2022年06月17日更新

【鵺鏡】是害坊総受け本ができました

  • 難易度:|
  • 人数:3人~4人|
  • プレイ時間:5~6時間(ボイスセッション)

鵺鏡の世界では、皇后となった玉藻前の支配するパラレル平安京へ現代日本からタイムトリップした腐女子が在原業平に「紫式部」を名乗る様に言われ、「紫式部」の名でBL小説を量産している。
帝の忠実なる懐刀「是害坊」も人ならざる天狗の身とはいえ、式部の描き出すBLの魔の手から逃れることは叶わなんだ。

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ストック

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コメント

■客分NPC

 紫式部
 是害坊

■常ならざる事

 とくになし

■目標成功値

 「門決定表の通り」

■演目之筋

 事の発端は紫式部の新作の完成だった。その新作は是害坊総受け本(BL)だったのだ。
 更に式部はこれを玉藻前に献上することを思い付き、自ら牛車に乗り込み、宮中へと向かった。
 これを黙って見ていられないのが当の是害坊である。そんなものを玉藻前に見られるわけには行かないと、総受け本を破棄せしめんと牛車を襲撃する。本来であれば、皇后への献上品を積んだ牛車を襲うなど許されることではないが、例外として"媚選"の犠牲者として実名で登場人物とされてしまった者には、作者本人を害さぬ限り、こうした襲撃が黙認されているのだ。
 さて、玉藻前の元へと辿り着く、是害坊総受け本は在りや否や。

■道標


初期因縁:紫式部(好敵)
初期喪失:信じたもの(魂魄の10)
推奨分限:貴族、稀人、聖、依童
目的:CP論争に勝つ

信じられないことが起きた。紫式部が是害坊総受け本を発表したのだ。あなや!
あなたは紫式部の趣味人としての感性を認めている。一目置いていると言ってもいい。その紫式部が、よりにもよって是害坊を"受け"だと発表するなんて……。
不味いことに、界隈での式部の影響力は絶大である。彼女が白と言えば黒も白に成りかねない。攻めが受けになりかねないのだ。由々しき事態である。
あなたは総受け本が皇后の目に触れる前に式部に考えを改めさせねばならない。是害坊は"攻め"であると!
 

初期因縁:是害坊(相棒)
初期喪失:面子(生様の3)
推奨分限:孤高、大妖、武士、神
目的:是害坊総受け本献上の阻止

あなたは犠牲者である。あなたは、是害坊総受け本に実名で"攻め"として描かれている……らしい。
噂である。まだ総受け本を読んだ者は紫式部の近辺のほんの数人に過ぎない。故に、これはまだ噂に過ぎない。
しかし、一度これが皇后へ献上されたならば、総受け本は瞬く間に宮中へと拡がるだろう。
もし、そうなってしまえば、あなたに注がれる視線はそれまでとは全く違ったものになったしまうはずだ。
あなたは是害坊が式部の牛車を強襲すると聞き、それに協力することを決める。他にどうすることができるだろうか?
 

初期因縁:紫式部(恩義)
初期喪失:人の体(血脈の19)
推奨分限:異形、影司、屍、孤高
目的:紫式部(と総受け本)を守る

あなたは妖力に包まれた都で、その容姿を失った。
そして、そのためにあなたは命までも失うところであった。
それを救ったのが紫式部である。きょどりながらも「えっと、あのー、殺しちゃうことは、その、ないような……」とあなたを庇ったのだ。結果、あなたはここにいる。
恩義は返さねばならぬ。あなたは今しばらく、彼女の刀であろうと思っている。
あの稀人は放っておくと、明日にも死んでしまいそうだ。
 

初期因縁:紫式部(尊敬)
初期喪失:一線(魂魄の9)
推奨分限:大妖、変化、呪験、式、娼妓
目的:是害坊総受け本の奪取

あなたは紫式部の描く物語に衝撃を受けた一人だ。目から鱗。驚天動地。あなたは瞬く間に虜にされた。
読みたい。もっと読みたい。式部の描く世界が! 物語が!
紫式部が新しい作品を書き上げたと知り、あなたは居ても立ってもいられなくなってしまった。それが自身の元へ届くまでどのくらいかかるだろうか。とても耐えられない。
そんな折、是害坊による式部襲撃の噂を聞き、あなたは騒ぎに乗じて、新刊を入手することを思い付いてしまう。

■己の道標を定むる法

 是害坊が犠牲者なのは完全にシナリオ製作者の趣味なので、GMやPLの希望によって、客分NPCを入れ替えても良い。
 乙はPCの性別を基本的に男性限定とする。PLの性別はどうでもいい。
 動き方が分からないという人は乙・丙の道標を選ぶのがよいはず。目標が明快なため動き易く、また戦闘寄りの目的を持つので、業も使いやすいのではないだろうか。
 丁も明快な目的を持つので動き易そう。人によっては丙よりも丁の方が是害坊との対立時、目的の芯の太さが変わってくるので、楽しく遊べるかもしれない。
 甲は是害坊が攻めであると主張できる人物が受け持つといい。甲は立ち回り次第でどの道標とも協力関係を築くことができるので、色々な選択肢を楽しく選べる人に向いているだろう。
 色々書いたが、これが楽しそうだと思ったものを選んだら一番いいはず。多分。

■演題之幕開

 紫式部の牛車は、玉藻前の御座する宮中へと向かっていた。牛車の中には式部と、式部の書いた是害坊総受け本が数冊。丙はゆっくりと進む牛車の周囲の警備をしている。この移動中に是害坊が襲撃してくるという噂があるのだ。丙は気を引き締める。
 同時に、乙・丁も噂を聞きつけ、襲撃に乗じて総受け本を狙っている。
 そうしたそれぞれの思惑の中心にある牛車の行く手を、甲が、或いは是害坊が遮ったところから演目は始まる。

■客分斯く動けり

是害坊
 目的は総受け本の破棄と式部への脅し。既に書かれてしまった総受け本を抹消し、式部に自身の恐ろしさを痛感させ、二度と是害坊を怒らせまいと思わせることを目的として行動する。
 式部よりも立場は強く、また力も強いため、基本的に強気で命令をします。総受け本を目の前で燃やしたり、目的と関係なく牛車を破壊するなど、傍若無人な振舞いをさせよう。
 PCが是害坊より強い場合、是害坊は弱気になりますが、それでも是害坊総受け本を簡単に諦めたりはしません。GMは天狗の速さを活かして総受け本を奪ってみたり、社会的制裁をチラつかせてみたりと、とにかく必死な是害坊を好演してください。
 
紫式部
 式部は何もしない。不利な状況では悲鳴を上げ、愚痴をこぼし、媚びへつらう。有利な状況では調子に乗り、挑発的な言動をし、妄想をぶち撒ける。場を盛り上げる役割だ。
 自分から進んで牛車から出たりはせず、基本的には牛車の中から丙に命令をしたり、丙をなじったりする。丙がイケメンの場合は媚びたことを言ったりする。
 丙に限らず、イケメン相手だと調子のいいことを言い出す。玉藻前に渡すはずであった総受け本を1部渡してしまうかもしれないし、的外れな方法かもしれないが好感度を稼ごうとするだろう。
 また、褒められるのに弱い。煽てられると調子に乗って、都合のいいことを言い出す。
 そんな式部だが、総受け本をその価値が分からない人間に簡単に渡すことだけはしない。直前に「命だけはお助けを!」と叫びつつも、総受け本を渡せと迫られれば、嫌だー!と叫んで逃げ出す。
 式部は是害坊は"受け"と認識してるが、GMは甲の主張が最もだと感じたら、式部にも是害坊が"攻め"であるという判断をさせてよい。本当は是害坊は"攻め"だし(注:シナリオ製作者の個人的意見です)。

■演目斯く流れん

 本シナリオは単純な筋書きである。時刻はPLとGMで自由に決めてよい。場所は宮中へと至る通りのどこか。
 甲か是害坊が牛車の前に立ち塞がり、丙がそれに応じる。その隙に乙・丁が牛車を狙って……と展開していくだろう。
 乙と丁の目的は対立しており、甲と丙はどちらの味方というわけでなく、それぞれの目的のために行動をする。
 最終的に総受け本をどうするべきかは、GMと各PLで話し合って決めるべきだろう。どう帰結するのが最も楽しいか、最も綺麗な終わり方か相談し、総受け本の行方を決めて欲しい。話し合いで決着を決められず、収拾がつかない場合は、玉藻前を出す。訪問を予定していた式部が一向に現れないため、心配して迎えに来たということにし、その場を鎮圧させ、総受け本を奪い去っていくのがいい。その際、PCに反朝廷勢力がいるなら争わせてもいいし、式部が丁を気に入ったなら1部融通してもいい。式部が甲の言い分を認めたなら総受け本を放棄してもいいだろう。
 判定のタイミングに関しては特筆ない限り、PL達に投げてしまってもいい。行動を起こすのに業を使って動きたい人もいれば、業の前に行動したい人もいるはずなので、GMは一人が延々と話すことのないように発言の機会を調整しつつ「判定の前にしておきたいことはありますか?」等と確認しつつ、判定を進めていくといいだろう。

■道と判定

平均的な道の配分とする。

【外道】
 是害坊か甲が紫式部の牛車の前に立ち塞がって、用件を述べる。それに丙が反応する。GMはその時点で乙と丁はどうするか聞き(牛車の前に立ち塞がったのが是害坊なら甲の行動も確認する)、待機を含め、全員が一度行動の機会を得たら、最初の判定を行う。
 最初に牛車の前に立ち塞がったのが甲だった場合、最初の判定後に是害坊を乱入させ、2度目の判定に移る。
 互いが、互いを認識する度に判定を重ねていく。
 いずれのPCも外道の間中、物陰に潜んでいるというようなことのないように、適切なタイミングで是害坊に隠れている者の存在を指摘させ、登場を促すようにする。
 全員が登場し、3度の判定を終えたら、外道は終了する。
 外道の間は牛車が炎上したりしない限り、式部は牛車の中から出ず、あまり存在感を出さないようにした方がいい。

生様 → 魂魄 → 血脈

 
 
【苦道】
 苦道では、場が膠着したら、紫式部を登場させる。牛車の簾をこっそり上げるなどして、PC達の様子をこそーっと窺っているのを誰かに気付かせ、式部に注意を引きつけよう。式部の登場後には判定を行いたい。登場直後の式部は状況を正しく把握しておらず、なるべく身勝手なことを言わせるとよい。
 式部の登場前にも判定を行ってよいし、行わなくてもよいが、登場後に1度は判定をしておきたい。
 式部は丙に「は、早く全員追い払えよー!」と命令したり、甲に「自分で書けばよくね?」と反論したり、乙に「そんなに"攻め""攻め"してたらCPの対象にされても仕方ないじゃん」と開き直ったり、丁に「買えよ」と言い放ったりして、場をかき回す。
 式部が姿を現し、三度の判定が終わったら苦道を閉じる。

生様 → 血脈 → 魂魄

 
 
【鬼道】
 是害坊がいい加減ブチ切れます。場面が膠着したなら、是害坊に「埒が開きません! いいからその草紙を寄越せと言っているのですよォ!」と叫ばせ、草紙を持っている人物と式部を攻撃、判定を行う。
 他にも「私に逆らうということは帝に逆らうということですよォ!」などと調子に乗ったことを叫んでみたりして、PC達の反応を伺うとよい。
 また、この道の中盤辺りから、PL達に総受け本の行方を最終的にどうするのか考え始めてもらおう。どうするのがよいと思うか、現時点での考えをそれぞれのPLに言わせてもいい。

血脈 → 魂魄 → 生様

 
 
【我道】
 最後の道は事態の収拾に使いたい。それぞれのPL・PCの迎えたい結末を踏まえ、納得できる終わり方を目指す。
 同時に、物語を終わりが見えない場合はGMが強引に終わらせに行く必要がある。その場合は、前述した通り、玉藻前による介入を行い、権力と妖力による制圧、命令を行い、結末を迎えよう。
 ルールブックの巻頭に掲載されたリプレイでもそうであるように、12の刻、全てを使用する必要はなく、皆のRPが十分であり、盛り上がり切ったと判断すれば、終わりに舵を切っても構わない。

生様 → 血脈 → 魂魄

 
 

■それぞれの悟道

 それが可能なPLだとGMが判断したのなら、悟道の描写はPL自身に行ってもらい、GMは客分PCのその後を語ろう。
 全員にとってハッピーなエンディングになるとは限らないが、そういうことに拘泥するシナリオではないはずである。
 全員でキャラクタ達のその後を想像し、笑って幕を引きたい。

■次なる演目への道標

 このシナリオからキャンペーンに繋げようという酔狂なことを考える人はいないと思うが、不可能ではない。
 その場合でも、続くストーリーは当演目とは全く別の話になり、特に連続性のある話ではないだろう。
 当演目で集合したPC達が、故あって再び巡り合うというだけの話である。

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