目覚めたのち荒野をさまよっていたPC達姉妹は丘の上にボロボロの家を見つける。夜も近づき、降り出した強酸性の雨。それから逃げるように入ったその家で彼女たちが最初に見たものは円錐に近い形をした奇妙な木のオブジェだった。ドールとなるときに失われてしまった大切な記憶。その記憶に促されるように、あるいは本能に近い衝動に動かされるように、その木を飾り付けようと家を捜索する彼女たち。その中で見えてくるのは、戦前のように聖夜を迎えようと奮闘した家主たちの奮闘と、忘れてしまっていた家族の愛だった。
※RDFでアップします
目覚めたのち荒野をさまよっていたPC達姉妹は丘の上にボロボロの家を見つける。夜も近づき、降り出した強酸性の雨。それから逃げるように入ったその家で彼女たちが最初に見たものは円錐に近い形をした奇妙な木のオブジェだった。ドールとなるときに失われてしまった大切な記憶。その記憶に促されるように、あるいは本能に近い衝動に動かされるように、その木を飾り付けようと家を捜索する彼女たち。その中で見えてくるのは、戦前のように聖夜を迎えようと奮闘した家主たちの奮闘と、忘れてしまっていた家族の愛だった。
[ネクロニカ『Dear』](https://documentcloud.adobe.com/link/track?uri=urn:aaid:scds:US:e1b56e61-32a5-4497-a905-91e574dcc543)
あなた達が目覚めてしばらく。何度目かの夜が来ようとしていた。
朽ち果てた木々がどこまでも立ち並ぶ、ちょっとした丘を歩いている。
遠く丘の稜線に建物が見えてくる。
ちょうどその時、空から落ちてきた雫があなた達をうつ。汚染され、強酸性になった雨があなた達を襲おうとしていた。
枯れたツタに覆われた建物は2階建て。三角の屋根が特徴的。
前庭は広く、雨水がたまった観賞用プールがあり、表面は薄い氷で覆われている。
針金を使って動物をかたどったオブジェには電飾がされている。
周囲は崩れた塀で囲われている。
雨が強くなりつつある。
入口には割れたランタンが飾られている。ドアは(内側に)破壊されている。
玄関の廊下に目立つ場所には大きな木のオブジェが置かれている。
★カルマの発生
「木のオブジェを飾り付け、輝かせる」
左にリビング・ダイニング・キッチンが一つになった部屋。すぐ右に上階に続く階段。
奥には壊れたドアが一つ。脱衣スペースのある広めのユニットバス。
廊下には動物の足跡(4足歩行)。それが奥やリビングのある部屋。そして上階へと続いている。
ところどころやぶれた皮のソファ。木製の四人掛けテーブルとイス。
部屋の壁はきらきら輝く紙を細く束ねた装飾が逆アーチを描くようにいくつも飾られている。
庭が見えたであろう大きな窓は内側から木や鉄の板で補強されている。
▶破壊すれば、強酸性の雨が室内を少し濡らす。暗い外からはどこからかうめき声のようなものが聞こえる。
(廊下側から)破壊されたドア。
足元には黒く変色した血だまりの跡。鍵がかかっている。(鍵は「屋根裏部屋」)
浴槽の中には白骨化した小さな遺体。
遺体を詳細に調べると、両腕・両足ともに砕かれ、首の骨も折れている。そこから想像できるのはこの人物が受けた苦痛。あなたの心と記憶を刺激する。
➡【💀狂気判定】
➡記憶のかけら「痛み」:「痛い、痛い。腕が足が、お腹が。激痛を訴えてくる。それでも耐えてあがくのは、守りたい誰かがいたからだろうか?」
▶首元にペンダント。中には遺体よりさらに小さな女の子の写真。望むなら「たからもの」として所持可能。
1階にあったリビング・ダイニング・キッチンの上に、手前と奥で部屋が二つ。どちらもドアは健在。
床には1階から続いている血の足跡。どれも上階に来てすぐ引き返している。
天井を見れば取っ手がある。それを引けば梯子が下りてきて屋根裏部屋に行くことが出来る。
ダブルサイズのベッドとクローゼットが一つずつ。部屋の隅には化粧台と本棚。どれもほこりをかぶっている。
大きな窓は内側から補強されている。
・ダブルサイズのベッド
枕は二つ。枕元には小さな台。その上には両親と兄、妹の4人が写った家族写真が飾られている。
➡記憶のかけら「家族旅行」:「家族みんなで行った旅行。行き先や食べるもので喧嘩したこともあったけど、どれもこれもいい思い出として残っている。」
・クローゼット
中には大き目の服がいくつもかけられている。男性・女性どちらの服もある。
・本棚
風土史や歴史書が中心。読めたとしても内容の理解は難しい。
▶クリスマス関連のものを探すと、イラスト付きで各地の飾り付けの例が書いてある。1階にあった木のオブジェによく似た木を基本とする飾りつけも紹介されていた。
・化粧台
2つある引き出しの一つには化粧品が並ぶ。二つ目にはシックな手帳や筆記用具。
・手帳
内容は主に日常について。毎日書いていた様子。最終戦争時、地下室に隠れ運よく生き延びていたある日。遠く聞こえた動物の遠吠えを皮切りに、「狩り」が始まったと書いてある。その後はこの家での籠城生活について書いてあり、記述の最後の方には食料の問題が書かれ、「クリスマスも近い。子どもたちのためにも私たちで立ち向かう。幸運を」とあった。
➡記憶のかけら「クリスマス」:「降誕祭を起源とする祝日。地方ごとに様々に変化したそんな祝日をあなたは誰と、どうやって祝っただろう? 寒いけれど暖かい、そんな特別な日だった。」
大小二人分の勉強机。二段ベッド。クローゼット。壁にはスポーツ選手のポスター。
・小さな勉強机
足元におもちゃ。マスコットを中心に小さなぬいぐるみがいくつもある。机には1階に置いてあった木のオブジェがまばゆく飾り付けられている写真を表紙にした雑誌が置いてある。
・大きい勉強机
ある引き出しには手紙が入っている。中身は机の持ち主から両親へあてた感謝の手紙のようだ。
・クローゼット
中には大きい服と小さい服が収納されている。
梯子を上った先。一層薄暗い。季節ものの家具、チェストなどが置いてある。
・チェスト
横長のチェスト。中にはひも状の電飾に加え、飾りつけ用の小さなボールやリボン、アクセサリー、そして大きな星が入っている。
家具に隠れて1体、白骨化した遺体がある。死体にはボロボロの服が着せてある。そばには保存食の空き缶に埋もれて日記。
死体を調べると、握りしめた手には小さなカギが握られている。口にはなぜかクレヨンが詰まっている。
・日記
始まりは、両親の出立とともに始まったこの屋根裏部屋での生活について。わずかな食料を妹と分け合いながら暮らしていたことが書かれている。両親が数日たっても帰って来ず、食料も限界。両親を探しに行くことを決めたようだ。次のページ以降、つたない字がクレヨンで書かれている。「おにいちゃん、ないてた。なにがあったの?」「ワンちゃんがきた。でも降りないよ? かくれるの」「ぱぱ、ママ、まだかな」「くりすます!」「おにいちゃん、ごはんない」「ティッシュおいしい」「のどかわいた」「おなかすいた」「おなかすいたのどかわいたおなかすいたのどかわいた・・・おなかすいたおなかすいたおなかすいた・・・」孤独と空腹をごまかすように書きなぐられた字。ただでさえ壊れてしまったこの世界で狂気を失っていくさまがありありと想像できる。そしてこの子供は狂気と空腹の果てに手に持っていたクレヨンを…。
➡【💀狂気判定】
地下室には大工用具を中心に様々なものが置いてある。奥には外へと続く壊れた裏口があり、階段が見える。
雨音はしない。雪に変わっている。
作業台の上にはほこりをかぶった発電機とそれを重しにメモ書きが置いてある。
メモには「メリークリスマス! 可愛い可愛い子供たち! 父さんたちが帰ってきたら、ツリーの飾り付けをして、ママの作るおいしい料理をみんなで食べよう。それまでいい子で待っていてくれ。くれぐれも、外に出ないようにね」と書いてある。その時、ふとあなたは思い出す。確かにあなたには両親がいて、その愛を目一杯受けていたはず。今やもう、彼らはいないだろうけど、失ってはならない記憶。それを今まで忘れていた事実。目に見えない何かを自分が多く失っていることに改めて気付く。その強烈な違和感と恐怖があなたの心をさいなむ。
➡【💀狂気判定】
➡記憶のかけら「親の愛」:「いつでも優しく見守ってくれた人たち。反発した時も、結局全てを受け入れてくれる。全てが失われたこの世界だからこそ忘れられない、忘れてはならない大切な記憶」
あなた達が地下室を捜索していると、破壊された裏口から数体の犬型アンデッドが転がり込んでくる。そのうち1体はボロボロだ。
警戒するあなた達の前に、裏口の階段を下りてくる影が一つ。
「いやぁ、まさかまだ餌があるなんて。探りに来て正解だったよ」
あなた達とよく似た、けれど心のありようで決定的に異なる存在。アンデッドのドールが犬を統率しながら現れる。彼女は最初に転がり込んできた手負いの犬型アンデッド一匹を片手で持ち上げると、
「こいつが最後までこの狩場を教えてくれなくてさ。ったく、リーダー気取りやがって!」
手近な壁に向けて投げ捨てる。キャンと泣きそのアンデッドは動かなくなった。
「結局、こいつの手下に“えさ”をどこで獲ったか吐かせて、ようやく来てみれば、当たりってわけ」
あなた達を見ながら、けれどもあなた達を無視して話す。「まぁ、だからつまり」と言うと、
「死んで、可愛い可愛い私の犬の餌になれ!」
犬型アンデッドを一斉にけしかけてくる。また、アンデッドの腐臭に誘われた虫がどこからともなく沸いてくる。
「せいぜい、いい声で鳴いてよ? さっきのやつみたいにさ!」
「お前ら! 私を逃がせ!」
ボロボロになって動けなくなる犬使いの少女が命令する。すると、少女に投げ飛ばされ動かなくなっていたはずの犬型アンデッドが立ち上がっており、あなた達が反応するより早く遠吠えをする。
すぐに複数体の犬型アンデッドが地下室に飛び込んでくると、犬使いの少女へ近づき……食べ始める。
「やめろ! オイ、やめ――」
よく見れば、食べているものはこれまで見た犬型アンデッドがよりも二回りほど小さい。リーダー犬はそれを静かに見ていた。
食べ終わると、すぐに小さい方の犬は逃げていく。そして、最後にリーダー犬があなた達を見ながら出ていく。その時、頭を下げたように見えたのだった。
玄関の木のオブジェを飾り付けたのち、電飾を巻く。そして電源を発電機につなぐと、怪しい音を立てながらも動き出した発電機から電気が送られる。すぐに色とりどりの電球が輝きはじめ、頂上の星を含めたツリー全体を照らす。同時に建物内部が照らされ、赤や黄、青の光が壁や天井に映ると、それ自体も一つの飾りとしてあなた達の「クリスマス」を彩るのだった。朝までまだ時間がある。それまでこの暖かな光が消えることはないだろう。
○戦闘終了条件
・「ドッグテイマー」の討伐。
○戦闘カルマ
・敵の全滅。
ご覧いただいて、ありがとうございます。 見てみた・プレイしてみた感想や誤字脱字の報告を頂けると幸いです。 たまにシナリオに手を加えることがあります。 言葉足らずで不明なところは気軽に質問してください。 adobe のPDFは、見るだけは可能だと思います。もし不都合があれば教えてください。別のアップ方法を調べてみます。 ストックありがとうございます。それを励みにシナリオを作成していけたらと思います。
https://www.pixiv.net/users/60483311
Post Comment