ここから三日ほど行ったところにある泉の水は、たいそう身体にいいらしい。
この水ガメいっぱいに汲んできてくれ。
この、内容のわりに報酬の良い依頼を、君たちは疑うべきだった。
弁当つき、衣服貸与、託児所完備。
だが、危険手当てはつかない。
本作は「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.5』のシナリオです。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA
大学生時代、DMをして下さった伊勢乃Qさんへ、見られることはないかも知れませんが、謝辞を。
ヴァルハラBOXのくだりはそのまんま使わせていただいております。
何の初心者向けかと言われたら、「冒険初心者向け」がコンセプトです。
新しいルールブックを読んでいると、
プレイヤーは「こんな強いモンスターと、いつか渡り合うことがあるだろうか」と不安を感じながらもPCをイメージしてみることでしょう。
また、GMをされる方は「いつかきっとこんな強いモンスターを使って・・・」と期待に夢とシナリオアイデアを膨らませることでしょう。
言うのが快感になってきたら、セッションを終了しましょう。
プレイヤーには、モンスター的に治安の維持がされていない地域を旅することが、実際はどれ程大変なことか、身をもって体験していただきます。
あえて建前をいうのであれば、
プレイヤーは強いモンスターと遭遇し、その強烈な打撃を身をもって受けることが目的です。
その経験はプレイヤー自身の大いなる糧になるでしょう。曰く、「無謀な戦闘はしてはいけない」
GMは強いモンスターを行使することで、戦闘バランスの大事さを学ぶことが目的です。
無双の楽しさを学んだ人は、ガッツリと反省してください。
特にない。GMの制御できる範囲で。
ちょっと田舎が望ましい。
全滅しないように頑張りましょう。
とにかくたくさん用意しましょう。
キャラクターシートがちょうど入るくらいの箱。
戦い、破れていった英霊たちが眠る場所。
D&D赤箱のフタあたりがオススメ。
ぱぱっと作りましょう。
死んだときに活かせる設定など、決めておくとよいです。
「この冒険が終わったら、故郷の幼馴染みと結婚するんだ」
「この報酬で、やっと妹を学院に入れてやれる」
俗に言う死亡フラグです。立てたもん勝ちです。
プレイヤーは水汲みの仕事を受けてください。報酬はいくら高くしても構いません。
ダッテキットモラエナイモノ。
PCたちは、依頼人の指定の水ガメを荷車で引いていくことになります。
また、依頼人は特殊なメガネを貸してくれます。これは、モンスターのステータスが見えるものです。
GMは、遭遇するモンスターのすべてのデータをプレイヤーに開示してください。
一日に、午前、午後、夜の計三回、三日の往復で最低18回、ワンダリングモンスターの遭遇判定をしてください。
遭遇判定の詳細は後述。
普通に逃げようとすると追いかけられ、後ろから刺されます。
しなくても良いです。でも高確率でします。
頑張って遭遇判定のダイスを振ってください。
英霊たち(PC)を崇め奉ってください。
以下の条件を遵守してください。
1.水ガメを乗せた荷車を引くため、PCは街道を必ず通らなければならない
2.ワンダリングモンスターは必ず街道を塞ぐように登場する。
3.午前、午後、夜の計三回、必ずワンダリングモンスターの遭遇判定を行う。
4.遭遇判定時、PCが寝ている場合は、モンスターの知能レベルに合わせて適度に奇襲が掛かる(夜前提だがそうとも限らない)。
※当然ですが、徹夜をすればルールに則りペナルティーが発生します。
また、PCがお亡くなりになったプレイヤーは、次のPCを作り始めましょう。GMの手伝いをしても良いです。
GMは事前に遭遇表を用意しておきましょう。作るのも、けっこう楽しいです。
ルールブックのモンスターデータから、ランダム選択をする(サイコロを振って、出た目の順番に載っているエネミーを使う、など)だけでもいいです。
遭遇表はネットを探るとけっこう出てくるので、流用しても良いでしょう。
ただし、作る場合は、PCの冒険者レベル+6程度のエネミーを2、3割、+4程度で複数体のエネミー群を3、4割、ぶち込んでください。
ありものを使う場合は以下のルールを適用してください。
・プレイヤーに1D6を振ってもらう。
・出た目に、PCの中で一番低い冒険者レベルを足したレベルをモンスターレベルとして遭遇表のテーブルを適用する。
冒険者レベル2の場合、出目が6だとモンスターレベル8です。
手持ちのルールブック、もしくは遭遇表が、例えば5レベルまでのモンスターしかいない場合は、5レベル1体と、3レベル1体というように、最高レベル+残りのレベルのモンスターを出現させてください。
利用する遭遇表に「遭遇しなかった」の項目がない場合は、以下のルールを追加適用してください。
・「遭遇しなかった」出目を決め、1D6を振る前に、2D6を振ってその目が出た場合はモンスターが出現しない。
出目は、2か3、あるいは11か12あたりを推奨します。
そう、遭遇しさえしなければいいんです、18回。簡単なお仕事です。
2、3回は、なんとか勝てた、くらいがオススメです。一撃死はオススメしません。
遭遇表を+2レベル程度から始め、同じ項目を振ったら2レベル上げるなど、複数の遭遇表を組み合わせることを推奨します。
引き返しても同じ距離、くらいのところまでイケソウ感を出してあげるのが理想。
1日目の午前で引き返す選択をされるなど興ざめです。
殺意の高さにヒキ気味なあなたへ。
どんなゲームであれ、特に始めたての頃は、高レベル帯のモンスターとのガチ実戦を、データフル開示の状態で行う機会は、滅多にないと思います。
また、高レベルのPCを作ってみようにも、強さのイメージや方向性を決めるのは、慣れるまで難しいと思います。
だったら、強い敵に当たって砕けてみればいい。
そのモンスターの強さの要素は何なのか。自分の求める強さとは。こいつに勝つためには自分はどう成長すればいい。
このシナリオをプレイしてみて、色々考えてもらえれば幸いです。
以下は、なるべく死なない方向での調整要素です。
初心者には難しいかもしれませんが、以下の手法を組み込むことで、よりTRPGっぽくなります。
昔、筆者が実際にプレイした例を挙げます。
この時は、システムはD&Dの3.5e版で、筆者はPC1でした。
GM「サイクロプス(レベル1だと100人死ぬレベル)が君たちの行く手を塞いでいる。
そうだな、どうやら目を怪我している。音だけで獲物を捕捉しているようだ。
聞こえる範囲は広く、10メートルといったところ」
PC1「じゃあ、離れたところに音を立てる魔法が使えるので、それで街道の外へ誘導します」
GM「どんな音を立てますか」
PC1「・・・数匹のゴブリンが騒いでいる感じで」
GM「了解です。それならサイクロプスは誘導される。けれど、君達が街道を通ろうとするとそれに気づいて戻ってくるだろう」
PC1「誘導する場所にグリース(脂で転ばせる魔法)を掛けて足止めをします」
PC2「おいらは忍び足で先行して、戻ってくる途中の道に、足を引っ掛ける罠を設置する。保険だな」
PC3「フィジカルエンチャントかけてくれ。荷車を全力で引っ張って駆け抜ける時間を短縮する」
GM「了解しました。では、行動する順番を決め、処置をしていきましょう。まずは・・・」
この時は作戦が成功し、なんとかサイクロプスを回避することができました。
戦闘をし、ダメージを与えて勝つことだけが勝利ではありません。勝利条件を明確にし、それを達成することが重要です。
このシナリオで言えば、モンスターは必ず街道を塞ぐように登場しますが、そこに居座るとは書いてありません。
PC達の目的は、泉の水を汲むために街道を進むことで、モンスターを倒すことではありません。
ちなみに、これを適用する場合は、以下のルールに変更することを推奨します。
・高レベルモンスターの出現は3回まで。うち1〜2回は普通に戦闘するのが望ましい。
・その他の遭遇表は普通のレベルで設定して実施する(なしでも可)。
例に挙げたような戦闘は、脳が疲れます。1セッションで1、2回が限界と思ってください。
参考までに、モンスターの弱点設定の例をいくつか挙げておきます。
・なにやらひどく腹が減っているようで、PC達がおいしい肉の塊に見えるようだ。
・PC○○に、やけに熱い視線を送っている。ひとめ、ぼれ?
・「ああ退屈だ、君たちを殺せば少しは楽しいかねえ」どうやら娯楽に飢えているようだ。
GMは、あまり解決策を決め打ちしないように注意して設定してください。自分だったら、で、2、3パターンの解決案が思いつくくらいのものを推奨します。
PCの設定に絡めて、いい感じの走馬灯ロールプレイができた場合、次のキャラクター作成時に、成長1回、経験点1000点くらいの追加をあげてください。
多少は死ににくくなります。
走馬灯ロールプレイの例
「もー、お兄ちゃんったら、私は学院なんて入らなくてもいいのに・・、嬉しいけど」
そう兄を思い夜空を見上げる妹。
「あ、流れ星だ。お兄ちゃんが無事に帰ってきますように」
その星が、愛する兄の命が墜ちる姿であったことを、妹は知らない。
えー、ここまで酷くなくてもいいですし、ここまでガッツリでなくてもいいです。
次のPCはその妹で、とか天丼かますプレイヤーには、もう1成長あげてもいいでしょう。
キャラクター作成が比較的軽いソードワールドだからこそ出来るシナリオかと思います。一番いいのは無印でしょう。
負けロールプレイが楽しめる人と遊びましょう。思い入れのあるキャラクターを持ち込むのは厳禁です。
20才を過ぎているのなら、なんなら酒呑みながらプレイすることをオススメします。飲酒を禁じているコンベンションでは呑んでやらないでください。
水汲みの依頼主は、いつも変わらず平然と新しいPCたちに依頼をするので、だんだん、
「こいつ、黒幕なんじゃ・・・」
と思えてきます。ヤメドキです。
ちなみに、筆者はかつてPCとして一度だけ依頼完遂しました。
なぜだろう、達成感より物足りなさを感じました。
ヤメドキです。
本文書の著作権は、著者であるのみすけに帰属します。
私的かつ非商業目的で使用する場合を除き、事前に著者の書面による許可を受けずに、複製、公衆送信、改変、切除、ウェブサイトへの転載等の行為は著作権法により禁止されています。
身内で、コンベンションで、楽しんで頂く分には、何ら問題ありません。2次利用(リプレイ、動画等)も同様です。
シナリオコンテストは、主催者が金銭的な利益を直接享受しない限り、非商業目的であるという認識です。
のみすけです。 とある御縁により、いいシナリオ保管場所を見つけられたと感謝しきり。 シナリオコンテストとか以外は、ほぼシナリオフック的なメモを保管します。 しばらくは過去のシナリオのサルベージをのんびり。 非公開のものは新作です。どこかのコンベンションで開示するまでは非公開になります。ご容赦を。 連絡先は一時的な提示です。
discord アカウント: のみすけ#5024
Post Comment