2020年06月30日更新

【モノトーンミュージアム】死の先にあるもの

  • 難易度:★★|
  • 人数:4人~6人|
  • プレイ時間:6~7時間(ボイスセッション)

屍鬼の迫る聖都を舞台に、一匹の其達を巡る物語。
6人まで対応したシナリオなので、GMは慣れている方推奨です。
推奨人数:4~6人 想定時間:6~8時間(※オンセの場合)

◆ 今回予告 ◆

 男は願った。神の愛を。その証を。
 男は呪った。人の無知を。その愚かさを。

 かつて永遠を求めた男は、禁じられた秘術に手を染める。

 男が求めるのはかつての夢か、それともーーー。

 彼の者の末路は、聖なる都にて語られる。

 この物語を彩るのは、神の友か、はたまた敵か。

モノトーンミュージアム
「死の先にあるもの」
          ーーーかくして、物語は紡がれる。

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●最初に
本シナリオを遊ぶGM(ゲームマスター)は、本文及びデータの内容を、複製したものに限り、改竄、削除及び加筆を行ってもよいものとします。
また本シナリオを遊んだことにより生じたあらゆる問題について、当方では一切の責任を負いかねます。予めご了承いただける方のみ、ご利用ください。
【要約:遊ぶ時に、話の流れやPCの設定で、シナリオの内容やデータが変わっても問題ありません。】


プリプレイ
◆◆◆モノトーンミュージアムRPG演目「死の先にあるもの」◆◆◆

■演目データ
 プレイヤー:4~6人
 演者レベル:3
 プレイ時間:約6~8時間(※オンセにおける想定時間)
※本演目は、ゲームマスター(以降GM)が『モノトーン・ミュージアムRPG(以降MM)』及び『インカルツァンド(以降IZ)』『トレイメント(以降TM)』を所持している必要がある。

■本演目について
 本演目の舞台は【聖都】となり、さらには【屍人】にスポットを当てている。GMは『IZ』p170と『TM』p132にある【聖都】と【屍人】についての記述を一読しておくことを推奨する。
 また本演目では『スーパーシナリオサポートvol.1 絹裂きは聖夜に舞う(以降SSS1)』の設定を利用している点もあるため、もしGMが『SSS1』を所持しているならば、p36~43までを一読しておくことを推奨する。GMが『SSS1』を持っていなくても、本演目は問題なく遊ぶことができるようになっている。
PC達がスムーズに合流できるように、GMはPC間パートナーを忘れずに結ばせるようにすること。


◆ 今回予告 ◆

 男は願った。神の愛を。その証を。
 男は呪った。人の無知を。その愚かさを。

 かつて永遠を求めた男は、禁じられた秘術に手を染める。

 男が求めるのはかつての夢か、それともーーー。

 彼の者の末路は、聖なる都にて語られる。

 この物語を彩るのは、神の友か、はたまた敵か。

モノトーンミュージアム
「死の先にあるもの」
          ーーーかくして、物語は紡がれる。


◆ ハンドアウト ◆
 各PCには以下の設定がつく。GMはセッション開始時にPLとよく相談すること。PLが5人以下になる場合は、PC番号の若い順に使用すると良い。ただし、PC⑤とPC⑥はどちらもシナリオに深く関わらない、いわゆる自由枠のPCとなっている。GMはPC⑤の代わりにPC⑥を使用させても構わない。

PC①:過去に大切な人を失った聖都の騎士(または警邏)
PC②:異形や屍人などを狩る傭兵
PC③:過去に賢者の羽根の学生だった
PC④:常闇森に住む(住んでいた)其達
PC⑤:旅をする裁縫師
PC⑥:旅をする屍人


演目「死の先にあるもの」【PC①用ハンドアウト】
■パートナー:リック 推奨感情:庇護
■PC間パートナー:PC③
■クイックスタート:守護の騎士(MMp40)

 君はかつて、大切な存在を失った。御標によるものか、それとも別の要因かは自由に設定してよい。
 心に穴が開いたように、喪失感にさいなまれている君は、それでも日々の仕事はこなさなければならない。【聖都】で警邏の仕事についている君は、その日の夜も聖都の巡回をしていた。君が薄暗い路地を進むと、建物の陰から一人の少年が飛び出してきた。猫のような見た目をした、恐らく其達であろう少年は、君に一言「助けて」と言って気を失った。
 その少年は、かつて君が失った者に、どこか似ていた。

 ※演目の演出上、「大切な存在=子供もしくは弟妹」にすることを強く推奨する。


演目「死の先にあるもの」【PC②用ハンドアウト】
■パートナー:レオノーラ・H・ファイアーリヒ 推奨感情:脅威
■PC間パートナー:PC④
■クイックスタート:魔弾の射手(IZp86)

 君は獣や異形、屍人などを狩る傭兵だ。様々な人や組織からの依頼で、主に獣や異形を狩っている。
 今回君が呼ばれたのは、四大国に数えられる国【聖都】だ。さらに言うと、聖教会総本山の中にある【異端審問局】の一室に呼ばれていた。異端審問局【御神槌衆】の一人である【レオノーラ・H・ファイアーリヒ】は、君に異形討伐の仕事を依頼する。彼女曰く、そういった御標が下ったからだそうだ。君は十分な依頼料を確認すると、仕事の詳細を聞いた。


演目「死の先にあるもの」【PC③用ハンドアウト】
■パートナー:ミスト・F・ヴューテント 推奨感情:憐憫
■PC間パートナー:PC⑤
■クイックスタート:御標の守護者(MMp38)

 君はかつて、【聖都】にあるアカデミー【賢者の羽根】の生徒だった。入学の経緯や卒業できたかどうかは自由に設定してよい。
 かつての友、【ミスト・F・ヴューテント】は君の在学中に学校側から退学処分を言い渡されていた。当時何があったのか、どうして彼は退学してしまったのか、真相はいまだ闇の中にある。学生時代の記憶に思いを馳せていると、ミストと思わしき男の後姿を君は見た。

 【GM用】
 PC③のオープニングは、PC③とミストとの関係性に合わせて演出する。GMはPC③とミストとの関係性について事前に聞いておくと良いだろう。PC③にこの事実を伝えても良いかもしれない。


演目「死の先にあるもの」【PC④用ハンドアウト】
■パートナー:リック 推奨感情:友情
■PC間パートナー:PC⑥
■クイックスタート:奇妙な隣人(MMp52)

 君は【常闇森】に住む其達だ。普段何をしているのかは自由に設定してよい。
 君には多くの良き友人がいる。【リック】もそんな友人たちの一人だ。特にリックは仲が良い友人の一人だった。よく遊ぶ友人で、時にはケンカしたこともあり、お互いを助け合ったこともある。そんな彼は普段人間の仕事を手伝っている。この前も人間から依頼をされて森を出て行ったが、今回はなかなか帰ってこない。不安を感じる君の下に、一つの声が響いた。

 『聖なる国にいる親しき友を、あるべき場所へ帰すのでした。ーーーめでたしめでたし。』


演目「死の先にあるもの」【PC⑤用ハンドアウト】
■パートナー:ミスト・F・ヴューテント 推奨感情:脅威
■PC間パートナー:PC②
■クイックスタート:針の魔女(MMp36)

 君は異端の研究者である【ミスト・F・ヴューテント】を追う裁縫師だ。どのような理由で追っているのかは自由に設定してよい。
 彼を追い旅をする君の下に、一つの御標が下った。

 『死を操る者は、聖なる国で打ち倒されるのでした。---めでたしめでたし。』

 聖なる国とは恐らく聖都の事だろう。行先に迷っていた君は、御標に従ってみることにした。


演目「死の先にあるもの」【PC⑥用ハンドアウト】
■パートナー:オズ・ティミド 推奨感情:好奇心
■PC間パートナー:PC①
■クイックスタート:闇夜のよみがえり(TMp86)

 君は【左の地】を彷徨う屍人だ。どう彷徨っているか、なぜ彷徨っているかは自由に設定してよい。
 普段通りに過ごしている君の下に、一羽の小鳥が飛んできた。小鳥は囀るように口を開くが、聞こえてきたのは鳥の鳴き声ではなかった。

 『聖なる国、不変を求める学び舎に、貴き友を見出す。---めでたしめでたし。』

 御標だった。聖なる国とは恐らく聖都の事だろう。屍人の身で聖都に行くのは危険だが、近場までなら問題ないだろうと考えた君は、聖都へと向かうのだった。

※PC⑥は目的が曖昧なため、TRPGに慣れたPLを推奨する。


◆ 背景と設定 ◆

■演目背景
 本演目は、【聖都】にある永遠取得アカデミー【賢者の羽根】にかつて在籍していた【ミスト・F・ヴューテント】という男の復讐と、彼によって蘇らされた屍人である、【リック】という猫型の其達の少年を巡る物語である。

 【ミスト・F・ヴューテント】は昔、【聖都】にある永遠取得アカデミー【賢者の羽根】に在籍していた。不死者となることを目指すこの学園で、彼は不死者と屍人の類似性、つまり"死なない"という特性に着目して研究をしていた。しかしアカデミーの教師たちは、「貴き者である不死者とおぞましく背徳的な屍人を同列に扱うなど不敬である」とし、彼に研究の題材を変えるよう要求していた。学園から追い出されたら行く当てがない彼は、しぶしぶ教師陣の言い分に賛同し、研究の内容を変えた。しかし内心では納得していなかった彼は、教師に隠れて研究を続けていた。

 ある日、研究の事が教師にバレた彼は、アカデミーからの退学を余儀なくされる。自分の研究は異端などではないと信じている彼は、アカデミーに復讐を誓い学園を去った。それから月日が流れ、彼はネクロマンサーとしての腕を上げていた。日々屍人について研究していた彼は、かねてからやりたかった二つの実験を、復讐を兼ねて聖都で行うことを決定する。その実験とは、"其達の屍人を作る"と"数多の屍人の核を一か所に集約する"というものだ。そうして甦らされた其達が【リック】という名の猫型の其達だった。

リックは普段【常闇森】に住む其達で、偶に人間から仕事を頼まれては、それをこなしている。いつもと同じように、リックは依頼された品物を依頼人に届けていた。しかしその依頼人、ミストの目的はリック本人だった。正確にはリックの死体が目当てだったのだ。彼がリックを選んだ理由は大したものではなく、ただ人語が話せる其達だったからだ。

こうしてリックはミストに殺されてしまい、彼の手によって甦らされた。その後、彼の術によってリックに【数多の屍人の核】が作られる。『TM』p133にある通り、屍人は核となる部位を破壊することによって動きを止める。ミストはその核を、別の屍人であるリックの中に作り、多くの【核無き屍人】を作り上げた。これらの屍人を止めるためには、リックの核を破壊しなければならない。そうして術を施されたリックは、目が覚めると記憶を失っていた。自分が何者で、ここが何処なのかを知るために、リックはミストが目を離す隙に研究所を飛び出す。そうして出会ったPC①に助けを求め、演目が始まる。

 演目中盤では、ミストの作り上げた【核無き屍人】が聖都を襲う。PC達は聖都を救うためにミストを倒し、屍人たちを止めなければならないが、その為にはリックを殺さなければならない。PCがリックを殺しても、リックを殺さず聖都から逃げてもシナリオは終幕を迎える。

■舞台設定:【聖都】
 本演目の舞台は、【左の地】の【四大国】に数えられる【聖教会】の総本山【聖都】である。GMは『IZ』のp170にある聖都についての記述を一読しておくと良い。もしもGMが『SSS1』を所持しているならば、さらに『SSS1』のp36~43までを一読しておくことを推奨する。

 聖都の様々な施設は、演目中盤で登場する「情報収集シーン」で使用する。それぞれの施設には基本的に公式のNPCがいる。情報をPCに渡す際は、これらの公式NPCを用いて渡すことになるので、GMは各NPCについても一読しておくことを推奨する。
 演目の舞台は他にもある。聖都の外壁の外に並ぶ難民キャンプだ。難民キャンプについての記述は『SSS1』のp40にある。もしもGMが『SSS1』を所持しているならば、こちらを一読しておくこと。本演目ではこれらの難民キャンプには、以下の施設があるようにする。
 なお以下に記載する施設はシナリオには登場しない。GMは状況に応じて下記の設定を使用しても良いだろう。

 ・難民キャンプ:聖都に救いを求めて、各地から押し寄せた市民権を持たない人々が、聖都の近くに住み始めて出来上がったキャンプ。聖都を取り囲むように立ち並んでおり、聖都の常備軍である白銀騎士団が治安維持を執り行っている。外壁のすぐそばにテントがあるわけではなく、外壁から一定の距離を離した位置にある。

 ・炊き出しテント:白銀騎士団は難民キャンプ向けに炊き出しを行っている。このテントではそうした炊き出しの提供や調理、食材の管理などを行っている。主に働き口の無い者や稼ぎの少ない者、子供などが貰いに来る。もっとも難民キャンプに住む者たちは、ほとんどが貧しい暮らしをしているので、炊き出しにもほとんどの住人が貰いに来る。近年では数が増えているらしく、炊き出しの材料が足りなくなってきている。

 ・医療テント:難民キャンプの住人が怪我や病気を患ったときは、このテントに駐在している聖教会の僧侶に治療してもらえる。もちろん無償である。難民キャンプはお世辞にも清潔とは言えず、不衛生な環境になっている。さらに住民は皆貧しく、満足に栄養を得られていないため、病気に罹る者が多い。

 ・騎士団屯所:聖都の常備軍である白銀騎士団は、難民キャンプの治安維持も務めている。このテントはそんな治安維持にあたっている騎士たちの駐屯地となっている。テントはそこそこの大きさで、10人程度であれば余裕で暮らせるほどには大きい。騎士団屯所のテントは難民キャンプに8つ設置されており、東西南北とその間に位置している。当然ながら騎士団の所属は聖都であり、治安を維持するべき場所も聖都である。難民キャンプに対する重要度はそれほど大きくないため、騎士団の中でも新人ばかりが配属されている。

 ・各種商店:難民キャンプの中には、聖都に救いを求めてきた者たちばかりでなく、その者たちを狙った商人たちも交じっている。聖都のお店は神のお膝元なだけあり、所謂グレーな商品などの扱いが無い。勿論幅広く品物を取り扱っているため、大体の物は聖都のお店で手に入るだろう。なのでこの難民キャンプにある商店では、聖都のお店が表立って扱いずらい商品を並べている。例でいうなら蛙草などがそうだろう。もちろん白銀騎士団に見咎められる可能性もある。なのでこの商店は毎日お店を出すテントを変えている。店の関係者や常連でない限りは、広大な難民キャンプの中でこの商店を見つけるのは難しいだろう。またこのお店では買取も行っており、聖都のお店で売っているような良質な品を高額で買い取ってくれる。

 ・赤銅の鈴テント:聖都にも犯罪組織である【赤銅の鈴】の支部は存在する。勿論表立って存在するわけではない。聖教会の総本山がある聖都ともなると、犯罪者が隠れて活動するのも一筋縄ではいかない。そんな聖都内部にある赤銅の鈴をサポートするような存在が、難民キャンプにある赤銅の鈴テントだ。難民キャンプは聖都ほど警戒が厳しい場所ではなく、やましい者が活動をするにはあまり苦労しない。赤銅の鈴テントでは、主に聖都内への侵入や違法な物品の売買、聖都内での裏工作などの仕事を請け負っている。

 ・裁縫師組合テント:【赤銅の鈴】同様、【裁縫師組合】も聖都の支部を持っており、このテントはそのサポートとなる。こちらでは聖都への侵入の手助や、キャンプ内で発生したほつれの修復を行っている。他にも、聖都に住む紡ぎ手や旅の紡ぎ手に対して、様々なサポートを行っている。

 ・居住テント:難民キャンプのほとんどを占めるテント。聖都の市民権や永住権を獲得できず、けれど聖都から遠ざかりたくもない者たちの住居。いつか聖都に永住できる日を夢見て、彼らは毎日聖都へ赴く。


■NPC

■リック
 其達/屍人
「僕はリック!自分の名前以外を忘れちゃった、ちょっとドジな其達だよ!多分!」
 常闇森に住んでいた其達。10歳。オス。

 二足歩行をする猫のような其達。地域によってはケット・シーと呼ばれる。普段は常闇森で自由気ままに暮らしており、森の他の其達やPC④と遊んで暮らしている。人間に対して好意的であり、よく人間からの頼まれごとをこなしている。足が速いという特性を生かして、主に配達の仕事を頼まれることが多い。好物は人間が作ったパンケーキ。苦手なものは魚類。夢は自分だけのパンケーキ屋さんを開くこと。
 シナリオ開始時には既にミストの手によって殺され、甦らされている。しかし彼の術によって、屍人特有の血色の悪さや腐臭などは隠されており、リックが屍人であると気づくのは困難だ。
 リックの体はミストが作り上げた術式によって、他の屍人の核になっている。これはミストが刻印した特別な術式であり、彼が術を施した屍人にしか影響しない。

※リックは本演目オリジナルの其達である。詳細を下記に記載するが、GMは内容を一部または全部変更してもよい。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「長靴猫(ながぐつねこ)」

生息地:主に常闇森

人間大の猫のような見た目の其達。
長靴猫は非常に賢い其達で人語を解する。
基本的に黒毛金眼の容姿をしており、片足または両足に長靴を履いている。
長靴猫は「不幸」または「幸福」の象徴とされており、「両足に長靴を履いた長靴猫がいる国は幸福に、片足に長靴を履いた長靴猫がいる国は不幸になる。」と言われているが、地域によっては逆に伝わている事もある。彼らの履く長靴は彼ら自身にもよく分かっておらず、気づいたら履いていたり脱げていたりするらしい。

主に常闇森に棲んでいるが、猫と同じように気紛れな種族である為、旅に出る者も多く、左の地各地で見かけることがある。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

■ミスト・F・ヴューテント
 術者/賢者/異形
 「屍人の研究こそ不死への近道だ!屍人は不死に等しく貴きものだ!」
 屍人について研究するネクロマンサー。30歳。男性。

 聖都にある永遠取得アカデミー【賢者の羽根】にかつて在籍していた屍人の研究者。「屍人は不死者に最も近しい存在である」という考えを持ち、いつか不死者となるために屍人の研究をしていた。しかしその考えを異端だと指摘され、賢者の羽根を退学させられる。自分の考えを否定し、居場所を奪った賢者の羽根の教師たちを恨み、彼は復讐を誓う。現在では腕の立つネクロマンサーとなり、様々な屍人を作り続けている。過去に【灯篭の村】と呼ばれるところで、大きな事件を起こした事があるらしい。好きなことは実験と検証。嫌いなものは偏見と差別。昔の夢は不死者になること。今の目的は不死者の屍人を作り、賢者の羽根の学者たちに復讐すること。

 シナリオ開始時ではリックを殺害して、彼を屍人として蘇らせている。ミストが独自に開発した術式を用いて、リックを他の屍人の核にする実験と、其達の屍人を作る実験を平行して実行した。実験の検証をするべく、聖都に屍人を放つが、その際リックの脱走を許してしまう。シナリオ中は使い魔にリックを探させながら、聖都の地下水路にある研究室にて屍人を増産している。

■レオノーラ・H・ファイアーリヒ
 賢者/僧侶
「紡ぎ手は毒。異形という毒を制するための毒なのです。」
 異端審問局所属のシスター。72歳。女性。
 聖教会・異端審問局に所属する、比較的温厚なシスター。あくまで比較的であり、異形はもちろん紡ぎ手に対しても厳しい見地を持つ。

 異形の疑いがある者もすぐには罰せず、きちんと見極めてから行動をする。周りの局員からは「あまりにも悠長だ」と言われているが、本人は気にした様子はない。異端審問局らしい面もあり、異形や異端者を追い詰める為ならあらゆる手を尽くす。例え非人道的な行いであっても、神の敵を滅ぼす為ならば厭わない。そうした考えに基づき、彼女は紡ぎ手でさえも利用する。彼女の中では紡ぎ手とは、「異形を打ち滅ぼすために用いる異形」という考えであり、利用できないと判断した際には容赦なく抹殺する。自分に従う利用価値のある紡ぎ手のみに、執行猶予を設けるという考え方なのだ。
好きなものは清潔感ある部屋。嫌いなものは不潔なもの。夢はあらゆる不浄を排した世界を作ること。

 シナリオ開始時はPC②に「聖都に潜む、不浄なる賢者を打倒せ」という依頼をする。これは彼女にそうするように御標が下ったからだ。PC②に依頼した後は、PC②に協力するようになる。情報提供や局員による手伝いなどだ。

■オズ・ティミド
 童子/賢者/貴人
 「任せてくれたまえ!僕がきっと君を、元の物言わぬ死体へと戻してあげよう!」
 賢者の羽根に所属する学生。16歳。男性。

 聖都にある永遠取得アカデミー【賢者の羽根】に在籍する学生。屍人についての研究を行っている。彼の考えはミストの考えとは違い、「屍人は神の御許へ行きそこなった哀れな存在であり、神の御許へ送られるのを求めている。彼らの魂を救済し、神の御許へ送り届けるべきだ。」という思想を持っている。そのため彼の研究とは、「屍人を元の物言わぬ死体に戻し、その魂を神へ送り届ける為」の研究である。この思想には共感を示す教師も多数おり、「慈悲深き考えを持った敬虔なる信者であり、模範的な生徒である」という評価をされている。

 聖都に住む信心深き名家の出身で、他人を下に見たような高慢な発言をするが、本人に悪気はない。その証拠に、指摘をすればきちんと態度を改める。気が小さく怖がりな性格で、屍人の研究をしているのに屍人を見ると恐怖で動けなくなってしまう。好きなものは塩を贅沢に使用した海鮮料理。嫌いなものはお化けや怖い見た目の其達。夢は全ての屍人に救済を。


オープニングフェイズ


■シーン1 迷い猫 シーンプレイヤー:PC①
◆解説
 PC①のオープニング。PC①が深夜に聖都を巡回している際に、屍人に追われている【リック】と出会い、彼を助けるシーン。PC①に「リックは庇護すべき対象である」という認識を強く持ってもらいたいので、GMはPC①がリックを助けたくなるように演出すると良いだろう。

▼描写1
 事故・病気・殺人・自殺、人が死ぬ要因は、この世にごまんと溢れている。異形が蔓延り、神の御標さえも信じられないような今の世では、人の死など珍しくもない。君の大切な存在も、そんな珍しくもない死の一つだった。それでも君にとっては、あまりにも残酷で、信じがたい事だった。
 既に幾許かの時が流れたにも関わらず、その傷は癒えずにいる。それでも日常は、君の感傷を許してはくれない。
 いつも通り君は、深夜の聖都を巡回していた。「昨今物騒になりつつある【左の地】の情勢を考えると、こういった巡回も大事な仕事の一つだ。」というのが上の者の考えだ。しかし、神のお膝元である聖都で悪事を働く者など、ほとんどいないのが現実だ。いたとしても質の悪い酔っ払いが徘徊している程度だろう。いつも通り、何事もなく仕事を終えて帰路につこうとする君の耳に、いつもとは違う音が聞こえてきた。それは、暗い路地の先から君の下へ走る足音だった。
 足音の主が君の前に姿を現す。その者は、二足歩行をした猫のような見た目をしていた。恐らく其達だろう。人間の子供程度の大きさをしていて、大きな黄色い瞳は、暗闇でも燦然と輝いていた。その其達は君にしがみつくと、息も絶え絶えにこう言った。

□セリフ:リック
 「助けて・・・お願い、助けて・・・。」

▼描写2
 彼はそれだけ言って気を失ってしまった。困惑する君の下に、また別の足音が聞こえてきた。その足音は、其達が来たのと同じ方向から聞こえてきた。月明かりに照らされた足音の正体は、体の所々が腐り落ちた、歩く死体だった。それらは一様に、「俺の・・・おれ・・・」「待って・・・逃げ・・ないで・・・」と其達に向かって手を伸ばしている。

 □PC①が何もしないのであれば、その屍人はリックに齧りつき、リックを食べようとする。

 □PC①が話しかけたり威嚇行動をとっても、屍人は反応しない。彼らは脳の大部分をミストによって摘出されているので、本能的に核であるリックを取り込もうとしているに過ぎないためである。

 □PC①が攻撃をするなら、彼らは回避を行わないので攻撃は当たる。しかし当たっても彼らは歩み寄ってくる。痛みを感じるそぶりもない。仮にPC①が足を切り落としても、這って近づいてくる。

◆結末
 PC①がその場から去ったらシーンを終える。


■シーン2 神の依頼 シーンプレイヤー:PC②
◆解説
 PC②のオープニング。PC②が聖教会異端審問局の【レオノーラ・H・ファイアーリヒ】に仕事を依頼されるシーン。レオノーラは御標によってPC②が紡ぎ手であることを知っており、異端審問局である彼女はそれを快く思っていない。レオノーラをロールする際は、PC②への嫌悪感を表現できるといいだろう。

▼描写1
 白亜の城壁。輝ける尖塔。荘厳な町並みを誇る、左の地四大国の一つ。聖都。君は現在、その聖都の中でも特に荘厳な建物、聖教会総本山に来ていた。正確にはその一角、異端審問局の一室に。新米僧侶と思わしき少女の案内で、今回の依頼主である【レオノーラ・H・ファイアーリヒ】の部屋の前に来ていた。
 君が部屋の中に入ると、執務机を挟んだ向こう側の椅子に腰を掛ける、柔和な笑みを浮かべた老婆が佇んでいた。

□セリフ:レオノーラ
 「来ましたね。あなたが、異形狩りで有名なPC②さんかしら?」
 「私は聖教会・異端審問局所属のレオノーラ・H・ファイアーリヒと言います。以後お見知りおきを。」
 「あなたを呼んだのは他でもありません。私に御標が下ったからなのです。」

 『異形を狩りし紡ぐ者、白亜の都に潜みし歪み、己が正義で打ち滅ぼす。こうして都は、清廉潔白に保たれる。---めでたしめでたし。』

 「『異形を狩りし紡ぐ者』、これは異形を狩る紡ぎ手のことを指します。つまりはあなたの事ですよ。PC②さん。」
 「我々異端審問局では、紡ぎ手も異形も同じく世界の歪み。打ち滅ぼして世界を正さねばなりません。しかし、私の考えは少し違います。」
 「"毒をもって毒を制す"という言葉をご存じですか?とある地方に伝わる諺なのですが。」
 「紡ぎ手は毒。異形という毒を制するための毒なのです。」
 「いずれは世界から排除しなければならないものでも、あるうちは利用せねば。あまり他の局員からは理解されていないのですがね。」
 「それに、これは神の御意志である御標に記されたこと。我々がどう思おうとも、あなたにやってもらう必要があるのですよ。」

 □PC②が引き受けない、またはすぐには引き受けない場合は、「報酬は弾む」という事で財産点を2点与える。それでも渋る場合は、「では代わりの者を探すとしましょう」といってPC②を脅す。

 □PC②が引き受けた場合は、PLが4人以下なら、「街の者に聞き込みをして、怪しい者がいないか探りなさい。」と伝え、PLが5人以上なら「騎士団の屯所に行けば、何か情報があるかもしれません」といってPC①の勤める屯所へ向かわせる。

◆結末
 PC②が仕事を引き受け、部屋を後にしたらシーンを終了する。


■シーン3 在りし日の憧憬 シーンプレイヤー:PC③
◆解説
PC③のオープニング。過去の回想シーン。PC③とミスト・F・ヴューテントとの学生時代を演出する。PC③がミストとの関係性を設定していないならば、下記のように演出すると良い。

▼描写1
 聖都にある永遠取得アカデミー【賢者の羽根】。そこでは優秀な人物たちが日々己の才能を磨き、神の恩寵の証である不死を賜れるように努力している。【ミスト・F・ヴューテント】とPC③も、そんな学生たちの内の一人だった。神学の講義を終えた二人は、廊下を進みながら話をしていた。

□セリフ:ミスト
 「とても素晴らしい講義だったな!PC③。やはりこのアカデミーは素晴らしいよ。僕のようにご立派な家柄の無い者が入れたのは、本当に幸運なことだ。神の御加護に感謝だな。」
 「ああそうだ!PC③、親友の君にだけは話しておこうと思うんだ。」
 「僕が、前に"不死者と屍人の類似性"について研究していたのは知っているだろう?そして、それが教師陣にとって好ましく思われなかったことも。さらには研究題材を変えさせられた事も。」

 「ああそうさ。僕は納得していない。屍人と不死者の間には、必ず何かしらの関係性があると思うんだ。屍人についてもっと研究すれば、必ず不死者についても何かが分かるはずだ!」
 「だから僕はね、実はこっそり研究を続けているんだ。他の皆には内緒だよ?君だから話したんだ!もちろん教師陣にも秘密だ。」
 「・・・君にこんな話をしたのはね、知っておいてほしかったからなんだ。僕の研究を誰かに。」
 「最近左の地では異形による被害が増えてる。こんな物騒な世の中じゃ、いつ死んでもおかしくないだろう?だから、誰かに知っておいてほしかったんだ。僕の研究を、僕の生きた証をさ。」

 「ごめん!急に変なこと言って。あんまり気にしないでね!ただちょっと、聞いてもらいたかっただけだから。・・・ほら行こう!次の講義が始まっちゃうよ。」

▼描写2
 その話から数日後、ミストは教師陣に捕まり、尋問を受けた。内容はもちろん"異端の研究について"だ。教師陣から警告を受けたにもかかわらず、警告を無視して秘密裏に研究を続けていたことを咎められた。その後ミストは、賢者の羽根を追放された。風の噂では、とある生徒が情報を教師にリークしたため、彼の研究がばれたそうだ。

 それから長い年月が経ち、現在の聖都で君は、かつての友であるミストと思わしき後姿を見かけた。

 □PC③が情報をリークした生徒について聞くなら、現状では分からないとする。これは、情報収集シーンで得られる情報だからである。勿論情報をリークしたのはPC③ではない。GMはPC③にその事実を伝えること。

 □PC③が後姿を追うなら、既にそこには誰もいない。地面には一枚の紙片が落ちている。紙片には日付と場所が書いてある。日付は近日(シーン14のタイミング)で場所は賢者の羽根となっている。

◆結末
 PC③が特にやりたい事が無ければシーンを終える。

※もしもPC③がミストとの関係性について設定している場合は、
 「ミストが"屍人と不死者について"の研究を行っていることを知る」
 「ミストも自分の秘密の研究をPC③に知られていることを知っている」
 以上の二点を満たせるように、PC③の設定に合わせて過去の回想シーンを演出すると良い。


■シーン4 其達の日常 シーンプレイヤー:PC④
◆解説
PC④のオープニング。常闇森でリックとの日常を描くシーン。PC④にはリックを救いたいという思いを抱いてほしいので、PC④とリックは仲がいいように演出すると良い。またこのシーンの冒頭は、シーン1の1週間以上前の話である。

▼演出1
 左の地・南西部に広がる其達の領域【常闇森】。森には様々な種類の其達が存在し、中にはここにしかいない種族や一体しか存在しない種族、まだ人間に発見されていない種族も存在する。そんな人の立ち入りを拒絶した真っ暗な森の中で、【リック】とPC④はいつも通り仲良く遊んでいた。

□セリフ:リック
 「ほらほら!こっちだよPC④!そんな足の速さじゃ、僕を捕まえるなんて到底できなよ!」
 「僕はこの足の速さが自慢なんだから、そう簡単には負けないけどね!」

 [肉体または知覚判定:難易度12]

 □成功した場合はリックはPC④に追いつかれる。賞品としてPC④は【星粥】(TMp117)を獲得する。PC④はアイテム欄に追加すること。
 「わぁ!まさか捕まるなんて。くっそー!足には自信あったのになー!」
 「じゃあ、はいこれ。勝ったPC④には賞品をあげるよ!」

 □失敗した場合はリックに逃げ切られる。
 「ははっ!ちょっと危なかったかな?でもやっぱり、僕のほうが速かったね!」

 「ふぅ。楽しかった!やっぱりPC④と遊ぶのは楽しいよ!さっすが僕の一番の友達だね!」
 「あ!そうだ。PC④、ごめん!暫く君とは遊べないや。人間さんから、新しくお仕事頼まれてたの、忘れてた。」
 「なんか、聖都?っていう人間の国に届け物して欲しいんだって。ここからちょっと遠い場所にあるみたいだから、何日か会えないかも。」
 「大丈夫!すぐ戻ってくるから。僕の足の速さ見ただろ?パッと行って、すぐ戻ってくるって!もちろんお土産も持ってね。」

▼演出2
 そう言って彼が森を出てから、既に1週間が経とうとしていた。数日とは言っていたが、こんなに遅くなるだろうか?不安に感じた君の下に、突然声が響いた。

 『聖なる国にいる親しき友を、あるべき場所へ帰すのでした。ーーーめでたしめでたし。』

 聞いた瞬間に理解できた。これは御標だ。自然に帰ってくるのではなく、わざわざ御標で言及されているという事は、確実に何かがあったという事だろう。

◆結末
 PC④が聖都へ向かったらシーンを終える。


■シーン5 異端を追う者 シーンプレイヤー:PC⑤
◆解説
PC⑤のオープニング。旅をするPC⑤の下に御標が下るシーン。基本的にはPC⑤の設定に合わせて演出をすると良い。シーンの終盤でPC⑤のハンドアウトにある御標を下し、PC⑤が聖都へ向かうように仕向けること。PC⑤に特に希望が無いようであれば、下記のように演出する。

▼演出1
 【ミスト・F・ヴューテント】はかつて【灯篭の村】と呼ばれる村で、恐ろしい事件を起こした異端の研究者だ。当時の事件では彼を捕まえることは叶わず、現在は裁縫師組合や聖教会から追われている。君も、そんなお尋ね者である彼を追っている者の一人だ。
 旅の道中、周りに何もない平原を行く道沿いに、ポツンと一軒の茶屋があった。道の先には他の店どころか建物一つ見当たらない。君が店の前に来ると、店員と思わしき若い女性が声をかけてきた。

□セリフ:若い女性
 「ちょっとそこのお兄さん(お姉さん)!少し立ち寄っていかない?この先暫くは休憩どころなんて無いよ。ここで少し休んでいかれたら?」

 □PC⑤が立ち寄っていく場合
 「はいいらっしゃい。ご注文は?といっても珍しいもんは何も無いですけど。お茶と団子があるくらいね。」

 「はいお待ち。お兄さん(お姉さん)は旅の人?何してる人なの?」

 「この道通る人、あんまりいないんだよね。なんでも人食いの鬼が出るって噂が流れてるみたいでさ。ほんといい迷惑だよね。変な噂流されて困っちゃうよ。」
 「おかげで・・・お兄さん(お姉さん)みたいな獲物が減っちゃうんだもん。」

 □PC⑤が立ち寄らなかった場合
 「ありゃりゃ、残念。・・・お兄さん(お姉さん)!その先行くなら気を付けなよ!最近ここいらで、人食い鬼が出るって噂だからさ!」

▼演出2
 彼女はそういうと、歪にねじ曲がった黒い角をあらわにさせ、肥大化し硬質化した鋭い爪を持つ手で、PC⑤に襲い掛かってきた。

 [知覚または感応判定:難易度8]

 □成功した場合は、既に彼女の正体に気づいていたとし、PC⑤には好きに彼女を倒す演出をしてもらおう。

 □失敗した場合は、彼女の正体に気づいていなかったとし、PC⑤のHPを-2する。以降は[肉体判定:難易度8]に成功するまで判定してもらい、失敗するごとにHPを-2する。もしもHPが2以下にまで減ってしまった場合は、異形の方がPC⑤のしぶとさに降参し逃げていく事にする。

▼演出3
 異形を退けた君は、いつの間にか茶屋の看板の文字が変わっていることに気づく。そこには

 『死を操る者は、聖なる国で打ち倒されるのでした。---めでたしめでたし。』

 と書かれていた。見た瞬間に理解する。これは御標だと。

◆結末
 PC⑤が聖都へ向かったらシーンを終える。


■シーン6 死を纏う者 シーンプレイヤー:PC⑥
◆解説
PC⑥のオープニング。旅するPC⑥の下に御標が下るシーン。PC⑤のオープニング同様に、PC⑥の設定に合わせて演出すると良い。シーンの終盤でPC⑥のハンドアウトにある御標を下し、聖都へ向かうように仕向けること。PC⑥に特に希望が無ければ、下記のように演出すると良い。

▼演出1
 屍人とは、死してなお動く者の事である。不死者のように永遠に姿を保ち続ける、神に愛されし存在とは違う。死んだ後に蘇り、放っておけば腐っていく。神に愛されたわけでもなく、多くの人々から疎まれる。それが屍人だ。勿論君も例外ではない。君のことをよく知らない人からすれば、屍人の姿をした君は化物以外の何物でもないだろう。それを知ってか知らずか、夜道を歩く君を背後からナイフが貫く。勿論屍人の君はこの程度では死なない。

□セリフ:夜盗
 「へへ、不用心だねぇ兄さん(姉さん)。こんな夜道を一人で歩くなんて、俺たち夜盗に襲ってくださいって言ってるようなもんだぜ?」
 「悪ぃが俺も生きる為だ。神さんにはよろしく言っといてくれや(笑)。」

 □PC⑥が動かなければ、そのまま金品を盗まれたとして財産点を全て失う。
 「ちっ!しけてやがんな。これっぽっちしかねぇのかよ。こりゃハズレだな。・・・次行くか。」

 □PC⑥が動く場合は、夜盗は刺されたのに動くPC⑥に恐怖する。
 「えっ!な、なんで動いてんだ!心臓を一刺しだぞ!生きてるはずがねぇ!」
 (青ざめた顔をして)「ば・・・化物ー!(走り出す)」

▼演出2
 背中から刺されたナイフは貫通しており、胸に小さな穴が開いてしまった。服を着れば隠せる程度ではあるが、見られれば追及は免れないだろう。思考に耽っている君の目の前に、一羽の鴉が舞い降りた。鴉は口を開けると、鳴き声の変わりに言葉を放った。

 『聖なる国、不変を求める学び舎に、貴き友を見出す。---めでたしめでたし。』

 耳にした瞬間に理解する。これは御標だと。

◆結末
 PC⑥が聖都へ向かったらシーンを終える。


ミドルフェイズ


■シーン7 好物はパンケーキ シーンプレイヤー:PC①
◆解説
 PC①と他のPCの合流シーン。PC②・PC④は登場可能。
 PC①がPC②・PC④と合流し、リックに好物のパンケーキを食べさせてあげるシーン。このシーンでリックとPC①との絆を強固なものにしたい。GMはなるべく、リックとPC①が仲良くなれるように演出すること。

※PLが4人の場合は、PC①とPC④の合流シーンとする。PC②は次のシーンでの登場となる。

▼演出1
 昨晩保護した猫のような其達は朝になると目を覚ました。事情を聴こうとすると、彼は自分の名前以外覚えていないと言う。彼の名前は【リック】。記憶喪失の迷い猫は、行く当てもないからと君についてくるようだ。やむお得ず君は、君が務める騎士団(または警察)の屯所に顔を出した。するとそこには、屯所を訪ねる旅の者が二人いた。

 □PC②とPC④はここで登場。PCがなぜ登場しているのか説明を求められた場合は、PC②は怪しい事件が無いかを聞きに、PC④は迷子の其達(つまりはリック)を探して、屯所を訪れたことにすると良い。

 □PC④がリックに気づき話しかけても、リックは記憶を失っているので困惑するばかりだ。PC④が森へ連れ帰ろうとした場合は、「僕の記憶喪失の原因は、きっとこの場所で見つけられる気がするんだ!」とリックが主張してこの場にとどまる。

 □リックと出会った時に、リックが助けを求めていたのは、記憶もないまま化物に襲われていたためである。

 □リックが覚えている最初の記憶は、薄暗い部屋で目覚めたことと、暗い水路を歩いていたらあの化物に襲われそうになって、必死で逃げ回っていたことだ。化物から必死で逃げていたため、その部屋が何処にあるかは分からない。

 □PC同士での話やリックとの会話がある程度落ち着くと、リックがおもむろに話し始める。

□セリフ:リック
 「ところでPC①、僕お腹すいたよ。ご飯食べに行かない?僕パンケーキが良い!シロップがたっぷり乗ってるやつ!」
 「ねぇねぇいいでしょ?PC①。僕、お腹がすいて死にそうだよ~。」

 □PC①がリックにパンケーキを食べさせるかどうかで、シナリオの最後の演出でちょっとした分岐がある。GMはこの点をメモしておくことを推奨する。

 □パンケーキを食べさせる場合
 「良いの!?わぁい!ありがとうPC①!昨日は僕のことを助けてくれたし、今日はパンケーキをご馳走してくれる。PC①って良い人なんだね!」

 □パンケーキを食べさせない場合
 「ダメ?そっかー残念。でも、見ず知らずの僕を助けてくれただけでも、感謝しなきゃだよね。ごめんなさい、わがまま言って。」

□セリフ:リック
 「そうだ!よかったらこの後、この国を観光しない?さっき街の人に聞いたけど、この国って聖都っていう大きくて有名な国なんでしょ?」
 「僕、この国を色々と見て回りたいなー。ダメかな?PC①。」

 「ほら、僕って記憶喪失でしょ?ならこの国の事、色々見て回れば何か思い出せるかもしれないし、それに昨日の化物のの事も調べなきゃだもんね!うん。決まり!じゃあこれから皆で、観光しよー!」

◆結末
 PC達が他に何かやりたいことが無ければシーンを終える。


■シーン8 賢者の羽根 シーンプレイヤー:PC③
◆解説
 PC③と他のPCの合流シーン。PC⑤・PC⑥は登場可能。
 PC③がPC⑤・PC⑥と合流し、【ミスト・F・ヴューテント】について調べるシーン。

※PLが4人の場合は、PC③とPC②の合流シーンとする。PC②がここに来た理由は、街の人から「怪しいことは大体賢者の羽根が原因」という偏見に満ちた意見を聞いたとすると良い。

▼演出1
 かつての友、【ミスト・F・ヴューテント】の後姿を目撃した君は、拾った紙片に書かれていた賢者の羽根に来ていた。書かれていた日時まではまだ時間がある。この紙片に書かれたメモの意味を調べに来た君は、通い慣れた母校の前に二人の余所者が立っているのを見つける。

 □PC⑤とPC⑥はここで登場。PCがなぜ登場しているのかの説明を求められた場合は、PC⑤は街で聞き込みをした結果、ミストの母校を突き止めたから、PC⑥は御標に従った結果、ここに辿り着いたとすると良い。

 □アカデミーである賢者の羽根は、基本的には許可のない者は入れない。それはOBだろうと同様である。PCの中に”エテルネル”の名を冠する者がいない限りは、無断で中にはいる事は許されない。PC達が無理に入ろうとすると、衛兵に止められる。

 □PC達の会話がある程度落ち着いたら【オズ・ティミド】を登場させる。

□セリフ:オズ
 (PC③を見ながら)「おや?おやおや?君は、もしかして。」
 (PC⑥を見ながら)「おお!なんとまぁ。初めてお目にかかるなぁ。」

 「すいません。衛兵さん。彼らは僕の友人です。今日来る予定だったのを、すっかり失念していました。さぁどうぞ中へ。」

 □PCが彼に何か言おうとするなら、「いいから。ここは僕に従って。中に入りたいんだろう?」と言ってPC達を中へ追いやる。

▼演出2
 突然君たちの友人を名乗った青年は、恐らく自分の部屋と思われる寮の一室に君たちを連れてきた。部屋に入り扉を閉めると、好奇心と期待に満ちた目で君たちを見つめる。

□セリフ:オズ
 (PC③を見て)「君、PC③さんだろう?このアカデミーの元在校生!違う?」

 「まぁ調べたんだから間違いようが無いけどね!かつてこのアカデミーで、【ミスト・F・ヴューテント】の友人だった人。彼の研究についても知っているのかな?彼はね、屍人について研究していたんだよ!」

 (PC⑥を見て)「屍人と言えば、君!よく誤魔化しているけど、屍人だろう?違う?」

 「君は間違いなく屍人だ。見間違いようが無い。何せ僕は屍人の研究者だからね。間違うはずがない。」

 「ああ、興奮していて挨拶を忘れていた。礼を欠いてしまいすまない。僕の名前は【オズ・ティミド】。この永遠取得アカデミー賢者の羽根の在校生で、屍人についての研究をしているんだ。」
 「正確には、”屍人を神の御許へ安らかに送る方法の研究”だね。」

 □PCが、彼がミストやPC③を知っている理由を尋ねるなら、屍人の研究の先駆者を調べる過程でPC③達を知ったと伝える。

 □屍人の研究を異端と咎められない理由は、「不死者と屍人を同一視する研究」ではないから。つまりは不敬ではないからである。

 □彼は端的に言うと”屍人を浄化する方法”を研究しているが、PC⑥を浄化しようとは考えていない。彼の浄化はそれを望む屍人にのみ与えるからである。

 □彼は屍人を生で見たことが無いため、PC⑥に対して強い興味を持っている。PC⑥の躰を調べさせる代わりに、彼の協力を得られる。もしくはPC③の知るミストの情報を与えれば、情報の対価として彼は協力を申し出る。

 □このシーンでPC⑥は明確な目的を失うことになる。GMはPC⑥のモチベーション維持の為に、”オズの研究に付き合う代わりに望みを叶える”などの新たな目的を用意すること。他のPCへの協力を目的とするなど、PL達と相談して決めてもいいかもしれない。

◆結末
 PC達の会話が落ち着いたらシーンを終了する。


シーン9 観光と調査 シーンプレイヤー:PC②
◆解説
 情報収集シーンその1。全員登場。
 情報収集は2回あり、1回目と2回目で調べられる情報が違う。
 調べられる情報はPC毎に異なっている。情報項目に記載されている”判定可能なPC”を間違えないようにGMは注意すること。もしもPLが4人以下の場合は、PC1人の判定可能数を2回にすると良い。また、PLが4人以下の場合は、”判定可能なPC”は無視しても構わない。

▼演出1
 聖都には多くの人が行きかっている。商人や旅人、巡礼者などは数知れず。白檀通りには老舗のお店が軒を連ね、古城には”知の魔女カッサンドラ”が幽閉されている。東の方には秘密裏に存在する”裁縫師組合”や”赤銅の鈴”の支部があり、国の外の難民キャンプは混沌としている。もちろん賢者の羽根には巨大な図書館があり、記録書院では様々な文献が保管されている。

 この広大な国には、情報を得られる場所が数多く存在する。さて、どこから回ろうか?

□このシーンでは情報収集判定の代わりに購入判定もできる。希望するPCは一回だけ判定を試みることができる。


情報項目

■昨晩の化物 【社会】難易度:8、12 判定可能PC:①、②、④

8□街の人々から聞き込みをした結果、そんな化物は聖都では目撃されていないらしい。昨晩出会った場所にも、痕跡が一つも残っていなかった。

12□酔っぱらったおやじから、「昨日の夜に、俺は見たんだ!うめき声をあげ、腐った肉体を引きずる化物を!だが、飲みすぎたかと思って目を擦ったら、綺麗さっぱりその場所から消えちまっていた。」と教えてもらえる。おやじに教えてもらった路地は、様々なお店の裏口が並ぶ路地で、小さな路地や地下水路に続くマンホールなどもある。何処に逃げ潜んだのかは特定できそうにない。


■リックの過去 【社会】難易度:10 判定可能PC:①、②、④

□難民キャンプの住人から、「その猫みたいな其達なら、数日前に見かけたよ。ここから少し先に行ったテントの辺りで、誰かと話しながら歩いているのを見かけたな。その時は聖都の方に向かってたみたいだ。」と教えてもらえる。一緒にいた人物の顔は見ていないそうだ。


■怪しい人物 【社会】【縫製】難易度:10 判定可能PC:全員

※どちらの能力値で成功したかによって演出と情報が変わる。

【社会】□赤銅の鈴の支部にて、とある村で非道な実験を行った極悪人【ミスト・F・ヴューテント】が聖都で目撃されたらしい、という情報が得られる。元々は難民キャンプで目撃されていたそうだが、猫型の其達と連れ立って聖都に行ったっきり、ぱったりと姿が目撃されなくなり、先日聖都で歩いているのが久々に目撃された。

【縫製】□裁縫師組合の支部にて、昔【灯篭の村】と呼ばれる小さな村で、残虐非道な屍人の実験を行った極悪人【ミスト・F・ヴューテント】が、難民キャンプで目撃されていたらしい。数日前までは難民キャンプで頻繁に目撃されていたが、ここ数日はぱったりと姿を見せていない。キャンプにいる間は非合法な店で買い物をしたり、炊き出しをもらいに行っていたようだ。


■【ミスト・F・ヴューテント】について 【社会】【意志】難易度:12 判定可能PC:③、⑤、⑥または【怪しい人物】の情報を得たPC

※どちらの能力値で成功したかによって演出と情報が変わる。

【社会】□賢者の羽根の資料室で彼についての資料を閲覧できる。【ミスト・F・ヴューテント】は数年前まで賢者の羽根に在籍していた学生で、現在は除籍されている。男性。出身は聖都の外にある難民キャンプで、幼少期から賢者の羽根で学ぶために勉強をしてきた。両親は既に他界しており、天涯孤独の身となっている。賢者の羽根には自身の実力のみで入学した天才であり秀才。在学中は”不死と屍人の類似性について”の研究を行っていたが、研究題材が不敬であるという理由で研究を中止させられ、また本人の危険な思想を読み取った当時の学長により退学処分とされている。彼の退学が決定的となったのは、中止されていた研究を秘密裏に行っている事を、当時のとある生徒が摘発したからである。資料には当時の摘発した生徒の名前が記されている。

【意志】□賢者の羽根の学園長である【アイザック・エテルネル・エントシュロッセン】(IZp209)から話が聞ける。「ミスト君が進めていた研究は、テーマとしては私は悪くないと考えていたんだ。結局のところ屍人も、神の御意志の賜物だと私は思うからね。ただ彼の思想は、不死者となって神の愛を賜る、というよりは不死者を屍人に貶めて神の愛を否定しようとするものだったんだ。当時の者でその心根を見抜いたのは私だけだったがね。つまるところ彼の研究の最終目的は、不死者を”神に愛されし者”から”ただの死なない者”に貶める事だったのさ。ここを追放された彼のことだから、その思いはより一層強くなっているんじゃないかな?」さらに学長は、当時彼が中止したはずの実験を秘密裏に行っていた事を、摘発してくれた生徒の名前と住所を教えてくれた。

※新たな情報項目【当時摘発した生徒】が追加される


■屍人について 【社会】【知覚】難易度:8 判定可能PC:全員

□記録書院で屍人についての資料を閲覧する。屍人とは、死んだはずの者が動き出したものを指す名称である。人間に限らず動物や植物、其達なども屍人になりえる。屍人になる者は主に三種類の属性に分かれる。【死ねずの呪いにかかった者】【蘇った者】【作られた者】の三種である。これらの屍人に共通するのは、どの屍人にも”核”が存在する事である。屍人は生前執着していたものに核が宿ることが多く、基本は頭または心臓である。珍しいものだと、生前に大事にしていたペンダントや、食べることを生きがいとしていた者なら舌などが核になっていた事例もある。この核を破壊することによって、屍人はその機能を停止する。


■メモについて 【知覚】【感応】難易度:8、12 判定可能PC:③もしくはメモを共有してもらったPC

8□かつてのミストの資料などから、メモの筆跡は間違いなく【ミスト・F・ヴューテント】のものだという事が分かる。

12□メモを光に透かして見ると、筆圧でできたであろう跡がうっすら見える。内容は聖都の各施設名と、”決行”の文字が見える。


■新たな情報項目・当時摘発した生徒 【社会】難易度:10 判定可能PC:【ミスト・F・ヴューテントについて】の情報を得たPC

□当時ミストを摘発した生徒から話が聞ける。「ああ。当時あいつの悪事を暴いたのは俺様さ。あいつとPC③が廊下で話しているのが聞こえてきてな。我らが賢者の羽根に、危険思想を持つ奴が野放しにされているのは由々しき事態だと思い、早々に行動を起こしたというわけだよ。そもそも俺様は前から気に入らなかったんだ。大した家柄もない、難民キャンプ生まれの卑しい奴が、誉れ高き賢者の羽根に在籍しているという事実がな。話を聞いた時には、思わず顔がにやけたよ。これでこのアカデミーのほつれを取り除けるとな(笑)」


◆結末
 各PCが1回づつ情報収集を行ったらシーンは終了となる。

※PLが4人以下の場合は、各PCが2回づつ情報収集を行ったら終了となる。


■シーン10 死者の群れ シーンプレイヤー:PC⑥
◆解説
 本演目初の戦闘シーン。全員登場。
 PCが全員合流できるシーンでもある。

▼演出1
 聖都のいたるところで情報を集めていた君たちの脳に、前触れもなく突然、声が響いた。

 『さぁ!実験の始まりだ!これなるは、死を超越せし者共。腕をもがれ、目を抉られようとも、動き続ける死の軍団!命に限りある者達は、これを見事!打倒せるのか!』

 聞いた者は瞬時に理解できる。これは御標だと。次の瞬間、街の様々な場所に亀裂が走る。ほつれだ。どうやらこの御標は、街の全員に下されていたらしく、街の住人たちは困惑している。
 →歪み表2.0の"ほつれ"をチョイス。国中にほつれが走る。

 □難民キャンプの方から人が「キャンプに屍鬼が現れた」と叫びながら走っていく。走っている人は何人もいて、そのうちの一人が騎士であるPC①に助けを求める。

 □PC達が難民キャンプへ向かう場合は、リックはPC①に付いて行こうとし、オズは「怖いから」と付いて来ない。

 □PC達が難民キャンプへ向かうと、キャンプには”歩く死者”(TMp178)が6体いる。"歩く死者"×6と戦闘。

 □"歩く死者"はモブエネミーなので、一体あたりの数は10人とする。

 □PC①がリックを連れてくる場合は、リックを最優先で攻撃してくる。リック以外とエンゲージしている場合は、離脱してリックに向かう。

 □リックがいない場合は、一番近いPCを狙う。

 □"歩く死者"は3体ずつでエンゲージを形成しており、エンゲージの間隔は5mとなる。PC達は全員で一つのエンゲージを形成しており、そこから5mの距離に"歩く死者"のエンゲージが二つある。図で表すなら、正三角形の各頂点にエンゲージがある様になる。

 □"歩く死者"の他に【ミスト・F・ヴューテント】がいる。ミストは”歩く死者”から10m以上距離を離して、さらに姿を隠して戦闘を観察している。戦闘には参加しない。

◆結末
 戦闘が終了したらシーンを終える。


■シーン11 死を操る者 シーンプレイヤー:PC⑤
◆解説
 【ミスト・F・ヴューテント】とPC達の初の邂逅のシーン。全員登場。
 リックが屍人たちの核になっていることは、本演目の最後に明かされる最大のギミックである。GMはPC達に、リックは事件解決の鍵になると匂わせつつ、リックが何者なのかを隠せるととても良い。PC達に感づかれる可能性がある場合は、リックと事件との関係性を全く匂わせなくてもいいだろう。また、オズとリックが出会うとリックが屍人であることがばれてしまう。GMはなるべくリックとオズを合わせないようにするといいだろう。

▼演出1
 難民キャンプに突然現れた屍鬼たちは、PC達の活躍によってその動きを止めた。辺りには酷い死臭が充満している。匂いに顔をしかめる君たちの耳に、拍手の音と足音が聞こえてくる。音の主【ミスト・F・ヴューテント】は君たちと死体を挟んだ距離まで近づくと、歪な笑みを浮かべて口を開いた。

□セリフ:ミスト
 「コングラチュレーション!素晴らしい!さすが、聖都におわす騎士様だ。そんじょそこらの騎士とは強さが違う。」
 「私の名前は【ミスト・F・ヴューテント】。人は私を”死を操る者”と呼ぶ。どうだったかな?私の作品たちは。なかなかに美しかっただろう?」

 (PC⑤に対して)「おや?あなたは以前どこかでお会いしたかな?申し訳ないどうも人の顔を覚えるのは苦手で。もしもお会いしたことがあるのなら、この場を借りて謝罪させていただこう。私はあなたを覚えていません。(笑顔で)」

 (PC③に対して)「君は!・・・なんの因果かそれとも運命か。久しぶりだね。PC③。僕を貶めたPC③。」
 「ああ、君のせいで僕は、僕の居場所は無くなった!君が!密告しなければ!君のせいで僕は追放されたんだ!」
 「あの話を知っているのは君だけだった。ああ、愚かだったよ当時の僕は。何故簡単に君のような人間を信用してしまったのか。」
 「君も、僕の復讐の対象だ。命が惜しくば逃げたほうがいい。必ず探し出して殺してあげるけど、少しくらいは寿命が延びるだろう。」

 (リックに対して)「ああリック。そこにいたんだね。よかったよ君が無事で。君に何かあったら、私の計画はパーだからね。」

 (PC①に対して)「ありがとう。私の大事なリックを保護してくれて。彼は私が引き取ろう。さぁこちらに。」

 □リックはミストを拒む。PC①がリックを渡そうとするなら、リックは走り去って逃げてしまう。

 □リックを渡そうとしない場合は、また後日引き取りくると言いその場を後にする。

 □PCがミストを捕まえようとしたり、危害を加えようとするなら▼演出2へ進む。

▼演出2
 「そうそう。言い忘れていたが、私の実験は尚も進行中であり、御標はまだ達成されていないようだよ?」ミストがそう言うと、倒したはずの屍鬼たちの半数が立ち上がる。立ち上がった屍鬼たちはPC達に向かって歩み始め、周囲にはほつれが広がっていく。
→歪み表2.0(IZp262)をROCする。

□セリフ:ミスト
 「ふふふふ。ふはははは!素晴らしい!やはり私は天才だな!実験は成功だ。何体か行動不能に陥っている者もあるが、半数以上はいまだ稼働しているようだな。これならば、当日でも十分運用に耐えられる。」
 「では諸君!私はここからさらに忙しくなるのでね。後の掃除は任せる。諸君の健闘を祈るよ。」

 □ミストは逸脱能力の【神速移動】(MMp126)を用いてシーンから退場する。これに対してPCは【虚構現出】(MMp125)を使用できない。この逸脱能力の使用は、”ラスボスが使用した逸脱能力の数”にカウントされるので、GMは忘れないようメモをしておくことを推奨する。

 □ミストがシーンを退場した後は、"歩く死者"3体が残る。"歩く死者"×3体と戦闘。

 □エンゲージは"歩く死者"3体とPC全員がエンゲージしている。

◆結末
 戦闘が終了した後、PC達が情報交換を終えたらシーンは終了となる。


■シーン12 ほつれゆく聖都で シーンプレイヤー:PC④
◆解説
 情報収集シーンその2。全員登場。
 このシーンでは、集められた情報によってクライマックス戦闘に影響が出る。GMはどの情報収集判定が成功したのかメモしておくこと。

▼演出1
 難民キャンプに発生した全ての屍鬼を倒した君たちは、ミストが残していった不穏な言葉を思い出していた。彼の話しぶりから察するに、近日中には大規模な何かが起きるのではないだろうか?彼の計画を止めるためにも、君たちは行動を起こすのだった。

□このシーンでは情報収集判定の代わりに購入判定もできる。希望するPCは一回だけ判定を試みることができる。


情報項目

■屍鬼について 【知覚】難易度:6、12

6□難民キャンプに現れた屍鬼たちは、四肢をもがれたり頭をつぶされたり、身動きができないように縛られたりしている。ほとんどが活動を停止したように見えるが、よく見るとわずかに動いていることが分かる。

12□屍鬼たちはどうやら聖都の排水溝から来たようだ。排水溝の奥は聖都の地下水路に続いている。

※まだ追加されていない場合は、新たな情報項目【地下水路】が追加される。
※新たな情報項目【死なない屍鬼】が追加される。


■ミスト・F・ヴューテントの行方について 【社会】難易度:10

□屍鬼の発生で混乱していた難民キャンプの人たちの中にも、何人かは彼の逃げた方向を覚えていた者がいたようだ。彼はどうやら聖都の排水溝の方に向かったようだ。排水溝の奥は聖都の地下水路に続いている。

※まだ追加されていない場合は、新たな情報項目【地下水路】が追加される。


■リックについて 【社会】難易度:10

□この国を訪れた時のリックについて、街の人々に聞き込みを行った結果、リックがミストらしき人物と一緒に歩いている姿が目撃されていた。最後に目撃された場所の近くには、聖都の地下水路に続くマンホールがあった。

※まだ追加されていない場合は、新たな情報項目【地下水路】が追加される。


■ほつれについて 【縫製】難易度:8

□この国のほつれは徐々に広がっている。幸い裁縫師組合の人間や、他の紡ぎ手たちが繕ってくれているので大事には至っていない。原因は恐らく先ほどの歪められた御標だろう。御標を下したのは【ミスト・F・ヴューテント】だ。彼を何とかしない限りは、このほつれが収まることはない。

※クライマックス戦闘での"屍の軍勢"(TMp178)の数が1体減る。


■新たな情報項目・地下水路 【意志】【社会】難易度:12

□聖都の地下水路に住む【”濡れネズミ”フラジール】(SSS1p43)に案内してもらい、ミストの研究所と思しき場所に辿り着ける。そこに彼の姿はなく、辺りには屍人の研究の名残であろう腐臭が漂っている。机には彼の研究ノートのようなものがある。ページが破られていたり、内容が塗りつぶされていたりでほとんどが読めない。それでも読めた内容をまとめてみると、研究の為に適当な其達(リック)を呼び寄せた事と、日付的には明日に大規模なテロを計画していることが分かる。

※クライマックス戦闘での"屍の軍勢"(TMp178)の数が1体減る。


■新たな情報項目・死なない屍鬼 【意志】難易度:12

□聖都の地下牢にいる【”知の魔女”カッサンドラ・エテルネル】(MMp213)に”死なない屍鬼”について助言をもらいに来た。彼女曰く、「屍人とは核が存在する者。核をつぶされれば、彼らの未練は失われ動きを止める。仮に彼らを八つ裂きにしても動くようなら、彼らの核は彼らの中には無いんだろうね。」とのこと。つまりミストが用意した屍鬼たちは、いくら倒そうとも止まることが無いという事が分かる。逆に考えれば、動きさえ止めてしまえば無効化はできるという事も。

※クライマックス戦闘での全ての"屍の軍勢"(TMp178)の各防御修正を-5する。


◆結末
 各PCが1回づつ情報収集を行ったらシーンは終了となる。

※PLが4人以下の場合は、各PCが2回づつ情報収集を行ったら終了となる。


■シーン13 決戦前夜 シーンプレイヤー:PC①
◆解説
 ミドルフェイズ最後のシーン。PC①以外は任意で登場可能。
 クライマックス直前のシーンとなるので、GMはリックとPC①との絆をここで深めておくと良いだろう。もちろんPC①以外との絆を深めておいても良い。PL達にこのシーンがミドルフェイズ最後のシーンであることを伝えてもいいかもしれない。

▼演出1
 PC③が拾ったメモの日付は、いよいよ明日となった。太陽は既に沈み、時刻は夜の22時を指していた。ミストの発言やメモの内容から、明日が決戦となる事を予想した人々は、明日に備えて各々で準備をしていた。
 家にバリケードを築く者、装備を整え戦いの準備をする者、国を見捨て国外へ逃げる準備をする者、ひたすら神に祈り続ける者。そして、決戦前夜に最後の語らいをする者たち。

□セリフ:リック
 「PC①、少しお話しない?僕、なんだか眠れなくて。」

 「お昼は楽しかったね!聖都ってどこも綺麗で、僕感動しちゃったよ。」
 「いろんな本がいっぱいある場所や、おもしろい物がいっぱい売ってるお店や、あとあと、キャンプの人たちも!みんなすっごく優しくていい人だった!」
 「PC①や皆といっぱい遊べて、僕本当に楽しかったよ!」

 「・・・明日は、戦いになるんだよね。それぐらいは僕にもわかるよ。」
 「相変わらず何も思い出せないけど、分かるんだ。この事件は、僕にも関係があるって。・・・PC①、明日は僕も付いて行くからね!たとえ止められたって、絶対付いて行くから!」

 「明日は絶対勝とうね!PC①!」

 (立ち上がってPC①に振り返り)「僕、PC①に出会えてよかったよ。・・・それじゃあお休みなさい。PC①。」

 □このシーンでは購入判定もできる。希望するPCは一回だけ判定を試みることができる。

◆結末
 PCが特にやりたいことが無ければシーンを終える。


クライマックスフェイズ


■シーン14 聖都崩壊 シーンプレイヤー:PC②
◆解説1
 ミストとの最後の戦闘シーン。全員登場。
 2回目の情報収集シーンで何の情報を得たかによって、最後の戦闘に変化が生じる。どう変化するかは情報項目に記載されているため、GMはその点に注意すること。

▼演出1
 時刻は明け方。太陽はまだ顔を見せず辺りは暗い。普段は街のほとんどの人が寝静まり、通りを誰も歩いていないような時間帯だが、現在は街の至る所に聖都の【白銀騎士団】が待機している。太陽もまだ上らないような時間帯の聖都は、普段とは異なる意味で静寂に包まれていた。

 □ここでPC達に、聖都のどこで待機しているかを選んでもらう。ここで選んだ待機位置によって、クライマックス戦闘での登場可能ラウンドが変わる。GMは予めその事をPLに伝えてもいいだろう。特に希望が無いPCは【賢者の羽根】か【聖都中央広場】に待機していることにするとよい。

▼演出2
 静寂は唐突に破られた。街のどこかで声が上がる。
 「屍鬼だ!屍鬼が現れたぞー!」
 その声は徐々に街の至る所で聞こえ始め、街全体を覆っていく。屍鬼の襲撃を告げる声に交じって、別の声が直接頭に響いた。
 「異端の魔術師を発見した!【賢者の羽根】だ!至急応援を!」
 それは騎士団の魔術師が使う念話だった。その念話が聞こえたと同時に、街中の人間に禍々しい別の声が聞こえてくる。

 『抵抗しろ!聖都の愚かな人々よ!その命尽きるまで、戦い続けろ!』

 声を聴いた者は一様に理解する。これは御標だと。
→歪み表2.0(IZp262)をROCする。

 □【賢者の羽根】で待機していたPCは、ミストとの会話後に戦闘になる。賢者の羽根にいなかったPCは、合流し次第ミストとの会話演出を挟み戦闘に参加する。

 □【賢者の羽根】以外で待機していたPCは[好きな能力値ボーナス判定:難易度10]に成功したら、戦闘開始のタイミングで合流できる。判定に失敗したPCは2ラウンド目のセットアップ前から合流可能となる。但し、PCが希望するならば、2ラウンド目以降の好きなタイミングで合流しても構わない。

▼演出3
 賢者の羽根には大量の屍鬼を引き連れたミストの姿があった。彼は君たちに気が付くと、不敵な笑みを浮かべて声をかけてきた。

□セリフ:ミスト
 「やはり来たね。私を止めるつもりなんだろう?だが無駄なことだ。」
 「君たちも聞いただろう?既に御標は下された。その命尽きるまで、君たちは戦い続けなければいけない。これがどういう意味か分かるかい?」

 「君たちには、勝つことも負けることも許されないんだよ。唯一許されるのは、死ぬことだけだ。」
 「ああ、それとも君たちはもしかして、紡ぎ手ってやつなのかな?ならば私を止められる可能性もあるか。じゃあ、こちらも全力で抵抗させてもらおう。」

 「私は積年の恨みを晴らし、長年の夢である”不死者の屍人”を作るために、ここで倒されるわけにはいかない!」

◆解説2
 クライマックス戦闘。
 ミストとPCとの間に”屍の軍勢”(TMp178)が4体いる。"屍の軍勢"同士はエンゲージしており、PC達との距離は5m、ミストと"屍の軍勢"の距離は10mで、全て直線距離となる。但し、シーン12で得た情報次第で”屍の軍勢”の数は変わるので、GMはその点に注意すること。さらに、”屍の軍勢(TMp178)”は追加で以下の特技を獲得している。GMはその点に注意すること。

 【追加特技】
 《呪詛の一撃》(IZp231)1
 邪毒を選択。このメインプロセスでダメージを与えたら、対象に邪毒1を付与。
 《流血の宴》(TMp95)1
 範囲(選択)・至近の対象に物理攻撃を行う。ダメージ+1D6。ラウンド1回。
 《無慈悲なる一撃》(MMp2237)2
 ダメージ+2D6。
 
 また前述の通り、【賢者の羽根】で待機していなかったPCは判定に失敗すると合流が遅れるので、GMはその点にも注意すること。

□セリフ:ミスト
 (戦闘開始時)「彼らは以前用意したものとは段違いの強さだ。はたして君たちの手に負えるかな?」

 (PC①合流時)「君にはリックを預けたままだったね。今ここで、返していただこうか。彼は、私の実験に無くてはならない存在なんだ。」

 (PC②合流時)「私を狩ろうとしているのは、異端審問局の人間からの依頼でだろう?私には便利な目があってね、近場で起こったことは大抵知っている。彼女は異端審問局の人間だ。私の次は君の番、それが分かってて何故私を狩ろうとする?」

 (PC③合流時)「ちょうどよかった!君への復讐も、今ここで果たしてしまおう!僕が君に裏切られたこの場所で。」

 (PC④合流時)「ああ君は、確かリックの友達だったかな?ちょうどいい!この実験が終わったら、次の検体は君にしよう!そのためにはまず、殺さないといけないね。なるべく綺麗なまま殺すから、安心してくれたまえ。」

 (PC⑤合流時)「ああ君は先日の。すまないね、結局君を思い出すことはできなかったよ。まぁ思い出そうともしていないんだがね。問題はないだろう?だって君はここで死ぬんだから。」

 (PC⑥合流時)「よく見たら君は屍人か。どうだい?今からでも私と共に来ないか?私の研究の最終目標は、”不死者と屍人を同列のもの”とすることだ。研究が成就すれば、屍人も不死者同様崇められる存在となる。私と共に、屍人の未来を照らそうじゃないか。」

 ("屍の軍勢"全滅で)「馬鹿な!今回のはかなりいい出来だったんだ!しかもその中でも、選りすぐりを連れてきてたんだぞ!それを、こんな・・・。」
 (HP50以下で)「くそ!なんで僕がこんな目に!僕はただ、実験していただけなのに。自分の信じる研究を、していただけなのに!」

 (HP0で)「死にたく・・・ない。こんな・・・所で・・・死に・・・たく・・・。」

◆結末
 ミストを倒したらシーンは終了となる。


■シーン15 最後の選択 シーンプレイヤー:PC①
◆解説
 リックの最後のシーン。全員登場。
 リックを殺すか否かをPCが選択するシーン。リックはミストの作った特別な屍人で、ミストの作った屍鬼たちの核はリックの核と同化している。リックを殺しても殺さなくてもエンディングは迎えられる。GMはそのことをPLに伝えても伝えなくてもよい。
 また、このシーンでは”シーン7のパンケーキの有無”で演出が若干変わる。GMはその点に注意すること。
 このシーンはまだクライマックスフェイズであり、PCの剥離チェックはこのシーンが終了した後に行う。

▼演出1
 聖都のあちこちで戦いの音が響くなか、【賢者の羽根】には一時の静寂が訪れていた。辺りには倒された屍鬼たちの山があり、それを率いていた【ミスト・F・ヴューテント】は地面に倒れ伏している。もはや立ち上がる力もないようだ。今ならばとどめを刺すことも容易だろう。

□セリフ:ミスト
 「僕を殺したところで、屍鬼たちは止まらない。当然だ、僕が操っているわけではないからな!」
 「知りたいか?屍鬼たちを止める方法を。それがいかに残酷な真実だろうと、君は知りたいのか?」

 「教えてやろう。リックだ。彼こそが街で暴れまわる屍鬼たちの核だ。」

 「私が今回行った実験とは”其達の屍人を作ること”、そして”複数の屍人の核を別の屍人に集約すること”だ。」
 「私はそこのリックに、"数多の屍鬼の核"を集約したのだ!どうだ!いまだ誰も成しえていない、素晴らしい実験だろう!」

 「屍鬼たちの核となっているリックを殺さない限り、彼らは止まることはない。さぁどうする?紡ぎ手様よ。」

▼演出2
 話を聞いたリックは、理解が追い付いていないようだった。自分が既に死んでいる?街を襲っている屍鬼を止める為には、自分が死ぬしかない?混乱するリックは、答えを求めるようにPC①の方を見た。

□セリフ:リック
 「PC①。僕、どうしたらいいの?どうするのが、正しいの?ねぇ、教えてよPC①。」
 「僕が死ねば、街の人たちは助かるんでしょ?でも、僕は死にたくないよ!でもでも、優しかった街の人たちも助けたい!僕は、どうしたらいいの!PC①!」

 「僕は、PC①を信じてるから。だから。PC①が選んで。僕は、PC①の答えを信じるよ。」

 □PCがリックを殺す場合は結末1へ、生かす場合は結末2へ

◆結末1
 リックの核をつぶすと、辺りに倒れていた屍鬼の山が徐々に白くなっていく。街中から聞こえていた戦いの音も止んだ。眠るように目を細めるリックは、「PC①と食べた・・・僕の大好きなパンケーキ、・・・最後に・・・PC①と食べれて良かった。ありがとう・・・。」そう言って目を閉じた。彼が目覚めることは、二度となかった。

※シーン7でパンケーキを食べさせていない場合は、何も言わずに目を閉じる。

◆結末2
 リックを殺さない選択は、すなわち街を救わない選択だった。今もなお聖都の街にあふれる屍鬼は、その勢いを止めることなく聖都を蹂躙していく。左の地四大国の一つであり、聖教会総本山がある聖都は崩壊していくのであった。

【どうしてもリックも街も救いたいGMへ】

 本演目で想定している結末は上記の2つである。もしも「リックも街も両方救いたい」とPLが強く希望してきた場合は、GMは上記の結末以外に独自の結末を用意してもよい。但し、その場合は相応のペナルティをPCに与えること。
 本来辿るべき運命を超えるという事は、御標を歪めるのに等しい。運命を超えたいというのならば、それ相応の代償は支払う必要がある。


エンディングフェイズ


 以下はエンディングプロットとなる。これまでの展開に応じて、自由にシーンを演出すると良いだろう。リックが生存したかどうかでプロットは異なるので、その点には注意すること。


【リック生存】

※リックを生かした場合は、聖都に溢れていた屍鬼たちは止まらないことになる。ミストが用意した屍鬼たちは何れも手強く、聖都の白銀騎士団では太刀打ちできない。聖都は崩壊し、屍鬼の徘徊する死の街となる。
 リックは記憶のほとんどを取り戻している。唯一取り戻していないのは、彼が死ぬ間際の記憶だ。今後彼は屍人として生きていく事になる。ミストが倒されたことによって、ミストのかけていた防腐や偽装の術が解ける。放っておけば腐敗していくし、そのままでは街にも入れないだろう。リックは”屍人として生きていく為の術”を探して旅に出る。彼は今後、”自分が生きることで聖都は崩壊した”という事実を抱えて生きていかなければならない。彼の胸中を推し量ることは誰にもできない。

■PC⑥:今回の件で屍人への世間の風当たりはより一層強いものとなるだろう。屍人が生きづらくなった世の中で、君はどう生きていくのか。

■PC⑤:追い求めていた【ミスト・F・ヴューテント】を見事倒すことができた。但し彼の残した爪痕は大きい。世間の心の拠り所だった聖都が崩壊したのだ。今後はより一層、異形や伽藍が増えていく事だろう。

■PC④:君は友人リックを無事助けることができた。彼を助けた代償は大きかったが、其達の君にはどれだけ関係しているのだろう。リックについて行って旅をしてもいいし、全てを忘れて森に還るのも選択肢の一つだ。

■PC③:かつての友も、かつての学び舎も、今は既に失われてしまった。聖都も、その周りにあった難民キャンプも、何もかもが無くなってしまった現在、君はどこで何をしているのだろう?

■PC②:依頼は結局うやむやになった。【レオノーラ・H・ファイアーリヒ】とは依頼を受けて以降会えていない。屍鬼に襲われ死んだのか、それとも生き延びているのかすら分からない。依頼料を受け取れていない君は、新しい仕事を探すのか、それとも彼女を探すのか。

■PC①:リックを生かす選択をした。その結果は聖都の崩壊に繋がった。”君がリックを生かしたから聖都は滅んだ”なんて事実は、あの場にいた者しか知らない。それでもその選択は、君自身の心に残り続けるだろう。職も生活も失った君は、新天地を目指すのもいいし、リックの旅に同行しても良いかもしれない。


【リック死亡】

※リックを殺した場合は、聖都に溢れていた屍鬼たちは皆動きを止め、次第に白い灰となっていく。リックの死体だけは綺麗なままで、まるで眠っているように見える。街の者からは、”聖都を救った英雄たち”として祀り上げられる。住人からは感謝され、聖教会からも正式に褒章が与えられるだろう。

■PC⑥:今回知り合った「オズ・ティミド」から、研究助手を頼まれる。または君の旅に、オズ・ティミドが付いて行きたいと言うかもしれない。君はこれを承諾してもいいし、断ってもいい。

■PC⑤:追い求めていた【ミスト・F・ヴューテント】を見事倒すことができた。聖都にも平和が訪れ、皆が幸せそうな顔をしている。目的を果たした君は、次の仕事に就くかもしれないし、もしくは休暇を取ってもいいかもしれない。

■PC④:君は友人リックを助けることができなかった。親しき友を失った君は、この後どうするのだろうか?全てを忘れて森に還るのもいいし、復讐を誓うのもいいだろう。もしくは今後同じことが起きないように、屍人の研究を始めるかもしれない。

■PC③:かつての友はこうして打倒された。彼がアカデミーを追放された真実も、その後彼がどうしていたのかも、君が気にする必要はもうない。君はまた、いつも通りの日々へと戻っていくだろう。

■PC②:依頼は見事達成された。【レオノーラ・H・ファイアーリヒ】から十分な依頼料が受け取れる。彼女は異端審問局の人間で、君は彼女らから見たら異端である紡ぎ手だ。彼女と敵対する可能性もあるし、彼女の信頼を勝ち得て協力していく事もあるだろう。

■PC①:リックを殺す選択をした。その結果は聖都の救済に繋がった。人々は君を英雄と称え、「君達のおかげで聖都は救われた」と言うだろう。聖都に残り続けるならば、君は昇進してより上の地位に就けるだろう。聖都に残らないというのも、もちろん選択肢の一つだ。ただリックを殺したという事実は、どこへ行っても付きまとう。


それぞれのエンディングを演出して演目は終了となる。


◆ アフタープレイ ◆


 演目の目的を達成した項目については、以下のように判断すること。

・ミスト・F・ヴューテントを倒した:3点
・聖都を救った:5点
・リックを生かした:5点
・リックにパンケーキをごちそうした:2点


◆ エネミーデータ ◆


■ミスト・F・ヴューテント
◆逸脱能力
 □□《虚構現出》(MMp125) 使用された逸脱能力を打ち消す。
 □□《幸福の壁》(MMp127) 範囲(選択)・至近の対象の防御修正+3D6。ラウンド間適用。
 □□《完全否定》(MMp125) 受ける実ダメージを0にし、付随する不利な効果を全て打ち消す。自身のみ。
 □□《瞬速行動》(MMp126) 即座にメインプロセスを行う。1ラウンド1回。自身のみ。
 □□《偽りの不死》(MMp126) 単体・10mの対象のHP・MP・バッドステータスを全回復。戦闘不能も回復。
 □□《欠けていく世界》(IZp143) セットアップに使用。場面(選択)・視界の対象がこのラウンドでメジャーアクションを行うとHP-3D6。

《欠けていく世界》は最初のラウンドと、ミストのHPが50以下になったタイミングで適宜使用する。《偽りの不死》は"屍の軍勢"が倒されたタイミングで使用する。自身には使用しない。
それ以外はGMが状況に合わせて使用すると良い。

◆パーソナルデータ
命:6 回:7 術:7 抵:6
行:13 HP:130 剥:12

肉: 9/+3 知:13/+4 感:12/+4
意:15/+5 社:15/+5 縫:9/+3

攻:〈術〉15 / 術
対:単体 射:15m
防:斬0 / 刺0 / 殴0

◆特技
【常時】
《無限の魔》(MMp238) 1
MPの消費が無くなる。
《無慈悲なる一撃》(MMp237) 2
自身のダメージロールに+2D6。
《戦場の賢者》(MMp78)3
術攻撃を選択。術攻撃のダメージ+6。

【オート】
《御標の託宣》(MMp238)
好きな御標を下せる。
《虚ろなる魂》(MMp236) 1
バッドステータスを受けた時にそれを回復する。重圧には使用不可。HP-3。
《賢者の知恵》(MMp76)3
対象の判定のダイス目+1。演目4回。
《逆巻く嵐》(IZp118)1
《念術》の射程を30mに、対象を範囲(選択)に、属性を〈斬〉に変更。ダメージ+3。1点でもダメージを与えたら狼狽付与。ラウンド1回。
《知恵袋》(MMp79)1
「難易度:対決」でない特技の対象を範囲(選択)に変更。演目1回。
《時を凍らせる者》(MMp83)1
「ラウンド間持続」する特技の効果を「シーン間持続」に変更する。シーン1回。

【ダメージロール】
《警鐘の音色》(IZp116)2
対象が受けるダメージを2D6+3軽減する。ラウンド1回。
《死の叡智》(IZp116)3
対象が受けるダメージに+[対象が付与されているバッドステータスの数×3]する。

【セットアップ】
《千里眼》(MMp83)5
ラウンド中、自身の術の射程+50m。

【マイナー】
《呪詛の一撃》(IZp231)1
放心を選択。このメインプロセスでダメージを与えたら、対象に放心を付与。

【メジャー】
《念術》(MMp80)1
2D6+1の術攻撃。
《弱点看破》(IZp117)3
ラウンド中、対象の全防御修正-6。

◆行動指標
 以下に【ミスト・F・ヴューテント】の戦闘での行動指標を記載する。ここでの行動指標とは、各タイミングに対してどういった行動を取るかを特技・逸脱能力をまとめて書いているものを指す。各行動指標には独自に名前を設定しており、後述する戦闘プランで使用する。名前にはあまり深い意味はない。

【セットアップ】視界確保
《千里眼》(MMp83)5
タイミング:セットアップ
対象:自身 射程:なし
解説:射程を伸ばす行動。シーン中、自身の術攻撃の射程を+50mする。

【最初のメインプロセス】脆弱性の指摘
《知恵袋》(MMp79)1 + 《時を凍らせる者》(MMp83)1 + 《弱点看破》(IZp117)3
タイミング:メジャー+オート
判定値:自動 難易度:なし
対象:範囲(選択) 射程:10m
解説:対象の弱点を指摘し、その点を突いて攻撃することで、攻撃の最大効力を発揮させる行動。対象の全防御修正をシーン中-6する。演目1回。初期配置からだとPC達に届かないので、マイナーで戦闘移動するとよい。
⇒種別が「術」じゃないから10mって事を簡単に書いておくといいかも

【攻撃】台風予測
《無慈悲なる一撃》(MMp237)2 + 《戦場の賢者》(MMp78)3 + 《逆巻く嵐》(IZp118)1 + 《死の叡智》(IZp116)3 + 《呪詛の一撃》(IZp231)1 + 《念術》(MMp80)1
タイミング:マイナー+メジャー+常時+オート+セットアップ+ダメージロール
判定値:7 難易度:対決
対象:範囲(選択) 射程:80m
攻撃力:〈斬〉4D6+10+[対象が受けているバッドステータスの数×3]
解説:毒の刃の嵐を発生させて、敵を切り刻む術攻撃。この攻撃で1点でもダメージを与えたなら、ダメージを受けた対象はバッドステータスの放心・狼狽を受ける。

【リアクション】回避
特技の使用なし。


■初期配置
 PC全員でひとつのエンゲージを構成する。
 そこから5m離れた位置に【屍の軍勢(TMp178)】×4体を同一エンゲージで配置し、さらにそこから10m離れた位置にミストを配置する。但し【屍の軍勢(TMp178)】は2体までしか配置されない場合もある。詳細は演目のシーン14を参照する事。この【屍の軍勢(TMp178)】は追加で下記の特技を獲得している。

 【追加特技】
 《呪詛の一撃》(IZp231)1
 邪毒を選択。このメインプロセスでダメージを与えたら、対象に邪毒1を付与。
 《流血の宴》(TMp95)1
 範囲(選択)・至近の対象に物理攻撃を行う。ダメージ+1D6。ラウンド1回。
 《無慈悲なる一撃》(MMp2237)2
 ダメージ+2D6。
 《屍肉の盾》(TMp93)1
 カバーアップを行う。カバーアップを行っても行動済みにならず、行動済みでも使用できる。実ダメージを5点軽減する。
 《瞬間封鎖》(IZp231)1
 自身のいるエンゲージを封鎖する。イニシアチブで使用。

■戦闘プラン

●セットアップ
ミストの【視界確保】を使用して、ミストの特技の射程を伸ばす。さらに逸脱能力の《欠けていく世界》を使用し、PC達の行動を阻害する。この《欠けていく世界》はストのHPが50以下になったタイミングで再度使用する。

●ミスト
最初のイニシアチブで逸脱能力《瞬速行動》を使用してメインプロセスを行う。最初の行動では【脆弱性の指摘】を使用して、PC達の全防御修正を-6する。初期配置では射程が足りないので、マイナーアクションの戦闘移動で近づくといいだろう。

2回目以降のメインプロセスでは【台風予測】で攻撃する。命中した場合はバッドステータスの狼狽・放心を与える。特技の《死の叡智》(IZp116)の効果で、バッドステータスを与えるほどダメージが増える。

【屍の軍勢(TMp178)】が攻撃する際も《死の叡智》(IZp116)を使用してダメージを上げる。逆に【屍の軍勢(TMp178)】が攻撃されるときは《警鐘の音色》(IZp116)を使用してダメージを2D6+3点軽減する。但し《警鐘の音色》(IZp116)はラウンド1回なので、その点は注意すること。

【屍の軍勢(TMp178)】が倒された場合は、逸脱能力の《偽りの不死》を使用すること。これは自身には使用してはならない。

ミストのHPが50以下になったら逸脱能力《欠けていく世界》をもう一度使用する。

●【屍の軍勢(TMp178)】(モブ)
基本的にPCに近づいて攻撃するだけ。どのPCに攻撃するかはランダムに決定する事。攻撃する際はマイナーアクションで《呪詛の一撃》(IZp231)を、メジャーアクションで《流血の宴》(TMp95)を使用して範囲(選択)に攻撃する。この攻撃で1点でもダメージを与えた場合は邪毒1を与える。具体的な使用特技やダメージは下記に記載する。

【屍の攻撃】
《無慈悲なる一撃》(MMp237)2 + 《呪詛の一撃》(IZp231)1 + 《流血の宴》(TMp95)1 + 《連携攻撃》(IZp232)1 + 《死の叡智》(IZp116)3
タイミング:マイナー+メジャー+常時+オート+ダメージロール
判定値:8 難易度:対決
対象:範囲(選択) 射程:至近
攻撃力:〈刺〉5D6+7+[対象が受けているバッドステータスの数×3]
解説:屍の軍勢が本能のままに襲い来る攻撃。《連携攻撃》(IZp232)は同一エンゲージに仲間がいないと使えないので、このエネミーが単体だった場合は、ダメージが-1D6される。この攻撃で1点でもダメージを与えたなら、ダメージを受けた対象はバッドステータスの邪毒1を受ける。


●最後に
本文書の著作権は、著者であるまぁくに帰属します。
私的かつ非商業目的で使用する場合を除き、事前に著者の書面又は口頭による許諾なく無断で、複製、公衆送信、改変、切除、ウェブサイトへの転載等の行為は著作権法により禁止されています。
身内で、コンベンションで、楽しんで頂く分には、何ら問題ありません。二次利用(リプレイ、動画等)も同様です。
【要約:このシナリオを勝手に販売したり、別のサイトや動画、SNSで公開しないでください。販売したり公開したりしたい場合はまぁくに許可を取ってください。許可を取っていただければ何も問題ありません。】

TRPG[モノトーンミュージアム]は有限会社「ファーイースト・アミューズメント・リサーチ」及び「すがのたすく」の著作物です。

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TRPG同人サークル「野菜農園」に所属しています。主に「モノトーン・ミュージアムRPG」のシナリオを作成してます。Pixivにも投稿しています。 Twitter → @bJHbwZR2YDFrnL7

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