2024年02月05日更新

【Coc】デリートマイン

  • 難易度:★★|
  • 人数:1人~1人|
  • プレイ時間:

【概要】『あなたにはあなたよりも守りたい物がありました』。探索者は、ある日奇跡を起こす力を持つ魔道書を手に入れました。奇跡を起こすことができる魔道書、それは希望であり願いを叶える物でした。しかし、その代償は、あなた自身の存在でした。【シナリオ要素】タイマン。一本道シナリオ。プレイヤー作成の重要な人(NPC)をキーパーがロールプレイ必要。7版ルールブック対応。舞台現代。推奨高校生。オリジナル不調要素あり。エンドは悲劇確定。 【修正】構成員に装甲着けました。以前だとバットなどでもダメボがあればワンチャンいけそうだったので。

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ストック

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☆はじめに

このシナリオは、基本的にキーパー1人とプレイヤー1人によるタイマンシナリオです。
キーパーもある程度の即席ロールプレイが必要です。
プレイヤー探索者に対する周囲の記憶や絆、所属してきた組織からの存在の喪失、戸籍などが消えていきます。
失われたそれは、シナリオを完走しても戻ることがないので、このシナリオをプレイした探索者は生きてきた軌跡をほぼ全て失うことが想定されており、終わり方が若干可哀想になります。
探索者自身の存在とはそういう風なものなので、肉体に不調が来たり四肢がなくなるようなことはありません。天涯孤独の身になったり戸籍がなくて社会的に存在していない人になる事はあっても、固定ロストはシナリオ上はありません。(ダイス運や行動によって死亡はありますが)
また、このシナリオは一方通行強制イベント発生型(一本道)シナリオです。探索や謎解き等はありません。
技能で手に入る情報やプレイヤーが問うことで入手できる情報などは、殆ど掘り下げ要素なので、情報取得の判定に失敗したからと言って進行が積むことはありません。
 

☆舞台

このシナリオは、「玄函市(くろはこし)」という街が舞台です。
探索者は現代日本の高校を想定して、イベントの内容を書いてあります。
しかし、キーパーが置き変えることができるのならば、時代背景を変えたり、舞台を会社や大学などに変更しても構いません。
なお、中学生に変更する場合は、2020のサプリなどが必要かもしれません。
 

☆プレイヤーに事前に行ってもらうこと

このシナリオでは、プレイヤーに探索者とは別に、探索者と一番親しい固い絆に結ばれている重要な人をNPCとして作成してもらうことになります。(※キャラシートの「重要な人々」という項目とほぼ同義です)
重要な人は探索に登場したりしないので、ステータスや技能値などは不要です。
この重要な人というのは、探索者のことを一番に想っていたり固い絆を結んでおり、他の人が忘れても自分だけは覚えているという立場の人です。
なので、探索者が一方的に大切に想っているだけの相手などは不可となります。逆に険悪だけれど因縁があって探索者を忘れられない人などは可能です。
 
また、プレイヤーには探索者が所属している組織(学校、部活、バイト、交友関係、家族など)と、その組織と探索者の関係の濃密さ(その組織の中で探索者がどれほど存在感があるかなど)などをあらかじめ設定しておいてもらっていると良いかと思います。
 
※キーパー情報
ここで設定してもらった重要な人や、組織に所属している他の人間から記憶が消えたり、所属していること自体がなかったことになります。
その事象が起こる直前に聞いても良いですが、事前に聞いておいた方がキーパーにもプレイヤーにも混乱も少ないと思うので、事前に決めてもらう方が無難かもしれません。
 
 


☆あらすじ

探索者は、ある日奇跡を起こせる魔道書「マレフィキウム」を手に入れました。
その魔導書は、目の前にある事象の運命を願うだけ捻じ曲げ奇跡を起こす力を持っていました。
どこか胡散臭いと思いながらも、ある組織の儀式に巻き込まれた探索者はどんどんと運命を奇跡で捻じ曲げてしまい、その強大な力を使う代償を失ってから気付くのでした。
最初は探索者のことを忘れていても不思議ではない人たちから記憶(存在)が失われ、徐々にそれが探索者のことを忘れてるのが不思議な縁の深い人からも探索者の記憶(存在)が消えていきます。
最終的に、重要な人くらいしか探索者のことがわからなくなった時に、重要な人を含む大勢の人が犠牲になるような一大事が発生します。
それを奇跡の力で捻じ曲げれば、今度こそ探索者の存在が世界全てから消えてしまうという選択を迫られます。
探索者は自分の存在と、大切な人を含む大勢。どちらを選ぶのか。
 

☆魔導書「マレフィキウス」

探索者が目の前で起こった事象を願うだけで、奇跡を起こし運命を捻じ曲げる力を持っています。
ラテン語で「悪戯」を意味します。
意識を持っており、喋ります。マレフィキウスの声は、探索者にしか聞こえず、外で話していると独り言だと思われます。
語尾に「まれー♪」とつけるなど可愛い所もありますが、探索者の存在が消えるのも「願いを叶える代償まれー。当たり前まれー」と言います。
探索者のことを最初は「にんげん」と呼びます。
MPなどを消費する代わりに、使用者の存在を世界から消し去ります。
この魔導書の効果は、すでに起こったことを覆すこと、失われたものを戻すことなどはできません。また、探索者が直接かかわっている、目の前で起きている事象にしか効果を発揮しません。
奇跡を起こすのに、「マレフィキウス」と探索者の距離は関係ありません。家に「マレフィキウス」が置いてあっても、学校で奇跡を起こしたりすることができます。
また「マレフィキウス」は捨てても、いつの間にか探索者の元にしれっと戻って来て、鞄に入っていたり、机の上に乗っていたりします。
一応、本は裏面に星型の鍵がかかっており、側面を留め具で開けないようにガッチリと留められており、普通にすれば開くことはできません。
 
ただし、<鍵開け>のイクストリームで成功すれば開けられても良い。

▽中身

開けると探索者は急に、果てしない宇宙に投げ出されたような感覚に包まれました。暗闇に浮かぶ、煌めく星々、渦巻く銀河、熱く燃える太陽。どこまでも綺麗で、とてつもない孤独。その時、急激に流れ込む宇宙の膨大な情報が、探索者を襲います。人間である探索者には全てを理解することはできませんが、通り過ぎる記憶の欠片が様々な国の言葉で叫び苦しんでいる悲惨な光景であることだけはわかりました。
<正気度ロール 1/1D10>
見終わった後、探索者はどっと疲れてしまいますが、どんな内容だったのかすぐに霧散し覚えていません。
※この内容は特に意味はない物です。以前にマレフィキウスを使用した人々の葛藤と苦渋が記録されています。
 
※キーパー情報 真相
このマレフィキウスは、「ニャルラトテップ」が自分の力の一部を封じ込めた魔導書です。
探索者が「黄金の金星」が起こす事件に巻き込まれてしまったり鉢合わせてしまうのも、「マレフィキウス」が奇跡を使わせるために、探索者の行動を操り、故意的に混沌と事件を引き寄せているからかもしれません。
「ニャルラトホテプ」にまつわることを聞くと、「にゃるるぅ、にゃるん、にゃにゃるたん♪」と日本語でない言葉でニャルラトテップのことを言ってしまい、訳がわかりません。日本語で喋ってくれと言われても、「わからないまれー」と答えます。
「石碑」や「黒と赤の隕石」を見せると「にゃるぅーにゃるぅー」と鳴きます。
キーパーが助言やマレフィキウス使用ポイントを発言したい時は、マレフィキウスに代弁して貰いましょう。
 

☆ある組織

探索者がいる街を中心に活動する秘密組織「黄金の金星」。
今の世界が間違っていると思っており、自分達の正しい運命に戻そうとしています。
その為には今生きている人間をいくら犠牲にしても構わないと思っています。今生きている人間は、間違った運命に存在している人たちであり、正しい運命の中では彼らも幸せになれると信じています。
この街に秘密組織がいるのは、探索者が通っている学校を中心に五本の石碑のような物が立っており、それがニャルラトテップを招来する儀式に相応しい地だと思われたためです。
そして、今回黒に赤い筋の入った隕石(アーティファクト:トラペゾヘドロンの中に入っている石と同質の物。しかし、かなり小さい劣化版のような隕石です)が街に飛来。
儀式に相応しい地、隕石、あとは数百人の人々を犠牲にして「ニャルラトテップ」を呼び出し、時を超える術を発動させて正しい運命に戻そうと画策しています。
 
※キーパー情報
魔導書「マレフィキウス」を探索者が拾ったのも、この組織が「マレフィキウス」をこの街に持ちこんだことが原因です。
「マレフィキウス」の前の持ち主が居たのですが、探索者と同じように存在の力を使ってしまい、「マレフィキウス」を手に入れた構成員という記録がなくなってしまったために、組織に無関係な人間が入り込んでいると処分されてしまったのかもしれません。
 

▽構成員一人分のパラメーター

STR 60 CON 55 SIZ 55 INT 65 POW 60 DEX 70 APP 50 EDU 55
耐久力:10(装甲5、防護ベストとヘルメット着用)
ダメージ・ボーナス:0
ビルド:0
移動:8
MP:12
装甲:3
戦闘技能:回避 35%、近接戦闘(格闘) 30%、射撃(拳銃) 40%、心理学 25%
特記:ただの構成員なので、それ程強くはありません。しかし、組織の訓練として拳銃の練習を全員が一通り受けているとします。
 拳銃を持つ場合は、38口径オートマチック(FN ブローニングM1910の38口径ACP弾使用)装填数の7弾を所持している。入っている7発以上は替えの弾は無し。
 ※戦闘中、拳銃を奪って使用するには、「倒す(気絶か耐久力0にする)→拾う→構えて撃つ」の手順が必要なので、拾うのに1ターンかかるとします。倒さずに奪った場合は「奪う(戦闘マヌーバー)→構えて撃つ」と拾うターンが省略されるが、武器を奪うなので奪った相手を倒せていないことになるので注意。
 ルールブックではもしかしたら構えるのに1ターン消費するかも知れないが、このシナリオでは奪う場合は構えると撃つは1ターンと考えるとします。
 

▽黒幕NPC「一色 友治(いっしき ともはる)」

探索者の学校(組織)に紛れ込んでいる『黄金の金星』構成員の支部長。
日本史の先生で、担任であったりします。
一見親身になってくれて、優しい人です。
最終日に起こる学校での生贄事件を指揮や操作しています。
☆パラメーター
STR 70 CON 60 SIZ 55 INT 60 POW 70 DEX 50 APP 55 EDU 75
耐久力:10
ダメージ・ボーナス:+1D4
ビルド:1
移動:8
MP:14
戦闘技能:回避 30%、近接戦闘(格闘) 50%、射撃(拳銃) 70%、心理学 40%
特記:呪文を唱えて、動きを止めることができる。(POW対抗)
 武器は、拳銃38口径オートマチック(FN ブローニングM1910の38口径ACP弾使用)装填数の7弾を所持している。入っている7発以上は替えの弾は無し。
 
 


☆特殊ルール

このシナリオにおいて、魔導書「マレフィキウス」を使用する毎に、プレイヤーに1D3を振ってもらい、その出目点分喪失ポイントを上昇させます。
このポイントはキーパーが管理していると良いかと思います。
魔導書「マレフィキウス」を使用できるポイントは、イベントとしての運命の歪曲、ダイス結果の歪曲代償(失敗を確定成功に変更する。プッシュの代償にして、失敗しても成功扱いにするがマレフィキウス扱いにするなど)、ファンブルしたら喪失するなど。
イベントとしてでも魔導書「マレフィキウス」を使用するのかどうかは、最初の使用以外はプレイヤー(探索者)が選択することができます。(場合によっては、探索者自身の努力だけで乗り越えられる部分もあり、「マレフィキウス」を使用せず目の前の誰かを見捨てる選択もできます)
「マレフィキウス」を使用すると事件があっけなく解決しますが代償が支払われ、探索者の実力で解消すると解決するのに苦労しますが代償は支払われません。
 
失う物の例として書いてありますが、キーパーの判断でその探索者の性格や関係によって失う物の順番や種類などは前後しても構いません。
例えば両親は探索者に関心がなく殆ど忘れさられている状態ならば、親との関係が友だちよりも先に消えてしまっても構いません。
喪失レベルは探索者に概要を直接的に伝えるよりも、漠然と描写を描いて頂いた方が物語としては良いと思います。
同じ喪失レベルのままであっても、若干喪失が進行していたり、最初に描写させられた場所以外の場所で喪失が起こっているとわかるなどすると良いかもしれません。
(喪失レベル2の場合だと、最初が学校、次にバイト先で忘れ去られている、その次は学校で不審人物だとして警察に捕まりそうになるイベントが発生するなどとするのが良いかと思います)
存在の喪失は、「マレフィキウス」を使用した瞬間に支払われます。
 

◯レベル1 喪失パラメーター1~3点

 探索者と関係の薄い名前くらいは憶えている程度の人物から、探索者の記憶が消えてしまいます。
 クラスメイトだが話したことない程度の関わりの人から、「あの人、誰だっけ?」と囁かれます。けれど、「同じクラスに居るし、あんな人もクラスに居たんだな。気づかなかったな」くらいの違和感で済みます。

◯レベル2 喪失パラメーター4~6点

 探索者と時々話したり遊んだりする友人達や担任、バイト先、部活などから、探索者の記憶が消えてしまいます。
 声をかけても「誰だ?知ってる人?」と全員が首を傾げます。
 担任の点呼なども、探索者の名前だけが呼び飛ばされ、それに異議を唱えても「何を言っているんだ。そんな名前の人間はこのクラスに居ないだろう。というか、君は誰だい?その席はずっと空席だっただろう?」と指摘を受けて、教室を出されてしまいます。
 4、5点ですとまだ学校に在籍している書類などから存在は消えていませんが、6点まで行くと学校に在籍しているという書類などからも探索者の記述が消え去って、元々探索者がそこに存在していたという事実がなくなっています。

◯レベル3 喪失パラメーター7~9点

 探索者と関係が深い家族からの記憶が消えてしまいます。
 実家暮らしの探索者ならば帰ってきたら、「誰ですか?」と家族に聞かれて家に入れてもらえなくなります。
 重要な人が家族の場合、探索者が意識しないうちは探索者が家族と言うことを忘れてしまいますが、探索者を目の前にすれば家族だと思い出すので、家族でないという事実と家族という意識に混乱気味になります。
 7点では記憶だけ、8点では部屋の内装・所持品など喪失、9点になっていれば、戸籍上も家族関係がなくなってしまっており、警察に捕まると面倒くさいことになります。
 ※住む家がなくなってしまった探索者を、見つけて重要な人が家に招くなりして助けてくれたりしましょう。探索者の両親に「恋人なの?」と聞かれて複雑な気分になるかもしれません。

◯レベル4 喪失パラメーター10~15点

 ここまで来ると、探索者のことを知る人物が重要な人くらいとなり、日常を送るのは困難になります。
 重要な人からの探索者への記憶が消えていく。大切にしていた思い出、想い、探索者の存在。
 それらが次々に消えていき、重要な人も矛盾し始める記憶に壊れかけます。
 15点近くになると、重要な人の記憶も全て消え、「あなた誰?」状態になります。

◯レベル5 喪失パラメーター∞

 このシナリオで最終的に失うもの。
 自らの戸籍、重要な人の記憶など、探索者が生きて来た全ての記録が書類上からも消えます。
 この状態になると、戸籍や自分を証明する全てのものを失うので、日本に存在していない人物となり就職などもろくに出来なくなります。
 逆に言うと、最終的にこれだけを守り切れば、天涯孤独ながらも日本国籍だけはある状態になります。


【喪失レベルとポイント表】

レベル1  レベル2  レベル3  レベル4

123 | 456 | 789 | 10・・・15


 
 


☆本編

◯導入

【概要】魔導書『マレフィキウス』の取得。

導入シーン①

探索者が目覚めると、朝の地域ニュースが目に入ります。
探索者の住む街「玄函(くろはこ)市」に数日前に落ちて来た隕石が、学校の近くにある宇宙研究所に寄贈され、今日から一週間欠片が展示棟で公開されています。この街には古代の石碑の遺跡などもあり、遺跡と共に観光の資源になるのではないかというような内容です。
その隕石の様子を映し出すテレビ画面などには、真っ黒な宝石に血のような赤い筋が入っているような、どこか不気味さや不安感を感じる隕石の映像が映し出されています。
(真実は神話的アーティファクトっぽい代物ですが、劣化版で力は弱いのでちょっと気持ち悪いなと思うくらいで正気度などが減ることはありません)
 

導入シーン②

ここから、重要な人との日常を行ってください。
重要な人が家族ならば一緒に朝ご飯を食べたり、朝の日常を演じます。
重要な人が学校の友達や恋人、幼馴染などならば、通学路話を演じましょう。
 

導入シーン③

その途中または後に、探索者が魔導書「マレフィキウス」を手に入れます。
魔導書「マレフィキウス」は探索者が通学路を歩いていると、どこかに落ちていて拾ったり、頭の上に落ちてきたりします。
もし、ここで手に取らないとしても、何故か荷物に紛れ込んでいて学校で鞄を開けた時に、あることに気付いてしまいます。
 
探索者が「マレフィキウス」を眺めると、その表紙は黒い表面に金色の四角が二個重なった星の形や三角の中に人の目が閉じたような模様などが見えます。
金色の装飾は綺麗なような気もしますが、同時に何かしら得体のしれない恐怖や違和感が探索者を襲いました。
<正気度ロール 0/1D3>
※ここで気持ち悪いと捨てたり拾わないとしても、「マレフィキウス」は次の時間にはしれっと荷物に紛れ込んでいて、拾わないや捨てることなどはできません。
 

導入シーン④

「マレフィキウス」を拾った後に、探索者が小さな願い事をしそうな状況をキーパーが考えて行ってください。
例えば、「運動大好きっぽい探索者ならば、体育の時間や部活の試合で負けそうになっています。試合時間ももう少しですが、あと一点入れられれば勝つことができそうですが」などと言って「一点は入れ」と願わせて、相手が転倒して一点入ったりしたり、
「不良っぽい探索者ならば、お昼ご飯を食べて、ぽかぽかと温かい日差しが探索者を午後の眠りに誘います。けれど、次の授業はもうすぐに始まります」などと言って、「授業受けたくない」と願わせて先生が倒れ次の授業が自習になったりしたり、「もう少しだけ寝かせて」と願わせてチャイムが鳴っても先生が大幅に遅れて来なかったり、
「お金が欲しいな」と願えば500円足元に転がってきたりというようなことを起こしましょう。
この時に探索者の技能を振ってもらっても良いですが、成功しても失敗しても探索者の力ではなく、他者の失敗や軌道が途中で曲がるような形で願いが叶うような演出にしてください。
※あくまで「マレフィキウス」の効果で、ラッキーや奇跡と思えるようなことが起こっているのです。
 

導入シーン⑤

ここで支払われている代償は、すれ違う程度に顔見知りだった人物からの記憶が消えます。(※喪失ポイントはここでは発生しません)
例えば、バイト先のあまり話したことのない常連客から「新人さん、入ったの?」と聞かれたり、行きつけのコンビニでお弁当を温めると言わなくても温めてくれる店員が「温めますか?」と聞かれて、「いつもは勝手に温めてくれる店員なのにな」と不思議に思ったりする程度の違和感が発生します。
 

導入シーン⑥

その日の夜に、探索者の自室で今日拾ってしまった変な本(マレフィキウス)を取り出して眺めていました。
よくわかりませんが、持って来てしまった。もしくは、捨てても着いてくる本に、不気味さや不思議さを感じながら見つめている感じです。
じっと眺めていると、本の10cmくらいの大きさがある金色の瞼が、不意に震えたような気がしました。そして、片目のそいつは目を開きました。
黒い吸い込まれそうな白目、中央に丸く色つくのは金色の瞳孔。瞳孔の彩光は、ローマ字がいくつも重なり合いながら、回っているように動いているようです。
本が目を開けると同時に、目の下にあった線のような部分が動き、その下に亀裂のようなものが覗きます。亀裂の中には、舌や歯が蠢いており、口のようにも見えました。
本に見つめられる非日常的な光景に、探索者は恐怖を感じました。
<正気度ロール 0/1D6>
開いた口が動き、想像していたよりは高く可愛い声が聞こえてきました。
「まれー、まれー♪やっと話せるようになったまっれー♪」とはしゃいでいるようです。
名前を聞くと「まれふぃきうす、まれー♪にんげん(探索者)は、なんていうまれー?」と答えます。
着いてくるなとかお前を捨てる方法は?とか聞かれたら、「ひーどーいーまれー。まれふぃきうす、いい子まれよ。奇跡を起こせるまれよぅー」と少しぷんぷんしたり、すねたりします。
 
マレフィキウスや探索者の自己紹介などが終わったら、マレフィキウスの力について説明を行ってください。
「まれふぃきうすは、にんげん(探索者)の願いを叶えてあげられるんだまれー。昼間も、まれふぃきうすが、にんげんの願い叶えてあげたまれー」と言います。
何のことだと探索者が言うのならば、昼間にあった願い(シーン④)をマレフィキウスに説明させてください。
更にマレフィキウスは「にんげん(探索者)が願うだけで、奇跡が起こって願いが叶うんだまれー。まれふぃきうすに、感謝するまれー」と得意げ。
マレフィキウスが何かと聞かれたら、「奇跡を起こす魔導書まれー♪」。
代償などを聞かれたら、「代償は奇跡を起こすには、微々たるもの、まれよー。にんげん(探索者)がよく心配している死ぬとかはないまれ」と言って、具体的な事は言いません。
過去に起こったことをやり直せないかとか、宝くじを今すぐ当てろとか、具体的にどんな奇跡が起こせるのかと聞かれたら、「願いはにんげん(探索者)の目の前で起ていることで、今から何か奇跡が起これば叶えられる願いしかダメまれ。もうすでに起こったことや、今目の前にないことはムリまれよ」と言います。
(宝くじを当てるは、明日宝くじ屋に行って勝って即日当たったかわかるクジならば、当たりクジと入れ替わって当たったことにする奇跡を起こせる可能性があります)
※ここで、キーパー的な説明として「マレフィキウスに願う」とマレフィキウスに奇跡を起こし願いを叶えてもらえますと伝えてください。
 「マレフィキウス」に<心理学>などを振ることはできますが、本人(本)には悪気や探索者を騙してやろうという気はなく、嘘もついてはいません。代償に関しても、マレフィキウス自身は人間1人の存在が消えることなど本当に大したことじゃないと思っているので、嘘などをついている気配はないのです。
 
 
 

◯1日目

【概要】石碑の近くで、事故に遭遇。

シーン①

次の日も昨日と変わらぬ日々が続きます。
「マレフィキウス」のことを質の悪い冗談・夢だと思う探索者でしたが、「マレフィキウス」はしれっと鞄に入っていたり、話しかけて来たりします。
※このシーンは、シーン②と合わせても良い。
 

シーン②

学校にいると、担任の「一色 友治(いっしき ともはる)」が声をかけてきます。
※探索者が社会人である場合は、同僚や上司、会社の上層部などに変更すると良いでしょう。
一色は「君は、歴史に興味はないかい。例えば、この土地の歴史は面白いよ。君も知っているだろう。この街には、五つの石碑があるのだが、それがこの学校を中心に正五芒星の形に配置されているんだ。それが奇遇だとは思えない。遥か昔に、ここが何かしらの意味を持つ場所と推測するのが妥当だと思わないかい」と話をしていきます。
最後に「もし、興味があるのなら、ここから一番近い駅前の石碑を見に行ってみると良いよ」と言います。
その駅前の石碑と言われて探索者は、自分の通学路に例の石碑があったことをうろ覚えながら思い出します。
※<心理学>を行うと、「本当に歴史が好きなのか、どこか陶酔しているような様子」です。
 

シーン③

家へと帰る探索者は、駅前に差し掛かった時、昼間一色が言っていた石碑がその近くにあることを思い出します。
その石碑は、あと5分ほど歩いたところにあるなと思った時、「プップー」とけたたましいクラクションや、「キキィィィーー!!」と車のタイヤが空回るような音が背後から聞こえました。
何事かと振り返った探索者は、迫ってくる猛スピードの車が目に入ります。その軌道は、探索者に真っ直ぐに向かってきます。このままでは探索者に引かれてしまうかもしれません。
 
☆車を回避する。
<マレフィキウス>を使用して願う。<喪失パラメーター 1D3増加>。
 →確定で、車の軌道が逸れていきます。
横に通り抜けるように、<幸運>を使用する。
 →成功すれば、車は探索者の脇を猛スピードで走り抜けていきます。
避けようとして、<回避><跳躍>を使用する。
 →成功すれば、探索者は車を間一髪で避けます。もしくは、飛びのいて避けます。
→棒立ちを選ぶ、または失敗してしまうと、探索者は猛スピードで走って来た車に引っかけられて1D6のダメージを受けます。(直撃はしません)
 
(探索者を引っかけた車の勢いは衰えず、)車はその先にある人が集まる商店へと吸い込まれるように、人を容赦なく跳ね飛ばしながら突撃していきました。
車が全てをなぎ倒し開けた視界に、白い石碑にぶつかって止まった車が見えました。
引かれ跳ね飛ばされた人々や事故を起こしひしゃげた車を目撃した探索者は、衝撃を覚えました。
<正気度ロール 0/1D3>
 
ひしゃげた車に周囲の人々は「大丈夫か?」と声をかけています。何か様子がおかしいような気もします。
☆ここで<聞き耳>を振ることができます。
 →成功すれば、「おい、お前、なんで出てこないんだ?何してるんだ?後ろに手を伸ばして……大切な荷物があるのか?そんなことより、早く」と言う車に向かった救助者が戸惑う声が聞こえます。
 →失敗した場合、周囲の喧騒がうるさくて、救助者が運転手と話している声は聞こえません。
 
次の瞬間「おい、これって、ヤバくないか?!ガソリンが漏れているぞ!逃げろ!」と人々が叫んでいるのが聞こえます。
探索者が何事だと車を観察すると、ドクドクと車の下にガソリンがこぼれていく中、扉は開いておらず運転手が出て来る様子がありません。
車の周囲には逃げる人々や、引かれて倒れている人、倒れている人を助けようとしている人などが混乱したように行きかっています。
このままガソリンに火が移ってしまえば、その人々も巻き込んで爆発してしまうでしょう。
少なくとも車に残っている運転手の命は危ないです。
 
☆ガソリンをどうする。
<マレフィキウス>を使用して「ガソリンに燃え移るな」と願う。<喪失パラメーター 1D3増加>。
 →確定で、突然豪雨が降って来て炎上を仕掛けていた車の火が燃え移ることはなくガソリンが薄まり、一分後程でやって来た消防車によって完全に爆発の危機は去ることになります。
 ただし、運転手はガラス片が胸に刺さった状態で発見されます。
 後で話を聞くと「あの時雨が降って来なければ危なかったらしいぞ」と耳にします。
 
☆運転手を助ける
<マレフィキウス>を使用して「助かれ」と願う。<喪失パラメーター 1D3増加>。
 →ガソリンに燃え移るなと願った時と同じように、雨が降ってきます。
 しかし、運転手はガラス片が胸に刺さった状態で発見されます。
 (※探索者が願った時点では生きていましたが、ガソリンを燃やせないのに気付き、ガラスの破片を胸に突き刺し自ら死亡しました)
消火器などを探して探すなら<幸運>を使用する。
 →無事消火器を見つけることができます。
<DEX>で駆け寄る。
 →無事駆け寄ることができます。
→失敗する、もしくは近寄らない場合は、爆発します。
 
☆大破した車へと近づいた探索者。目に見えて火の手が上がっている様子はありませんが、周囲にはガソリンの臭いが立ち込め、少しの火花でもあれば火が燃え移ってしまうでしょう。
運転席を探索者が割れた窓から覗き込むと、座席に座ったまま出て来る気配もなく呆けたようにぶつぶつと呟く運転手を目撃します。
ここから何か行動を行う毎に<幸運のハード>を振ってもらい、失敗するとガソリンに火が付きますと、探索者に伝えてください。
 
<目星>→ぶつぶつと呟く運転手よりも探索者が気になったのは、助手席に放り投げられたガソリンタンクのような容器でした。
<聞き耳>→「……しゃめっしゅ しゃめっしゅ……にゃるらとてっぷつがー……くとぅるふふたぐん……」という呪文のような変な言葉を一心不乱に口にしています。
<STR>+ビルド→なんでもいいから運転手を助ける。探索者の<STR>で判定。ただし、探索者と「黄金の金星」の構成員のビルドを比べ、その差によってペナルティダイス、もしくはボーナスダイスを付与する。
 →成功すると、抵抗する運転手を車から引っ張り出すことに成功する。
 
☆車爆発。
次の瞬間探索者は、爆発の轟音と衝撃、共に弾ける金属片、赤く燃え上がる車を見ました。
周囲に居た人々は、爆発に飛んだ車の破片、突撃した店の瓦礫に傷つき、一台の車だけでそこまで燃えるのかと思うほど燃え上がる炎になす術なく逃げ惑い、巻かれ、焼かれています。
叫んでいるのが聞こえる気がしますが、耳は音を拾わず、キーンと耳鳴りが響いているのは、先ほどの爆発のせいでしょうか。
それとも探索者が倒れてしまったせいでしょうか。
目の前に地獄が広がっています。
<正気度ロール 0/1D6>
 
探索者が車の近くに居た場合は、爆発の影響を受け、<幸運>を振って下さい。
成功すればダメージ1D3、失敗すればダメージ2D3となります。
ただし、<マレフィキウス>を使用を宣言すれば、確定でダメージ無しの無傷で助かることができます。<喪失パラメーター 1D3増加>。
※爆発するのは唐突なので、爆発確定してから「マレフィキウス」を使用しても、爆発を止めることはできません。あくまで探索者の怪我をしないように倒れた頭上に爆風が通るや爆風で圧されて安全な位置まで飛ぶ等の奇跡しか起こせません。
 

シーン④

自動車事故の後、探索者が病院に配送されたり、家に帰ってきたりします。
病院に配送されたとしても、もっと重症の人が居るので探索者は家に帰されることになります。
 
☆探索者は変わらない日常を送ろうとしますが、「マレフィキウス」を使用していたら異常が発生する可能性があります。
 レベル3(家族から記憶が消える)以上になっていると、家に帰ることができなくなる可能性もあります。
 
家に帰った探索者に、重要な人が話しかけて来たり、電話をかけてきます。
「自動車事故に巻き込まれたって聞いた」と始まり、「無事でよかった」という心配してくれたような内容です。
 
そして、「明日、ニュースにあった宇宙研究所に気晴らしに例の隕石を見に行こう」と誘われたり、「例の宇宙研究所の入場券を知り合いに貰ったから、明日気晴らしに隕石を見に行ってくればどうだ」と言われて行くことを勧められます。
(※この誘うのは、2日目でも構いません。また、ここで探索者が断った場合、2日目の放課後に強制的に連れて行くなどしましょう)
 
☆ここで情報をネットニュースなどで調べられないですかと聞かれれば、<コンピューター>で調べることができます。
 何を調べるのかは、探索者が何を調べたいのか言ったものが調べられます。
【宇宙研究所】→「玄函市では有名な宇宙研究所。研究所と言われているが、展示棟があり研究結果や展示物などを見ることができる。現在は数日前に飛来した隕石の欠片が特別な展示スペースが確保され展示されている。ネットの写真を見ると、導入のニュースで見た、謎の隕石が四角い白い部屋の中央にガラスケースに納められている様子が映されています」
【自動車事故のニュース】→死傷者などが書かれている普通のニュースの他に、噂話程度に「なんだか事件性があるらしいよ」「大量の灯油を積んでいたらしくて」「運転手の人も自殺したんじゃないかとか言われているみたい」とか回っています。
【マレフィキウス】→マレフィキウスについては、ラテン語で悪戯と言う言葉であるくらいしかわかりません。
【運転手が呟いていた言葉を検索する】→めぼしい情報はありません。
【石碑の情報】→石碑は遥か昔からあるようで、撤去しようとすると災いが起こるというような噂があります。石碑がある場所は、「駅前商店街」「図書館の中庭」「住宅街の一角」「広い公園の噴水前」「デパート前広場」の五つであることがわかります。その場所は地図で見ると、一色 友治が言ったように、学校を中心に同じような距離に等間隔で配置されていることがわかります。
  
※1日が終了すると、耐久力が1回復。
 
 
 

◯2日目

【概要】秘密組織『黄金の金星』が起こした隕石強奪事件が発生する。

シーン①

探索者が目覚めると、朝の地域ニュースが目に入ります。
丁度昨日の自動車についてのニュースが流れているようで、半壊した商店街と血に汚れた地面と石碑が、テレビの画面に映っています。
少なくない死傷者数が表示されます。死んでしまった人もいるようです。
更にニュースが読み上げてられて行くと、「昨日「駅前」で発生された自動車事故の車には大量の灯油が積まれており、事故自体も車両の故障などの不具合はなく故意であった可能性が高く、事件性があるのではないか」と伝えています。
「警察は怨恨の可能性も視野に入れて捜査をしていますが、犯人が死亡しており動機の特定には困難を極める物と思われています。つぎのニュースです。図書館の中庭で、殺傷事件が発生しました。犯人は取り押さえられましたが、警察の前で自らの命を絶ち……」と話しています。
(※探索者が運転手を助けていた場合も、運転手は獄中で自殺をしてしまったようです)
 
☆ここでニュースなどの情報をネットニュースなどで調べられないですかと聞かれれば、技能無しで以下の情報を得ることができます。
【図書館の殺傷事件】→図書館の中庭にて、包丁を振り回し20人くらいの人々を殺傷したという事件です。犯人は取り押さえられましたが、「これが私の役割だ!本来の世界では、私は幸せになる!」と言って、自らを刺して自殺しましたと書いてありました。
【石碑の情報】→石碑は遥か昔からあるようで、撤去しようとすると災いが起こるというような噂があります。石碑がある場所は、「駅前商店街」「図書館の中庭」「住宅街の一角」「広い公園の噴水前」「デパート前広場」の五つであることがわかります。その場所は地図で見ると、一色 友治が言ったように、学校を中心に同じような距離に等間隔で配置されていることがわかります。
 

シーン②

怪我をしたが、動けない訳ではない探索者は、学校に行くことにしました。
※ここで、学校に行かないことも可能です。その場合は、放課後に重要な人が「宇宙研究所」に誘うまで飛びます。
 
☆変わらない日常を探索者は送りますが、「マレフィキウス」を使用していたら異常が発生します。
 ここで発生する日常には、喪失パラメーターのレベルによって失われてしまったものを描写してください。
 

シーン③

放課後になり、重要な人が声をかけてきます。
学校に居る人物ならば構内で、家に居る両親などならば帰宅途中の道で鉢合わせするか、電話やメールなどで連絡をしてきても良いです。
もしくは、探索者が自主的に貰ったチケットで「宇宙研究所」に行くならば、探索者一人で向かっても良いです。
 

シーン④

「宇宙研究所の展示棟」に来た探索者。
入場することは簡単にできましたが、やはり例の隕石の欠片の閲覧ブースである個室には人が沢山おり、30人ほどが列となって閲覧ブースの外からでも覗き込めば明らかに行列ができていると見えます。人だかりのすき間を縫って見れば、部屋の奥中央に透明なケースが見えます。
そこに例の隕石が展示されているのでしょう。
待つならばそこそこ時間がかかりそうです。
 
探索者は、隕石を見るために並んだり、別の展示物を見に行こうと閲覧ブースから移動しようとしたところ、大きめの肩かけ鞄を持った同じような格好の3人の男性が、閲覧ブースに並んでる人々の列を無視して早足で突入していきます。
並んでいる人たちは不思議そうであったり、割り込みだぞと怒っている人もいましたが、すぐに閲覧ブースの中にいたスタッフが「お客様、皆さまお並び頂いておりますので、最後尾にお並び下さい」と駆け寄り止めに入ります。
しかし、次の瞬間3人の男性たちは、手に持っていた鞄から黒く鈍く光る銃を取り出して、スタッフに突き付けました。
「え?本物?」「な、何が始まったんだ?」「モデルガンでしょ?」と困惑する客たち。
「大人しくしろ。全員動くな。動いたら、容赦なく撃つ」男達は銃を突き付けながら叫び、その中の1人がリモコンのような端末らしい機械を取り出しました。
その光景はまるで爆弾の起動装置を掲げるテロリストのようで、客たちは半信半疑ながら戦々恐々と悪い予感を巡らせます。
「何アレ?え、まさか、あれ、爆弾?」「そんな馬鹿なこと」「でも、拳銃にあんなリモコンって……」「だから、偽物でしょ?」と話していますが、皆顔は青ざめあと少しの刺激でパニックになってしまうでしょう。
  
☆探索者が逃げると選択をするならば、外まで逃げることができます。
 しかし、探索者の位置によって少し事情が変わります。

①探索者が列に並んでいる。

 探索者がすでに閲覧ブースに入っている場合は、目の前に3人の男達が銃を構えているので奇妙な動きを見せれば撃たれてしまうかもしれません。
 隠れるのに<隠密>の成功+逃げるのに<回避>の成功が必要です。どちらか一方でも失敗したら、逃げられません。

②探索者が、他の閲覧物を見に行こうと隕石閲覧のブース外にいる。

 3人の男達の意識はブース外までは今のところ向いていないので、<DEXのハード>で逃げることができます。
 ただし、助けたい同行者一人につきペナルティーダイスを1個追加します。

③探索者以外の客も逃げているのに乗って、探索者も逃げる。

 3人の男達は逃げる客全員に意識できないので、<DEXのハード>で逃げることができます。
 ただし、助けたい同行者一人につきペナルティーダイスを1個追加します。
※ここで失敗した場合、「マレフィキウス」を使用して失敗を確定成功に変更することができます<喪失パラメーター 1D3増加>。
 ただし、2つ判定成功が必要である場合は、2回分の喪失判定が必要になります<喪失パラメーター 2D3増加>。

→逃げた場合、外から中の様子を誰かが動画で配信しているのを見ることになります。

 
 逃げるのに、失敗すると3人の男たちに銃口を向けられ「止まれ!」と銃撃されます。(幸運 ダメージ 0/1D3)
 「マレフィキウス」を使用すると、確定で弾が当たらないようにすることができます<喪失パラメーター 1D3増加>。
 幸運に成功したら弾は当たらないが、逃げ切ることはできません。
 同時に独りの男が爆弾だと皆が怯えているボタンを押すと、閲覧ブースの入り口を中心に廊下の両端、入口の前にも防火シャッターが下りて来て、そのブース付近が閉鎖され、逃げられなくなります。
 (※爆弾のボタンと思われていましたが、実は防火シャッターを閉じるボタンです)
 
※探索者が望むならば、銃持ちの構成員×3と戦闘して倒すことはできます。ただし、戦えるのは探索者のみなので、戦闘は苦しいです。
 もし、探索者が2人に勝てたならば、残された1人が慌てたように走り出しガラスケースを割って「隕石」を奪って逃げていきます。
 ここで銃を奪うと、探索者が銃を所持できるチャンスです。(ただし、所持できるかはキーパーの判断にお任せます。警察の事情聴取の時に銃は回収ですと、所持を防いでも構いません)
 
爆弾だと怯える客たち、銃を突き付けられるスタッフ、そんな中スタッフの中でも男たちの意識が向いていない一人が、3人の男の1人に飛びつきました。
もみ合ったスタッフと男たちの1人。
しかし、男が飛びかかったスタッフに発砲する乾いた銃声が響き、スタッフの頭が弾け血が室内に飛び散りました。ガクリと力なくひざまづき、倒れるスタッフはまるで人形のような動きです。
人の死を目の当たりした探索者。
<正気度ロール 0/1D3>
 
先ほどまで騒めいていた客たちは唖然として一瞬シンっと静まり返った後、「きゃぁあああー!!」と悲鳴が聞こえ、「死にたくない」「逃げろ!」「あの、銃、本物……」と客たちが一目散に出口へと駆けだそうとします。
すると、男達は慌てたように爆弾のスイッチだと思われていたボタンを押します。
「ヴィィィン」と駆動音が天井から聞こえると、道を塞ぐように防火シャッターが下りて来て、逃げようとする客たちを容赦なく閉じ込めます。
※この防火シャッターが閉まり切ると、探索者が外に逃げることができなくなります。
 この防火シャッターを「マレフィキウス」を使用して、下りて来てくる止めることも出来ます。
 ただし、シャッターが下りきった後、銃を突き付けられてシャッターどころでない場合は使用することはできません。
 
男達は、少しだけ慌てた素振りを見せますが、「私たちの役目を果たそう」と頷いています。
「大人しくしろ。我々に従えば悪いようにはしない」と怯える客やスタッフたちを2人の男が銃を突き付けて制す中、1人の男が隕石が展示されているガラスケースの方に歩いていきます。
歩いて行った男は何かぶつぶつと呟いているような気がします。
☆ここで<聞き耳>を振ることができます。
 →成功すれば、「……しゃめっしゅ しゃめっしゅ……にゃるらとてっぷつがー……くとぅるふふたぐん……。これが、我らを導くアーティファクト。これでやっと、我らの悲願が……」と呟いています。
 (もし、自動車事故の時、運転手の呟きを聞いていれば同じだと思います)
 →失敗した場合、周囲の怯えた声や鳴き声がうるさくて聞こえません。
 
ガラスケースの前に立った男は、銃でガラスケースをたたき割り、中の隕石を取り出し懐に入れました。
「仕事は完了だ」と頷き合う3人の男達は、鞄を地面に置き、その中から小さめの灯油のポリタンクを取り出し、中身を周囲に巻き始めます。
怯える客たちや止めるスタッフたちに、「安心しろ。お前たちは救われるんだ」と男達はライターに火をつけ無慈悲に灯油に投げ入れます。
燃え移った炎を見届けると、男達はその場から逃げ出します。
防火シャッターも、男達が走り去る場所だけ独りでに1m程上がり、男達は容易に逃げ去ることができます。
燃え広がり炎は天井まで広がりますがスプリンクラーは作動しません。
防火シャッターを下ろすボタンを持っていたこと、作動しないスプリンクラーも、3人の男達が何かしたのかましれません。
☆「マレフィキウス」を使用して炎が付くのを止めようとした場合、男達のライターなどの火を消すことができますが、3人ともライターをつけようとしますので、火をつけられないようにするのは難しいです。<使用した分:喪失パラメーター 1D3増加>
 
☆「マレフィキウス」を使用して「着いた火を消えろ」と願う。<喪失パラメーター 1D3増加>
 すると確定で、スプリンクラーが作動し、燃えていた炎が鎮火します。
 その数分後、探索者たちは助け出されました。
 ※これで助かった場合、銃で最初に殺されたスタッフ以外は助かることになります。
 
☆「マレフィキウス」を使用して「助かりたい」「防火シャッターをどうにかしたい」と願う。<喪失パラメーター 1D3増加>
 すると確定で、車が猛スピードで向かってくるような音が聞こえ、次の瞬間轟音と共に衝撃が建物を揺らしました。
 なんだ?と思って衝撃が起こった場所を見ると、入口から突入したトラックが防火シャッターを歪め、外に出られそうなすき間を開けています。
 運転席を見やると、蜘蛛の巣のように割れたフロントガラスにはトマトを潰したような血の跡、そして窓から飛び出ている力ない腕。
 奇跡が起こり逃げる道を確保できましたが、探索者が願ったばかりに運転手は事故に遭遇してしまったのでしょうか。
<正気度ロール 0/1D3>
 ※これで逃げ出した場合、他の客が大勢死ぬことになります。
 
☆防火シャッターを自力で突破する。
 煙と人込みの中、防火扉を見つけるのに<目星>の成功+扉を開くのに<STRのハード(NPCに手伝いを要求した場合は、レギュラー)>成功が必要。どちらも成功させることで初めて脱出できる。
 一つの行動(判定)を行うたびに、火事による負傷を受けてダメージ1D3発生とする。
 また6ターンが経過すると、救助隊が到着し助け出されるとします。それまでに耐久力0にならなければチャンスが残されています。
 耐久力3以下になる前には、「マレフィキウス」<喪失パラメーター 1D3増加>を使用すれば助かりますよと告げましょう。
 ※ここで「マレフィキウス」を使用すると、上記のトラックが突っ込んで来るになります。
 

▽事件に巻き込まれる前に逃げた場合

防火シャッターが下りる前に逃げた場合、宇宙研究所の展示棟の周りには人だかりができていました。
スタッフは慌てた様子で走り回り「どうして、防火シャッターが下りているんだ?!」「なんでも防火システムがハッキングされているみたいで……」と話しています。
野次馬は「何が中で起こっているんだ?」と話しており、「それがさ、なんかテロ?強盗事件?が起きてるらしいよ。このライブ動画見てみ」とスマートフォンで動画を見せています。
その情報を知った探索者は、防火シャッターが下りた閲覧ブースの様子を見ることができます。
探索者が遭遇する、銃撃やスタッフの死亡、灯油に炎をつけるなどの事件が起こります。
探索者が望むのならば、「マレフィキウス」の力で、探索者が居る時と同じように奇跡を起こすことができます。<喪失パラメーター 1D3増加>
※作動しないスプリンクラーや防火シャッターは、研究所の防火設備のハッキングが原因です。
 

シーン④

何とか助かった探索者は、警察の事情聴取や病院の治療から、夜家に帰ってきます。
 
☆探索者は変わらない日常を送ろうとしますが、「マレフィキウス」を使用していたら異常が発生する可能性があります。
 レベル3(家族から記憶が消える)以上になっていると、家に帰ることができなくなる可能性もあります。
 
そして、電話か家に来る重要な人と、無事を確かめ合ったり、心配してくれるような会話を行いましょう。
※喪失パラメーターが2日目で1ポイントでも上昇している場合は、昨日巻き込まれた事件のことは警察にも忘れられています。
 
☆ここでニュースなどの情報をネットニュースなどで調べられないですかと聞かれれば、<コンピューター>で調べることができます。
 何を調べるのかは、探索者が何を調べたいのか言ったものが調べられます。
【宇宙研究所】→「事件が起き、しばらく営業停止します」というニュースが表示されます。
【宇宙研究所事件のニュース】→死傷者などが書かれている普通のニュースの他に、噂話程度に「あの動画見た?」「なんだか、黄金の金星?とかいう組織が関わっているんだって」「スプリンクラーもハッキングされていて作動しなかったらしいよ」と出回っています。
【犯人が呟いていた言葉を検索する】→めぼしい情報はありません。
【黄金の金星】→都市伝説掲示板に「秘密結社?」「宗教団体?」「今日起こった宇宙研究所に隕石を渡せとか脅迫文を送っていたらしい」等と書かれています。
【石碑の情報】→石碑は遥か昔からあるようで、撤去しようとすると災いが起こるというような噂があります。石碑がある場所は、「駅前商店街」「図書館の中庭」「住宅街の一角」「広い公園の噴水前」「デパート前広場」の五つであることがわかります。その場所は地図で見ると、一色 友治が言ったように、学校を中心に同じような距離に等間隔で配置されていることがわかります。
 
※1日が終了すると、耐久力が1回復。
 
 
 

◯3日目

【概要】血を捧げる為に秘密組織『黄金の金星』が石碑がある「デパート前公園」でテロが起こる。

シーン①

探索者が目覚めると、朝の地域ニュースが目に入ります。
昨日の宇宙研究所で起こった隕石強盗テロ事件の話をしています。
「犯人の目的は、隕石の欠片のようですが、この事件での被害は甚大なもので……」などとアナウンサーが話しています。
続いてキャスターらしき男が沈痛な面持ちで続けます。「最近、悲惨な事件がこの街で起きていますね。昨日は住宅街で周囲の家を巻き込む火事と、公園でもプロパンガスが爆発した騒ぎがあったんですよね」と喋るキャスターの後ろのスクリーンに、どこかの住宅街のような画像や遊具が壊れた公園などが映し出されます。
その時、探索者は何かが引っかかったような気がします。
 
☆ここで<目星>を振ることができます。
→成功すると、2つの場所の画像の端に一昨日の事故現場にあった石碑と同じようなシルエットが映り込んでいるのに気付きます。偶然にしても出来過ぎたように、その存在が探索者の意識に引っかかります。
→失敗すると、じっと眺めてみますが、何が引っかかったのかわかりません。気のせいだったようです。
 
☆このニュースを見た後、一昨日と同様のニュースについてスマートフォンなどで調べられますかと聞かれたら、技能無しに以下の情報が出てきます。
 昨日起こった事件現場は「住宅街」「公園」2つで、2つ共誰かに故意的に起こされた事件らしく、少なくない死傷者が出ているようです。
 
☆ここで、例の石碑で残っている柱の場所を聞かれたら、「デパート前広場」ですと伝えてください。
 ここで警察に次に事件が起こる場所を通報できますかと言われたら、通報できますが「なんでそう思うんだい?君が行っているのかい?」と問われます。ここで石碑があるから等と言うと悪戯かと飽きれられます。
 交渉技能を成功させると、「明日はアイドルのショーもあるようだし、少し考えておこう」と電話を切られます。これを行うとアイドルのショーにボディーガードが登場させてもよいですが、避難誘導してくれるだけです。
 

シーン②

怪我をしたが、動けない訳ではない探索者は、学校に行くことにしました。
※ここで、学校に行かないことも可能です。
 
☆変わらない日常を探索者は送りますが、「マレフィキウス」を使用していたら異常が発生します。
 ここで発生する日常には、喪失パラメーターのレベルによって失われてしまったものを描写してください。
 場合によっては、学校に行っても生徒ではないと言われ、追い出されてしまう可能性があります。
 

シーン③

探索者は気分転換または何とはなく街を歩いていると、巨大なデパートの前を通りかかった時に大音量の音楽が聞こえてきました。
デパートの前の広場には簡易的な舞台が組まれ、可愛い女の子のアイドルが歌って踊るショーが行われているようでした。
石碑は、そのショーの舞台の後ろ側にあるようです。
歓声や歌声などで日頃とは違う熱気に包まれていますが、日常が広がっています。
アイドルの姿が見える舞台の周囲は群れの方は人の密度が高いですが、広場のベンチには空きがあり、歌を聞くだけならば漏れ聞こえる歌声で十分です。
 
その時、「ドカーン、ドカーン!」爆発音と共に衝撃が周囲を震わせ、地面が揺れます。
音は上から聞こえました。見上げるとデパートの上階で黒い煙が上がっています。
そこから降り注ぐガラスの雨、瓦礫が落ちて来て、それが当たった人が数人血を流して倒れています。
「ドーン、ぐしゃ!」
その時何か黒い影が探索者の目の前を横切り、垂直に頭から突き刺さり、熟したトマトがはぜるような音が探索者の耳にこべりつきました。
それは、頭上から落ちて来た人が、地面に衝突した光景でした。
飛び散る肉片、零れる脳漿、あり得ない方向に曲がり飛び出す骨、見開かれ飛び出た眼球。
それを探索者は直視してしまいました。
<正気度ロール 0/1D6>
※この事象は、急な出来事だったので「マレフィキウス」を使用して曲げることはできません。
 ただし、「誰も死ぬな」という願いをした場合は発動します。もう死亡している人は助かりませんが、近くに居た人々が周囲の人の怪我の治療を迅速に始め出します。<喪失パラメーター 1D3増加>
 
☆探索者は<回避>または<幸運のハード>の判定を行ってもらってください。
 失敗した場合、ガラス片や瓦礫が探索者に当たりダメージ1D6。
 失敗しても「マレフィキウス」を使用した場合、失敗を確定成功にすることができ、奇跡的に探索者に当たらなかったことに出来ます。<喪失パラメーター 1D3増加>
 
→ここから探索者は逃げることも、デパートの中に入ることも出来ます。
 逃げる場合は、何もなく逃げ帰ることができます。
 

【重要な人がいる場合】

もし、重要な人が関わっていないと探索者が動かない場合は、重要な人がデパートのショーに来ていても良いです。
けれど、重要な人が何故か事故に巻き込まれる人になってしまうので、できれば出てこない方が無難です。
重要な人ファーストとか、重要な人が2日目の宇宙研究所に登場していなければ、登場させても良い。
 
☆重要な人がいる場合は、爆発で逃げる人々に重要な人と探索者が分断されてしまい、更に爆発が頭上から聞こえ探索者は重要な人の上に降り注ぐガラス片や瓦礫を目にします。
・<マレフィキウス>を使用する→確定で重要な人に、ガラス片や瓦礫は当たることはありません。<喪失パラメーター 1D3増加>
・庇う場合は<DEX>で走って行って庇うことができる。→成功すれば、ダメージ1D3を受けます。
 ただし、<DEXのハード>以上→成功すれば、引き寄せるや突き飛ばすことができたとし、ダメージは受けないことができます。
・最初から突き飛ばすを選んだ場合は<近接戦闘(格闘)>→成功で突き飛ばして回避させることができます。
→失敗した場合、重要な人が怪我を負う描写が入ります。以下のデパートに入りに行こうとする判定を行う時、ペナルティーダイスが1つ追加されます。
 
この後重要な人を置いて、デパートの中に入ろうとして引き止められれば、<説得><言いくるめ>で説得するか、<DEX>で走っていくに、成功しないとデパートに入ることができません。
※昨夜通報し、ボディーガードが登場している場合は、その人に預けて避難しろと言えるため、ボーナスダイス1つ追加しても良い。
 
 

▽デパートに入る

デパートに入ると、中も騒然としていました。
入口に押し寄せる人々の群れ、無我夢中に押しのけ、探索者はデパート内に足を中々踏み込むことができません。
 
☆デパートの外に押し出されるのを防ぐ為に、押し返す時は<STRのハード>、格闘的に押しのける時は<近接戦闘(格闘)>で判定し、成功すればその場に踏みとどまることができます。
「マレフィキウス」を使用する時は、押し寄せていた人々が目の前で倒れ、若干踏みとどまれます。<喪失パラメーター 1D3増加>
 
踏みとどまれたことで周囲に注意を向ける余裕ができます。
<目星>を振ってもらってください。
→成功すると、視界の端で「一色 友治」が居るのが見えました。彼はこの惨状の中、嬉しそうに口元を微笑みに歪めて逃げる後ろ姿が見えます。
→失敗すると、誰だかはわかりませんが、この惨状の中、嬉しそうに口元を微笑みに歪めた人物が探索者の目の端を掠めて逃げて行きました。
 
失敗しても成功しても、押し寄せる人の群れから抜け出せず、探索者は違和感を感じた人物を追いかけることができません。
 

シーン④

探索者は、茫然、もしくは考え込みながら、家に帰ってきます。
 
☆探索者は変わらない日常を送ろうとしますが、「マレフィキウス」を使用していたら異常が発生する可能性があります。
 レベル3(家族から記憶が消える)以上になっていると、家に帰ることができなくなる可能性もあります。
 ここまで来ると、もう殆ど探索者の存在が消えていると予測されます。
 
※1日が終了すると、耐久力が1回復。
 
 
 

◯4日目(最終日)

【概要】学校にいた全校生徒が秘密組織『黄金の金星』によって生贄に捧げられる。
※探索者が社会人である場合は、ここは務めている会社などに変更すると良いでしょう。

シーン①

その日は朝からどこか不安な空気が漂う、暗い曇天の空でした。
日常に慣れた探索者の足は自然と学校へと向かいます。
もうそこには探索者の居場所はないかもしれないと思うと、気が滅入り歩みは鈍ります。
朝に重要な人と出会っていたとしても、遅刻するから先に行くと先に学校へと向かいます。
(※学校に探索者が行きたくない場合は、朝から行かなくとも構いません。不穏な気配を感じ、暗闇が学校を中心に展開されて、学校につくという流れでも構いません)
 
遅刻寸前に学校へとたどり着いた探索者は違和感を感じました。
ホームルームが始まる時間とは言え、学校の中に異様な程の静けさが満ちているのです。
そして、ここ数日何度か嗅いだ覚えのある悪臭が漂っています。
まさかと思いながら探索者は学内を彷徨うことになります。
 
☆ここから校内を移動する毎に、<幸運>を振ってもらってください。
 移動する場所は探索者が決めてもらって良いと思います。
→成功すると、重要な人がいる正解の場所に辿り着くことができます。
→失敗すると、銃を持っている構成員1D3人に見つかります。戦闘する事も出来ますが、戦闘前に<隠密>で隠れる、<DEX>で逃げるなどができます。
※銃を奪うと、銃を所持するチャンスです。
 場所は教室などでは、倒れている生徒が居るのがわかります。その中に、重要な人の姿はありませんが、日常パートで登場したクラスメイトや部活の友達、バイトの友達などが居ますと伝えても良いです。
 
(重要な人が居る場所に辿り着いた探索者)
その場所へとたどり着いた探索者の目には驚愕の光景が映りました。
地面を埋め尽くように横たわっている大勢の生徒たち、皆死んでいるのか生きているのかわかりません。
※脈などを確かめれば弱いですが、感じられる気がします。
 
「うぅぅ……」
探索者の耳に耳慣れた重要な人の声が聞こえました。
(※重要な人が学校関係者で入場合は、倒れている人は生徒たち以外も混じっているようで、周囲の人間も攫ってきているというような描写を入れる。または重要な人が自ら事件に飛び込むような人ならば、重要な人も違和感を感じて学校に駆けつけたという感じにすると良いでしょう)
周囲を見回してみると、倒れた人々の中で苦しそうな息を吐く重要な人が倒れているのを見つけます。
重要な人は起こすと薄らと目を開け「何があったのかわからないが、急に眠くなって、力が入らなくなったと思ったら、皆倒れて……」と言います。
その時足音が聞こえ、一色 友治と二人の構成員が姿を現します。その手には銃を握っているようです。
(喪失パラメーターで記憶が消えている場合は、「君は、誰だい?その格好は生徒だと思うけれど、君みたいな子は見たことがない」と声をかけてきます。覚えている場合は、名前を呼ばれます)
 
「君はなんで起きているんだい?この学校は今、僕の仲間たちが昏倒の呪文をかけたのだが、余程魔術耐性があるのか、他の魔術の影響を受けているのか?」と考えています。
※「まれふぃきうすのおかげまれー♪」とマレフィキウスが外に出ていると言います。この声は、探索者にしか聞こえていません。
「まあいい。このまま、我らの礎になってもらおう。この呪文を唱えれば、この場に居る人間の魂が消費され、這いよる混沌が顕現する。これでやっと僕達の願いが叶う」と、一色 友治はあの黒に赤い筋の入った隕石を両手で掲げた。
そして、「君達も、本当の世界で幸せになれる。そこで大人しくしておいてくれ」と一色 友治は微笑みを浮かべてから、探索者に背を向けました。
すると、一色 友治を守るように構成員二人が道を阻み、ここから「奇跡」でも起こらない限り、一色 友治を止めることは難しいでしょう。
※↑の「奇跡」というキーワードを探索者に伝え、マレフィキウスを使用するポイントだと暗に伝えましょう。
 
☆探索者が戦闘技能を使用しようとしたりすると、構成員×2が戦闘体勢を取ります。
 因みに教室の間合いは、端と端にいると7~10mです。隠れる場所は教卓程度。体育館は20~30m程で、隠れる場所はほぼありません。
 探索者が一色 友治に攻撃しようとすれば、確定で庇われ、呪文を阻止することはできません。
 もし戦闘を開始したら、2ターン終了までに構成員2人を倒せないと、一色 友治が呪文を唱え終わります。
 この戦闘で、「マレフィキウス」を一回でも使用すると、後は確定で構成員が動けない状態となり、喪失レベルは5になるとします。
→▽エンド【奇跡は自分でつかみ取る】を起こしたとしても、重要な人から記憶が消え戸籍もなくなってしまうので、後日談はエンド【存在の喪失】になります。
 阻止したぞと手を伸ばそうとすると、重要な人から「誰?」と絶望的な言葉が投げられます。
 
一色 友治は両手を広げて天井へと視線を向けながら、「ニャルシュタン ニャルガシャンナ」と同じような呪文を繰り返し唱えます。
すると、重要な人は苦しみ出し、周囲に居た生徒たちからも苦悶の声がこぼれ出します。
同時に探索者の目に、人々から赤黒い靄のようなオーラが立ち上るのが見えました。それが一色 友治が見る天井へと集まって行き、渦巻くように闇が濃くなっていきます。
 
戦闘の2ターンが終了する、または何もしないを選ぶと、一色 友治は黒に赤い筋が入った隕石を高々と掲げ「輝くトラペゾヘドロン! 暗黒のファラオ! 這いよる混沌! ここに顕現せよ!! いあいあ、ニャルラトテップ!」と高らかに叫びます。
すると、周囲にいた昏倒状態の人々が苦しみだし、重要な人もビクッと跳ね「ぐうぅぅぅっ!!!」とくぐもった苦悶の声を上げ、食いしばった口の端からごぼごぼと血が零れています。
 
その時、マレフィキウスの声が聞こえます。
「にゃるるぅ、にゃるるぅ♪このにんげんたちはもうダメまれねー。このままだと死んじゃうまれー♪これは、奇跡でもおこさないとムリまれねー」と楽しげです。
 

▽エンド【存在の喪失】

ここで探索者が「重要な人を助けて欲しい」と願えば、マレフィキウスが「その願いを叶えるには、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……奇跡をいくつも叶えることになるまれー。にんげん、おまえの存在すべてが使われるまれよー?本当にいいまれ?」と本当に良いのかと聞き返してきます。それでも願うならば、喪失レベル5が発動します。
天井の闇から赤黒い切れ目が走り、一色 友治が微笑みを浮かべ更に「さぁ、現れよ。そして、僕たち、のーー??」何か言葉を紡ごうとした次の瞬間、暗闇から伸びた触手が、一色 友治の口を貫きそれ以上の言葉を遮りました。そして、驚愕の表情を浮かべ一色の元に駆け寄った構成員も、触手がひゅっとしなり、吹っ飛ばされた先でぐちゃぐちゃに潰れ血を吐き散らして絶命しました。
 
探索者は、突然のことで何が起こったのかわかりませんでしたが、天井に渦巻く暗闇から触手を伸ばす『何か』から滲み出す暴力的なまでの恐怖に晒され、一瞬心臓が止まったような苦しさを感じました。
<正気度ロール 3/2D10>※触手のみなので、正気度少なめとしています。
 
頭が追い付かず茫然とする、または精神が崩壊しそうな探索者は、その場から動くことも出来ませんでした。
そんな中、触手が一色の手の中にあった黒に赤い筋が入った宝石を拾い上げました。
「にゃるるぅ♪にゃるるぅ♪」とマレフィキウスが鳴く声が聞こえるところで、探索者の意識はそこで途切れました。
 
◯後日談
探索者は、重要な人とあの場に居た人々を守るために、自分の存在の全てをかけて「マレフィキウス」の奇跡を起こしました。
この世界に生まれた証明、家族の絆、大切な人との思い出、失った物は戻って来ませんし、この国でこれから生きていくには大きなハンデでしょう。
ですが、その犠牲を払ったとしてもあの時守って良かったと、探索者には思えるでしょうか。
 
 

▽エンド【重要な人の喪失】

探索者は、一色 友治を止めることができませんでした。
それは自らの存在が奇跡を起こすことで失われてしまうと恐怖を感じたからでしょうか、それとも力が及ばなかったからでしょうか。
ただハッキリしていることは、一色 友治の呪文がすべて吐き出され、儀式が完成してしまったことです。
先ほどまで響いていた重要な人の声もなくなり、弛緩した体は生命の気配を完全に失っていました。
探索者がいる教室(体育館)の天井が吹き飛び、空が見えました。
空の色は朝とは思えぬほどにどす黒い暗黒となり、周囲は夜のような闇に包まれていました。
その暗闇の空に、石碑を結ぶような五芒星が太い鎖の幻となって浮かび上がっています。
五芒星の中に居る人々から命を吸い上げ、闇は肥大化し、黒と赤が世界を染めています。
それは絶望の色です。
 
学校に居た構成員でしょう。10人ほどの人々が、いつの間にかゆらゆらとした足取りで一色の元へとたどり着き、茫然と空を見上げています。
集まって来た人々に一色 友治はうなずいた後、「さあ、現れよ。そして、僕達の願いを叶えろ。時の門を開け!!」と絶叫を木霊させます。
すると、暗闇に赤い亀裂が走り、そこから零れた闇の欠片が一色の前に巨大な扉の姿を取ります。
「これが、時の門……この先で、僕は、正しい世界に導く……それが、僕たちの使命……」
不可思議な現象に探索者は恐怖を感じます。
<正気度ロール 0/1D10>
 
キィィィと軋む音が聞こえそうな両開きの扉が、重々しく一色 友治たちの前に開かれました。
黒と赤の暗闇と黒い扉という配色の中、扉の先だけは白く光り輝き、そこだけに希望が残っているように見えました。
一色 友治と構成員たちは迷いなく、扉の中、光の渦の中に入って行きます。
そして、すぅっと溶けた一色 友治と10人の構成員は、この世界から消えていきました。
探索者以外の者が死に絶えたような地獄のような静寂の中、いつの間にそこに居たのか、教室の教壇(体育館ならば壇上)に腰掛けた一人の青年の姿がありました。
その青年はニコニコとしたこの場にふさわしくない朗らかな顔で微笑み、くすくすと笑い声を漏らしていました。
「時の扉は開いてあげたよ。僕をわざわざ呼び出してくれたんだ。番犬と永遠に楽しく遊んでね」と言っています。
そして、飛ぶように立ち上がると周囲を歩き回り、「でも、趣味悪いなー。僕たち、こんな生贄とか要らないんだけど、人間の死体なんて汚いだけだしね。っと、あれれぇ?おっかしいなぁ。あの呪文の中でも、命を消費されず生き残っている人間が居るなんて、ひ弱な癖にしぶといね」と馴れ馴れしく話しかけてきます。
探索者が答えたりすると、「にゃるるぅ♪まれー」とマレフィキウスが鳴き、空中に飛び出し青年の元へと飛び込みます。
「あれ?もしかして、君、マレフィキウス?こんなところに居たのか。千年前に見失って以来だね。楽しい物語は収集できたかい?」とマレフィキウスに手をかざすと、マレフィキウスの鍵が「かちり」と外れた音が響き、容易に開いて中身を青年は見ます。
少し覗いた後、マレフィキウスを閉じ、「少しは暇つぶしになりそうだ。そうだ、君、マレフィキウスを持っていてくれたお礼だ。今回は見逃してあげるよ。じゃあね」と言って、青年が指を鳴らすと先ほどまで世界を覆っていた闇が嘘のように掻き消えました。
そして、青年は歩き出すとスッと透明になるように消えていきます。
そこが探索者の限界でした。急激に狭まっていく視界、闇が意識を覆いました。
 
◯後日談
探索者が目覚めると街は混乱に見舞われていました。
黒函市の半数の人が原因不明のまま死亡し、少数の生存者と思われる人々も精神に異常をきたしているようで、支離滅裂な発言をしています。
その他の被害は、天井がなくなった学校や弾け飛んだ石碑などが発見されました。
探索者は、自分の存在の一部を守ることはできていたかもしれませんが、自分を形作っていた大切な人々は全て死に絶え失ってしまいました。
人は0からでも歩き出せます。
探索者はこれからまた人生を積み重ね、自分の存在を築いて行くのでしょう。
 
 

▽エンド【奇跡は自分でつかみ取る】

(条件:一色 友治を守る構成員を2ターン以内に倒すこと)
探索者は奇跡と思えるような状況を乗り越え、構成員を退け、一色 友治に飛びつきました。
驚いた一色 友治は、呪文を途中で一瞬止めます。
しかし、すぐに呪文を唱え始めようとするのを、<戦闘技能><STRのハード>などで殴って止めたりすることができます。
なお、黒に赤い筋が入った隕石を奪うや弾くと宣言された場合は、ボーナスダイスを1つを追加してかまいません。
※ここで、ファンブルや失敗などが発生すると、一色 友治の儀式が完成してしまい、エンド『重要な人の喪失』になります。
一色 友治を無力化した探索者。
儀式が途中で途切れ、天井に渦巻いていた黒い渦は1分程経過すると徐々にその影を薄め、霧散していきます。
倒れていた生徒たちから立ち上っていた赤黒い霧のようなオーラも見えなくなっていました。
※無抵抗になった一色 友治は、宣言だけで殺すことができます。
 
→最終の戦闘や一色との攻防でマレフィキウスを一度でも使用していると、喪失レベルが5になり、重要な人から記憶が消え戸籍もなくなってしまいます。「存在の喪失」の後日談へ。
 
◯後日談
探索者は「マレフィキウス」に頼らずギリギリで何とか自ら奇跡を掴み取り、重要な人も自分の存在も全ては失われずに済みました。
「マレフィキウス」はあの日からどこに行ったのかわかりません。
しかし、自分の手で奇跡をつかみ取った探索者にはもう「マレフィキウス」の奇跡はいらないでしょう。
それは探索者が思い描いたハッピーエンドでしょうか。それとも、もう取り戻すことができない命の犠牲に心を痛めるのでしょうか。
それでも、探索者は今日も生きていきます。
 
 
 
 
 


☆ここどうなってるの?Q&A

Q1. 結局石碑の前で事故(事件)を起こすことが何の意味があるの?
A1.あれはですね、石碑の周囲で死者や血を大量に流させることで、ニャルラトテップを呼び出す儀式の下準備をしていたんです。条件としては、1人以上の死者、大勢の血。死傷者は多ければ多い程良いって感じです。血さえ流してしまえば、後は自殺するだけで術は成るので、殺し方が雑なんです。
 最終的に、学校を含む周囲の人間が死んだというような感じになっていたのも、MPや魂の力などが願いを叶える代償としてニャルラトテップに捧げられてしまったんです。
 マレフィキウスを使った場合、重要な人を含む生徒が死なずに済んだのは、ニャルラトテップが完全に顕現する前に触手だけが異世界から一色を貫き、願いを叶える儀式が完遂しなかったから死ぬまで至らなかったようです。(一色達の願いとは時の門を開くことです)
 ちなみに学校の者が皆倒れていたのは、一色たち構成員が逃げたり邪魔されたりしないように昏睡の魔法をかけていただけなので、あの状態はニャルラトテップには関係なく倒れています。
 
Q2.石碑は五つあるって言っていたけど、なんでシナリオに出て来るの2か所なの?
A2.一応本編のニュースで他の石碑でも事故(事件)が起こっていますと言っているし、あまり遭遇し過ぎても中だるみしたり飽きたりしそうだったので、五つ全部は行かない方が良いかなと思いました。3日目のデパートも若干要らないのではないかと感じていますし。
 もし、キーパーの判断で、時間や自分で設定されるのならば、全五か所で事故(事件)に遭遇するに改変してもらっても構いません。
 
Q3. 石碑とはもともと何のですか?
A3. 遥か昔、今回と同じように隕石のアーティファクトが落ちて来て、それを祀り、ニャルラトテップの神託など受け取る儀式をしていた名残のような物でしょうか。その子孫がニャルラトテップを呼び出す儀式の仕方を「黄金の金星」に教えたのかもしれません。
 
Q4. 隕石とかって何だったんですか?
A4. あれは、ニャルラトテップに関するアーティファクトが元となっており、その劣化版が降って来たという感じです。誰が落としたかは不明ですが、数千年前のニャルラトテップ本人とかかもしれません。それが宇宙を漂い続けた物が落ちてきたのかもしれません。
 
Q5. 宇宙研究所には石碑はないんですよね。
A5. 宇宙研究所には石碑はありません。あそこで事件を起した目的は「隕石の欠片」を奪取するためです。
 ちなみに火事を起こしたのは目撃者を始末するためと、石碑の近くではなくても誰かの血が流れれば、最後の日の儀式の助けになりそうだという安直な動機で行いました。
 石碑の儀式が始まった2日目に事件が起こったのは、シナリオ的に最初は事故→事件の流れで見せた方が良いと思っただけなので、キーパーが最初に宇宙研究所から行って欲しいなら、宇宙研究所の強盗事件から始めても構いません。
 
Q6. 最後に出て来た青年は誰?
A6. 最後に出て来た青年は、ニャルラトテップ(人間版)です。
 
Q7. 最後に青年が言っていた番犬とは?
Q7. 時を超えるという事象を起した者の前に出て来る神話生物のことです。詳しく知りたい方は調べると良いでしょう。
 
Q8. 最後の「奇跡は自分の手で掴む」とは?
A8. このエンドを発生させるにはマレフィキウスを使用せずに、最終の構成員戦をたった2ターンで切り抜ける必要(ほぼワンパンで確実に二人共倒さないといけない。銃で連射して10ダメ×2を2人共に確実にお見舞いという、リアル幸運が必須。連射は最高3発できるが、それでもかなり難しい)があるので、奇跡と銘打っています。
 通常は戦闘もせずにマレフィキウスを使用するのが普通かなと思います。
 このシナリオは、頑張ればマレフィキウスを使用せずに全ての困難を切り抜けることができるのですが、ほぼ間違いなく探索者はマレフィキウスを使用するだろうと期待しています。
 
Q9. マレフィキウスとか黄金の金星とかはルルブやサプリのどこかに載っているんですか?
A9. 「マレフィキウス」と「黄金の金星」は私のオリジナルですね。クトゥルフは自作の神格やアイテムを自由に取り入れてOKの作品ですから、既存の設定から無理に当てはめずに、自分で作った物を使用しました。

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ルルブは読んでいるが、未プレイヤーのド素人。 シナリオもイメージで書いているため、破綻してたり、ルール間違っている可能性あり。 実卓する場合は、勝手に改造・修正推奨。 あまり世界観であったり、敵の情報までは読み込んでおりませんし、テストプレイ等もしておりません。 苦情やクレームは受け付けておりません。 2作品1000閲覧超えありがとうございます。ストックもありがとうです。