・推奨人数は1人～。推奨職業は「私立探偵」（新CoCルールブックP.39）
・推奨技能は〈目星〉〈ほかの言語：フランス語〉
・タイプ：オープンシナリオ
本シナリオは、宇宙的な呪い師によって翻弄される二人の高校生男女の話です。探索者は行方不明になった女子高生を探す過程で、彼女の死とその理由を知ることになります。恋人を失い錯乱する彼氏に協力して女子高生を生き返らせるのか、それとも彼氏の凶行を止めるのか、選択することになると思います。生き返った人の魂は、本当に生前のその人のものなのか？ がテーマです。
・推奨人数は1人～。推奨職業は「私立探偵」（新CoCルールブックP.39）
・推奨技能は〈目星〉〈ほかの言語：フランス語〉
・シナリオタイプ：オープンシナリオ
本シナリオは、宇宙的な呪い師によって翻弄される二人の高校生男女の話です。探索者は行方不明になった女子高生を探す過程で、彼女の死とその理由を知ることになります。恋人を失い錯乱する彼氏に協力して女子高生を生き返らせるのか、それとも彼氏の凶行を止めるのか、選択することになると思います。生き返った人の魂は、本当に生前のその人のものなのか？ がテーマです。
※時間経過があります。
※都市ひとつですが、自由度の高いシティオープン型のシナリオです。恐らく想定通りには進まないいので、都度、柔軟に対応してください。
※シナリオ背景は最後に書いてあります。
気温も湿度もまだまだ高い、夏の終わり。多くの学校が始業式を迎える9月1日（水）の朝。
一人の女子高生、終乃静音（おわりの しずね）が行方不明になった。家族は警察よりも先に、私立探偵として知る人ぞ知る探索者に捜索を依頼することにした。
そうしてあなたは事情を聴くために、終乃邸がある素晴市（すばらし）を訪れることになるのだった。
「本日は遠いところからわざわざありがとうございます」
9月3日（金）の夜。見るからに高級住宅だと分かる終乃邸。お茶を出しながら行方不明になった静音の両親、隆（たかし）とキヨがあなたを迎える。
事前調査で、終乃家は代々周辺の土地を管理する地主の家系であることがわかっている。静音はご令嬢、ということになるだろう。
「誘拐かと思いましたが、それなら犯人からの連絡があるはずです。考えにくいですが、家出、かもしれません」
父親である隆が現状を冷静に分析する。
「そんなわけないでしょ？！」
対する妻・キヨはヒステリックに叫ぶ。
「なんてことかしら…。由緒ある終乃家で、娘が家出なんて。恥ずかしくてご近所さんに顔向けできないわ！」
「落ち着け、キヨ。すみません、みなさん」
と隆はあなたに頭を下げる。どうやら世間体を気にして、警察ではなくあなたに依頼したようだ。
「どうか娘の居場所を突き止め、可能なら連れ戻していただけないでしょうか？ もちろん、事件性があれば、警察に連絡しようと思います」
彼らの依頼を受け、あなたはいなくなった終乃静音の行方を捜索することになるのだった。
※探索者が負う、明確な目的は「終乃静音の居場所を発見し、両親のもとに届けること」です。
※探索者が何もしなければこの予定通りに進む。
8月31日（火）…夜、終乃静音が『生命の譲渡』を行ない、死亡。影山樹（かげやま いつき）が遺体を発見。公園に保存。
9月1日…両親、終乃静音の行方不明を知り、捜索。
〃月2日…影山樹、呪い師に終乃静音を蘇生させる方法を聞く。
〃月3日…両親が探索者に捜索と情報収集を依頼。RPを開始。
〃月5日…昼。影山樹、呪い師に死霊術について聞く。
〃月8日…影山樹、終乃静音がいじめられていたことを知る。生贄として彼女らを使うことを決意。
〃月10日…影山樹、いじめていた4人に接触、自宅に監禁。
〃月12日…影山樹、『目覚めの雫』の儀式を敢行。4人の命を犠牲に、終乃静音が復活。
〃月13日（月）…両親、終乃静音を発見。事件終了。
※影山樹がクーラーボックスを弄っているところに探索者が話しかけた時点で、彼は終乃静音がいじめられていたことを知っていることになる。
※9月5日以降、『屍食教典儀』の一部を目にした影山樹は精神が衰弱し、錯乱状態になる。
『1.公園に隠された終乃静音の遺体を発見し、通報』
『2.遺体を保存する影山樹を説得し、終乃静音を弔う。』
『3.錯乱する影山樹と戦闘し、正気に戻す』
『4.影山樹に協力し、終乃静音を復活させる』
『5.9月13日を迎え、無事、終乃静音が発見される。』
『EX.9月5日までに呪い師が影山樹に会えない状態を作り出す』ほか。
参考は『屍食教典儀』（新ルールブックP.224）内の《復活》（〃P.254）。そのバリエーションとする。コストは30マジックポイントと1d10の正気度ポイント。
全身揃った死体を用意し、呪文を唱えることで死んだ人間の身体と魂を再構成するもの。魔法陣を描き、その内部にいる者の【CON】を10捧げるごとに成功率を（1％、最大99％）上げられる。成功すると、完全な死者蘇生。失敗すると儀式に参加した者全ての生命力が吸われ、死に至る。死者の復活という大きな力には、死という相応の大きなリスクがある。今回探索者が何もしなければ、終乃静音の恋人・影山樹が、彼女をいじめていた生徒のマジックポイントと【CON】すべてを儀式につぎ込んで成功させようとする。シナリオ内では『死霊術』という名前でも登場する。
【STR】45【CON】45【SIZ】50【DEX】50【APP】60【EDU】60【INT】45【POW】40
【幸運】25【耐久力】9（db：なし）【ビルド】0
〈オカルト〉50〈聞き耳〉50〈図書館〉40〈ほかの言語：英語〉30…
【STR】65【CON】55【SIZ】70【DEX】35【APP】55【EDU】60【INT】60【POW】50
【幸運】30【耐久力】12（db：+1d4）【ビルド】1
〈※クトゥルフ神話〉5〈近接戦闘（柔道）〉30〈水泳〉40〈他の言語：英語〉25…
※適切と思われる神話生物などのデータを使用してください。
※基本的に、呪い師に戦闘を挑むと探索者は敗北→宇宙的なバッドエンドを想定しています。
・今回依頼があった終乃邸がある地方の中規模都市。駅前には商店街やショッピングモール、警察署、さらに少し行くと学校や住宅地、市民体育館や市民図書館がある。（※終乃静音が通う『私立美桜学園』もこのあたりにある）郊外には大きな川と橋が架かっていて、散歩やジョギングのコースとしてよく使われている。ただし、いわゆるホームレスの人々が何人か、住んでいることが玉に瑕。
・素晴市のはずれにある2階建ての広い一軒家。家主である終乃隆、キヨ、静音の三人で暮らしている。（※2階の角にある静音の部屋以外に、部屋を探索する意味はない）
○（※9月3日～）
事件当日について両親に聞くと、窓が開いていたことを教えてくれる。誘拐などを用心して窓を閉めて寝るよう、幼い頃から言いつけていたため、何か理由があるかもしれない、とのことだった。
○（※9月3日～）
両親に対して対人関係技能（〈魅惑〉〈言いくるめ〉〈威圧〉〈説得〉）を試みる、もしくは母親・キヨに対して〈精神分析〉を試みて成功した場合、娘・静音が遺書を残していなくなったことを告白する。彼らが世間体を気にする一番の要因が明かされることになる。それを探索者に明かした彼らは、静音の部屋にある鍵のかかった中段の引き出しを開けるための『引き出しの鍵』を渡してくれる。
▶静音の部屋
・モノクロトーンで整えられた室内は整頓されていて、争った形跡も、荒らされた形跡もない。備品としてベッド、タンス、クローゼット、化粧台、勉強机がある。窓は網戸で、外から時折風が吹き込む。
○（※9月3日～）
化粧台の上にある月捲りのカレンダーは8月のままになっている。25日と最終日である31日に星型のシールが貼られていた。探索者が過去の月も確認した場合、過去にも隔週の間隔で、シールが貼られていた日があることがわかる。（※シールが貼られた日は彼氏である影山樹と会う約束をしていた日）
○（※9月3日～）
部屋全体に〈目星〉を行なうと、化粧台の下に何か落ちていることがわかる。取り出してみれば、腹部に奇妙な模様が描かれたナイフが刺さったテルテル坊主のような人形であると分かる。ナイフの模様は見ていると蛇のようにグリップの上を動き回って見える。そんなわけないと否定するほど、激しく動いているような、異様な感覚に襲われる（※SC1/1d3）。（※これは終乃静音が作った呪いの人形。中には彼女をいじめていた女生徒たち複数人の髪の毛がびっしりと詰まっている。これを見た探索者はSC1/1d2）
○（※9月3日～）
勉強机の棚には教科書が並び、横には通学用のカバンがかけられている。カバンに書かれた学校名は『私立美桜学園』。また、引き出しが上中下段3つある。
上段には文房具や新品のノートが入っている。
下段には授業でもらった資料やレジュメを丁寧に閉じたファイルが所狭しに並ぶ。下段のファイルを全てどけると、お土産のお菓子が入っていたと思われる瀟洒な缶ケースがあることがわかる。中には小さなマスコットやネックレスとともに日記が入っていた。（※日記以外は彼氏である影山樹からもらったもの）日記の内容を全て読むには、1時間程度かかる。序盤は学校生活について、中盤には学校で受けているいじめの始まり、終盤にはいじめがエスカレートしていく様が書かれている。（※【INT】に成功すると、その様をありありと想像できてしまうためSC0/1を行なう。）日記を最後まで読めば、家族になかなか相談できず、いじめに立ち向かえない終乃静音の苦悩が、商店街で出会った「呪い師さん」によって解消されたことがわかる。手法などは書かれていないが、どうやら、いじめに対抗するために夏休みに“何か”を作っていたようだ。（※作っていたのは呪いの人形）。
中段の引き出しには鍵がかかっている。（※鍵は両親が持っている）中には「遺書」と説かれた封筒が入っており、中には「もしもの時のために、遺書を残しておきます」と書かれた紙と、もう一枚、『人形の作り方』と書かれた紙が入っている。
▶人形の作り方
※これは呪い師が終乃静音に渡したもの。実際の効果は、髪の毛で作り上げた人形を用意。呪文を書いた刃物突き刺した人の寿命を、呪文を書いた人に譲渡する『生命の譲渡』という儀式。これを行なったため、呪い師に騙され、寿命を捧げることになった終乃静音は死亡した。
・人形には布と、髪の毛が必要なようだ。髪の毛を布に入れて人形を作り、人に見立てる。それを自身の髪で縛り。そこに刃物を突き刺すことで中に入れた髪の毛の持ち主を呪うことが出来るという、一種のおまじないの方法が書かれた紙。裏には奇妙な模様が書かれており、見ていると蛇のように紙の上を動き回って見える。そんなわけないと否定するほど、激しく動いているような、異様な感覚に襲われる（※SC1/1d3）。筆跡などを調べれば作り方を書いた人は、終乃静音ではないと分かる。（※書いたのは呪い師）
※警察署での情報収集は探索者の職業や信頼によって大きく左右される。探偵含め、おおよその一般人は彼らから情報を聞き出すことはできないが、例えば職業が警察官・警部であったり、対人関係技能に優れていたりする場合は警察官とはいえ人間。うっかり口を滑らせることも考えられる。もし探索者が警察署で情報収集を行える場合、KPがシナリオ進行の助けとなるような情報を任意で与える。
※〈コンピューター〉や〈目星〉を使用してSNSなどネットで終乃静音について調べ、成功すると、彼女のアカウントを発見することが出来る。フォロワーは100人ほど。投稿されていた写真の多くは、花や野良猫、空などきれいな自然を写したものが多い。（※いじめられているため、美桜学園に入ってからは誰かと写っている写真は無い。また、彼氏・影山樹との写真も、両親に見つかる可能性があるためアップしていない）コメント欄を確認してみると、彼女の意見に賛同したり、容姿・写真を褒めたりするものが多い。しかし、時折、彼女の実名や彼氏がいるかもしれないという噂、家がお金持ちなど、親しい人・特定の人しか知らない情報がさらされていることもわかる。
・素晴市の主要駅から歩いて10分ほどの距離にある私立の学校。終乃静音が通う学校でもある。日曜日は休み。
※学校内部に入るには社会的立場を利用し、〈信用〉のロールに成功する必要がある。学校内部で情報収集を行なう場合、探索者は生徒や教員の信頼を得られるため、あらゆるロールにボーナスダイス一つを得る。
○（※9月3日～）（※日曜日以外）
学園の生徒に終乃静音に関することを聞いて対人関係技能によるロールを成功させると、2つの噂を聞き出すことが出来る。1つ目は終乃静音には『影山樹』という彼氏がいるという噂。2つ目は終乃静音が学校でいじめを受けていたかもしれないというもの。
○（※9月3日～）（※日曜日以外）
もし探索者が生徒に「何か変わったことがなかったか」など、曖昧な質問をした場合、生徒は「そういえば最近、何人かの女子生徒の髪が切られる事件があった」と話す。（※犯人は終乃静音。被害者は彼女をいじめていた4人。終乃静音は呪い師に「呪いたい相手の髪を入れてナイフで刺せば、相手が不幸になる」と嘘をつかれていた）
▶いじめについて
・（※9月3日～）（※日曜日以外）
いじめについて聞くと、入学から数か月後。4人の女子生徒グループによって唐突に始まったいじめ。同じクラスの何人かは薄々感づいていたが、見て見ぬふりをするしか無かったという。いじめをしていたグループを特定し、会うためにはさらに学園の生徒に対する対人関係技能にハード成功して話しにくい内容をどうにか話させる必要がある。探索者に糾弾された彼女らは反省し、謝罪する。しかし、終乃静音の行方について、彼女らは知らない。
▶影山樹について
※終乃静音の幼馴染の男子生徒。友人は少ないため、彼に直接会うには日曜日以外に【幸運】もしくは〈目星〉のロールに成功する必要がある。（※9月5日までは学校が終わると蘇生方法を探して図書館へ。閉館時間である18時まで滞在し、帰宅。その後9月10日までであれば21時30分にショッピングモールへ向かい氷を購入。公園に埋めた終乃静音の遺体を保存し、22時過ぎに帰宅する。10日以降は図書館にも、ショッピングモールにも寄らなくなる）
○（※9月3日～8日午前）
探索者が彼に接触した場合、彼は自分が終乃静音と付き合っていること、少し前から彼女と連絡が取れなくなっていること、最近、終乃静音が何か悩み事を抱えていたことを話す。彼女から悩みを打ち明けてもらうのを待ち、踏み込まなかったことに後悔しているとも話す彼は、「こちらもできる限り協力するから、何かわかれば教えてほしい」と探索者に協力することを提案する。協力する場合、探索者は影山樹の連絡先と住所を手に入れることが出来る。（※現時点で、影山樹は終乃静音がいじめられていたことを知らない。探索者に協力するのは彼女の悩み＝いじめられていたことを聞き出そうとしているから）
なお、探索者が失踪前に終乃静音に会ったのか聞いた場合、夏祭り（8月25日）に会ってそれ以来だと嘘をつく。（※実際には31日、夜に密会しようと終乃邸を訪れている。そこで彼女の遺体を発見した彼は遺体を持ち去った）もし探索者が、終乃静音がいじめられていたかもしれないことを伝えると、その時点で彼はいじめていた生徒を死霊術の生贄にすることを決意し、いじめていた生徒の捜索を鬼気迫る表情で依頼する。
○（※9月8日午後～10日午前）
上記の内容に加え、彼女がいじめられていたことを話す。そして探索者に、いじめていた女子生徒の捜索を鬼気迫った様子でお願いする。
○（※9月10日午後）
この日、影山樹はいじめていたグループ4人に「静音について話がある」と自宅に呼んで監禁する。もし探索者が生徒に影山樹について聞いた場合、【幸運】に成功すれば、たまたまその姿を見た生徒に接触できる。
・素晴市の主要駅に直結する、全長1キロほどの商店街。大部分がアーケードに覆われており、天候に左右されない買い物ができる。
○（※9月3日～）
商店街で終乃静音について情報収集を行なった場合、探索者は店の主人から話を聞いたり、買い物客の話に〈聞き耳〉を行なったりすることで、商店街のちょっとした有名人・呪い師の話を耳にすることができる。また、夏休みの間、終乃静音が度々、その呪い師の所を訪れていたという話を聞くことが出来る。呪い師に会えるかは【幸運】もしくは〈目星〉のロールに成功する必要がある。
○（※9月4日～）
【幸運】と〈聞き耳〉を組み合わせたロールに成功するか、影山樹について買い物客などに聞くと、9月2日に彼が呪い師のもとを訪れていたという情報を得ることが出来る。（※この時、影山樹は呪い師に死霊術に関して聞いている。呪い師は日曜日もう一度、訪れてほしいと告げ、それまで市民図書館で情報を集めることを勧める）
▶呪い師について
・商店街に時々出没する、謎の老婆。占いがよく当たることで有名。また、奇妙なおまじないを知っていることでも有名で、願掛けをお願いする学生の姿が、買い物客たちによく目にされていた。呪い師に会えるかは【幸運】もしくは〈目星〉のロールに成功する必要がある。
○（※9月3日～）
呪い師は終乃静音との接点を素直に認める。彼女の悩み相談に付き合っていたと、会っていた理由について話す。相談内容は「個人情報だから」と言って明かさない。もし探索者が終乃邸にあった人形やナイフ、呪いの手法が書かれた紙などを彼女に突きつけた場合、「知らない」と嘘をつく。
○（※9月3日～）
夜。店じまいを終えた彼女に対して〈追跡〉ロールを成功させると、彼女の家が河原にあるブルーテントの一つであると分かる。彼女はそこで、いわゆるホームレス生活をしている。彼女に関して他のホームレスに聞いても、基本は何も教えてくれない。彼女留守にしている昼間、呪い師のテントを捜索する場合、他のホームレスに止められる。しかし、金銭を渡したり、〈隠密〉のロールに成功したりすれば、呪い師のテント内を捜索できる。ただし、異臭漂う空間に滞在することになるため、SC0/1を行なう。彼女のテントの中には、例えば複数の動物を無理やりつなぎ合わせたような銅像だったり、見ていると動いているように見える模様が描かれた紙や小道具だったりが並んでいる。それらは一様に禍々しい雰囲気を漂わせ、探索者に本能的な恐怖を覚えさせる。（※SC1/1d2）〈目星〉に成功すると、テントの隅。衣服に隠されるようにとある呪術を記載した、古びた本（題名はフランス語で『南米民族のシャーマンによる不老不死の呪術について』）が置いてあることがわかる。フランス語で書かれたそれを全て読むには通常2週間、特定の項目（終乃邸にあった人形の呪い）を調べるには丸1日かかる。ただし〈ほかの言語：フランス語〉もしくは【EDU】のロールに成功すると、その時間を半分にできる。それを読み解けば、南米のとある民族に伝わる不老不死を得られるという呪術の方法を研究、実験した内容だと分かる。複数の女性の髪の毛でできた人形を、特定の模様を描いた刃物で切り付けることによって切り付けた者の“生命力”や“寿命”を、模様を描いた人に譲渡する『生命の譲渡』という儀式についての研究だったようだ。
もし探索後、探索者が少しでもその痕跡を残した場合、テントから得られる情報は無くなり、呪い師は商店街に現れなくなる。
・地域の人々の生活を支える、6階建ての複合型商業施設。生鮮食品などを取り扱う1階は7時から22時まで、専門店街になっている2~4階は9時から21時まで開いている。駐車場は4~6階にある。（※ここには、隠した遺体を保存するために毎夜（※21時30分～22時）、影山樹が氷を買いに来る）
○（※9月3日～）
探索者が店員に「変わった人物がいなかったか」などと聞いた場合、対人関係技能のロールに成功することで、「そういえば最近、閉店間際、いつも氷を買いに来る男性がいる」と話す。この情報を得てからであれば、影山樹を見かけるために必要なロールが通常成功でもよくなる。
○（※9月3日～10日）（※21時30分～22時）
探索者が閉店間際、食料品売り場にいた場合、【幸運】もしくは〈目星〉のロールにハード成功すると、氷を買い込む影山樹を見かけることが出来る。
▶影山樹について
※彼は終乃静音の遺体が腐敗しないようクーラーボックスに入れて、近くの公園に埋めて冷蔵保存している。見かけた影山樹に話を聞いた場合、彼は「家の冷蔵庫が壊れてしまったから」だと嘘をつく。また、〈追跡〉のロールに成功すると、彼の自宅を突き止めることが出来、ハード成功することで、彼が氷を自宅近くにある公園に持って行ったことを突き止める。（※ハード成功なのは影山樹が用心しているため）彼に話しかけた場合、彼は探索者に、終乃静音をいじめられていたこと、終乃静音を蘇生させようとしていることを話す。そしてクーラーボックスを開け、中に納まっていた終乃静音の遺体を見せる。氷を使い必死で状態保存を行なっていたのか、外傷はなくきれいな遺体。しかし、顔だけが寿命間近の老人のようにしわくちゃという、奇妙な遺体だった（※SC1/1d3）。協力する場合、影山樹は12日の23時に自宅の地下にあるスタジオに来てほしい、と伝える。探索者がそれを了承した場合、9月12日23時にスタジオを訪れた際の描写を重複する部分を省いて演出する。恋人を失い、錯乱している彼は対人関係技能にエクストリーム成功しない限り、蘇生を諦めることは無い。探索者が彼の蘇生を止める場合、戦闘になる。勝利するとエンディング3、敗北でエンディング4へ。
・区役所と一体型になった市民図書館。郷土資料や絵本、縁のある作家が書いた小説に加え、映画鑑賞スペースや自由に使えるパソコンが置かれている。規模としてはそれなりのもの。土日除く9時から18時までが開館時間。
○（※9月3日）（※15時～18時）
探索者が図書館内で調べものをしていた場合、【幸運】のロールに成功すると、図書館で調べものをする影山樹とぶつかる。探索者が、彼が持っていた本に注目した場合、地方の伝承・伝記をまとめたものや、呪術に関する本であることがわかる。もし本について彼に聞いた場合、学校の宿題だと嘘をつく。（※実際は終乃静音を生き返らせる方法を探している。この日は影山樹が閉館まで調べるため不可能だが、後日探索者がその本を調べた場合、〈アイデア〉ロールに成功することで彼が読んでいた本の共通点として「生き返り」「蘇生」という単語があることに気付く）
○（※9月6日～10日）（※15時～18時）
熱心にフランス語を勉強する影山樹の姿に目が留まる。辞書とにらめっこをしながら、手にした資料を読み解いているようだ。彼に話しかけた場合、学校の宿題だと噓をつく。
・現代な平屋建て住宅。近所には公園があり、夕方になれば遊んでいる子供たちの声がよく聞こえる。
※近所の人に話を聞き対人関係技能に成功するか、協力を約束した状態で影山樹に直接聞くことで家族構成を知ることが出来る。とび職の父親・玄（げん）と樹の父子家庭。玄はほとんど帰って来ず、帰って来てもすぐにまた現場に戻るといった生活を今はしているようだった。（※影山樹は9月5日までは学校が終わると蘇生方法を探して図書館へ。閉館時間である18時まで滞在し、帰宅。その後9月10日までであれば21時30分にショッピングモールへ向かい氷を購入。公園に埋めた終乃静音の遺体を保存し、22時過ぎに帰宅する。10日以降は図書館にも、ショッピングモールにも寄らなくなる。玄は仕事のため10日以降、しばらく帰って来ない）
○（※9月3日～9日）
影山樹宅に入るには樹に協力してもらうか、就寝時・不在時に忍び込む以外に方法はない。忍び込む場合、時間帯によって近所の人に目撃されたり、樹が起きてしまったり、視界が悪かったりする可能性があることに注意する。冷蔵庫は壊れていない。冷凍庫には大量の氷がストックされており、一度ショッピングモールに行っていれば〈アイデア〉のロールに成功することでそこで売っているものと同じものであることがわかる。家を1時間以上かけて入念に探索するか、〈目星〉のロールに成功する、もしくは影山樹に直接聞くことで「スタジオ」と書かれた扉を発見する。扉を開けると、地下に続く階段がある。樹の部屋を捜索した場合、勉強机の上に置かれた紙を見つける。紙には「蘇生？」と書かれた文字と棒人間4人が1人の棒人間を取り囲む絵が描かれていた。これについて影山樹は「読んでいる小説にあったワンシーンをかいてみました」と説明し、蘇生なんてありえないと嘘をつく。
○（※9月5日午後～）
上記に加え、本棚にある資料（呪い師から受け取った『屍食教典儀』（新ルールブックP.224）の写し）が情報として追加される。これを見つけるには樹の部屋で〈図書館〉もしくは〈目星〉のロールに成功する必要がある。題名はフランス語で『目覚めの雫』。丸1日かかる。全て読んだ場合、死者を冒涜し、崇拝することの魅力を赤裸々に語る常軌を逸したその内容にSC1/1d4を行なう。〈他の言語：フランス語〉もしくは【EDU】のロールに成功すると、読了の時間を半分にできる。わかることとして、『目覚めの雫』という呪文・儀式が存在し、それを確実に成功させるには多くの生命力（POW）が必要であること、成功することで死者を蘇らせることが出来ることについて書かれていた。（※ただし教えた呪い師によって意図的にリスクについては隠されている。〈アイデア〉や〈オカルト〉のロールを用いて、大きな奇跡には大抵大きなリスクがあることに思い至ってよい）
○（※9月10日午前～）
父親の数日の不在を知った影山樹は死霊術を自宅スタジオで決行することを決意する。用心のため、影山樹影山宅には忍び込む以外の方法が無くなる。就寝時間である1時～8時、もしくは終乃静音の遺体をとりに行く9月12日の23時～23時30分が忍び込めるタイミングとなる。この時になると、スタジオを発見する方法として〈聞き耳〉ロールが追加される。ロールに成功した場合、助けを求める女子生徒たちの微かな声を聞くことが出来る。
▶スタジオ
※影山玄が昔、バンドを組んでいたため用意された部屋。インディーズでデビューもしているため、〈芸術：音楽（バンド）〉などがあれば彼を知っているかもしれない。また、家にはバンド時代の写真やスタジオ練習の様子を写した写真もある。〈アイデア〉ロールに成功すれば、そういったことから「スタジオがあってもおかしくない」とひらめくことが出来る。
○（※9月3日～9日）
防音仕様になっている分厚い扉を開くと、中にはエレキギターやドラム、ベース、シンセサイザーなどがきれいな状態で置いてある。影山樹がいれば、楽器の手入れが父親の趣味だと語る。試しにアンプにつないで楽器を鳴らしてみた場合、部屋の四隅にあるスピーカーから爆音が流れることになる。不用心に鳴らせばSC0/1が発生。
○（※9月10日午後～12日23時）
防音仕様になっている分厚い扉を開くと、中には高校生と思われる4人の女子生徒が血だらけの状態で見つかる。殴られたのか顔面は晴れ上がり、爪ははがされ、指は何本かあらぬ方向を向いている。さながら拷問された後のようでもあった。苦痛で失禁したのか部屋には糞尿のにおいが立ちこめ、そこに鉄分を含んだ血の匂いが混じる。思わず目を伏せ、鼻をつまみたくなるような狂気の残滓がスタジオには残されていた（SC1/1d4+1）。そして探索者が来たことに影山樹は驚きつつも、彼女らが終乃静音をいじめていたこと、反省させるために少し痛めつけたこと、これから彼女らを生贄に、終乃静音を蘇生させることを話す。協力する場合、彼は探索者に待っているよう伝える。
やがて彼は大きなクーラーボックスを抱え、階段を下りてくる。そしてクーラーボックスを開け、中に納まっていた終乃静音の遺体を見せた。必死で状態保存を行なっていたのか、外傷はなくきれいな遺体。しかし、顔だけが寿命間近の老人のようにしわくちゃという、奇妙な遺体だった（※SC1/1d3）。挑戦するのは『目覚めの雫』の儀式。女子生徒を生贄にする場合クライマックス1、しない場合クライマックス2へ。錯乱している彼は対人関係技能にエクストリーム成功しない限り、蘇生を諦めることは無い。探索者が彼の蘇生を止める場合、戦闘。勝利でエンディング6、敗北でエンディング7へ。
○（※9月12日23時～23時30分）
防音仕様になっている分厚い扉を開くと、中には高校生と思われる4人の女子生徒が血だらけの状態で見つかる。殴られたのか顔面は晴れ上がり、爪ははがされ、指は何本かあらぬ方向を向いている。さながら拷問された後のようでもあった。苦痛で失禁したのか部屋には糞尿のにおいが立ちこめ、そこに鉄分を含んだ血の匂いが混じる。思わず目を伏せ、鼻をつまみたくなるような狂気の残滓がスタジオには残されていた（SC1/1d4+1）。どうやら全員気を失っているようで、息はあるものの呼びかけても反応はない。部屋全体に〈目星〉を行ない成功すると、天井に魔法陣が描かれていることに気付く。探索者が警察に通報した場合、エンディング5へ。
もし連絡しなかった場合、9月12日23時30分になると、大きなクーラーボックスを抱え、階段を下りてくる影山樹と遭遇する。彼は探索者に、彼女らが終乃静音をいじめていたこと、反省させるために少し痛めつけたこと、これから彼女らを生贄に、終乃静音を蘇生させることを話す。そしてクーラーボックスを開け、中に納まっていた終乃静音の遺体を見せる。必死で状態保存を行なっていたのか、外傷はなくきれいな遺体。しかし、顔だけが寿命間近の老人のようにしわくちゃという、奇妙な遺体だった（※SC1/1d3）。協力する場合、挑戦するのは『目覚めの雫』の儀式。女子生徒を生贄にする場合クライマックス1、しない場合クライマックス2へ。錯乱している彼は対人関係技能にエクストリーム成功しない限り、蘇生を諦めることは無い。探索者が彼の蘇生を止める場合、戦闘になる。勝利でエンディング6、敗北でエンディング7へ。
○（※9月12日23時30分～）
スタジオへ向かった時点でエンディング1へ。
※公園に行くには、探索者からの「公園など無いですか」といった具体的なゾーキングか、影山樹の尾行に成功し、彼の自宅近くに公園があるという情報を渡す以外で来ることはできない。これは終乃静音が入ったクーラーボックスの早期発見や、夜に公園を見張っていれば、影山樹が遺体管理を行なう姿を容易に見つけることが出来てしまうため。シナリオの早期終了を防ぐ意味を込めて、あえて後半に情報を出すことにしている。
・住宅街に囲まれた公園。木々を植えることで木陰と景観、道路との境界線を作り、背の低い遊具が並ぶ。時期によっては盆踊りなども行なわれるため、端の方には掃除用具やイベント用の資材を置くコンテナが3つほど置かれている。どれも頑丈に鍵がかかっており、開けるためには自治体の許可が必要。（※中には有益な情報は特にないため、探索者がここに固執するようであれば、その旨を伝えてあげる）
○（※9月3日午後～12日23時）
公園全体に〈目星〉をしても意味はないが、公園と一般道を分ける木々の周辺で〈目星〉を行なえば、一度掘り返したような跡がある、不自然な盛り上がりを見つける。探索者が掘り返した場合、その下に大きなクーラーボックスが埋まっているのを見つける。中には大量の氷に包まれるように身を丸めた終乃静音の遺体が入っている。外傷はなくきれいな遺体だが、顔だけが寿命間近の老人のようにしわくちゃという、奇妙な遺体だった（※SC1/1d3）。もしここで探索者が彼女の両親、もしくは警察等へ連絡した場合、エンディング2へ。
○（※9月3日午後～12日23時）
昼間。ここを訪れれば、小さな子供を連れた親御さんやペットの散歩をする地域住民に会うことができる。彼らに話を聞けば、「最近、なんとなく変なにおいがするのよ」と異臭について愚痴をこぼす。
○（※9月3日午後～11日22時）
夜間（22時前後）に公園を訪れていた場合、〈目星〉（※夜間のためペナルティダイス1つ）、もしくは〈聞き耳〉のロールに成功することで、地面を掘り返し、埋めてあったクーラーボックスを弄る人物（影山樹）と遭遇する。彼に話しかけた場合、彼は探索者に、終乃静音をいじめられていたこと、終乃静音を蘇生させようとしていることを話す。そしてクーラーボックスを開け、中に納まっていた終乃静音の遺体を見せる。氷を使い必死で状態保存を行なっていたのか、外傷はなくきれいな遺体。しかし、顔だけが寿命間近の老人のようにしわくちゃという、奇妙な遺体だった（※SC1/1d3）。協力する場合、影山樹は12日の23時に自宅の地下にあるスタジオに来てほしい、と伝える。探索者がそれを了承した場合、9月12日23時にスタジオを訪れた際の描写を重複する部分を省いて演出する。恋人を失い、錯乱している彼は対人関係技能にエクストリーム成功しない限り、蘇生を諦めることは無い。探索者が彼の蘇生を止める場合、戦闘になる。勝利後はエンディング6、敗北後はエンディング7へ
準備が整うと、影山樹は何かを話し始める。それは聞いたことがない言語であるにもかかわらず、意味だけが探索者に届く。死者を愛し、死者に魅入られ、死こそが至高であることを説くような言葉。脳内を、心を侵蝕されていく感覚が探索者を襲う（SC1/1d6）。やがて呪文は完成する。後は供物をささげ、発動させるだけ。意識のない女子生徒は抵抗すら許されない。なされるがまま生命力を吸われていく。
そこに探索者と、影山樹がさらに贄を捧げ、魔法陣の輝きが増していく。
※女子生徒からは30マジックポイントと、【CON】200（＝+20％）を得られる。そこに探索者が任意のコストを支払うことで成功率を上げられる。
→成功でエンディング8、失敗でエンディング9へ。
※儀式はスタジオで行なわれる。日付によって、女子生徒4人がいることに注意。
準備が整うと、影山樹は何かを話し始める。それは聞いたことがない言語であるにもかかわらず、意味だけが探索者に届く。死者を愛し、死者に魅入られ、死こそが至高であることを説くような言葉。脳内を、心を侵蝕されていく感覚が探索者を襲う（SC1/1d6）。やがて呪文は完成する。後は供物をささげ、発動させるだけ。
探索者と、影山樹がさらに贄を捧げ、魔法陣の輝きが増していく。
→成功でエンディング10、失敗でエンディング9へ。
★『目覚めの雫』の呪文・儀式
参考は『屍食教典儀』（新ルールブックP.224）内の《復活》（〃P.254）。そのバリエーションとする。コストは30マジックポイントと1d10の正気度ポイント。
全身揃った死体を用意し、呪文を唱えることで死んだ人間の身体と魂を再構成するもの。魔法陣を描き、その内部にいる者の【CON】を10捧げるごとに成功率を（1％、最大99％）上げられる。成功すると、完全な死者蘇生。失敗すると儀式に参加した者全ての生命力が吸われ、死に至る。死者の復活という大きな力には、死という相応の大きなリスクがある。
朝。探索者のもとには、無事、終乃静音が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。手付金として多少の金額が口座には振り込まれていたものの、依頼を失敗したとして、探索者の株は下がってしまっただろう。SAN値回復なし。
探索者がスタジオの様子を見ようと階段を下っていると、下から疲れた様子の影山樹に肩を貸す、終乃静音が上がってくる。そして彼女は探索者がいることを見つけると、「不法侵入を問わないから、今は帰ってほしい」と告げる。終乃静音に家に帰るよう言うと渋々了承し、「彼を休ませたら必ず帰る」と約束する。
翌日。探索者のもとには、無事、終乃静音が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれ、事件は解決。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d5。
救急車とパトカーが数台やってきて、状況を確認していく。すぐさま事件性を見た警察は応援を要請。閑静な住宅街には、サイレンと警察の声が響くこととなった。応援の警察官がクーラーボックスを回収し、探索者のもとにやってくる。第一発見者となる探索者に一応事情を聞かせてほしいと、任意同行を頼まれ、詳細に事情を説明した後、しばらくして解放されたのだった。後日。探索者のもとに終乃家からお礼のメールが送られてくる。遺体ではあったが、娘の居場所がわかったこと。きちんと弔ってあげられて良かったと手紙で告げる。今後は娘の死因について、学校を相手に訴訟を起こす旨も書かれていた。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれている。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d5。
探索者の渾身の攻撃で気を失った影山樹。しばらくして目を覚ました彼は、どこかすっきりした様子だった。先ほどまでとは打って変わって、終乃静音の蘇生をあきらめ、弔うことを決めたようだった。理由を聞けば、夢の中で終乃静音がそう言っていたのだという。
後日。影山樹が出頭し、死体遺棄の罪で逮捕されたという報道があった。探索者のもとに終乃家からお礼の手紙が送られてくる。遺体ではあったが、娘の居場所がわかったこと。きちんと弔ってあげられて良かったとメールで告げる。加えて、静音を思って行動してくれていた影山樹に情状酌量を訴えるとも書いてあった。今後は娘の死因について、学校を相手に訴訟を起こすらしい。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれている。こうして恋人を思う男子生徒の試みは終わった。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d10。
影山の攻撃を受けて、遠のく意識の中。探索者は血走った眼で嗤う影山樹を目にした。
後日。病院で目覚めた探索者。どうやら公園で眠っていたところを助けられたようだ。そんな探索者のもとに、無事、終乃静音が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。手付金として多少の金額が口座には振り込まれていたものの、依頼を失敗したとして、探索者の株は下がってしまっただろう。SAN値回復なし。
響くサイレン。救急車とパトカーが数台やってきて、状況を確認していく。幸い、女子生徒たちはまだ生きている。次々に運び出されていく彼女らと入れ替わるように、階段の上から一人の男性――影山樹が、大きなクーラーボックスを抱えて降りてきた。警察に質問される彼は、足元に置いたクーラーボックスを指さし、何かを説明している。しかし、中に入っているものを確認した警察官はすぐさま手錠を取り出し、彼の手首にかけ、そのまま連行していく。応援の警察官がクーラーボックスを回収し、探索者のもとにやってくる。第一発見者となる探索者に一応事情を聞かせてほしいと、任意同行を頼まれ、その後しばらくして解放されたのだった。
後日。探索者のもとに終乃家からお礼のメールが送られてくる。遺体ではあったが、娘の居場所がわかったこと。きちんと弔ってあげられて良かったと手紙で告げる。今後は娘の死因について、学校を相手に訴訟を起こす旨も書かれていた。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれている。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d5。
探索者の渾身の攻撃で気を失った影山樹。女子生徒たちを放置するわけにもいかず、犯人も確保済み。救急車とパトカーが影山宅には集結し、女子生徒、そして影山樹を運び出していく。第一発見者となる探索者に一応事情を聞かせてほしいと、任意同行を頼まれ、事情を説明するとすぐに解放されたのだった。
後日。探索者のもとに終乃家からお礼の手紙が送られてくる。遺体ではあったが、娘の居場所がわかったこと。きちんと弔ってあげられて良かったとメールで告げる。今後は娘の死因について、学校を相手に訴訟を起こす旨も書かれていた。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれている。こうして恋人を思う男子生徒の試みは、犠牲者を増やすことなく終わった。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d10。
「生贄は多い方が成功しやすい…生贄は多い方が成功しやすい…！」
うわ言のように呟きながら、動けないあなた達を拘束していく。そして、準備が整うと、何か話し始める。それは聞いたことがない言語であるにもかかわらず、意味だけが届く。死者を愛し、死者に魅入られ、死こそが至高であることを説くような言葉。脳内を、心を侵蝕されていく感覚が探索者を襲う（SC1/1d6）。やがて呪文は完成する。後は供物をささげ、発動させるだけ。意識のない女子生徒は抵抗すら許されない。なされるがまま生命力を吸われていく。探索者も例外ではない。【POW】での対抗ロールに失敗すると【CON】を1d10失う。そうして十分な供物を得た天井の魔法陣からやがて、一粒の輝く雫が部屋中央の口の開いたクーラーボックスに落ちる。しばらくすると、クーラーボックスから出ようとする血色のいい手が見え、頭が見え、そして起き上がった終乃静音が元気に伸びをする。対照的に、縛られていた女子生徒たちからは生気が感じられず、腫れあがっていた顔も水分を失ったように、しわくちゃになってしまっていた。〈アイデア〉ロールに成功すると、死者の蘇りという奇跡、その代償、ありえない光景を理解することになり、SC1/1d10を行なう。
そして終乃静音は周囲を見渡すと、恋人である影山樹に「お疲れ様です。行きましょうか。お話したいこと、たくさんあるんです」と声をかけ、疲れた様子の恋人に肩を貸しながらその場をあとにするのを確認したところで、あなたは気を失った。
後日。病院で目覚めた探索者。どうやら道端で眠っていたところを助けられたようだ。そんな探索者のもとに、無事、終乃静音が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。手付金として多少の金額が口座には振り込まれていたものの、依頼を失敗したとして、探索者の株は下がってしまっただろう。SAN値回復なし。
十分な供物を得た天井の魔法陣からやがて、一粒の輝く雫が部屋中央の口の開いたクーラーボックスに落ちる。しばらくすると、クーラーボックスから出ようとする血色のいい手が見え、頭が見え、そして起き上がった終乃静音が元気に伸びをする。対照的に、縛られていた女子生徒たちからは生気が感じられず、腫れあがっていた顔も水分を失ったように、しわくちゃになってしまっていた。〈アイデア〉ロールに成功すると、死者の蘇りという奇跡、その代償、ありえない光景を理解することになり、SC1/1d10を行なう。
そして終乃静音は周囲を見渡すと、恋人である影山樹に
「お疲れ様です。行きましょうか。お話したいこと、たくさんあるんです」
と声をかける。血だらけの空間にも、異様なにおいにも、同級生の死体にも一切動じない。探索者に向き直ると、
「彼に協力して頂いて、ありがとうございました。とりあえず彼を寝かせてから、自宅に戻ることにします」
そう言ってスタジオをあとにした。
翌日。探索者のもとには、無事、終乃静音が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれ、事件は解決。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d10。
失敗し、輝きを失う魔法陣。静寂に包まれるスタジオ。
「もう一度…もう一度！」
血走った眼で、なおも食い下がる影山樹。と、そこで再び、魔法陣が輝きだす。その輝きはスタジオ全体にまで広がり、探索者達を包み込む。そして見たこともない景色が脳内に広がる。例えばそれは、両腕を切り落とした死体を死姦する光景、それは助けを求める恋人を何度も何度もめった刺しにする光景、十字架に手足を釘で打ち付けられて動けなくされのこぎりで切断される光景。そのどれもがあなた体にとって幸福なのだ。
この光に身を捧げれば愛すべき“死”とともにあることが出来る。探索者たちはただ求められるがまま、もてる命を光に差し出す。今こそこの身をもって生と死を、理解する時が来たのだ！
光が収まった時、もうそこに生者はいない。皆が死という祝福を享受し、生を捨て去ったのだ。
ただ一人。いや一体。動く死体がクーラーボックスから立ち上がる。色白く、生気が感じられないその死体はゆっくりと歩き出す。目的はただ一つ。生けるものに死の祝福を！
後日。とあるニュースは地方の都市で起きた、大量殺戮について触れていた。主犯はたった一人の少女。大の大人、数人で押さえつけようとも、強固に拘束しようとも、その蛮行を誰も止められない。時に武器を振るい、時には素手で等しく死を振りまいていく。少女が灰となって消え去るまでに、その地方都市に住む人々の3分の1が犠牲になるのだった。キャラロスト。
十分な供物を得た天井の魔法陣からやがて、一粒の輝く雫が部屋中央の口の開いたクーラーボックスに落ちる。しばらくすると、クーラーボックスから出ようとする血色のいい手が見え、頭が見え、そして起き上がった終乃静音が元気に伸びをする。対照的に、縛られていた女子生徒たちからは生気が感じられず、腫れあがっていた顔も水分を失ったように、しわくちゃになってしまっていた。〈アイデア〉ロールに成功すると、死者の蘇りという奇跡、その代償、ありえない光景を理解することになり、SC1/1d10を行なう。
そして終乃静音は周囲を見渡すと、恋人である影山樹に
「お疲れ様です。行きましょうか。お話したいこと、たくさんあるんです」
と声をかける。
「彼に協力して頂いて、ありがとうございました。とりあえず彼を寝かせてから、自宅に戻ることにします」
そう言ってスタジオをあとにしようとする。と、そこで振り向いた彼女は
「あなたに、祝福がありますように」
そう笑いかけて、去って行った。
翌日。探索者のもとには、無事、終乃静音が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。口座には依頼の報酬として十分な金額が振り込まれ、事件は解決。きちんと依頼をこなした探索者の株は、また上がっただろう。SAN値回復1d10。
※考えられるのは、例えば呪い師もしくは影山樹を殺害・拘束する、商店街を爆破するなどなど。
▶影山樹をどうにかした
探索者が（何かしらの行為）を行なってから数日。かねてより異臭騒動があった公園の隅で大きなクーラーボックスが発見される。中に入っていたのは近くに通う女子高生の遺体。いじめを苦に自殺したと思われているが、外傷もなく死因も不明。謎の多い事件になった。
そして探索者のもとに、終乃静音（遺体）が見つかったことに伴って、依頼を終了する旨が描かれたメールが届く。手付金として多少の金額が口座には振り込まれていた。SAN値回復なし。
▶呪い師をどうにかした。
探索者が（何かしらの行為）を行なってから数日。終乃静音の両親から連絡があった。それは終乃静音の彼氏を名乗る人物から、きれいに保存された遺体が届けられたこと、彼女がいじめを苦に自殺をしたかもしれないこと、彼女を生き返らせる方法を探していたが、見つからなかったことを告げたという。両親は公にすることを嫌ったが、少年が警察に自首したことで、態度を一転。娘の死因について、学校を相手に訴訟を起こすと連絡があった。そして探索者のもとに、終乃静音（遺体）が見つかったことに伴って、依頼を終了すると告げる。手付金として多少の金額が口座には振り込まれていた。SAN値回復なし。
終乃家は素晴市の土地のいくつかを管理する地主。嫁いできたキヨは由緒ある終乃家の威厳を守ろうと、一人娘である静音に厳しくしつけ、静音もそれに応えてきた。ある日、静音に影山樹という彼氏ができる。家柄のない彼との交際をキヨが認めるはずがないと思い、静音は両親に内緒で付き合うことにした。
ある時から終乃静音は通っている学校『私立美桜学園』で4人の女子グループからいじめられるようになる。要因は外見かもしれないし、ただ単に性格、お金持ちだからなどがあるだろう。エスカレートしていくいじめに、遺書を残すほど彼女は心を病んでいった。ある日、商店街に出没するという呪い師の噂を耳にした彼女は、彼女のもとを訪ね、特定の人物を不幸にするお呪いがないかを聞く。呪い師はかねてより面白そうだと思っていた『不老不死』の呪術がうまくいくものか、終乃静音を使って実験することにする。彼女に嘘のお呪いを教え、経過を観察することにした。
呪い師曰く、不幸にしたい相手の髪で人形を作る必要があるという。実際にはどの女性の髪でも良かったが、呪い師は終乃静音にとって耳障りのいい言葉を並べて信用させていた。終乃静音は学校で隙を見て、自分をいじめる女子生徒達の髪を切り取る。「髪を切る、切り裂き魔がいる」と少し噂が立ったがおおよそ問題はなし。やがて学校は夏休みに突入。彼氏と夏を満喫する傍ら、お呪いの準備を進めた。手に入れた髪で人形を作り、呪い師からもらった奇妙なナイフで突き刺すだけ。そんな暗い思いを抱える終乃静音に影山樹も薄々異変を覚えていたが、あえて触れなかった。そして明日から嫌な学校生活が始まるという時。決心した終乃静音は、影山樹に会う前に、お呪い『生命の譲渡』を行なってしまう。結果、彼女は呪い師に寿命を渡す形で死に至った。
しばらくして彼女の遺体を発見した影山樹は、外傷のない彼女の死を受け入れられず、また、樹自身が犯人とされる可能性を考え、遺体を近くの公園にひとまず隠すことを思いつく。そして、「彼女が生きていれば何も問題はない」と結論づけ、蘇生について情報を集め始めるのだった。
しかしネットや図書館で調べてみても、どれも怪しいものばかり。行き詰った影山樹は奇しくも、彼女・終乃静音が死に至る原因となった呪い師を頼ることにする。誰かが堕落する様を見て楽しむことが大好きな呪い師は、今度は恋人のために人がどこまで堕落するのかを見ることにした。あえて多くの贄が必要な儀式・呪文を教え、彼が実行するのかを楽しむ。彼がためらわないように、あえて“死”というリスクについては触れない。助言もしない。愛や恋という感情が、人間にどこまでのことをさせるのか。呪い師は観察することにした。
ご覧いただいて、ありがとうございます。 見てみた・プレイしてみた感想や誤字脱字の報告を頂けると幸いです。 たまにシナリオに手を加えることがあります。 言葉足らずで不明なところは気軽に質問してください。 adobe のPDFは、見るだけは可能だと思います。もし不都合があれば教えてください。別のアップ方法を調べてみます。 ストックありがとうございます。それを励みにシナリオを作成していけたらと思います。
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