2024年10月11日更新

ソードワールド2.5 「紅玉を求めて」

  • 難易度:|
  • 人数:2人~上限なし|
  • プレイ時間:

 ブルライト地方北西部。魔導と学徒の街、ユーシズ魔導公国を訪れていたPC達。ある日、PC達のもとに依頼を持ってきたのは、メリアの少女、カティア・エレノアだった。依頼内容はドラゴネットに取られた『紅玉石』を取り返す手伝いをしてほしいと言うもの。彼女とともに向かった森。そこでPC達を待っていたのはドラゴネットと、彼がため込んだ宝石を狙って暗躍する奈落教徒たちだった。

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ソードワールド2.5 「紅玉を求めて」

 
※「ある冒険者の話(仮)」内の2章8話目を単話として再構成したものです。推奨レベルは7~8レベル。
 

●解説

 ブルライト地方北西部。魔導と学徒の街、ユーシズ魔導公国を訪れていたPC達。ある日、PC達のもとに依頼を持ってきたのは、メリアの少女、カティア・エレノアだった。依頼内容はドラゴネットに取られた『紅玉石』を取り返す手伝いをしてほしいと言うもの。彼女とともに向かった森。そこでPC達を待っていたのはドラゴネットと、彼がため込んだ宝石を狙って暗躍する奈落教徒たちだった。
 
●PDF
ソードワールド2.5 「紅玉を求めて」
 

●内容

○ユーシズ魔導公国

 ユーシズ魔導公国にあるギルドを訪れていたあなた達。何かいい依頼がないと、受付を訪れたところ、ナイトメアの受付嬢・アイリがあなた達に対応してくれることになった。
 あなた達のレベルや冒険者ランクを聞いて驚いた顔を見せた彼女は、「それなら」と明日、もう一度来てほしい旨をあなた達に伝える。どうやらあなた達への依頼に心当たりがあるようだった。
 
 翌日。改めて冒険者ギルドを訪れると、昨日あなた達を担当した受付嬢アイリともう一人、少女が待っていた。あなた達と話し合う体制が整うと、アイリが話し始める。
 「えっと、来てくださって、ありがとうございます、冒険者さん…。今回、紹介したい依頼の主は、こちらのカティア。私の友人で、種族はメリア、です」
 ペコリと頭を下げ、続いて紹介を受けたメリアの少女が頭を下げる。
 「私はカティア・エレノア。ユーシズ魔法学校で魔法を研究しているわ。中でも、真語魔法と呼ばれる魔法を研究しているの」
自己紹介を終えたところで、アイリが誘導し、必要な情報を聞き出していく。
 「少し前、大規模な魔法実験をしようと(コロロポッカの)森に行ったのだけど、運悪く森に居ついているドラゴネットと遭遇してしまったの。見逃す代わりに、魔力のこもったものを渡すよう要求してきたわ」
 「周りに他の生徒もいたし、仕方なく実験に使うために持っていた『紅玉石』と呼ばれる魔法触媒を渡して、その場を収めたのだけど…」
 「その石に並ぶ魔法触媒なんて、なかなかないわ。見つかるまで実験は止まってしまうし、何より、このままじゃあの竜に負けたまま。そんなの嫌だもの」
 「一人で取り返しに行こうとしたとき、ちょうどあなた達のことをアイリから聞いたってところかしら」
 事の経緯をそう説明するカティア。
 「えっと…。ということは、カティアは冒険者さんに、その手伝いをしてほしい…ということですか?」
 アイリの問いに、カティアはうなずく。
 「相手は幻獣・ドラゴネット。森の生態系を担う存在だわ。蛮族のように、倒しておしまい…ってわけにはいかないから、どうしようか考えていたの。私はあまり、器用ではないから…」
 暗に手加減が苦手だと語る彼女。もしドラゴネットを討伐してしまうと生態系が乱れ、将来、国や学校に迷惑がかかるかもしれないと危惧しているようだった。
 「だからとりあえず話し合いを、無理そうならせめて足止めをあなた達にお願いしたいわ。その間に私がねぐらから『紅玉石』を探し出して、持ち帰りたいのだけど…」
 ねぐらに手に入れた財宝をため込む習性があると言われるドラゴネット。その財宝の中から『紅玉石』を取り返すために、護衛・協力してほしい。というのがカティアからの依頼だった。
 
 「冒険者さんへの依頼には、報酬が必要なのでしょう? アイリ、こういう場合、報酬はどのくらい必要かしら?」
 アイリと相談したうえ、カティアが今回あなた達に提示した金額は一人4000G。学生である彼女が支払うにしてはかなり多い額といえる。
 「えっと…。どうされますか?」
 
 「ありがとう…! 助かるわ」
 あなた達の答えを聞いて、カティアが小さく微笑む。しかしそれ以上に、アイリが安堵した様子だった。
 ※理由を聞けば「えっと、冒険者さんに断られると、カティアが一人で行ってしまうと、思いました…。それは、とっても、危ないので…」と友人であるカティアの身を案じていたようだった。
 「それじゃあさっそく、次の休日に行きましょう。朝、ユーシズ魔法学校の正門前でどうかしら?」
 「もしわからないことがあれば、アイリに聞くといいわ。人見知りなだけで、ちゃんと頼りになるから」
 こうしてあなた達は、平日の授業に追われながら、依頼遂行のための準備を進めていくのだった。
 

●状況

 ・ドラゴネットのねぐら周辺へはユーシズ魔導公国から徒歩で、北西へ二日ほど歩いた、コロロポッカの森の中。
 ・ドラゴネットは十年以上も前から住み着いていた。幻獣として時に恵みを、時に災いをもたらしてきた。
 ・カティアの花は腰のあたりに咲いている。普段は服で隠れて(隠して)いる。魔法発動体は腕輪。
 ・カティアが行なおうとしていたのは、大規模転移魔法の実験。大勢の人物を、一度に目的地へ送るというもの。テレポーターに刻まれていた魔法陣を独自に研究・解釈し、再現できないかを試していた。
 ・武器屋や道具屋、神殿など、必要な物資・施設は全て国内に揃っているものとする。
 ・アイリは同行しない。
 

●ねぐらへ

○ユーシズ魔導公国

「おはよう。準備はできているかしら」
 約束の日の朝。雲一つない空の下。魔導を学ぶ学徒が通う大陸有数の学校兼、研究機関・ユーシズ魔法学校の正門に行くと、すでにカティアの姿があった。その隣には黒い毛の狼がいる。 (※狼はカティアの騎獣)
 「北門に行きましょう。そこに馬車を待たせているの」
 そう言った彼女に連れられ、ユーシズ魔導公国の北門へ行くと、彼女の言うように馬車が待っていた。左右3人ずつ、計6人が余裕を持って座ることが出来るその馬車には、車輪の根本に揺れを軽減する機構が取り付けられている。客室内外も飾りつけされた、豪華な馬車だった。
 「疲れを溜めるわけにはいかないわ。それに今回は学校が始まるまでに戻らないといけないから、少し急ぐの。普通の馬車だと、体が痛くなってしまうわ。さぁ乗って」
 そう言ってあなた達に手を差し出した。
  

○ユーシズ魔導公国/近郊の平原

 カーテンのついた小窓から見える景色が流れていく。本来激しく揺れるはずの車内はしかし、驚くほど静か。揺れもほとんど感じない。
 「折角だし、お話でもしない?」
 手持ち無沙汰のカティアがあなた達に提案する。
▶肯定 ※会話の例
 「ありがとう。じゃあそうね、あなた達冒険者でしょ? よければ、冒険の話、聞かせてくれないかしら?」
 「私はここから少し離れたところ(ウルシラ地方・妖精郷アヴァルフ)に住んでいるの。あなた達に話した通り、今はこっちの寮に下宿して、真語魔法を研究しているわ。寮ということは、あなた達もここから遠い場所に住んでいるのかしら?」
(※「あなた達もウルシラ地方にいたのね。結構大変だったんじゃない? ユーシズに来るまで」)
 「奈落教徒…最近、ブルライト地方全体で動きが活発化していると聞くわ。国内はマグヌス様の目があるからまだ安心だけれど、少し国を出るとそうでもないみたいね」
 「結果的に国内の物価が少し上がっているそうよ? 代わりに、魔物の討伐依頼が減って、護衛の依頼が増えているとアイリが言っていたわ」
▶否定
 「残念ね。学内にいるとなかなか会えないから、冒険者の貴重なお話、聞きたかったのだけど」
 あくまで暇つぶしをしたかっただけだったようで、それほど残念そうには見えない。車内の空気が悪くなることもなく、しばらく馬車の旅は続いた。
 
 数時間。何事もなく平原を進んでいた馬車。もうじきユーシズ魔導公国が見えなくなるという頃、馬車がその足を止めた。
 「珍しいわね。魔物だわ。それに少しだけ、危険度が高い…」
 様子を確認するために小窓を覗いたカティアが呟く。確認すると、馬車の進路をふさぐようにゆらゆらと剣を構える影のような魔物(「『ガストナイト』(Ⅰ)P.462」)が(PC数+1)体いる。
 「ちょうどいいし、ドラゴネット戦に向けて連携の練習でもしましょう。私は後衛。魔法であなた達を援護するわ」
 馬車の扉を開き、騎獣である狼とともに勇んで出ていくカティア。
※カティアを参加させるかどうかは、PCの任意。参加させる場合、彼女はフェロー扱いで参加する。
➡前衛:「『ガストナイト』」(PC数+1)体と戦闘。
 
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●戦闘後

○コロロポッカの森

▶カティアと共闘した
 馬車の中。危なげなく戦闘を終えたあなた達はカティアと話し合っていた。
 「いい感じだったわね。ドラゴネットはさっきの魔物よりもはるかに危険だから、一安心とまでは言えないけれど、最低限の連携は出来ていたかしら?」
 そう、あなた達に確認をとる。他愛のないやり取りをすることしばらく。馬車が止まる。場所は森のすぐそば。
 「着いたようね。とりあえず、降りましょう? きちんと休息をとって、それからねぐらに行く予定だから」
▶共闘していない
 「守ってくれた…のかしら。だとしたら、お礼を言うべきね。ありがとう」
 あなた達に頭を下げる。それからしばらく進んだところで馬車が止まる。場所は森のすぐそば。
 「着いたようね。とりあえず、降りましょう? きちんと休息をとって、それからねぐらに行く予定だから」
 
 馬車は相当早く走っていたようで、徒歩だと二日かかる道程を数時間で走破してしまったようだった。
 「それじゃあ、少し遅いお昼ご飯にしましょう」
 太陽は頂上を過ぎ、気温は頂点を目指して最後の歩を進める。心地よい風が草原に生えた草花を揺らす中、あなた達は休憩することになった。なお、馬車は危険を承知でこのあたりに停泊することになっている。
 「ねぐらは大きな穴の中にある、と聞いたわ。そこにたどり着くための目印があるらしいの」
 サンドイッチを口に運びながら、ねぐらへ向かうため、今後の説明をするカティア。
 「それは花びらが5枚の黄色い花。なぜかねぐら周辺にはそれが群生していて、近づくにつれ数が見かける数が増えていくというわけね。つまり、まずは黄色い花を見つけて、それからは数が多い方を目指していくというのが基本方針よ」
 「問題は、ねぐらの中がどうなっているのか、わからない点ね。だからあなた達に協力をお願いしたわけだけど」
 「幸い、森の魔物は最近減少しているらしいけど、いつまでも、というわけでもないはずよ。早めに見つけてしまいましょう」
 「理想は夜までにねぐらを見つけて、夜にまた休憩。明日の早朝に挑戦することかしら」
 
●状況
 ・現在は午後3時。日暮れは午後6時。
 

●黄色い花の捜索

○コロロポッカの森

 奥に進むにつれ、徐々に足場が悪くなる。立ち並ぶ木々は視界を遮り、いつもより探索は入念に行なう必要がありそうだ。
 ※聞き耳判定では何も聞こえない。「動物の声すら聞こえない」という情報は得られる。
 
 【探索判定:12】真新しい、複数人の足跡を見つける。以降、PCは任意で【足跡追跡判定:12】を行なうことが出来る。成功すると黄色い花を発見することが出来る。
 ※GM情報:足跡はドラゴネットのねぐらにある魔剣を狙った奈落教徒のもの。先ほど現れたガストナイトも、彼らが厄介払いとして、魔石から召喚した。
 「人の足跡…。誰かがこのあたりを通ったようだけれど、一体誰が…」
 「このあたりにはドラゴネットのねぐら以外、何もないはずよ。この誰かも同じようにねぐらに用があった? それとも、野良の傭兵や冒険者かしら…」
 「辿ってみる価値はあるんじゃないかしら? おそらくこの人物たちと、目指す場所は同じはずよ」
 
 【探索判定:14】木々の間から差し込む光を浴びた、黄色い花を発見する。花弁は5枚あり、これが目印の花だろう。【見識判定:10】に成功すると、『アブラ花(※オリジナル)』だと分かる。この花を潰して絞ると、油をとることが出来る。潰した花を素手で触れるとかぶれ(難易度10/効果時間:1日/1時間ごとに5点の毒属性魔法ダメージ)を発症する。【薬品学判定:10】に成功することで、きれいな水で洗えば治ることがわかる。
 「さすが見つけるのが早いわね、頼りになるわ。数が多い方へ、これを辿っていきましょう」
   
 【探索判定:16】徐々に数を増やしていく黄色い花を辿ることが出来る。しばらく進むと、地面が崩落してできた丸い大きな穴を見つける。穴をのぞくと噂通り、光が差し込む穴の底には黄色い花が咲き乱れている。目測で穴の直径は30mほど。深さは15mくらい。
 「おそらく、ここね。夜間は視界が悪しい、一度戻って、休みましょう。あなた達は睡眠も必要でしょう?」
 そこでカティアの連れていた狼が彼女の裾を引っ張り、地面を示す。
 「足跡、このあたりにもあるようね。ということはこの人たちもねぐらに行った…ということかしら。でも、どうやって降りたの…?」
 PCがもし周囲を探索した場合、【探索判定:11】に成功すると、木に結ばれたロープ(20m)を発見する。
 

●ねぐら捜索

 ※寝不足や視界の悪さなどで適宜、ペナルティ修正。また、カティアの狼はついて来られないので、フェロー行動表の3~4の効果が失われる。
 
 穴の底に降りたつと、黄色い花が放つ、いい香りに包まれる。
 穴には、大きな洞窟が一つ、(西側に)続いていることがわかる。
 【探索/足跡追跡判定:10】に成功すると、足跡が洞窟目指して続いていることがわかる。
 

○洞窟内部

●状況

 ・幅3m、高さ5mほどの洞窟。
 ・暗く、光がなければ何も見えないほど。ただし、望めばMPを消費しカティアが【ライト】を使用する。
 ・多少曲がりくねっているが一本道。この洞窟は、ドラゴネットのねぐらまで続く横穴。
 ・事前に奈落教徒が(PC数)人、ねぐらに向かっている。PCの数によって、エルフ(男)、ドワーフ、エルフ(女)、レプラカーン(最大4人)という暗視を持った種族構成の探索隊となる。
 ・休息をとらず強行したか否かによって、演出を変更する。

▶休息をとらず強行していた。

 あなた達が暗い洞窟を進んでいくと、前方に光が漏れる洞窟の出口。そして、人影が見えてくる。その中の一人、エルフの青年はもうすでにあなた達に気が付いていたようで、にこやかに話しかけてくる。
 「こんにちは、皆さんもドラゴネットのねぐらに用ですか?」
 彼らは全員、洞窟の闇に隠れるように、黒いフード姿だった。数はカティアを除いたあなた達、冒険者と同じ数。暗視が効くようで、彼らの手元に光源などは無い。結果的に発見が遅れた形になった。
 光に照らされ、彼らの顔かたちが露わになる。集団の先頭、あなた達に話しかけてきたエルフの青年。やけどの跡が残るその顔を見て、カティアに緊張が走った。
 「あの顔…バーンという男ね、間違いないわ。最近、小さな村の子供…それも十数人を生贄として焼いた、奈落教徒の要注意人物だったはずよ」
 カティアが教えてくれる。ひそひそというトーンだったが、狭い洞窟内。反響した声が彼らの耳にも届く。
 「知られていましたか。僕も有名人になったものですね。改めまして、僕は焼却係、バーン。奈落同様、人々に試練を与え、成長させようと志すものです」
 恭しくお辞儀したバーンと名乗る青年。
 「ここで会ったのも何かの縁。せっかくですから皆さんも、試練、乗り越えてみませんか? その暁にはきっと、人々を成長させてくれる奈落の正しさを理解できるはずです」
 「試練の内容はもちろん、信仰心を競うもの。私たちと、あなた達。互いが互いの試練となって、乗り越えた方がより奈落を理解できている…。そう、思いませんか?」
 あなた達に尋ねてくる。
 「今は彼らに関わっている場合ではないわ。ここで消耗するのは惜しい、そうでしょう?」
 あくまで今は、依頼遂行を優先すべき。そうカティアは助言するが、同時に、
 「けれど、私個人としては彼らのやったことは許せない。あなた達が戦闘を望むなら、協力させてもらうわ。動機づけとしては他にも、そうね…彼にはギルドから賞金20000Gがかかっていたはずよ」
 とあくまで大胆不敵に、笑って見せる。
▶▶戦闘しない
 「残念です。それでは私たちはこれで。ドラゴネットに会うことが、最優先事項ですから」
 そういうと、バーンたちは洞窟出口に向かって歩き去る。
 「ここでとりあえず休憩しましょう。向こうでドラゴネットとあの人たち。二つを相手にするのは骨が折れるもの」
 そうして小休憩したあなた達。歩き通しでたまっていた疲れも少しだけ和らぐのだった。
▶▶戦闘する
 「これ以上、犠牲を出すわけにはいかなものね。強力な相手よ、全力で行きましょう!」
 カティアが構えをとる。
 「そうでなくては! 試練は常にそこにあり、人は成長できる。あなた達に、私たちに、良き試練であることを祈ります!」
➡前衛:「『ドワーフの錬金戦士』」「『レプラカーンの妖精剣士』」
 後衛:「『エルフの高司祭』」「『エルフⅡの神官』」
 
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※敗北
 「僕達の信仰の証明になりました。よき試練、感謝します」
 余裕を見せながら、バーンがお辞儀する。
 「そこでしばらく休むといいですよ? 今後もあなた達に、良き試練があることを祈っています」
 ※PCが魔剣を持っていた場合、「ああ、それと。これもらっていきますね。使いの方が魔剣を求めていらっしゃるので」と言って持っている魔剣をランダムに一つ、奪い去っていく。
 あなた達が目覚めたときには、彼らの姿はどこにもなかった。それでも、生きている限り依頼は継続できる。
 準備をし直し、あなた達は本命であるドラゴネットのもとへ歩を進めるのだった。
 
※勝利
戦闘後、彼らを捕らえたあなた達。捕まった彼らは、なぜか嬉しそうだった。
「あぁ、僕以上に奈落を理解している人がいようとは! なんと満たされた気分でしょう。奈落に、試練に感謝しなくては!」
「【ナップ】! 行きましょう、彼らには眠ってもらってね」
すやすや眠る奈落教徒たちを置いて、あなた達は本命であるドラゴネットのもとへ歩を進めるのだった。
 

▶休息をとって挑戦していた。

※休息をとる場合、野営中は、睡眠が不要なカティアが夜通しの番を申し出る。
 野営中も不気味なほど静かだった森から何かが現れることもなく、無事一夜を明かすことが出来た。
休息をとった翌早朝。準備を整えたあなた達は大穴へ向かったのだった。
 

○洞窟内部

 あなた達が暗い洞窟を進んでいくと、前方に光が漏れる洞窟の出口が見えてくる。
 「あそこのようね。結局、足跡の持ち主と会うことは無かったけれど…彼らは無事かしら?」
 途中何度か見かけた足跡の持ち主を心配しつつも、行く先を見つめるカティア。
 【危険感知判定:16】に全員失敗すると、戦闘時、暗闇に紛れたアンデッドたちに翻弄され、先制力判定に自動失敗する。
 「ここで死んでしまった人たちのアンデッドね、成仏させてあげるわ」
 ドラゴネットの機嫌を損ねた亡骸たちが強い怨念をもって襲い掛かってくる。
 
➡前衛:「『コープスコープス』(Ⅲ)P.378」1体 ※[部位:死体]の数は3+(PC数-2)とする。
 後衛:「『スペクター』(Ⅱ)P.413」1体

 戦闘後、ただの死骸に戻ったアンデッドたち。
 「こうならないように、あくまで穏便に、事を運びたいわね」
 彼らを一瞥し黙とうしたカティアを連れて、あなた達はドラゴネットのもとへ向かうのだった。
 

●ドラゴネットのねぐら

○洞窟出口/ドラゴネットのねぐら

 ドラゴネットのねぐらと思われる場所は、あなた達が入ってきたそれよりも深く、大きな縦穴の底だった。
漏れていた光の正体。それは、それ自体が魔力によって輝いている金銀財宝だった。
 「貴様らも、俺の収集品を狙ってきた賊だな!」
 上空。天を背にはばたく赤い竜が、件のドラゴネットだった。
 「話し合いをしに来ました! 同か気を静めてください!」
 下手に出たカティアの言葉を受けて、ドラゴネットが地響きとともに着地する。
 「話し合い、だと? そう言うわりには、武器を携帯しているようだが?」
 あなた達を見てドラゴネットが言う。
 
 「先日、あなたが手に入れた赤い魔石を返してください」
 カティアがお願いする。お願いにしては、少し強い口調だった。
 「代わりに、このブレスレッドをあげます。どうですか?」
 カティアは魔法の発動体として使ってきた装飾の施された腕輪をドラゴネットに示す。しかし彼は首を振る。
 「それも美しいが、あの赤い石には遠く及ばない。それに俺が欲しいものは、力づくで手に入れればいいからな。ゆえに、その腕輪置いていけ。さもなくば…わかるな?」
 無理やりにでも置いて行かせる。そう告げていた。
▶PCが魔剣を一つでも持っている
 「そうだな…。お前らが持っている、その魔剣も置いていけ。そうすれば命だけは助けてやる」
 
 「あなたがそうして人族から武器を奪って、森の動物たち、植物たちを守ってきたことは尊敬するわ。でも、今回は『はい、そうですか』とはいかないの」
 敬語をやめ、腕輪をはめ直すカティア。
 「それに一つ間違いがあるわ。あなたの論は、あなたが強者だから許されるものよ」
 自身の力、そしてあなた達の力を総合して、彼女は言う。
 「だから、今回は例外。そうでしょう?」
 あなた達に確認する。
 
 「面白いことを言う。お前たちが俺より上だと? ならば証明してみせろ。なに、命はとらないさ。人族との抗争なんて、俺は望まないからな。森の秩序が乱れる」
 あくまで余裕を崩さないドラゴネット。竜の中でも若く、気分屋だと言われる彼ら。その油断こそ、付け入る隙といえた。
 「あれでも森の生態系を守る存在よ。くれぐれもやり過ぎないように、程よく誅してやりましょう」
 同等以上の相手に、手加減する。難しい戦闘が始まった。
 
➡前衛:「『ドラゴネット』(Ⅲ)P.409」1体と戦闘。
 ※戦闘終了条件:二つある[部位:翼]を両方破壊、もしくは[部位:翼]を一つ以上残して討伐。
 ※(PC数+1)個の〈剣のかけら〉で強化。上昇値の振り分けは任意。
 ※倒してしまっても撤退扱いとして戦闘終了。ただし、依頼失敗として最終的な経験点を-500点。

●戦闘後

 「なるほど、束になった人族はやはり、脅威だな。手加減までされてしまうとは」
 どこか感慨深げにつぶやいたドラゴネット。そして、
 「俺の負けだ。赤い石だけなら返してやる。だが、それ以上を欲することは許さない」
 これ以上の戦闘は、どちらかに犠牲者が出るまで続いてしまう。それは人族にとっても、森にとっても望ましいことではなかった。
 「あなた達のおかげで、最良の結果を得られたわ。ありがとう」
 財宝の山からめあての『紅玉石』を探し出し、カティアが嬉しそうに笑う。
 「その代わり、というわけでもないが、俺が地上まで運んでやる。来た道を戻るのも面倒だろう? 少しぐらいなら、まだ飛べるはずだ」
 そんなドラゴネットの手や背中に乗って空を飛ぶあなた達。戦闘で熱くなった体にはちょうどいい風が、あなた達を包む。
 「これで研究を再開できるわ」
 竜の背で、手に持った紅玉石を大事そうに抱えながら、呟くカティア。風を受けて、衣服に隠されていた彼女の腰に咲く、2輪の青い花がのぞく。幾重にも花弁が重なる美しい花は、彼女の気持ちを示すように、目一杯に花びらを広げていた。
 

●結末

 目の前に突如現れたドラゴネットに驚いていた御者が引く馬車に乗って、あなた達は無事ユーシズ魔導公国へたどり着いた。
 帰りを待っていたアイリに連れられ、冒険者ギルドで依頼の完了報告を済ませる。
▶バーンを捕らえた
 さらに、賞金首だったバーンを引き渡し、追加の報酬ももらう。気が済んだことを理由に、カティアは報酬の山分けを辞退したため、20000Gはあなた達だけで分け合うことになった。
 
 こうしてメリアの女子学生からもたらされた紅玉を求める依頼は幕を閉じる。
 「今回は本当にありがとう、助かったわ。あなた達の旅路に、妖精の加護がありますように」
 帰り際、あなた達に向けて、妖精郷出身者らしいお礼を述べたカティアだった。
 
➡報酬と経験点(1000 or 500+(判定での1ゾロ数)×50+(倒した魔物のレベル合計)×10点)を得る。

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ご覧いただいて、ありがとうございます。 見てみた・プレイしてみた感想や誤字脱字の報告を頂けると幸いです。 たまにシナリオに手を加えることがあります。 言葉足らずで不明なところは気軽に質問してください。 adobe のPDFは、見るだけは可能だと思います。もし不都合があれば教えてください。別のアップ方法を調べてみます。   ストックありがとうございます。それを励みにシナリオを作成していけたらと思います。

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