりが復活します。
※同行者のヒントがない場合、こちらしか行えないかと。
この方法では、盲目の巫女は一時的に撤退しただけで、成仏はしていません。
※ここで宝を置いていない場合、門に行って戻ってきたりすると、盲目の巫女が神社の中に復活し、再度戦闘が必要です。
▽同行者がいた場合、POW0にして叫んだ瞬間まだ消えずに一時行動不能となったとして、「今の内に三つの宝を神棚に置くように」とNPCに言わせましょう。置いたら浄化になります。→下記の②③の浄化へ。
※ここで宝を置いていない場合、門に行って戻ってきたりすると、盲目の巫女が神社の中に復活し、再度戦闘が必要です。
②祥子が同行者で、三つの宝を置き、「盲目の巫女」を浄化する。
置いた三つの宝は、置いた瞬間にまばゆい光を放ち、盲目の巫女を包みます。
眩しそうに顔を隠した「盲目の巫女」の「きゃあぁぁぁ!」と叫ぶ声色が、狂った異形の頭が痛くなるような甲高い声から元々の女性の悲痛な声に近いものに変化していく。
三つの宝の光が弱くなり消える頃には、「盲目の巫女」の赤く光っていた体が柔らかい白い光の影へと変わり、先の方から崩れていくようでした。
「盲目の巫女」は崩れ行く手を探索者の方に伸ばし、『どうして、どうして、わたしが、ころされた、の……みんな、ゆるさない……みんな、みんな、まだ……』と近づいてきます。
祥子が口を開き、「あなたがどんな目に遭ったのかはわかります。しかし、こんなことをしても、あなたが苦しいだけです。どうか、元のあなたに戻って下さい。憎しみに囚われないでください」と言い、その手に手を伸ばします。
※同行者に安倍が居る場合、祥子を止めます。
盲目の巫女の髪で隠れていた目元から血ではない一筋の涙が流れて光り、
『……わたしのつみはなんだったのですか?……わたしが、もうもくのみこだったことですか?……わたしのめがみえなかったことですか?……それとも、わたしが、うまれてしまったことが、すでにつみだったのですか?……かみさま、かみさま、……』と言って消えていきます。
③安倍が同行者で、祥子がいない。三つの宝を置き、「盲目の巫女」を浄化する。
置いた三つの宝は、置いた瞬間にまばゆい光を放ち、盲目の巫女を包みます。
眩しそうに顔を隠した「盲目の巫女」の「きゃあぁぁぁ!」と叫ぶ声色が、狂った異形の頭が痛くなるような甲高い声から元々の女性の悲痛な声に近いものに変化していく。
三つの宝の光が弱くなり消える頃には、「盲目の巫女」の赤く光っていた体が柔らかい白い光の影へと変わり、先の方から崩れていくようでした。
「盲目の巫女」は崩れ行く手を探索者の方に伸ばし、『どうして、どうして、わたしが、ころされた、の……みんな、ゆるさない……みんな、みんな、まだ……』と近づいてきますが、途中で力尽き掻き消えてしまいます。
安倍は「これで、この村を覆っていた大元の霊が浄化され、閉ざしていた世界を覆う不浄が薄まった」と呟き、周囲を見回します。
安倍にあの霊はなんだったのかと問えば、「あれが村人が書いていた盲目の巫女の儀式……盲目の巫女を捧げる儀式だろう」と言います。
※南の門が開いたのかと聞かれたら、首を横に振り、「いや、この場の霊はそれとは関係がない。門を閉ざしている呪の気配は……まだこの場にある」と言い、血に染まる台へと視線を向けます。
☆祭壇を見ると、何か書いてあるメモ(和紙)を見つけます。
→これは「古文」であるので読むために、<考古学><歴史><日本語>判定が必要。
『盲目の巫女のメモ
村が異界へといざなわれて幾らの月日が過ぎたでしょう。
異界……ここが、常世と呼ばれる世界なのでしょう。
私の人とは違う目には感じることができます。
死の気配に満ち、瘴気が満ちるこの場では、只人では心をむしばみ気づかぬ間に死を受け入れてしまうでしょう。
私はこの目のせいか、神通力のせいか、正常を保っていますが、村どころか他者を守る力まではありません。
本日盲目の巫女の儀式を話に来られた松尾様も、人が変わっておられるようでした。
私の力で、村にできることは何があるでしょうか。
盲目の巫女の儀式を行えれば、私は皆を救えるのでしょうか』
という盲目の巫女が書いたと思われる日記のようなものでした。
☆神社に居たまま、南の門を開く方法に気付く。
※察しの良い探索者ならば門に行かずとも、門を開く方法に気付くかもしれない。
その場合、静が神社に現れます。
そして、「気づきましたね。あの門を開く鍵。そう……盲目の巫女」と祥子を指さします。
※探索者が祥子を殺して門を開くことを選ぶと逃げようとしますが、難なく捕まえられます。
☆南の門へ向かう。
盲目の巫女がなくなった神社から出て、南の門の方に行きますが、やはり門は固く閉ざされています。
どうして原因となっていただろう神社の「盲目の巫女」が消えたのに、門が開かないんだと探索者は思うでしょうが、
そこに静が現れます。探索者は警戒や驚愕するでしょうが、静はおかしそうに「そのような怖い(驚いた)顔で見ないでくださいよ。まるで幽霊でもご覧になったみたい」。
と茶化した後、門の話になり「この門を開く方法、本当にこの村を回っても、まだ気づかないのですか?それとも気づかぬフリをされているのですか?神社でもお目になさりませんでしたか?」。
☆探索者がまだわからないようならば、静は祥子を指さし、「盲目の巫女の儀式……盲目の巫女を生贄に捧げよ。そうすれば、この門は開く」と言い、紅に赤く艶めく口元をにやぁと歪め静は告げます。
告げられた祥子は、怯えたように探索者を見渡し、じりっと体を僅かに逃がします。
自分が神社に出て来た「盲目の巫女」のように殺されるのではないか、まさか、これまで行動を共にしてきた探索者がそんなことするはずはない。
そういう恐怖、逡巡、戸惑い、期待、絶望が混じった祥子の瞳が、探索者を見つめて探索者の答えを待ちます。
※探索者が祥子を殺して門を開くことを選ぶと、祥子は一心不乱に半狂乱で神社の方に向かって走っていきます。
探索者が追い付けたのは、奇しくも神社の中。
「盲目の巫女」と同じように神社の中の台の上に押さえつけると、三つの宝の内「剣」を手に祥子を殺すことになります。
そうすると、門が開いたのが、神社の中からも感じ取ることができました。
神社から門の方を向くと、門の中から光が溢れ、常世の世界を明るく照らしています。
門を抜け現世に戻れると思った探索者。
しかし、門を抜けた瞬間、肌の色が悪くなり、ドロリと腕の肉が崩れました。そして、探索者が死んだ時と同じ傷が現れます。
何だと戸惑っている探索者に、死んだときの記憶が唐突に蘇りました。
後ろで聞こえたのは、楽しげな静の笑い声が響き、それが徐々に青年の声に変化します。
「君の選択はそれか。他人を犠牲にしても、現世に戻る。良いよ。叶えてあげよう。お帰り。いや、ようこそ。異形なる常世の者よ」
クスクスと笑う声が弾け、探索者は理解します。
変わり果てた姿のままで現世に戻り、自分達が恐れていた怪物と同じ存在として生きなければならないことに。
祥子がシナリオ途中で死亡または発狂した場合、盲目の巫女を倒し門が開かないと気づいた探索者の前に、静が現れます。
「盲目の巫女が居ないのならば、作ればよいのです。盲目と言うのは、目が見えない事。神通力を持つ生きた人間でないといけませんが、……それにあった人物が居らっしゃいますよね」
「安倍ですよ。陰陽師のあの子。あの子ならば、盲目の巫女の代わりに出来ますよ」とそそのかしていきます。
安倍と戦闘を行い勝利するか、不意打ちで安倍を捕まえるか、目を潰す行動を行うことで、「安倍」の目を潰し「盲目の巫女」の代わりにすることができます。
エンド①の祥子立場が安倍に変わります。
※「盲目の巫女」は、生者である事と、ある程度の神通力・霊力などがないといけないので、探索者が代わりになる事は出来ません。
キーパーの判断で許すならば、それでも構いませんけれど。
→ここで断ると、☆エンド③ 「間の世界」に行きます。
祥子を犠牲にして現世に帰りたくないと告げると、静は意外そうに口元を隠し「それが、あなたの選択ですか?現世へ繋がる道はあの門だけ。その方法以外に、あなたが現世に行く方法はありませんよ。この空間にずっと閉じ込められるかも」と告げます。
それでも拒否するのならば、可笑しそうに鈴を転がしたような笑い声を漏らし、「後悔はなさらぬことですね。その娘を殺して門を開かない。それがあなたの答え。あなたの実験はここで終わりにしましょう。あなたから預かっていたこれも、あなたに帰しましょう」と言って、指をすいっと動かすと、
探索者の頭の中に自分が死んだ光景が流れ込んで来ます。
何となくわかっていた探索者でも、膝をついてしまうかもしれません。
そんな中、死んでいない祥子だけは探索者に何があったのかわからず、おどおどとしています。
※もうシナリオとしては終わるので、正気度ロールは無し。
探索者が正気を取り戻した頃を見計らい、静はくるりと背を見せると、手を振って消え去ってしまいます。
→「安倍」がシナリオ中に死んでいる場合は、このまま帰る方法をなくし、☆エンド③ 「間の世界」に行きます。
☆①「安倍」が同行していない場合、茫然とする探索者の元に安倍がやってきます。
「すべて、わかったのか」と探索者に声をかけてくること頃を見ると、安倍は最初から門を開く方法を知っていたようでした。
☆②「安倍」が同行している場合、俯き考えている様子を見せてから口を開き。
◯安倍の提案
「この村を覆っていた瘴気が薄れた今なら、……私にならばできることがある、かもしれない」と告げます。
帰る方法があるのかと聞く探索者には首を横に振り、「いや、お前も気づいているだろう。お前はすでに死人だ。死者を甦らせるのは、世界の因果律を歪める行為だ。(少しだけ目を伏せ)……駄目、なんだ」と首を横にふった後、「ただ、お前はまだ帰れる」と祥子を指さします。
「お前は何故か死んでいないようだ。この瘴気にも蝕まれていない。お前だけなら、私の力と、この村の宝と、……そして、皆の力すべてを使ってしまうが、女一人くらいならば現世に帰る道を開けるはずだ」
祥子は戸惑いながら周囲の気配を見渡し「でも、私だけ帰るなんて……」と言います。
安倍の提案を祥子が拒否し、全員が間の世界に残ることを選びました。
平穏に思われた世界でしたが、少しずつ少しずつ何かが狂っていきます。
目に映る世界も少しずつ少しずつ歪み、崩れ、そして……。
▽安倍の提案を受け入れ、祥子だけを帰すことになりました。
神社に戻って来た探索者と安倍と祥子。
安倍の指示により、縄を柱にかけ、その中心にある台に祥子を寝かせ、安倍は「これを手に。鼈甲は魔除けの効果がある。これがお前の魂を守り、現世に導いてくれる」自らが付けていた鼈甲のかんざしを渡します。
祥子が「そんな悪いですよ」というと、首を振り「もう私には必要がない。お前たちが来た時にはもうわかっていた。私が戻るべき時間は当の昔に過ぎ去ってしまったのだろう」と。
そして、探索者の方を向くと、「お前は縄を両手で掬うように触れていてくれ。途中力が抜けるような気がするが、手は離すな」と全員に言います。
儀式を始め、三つの宝を前に祝詞を唱える安倍。
探索者の体から何かしらの力が光となって、縄へと抜けるような感覚がし、急激に力が力が抜けそうになるのを何とかこらえることでしょう。(MP消費でほぼ0になっています)
探索者、安倍、三つの宝から発せられた未知なる力の放流が祥子を包み、天へと突き抜けます。
目映い光りに包まれ白く光る祥子の体は、爪先からぽろぽろと光の粒となって上に舞い上がります。目を覆っていた目隠しも消えていきます。
祥子は消える瞬間探索者に目隠しから解放された盲目の視線を向け、「ありがとう」と告げて消えていきます。
祥子を見送った探索者に、少し額に浮いた汗を拭う安倍が「次はお前の番だな。死者を現世に帰す訳にはいかない。けれど、お前には行くべきところがある」と言ってきます。
「このような間に居ては、お前は死んでいても、安らぐことなく、生と死を彷徨い狂ってしまう。私ができるのは、これくらいだが、死者のあるべきところで安らかに眠れ」と言い、探索者を除霊するように祝詞を唱えます。
安倍は最後の力を振り絞っているようで、唱える声も少し苦しそうです。
探索者の体も、祥子と同じように姿が半透明となり、指先や足先からぽろぽろと光の粒となって行きます。
自分が消えるのは怖いはずなのに、探索者を包む光は温かくそして安らぎを与えてくれます。
そして、すぅっと意識が途切れ、探索者は満たされた思いで、死の眠りにつくことができました。
最後に「お前を送るために、お前の神通力もすべて使い果たさせてもらった。足りて、よか、った……」と消え入りそうな安倍の声が聞こえたような気もします。
(※もし、安倍の詠唱を止めようとしても、実体をなくし始めた探索者には触ることができません)
☆キーパー情報 安倍のその後
祥子、探索者を送り出した後、安倍は力を使い果たし真っ青な顔で苦しそうな吐息を吐きながら、祭壇に置かれていた三つの宝を巻き込んで倒れてしまいます。(安倍はMPを使いきりました)
3つの宝もこれで役割を終えたかのように、崩れ破片が周囲に転がります。
破片が転がった先いつの間に来たのか、巫女の赤い袴がありました。
「帰してしまったのですか?」と静の声が降ってくるのに、閉じようとする目を何とか開いて視線だけで静を見上げ、
「私は陰陽師の端くれだ。常世にあるべき魂を送ることくらいはできる。あいつらには罪はない。こんな場所で永遠に狂う運命など、神の娯楽でも許される事ではない」と皮肉げに笑います。
神と言われてふふっと笑い、安倍の髪を掴み上げると、「あなたも面白い方ですね。気に入りました。永遠の地獄、そこに居続け導いて頂きましょう。次の実験でも、連れて来た者と仲良くしてくださいね」と言いながら、もう片方の手をかざす。
神の娯楽に組み込まれたことを察した安倍だが、抵抗もできないまま意識は遠くなり、記憶を消されてしまいました。
安倍の時間は村の時間と共に巻き戻り、次の探索者が来ればまた導く存在とされてしまうのでした。
探索者が全員死亡しました。もしくは、正気度0。
・同行者が居なければ、孤独に死亡。
・同行者の祥子が居れば、視界が暗くなる中縋り泣く祥子の声だけは聞こえていますが、その声も次第に小さくなり聞こえなくなった時には意識が途切れ、もう戻ることはありませんでした。
・正気度が0になった場合、探索者は廃人となり、もう現世に戻ることはできませんでした。
・POW0になった場合、探索者はそれ以上動けなくなり、もう現世に戻ることはできませんでした。
※探索者も幽霊のようなもののため、POW0=戦闘不能で良いと思われます。
また、POWは削られると心のバリアが弱くなるため、落ち着きがなくなったり臆病になったり情緒不安定になったりするかも、です。