2019年07月23日更新

【MM】エクスカリバー、聖剣やめるってよ

  • 難易度:★★|
  • 人数:3人~4人|
  • プレイ時間:2~3時間(ボイスセッション)

タイトルはいろいろギルティ。
モノトーンミュージアムでは難しい、100%おバカシナリオを目指しました。
【トレーラー】
勇者を待つ、ひと振りの剣があった。
あまたの魔を滅ぼし、あまたの世を救ったその剣は、
飽いていた。
「普通の女の子に戻ります」
そんな意味不明な書き置きを残して、引き抜いてくれる勇者を待つために刺さっていた岩から家出をした聖剣は、ひと振りの剣としての人生(剣生?)を送るための旅を始めた。
そんなわけで、聖剣の刺さっていた「剣の国」では大騒ぎだ。

モノトーンミュージアム「エクスカリバー、聖剣やめるってよ」
さて?

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ストック

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コメント

舞台設定

剣の国

別に剣に秀でた国とかではない。
選ばれた勇者のみが抜けるという、聖剣。
そんな謂れのある剣が中央広場の大岩にガッツリ刺さっている国。
基本、聖剣を見る観光客で賑わっている。

NPC

・聖剣エクスカリバー

以降、エクスちゃんと呼ぶ。
女性の剣精が宿っている神の剣。
悪しきもののみを断つと言われているそれは、数百年の風雨にもサビひとつなく、常に淡い燐光を放っている。
ここ最近、勇者にハズレ(前々回:ダサイモ男、前回:女性)が多く、フテクサレ気味。

・剣の国の国王

かつての英雄の子孫。二十歳前後。
エクスの声が聞こえるが、勇者ではない。

・魔王

魔王。それ以上でも、それ以下でもない。一応伽藍。
あと、ほぼ出番はない。

・魔剣ストームブリンガー

以降、ブリちゃんと呼ぶ。
ジメジメして暗くてカビ臭いダンジョンの最奥部の玉座にいて、陽のあたる世界で王子さま待ちしているエクスちゃんが大嫌い。

ハンドアウト

・PC1 勇者

君は、伝説の勇者だ。少なくとも周りはそういっている。
君は乗り気でもいいし、イヤイヤでもいい。PC2に連れられて、聖剣のある剣の国にやって来た。

・PC2 勇者を導くもの

君は、長い旅路の果てにPC1を、勇者を見つけた。まあ、別に幼馴染みとかでもよい。
PC1の姿は、あなたの従者魂を奮わせる。
「PC1が勇者として立ち、民衆にちやほやされたり、パレードでの歓声にデレデレになる姿が見たい」
どうやら特殊な性癖らしい。

・PC3 剣の国の宰相

君は、国王に泣き付かれた。
「この国唯一の観光名所が、なくなってしまった。どうしよう」
いつも通りのまる投げだが、このままでは税収もままならないのは確かだ。

・PC4 裁縫師

君はミーハーな上司から指令を受けた。
聖剣の喪失は世界のいち大事だ。
歪みだほつれだ伽藍だ、その辺はどうかはわからないが、裁縫師協会として看過できない。

シナリオ

オープニング

・マスター

聖剣エクスカリバーは憂えていた。
世界の危機とかそんなことはどうでもよい。
「いい男(使い手)がいない」
乙女の悩みであった。
敢えて彼女をエクスちゃんと呼ぶ。
エクスちゃんは憂えていた。
ここ数代の担い手はハズレばかり。脳筋もショタも趣味じゃない。女性なんてもってのほか。もう正直、勇者の相手なんてウンザリ。
そんな彼女に御標が下る。
「恋愛運:積極的に動くのが吉」
その御標が彼女の背中を押す。
「そうよね、待ってるだけじゃダメだわ」
こうして彼女は旅に出た。
歪み表を適用してください。
以下、GM視点
歪んでます。ナニがとは言いません。
いや、一応、魔王によって歪められた御標です。正しくは、
「恋愛運:身近な相手にも目を向けよう」

・PC2

PC1との出会いから旅立ちまで。
ここはプレイヤーの要望にガッツリ応える。

・PC3

王さまにお願いされる。
「普通の女の子に戻ります」エクスちゃんの置き手紙だという。
「この国唯一の観光名所が、なくなってしまった。どうしよう」
エクスちゃんを探してくれとは言わない。
とりあえず現場へ。
現場の保存に詰めていた衛兵に聞かれる。
「どうします? 工事中とか貼っときます?」
ちなみに、お土産用の聖剣なら簡単に手に入る、明らかなおもちゃだが。

・PC4

ミーハーな上司からの依頼。
「あの、伝説の、聖剣が姿を消したらしい。世界の一大事だ!」
とりあえず現場に向かう。
PC3と衛兵が何か話している。
うん、確かに聖剣ないな。

・PC1

PC2に連れられて、聖剣の国に到着。
PC2のプレイヤーにこんな意味合いのセリフを言ってもらいましょう。
「さあ抜いてください。あれが聖剣、あなたの唯一無二の相棒です!」
『伝説の聖剣』と書かれた看板の横にある岩には、聖剣が刺さっていない。

ミドル1

・マスター

旅慣れないエクスちゃんは、あてどなくさまよっていた。
やがて降る雨。
風雨ごときで錆びはしないが、その冷たさは心にしみる。
大樹の根元で雨宿り。止まない雨。葉重ねを抜けてぽつぽつとあたる雫。
「何やってんだろな、あたし」
ほんの少しの後悔が、つぶやきにこぼれる。
不意に、影ができる。
「おや、こんなところに剣が置いてあるぞ。えらく立派なこしらえだなあ」
見上げた先に、初代勇者に様子の似た青年の姿。

・PC3

PCたちに状況を説明する。
といっても王さまに言われた内容程度。
PC3に対しては、問題は税収であり、観光名所があればいいことを強調する。
どうしたいかをPCに問う。
想定というか案
・いなくなった聖剣を探す。
・新しい村の名所を作る。
・別の聖剣を取りに行く。
なんとなく方向が決まったり煮詰まったりしたところで、空が赤黒く染まる。

・PC4

魔王の登場。空をおおうほどの巨大な幻影。
「ふはははは。どうやら聖剣は人間どもを見捨てたようだな。
愉快。実に愉快だ。吾をさんざん苦しめてきたあの光の聖剣さえなければ、お前たち人間な「ちょっと邪魔」どぐぼっふぉお!!」
かっこつけ中に切られて倒れる魔王。
会話の相手が変わる。ブリちゃん登場。
「ちょっとそこのアンタ!」PC1を指す。
「エクスがいなくなったってホント!?」
「いや、今、吾が話して「うっさい」ぐはあ!!」
魔王消滅。
「このストームブリンガー様に、挨拶もなく旅に出るとはいい度胸ね。思い知らせてやるわ」
映像は消え、青空に戻る。
歪み表を適用してください。
以下、GM視点
ブリちゃんが自らの御標に反したり、魔王の死によって御標が戻ったり。
この辺の歪み表の適用はノリで。乖離値を上げたいだけです。

・PC2

騒ぎに、王さまが近衛を引き連れて駆けつける。
衛兵に話を聞くと、「ではあなたが魔王を退けた勇者なのですね」とPC1に言ったりする。
完全なる誤解だが、プレイヤーには好きに乗っかってもらってください。
PCたちを客人として王宮に招き入れる。

・PC1

ものすごい勢いで歓待されるPC1。
王さまがPC3に耳打ち。「勇者のいる国ってことでもいいんじゃないか?」
村興しの看板的に扱う気満々である。
ほどほどのところで情報収集開始。

情報収集

・魔王

十層からなる巨大地下迷宮で形成される地下大墳墓、通称カタコンベ。
その最下層にある玉座に鎮座する、世界の終末を担う王。
かたわらに魂を喰らう魔剣、ストームブリンガーをはべらせている。
今さっき、その魂は魔剣に喰われたようではある。

・魔剣ストームブリンガー

魂を喰らい、使い手の糧とする、伝説の魔剣。
女性の剣精が宿っているようで、愛称はブリちゃん。
好みはあおっちろい細身の美形。今の魔王は全く好みではない。

・聖剣エクスカリバー

選ばれし勇者にしか抜けない聖剣。
相手を選ぶが、念話的な感じで人と話ができ、今の王とは幼い頃からの友人のような関係。

・剣の国

聖剣エクスカリバーをもって世界に平和をもたらした勇者が興した国。
今の王は18代目。特に勇者というわけではない。
庶民派の王で、王冠を頭にのせて普通に街に出て買い物とかする。

・エクスちゃんの失踪

特に誘拐的なものではなさそう。
ブリちゃん同様、自分である程度、自由に動けるので、誘拐犯程度は斬り伏せられる。
今の王が幼い頃に誘拐されそうになった時に救ったことがあるくらい。

王に話を聞くと、
「いい男(使い手)がいないと愚痴っていたが、それはいつものことで、特に変わった様子はなかった」
とのこと。

ミドル2

・マスター

聖剣が出会った青年は、とある姫君に叶わぬ恋をする、騎士見習いだった。
姫が悪い竜にさらわれ、自分の手で助けたいと思うが、そんな力はない。
「私が手を貸してあげるわ」
あまたの冒険の果て、青年は悪い竜を倒し、姫君を救う。
手にした聖剣を投げ捨て、姫君に駆け寄る青年。
青年にとって、聖剣は姫を助ける手段であり、共に戦うパートナーではなかった。
かすかな寂しさが、エクスちゃんの目釘を震わせる。なかごに刻まれた、刀匠ヘパイストスの銘が何かを語るように。
その時、エクスちゃんの御標があるべき姿を取り戻す。ちょうど魔王がブリちゃんに倒された頃だ。
「恋愛運:身近な相手にも目を向けよう」
「そう、そうよね。私、間違ってた」
あの雨の日とはうってかわって晴れやかな笑顔。
以下、GM視点
目釘だなかごだ言ってますが、エクスちゃんは別に日本刀ではないです。まあ、その辺はノリで。

PC3

次の日の朝。
PCは、王と一緒に聖剣の岩に。王はPC1になにくれと話しかける。
岩の前に来ると、なぜか禍々しい黑い剣が刺さっている。
シルエットから入り、聖剣が戻ってきたのでは?、と思わせるのがよい。
「さあ、魔王の系譜に連なるものよ、我を手に取るがいい!」
ブリちゃんがドヤ顔でふんぞり返る。
衛兵が抜こうとするが抜けない。一応、PCにも抜けません。
アッサリ抜く王さま。
「ダメだよ、ここはエクスちゃんの場所なんだから。羨ましいからって横取りしちゃ」
ブチギレたブリちゃんに乗っ取られる王さま。
魔王を助けるはずの魔剣は、その御標に背き、自ら魔王となり、姿を消す。
歪み表を適用してください。
以下、GM視点
時間に余裕があるようなら、ここでミドル戦闘をしてもよいです。ブリちゃんが逃げるときに
「くっ、まだ完全にこいつを支配できていないか」的な中二ワードを吐くもよし。

・PC4

一連の騒動が終わった頃、テコテコと見知らぬ少女が歩いてきて、岩に登り、剣化して刺さる。エクスちゃん。
「はああ、やっぱりおうちが一番」
ひと悶着。
以下、GM視点
エクスちゃんもブリちゃんも、人化して歩いたりできます。
人化しなくてもそれはそれでシュールでよいかと。

・PC2

ここはPC2がシーンプレイヤー。
PC1が聖剣に請われ、王さまを助けるために聖剣を抜くシーン。
PC2にはおおはしゃぎしていただきたい。

・PC1

聖剣とシンクロすることにより、ブリちゃんの居場所がわかる。
ついでに王さまとエクスちゃんの日々の記憶が流れ込む。
愚痴をこぼすエクスちゃん。それをウンウンと聞く王さま。
雨に濡れるエクスちゃんに傘を差し出し、濡れた剣身を拭く王さま。
母の死に泣く王さまを慰めるエクスちゃん。
などなど。

クライマックス

適度に。
聖剣で王さまを斬り倒すことで王さまからブリちゃんは剥がれます。

エンディング

・マスター

無事に聖剣は戻りました。めでたしめでたし。
聖剣の居場所が玉座のとなりになるなど、多少変化させてもよいです。

・PC

それぞれで。

おしまい

⚫️最後に 〜定型文〜
本文書の著作権は、著者であるのみすけに帰属します。
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身内で、コンベンションで、楽しんで頂く分には、何ら問題ありません。2次利用(リプレイ、動画等)も同様です。

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のみすけです。 とある御縁により、いいシナリオ保管場所を見つけられたと感謝しきり。 シナリオコンテストとか以外は、ほぼシナリオフック的なメモを保管します。 しばらくは過去のシナリオのサルベージをのんびり。 非公開のものは新作です。どこかのコンベンションで開示するまでは非公開になります。ご容赦を。 連絡先は一時的な提示です。

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