【製作コンセプト】お嬢様と執事と2人コンビ(バディ)の話を作りたいと思って製作しました。
【環境】新クトゥルフ神話TRPGルールブック(第7版)対応。
現代日本。
人によってPvP可能性あり。確定ロスト選択肢あり。
お嬢様と執事のバディという関係が元々あるので、うちよそと言えばうちよそです。
呪いの館から出るのが目的の、クローズドの脱出ゲーム。
キーパーとプレイヤーが秘密会話できる環境推奨。
黒幕は創作神話生物です。
特殊ルールとして、片方が死亡や正気度0になった時点で、ゲーム終了となります。
シナリオは謎解き脱出ゲームですが、合間のお嬢様と執事のロールプレイを楽しんで欲しいと思っています。
このシナリオは、キーパー1人と探索者2人で固定となるシナリオとなります。
探索者は1人がお嬢様、1人が執事の固定役割で探索をしてもらうことになります。
お嬢様と執事という関係が元々設定されていますので、うちよそです。
このシナリオの目的は、呪いの館からの脱出となります。脱出方法の一つに、お嬢様を死亡させるがあるため、探索者によってはPvPからのロストになる可能性があります。シナリオとしては強制PvPはありません。
このシナリオ中で探索者が取得した情報の一部は、取得した探索者のみが閲覧できるとしたいので、キーパーとプレイヤーがそれぞれ秘密会話ができる環境で行うことを推奨します。(オフラインで行う場合は、情報メモをあらかじめ用意すると良いでしょう)
秘密会話が難しい場合は、無しでも構いません。秘密会話が出来ないからといってシナリオプレイが出来ないことはありません。
プレイヤーは共有するも良し、情報を隠して裏切るも良しです。
共有しない理由付けとして、秘匿情報は正気度ロールが発生するようになっています。
黒幕は創作神話生物です。キーパーの判断によって既存の神話生物に改造しても構いません。
特殊ルールとして探索者の片方が死亡、正気度0になった時点で、片方が生き残っていてもゲーム終了とさせて頂きます。というのも、お嬢様を生贄に捧げる(死亡、正気度0)で執事は脱出可能となっている為、公平を期す意味でもどちらか一方が欠けた時点でゲーム終了といたします。
お嬢様は自らが死亡しても、執事が死亡しても強制ロストしますので、条件的にはお嬢様の方がロスト率は若干高いかもしれません。
シナリオはシナリオですが、このシナリオはお嬢様と執事の関係をロールプレイすることを目的としています。ロールプレイや本人の選択を楽しむものなので、面倒ならば謎解きを省いても良いかもしれません。(ピアノを弾いて鍵を手に入れるとか、チェスを置いて階段を出すとかを、調べるだけで発見できるに変更しても良いという意味です)
以下のHO(ハンドアウト)をキャラメイク前に渡す、もしくは話してください。
最悪、お嬢様と執事の配役だけ伝えてもらえれば良いです。
あなたはお嬢様だ。あなたには、いつも後ろに控える執事(探索者2)がいる。
今回あなたは、館の主の「高円 陽一郎」に招待されて館に訪れた。
推奨年齢:15歳から35歳まで
推奨職業・技能:ディレッタント(資産家)。もしくは、家業や自立しており就職もしているとして職業を選んでも良い。
お嬢様であるため、淑女の嗜みとして『芸術/製作』での音楽(ピアノなどの楽器)や鑑定(美術鑑賞)などの所持を推奨。
あなたは執事だ。あなたには仕えているお嬢様(探索者1)がいる。
今回お嬢様のボディーガードを兼ねて屋敷に同行した。
推奨職業・技能:サプリの執事またはボディーガード。ルールブックのみならば、ボディーガードと扱い、警官、士官、兵士の職業から選んでも良い。また前職があったとして好きな職業でも構わない。
ボディーガードを兼ねているため、戦闘技能所持を推奨。
執事の職業技能情報はサプリが必要となりますが、執事を絶対執事の職業技能情報で製作する必要はないと思います。執事をボディーガードと解釈して警察・士官・兵士などの職業技能を使用する、前職があってその職業技能を使用するなどしても構わないと思います。
サプリにあるボディーガードを使用しても構いません。
ただし、このシナリオでは戦闘も発生するので、執事はボディーガードとして付いてきている設定のため、戦闘技能を持っておくことを推奨しています。
お嬢様(淑女)の嗜みとして『音楽』『美術鑑賞』は絶対必須ではありませんが、基本技能の他にその技能を使用できる場面は設けていますので推奨技能とさせて頂いています。
このシナリオはお嬢様と執事で想定されていますが、キーパーが改造として坊ちゃんとメイドとか、お嬢様とメイドとか、主人と執事とかの組み合わせに改変しても構いません。
坊ちゃんの場合は、婚約者は館の主の娘に変更して、娘と娘の恋人の名前などを変える必要があるかと思われます。
また坊ちゃんとメイドである場合は、戦闘技能を持っているのは坊ちゃん、淑女教育を受けているのはメイドに変更しても良いかもしれません。
お嬢様の年齢に関しては、30歳前後の太陽と婚約してもおかしくない年齢とするため推奨年齢を書いてありますが、キーパーが許可するのであればそれ以上以下の年齢でも構いません。
お嬢様の年齢に合わせて、NPCの年齢を変更しても構いません。
NPCの年齢、性別、名前などはキーパーによって自由に変更しても構いません。
館の主で、60歳くらいの男性。
沢山の会社を持つ資産家で、柔らかい物腰と落ち着いた様子を見せるが、他人を自分の思い通りに動かしたいと傲慢なところもある。
また使用人に暴力を振るうことも日常茶飯事らしい。
太陽は歳をとってからの子どもで母親もいないため可愛がっている反面、子どもだから私の意見に従えと意見を聞かないことがある。
この館は数年ほど前に居抜きで手に入れた館らしい。
館の主の息子で、20歳半ばから30歳くらいの男性。
好青年で話しやすいと、パーティーや社交の場では人気が高い。
けれどその実父親の陽一郎にはまだ子ども扱いされており、仕事や家のことを1つも任せてもらえていない。
母親は出産時に他界している。
メイドと恋仲であったのだが、それを父親にバレてしまい、メイドは解雇され連絡が途切れてしまう。
メイドの扱いや急に婚約者候補と紹介されたりと不満を言ったが一蹴されてしまった。
これまで父親の意見に従っていたので、父親を全面的に突っぱねてしまうことも出来ない。
そこで頼ったのが、館にあった黒魔術の本だった。
太陽と交際していた30歳半ばから40歳くらいのメイド。
幼少期に両親が他界し、高円家にメイドとして引き取られた。
太陽とは小さい頃から世話をしていたこともあり、姉のような存在として慕われていた。
太陽に告白されて戸惑っていたようだが、拒否もしていなかった。
陽一郎に太陽と別れるように酷い折檻を受けたのち、屋根裏部屋に閉じ込められ死亡している。
人の背程のヘドロが集まったような体躯に、大きな口だけが切れ目のように走っている。
その口は開かれると無数のサメのように尖った歯がついている。
死臭と血の臭いを漂わせている。
肉体を持っているのだが、その体は生命体とは呼べずほとんど腐った柔らかい肉の塊のような体で、神経も通っていないのか痛みなども感じていないようだ。ただ切り離したり潰した体が急激に回復する様子もないことから、不死身という訳ではないようだ。
元々は食べ物を求めて地球に飛来したアメーバのような物体で、住みついた祭壇に奉納された食べ物などを食べていたのだが、ある日願い事を叶えたことで奉納された生贄の味を覚えたことで学習し、願いを叶え代償に人を求め、更に願う人々も食べ始めた。
そこまで行くと人々は神から悪魔と蔑むが、本当に願いを叶えたい者は闇に潜って、その術を本にしたためる。
そして長い時の末に存在を忘れ去られてしまったが、本だけは確かに残り、時々本を手に入れた者の願いを叶える存在となった。
※イメージとしては、神話生物ショゴスっぽい生物。
一応戦闘は可能ですが、探索者が1人も死なず倒すのはなかなか困難なので、会ったら逃げるが定石です。
▽ステータス
STR 200 CON 150 SIZ 160 DEX 35 INT 5 POW 50
※ステータス特徴、大きさは成人男性の約2倍くらいで、本能(願い)によって動くモノで、動きは這うようで比較的遅い。喋れない。
耐久力 30 ビルド 6 移動 7 1ラウンド中の攻撃回数 1回
戦闘技能:近接攻撃 30% (攻撃対象が10m以上離れる毎に、ペナルティダイスを1個ずつ追加させる。基本的に探索者が近接攻撃をしている場合は、10m以下にいると思われる。ショットガンや投擲などを行っている場合にのみ、ペナルティダイスを使用するか考えれば良いと思う)
ダメージ 5D6(基本ダメージ2D6+ダメージボーナス3D6)
攻撃方法は噛みつき、押しつぶし。
押しつぶしをされて耐久力が残った探索者は、自行動ターンにSTR対抗を成功して押し返さない限り押しつぶされ続けていると判断し、大喰らいの攻撃ターンに近接攻撃判定を行うことなく確定で回避不可能のダメージ5D6を受けてしまうとする。
このSTR対抗は探索者1人である場合は元々のビルドのみでほぼ不可能であるが、もう1人が手伝うことを宣言すればもう1人のビルドを加算して対抗できる。手伝うを選んだ探索者は自行動ターンを1回消費させる。その消費は、大喰らいのターンから次の大喰らいのターンの間のターンであれば、同ラウンド中でなくても構わない。
(例 執事→大喰らい→お嬢様の順の場合、
執事が押しつぶしを受けたら、大喰らいの後のお嬢様のターンを手伝いに消費して、次ラウンドの執事のターンで2人のビルドでの対抗を行える。
お嬢様が押しつぶしを受けたら、大喰らいの後のお嬢様のターンで2人のビルドで対抗を行い、次ラウンドの執事のターンを手伝いに消費することができる。
逆に言うと、大喰らいの次のお嬢様のターンで攻撃を行い、次の執事のターンで2人のビルドで対抗したいは、次のお嬢様のターンを消費するからと言われても不可能。あくまで大喰らいのターンから大喰らいの次のターンまでの間に消費されること)
また対抗は押しつぶしされている探索者のターンが来る毎に行っても良い。(あくまで押しつぶされている探索者のターンなので、もう1人の探索者のターンでは対抗は出来ない)
押しつぶしをされている探索者がSTR対抗を行わずに攻撃をすることも可能だが、攻撃で押しつぶしを解除することは出来ないと判断する。ただし、クリティカルやスペシャルが出れば攻撃で抜け出せたとしても良い。(※攻撃を選ぶ利点は、クリティカルやスペシャルを狙ったり、丁度大喰らいの耐久力が0になればワンチャンあるだろうというところです)
攻撃対象は、1D2で決定する。
▽特殊設定
耐久力が0になった時点で完全に倒すことができる訳ではないが、耐久力0になると体が崩れ、開かれた口から食べた『高円 太陽』の死体の一部が出てきて、『契約の指輪』を獲得することができる。
そこから1つ行動を行った後に探索者の幸運が高い方に幸運ダイスを振ってもらい、失敗すると『大喰らい』の耐久力が1D20分回復する。
また一度「大喰らい」のいる部屋からプレイヤーが出て戻って来ると、大喰らいの耐久力が全回復する。
※「大喰らい」は耐久力0になっても、完全に倒すことはできません。
▽喪失正気度
1/1D10
犬並みの大きさのヘドロが集まった体躯。小さい大喰らい。
イメージ的にはヒルっぽい動きでうねうねしているが、口にはギザギザの歯がサメのように生えている。
▽ステータス
STR 70 CON 50 SIZ 40 DEX 45 POW 30
耐久力 10 ビルド 0 移動 8 1ラウンド中の攻撃回数 1回
戦闘方法:近接攻撃 30% (攻撃対象が5m以上離れる毎に、ペナルティダイスを1個ずつ追加される)
ダメージ 1D6(ダメージボーナスなし)
攻撃方法は噛みつき。噛みつきが成功すると、ラウンド終了時に噛みつかれている探索者がSTR対抗を成功して振り払わない限り、継続ダメージ1D3が発生する。
攻撃対象は、1D2で決定する。
また噛みつきを行っている間、噛みつきを行っている悪食の近接攻撃にボーナスダイスが1つ追加される。ただし、攻撃対象は噛みつかれている探索者のみとなる。
※イメージとしては噛みついた場所を更に貪っている感じです。
▽喪失正気度
0/1D6
館の主の息子『太陽』はメイドと交際していた。
息子がメイドと関係を持っていることを知った館の主『陽一郎』は、恋人のメイドに激しい折檻を与え、屋根裏部屋に閉じ込めてしまう。医者に見せるどころか手当さえ受けられなかったメイドは、その時死亡してしまっていた。
息子には解雇して遠くに追放したと言ったばかりか、今回婚約者候補としてお嬢様を紹介した。
『太陽』は『陽一郎』に婚約者などは要らない、メイドの彼女と合わせてくれと訴えるが、取り合ってくれない。
資産家の息子として生まれた『太陽』だったが、父親の力を借りないと何もできないと自らの無力さもわかっていた。
そして手に取ったのが、昔に見つけた悪魔を呼び出す黒魔術の本だった。
まさか悪魔ーー化け物を呼び出せるとは思わなかった。
そのまさかが起こり『大喰らい』と呼ばれる化け物を呼び出した『太陽』は、契約の指輪を使い「私が、いや私の家が持っている全てを犠牲にしても良い。代わりに婚約候補の相手(お嬢様)が消えていなくなるか、恋人の明日香(メイド)と一緒になりたい」と願った。
が、『大喰らい』は何も言わないまま『太陽』を食べた。
『大喰らい』は願いを叶えるために不思議な磁場を発生させて、館を模した異空間にお嬢様を閉じ込める。
お嬢様の危機に手を伸ばした執事ごと取り込んでしまった『大喰らい』は、お嬢様だけを殺そうと狙うのだが、執事がお嬢様を庇うせいで上手くいかないのであった。
以下の方法からどれを選んでも探索者の自由
特に①があるので秘匿情報があるという構成にしている。お嬢様がその情報を手に入れられたら良いが、執事は知っていて隠すこともできるのである。
①お嬢様(探索者1)が死亡・正気度0によって、執事(探索者2)のみ脱出 エンド①②
②平坂 明日香の死体を大喰らいに捧げることによって、お嬢様、執事共に脱出 エンド④
③大喰らいを倒し太陽から指輪を入手し、願いは取り下げると宣言すれば、お嬢様、執事共に脱出 エンド⑤
探索者たちは、沢山の会社を経営する資産家「高円(たかまど)家」の館に招待されていた。
そこは山奥にひっそりと建つ建物で、近くには綺麗な湖もあり、夏は涼しく過ごしやすいと、その評判は資産家たちの間で時々話されているのを小耳に挟んだことくらいはあっただろう。
夕方ごろに到着したあなたたちは、しばしの休憩のあと、晩餐のため食堂へと通された。
燭台や花瓶に彩られたテーブルに並ぶ豪華な食事は3人分。
館の主である高円 陽一郎、その息子の高円 太陽、そして招待客であるお嬢様(探索者1)の分である。
執事である探索者2はお嬢様(探索者1)の席の後ろに立っているか、給仕を行う使用人に混じってお嬢様の世話をすることだろう。
招待してくれた高円 陽一郎とお嬢様(探索者1)は、以前に顔を合わせたことがあったり、親しくしてもらっている。
それは、お嬢様の特技(ピアノや乗馬や狩猟)などがあればそれに関わる大会などでのことかもしれないし、パーティーで顔を合わせただけかもしれないし、お嬢様の両親が陽一郎と親しくしているのかもしれない。
館が山奥にあることから道中大変だっただろうという話や、料理は口に合っただろうかという話をしながら、以下のことを陽一郎からそれとなく話すこと。
①私(陽一郎)の趣味が狩りなんだが、この館の裏手では鹿や猪が居て、息抜きに猟銃を持って狩りをしているんだ。
※この情報は、この館には猟銃(ショットガン)があるというヒント情報です。
②実はこの館が気に入った理由は他にもあってね。実は、この館、カラクリ屋敷なんだよ。居抜きで数年前に購入したんだが、我ながら良い買い物をした。君も良かったら、滞在中に探索してみてくれ。
※この情報は、なんでこの館にはこんな仕掛けがあるの?というメタ的疑問を解決するためのものです。
③お嬢様が持っている技能ピアノや鑑定(美術鑑賞)がある場合、ピアノはないがオルガンがある娯楽室、絵画が飾られている応接間があるんだと話す。
④食べている時、太陽を見ると、右の人差し指に嵌った青い石がついた指輪に気付くことができる。
<目星>を成功させてみると、「その青い石を覗き込んでみると、本物の猫の目のような眼球のように一瞬見えた。まさかと思うが、一瞬不気味に思えた」正気度ロール 0/1D3
失敗すると、覗き込む前にさっと隠される。
「なんですか?」と聞くと、太陽はさっと指輪を隠し、「あ、申し訳ない。僕の趣味ではないんだけれど、義眼リングって言うんだよね。嵌めてみたら、抜けなくなって、怖いかい?」と話す。(心理学をすると、「どこか嘘をついているようだ」)
上記の情報①②③④を話し終わった後、「お嬢様(探索者1)みたいな素敵な令嬢が私の娘になってくれれば良いと思っていてね。どうだい、私の息子は。親の欲目で見ても、なかなかいい男だろう?まずは婚約者から」と陽一郎は話し出す。
それに太陽は一瞬驚いた顔をして、「父さん、何を急に!私は結婚なんて……!」と何か言いかけてから、お嬢様たちに気付いて「お嬢様(探索者1)も困っているではないですか」と落ち着きを取り戻す。
☆ここで太陽に<心理学>を使用することができる。失敗すると「結婚や婚約の話は初耳だったようだ」、成功すると「結婚や婚約者の話を聞いた瞬間、どこか怒りを感じた」と説明。
(※太陽は、交際しているメイドがいるので、陽一郎が何勝手に結婚とか言い出しているんだ!と怒っています)
結婚話で機嫌を損ねた太陽は、晩餐会の途中で立ち上がり「父さん、すみません。用事を思い出したのでお先に失礼します。ご令嬢(探索者1)はごゆっくりしてください。それでは」と言って食堂から出て行く。
陽一郎は太陽を呼び止めますが、太陽は聞く耳を持たずに歩いて行く。
陽一郎は「まったく」とため息をついた後、「すまないね。急な話で息子も驚いたのかもしれない。改めて食事を楽しもう」と言って、晩餐を再開する。
晩餐を終了した後、陽一郎も自室へと帰った。
食堂に残されたお嬢様と執事は、ここから就寝時間まで少し時間があるため、自室に戻ることも出来るし、陽一郎に言われた場所に行くこともできる。また、執事は厨房や使用人用のエリアに入ることも出来るだろう。
基本的には1か所に行くことができる。もしお嬢様と執事が別に行動する場合は、2ケ所に行くことができたとしても良い。
ここで知ることができるのは、事件が起こったバックボーンやヒントである。変化後の呪いの館では、何故そうなっているのか詳細が語られないので、その部分を補っている。情報としては、陽一郎と太陽が口論していた、陽一郎が暴力的で使用人などに行き過ぎた折檻をよく行っていた、書斎に鍵がかかっているなどと言った情報である。
お嬢様と執事の雰囲気をロールプレイしてもらうのも目的だが、以下のことを知るチャンスがある。
基本的に行ける場所は1ヶ所。もしお嬢様と執事が別れる場合は、2ヶ所でも可。
マップはざっと下の図のような感じである。この時点で行ける場所は、自室、娯楽室、応接間、書斎、高円家使用人室エリア(執事のみ)くらいである。もしプレイヤーが希望するならば他の場所に行っても構わないが、夜なので外は不可能である。
※秘密:マップには書いていないが、仕事部屋から屋根裏部屋に行くことができる。
※秘密:マップには書いていないが、書斎から地下室に行くことができる。
※お嬢様と執事の部屋は同じ部屋内にあるが、お嬢様は部屋の奥の方でダブルベッド、執事の部屋は廊下側にある四角(口)の部分で簡易的な給湯設備とベッドがある。もう一つある四角(口)は、シャワーやトイレなどがある。この部屋は、主人と使用人の他に、夫婦と子どもの一家族などを想定された作りになっている。
パーティーなどで人が多ければ東側の客室も使用されるが、その日はほとんどが空き室となっている。なお、2階東側の風呂は来客・住人用、1階の東側の風呂は使用人用である。
食堂で食事をした後、すぐに自室に戻ろうとロビーから2階へ上がろうとすると、ガシャン!と何か割れ物が割れたような音が聞こえる。
※食堂からすぐに2階に上がっていない場合は発生しないため、ロールプレイした後に自室に移動したと描写された場合は発生しない。
これはお嬢様、執事どちらか1人であっても発生する。
☆ここで<聞き耳>を使用すると、以下の話が聞こえる場所がわかる。
▽成功
どうやら、2階中央の奥にある立派な部屋(陽一郎の部屋)から聞こえてきているようだ。慌てていたのか、不用心にも扉が少しだけ開いて声が漏れている。
(※聞こえる音に耳を澄ますと以下の会話が聞こえる。もし聞こえる場所はわかったけれど、近付かない場合は会話は聞こえない)
陽一郎「黙れ!お前は私の言うとおりにしていればいいんだ」
太陽「父さんはいつもそうだな。なんでも力で解決しようとする。……もういい。僕は勝手にする」
と苛立つ足音が響き、バタンと扉が開く音が聞こえ、探索者たちがいた階段の方に近づいてくる太陽の姿がある。
太陽の顔にはくっきりと殴られた痕が見える。
太陽はそのまま太陽の自室へと入っていき、バタンと苛立ちを抑えきれないようで扉が閉まる音が大きく響く。
※ここで探索者が隠れていたり、移動していない限り、太陽と視線が合うかもしれないが、太陽は不満そうな顔のまま軽く会釈してから入っていく。
▽失敗
失敗すると、声が聞こえる場所を探して2階中央の奥にある立派な部屋に辿り着くことまではできるが、その瞬間に太陽が部屋から出て来て会話は聞くことができない。その後太陽の自室に入っていく姿は見える。
お嬢様と執事に割り当てられた部屋は、奥に広い主部屋があり、その手前に使用人用の小部屋がある作りとなっている。
シャワーとトイレが部屋の中に完備されており、使用人の部屋には簡単な給湯設備が揃っている。
その部屋だけである程度の設備は整えられているようだ。
(※お風呂はないのですかと聞かれたら、浴槽のあるお風呂は2階の東側の風呂に行く必要があると説明してください)
部屋の中に何かありますかと聞かれたら、
お嬢様の部屋は、豪華な部屋で高級そうなソファー、キングサイズのベッド、絵画などが飾られている。ベッドサイドに置かれている照明はどうやらランプ型の持ち運びができるライトのようで、夜に部屋を出歩く時に使えそうだ。
執事の部屋は、簡易的なシングルベッド、簡易的な給湯設備、質素なテーブルセットがある。壁には充電式の大きめの懐中電灯が掛けられているようだ。
自室にお嬢様と執事が居る状態で、高円家について何か知っていることがないか調べられないかと聞かれたら、取得していい情報。
基本的に2人が自室に行かなければ調べられないとする。
・噂話や人脈で聞いたならば<対人技能>
・人を使ったりお金を払って調べたならば<信用>
・ハッキングして調べたならば<パソコン>
などが成功すれば、以下の情報をお嬢様がもともと知っている、執事が事前に調べていたとして取得することが可能。
判定が1回成功すれば、全ての情報を獲得しても良い。
▽成功
・情報1 館の主である陽一郎についての情報
陽一郎は、怒るとすぐに手が出る人間らしく、その手加減が上手くできない人らしいと元使用人や部下が語る。以前に勤めていた使用人に傷害罪で訴えられそうになったこともあったそうだ。示談が成立し和解しているらしい。
・情報2 息子の太陽についての情報
パーティーなどでは朗らかで人当たりのいい性格から人気を集めているが、完全に父親の言いなりで、仕事などにも携わっていないことから、結婚相手としては不安だという噂もあるようだ。
・情報3 館についての情報
数年前高円家が居抜きで購入した館。以前に住んでいた人間は風変わりだったらしく、館に仕掛けを作ってみたり、骨董品を集めていたりしたらしい。が、所持者がいつの間にか姿を消してしまい、相続人が館を売りに出したようだ。
娯楽室にはオルガンの他に、他の楽器や、ビリヤード台、バーカウンター、チェス盤、様々な趣味の本がそろえられた本棚、棚などがあるようだ。
(その他、キーパーがあると判断した物や遊びがあっても良いですし、<幸運>を振ってあるなしを判断しても良いです)
☆1階でロールプレイ・探索をした場合、探索が終わり自室に戻るためにその部屋を出た時に、書斎に入る太陽の姿を目撃することができる。
<目星>や<心理学>を使用すると、「どこか強張った表情をしており、思いつめたような張りつめた空気を感じます」。
オルガンは特注品なのか、白い外装に花と蔦で構成された美しい意匠が目を引く。
譜面台には譜面は置かれておらず、譜面自体は娯楽室の本棚にいくつか納められているようだ。
オルガンを上手く弾くには、<芸術/製作(ピアノ)><その他楽器技能でハード以上><EDUでハード以上>が必要。
<芸術/製作(ピアノ)>で判定が成功した場合、「間違いない指運びで演奏を行う。少し音色に違和感があるが、普段弾いているピアノでなくオルガンであるからかもしれない」と思うかもしれない。
(※ここでは「譜面台の秘密」はわからない)
本棚には、この部屋に関係のある譜面やビリヤードの本、カクテルレシピ、チェスの本、他に絵画の本やベストセラーとなっている小説などが揃っているようだ。
(※キーパーへ ここの本棚は技能がない人や判定をミスった人用の救済ヒントコーナーです。この時点では意味はありません)
棚を開けようとしたら鍵をかかっているようで、中を見ることは出来なさそうだ。
他人の家の鍵なので、開けようとするのは野暮というものかもしれない。
応接間には座り心地の良さそうなソファーと、抽象画が飾られている。
抽象画を凝視する場合、<芸術/製作(美術)><芸術/製作(美術鑑賞)><鑑定>などを行うと違和感を感じることができ、絵画の1つが逆向きだと気づくことができる。
(※キーパーへ ここで絵を戻すことはできません。戻そうとしたら止めて下さい。最悪呪いの館で手に入る手記を手に入れても良い)
☆1階でロールプレイ・探索をした場合、探索が終わり自室に戻るためにその部屋を出た時に、書斎に入る太陽の姿を目撃することができる。
<目星>や<心理学>を使用すると、「どこか強張った表情をしており、思いつめたような張りつめた空気を感じます」。
書斎に来た。が、鍵がかかっているようだ。
入ることができないので、ここから別の場所に行っても良い。
(※キーパーへ この後に太陽が来て鍵を開けるので、変化後の館では鍵が開いている)
基本的には技能で鍵を開くことはおススメはしないが、技能を使ってまで扉を開けば黒い背表紙の本(黒魔術の本)を持った太陽が来て「鍵かかっていませんでした?」と驚いたりするだろう。
そして、太陽はお嬢様や執事が帰った後も「まだ用事がありますので」と見送る。
(※キーパーへ この後太陽は地下の道を開き、儀式の準備を始める予定)
使用人の話を聞くことができる。
1階の高円の使用人室エリアや厨房などに行くと発生。
なお、使用人室エリアは執事のみしか行けないので、この話は執事にのみ与えられる情報となるだろう。
☆ここで使用人に話しかけるには<対人技能>もしくは話しているのを盗み聞きするには<隠密><聞き耳>などを使用すると以下の会話を知ることができる。
▽成功
廊下でメイド2人が話している。その片方のメイドは、右腕に包帯を巻いているようだ。
※包帯だけ見るならば、<目星>などで見ることができても良い。
メイド1(包帯を巻いている方)「もう仕事を辞めようと思うの」
メイド2「どうしたの?それにその包帯って……」
メイド1「旦那様に花瓶を投げつけられたのよ。今回はこれだけで済んだけれど、もう怖くて……」
メイド2「旦那様は普段はお優しいけれど、怒ると手が付けられないものね」
メイド1「先日、長年勤めていた平坂さんが、荷物も置いて急に姿を消した理由がわかるわ。もうこんな生活耐えきれない」
メイド2「そうね。辞められる前に仕事部屋の方に引きずられて行かれているのを見たから、酷い折檻を受けてしまったのかもしれないわ。ここだと誰の耳に届くかわからないから、私の部屋にでも行きましょう」と2人で、自分達の部屋の方に歩いて消えていく。
▽失敗した場合は、メイドたちの話を聞くことはできない。
☆1階の使用人室でロールプレイ・探索をした場合、ロビーから2階に上がる時に、2階から下りてきた太陽が黒い背表紙の本(黒魔術の本)を持って西側(娯楽室、応接間、書斎)に歩いて行くのを目撃できる。
声をかけると、「少し眠れなくて、書斎に行こうと思っている」と話してくれる。手に持っている本は?と聞くと、「前に持ち出した物で、ついでに返しに行こうと思う」と話す。
館を回った後、お嬢様と執事はそれぞれのベッドで眠りにつくことだろう。
こんな山奥へ長時間移動したこともあり、意外に体は疲れていたようで、眠りにいつの間にか包まれていた。
その時、「グオォォォォ」と地響きに似た人ならざる唸り声のような音が館全体を震わせた。
音と衝撃に、眠り込んでいた探索者は飛び起きてしまうだろう。
周囲は暗闇に包まれ、轟音が鳴った程には静まり返っているように思う。
窓の外を見に行こうとしても、カーテンで良く見えない。
飛び起きたお嬢様の部屋では、すぐに更なる変化が訪れる。
真っ暗な部屋の中、また「グオォォォォ」と声が聞こえたのと、酸っぱいような鉄臭いような悪臭が鼻についたのは同時だった。
目覚めると、その声はお嬢様のすぐ近く、もっと言うと真下から聞こえたような気がした。
恐る恐る下の方に視線を落とすと、ベッドの下から暗闇の中でもハッキリと見える黒い影が触手のように伸び、お嬢様を拘束する。
☆ここでお嬢様の正気度ロール 0/1D6。
その影には芯はなく質量は確かにある、攻撃が効かないのか、叩いても引っ張っても外れそうにない。
抵抗する術もないお嬢様は、ベッドと共にずぶずぶと影の中に沈んで行こうとしていた。
一方執事は、お嬢様の悲鳴や騒ぎ、もしかしたらベッドの下の「グォォォオ」という音を聞いてお嬢様の部屋に駆けつけることだろう。
(※キーパーへ どうしても執事がお嬢様を助けに行かない場合は、黒い影の触手の範囲を広げて、執事も巻き込まれて引きずり込まれたとしても良い)
☆ここで執事の正気度ロール 0/1D6。
しかし、どんなに攻撃をしたり引き離そうとしても触手は外れることがなく、そうしている内に執事にも絡みつき、お嬢様と執事は影の中に引きずり込まれてしまう。
(飲み込まれた後に以下の台詞を読み上げてください)
「クトゥルフ神話TRPG 『お嬢様と執事と呪いの館』始まりです。
このシナリオの特殊ルールとして、探索者のお嬢様、執事、どちらかの探索者が死亡・正気度0になった時点で、片方の探索者が生存していてもゲーム終了となります。それに伴い、戦闘の特殊ルールとして、庇うを可能とします。
またこのシナリオ内には秘匿情報があります。その情報を話すことも隠すことも嘘をつくことも取得した探索者の自由です」
(※ここで絶対伝えて欲しいのは、探索者のどちらかがロストしたら終了することです。あくまでゲーム終了であって、ゲームオーバーではないので注意)
目を覚ますと、探索者たちは自室で倒れていた。
先程起こったことは夢だったのだろうか。そう思えただろう。
(※もし本編から始めているなら、ここで「眠り」の影に飲み込まれたことを伝えましょう。正気度ロール 0/1D6。導入から始めた場合は正気度ロールはなし)
まず、以下のことを知りたければ知ることができる。
・自室では電気が使えず照明などが付かない
・カーテンを開けても館の周囲が真っ暗すぎて木の影や空の明かりも見えない
・時計を見ると全ての時計が停まっている。デジタル時計の場合は盤面がバグっていて数字がわからない
・探索者の所持品などを探すことができる(ただし、現代日本の設定なので、銃や刀剣類などはどんな理由でも持ち込み不可。執事もあくまで執事なので、元殺し屋だからとか警察だからという理由で刀剣や銃を持っているというのは不可)
・スマートフォンで連絡などを取ろうとすると、圏外だということに気付くだろう。
☆電気が使えないため、明かりを探すことができる。
方法①導入から始めている場合に、自室の情報としてお嬢様の部屋にはベッドサイドのランプ型の持ち運びができるライトが置かれていること、執事の部屋には壁に充電式の大きめの懐中電灯があることが知っているので、それを取りに行くことができる。
方法②導入から始めている場合は、<INT(アイデア)>の判定を行った場合、食堂のテーブルに燭台があったことを思い出すことができる。
方法③本編から始めている場合は、<幸運><目星>などの判定を成功させれば、上記の明かりを探すことができる。
方法④執事の部屋に行くと、壁についている充電式の大きめの懐中電灯は暗闇でも探せるように光っている。
方法⑤その他所持品にスマートフォンや懐中電灯などを持参している場合は、それを使用することができる。
※ここで明かりがないまま進むと、目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
自室から顔を覗かせて見た廊下の印象は、眠る前に回った屋敷から大きく変わったようには見えないが、月明かりが全く差し込まず暗く、空気はどこか生ぬるく湿っておりほのかな悪臭が気持ち悪い。まるで誰かの呼気や体温を感じているように感じる。
人を探しに行く、もしくは外に出るとするのならば、自室を出るしかないだろう。
探索者たちは館の作りを思い出す。
(※◯通常の館の探索と同じ物です)
マップにある所に全て行くことはできると思うが、以下の7個の場所にしか基本的には意味はない。
しかし、食堂には燭台(蝋燭、マッチ)、厨房に包丁などはあるかもしれない。
なお、他の客室や空き室などは鍵がかかっていて入ることはできない。鍵開け技能で開けても、しばらく使われていない部屋だとわかるだけである。
①太陽の部屋
②陽一郎の部屋
③仕事室
④娯楽室
⑤応接間
⑥書斎
⑦高円の使用人室
⑧外に出ようとする(窓から、ロビーの玄関から)
上記の①~⑦の場所に行くことを決定した瞬間に、キーパーはシークレットダイスにて1D6を振る。
出目1が出た場合、その場所に『悪食』1匹が発生する。
出目2が出た場合、その場所に『悪食』2匹が発生する。
出目が3~6の場合、何も出てこない。
『悪食』は倒しても消えるが、他の場所に移動してから再度戻ってきたら消えている。ただし、『悪食』が出た部屋は荒らされているため、探索技能にペナルティダイス1個追加させる。謎解き用の技能にはペナルティはかからない。
『悪食』が出現している場合、その部屋の扉の前に訪れると、館に漂っている悪臭が強くなったと感じる。扉の前で<聞き耳>を使うと、バタバタと何かが動くような音を聞こえたりする。
『悪食』は家具などを倒して、部屋を荒らしている。
『悪食』に一度会った時に正気度ロールをしたら、再度登場した時は正気度ロールは無しで良い。
※『悪食』についてはNPCの『悪食』の情報を参照すること。
『悪食』が部屋を荒らしている理由は、お嬢様か平坂 明日香を探している。
お嬢様を見つけたら襲い掛かって来るため、戦闘開始。<隠密><DEX>の判定やすぐに扉を閉めたなどで回避できても良い。
『悪食』の攻撃対象は1D2でどちらに攻撃するのか決定する。部屋に入った探索者が1人や、明らかに離れている場合は、キーパー判断で近い探索者に攻撃しても良い。
攻撃される探索者が宣言された時点で、もう1人の探索者が庇うを宣言すれば無条件で庇うことができる。(庇うはルールブックにはないが、どちらかが死亡した時点で終了してしまうので、このシナリオでは代わりにダメージを受けることを可能としておく)
庇われた方も庇った方も回避ができないとし、庇った方は確定でダメージを受ける。なので、回避を行って失敗したので庇うは不可とする。回避を失敗した時点で、攻撃された探索者に攻撃が当たったと解釈する。
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
お嬢様と執事の部屋から一番近く、人が居そうな場所は、主の息子である太陽の部屋だ。
太陽の扉のドアを叩いても返事はなく、ドアの鍵がかかっているようだ。
鍵穴をよく見てみると、鍵穴の上にはクローバーのマークがついている。
(※この鍵は、書斎に落ちている)
☆<鍵開け>や物理で破壊することもできる。扉の耐久力は5。
太陽の部屋は、荒れていた。
倒れた椅子、割れた鏡、地面に散乱した紙、無造作に落ちている写真立てが見て取れる。その他にはテーブルやベッドがある。
まるで誰かが暴れたか漁られたように荒れ果てている。
☆ここで調べられる物は、①倒れた椅子、②割れた鏡、③地面に散乱した紙、④無造作に落ちている写真立て
倒れた椅子と割れた鏡は、見たままである。
散乱した紙を拾い上げることができる。
☆この時<幸運>ロールが発生する。
▽成功
成功すると、情報①または情報②を手に入れることができる。
できれば情報①をお嬢様(探索者1)に、情報②を執事(探索者2)に渡して欲しい。
この情報は秘匿情報になるため、できれば個別に渡して欲しい。
(※キーパーへ 紙を見せて共有すると宣言した場合は、キーパーから情報を全体公開するので嘘偽ることは出来ない。紙を見せずに口頭で情報だけを伝えると言われた場合は、プレイヤーから話してもらうので一部を削ったり嘘がつける。一部を破ったりできないかと聞かれた場合は、プレイヤーが口頭で伝えた扱いとなる)
【今日、館を探検していたら、書斎に地下室を見つけた。前の持ち主の趣味のようだが、趣味の悪い部屋だった。怪しい魔術の本や悪趣味な指輪も隠されていたから、前の持ち主はオカルト好きだったのだろうか】
【父さんと話しても埒が明かない。彼女が姿を消して数日も経ってないのに、婚約者?ふざけるな!あんな女は要らない。彼女に会いたい、彼女に会いたい。そうだ、アレがあった。アレに願えばもしかしたら。彼女に会いたい、いや、『結婚相手というあの令嬢(探索者1)を消して、彼女と一緒になりたい』と願おう。それがいい。あの女が消えれば、父さんも目が覚めるだろう。
(と、苛立ち交じりに殴り書きされた文字には、狂気じみた不気味さや悪意を感じてしまった。この紙を見た探索者は、正気度ロール 0/1D3が発生。
この情報を取得した探索者、紙を見せて共有した探索者共に発生する。もし口頭で情報だけ伝えた場合は、正気度ロールは行わなくても良い)】
▽失敗
失敗すると、太陽の日記のようだ。
無造作に落ちている写真立てを手に取って見てみると、庭で太陽とメイドが並んで映っている写真が入っていた。
▽太陽の様子を観察する場合
<心理学><目星>などでわかるが、「どこか頬が上気しており、嬉しそうだ」。
失敗すると、微笑んでいる。
▽メイドの様子を観察する場合
パッと見てわかる情報は、メイドは探索者が先ほどまで世話をしてもらっていた高円家のメイドの服装である。
外見的なことを更に知りたいならば、<目星>で成功すると「胸元に赤いネックレスをつけているようだ」。
内面的なことを知りたい場合は、<心理学>で成功すると「微笑んでいるが、どこか不安を抱えているような顔だ」。
(※使用人室での鍵の開いた部屋 平坂 明日香の部屋で見つけた写真と同じものと思われる)
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
陽一郎の部屋を訪ね、ドアを叩いたが陽一郎が出て来る気配はなかった。
ドアノブを回せば、簡単にドアはお嬢様と執事を迎え入れる。
中に入っても、陽一郎の気配はない。どこかに行っているだけか、それとも……。
陽一郎の部屋にあるのは、①パソコンデスク、②本棚、③酒ボトルの棚、ベッド、ソファーなどがある。
(☆猟銃とかはないですか?と聞かれたら、「表面的に見た所ではなさそうだ」と伝える)
ベッドやソファーなどは調べても何もない。どちらも使われた形跡があるようだが、個人の部屋なので今日なのか昨日なのかその前なのかははっきりしないだろう。
ノートパソコンが置かれたデスクを見つけた。その隣には灰皿があり、吸い殻があるようだ。合わせて煙草とライターが置かれている。(このライターで一時的に明かりを確保することができる)
☆ノートパソコンを調べる。
ノートパソコンは充電式のため起動は出来そうだ。
ロックがかかっている。パスワードは4文字のようだ。
ロックを解除するには<パソコン>技能の成功か、本棚のカレンダーに書かれた日付(太陽の誕生日)を打ち込むことで開くことができる。
だが、ネットは繋がっていないようで、外部と連絡は取れそうにない。(電気が付かないので、モデムが動いていない状態)
ノートパソコンの中には仕事のメールや日記、更にパスワードのかかったファイルがあった。
・仕事のメールは当たり障りのない文句が並んでいる。
・日記を開く。
「(☆キーパー判断では、秘匿情報にしてもよい)
◯月◯日 太陽の誕生日のために、プレゼントを用意した。プレゼントは談話室に隠した。あとはその日は太陽にオルガンを弾いてもらえば完璧だ。
◯月×日 太陽は馬鹿だ。あんな女に現を抜かしおって。あの女はあの部屋に閉じ込めた。これでしばらくすれば諦めるだろう。2日後にはご令嬢を招待しているし、良い機会だし縁談を進めよう」
・パスワードのかかったファイルを開くためには<パソコン>で成功が必要。このファイルを開く方法は<パソコン>のみしかない。
「このファイルに入っていたのは、館の廊下の監視カメラの映像だった。動画ファイルは日付順でまとめられている。
☆見れる動画は、プレイヤーが指定した日付(日記にある2日前や昨夜)のものを見ることができる。
①◯月×日の動画 深夜にメイドを引きずって仕事部屋に入っていく陽一郎の姿が映っている。しばらくすると陽一郎は出て来るが、メイドはその後早送りをしてもいつまでも出て来る気配がない。
②晩餐をした日の動画 探索者たちの姿も映っている。
晩餐後、陽一郎の部屋の前で待っていた太陽と共に陽一郎の部屋に入った。
しばらくすると陽一郎の部屋から怒ったような太陽が出て来て、太陽の自室に行く。
その後また少し時間が経ち、太陽が自室から出て来て鍵をかけた後、書斎に行き鍵を開けて中に入って行った。
そのまましばらく見ていると、画面が波打ち、プツンと切れた。どうやらその時間に何かがあったのだろうか」
本棚にはビジネス書やら狩猟の手順書やら小説の他に、カレンダーなどが飾られている。
(※娯楽室の本棚を見ている場合は、並んでいる本の種類が違うような気がするが、これが陽一郎の趣味なのかもしれない)
☆カレンダー カレンダーには月末あたりに赤い丸が付いており、その下に「太陽の誕生日」と書かれている。
☆狩猟の手順書があることから、陽一郎は狩猟が趣味だったのかもしれない。ショットガンやライフルの操作方法から、獲物を探す方法などが書かれているようだ。
酒が趣味なのか、酒のボトルが飾られている。
酒が好きだったのかもしれない。
☆棚を更に調べる場合、<目星><幸運><人類学><聞き耳>などで調べることができる。
▽成功
成功した場合、酒のボトルの棚の後ろに不自然な空間があることに気付く。
棚の奥にあったボタンを押すと、棚が動き、「レミントンM870(12ゲージ・ショットガン ポンプ) 装弾数 5(最大所持弾数20発)」が、隠されていることに気付く。
※一応、お嬢様の推奨職業ディレッタント(資産家)には射撃があるので、持っていると思う。もし、他の銃器の射撃技能を代用したい場合は、このシナリオ中のみペナルティダイス1個追加で使用しても良い。または射撃(ライフル/ショットガン)の初期値を使用しても良い。
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
仕事室は、廊下からすぐ入れる方がソファーとテーブルのある応接間のような部屋、そして奥には書類などを納めたデスクトップのパソコンがある部屋だ。
不思議なのは仕事だけの空間の中に、息抜き用なのか、壁際の棚の上にチェス盤が置かれている事だった。
ソファーとテーブル、資料などを納めた棚などは見たままである。
デスクトップのパソコンは電気が通じていないせいか、起動しないようだ。
チェス盤は以下のようにすでに駒が置かれていた。
ここに置かれた駒は不思議な事に引っ張っても取れず、固定されているようだ。
?の部分は穴が置いており、ここにはめ込めそうな黒い駒がチェス盤の番外に置かれている。
(チェスのデザインは、 シルエットデザイン 様を使用しました)
番外に置かれている黒い駒は、「ポーン」「ビショップ」「キング」の3つだ。他の駒は無さそうだ。
イラストではマスが途切れているが、8×8のチェス盤があると思うこと。
☆<INT><EDU>(もし持っているならチェスやゲームなどでも可)で判定。
▽成功すれば、「ポーンは1マス前に進める」「ビショップは斜めならどこまでも進める」「キングは1マス縦横斜め進める」
聞きたければチェス盤の上にある「ルークは縦横ならどこまでも進める」
☆どうしてもわからないのでヒント欲しいと言われれば、<INT>で判定し、成功すれば「?の部分に入れて、チェックメイトできる駒を入れれば良いのではないかと思う」。
☆三分の一なので、わからなくとも?の部分に駒を嵌めれば良い。一応嵌める時は、どれをはめるか宣言してもらうこと。
☆ここのヒントは娯楽室のチェスの本にも隠れており、本には「クイーン」「キング」と書かれているため、ここにあるのだと「キング」とわかるはずだ。
正解は、「キング」の駒を?の部分にはめることで、棚が横にスライドし、隠された屋根裏部屋の階段が現れる。
仕事室から階段を上がって辿り着いたのは、屋根裏部屋と思われる物置のような部屋だった。
埃やカビのせいか、それも鼠でもいるのか、館に常に漂っている悪臭が更に強まった気がした。
屋根裏にしては天井は高く、大の男が立って歩いても苦労はしなさそうだ。
箪笥のような収納が並び、奥の方には窓とデスクが見える。
と、探索者が持っている明かりの端に何かが映った。
それはメイドが着ていた服のように見えた。やっと誰かがいるようだ。
☆メイドに近づくと、ブゥーンと羽音が複数鳴り、たかっているのがわかる。それでも近づいて揺り動かそうとすると、ごろりと転がった人物の顔は暗赤褐色に変色し、腫れたように崩れていた。口からは蠅が出入りしていて、その人物に生命があるようには思えない。
死体を目撃した探索者は正気度ロール 0/1D3。(近づかずに階段のところで待っている探索者は正気度ロールをしなくてもよい)
死体を更に改めて見ると、首に赤い宝石のネックレスをつけてることに気付く。
(※このネックレスの話は、太陽の部屋の写真や、使用人室の明日香の部屋などでも見ることができるので、この人物が平坂 明日香だと気づくことができるだろう)
(※キーパーへ この死体を書斎の大喰らいの所まで持っていけば、エンド④になる)
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
娯楽室には①オルガンの他に、他の楽器や、ビリヤード台、バーカウンター、チェス盤、②様々な趣味の本がそろえられた本棚、③棚などがあるようだ。
他の楽器やビリヤード台、バーカウンター、チェス盤などは調べると宣言すると、見たままであることがわかる。
オルガンは特注品なのか、白い外装に花と蔦で構成された美しい意匠が目を引く。
譜面台には譜面は置かれておらず、譜面自体は娯楽室の本棚にいくつか納められているようだ。
☆オルガンを上手く弾くには、<芸術/製作(ピアノ)><その他楽器技能でハード以上><EDUでハード以上>が必要。
<芸術/製作(ピアノ)>で判定が成功した場合、「間違いない指運びで演奏を行う。少し音色に違和感があるが、普段弾いているピアノでなくオルガンであるからかもしれない」と思う。
→更にその違和感を調べたい場合は、<聞き耳>で成功すれば「やはり音色に違和感がある。まるで他の装置が裏で動いているような気がする」。
☆譜面台やオルガンを調べる場合、
<目星>で調べると、「譜面台は横に水の流れのような線が5本入っており、その上に花や草のが散らばっている模様が見えてとれる」。
→更に何かしたい場合は<EDU><INT>で、「これはもしかしたら楽譜なのではと気づくことができる」。
→音楽を演奏する場合は、<芸術/製作(ピアノ)><EDUのハード以上>で演奏することができる。
<芸術/製作(ピアノ/その他楽器技能)>で調べると、「譜面台はに水の流れのような線が5本入っており、その上に花や草のが散らばっている模様が見えてとれる。それはまるで楽譜のようだ」。
→ピアノ技能で成功している場合は、そのまま演奏ができたとして良い。
☆オルガンの譜面台に書かれた音楽を演奏できた。
弾き終わると、オルガンの正面がスライドし、その中からハートのマークがついている鍵が出てきた。
(※ハートのマークの鍵は、娯楽室の棚の鍵であり、太陽の誕生プレゼントに渡そうとしていたものである)
本棚には、この部屋に関係のある譜面やビリヤードの本、カクテルレシピ、チェスの本、他に絵画の本やベストセラーとなっている小説などが揃っているようだ。
(※ここで重要な本は、①チェスの本と②絵画の本)
①チェスの本
・チェスの本は、「チェックメイトの形」などを紹介している。
・仕事室のチェス盤を調べていると、仕事室のチェス盤の形が載っていた。
「コーナーメイト」といい、この形の時、あの?部分に置いてチェックメイトできるのは、クイーンかキングだということがわかる。
②絵画の本
・様々な絵画や美術品を紹介している。
・応接間の絵画を調べていると、美術品の中にそれらしき絵画を見つけられる。よくよく見てみると、応接間に飾られた絵画は天地が反転しているような気がする。
棚を開けようとしたら鍵をかかっているようで、中を見ることは出来なさそうだ。
鍵穴の上についているマークを見ると、ハートのマークがついている。
棚を開けると、「レミントンM870(12ゲージ・ショットガン ポンプ) 装弾数 5(最大所持弾数20発)」が入っていた。
※一応、お嬢様の推奨職業ディレッタント(資産家)には射撃があるので、持っていると思う。もし、他の銃器の射撃技能を代用したい場合は、このシナリオ中のみペナルティダイス1個追加で使用しても良い。または射撃(ライフル/ショットガン)の初期値を使用しても良い。
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
応接間には座り心地の良さそうなソファーと、抽象画が飾られている。
抽象画を凝視する場合、<芸術/製作(美術)><芸術/製作(美術鑑賞)><鑑定>などを行うと違和感を感じることができ、絵画の1つが天地が逆向きだと気づくことができる。
この抽象画を見てから談話室の本棚を調べる、談話室の本棚で絵画の本を持ってくれば判定なしで、絵画の1つが天地が逆向きだと気づくことができる。
☆抽象画を正しい方向に戻そうと手を添えると、額を引っかけているのではなく、壁に額が固定されているようだ。それでも捻れば、絵画は回り正しい位置に戻すことができる。
すると、ギギギっと音が響き、その絵画があった壁が扉のように開き、中に手帳が入っていた。
この情報は秘匿情報になる。
(※キーパーへ 手帳を見せて共有すると宣言した場合は、キーパーから情報を全体公開するので嘘偽ることは出来ない。手帳を見せずに口頭で情報だけを伝えると言われた場合は、プレイヤーから話してもらうので一部を削ったり嘘がつける。一部を破ったりできないかと聞かれた場合は、プレイヤーが口頭で伝えた扱いとなる)
【願いを叶える悪魔と契約するには、『契約の指輪』と『魔法陣』と『代償』が必要だ。
『魔法陣』は書斎に書いたし、『契約の指輪』は手に入れた。あとは実行するだけだ。
手順は、悪魔を呼び出し、『契約の指輪』をつけて願いと共に何を代償にするかを言う。
金と女のように、2つの願いを同時に願うと1つの願いを叶えた時点で契約が叶ったとされて、代償が払われてしまうらしい。願いは簡潔に1つである方が良いようだ。
もし願いを途中で破棄したい場合は、『契約の指輪』をつけて「願いを破棄する」と言うと、代償が払われず願いを解除することができるらしい。
(契約の指輪と横に添えられた絵は、目玉が付いた指輪のように見える。次のページには魔法陣、次のページにはよくわからないモンスターの絵が続く。どうやら正気じゃないと思われるような内容が並ぶ。普段だったら笑い飛ばしているが、こんな場所に閉じ込められてまさか?と言う気持ちが恐怖を呼び起こす。この手記を見た探索者は正気度ロール 0/1D2
この情報を取得した探索者、手記を見せて共有した探索者共に発生する。もし口頭で情報だけ伝えた場合は、正気度ロールは行わなくても良い)】
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
ドアを開けた途端に、カビのせいか、本のせいか、悪臭がむわりと漂ってきた。
こもっていた空気が逃げると少しはマシになった。だが、他の場所よりは悪臭が強い気がする。
そして書斎の中に進んで行くと、本棚が動いているのか、不自然な道が暗く繋がっていた。
そちらの方に近づこうとした時、足元に落ちている黒い本を蹴飛ばした。
黒い本に手を伸ばし拾い上げる。
この情報は秘匿情報になる。
(※キーパーへ 本を見せて共有すると宣言した場合は、キーパーから情報を全体公開するので嘘偽ることは出来ない。本を見せずに口頭で情報だけを伝えると言われた場合は、プレイヤーから話してもらうので一部を削ったり嘘がつける。一部を破ったりできないかと聞かれた場合は、プレイヤーが口頭で伝えた扱いとなる)
黒い本の中には不気味な化け物の姿絵や魔法陣や呪文などが書かれていた。手書きで書かれていたそれは、リアルに書かれたグロテスクな絵よりも不気味に見えた。
ページをめくっている内に、クローバーのマークがついた鍵が挟まったページがあった。
【願いを叶える悪魔
(ヘドロのような質感のなめくじのような形状で、口だけしかなく、口には三角形の歯がいくつもサメのように並んでいる。その下には目玉がはまったような指輪が書いてある)
願いを叶える悪魔を召喚するには『魔法陣』が必要だ。
願いを叶える悪魔を従えるには『契約の指輪』が必要だ。
願いを叶える悪魔を満足させるには『代償の約束』が必要だ。
願いを叶える悪魔は愚鈍で離れていたら脅威ではない。
願いを叶える悪魔に願いで狙われたものは逃げられない。
(馬鹿なと思う反面こんな場所で見てしまったことで真実味やら不気味さを感じてしまった。この本を見た探索者は、正気度ロール 0/1D3が発生。
この情報を取得した探索者、本を見せて共有した探索者共に発生する。もし口頭で情報だけ伝えた場合は、正気度ロールは行わなくても良い)】
書斎の奥の、動いた後のある本棚の更に奥には地下へと下りる階段があった。
そこから更に悪臭が漂ってくる。もしかしたら、館に漂う悪臭の原因はここかもしれない。
臭いに耐えて地下へと下りると、そこにあったのは20m×20mの大きさの部屋だった。天井は3m程度。
暗闇の中で、床に灯る暗い赤に光る魔法陣らしきものが見える。
ただ、それよりも探索者たちの目を釘付けにするものがある。それは3m天井でも窮屈そうな巨体だった。
ヘドロのような、変色した肉塊のような、不気味に床から灯る明かりに照らされてぬらぬらと光る。
手足はないようで、動きは体をくねらせて動くだけのようだ。
不気味な怪物を目にしてしまった探索者は、正気度ロール 1/1D10。
(※この正気度ロールはこの書斎の奥の部屋に入った探索者全員に発生する。再度戻って来た場合は、正気度ロールは行わなくても良い)
ここで出て来るのは大喰らいである。
ここで出来ることは、①戦闘を行う、②平坂 明日香の死体を持ってきて捧げる。
大喰らいは、20m×20mの部屋の、探索者が下りてくる階段の丁度反対側20m先にいる。
なので階段からショットガンで狙いをつけると基本射程20mで考えて良いと思う。
基本的に大喰らいは大きくて動かない。けれど、大喰らいの攻撃が成功した時だけ10m以下に近づいたと判断して良いかもしれない。
探索者が近接攻撃や刀剣攻撃を行う場合は、5m以下に探索者がいると考えて良い。
▽大喰らいの耐久力0
耐久力0になると、バタンと巨体を投げ出して倒れ、口をだらしなく開く。
その時口のすき間から飛び出した、人の腕が見えた。筋肉質な腕は女性ではなく男性の物だと思われる。その指には、目玉がはまったような指輪がはまっていた。
(※これは「契約の指輪」をはめている太陽の腕である)
☆大喰らいから指輪を取ると宣言して、前の館の主の手帳に書いてあった「願いを破棄する」というキーワードを言うと、エンド⑤になる。(これは1つの行動と判断して良い)
☆大喰らいは探索者が、1つ以上の行動を行った後に探索者の幸運が高い方に幸運ダイスを振ってもらい、失敗すると『大喰らい』の耐久力が1D20分回復する。
また一度「大喰らい」のいる部屋からプレイヤーが出て戻って来ると、大喰らいの耐久力が全回復する。
大喰らいは耐久力0になったからと言って、完全に消滅することはない。
平坂 明日香の死体を大喰らいの目の前まで持って来ると、大喰らいは大きく口を開け平坂 明日香を食べる。
すると、エンド④になる。
(平坂 明日香は、大喰らいの中で太陽と「一緒になった」)
☆もし明かりを持っていない場合は、周りが暗すぎて良く見えない。目を使う技能を使用する時にペナルティダイス2つが追加される。
使用人の部屋をノックをしても誰も出て来る気配がない。
いくつかのドアノブを回してみるが、ほとんどのドアは鍵がかかっているのか開かないが、1つ開くドアがあった。
(※一応、イメージとしては1階使用人室エリア階段横の部屋が空いている)
使用人の部屋の中で、鍵がかかっていない部屋が1つあった。
ドアを開けてみたが、中には誰かの気配がない。
荷物は置いてある。荷物は①クローゼットに入った服、②手帳、③写真立て。
女性もののようだ。メイド服も混ざっていることから、メイドの持ち物らしい。
手帳は日記のようだ。日記帳には以下の手紙が挟まっていた。差出人は平坂 明日香。受取人の名前は書いていないようだ。
この情報は秘匿情報になる。
(※キーパーへ 手紙を見せて共有すると宣言した場合は、キーパーから情報を全体公開するので嘘偽ることは出来ない。手紙を見せずに口頭で情報だけを伝えると言われた場合は、プレイヤーから話してもらうので一部を削ったり嘘がつける。一部を破ったりできないかと聞かれた場合は、プレイヤーが口頭で伝えた扱いとなる)
【今までありがとうございました。
あなたと過ごした日々は楽しい毎日でした。
けれど、あなたと私ではやはり生きている世界が違います。
わたしはあなたの幸せを邪魔をしたくない。
わたしはあなたの幸せを願っています。
なのであなたの元を去ろうと思います。
最後にあなたにもらった『赤い宝石のネックレス』を返したいと思います。
平坂 明日香
(という内容の手紙だった)】
※この情報は秘匿ですが、普通の手紙なので正気度が減るとかはない。
庭で太陽とメイドが並んで映っている写真が入っていた。
▽太陽の様子を観察する場合
<心理学><目星>などでわかるが、「どこか頬が上気しており、嬉しそうだ」。
失敗すると、微笑んでいる。
▽メイドの様子を観察する場合
パッと見てわかる情報は、メイドは探索者が先ほどまで世話をしてもらっていた高円家のメイドの服装である。
外見的なことを更に知りたいならば、<目星>で成功すると「胸元に赤いネックレスをつけているようだ」。
内面的なことを知りたい場合は、<心理学>で成功すると「微笑んでいるが、どこか不安を抱えているような顔だ」。
(※太陽の部屋で見つけた写真と同じ物だと気づくことができるかもしれない)
・窓から外の様子を見ると、自室から見える景色と同じ景色が広がっている。館の周囲が真っ暗すぎて木の影や空の明かりも見えない。
・窓から外に出ようと鍵に手をかけても、鍵が固くて動きそうにない。
・窓ガラスを壊そうとするが、強化ガラスなのかガラスは割れそうにない。
・ロビーの玄関には鍵がかかっていて、そこから出ることは出来そうにない。
・ロビーの玄関のドアを壊そうとしたが、頑丈なドアのようで壊せそうにない。
条件:執事の努力も虚しくお嬢様が死亡・正気度0になる。
内容:(お嬢様の死(狂ったの)を目にした執事は、絶望に衝撃を受けた。正気度ロール 0/1D6)
執事は守るべきお嬢様を守り切ることは出来なかった。
手を伸ばそうとしたが、その手をすり抜けてお嬢様は闇(大喰らい)に飲まれていった。
途端、この異変が起こった時と同じように「グオォォォォ」と不気味な声が満足げに館を震わせた。(※大喰らいにお嬢様が食べられた場合は、食べている大喰らいが満足げに鳴いたのがわかる)
次の瞬間足元が崩れ、浮遊感が執事を襲った。何もない闇に投げ出されたように感じる。
そして、気づけば執事は冷たい地面に体を打ち付けられていた。
周囲を見回せば、夜の暗闇の中山の空き地にいた。
その場は大きく変わっているが、そこは確かに高円家の館があった場所のはずだった。
しかし、あったはずの館は跡形もなくなり、そこにいた人々は執事(探索者2)を除いて消えてなくなってしまった。
執事はその後、本当のことを話したのか、それともただ黙って守るべきお嬢様がいなくなったことを受け入れたのかもしれない。
命からがら帰った後に執事は、不思議な事に執事がいた館の他にも高円家が所有していた物や関わっていた人々が一晩のうちに消えてしまったと騒ぎを耳にするかもしれない。
関係ないと思うか、あの事件が関係あったのではないかと思うのかは執事(探索者2)次第。真実は闇の中。
条件:太陽の願いを理解し、執事が自らの意思でお嬢様を見捨て、死亡させる。もしくは、PvPで執事が自らお嬢様を死亡させる。
(お嬢様が正気度0になるは、執事が見捨てたからにはならないと思うので、死亡のみとなっている)
内容:執事は「お嬢様を消す」という太陽の願いを理解し、自らの意思で、お嬢様を守ることを諦めた。または見捨てた。
それは裏切りになるかもしれないが、自らが助かるためには仕方がない。
お嬢様は目の前で闇(大喰らい)に飲み込まれていく。
途端、この異変が起こった時と同じように「グオォォォォ」と不気味な声が満足げに館を震わせた。(※大喰らいにお嬢様が食べられた場合は、食べている大喰らいが満足げに鳴いたのがわかる)
次の瞬間足元が崩れ、浮遊感が執事を襲った。何もない闇に投げ出されたように感じる。
そして、気づけば執事は冷たい地面に体を打ち付けられていた。
周囲を見回せば、夜の暗闇の中山の空き地にいた。
その場は大きく変わっているが、そこは確かに高円家の館があった場所のはずだった。
しかし、あったはずの館は跡形もなくなり、そこにいた人々は執事を除いて消えてなくなってしまった。
ただ1つだけハッキリしている。執事、あなた(探索者2)は生き残った。守るべきお嬢様を犠牲にして……。
帰った後に執事は、不思議な事に執事がいた館の他にも高円家が所有していた物や関わっていた人々が一晩のうちに消えてしまったと騒ぎを耳にするかもしれない。
真相の一端にでも辿り着いた執事(探索者2)は、それがどういうことかわかっているかもしれないが、もうどうすることもできないだろう。
条件:執事が死亡・正気度0になる
内容:執事が力尽きた。
もうお嬢様(探索者1)であるあなたを守る盾も剣も味方も誰もいなくなった。
途方に暮れているのか、放心しているのか、縋っているのか、慌てて逃げ出したのかはわからない。
ただ、邪魔者が居なくなったことでお嬢様に壁が迫り、影のような触手が伸びてくる。
そこはお嬢様を閉じ込める檻。もう逃げ場はない。
影に引きずり込まれ、いつの間にか変化した床が口を形作り、サメのような歯が何列も並ぶ口内が見える。
なす術がなく、お嬢様の意識はそこで消えてなくなってしまうことだろう。
条件:平坂 明日香の死体を大喰らいに捧げる
内容:「彼女(平坂 明日香)と一緒になりたい」という太陽の願いを理解し、平坂 明日香を化け物(大喰らい)に捧げると、化け物(大喰らい)は「グォォォオ」と満足げに不気味な声が館を震わせた。
次の瞬間足元が崩れ、浮遊感が襲った。何もない闇に投げ出されたように感じる。
そして、お嬢様と執事は冷たい地面に投げ出されていた。
凍えるような夜風が肌を撫で、空には月と星が輝いている。
周囲を見回せば、その場は大きく変わっているが、確かに高円家の館があった場所のようだった。
しかし、そこにあったはずの館は跡形もなくなり、そこにいた人々は2人を残して消えてなくなってしまった。
帰った後に探索者2人は、不思議な事に執事がいた館の他にも高円家が所有していた物や関わっていた人々が一晩のうちに消えてしまったと騒ぎを耳にするかもしれない。
真相の一端にでも辿り着いた探索者は、それがどういうことかわかったかもしれない。
※補足 大喰らいではなく悪食に捧げられないのかと聞かれたら、「悪食でも良いですが、どこに居るのかはわからない」と伝えてください。
条件:大喰らいを倒し、太陽の死体から契約の指輪を入手し、願いの解除を願う
内容:化け物(大喰らい)を倒し太陽の死体から指輪を奪い取った探索者は、願いの解除を願った。
化け物(大喰らい)は「グォォォオ」と不満げに声を上げた。
途端にボロボロと世界が崩れた。
崩れた世界の先に、崩れた世界と同じ風景が広がっていた。
しかし、目の前にいたはずの化け物(大喰らい)は居なくなり、ずっと漂っていた悪臭や気持ちが悪い空気なども消え去っていた。
先ほどまで見えていた世界が嘘のように感じるが、目の前に死んだ太陽の遺体(や手に持っている猟銃)が先ほどまで起こった事件が現実だと教えている。
窓からは月明かりが見え、鳥が飛んでいく。書斎から出れば、人の姿はないが人気は感じる。
太陽の死を知らせるために人に会いに行くと、太陽以外の陽一郎や使用人たちは居た。
騒ぎになり朝になるとともに警察が駆けつけ、屋根裏部屋の平坂 明日香の死体も見つかる事だろう。
太陽の傷は人ができることではないと獣の犯行ではと判断されるが、平坂 明日香は陽一郎の犯行だと判明した。
高円家はその後転落していくが、犠牲者は太陽と明日香の2人だけで済んだ。
それでよかったと思うのか、犠牲者の2人を痛むのか、それは探索者次第だ。
このシナリオで、辿り着きやすいエンディングは、①③の片方の探索者が死亡、の次に⑤が気づきやすいと思う。
強武器のショットガンが2つあるので、メタとしても大喰らいと戦闘しなければいけないのでは?と思考が行きつきやすいかと思う。
エンド②と④の太陽の願いを叶えることで解除できると気づくかは、作っていてなんだが願いのルールを理解しにくいようにも思う。あと、願い自体が太陽の日記にしか書いていないので、太陽の日記を手に入れられなければ中々難しいエンドではある。
執事が、お嬢様が死ねば自分もゲームオーバーになるのではないか?と聞いてきたら、「探索者2人ともゲーム終了となると言っていますが、2人ともゲームオーバーになるとは言っていませんね」と返すこと。これはお嬢様に対しても同じ。
あとエンドは関係ありませんが、このシナリオ中、鍵はハートとクローバーのマークの鍵しかない。
ハートとクローバーがあるから、ダイヤとスペードの4本あるのでは?みたいな読みをする方がいたら、その辺は関係ありませんと言ってもらえると良いかもしれない。それが面倒なら、赤と青の鍵とかに変えてもらっても良い。