2024年10月11日更新

インセイン『いわくつきのカメラ』

  • 難易度:★★★★|
  • 人数:4人~4人|
  • プレイ時間:4~5時間(テキストセッション)

 ある日、心霊特番の撮影に呼ばれることになった芸能人であるPC達。舞台は山中にある古びた旅館『風月荘』。そこでは最近SNSを騒がせる『首なし幽霊』が出ると噂されていた。オープニングを撮り終え、渡された自撮り用のカメラと、いわくつきのカメラ。それらと一緒に、表立って何事もなく一夜を明かした翌日。今のところ取れ高のない撮影は二日目に入っていました。今日と明日。撮影期間残す二日で、PC達はきちんと取れ高をあげることが出来るのでしょうか?
※一部、経験者向けのPCハンドアウトがあります。都度、調整してください。
※きちんとクリアすればほっこり、ダメならホラーになる感じだと思います。

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ストック

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●インセイン『いわくつきのカメラ』

 

●概要

 ・推奨人数:4人 ※PC1は経験者さん推奨です。
 ・サイクル数:3
 ・シナリオタイプ:協力型 ※シナリオタイプを言わない、もしくは『特殊型』と言うと難易度が上がります。
 ・ワールドセッティング:「本当は怖い現代日本」

 幽霊が、フィルムカメラが伝えたいこととは…? そして、その思いをPC達は成就させることが出来るのだろうか。
 

●トレーラー

 ある日、心霊特番の撮影に呼ばれることになったPC達。舞台は山中にある古びた旅館『風月荘』。そこでは最近SNSを騒がせる『首なし幽霊』が出ると噂されていた。オープニングを撮り終え、渡された自撮り用のカメラと、いわくつきのカメラ。それらと一緒に、表立って何事もなく一夜を明かした翌日。今のところ取れ高のない撮影は二日目に入っていました。今日と明日。撮影期間残す二日で、PC達はきちんと取れ高をあげることが出来るのでしょうか?
 

● adobe PDF

インセイン『いわくつきのカメラ』
※インセイン、特にハンドアウトなどはこちらの方が見やすいかもしれません。
※オフセの時に活用してください。
 

●導入

 「はい! それじゃあ、オープニングの撮影、はじめまーす! 3,2,1…」
 「『恐怖! 心霊体験! あの噂って本当なの? 徹底検証SP!』」
 都心から少し離れた山の中に建つ旅館『風月荘』。日も落ち切ったそこには、撮影機材を持った人々と、数人の芸能人たちがいた。彼らが今回撮影するのは、先ほど番組の進行役である『夜空乃あかり』が告げた心霊特番。
 「それでは早速、今回の検証に付き合ってくれる方々を紹介します!」
 そこでPC達がフェードインし、自己紹介をする。放送では簡単なプロフィールがVTRで紹介されることになっていた。
 テンポよく撮影は進み、いよいよ旅館『風月荘』の紹介に入る。
 「皆さんご存じでしょうか? 最近SNSではやっている、この噂…」
 持っていたテロップのマスキングを夜空乃あかりが取る。
 「じゃん! 『首なし幽霊』!」
 なんでも一人の若い男性がネットにあげた一枚の心霊写真から始まった噂らしい。
 「ただの写真なら『合成乙』って感じで、ここまでバズって無いんです。問題はこの写真を投稿した男性が、翌日に心不全。つまり不審死したんですよねー。それでネットが騒いだ…と」
 放送時間はゴールデン。重くなり過ぎないように注意しながら夜空乃あかりが進めていく。
 「そしてなんと、この風月荘。この写真が撮られた場所らしいんです!」
 すかさずカメラマンが旅館全体を撮る。木造で趣のある旅館も、今の噂と夜であることを考えれば不気味に映る。その間にスタッフが箱を彼女に渡す。カメラワークが切り替わったところで、
 「もう一つ。今回番組が総力を挙げて手に入れたのが…こちら!」
 夜空乃あかりが箱を開けるとそこにはカメラが入っていた。
 「皆さんこれ、なんだかわかります? 実はこれ、例の男性が使っていたカメラなんです!」
 嘘か本当か、噂の心霊写真をこのカメラで撮ったのだという。示されたカンペを読み上げる。
 「早速、一枚撮ってみましょうか! はい、皆さん笑顔、笑顔!」
 パシャリ。
 旅館を背に集合写真を撮る。フィルムカメラのようで、フィルムの残数が残りわずかになっている。一方、撮った写真を画像で確認でき、その記録はSDカードにも保存可能で、放送日にはそのデータが使われることになっていた。
 「ちょっと変わったフィルムカメラみたいですね…。あとで皆さんで撮った写真を確認しましょう! それじゃあ、そろそろ、検証に行きましょうか。首なし幽霊の噂…徹底的に検証してみせます! お楽しみに! 『恐怖! 心霊体験! あの噂って本当なの? 徹底検証SP!』…スタート!!」
 「…オープニング、OKです!」
 ディレクターの声がかかる。ここから撮影は館内に移る予定だ。
 「それじゃあ、これ、お願いします。大人数での宿泊は難しいって言われたから、自撮り用のカメラを渡しておきます。お風呂とかトイレ以外ではなるべく回しておいてください。当日は使えそうなところを編集して放送する予定です」
 そう言って渡された自撮り用のカメラ。
 「これは…とりあえずPC1さんに。何か、あれば、いいんですが…。フィルムの残数も無いみたいですし、撮影のタイミングはこちらで指示しますね」
 PC1にはオープニングで紹介されていた、いわくつきのカメラが渡される。こうして特番の撮影が本格的に始まる。
 しかし予想通り、とも予想に反してとも言えるように。撮影1日目の夜は何事もなく過ぎて行った。
 

●シーン表

2  旅館に近いお墓。なんとなく誰かがいるような気がして落ち着かない。
3  旅館近くの森。時期によっては松ぼっくりやキノコ、時々、動物とも出会える。
4  旅館の前にある駐車場。少なくとも15台は駐車できる。近くには温泉客用に第2駐車場もある。
5  手入れされた前庭。中庭には劣るものの、背の低い常緑樹を中心としていい雰囲気を出している。
6  板張りの廊下。歩くとキシキシ音がする。ガラスの向こうには縁側と、中庭が見える。
7  入り口にあるフロント兼、居間。高そうなソファが並ぶ。受付待ちや風呂上がりの人がくつろげる。
8  客室。畳の香りがする。旬に合わせて作られる食事も、ここで食べる。窓からは山や森が見える。
9  2階の廊下。上から見る中庭は、また違った美しさを伝えてくる。
10  手入れされた中庭。飛び石を踏めば歩くことが出来る。小さな池には錦鯉が泳ぐ。
11  天然温泉。声がよく響く。シャンプー・コンディショナー・ボディーソープなどはきちんと完備。
12  露天風呂。季節によって色を変える木々を一望できる。
 

ハンドアウト

※後述
 

●出来事・イベント

○クライマックス突入条件
 ・しかるべき時、しかるべきことをする。(夜、204号室で骨(白い粉)を皿にのせ、代々伝わる儀式を行なう)
※供物となる骨は全て使う必要はない。そのため、もし間違った方法で儀式をしても、再挑戦可能にしてもよい。
 ・3サイクル目が終わる。
 
○1サイクル目・開始時
 撮影2日目。今日は旅館やその周囲を散策しながら、噂の手がかりを見つけることになっている。
 「皆さん、昨日何かありましたか?」
 夜空乃あかりがあなた達に聞くも、首を振るしかないだろう。
 「とりあえず、昨日撮った写真でも見ましょうか。それと、もう一度、番組とか関係なく自己紹介もしませんか?」
 
 お互いに自己紹介を終え、改めて昨日の写真を確認する。
 「あ、あはは…。何も映ってませんね!」
 カメラの画面で昨日撮った写真を確認するも、何も怪しいところはない。
 ※ゾーキング:写真を見た彼女の表情は青ざめ、何かに気付いている、もしくは何かを隠しているように見える。
 その時、夜空乃あかりの携帯が鳴る。ディレクターから打ち合わせの連絡だった。
 「すみません、それじゃあ私は打ち合わせに行きますね! フロントでするみたいですから、何かあればそちらに」
 自撮り棒を手に、それぞれが噂の検証と番組の成功に向けて動き始めるのだった。
→情報項目『PC1』『PC2』『PC3』『PC4』『いわくつきのカメラ』『代々伝わる儀式』『旅館『風月荘』』『夜空乃あかり』を開示。
→『写真1』をいずれかのPCに表向きで開示。
 
   □『いわくつきのカメラ』を対象とした調査判定に初めて成功した。
   →成功したPCに情報項目『白い粉』を裏向きで開示。
 
   □噂についてもっと知りたい旨の発言があった。など。
   →『首なし幽霊の噂』を開示。
 
○2サイクル目・開始時
 ある程度、個人での調査を終えた夜。カメラマンを入れた番組の撮影が再び始まる。
 「今日は、噂の男性が泊まっていたとされる部屋に、お邪魔したいと思います!」
 あなた達、そして夜空乃あかりをフレームに収めながら進む先は204号室・牡丹の間。その途中で、いわくつきのカメラで中庭を撮影するように指示があり、撮影した。
 
 たどり着いた牡丹の間は、あなた達が泊まっていた客室と変わりない。噂を意識していれば、せいぜい嫌な感じがする程度だろう。それを見たディレクターの指示でカンペが出る。
 「え? あ、オホン。実は今日、この部屋で私たちが一晩過ごすことになってます! 何かあるんでしょうか? 無いんでしょうか? トランプでもしながら、青春するだけの画になるかもしれないですね! 今夜は眠れないぜ!」
 アドリブも交えながら進行する。ページがめくられ、
「ん? 何々…? 寝るときは一人ずつ別の個室で…ってそっちの方が怖くない?! 絶対寝れない!」
 冗談も交えながら204号室の撮影が終わった。
 
 撮影終了後、予定通り204号室に集められたあなた達。すぐに先ほど中庭を撮った写真を確認する。その間も、自撮り用のハンディカメラは回っている。
 「首のない幽霊の噂の始まりの心霊写真が、この中庭を写した物だったらしいんですけど…」
 画面には中庭が写っている。ぱっと見、異変はなさそうだ。
 「――残念、何も写ってません! それより晩ご飯とお風呂、ですよね!」
 またしても取れ高はなさそうだ。お蔵入りの恐怖とも戦いながらPC達の眠れない、かもしれない長い夜が始まる。
→『204号室』の情報を開示。
→『写真2』をいずれかのPCに表向きで開示。
 
○3サイクル目・開始時
 晩御飯、お風呂を済ませ、204号室に再集結したあなた達。風呂上がり特有のいい匂いが、畳の香りと混じり合う。
 「それじゃあ、何して時間を潰しましょうか?」
 カメラをセッティングし直し、座卓に車座になって今後について話そうとしていた時。
パシャリ。
 置いていたいわくつきのカメラが、ひとりでにシャッターを切った。
 誰も触っていなければ、見てもいないそんな状況で。もともと妙な噂があったカメラが起こした不可解な現象に場が凍り付く
→ショック【全員】、NPCのぞく全員が《物音》で恐怖判定。
 「えっと…さすがにちょっと、怖いですね。本格的に眠れない気がしてきました…」
 笑って陽気に場を和ませようとするも、笑顔がひきつる夜空乃あかり。数秒、沈黙が下りたが、
 「――実は昨日…いえ。やっぱり無しですね! さて、何して夜を明かしましょう?」
 先ほどのことなど無かったように、切り替える。この時ばかりは「撮られた写真を確認しよう」とは言わなかった。
 
○3サイクル目・2手番目終了時
 パシャリ。
 フィルムが残っていないはずのカメラから、シャッターが切られた音がする。思わず画面を見てしまうあなた達。画面に映し出されたのは暗闇。
 しかしすぐに異変がある。写真であるにもかかわらず、白い何かが動いている。不思議なことに目が離せない。白い何かは徐々に近づいて来る。まずわかるのはそれが白いワンピースを着た人であること。次に、首のない奇妙な人となりをしていること。胴に乗った頭から生える黒い髪が長いこと。その次に肌が死人のように細く、青白いこと。そして今写っているのは目を閉じ、血管の浮いた顔であること。最後に、その目が恨めしそうに“あなた”を見ているのだった。
→ショック【全員】、NPCのぞく全員がランダムな【怪異】分野で恐怖判定。
 混乱の中わかることは、何かが近づいてきているということだけだった。

●クライマックス

○代々伝わる儀式を行なった。
▶正しい手順、正しい供物(『白い粉』)、正しい場所(『204号室』)で儀式をした。 ※皿は何でもよい。
 PCが順に儀式を進めていく。一応、カメラを回しながら、一行は成り行きを見守っていた。
 そして儀式が発動する。まず訪れた変化は皿の上にあった白い粉と塊が、風のない室内で舞い上がった。
 次にいわくつきのカメラがカタカタと音を立てて震え、シャッターを切る。何度も何度も。
 パシャリと音がするたび画面に映し出されるのは、若い男性と女性が笑い合う姿。場所、季節、時間。どれも関係なく、楽しそうに二人は過ごしていたようだ。どの写真も自然体で、カメラを構える人などいないように見える。二人とともに時間を過ごしてきたそのフィルムカメラが見てきた光景。それを画面に映し出しているかのようだった。しばらくすると、若い男性しか映らなくなる。どれも悲痛な面持ちで、どこか思いつめるような表情。全身黒い服を着て、石に花を供える姿。最後に、すがるような表情でカメラに語りかける姿を映し、カメラは静かになる。そして、いつしか舞い上がった白い粉はぼんやりと女性の形を成していた。
 「あの人のもとへ送ってくれて、ありがとう」
 目の前で起きた不思議な事象。確かに聞こえた声。どれも普通では考えられないものだが、不思議と恐怖は感じない。気づけば少しだけ空いていた部屋の窓。白い粉は吸い込まれるように窓を出て、夜に溶けて行った。
→エンディング1
 
▶手順、供物。場所のいずれかを間違えている。
 PCが順に儀式を進めていく。一応、カメラを回しながら、一行は成り行きを見守っていた。すると突然、お皿に置いた白い粉や塊が消え去る。不可思議な現象に《魔術》で恐怖判定。しかし、それ以上は何も起きない。儀式は失敗に終わるのだった。
→続きからシナリオを再開。もしくはエンディング2。
 
○3サイクル目が終了する。
 パシャリ。またしてもシャッターを切る音が響く。叩いても壊しても、カメラは止まらない。
 画面に映し出されるのは新聞や雑誌の文字。
 『どうしてきいてくれないの? わたしのくびは、こえはどこ?』
 つなぎ合わせると、そう言っていた。そして突如、シャッター音がやみ、静かになる。ふと、声がした。聞き覚えのある声が耳を打つ。
 「「ここにあった」」
 それは紛れもなく、あなたの、あなた達の声だった。
→エンディング2、もしくはバッドエンド表。

●エンディング

○エンディング1
 後日、あなた達が苦労して撮影し、担当によって編集された内容が無事、ゴールデンで放送されていた。司会はもちろん夜空乃あかり。自撮りしていたハンディカメラの映像に映った小さな変化をリプレイで流し、幽霊の存在をにおわせる。そして大トリ。儀式の模様が流れていた。しかし奇妙なことに、映っているのはいわくつきカメラの変調と窓がひとりでに空いたことだけ。あなた達がカメラの画面で見た若い男女の写真や、感謝する女性の声などは見られない。心霊写真も、普通の風景写真でしか無くなっていた。夜空乃あかりも特段、何かを語ることはしなかった。放送後、「あれはやらせだ!」「やっぱりいたんだ!」「風月荘、いいところ!」などネットは大盛り上がり。番組の反響は大きくあなた達にも仕事のオファーが多数寄せられることになった。結局あの日、あなた達が見たこと、体験したことは心霊現象に過ぎないのかも知れない。なんとなくわかるのは、あのままだといずれ、“不審死”を遂げていたことだろう。しかし、その現象が伝えようとしていた想い、言葉を知った時。ただの心霊現象は奇跡と呼べるものになる。あの日、確かに聞いた感謝の言葉。それは、あなた達が見たものが奇跡であることを証明するものだった。
 
 パシャリ。いつかどこかで。カメラがひとりでに、シャッターを切る音がする。
 そうして撮られた写真には、色とりどりの花畑で楽しそうに笑い合う、若い男女が写っていた。
 
○エンディング2
 後日確認してみれば、撮れていたはずの心霊写真はただの風景写真になっていて、それ以外にもこれといった取れ高もない。結局、番組はお蔵入り。差し替えで世界の仰天映像が流れていた。それをあなたは病院のベッドで見ている。
 あの日、最後に聞いた自分たちの声。それを最後に、あなた達は声が出なくなっていた。原因は不明。もちろん芸能活動は中止。あの日の撮影を機に活動できなくなったあなた達が、今度はネットで噂されていた。いわくつきのカメラも紛失。ディレクターに怒られもした。声を出すリハビリを終え、夜。
 寝静まった病室内。
 
 パシャリ。
 シャッターを切る音がする。
 画面に移っているのは真っ暗な暗闇。その中で青白い顔の女性が声をあげて笑っている。その女性が画面に近づくにつれ、カメラから声が漏れてくる。いくつもの声が重なって笑うその声は最後に、
 「「次は、その首、もらうね」」
 画面に向けて笑い続けるのだった。
 

PCハンドアウト

★PC1
・表
 あなたは芸人だ。今回ロケのために訪れた旅館『風月荘』でおかしな写真が撮られたらしく、その検証のために普通のハンディカメラと【プライズ】〈いわくつきのカメラ〉を渡されている。最低限の取れ高はあげて見せる。
 あなたの【使命】は心霊写真を撮ることだ。
・裏 
ショック/【全員】
 心霊特番といえば霊はもちろん、演者の怖がる姿も取れ高になる。このカメラや状況をうまく使って、できる限り演者を怖がらせ、取れ高をあげなければ。
 あなたの【本当の使命】はロケ終了時、あなたが登場していたシーンで失われた【正気度】があなたを含め合計12点以上であったことだ。
 
★PC2
・表
 あなたは映画やドラマに出演する俳優/女優だ。最近SNSを中心に白いワンピースを血で濡らした、首のない霊の写真が出回っている。その撮影者が泊まっていたらしい旅館『風月荘』にロケのために来ていた。
 あなたの【使命】は他のPCと協力して、このロケを盛り上げることだ。
・裏
ショック/なし
 あなたは極度の怖がりだ。事務所に言われ嫌々参加してみれば、なんだあのカメラは。あんな得体の知れないもので撮った写真なら、どれも間違いなく心霊写真になるだろう。あなたが〈いわくつきのカメラ〉と同じシーンに登場した場合、そのシーンの終了時に【正気度】を1点減少させる。
 あなたの【本当の使命】は【正気度】3点以上でロケを終えることだ。
 
★PC3
・表
 あなたは自称・霊が見える系アイドルだ。最近何かと噂の「首のない幽霊」。それを検証する番組の呼ばれたのだった。霊が見えるものとして、番組を盛り上げて見せる。
 あなたの【使命】は他のPCと協力して、このロケを成功させることだ。
・裏
ショック/【全員】
 あなたは確かに霊が見える。しかし、その声を聞きとれるわけではない。彼らが何かを伝えていても、あなたにはそれがわからない。だから、昨夜廊下ですれ違った、あの首のない幽霊が何をしたいのかわからない。それでも彼らの力になってあげたい。
 あなたの【本当の使命】は幽霊を成仏させることだ。
 
★PC4
・表
 あなたは自称・霊能力者だ。今回心霊特番を撮影するにあたり、ロケに同行している。もし実際に出演者に何かあれば、あなたの家に代々伝わる儀式をもって霊を払うことになっている。
 あなたの【使命】は、霊を払うことだ。あなたは『代々伝わる儀式』の【秘密】を獲得している。
・裏
ショック/【PC3】
 あなたにできるのは幽霊に語りかけ、成仏させることだけ。致命的なことに、あなたは幽霊が見えない。そんなあなたが今回ロケに参加した理由。それは大ファンであるPC3が参加しているから。これを機にお近づきになって見せる。あなたの【本当の使命】はPC3と互いにプラスの感情をもってロケを終えることだ。
 

その他ハンドアウト(計10/うち【プライズ】5)

★夜空乃あかり
・表
 あなたはネット動画出身の有名人だ。今回、心霊特番『恐怖! 心霊体験! あの噂って本当なの? 徹底検証SP』のロケ進行役になった。本当に霊がいるかはわからない。それでも、進行役として無事番組を終える必要がある。
 あなたの【使命】は無事特番を撮り終えることだ。
・裏
ショック/【PC2】
 昔から時々、あなたは霊の声が聞こえた。今回もそうした情報が担当Dの耳に入ってキャスティングされたのだろう。この旅館に来て時々聞こえる「あのひとのところへ」という声。霊が見えるわけではないため、その主が誰かはわからない。ひょっとすると、噂の首なしの幽霊なのだろうか…?
 
★いわくつきのカメラ
・表
【プライズ】
 首のないワンピースの幽霊を撮ったとされるフィルムカメラ。撮った写真を画面に写してくれるデジタルとアナログの間にあるタイプのもの。
 「いわくつき」なだけあって、持っていると何となく嫌な感じがする。このプライズを所持しているPCがシーンプレイヤーのドラマシーン開始時、シーンプレイヤーのPCは【正気度】を1点失う。
・裏
ショック/【全員】
 過去の写真データを確認できた。撮られていたものは、『風月荘』の屋内を写した何気ない物ばかり。しかし、最も新しい写真には血管の浮いた青白い顔をした二つの目がこちらをじっと見つめる写真が写っていた。《情景》で恐怖判定。また、フィルムの芯には白い粉と塊が入っていた。
※GM情報 これにより『白い粉』の情報項目を開示。
 
★代々伝わる儀式
・表
 PC4の家系が代々伝えてきたという悪霊退散の儀式。
 この儀式は『代々伝わる儀式』の【秘密】を獲得しているPCがシーンプレイヤーのドラマシーンに判定を放棄し、《魔術》の判定に成功することで行なうことが出来る。
・裏
ショック/【PC2】
 あくまで霊を成仏させるための儀式。
 時刻は夜。供物は幽霊に直接関係のある品。それを皿に乗せ、呪文を3度、唱える。こうすることで、供物と儀式を行なった場所両方に縁のある幽霊が満足して成仏すると伝わっている。なお、失敗すると供物が消滅のみで、何も起きないらしい。
 
★旅館『風月荘』
・表
 心霊特番のロケ地。SNSを中心に広がる首なし幽霊が撮影されたと思われる場所。木造2階建て。効能あふれる天然温泉でも有名で、慰安場所として知る人ぞ知る旅館でもある。都心から少し離れた山中にあることと、車で5分ほど行った場所にお墓があることが玉に瑕。
・裏
ショック/なし
 ネット記事や従業員たちが投稿者と思われる若い男性のことを教えてくれる。常連で毎年彼女と来ていたが今年は一人で来ていたようだ。懐かしむようにカメラでいろんな場所を撮っていたらしい。宿泊最終日の前夜、「あいつが呼んでるから行くよ」と言い残し、部屋に戻った翌朝、死亡したその男性が発見された。
 
★204号室
・表
 204号室『牡丹の間』。投稿者の男性の遺体が発見された場所でもあった。SNSで首のない幽霊の噂が出始めた頃から人気の部屋。ここに来れば必ず霊に会えると言われている。
・裏
ショック/なし
 従業員の話によれば、宿泊するときは必ずこの部屋に泊まっていたのだとか。彼女と思われる女性と仲睦まじく宿泊する姿がよく見られていた。二人の思い出が詰まった場所。
 
★首なし幽霊の噂
・表
 きっかけは「今日、傷心を癒すために行った旅館で心霊写真とれた。一層傷心」という一言ともに上がった一枚の写真。中庭が見える縁側。その下から青白い顔がのぞいているものだったという。その投稿者が不審死したことで投稿が拡散され、合成写真やパロディが次々と生まれている。
・裏
ショック/なし
 ネットではほとんど触れられていないが、その写真に写っている人物が「傷心」の理由、亡き妻に似ているのだとか。その後の投稿には「それでも、これのおかげでずっと一緒」という内容と〈いわくつきのカメラ〉、外されたフィルムが写っていた。「あいつが呼んでる!」という投稿を最後に更新は止まっている。
 
★白い粉
・表
【プライズ】
〈いわくつきのカメラ〉に入っていた白い粉。その粉の発生源と思われるいくつかの砕けた塊がある。元に戻す(このプライズの【秘密】の調査判定)には《整理》の技能を用いなければならない。
・裏
ショック/【全員】
 復元してみれば、それは火葬された人の骨だった。それも、最も最後に収められるはずの部位「のどぼとけ」。送られる死者の本体ともいえるその部位がなぜ、カメラに収められていたのだろう…。そして一体誰のものだろう?
 
★写真1
・表
【プライズ】
 〈いわくつきのカメラ〉を使用してオープニングで撮られた1枚。演者とと一緒に旅館の外観が写っている。これによってフィルム残数が“2”になる。このプライズを所持しているPCは自分がシーンプレイヤーのドラマシーンでこのプライズの【秘密】を獲得できる。
・裏
ショック/【全員】
 写真をよく見れば写っている演者の肩、そこから青白い顔のような物が突き出ている。加工できる暇も、人物もいない。まさしく本物が取れてしまっていた。
 
★写真2
・表
【プライズ】
 〈いわくつきのカメラ〉を使用して撮られた写真。旅館の隠れた名物である手入れされた中庭が写っている。これによってフィルム残数が“1”になる。このプライズを所持しているPCは自分がシーンプレイヤーのドラマシーンでこのプライズの【秘密】を獲得できる。
・裏
ショック/【全員】
 写真に写る中庭。その縁側から人影が腰あたりまで這い出ている。しかし実際にはそんな人物などいなかった。加工できる暇も、人物もいない。まさしく本物が取れてしまっていた。
 
★写真3
・表
【プライズ】
 〈いわくつきのカメラ〉が写した最後の写真。それは何も映っていない、ただただ暗く、黒い写真だった。このプライズを所持しているPCは自分がシーンプレイヤーのドラマシーンでこのプライズの【秘密】を獲得できる。
・裏
ショック/【全員】
 その写真のデータを確認していると、黒い画面に突如、白いワンピースを着た女性が浮かび上がる。顔は髪で見えないが、のぞく腕や足は死人のように青白い。首のない頭は胴に引っ付き、生物的に異常なその様が嫌悪感を与えてくる。《驚き》で恐怖判定。

●おまけ

○背景ストーリー
 あるところにカメラが趣味の若い男性がいました。風景写真が好きな彼は、日本のいろんな場所を巡っては写真を撮っていました。あるとき男性はアンティークショップで見つけた、変わったフィルムカメラに一目ぼれします。衝動買いしたそれを持って何を撮ろうか? うきうきが止まらずファインダーをのぞいていた彼が見たのは、何気ない日常風景にすら色を与えてくれる人。長く、黒い髪が似合う女性。カメラ越しに出会った二人はしばらくして、恋人になっていました。
 彼が最初に彼女を連れて行った場所。それは、山と温泉と、中庭が美しい旅館でした。彼女もそれを気に入って、いつしか毎年通うようになっていました。暑い日も寒い日も、雨や雪が降っていても、二人でいればそれでいい。それが最高に幸せでした。そして二人の間にはいつも、カメラがありました。
 幸せが終わりを告げました。彼女が死んでしまったのです。不幸な事故でした。
 若い男は泣きました。たくさん泣いて、考えました。どうしたらずっと彼女と一緒にいられるだろう? 悲しみに暮れて、沈んで。そこで彼は思いついたのです。骨の中で一番大切な、死者の本体。のどぼとけだと。それさえあれば彼女はずっとこの世にいる。ずっと一緒だと。目を盗んで骨壺から取り出し、お互いを結んでくれたカメラに入れて。時間を切り取る写真のように。ずっと幸せだと。でも男性は心の奥で知っていました。これではだめだと。彼女が悲しむと。それでも一緒にいたい。心と体が食い違って、ストレス。時間が経つにつれ、彼女の不在を実感する。ストレス。彼女を思い出せなくなる。ストレス。毎年の墓参りを終えて泊まった旅館。よく二人で来たあの旅館。もう一緒じゃない。ストレス。ふと彼女が写った気がした。自嘲気味にネットにあげると、案の定、一笑に付されてしまいます。ストレス、ストレス、ストレス…。こうして心労がかさんだ彼の心は、動きを止めました。ずっと一緒だった、幸せを分け合ってきたカメラを置いて。大切なものをフィルムの中に残して。
 
 女性は幸せでした。たとえ首が無くても。幽霊として醜くても、彼のひらめきで、大好きなカメラと一緒に、ずっと彼のそばにいられることになったのです。しかし、しばらくして、彼が苦しんでいることに気付きました。助けてあげたい。声をかけてあげたい。その願いが届いたのか、レンズを通して彼女が写るようになりました。これで想いが届く! そんな時、彼がささやきかけるのです。彼女に――カメラに向かって。「今から、会いに行くから」。そうして彼は動かなくなりました。
 彼女を“こちら”に置いて、彼は“向こう”に行ってしまったのです。もう誰も、彼女の姿が見えない。聞こえない。あきらめかけた彼女に訪れた最後のチャンス。声を聞き、姿を視認し、そして彼女――カメラを使う人たちが現れたのです。「私を彼のもとへ。あの人の所へ!」何度も、何度も叫びました。「聞こえる人」へ「視える人へ」。カメラを使う、その人へ――。
 
▶彼らのおかげで、二人は再び、会うことが出来ました。色とりどりの綺麗な花が咲くお花畑。楽しく笑い合う二人の姿を、大好きなカメラは優しく見守るのでした。
▶願いも、思いも叶わない。絶望が彼女を変質させます。もう誰も、私を救ってはくれないのだろう。ならばいっそ、他人にも同じ不幸を見せてやる! この苦しみと想い、お前たちも知ればいい! そんな彼女の嘆きと想いを。誰かに届けるために。カメラは今日もシャッターを切る。いつか二人が再会できる日を願って。
 
○メモ
 ・PC1は慣れた人。
 ・救済措置として、幽霊をエネミーで登場。撃退のルートもあり?
 ・いわくつきのカメラで撮影しようとする→なぜか取れない。壊れている…?
・徐々に近づく女性の恐怖を頭→腰→全身→顔と「写真」で演出。
・カメラを壊した時は『白い粉』を全員に開示…?
 ・『首なし幽霊の噂』は最初から出してもいい?
 ・首(のど)無くても声でる? ←方法はある。 ←幽霊だからで済ますのが良い?
 ・「血で濡らした」は恐怖をあおるデマ。 
 

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ご覧いただいて、ありがとうございます。 見てみた・プレイしてみた感想や誤字脱字の報告を頂けると幸いです。 たまにシナリオに手を加えることがあります。 言葉足らずで不明なところは気軽に質問してください。 adobe のPDFは、見るだけは可能だと思います。もし不都合があれば教えてください。別のアップ方法を調べてみます。   ストックありがとうございます。それを励みにシナリオを作成していけたらと思います。

https://www.pixiv.net/users/60483311

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