2019年07月23日更新

【AL】あなたのたましいのものがたり

  • 難易度:★★★|
  • 人数:3人~4人|
  • プレイ時間:4~5時間(ボイスセッション)

【今回予告】
突如、ブルースフィアと全く同じ惑星が、1光秒と離れていない宇宙空間に出現した。
ロシュ限界さえも無視するその存在は、世界を混乱へと導く。
まあ、それはそれとして、PC達は恋に復讐(されるほう)にバカンスにと大忙しだ。
アルシャードセイヴァー シナリオタイトル。
「あなたのたましいのものがたり」

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ストック

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コメント

はじめに

日本が誇る女流SF作家、新井素子さんの連作短編で、「ひとめあなたに」という作品があります。
この作品には、鏡合わせのようにもう一つの作品、「宇宙魚顛末記」が存在します。
本シナリオを作成するにあたり、非常に参考にさせていただいているので、この場で謝辞を。
ホントスンマセン。

NPC紹介

“幼馴染”

PC1の家の隣に住む幼馴染み。一般人。世界の誰もが認める、ザふつうのひと。ミス平均値。
人工が70億だとすると、35億位ちょうどにランクインする。
誰もがお約束と思うことをすべて実現してくれる、ザふつうのヒロイン。
名前はPC1に決めてもらって下さい。

"仇を討つもの"

一般人。クエスターでも可。
かつてPC3とチームを組んでいたクエスターの縁者。妹あたり推奨。
PC3を逆恨みし、PC3をつけねらう。
PC3の仲間だったクエスターも含め、名前はPC3に決めてもらって下さい。
注意:シナリオで”仇を討つもの“の台詞は女性の口調で書いてありますが、PC3の決めた設定に合わせて適当に口調を直してください。

建礼門院狂華

一般人。
PC4の旧知。関係性はPC4に決めてもらって下さい。名前はマッドなイメージの筆者の限界です。変えても良い。
世界一マッドに近い正常なサイエンティスト。
名前に負けない奇抜な服装と行動と言動をするが、困ったことに頼れる知恵者である。

三つの願いを叶える魔神

ランプの精っぽい神。
絶対に打ち消せない、たちの悪いガイアを3回行使できる存在。人の願いを曲解するのが好き。本人に悪気はない。

ハンドアウト

PC1

シナリオコネクション:“幼馴染”
あなたは“幼馴染”をバカンスにどう誘おうか迷っていた。
二人の中を進展させたい、そんな思いが発する言葉を躊躇させる。
ガイアを使えることを前提とします。

PC2

コネクション:“幼馴染“
あなたはブルースフィアの裏側(地球の裏側的な表現)で、下見がてらバカンスを楽しんでいた。
PC1と“幼馴染”との中をどう取り持ってやろうか、もしくはどう邪魔してやろうか。
そんなことを考えていると、満点の夜空に・・・。

PC3

コネクション:"仇を討つもの"
あなたは以前のクエストの犠牲者、彼女(彼)を救えなかったことを悔いていた。
だからその弟(妹)が自分を恨むことを否定できずにいた。
が、迷惑メール100通とかピザ100人前とか、マジホントカンベンしてください。

PC4

コネクション:学者 建礼門院狂華
あなたは組織から、突如発生した星の調査を依頼された。
文字通り手の届かぬ相手に途方に暮れていた時、かつての悪友から連絡があった。
それはPC4にとって渡りに船な話で・・・。

前提

PCはチーム、もしくは以前仕事を一緒にしたことがあることにしておいて下さい。

シナリオ本編

オープニング

マスター

三つの願いを叶える魔神。そばに人影。
彼は魔神に願った。
「ブルースフィアなぞ無くなってしまえばいい。具体的には? そうだな・・・」
暗転。
以下、GM視点。
これは空に見えるブルースフィア側で起きた内容です。続きはミドル1のマスターシーンで。

PC1

幼馴染とイチャイチャ。朝起こしに来るなど、ヒロインテンプレートを過剰なまでにこなして下さい。
PC1がバカンスに誘う。誘い方はPC1におまかせ。
「「でも、あれなんだろうね」
空にもう一つのブルースフィアが浮かんでいる。
現れた当初は世界が震撼したものだが、恐ろしいことに人間は慣れる生き物だ。
空にブルースフィアが浮かんでいるのが、いまや日常になっていた」
だいたい1ヶ月前に出現しています。
クエスト「”幼馴染み“と楽しく過ごす」をPC1のプレイヤーに投げつけてください。

PC2

南の島でバカンスを楽しむPC2。
突如夜空を覆うものに周りがざわめく。
「あ、あれはなんだ!」でフェードアウト。
クエスト「PC1達の邪魔をしそうなやつらを排除する」
以下、GM視点
夜空を覆うのは、大きな犬の口です。
ミドル1のマスターシーンに続きます。

PC3

過去の話。仲間を失ったクエストをカッコよく演出してください。
回想シーンから意識は現在に戻り、"仇を討つもの"の扱いに困っているという描写で終了。
クエスト「”仇を討つもの“を仇という呪縛から解き放つ」

PC4

所属する組織から、空に見えるブルースフィアの調査依頼を受ける。
といっても手はなく、困っているところで狂華から連絡。
「天体観測に南の島にバカンスに来ているから、来い」
頭が痛いが頼るしかないようだ。
クエスト「依頼を完遂する」

ミドル1

PC3

"仇を討つもの"が仇をうちにくる。
「あなたの大切なものを奪う。今だとそう、あなたのお仲間がそうなのかしら」
ストーキング情報を見ながら
「あら、みんなで南の国? のんきなものね」姿を消す。PC3には南の島に行く覚悟をしてもらって下さい。

マスター

三つの願いを叶える魔神。
「ブルースフィアなぞ、犬にでも食われてしまえばいい」
「了解した」
暗転。

PC2

空に映る巨大な犬。やってくるPC1。
PC1が、"幼馴染み"とイチャコラしているのを眺めていると、"仇を討つもの"が声をかけてくる。
PC2は面識がありません。見知らぬ相手にいきなり名前を呼ばれると言うシチュエーションだとプレイヤーに伝えてください。
PC2の反応の途中で、突如襲いかかってくる。
ミドル戦闘へ。
PC3、4もここで合流してください。タイミングはプレイヤーに任せます。

ミドル戦闘

"仇を討つもの"が雇った悪漢ども。
肩慣らしです。ルールブックのエネミーから適当に。

マスター

三つの願いを叶える魔神
魔神に願いを言った人物を倒したクエスター。
「あの犬を消してくれ」
「残念ながら、願いを取り消すような願いはお受けできない。あの犬はブルースフィアを食う以外に消えることはない」
「じゃあ、食われるブルースフィアが別にもう一つあればいいのか?」
「了解した」
「あ、ちょ、ちょっと待って・・」
暗転。

PC4

時間は少し遡る。
PC4が南の島に到着し、狂華と合流したところ。ミドル戦闘の少し前。
PC1たちのいる場所(海岸とか)に程近い場所で勝手に観測所を構築している狂華。
PC4を見つけると、大喜びで駆け寄ってくる。
「聞け!面白いことがわかったぞ!」
空にあるブルースフィアを指差す。犬の口のちょうど反対側にある。
「本物のブルースフィアはあっちだ」

PC1

ミドル戦闘後に時間を戻す。
狂華が嬉々として説明する。
「ここから見える星の位置を調べた。
すべての星が、今日この日この時間に本来見えるはずの位置からずれて見える。
公転が早まったなら別だが、その場合は滅亡規模の災害が地上に起きるのでおそらく違う。
で、星の位置のずれを計測し、本来の星の配置で観測出来る位置を逆算したところ、出た座標は」
空を指差す。
「というわけで、おそらくあのブルースフィアは世間が言うような、コピーやまやかしや鏡像や残像などではなく、本物のブルースフィアで、むしろこちらが偽物だ」
しばらくプレイヤーの反応を伺いつつ質疑応答してください。狂華に分かるのは、あっちが本物らしいということだけです。
その後、"仇を討つもの"が取り乱します。
「じゃあ、あたしは偽物だというの?。この復讐心も、姉/兄との思い出さえも!そんなわけない!」
怒りに拳を振り上げる"仇を討つもの"に同調するように、"幼馴染み"が普段とは全く違う口調で話し出す。
「ホントそうですよ!教えてください。じゃあ私ってナニモノなのでしょう」
PCが誰かと訪ねれば、こう答える。
「あ、すみません。ガイアです」

ミドル2

PC4

「聞いてくださいよ、私はこのブルースフィアのガイアな訳なんですけど、それを偽物とか言われたら、じゃあ私は誰なんだって話ですよ」
こんな感じで主に狂華に、動揺して言いたいことだけ言い続ける感じ。根底には存在を否定された神の不安がある。
PCが、なぜ"幼馴染み"に憑依しているのかを訪ねると
「や、わかんないんですけど、この子スッゴク落ち着くというか、人類代表ってくらい平凡っていうか、安定感あるんですよ」
NPCの設定はこの伏線です。
「いやまあ、それだけではないんですけど・・」
といったところで、”幼馴染み“の体が光り、モヤのようなものが立ち昇って空に映像が浮かぶ。映っているのはPC達。
「どうやらあっちから連絡が来たようね」
狂華のつぶやきでシーン変更

PC1

「そっちの俺、いるか?」
向こう側のPC1が訊ねる。GMが演じてください。口調はPC1を意識して変えてください。
「今、“幼馴染み”に降りているガイアを通じて話をしている」よく見ると、向こうの“幼馴染み”もこっちと同じような状態で映っている。
「すまない・・・」
と言ってうなだれると以下の説明をします。基本的にマスターシーンで示した内容です。
・3つの願いを叶える魔神がいて、それに願い事をした者がいた。
・願いは「ブルースフィアは犬に食われてしまえ」
・そいつは倒したが、魔神は願いのキャンセルはできないという。
・「食われるブルースフィアが別にあればいいのか?」と呟いたら、願いとして受理された。
「こうして生まれたのがそちらの世界らしい」
誰が呟いたかを聞かれたら、一番面白い状況になりそうなPCを選んでください。
「魔神が言うには」と言って、以下の説明をプレイヤーにしてください。
・魔神は3つの願いを叶えたらその相手を倒して自身の力として取り込む。
・万が一、自分が倒されても叶えた願いはそのままだが、復活するまでのほんの短い時間だけ、願いの拘束力が落ちる。
・その短い間であれば、相当な奇跡でも起きれば願いが取り下げられるかもしれない。
「ガイアはまだ切ってないな? こっちはなんとか魔神を倒すから、そっちは犬をどうにかしてくれ」
犬はブルースフィアを丸呑みできるサイズで宇宙にいます。
プレイヤーが犬との戦い方で面白い案を思いついた場合は、そちらを頑張って採用してください。
思いつかない場合は、カッコよく以下のロールプレイをしてください。
「向こう側のPC1が、魔神に3つめの願いを告げる。
「向こうにいる俺たちが、あの犬と戦えるようにしてくれ」」
全員へのクエスト「世界を救え」
クライマックスへ。

クライマックス

戦場の描写。

PC達の目の前に宇宙空間が広がり、全長10メートルほどの犬が現れる。
よく見ると、さっきまでいた場所に画像が映されているだけだとわかる。
PCと犬の間に障害のように何体かの魔物が現れる。
魔神「その犬は本物ではないが、あの犬と完全にリンクした存在だ。その他はオマケ」

レギュレーション。

前提は、こっちと向こうで同時にガイアを放つ。向こうは魔神を倒すとき、こっちは犬を倒すとき。
タイミングは戦闘前に示し合せる必要がある。以上を踏まえてレギュレーションは以下。
・勝利条件は、戦闘開始前にプレイヤーが宣言したラウンドで、犬に対してガイアを乗せた一撃を与えること。
・犬はガイアの乗った一撃が当たりさえすれば倒される。
・犬以外のエネミーは戦闘開始前にプレイヤーへデータを開示する。
・自分たちの戦力を分析して、ガイア持ちのPCが犬に辿り着いて攻撃できるラウンド数を推定すること。
GMは、大体2ラウンドでたどり着く程度にエネミーを配置し、4ラウンド目でPCが全滅するくらいの強さでラスボスを設定してください。
面倒な場合は「犬は3ラウンドの最後で全滅ブレスを吐きます」と宣言してもいいです。

エンディング

見事に成功した場合。

「犬と魔神は消失した。と同時に、“幼馴染み“の身体から大量の光のモヤが立ち昇り、それが女性の形を成していく。
女性、女神は驚くほどの速度で大きくなり、ブルースフィアを覆う。その光景はあちらのブルースフィアでも繰り広げられていた。
鏡写しのように手を合わせ、お互いを見つめ合う二人の女神。
「こちらのブルースフィアをそちらのガイアへ」
「そちらのブルースフィアをこちらのガイアへ」
「「今こそ重ね合わせましょう」」
世界が、ピントがずれたように二重になったかと思ったら、次の瞬間、カチッと重なる」
PC達は二つの記憶を持つことになる。それは、魔神を倒したPC達の記憶と、犬を倒したPC達の記憶。
世界は元の姿を、ちょっとだけ変えて取り戻した。

見事に失敗した場合

”幼馴染み“に憑依したガイアがしゃしゃり出てきて、セルフガイアを魔神と犬に放ちます。
「うーガイアはしばらく打ち止めですー」と言って”幼馴染み“ごとどこかへ消える。
(この段階で、PC1と2のクエスト一つ失敗です)
滅亡の危機は去りましたが、ブルースフィアは2個のままです。
「何か願い事はないかね?」
もう復活した魔神が、今度はPC達の側のブルースフィアに現れました。

個別エンディング

プレイヤーの要望に合わせて、適宜対応ください。

おしまい

世界設定とシナリオギミックのまとめ(PCには非公開)

最後に記載したほうが分かりやすいと思うので、ここに記載します。
シナリオ上で開示されるまで、PCには非公開でお願いします。

PC達がいるブルースフィアは、魔神が生み出したコピーです。
当然、PC達も含めすべてコピーで、本物のブルースフィアに全く同じものが存在します。
唯一、魔神はコピーが存在しません。
シナリオの中で、マスターシーンとしてその事実を徐々に明かしていくので、GMは上記の設定を意識してロールしてください。
そしてPC達には、空に見えるもうひとつのブルースフィアがコピーであると思うように、最初のうちは状況を伝えてください。
自身がコピーであると知ったときに、それをどう受け止めるか。
それがPC達の「あなたのたましい」のものがたりです。
事実が開示されるまでは、おもいっきりおバカなシナリオとして進めて下さい。開示後との落差が重要です。
ちなみに、NPCで一番錯乱する予定なのは"仇を討つもの"です。
生きる支えである自分の復讐心までもがコピーであると認められません。

⚫️最後に 〜定型文〜

本文書の著作権は、著者であるのみすけに帰属します。
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身内で、コンベンションで、楽しんで頂く分には、何ら問題ありません。2次利用(リプレイ、動画等)も同様です。

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のみすけです。 とある御縁により、いいシナリオ保管場所を見つけられたと感謝しきり。 シナリオコンテストとか以外は、ほぼシナリオフック的なメモを保管します。 しばらくは過去のシナリオのサルベージをのんびり。 非公開のものは新作です。どこかのコンベンションで開示するまでは非公開になります。ご容赦を。 連絡先は一時的な提示です。

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