2021年04月11日更新

CoC『ゆめつみ』

  • 難易度:|
  • 人数:2人~4人|
  • プレイ時間:

罪を犯してなお、人は”つみ”続ける。

758

1

ストック

0

コメント

●準備

 推奨人数は3人程度
 出演:探索者、村民、ニャルラトテップ、ショゴス など
 推奨技能:〈言語:英語〉(PCに合わせて言語を調整)
 表記:【】…能力値 〈〉…技能 《》…呪文 『』…固有名詞など 「」…会話・記述など
 

●背景(KP情報)

 始まりは悪夢に捕らわれた人物の夢。彼は夢の中で、かの者(ショゴス)を呼び出す呪文を唱えてしまったのだ。結果、人々が夢を見ると、時々、かの者と遭遇してしまうようになった。この事態を面白がった想像の埒外の者たちは、賭けをすることにした。ひ弱な人類が、かの者を退けることが出来るのかを。ニャルラトテップに指示し、地球の深い山奥に夢の世界を作り上げ、モブを配置し、かの者を誘導するための装置(像)を配置した。人類を模して創られたその村に、地球の様々な国・時代から人類を誘い込み、そのたびに賭けに興じた。最初、人類は何も出来ずにかの者に飲み込まれた。が、文字や絵を用いて手にした情報をつなぎ、狂気に落ちたものによってようやくかの者退散の道が開かれた。そうして賭けが徐々に「退ける」方に傾き始めた頃、PC達が選ばれてしまったのだった。
 

●導入

 慰安旅行に出かけた探索者たち。カーナビでお気に入りの音楽を流しながら、高速をひた走る。
 道路の継ぎ目で車が揺れる。そのせいか、音楽にノイズが走る。そのノイズはやがて大きくなっていき、音楽をかき消していく。やがて聞こえてきたのは、衛星ラジオだった。
「続いてのニュースです。某県某所の山奥で奇妙な死体が発見された事件の続報です。警察の調べによれば、最初の死体の発見以降、次々に発見され続け、その数は今や百体を超えたということです。警察は捜査本部を設置し――」
「次は君たちだ」
ラジオの途中で聞こえた声。そこであなた達は意識を失ってしまうのだった。
 

●本編(RPを開始)

※大体24時間経つと、クライマックスへ。もし十分な時間眠っていない場合、ペナルティダイス1個~2個。
 
 気が付くとあなた達は車の中で眠ってしまっていたようだ。
 
○車の周囲
 車は深い森の中にあった。目の前には緩やかに傾斜した上り坂がある。背後にはトンネルがあり、出口には光が見える。携帯は圏外になっていた。
 車を調べると、燃料は残りわずかになっている。エンジンキーは刺さったままで、車を動かすことはできそうだ。
 空を見上げると、可視できる色が複雑に入り乱れ、うねっている。あなたの知るそれとはまったく異なっていた。
→SC0/1
 周囲の音を聞けば、上り坂の方角からカンカンと祭りの際に使われる鐘の音が聞こえる。逆に、それ以外の音が一切聞こえない。あなた達以外の生物が一匹たりともいないのだ。探索者が異常さを感じたならSC0/1
  
○トンネル
 トンネルは車一台がどうにか入れる幅しかない。音を聞いても、風が吹き抜ける音しか聞こえない。
 トンネルの中を行くと、ちょうど中間あたりで薄い幕をくぐるような感覚を覚える。
 出口はあなた達が入ってきたその場所につながっていた。まっすぐ進んでいたにも関わらず、もと居た場所に帰って来てしまうのだった。
 →SC0/1
 
○周囲の森/奇妙な森
 周囲には木々が覆い茂り、車を使って突破するのは難しそうだ。
 木々の先を見通そうとしても、暗い空間が広がっているばかり。あなた達を取り囲むその森は、生物一匹見当たらない、光も存在しない異常な森だった。→SC0/1
 木々を専門的な知識(【EDU】〈科学:植物学〉など)を持って調べ、成功した場合、あなたの知る地球上にあるどの国、どの時代にも存在しない植物だということが分かる。ここが地球ではないかもしれないという考えに至った探索者はSC0/1。
 森に入った途端、視界が揺れ、立っていられないほどの酔いを味わう。→SC0/1 以降、森にいる間5分ごとに【POW】を1減少させ、SC0/1を行う。運が良ければ2時間ほどで近くの国道に出られるかもしれない。【幸運】のエクストリーム成功→エンディング1
 
○上り坂
 上り坂の向こうには、小規模な集落が見えてくる。もし、空を見ていなかった探索者がいるなら、奇妙な空を見てしまう。

 

 
○集落
 半径200mほどの円形の土地に周囲の木々を使って作られたのだろう平屋の家が並ぶ。中央には広間があり、祭壇のようなものが組まれている。カンカンという鐘の音はその周囲に座った子供たちが鳴らしていた。集落の平屋について専門的な知識(【EDU】〈歴史〉など)を持って調べ、成功してしまうと地球上のあらゆる国、あらゆる時代にも存在しない建築様式、技法が使われていることがわかる。ここが地球ではないかもしれないという考えに至った探索者はSC0/1。
 村民は多人種。【EDU】もしくは〈人類学〉で彼らを調べることに成功すると、その中の多くが地球上の知られているあらゆる民族と特徴が異なることがわかる。また、歴史に詳しければ現代の地球では存在しないはずの人種も存在していることがわかる。もしここが地球ではないかもしれないという考えに至った探索者はSC0/1。
 言葉は通じる。勘がよければ、彼らが話している言葉とその口の動きが異なっていることに気付く。つまり聞こえている声は何か不思議な力で変換されているといことだ。→SC0/1d3
 「ようこそ、夢咲村へ」
 「明日催される『夢積み祭り』に参加される方々ですね?」
 「あちらが宿です。ゆっくりして行ってください」
 どの村民に話しかけても、決まったように同じ返答が帰ってくる。口の動きと声の違いに気付いていた場合、村民の表情や口の動かし方が異なっていることから、翻訳をしている“何か”が同じように翻訳していることに気付く。
 
 探索者たちが村民たちと話終えた頃、背後から声がする。
 「やぁ、君たち。振り向かないで聞いてね?」
 振り向いた場合、そこにはその探索者が理想とする姿形をした人物がいる。しかし瞬きの間にその姿を変え、一つとして同じ姿はない。一様に美男美女であったが、浮世離れしたそれらの人物、その現象は決して探索者が理解できるものではない。→SC1/1d6
 「こほん、おめでとう! 君たちはこの『夢の国』のキャストに選ばれた! 与えられた役は、これから村で起きる惨劇を防ぐ英雄さ! きちんと役割を全うしてね? さもないと…じゃあ、説明終わり。頑張ってね!」
 声の主はそれだけ告げて、いなくなった。以降、村民たちは質問に普通に答える。
 
○宿
 宿として示されたのは集落中央の家屋。出入口からは祭壇が見えるが、窓はない。木製のベッドが探索者の数だけ置かれた部屋が一つあるのみ。
 ベッドやマットレスの下などの目に見えないところに、目立つ傷がある。注目すれば、それは様々な言語で書かれた文字だと分かる。探索者の知る言語で人の名前や「祭り、楽しみ!」「村人が変?」などと刻まれている。専門的な知識(【EDU】〈人類学〉〈歴史〉など)を持って調べれば、様々な時代、様々な言語であることにも気づく。例えば古代ギリシア語やエジプト語など、文献としてのみ残っている言語などもあった。
 また、あるベッドの下には日記が置いてある。内容は主に英語で書かれている。時間をかけて読むと、どうやらこの村の『ゆめつみ祭り』について調べた内容をまとめたもののようだ。それは様々な筆致、時には絵などで描かれており、複数の人物がこの日記を記したことがわかる。ゆめつみ祭りが何かの儀式であること、そしてその儀式の果てに「アレ」が来たことが描かれている。その「アレ」については文字が乱れていて読めないが、「食われる」「くさい」の二文字がかろうじて読める。そして、その後のページには別の人物が丁寧な字で考察を行い、乱れた字で不思議な一文が描かれていた。もし声に出してしまった場合、その探索者のマジックポイントが5減る。
※ここにあるのは《退散の呪文(ショゴス)》の不完全バージョン。よって必要となる魔力が多め。退散の扉を開くためにMP5を消費し、以降はルールにのっとって成功の可能性をあげる。
 
○村中央の祭壇
 段々に組まれた祭壇。赤い布がかぶされ、段の上には食べ物を中心に供物が供えられている。最上段には像が飾られていた。
 最上段の像を調べようとすると、違和感を覚える。どれだけ注目しても、その形を捉えられない。手に取ってみてもその形がわからない。まるで脳が理解することを拒んでいるようだった。SC0/1d3
 祭壇の布をめくると、祭壇が木製であることがわかる。そしてその表面には奇妙な模様が描かれていた。しかもその模様は生き物のように祭壇の上を這いまわり、刻一刻と形を変えていた。SC0/1d3
 
○夢積み祭り
 もともとここに住む村民に聞けば、以下のことがわかる。
 ・祭りの名前は『夢積み祭り』
 ・『夢積み』とは、祈りが届くようにそれぞれの「夢」を書いた紙を祭壇に積み上げ、焚き上げるというもの。
 ・祭りの夜には使徒と呼ばれる選ばれし子供が祭壇の周囲で踊り、祈祷する。今は、鐘を夜通し鳴らしている。
 ・これはかつて村民が犯した「罪」に由来する。
 ・「罪」の内容は交渉系技能(〈威圧〉〈言いくるめ〉〈説得〉など)で話す。
 →罪、それは眠りを妨げた罪。「かの者」を呼び出してしまった罪。
 ・かの者の怒り、欲望、それを鎮めるための儀式。それが夢摘み。選ばれた生贄を、かの者に差し出す。
 ・贄、それこそが「使徒」なのだ。
 ・罪を犯した大人たちは未来ある子供の夢を摘み、新たに罪を積み続ける。夢と願いを届けるために。
 
○同郷の民
 運が良ければもともとここに住んでいない、探索者同様呼び出された人々と話せるかもしれない。その場合、以下のことがわかる。
 ・彼らもあなた達同様、唐突にここに連れてこられた。
 ・彼らはもう少し前にここに来たらしい。
 ・時計の針が進まず、朝夕の変化も存在しない。
 ・『夢積み祭り』が何を意味するのか、探しあぐねている。
※ここで会っていれば、クライマックスで彼らからマジックポイントを4融通してもらえる。
 

●クライマックス

 鳴り続けていた鐘の音が突然止む。中央の広場には村民たちが集まっていて、祭壇から距離をとった場所でひざまずいている。祭壇の周りでは、白い服を着た子供たち(使徒)が鈴を鳴らしながら舞っている。
 しばらくすると、祭壇に置いてあった置物が細かく揺れ始め、そこから黒いヘドロのようなものがあふれ出す。それが祭壇を包み、供物を飲み込んで広がっていく。子供たちはその様に驚き、逃げまどう。が、そのうちの一人が転んでしまう。探索者が何もしなければ、彼は広がっていく黒い液体から伸びたとげに貫かれ、「痛い、痛い」と絶叫したのち絶命する。その様を見た場合、SC1/1d4。そうしている間にも黒いヘドロは広がっていき、やがて止まる。そしてそのヘドロから触手のようなものが伸び、いたるところに線が走り、開く。それはあなた達をじっと見つめる無数の目だった。SC1d6/1d20
※戦闘などは『ショゴス』を参照。

●エンディング

○エンディング1
『森を突っ切って、運よく外に出た』
 奇妙な感覚に翻弄されながら、森を進んでいく。方向感覚が狂い、天地すらもわからなくなる。それでも前へ、前へ進むと、やがて暗闇しか見えなかった森に光が見えてきた。そこを目指し、懸命に進むことしばらく。ようやく光に届くと同時、ここに来た時同様、意識を失ってしまうのだった。
 お気に入りの音楽があなた達の耳を打つ。周囲を見渡せば、そこは高速のサービスエリア。どうやら全員、ここについた時点で疲れて眠ってしまっていたようだ。なんだか記憶が曖昧で、ここに来るまでの道のりを思い出せない。とその時、どこかで聞いた声があなた達の耳を打つ。
 「まさか自力で夢から覚めるなんて…いいね! これで主催者の一人勝ちだ!」
 「でも、覚えておくといい。絶対に逃げられないものが、この世にはある。ゆめゆめ、忘れるな」
 そして脳に響くその音は聞こえなくなった。
 
 ある日の夜、あなた達が眠りにつくと、声が聞こえた。
 「お待たせ、迎えに来たよ。それじゃ、続きと行こうか」
 
○エンディング2
 『怪物を倒した』『怪物を退散した』
 黒く異臭を放つ液体が祭壇に飲みこまれていく。その様を村民たちは呆然と見ていた。よく見れば彼らは動きを止めている。一方で、動く人々もいる。彼らは状況を飲み込むと、一様に歓喜する。そして、この状況を作り出したあなた達に駆け寄ると、
 「ありがとう、これであいつから解放される! このおかしな世界からもお別れだ!」
 「これまで、たくさんの犠牲を見て見ぬ振りしてきた…それももうおしまいだ!」
 と感謝を告げる。そこでいつか聞いたあの声が聞こえる。
 「おめでとう! これで悲劇を止めることにかけた方の勝利だ! 君たちの役割もここで終了! 返してあげるよ」
 まぶたが重くなり、眠りに落ちるような感覚。その間際で、聞こえたのはあなた達に感謝を告げていた人々と例の声のやり取り。
 「よし、俺たちも早く返してくれよ! 」
 「君たちはだめだ。これは彼らの努力の結果だ。君たちに関係ない。それに、多くの人々を見殺しにしたその罪。そう都合よく帳消しとはいかない。安心するといい、また別の役割が君たちにはあるからね。次はそっちだ」
 笑いを含んだその声を最後に、あなた達の意識は途絶えるのだった。
 
 お気に入りの音楽があなた達の耳を打つ。周囲を見渡せば、そこは高速のサービスエリア。どうやら全員、ここについた時点で疲れて眠ってしまっていたようだ。なんだか記憶が曖昧で、ここに来るまでの道のりを思い出せない。それでも何かをやり遂げた達成感があなた達に残っていた。その時、あの声が聞こえる。
 
 後日、ふと見たテレビニュース。
 「続いてのニュースです。山中で発見された奇妙な遺体。警察の発表ではその数は最終的に256人に上ったということです。また専門家の調査により、ここにはかつて小さな集落が存在しており、その名前は――」
 それはきっと、あなた達の知っている村の名前だっただろう。同時にあなた達が終わらせた惨劇が、たくさんの人々が繋いだあの日記によるものだったことがわかるのだった。
 →SAN値回復1d10
 
○エンディング3
『事態を静観/逃走する』
 あなた達が事態を静観もしくは逃走すると、異臭を放つ黒い液体は食事を求めて這いまわる。運が良ければ逃げ切れるかもしれない。その黒い液体はさらに4人ほどの生贄を捉えると、奇妙な像に吸い込まれ、その場を去る。
 村民たちは終始、逃げまどうこともなく事態を静観している。探索者が逃げおおせた数だけ、彼らのうちの誰かが犠牲になっるのだった。伸びた触手に貫かれるもの、音を立てて潰されるもの、鋭く振るわれた職種に真っ二つにされるもの。その様を見ていた場合、SC1/1d4
 事態が収まると、どこかから声が聞こえる。
 「今回も事態を止められないことに賭けた方の勝利か…。じゃあ、次を探しに行こうか。そうそう、君たちはずっとこの『夢の国』にとらえられているといい。与えられた役割を放棄し、他者の命を犠牲にした罪は重いよ?」
 「主人公じゃなかった君たちは、モブの仲間入りってことだね。それじゃ」
 それだけ告げて声は聞こえなくなった。別の村民が話しかけてくる。
 「ようこそ、夢咲村へ」
 「明日催される『夢積み祭り』に参加される方々ですね?」
 「あちらが宿です。ゆっくりして行ってください」
  それ以降、村民はあなた達の知らない言葉で語り続けるだけだった。

Default dc97b68ac5e45fe6e796100df0104bd212cb6cb56de14e1772ab29062c337ef0

ご覧いただいて、ありがとうございます。 見てみた・プレイしてみた感想や誤字脱字の報告を頂けると幸いです。 たまにシナリオに手を加えることがあります。 言葉足らずで不明なところは気軽に質問してください。 adobe のPDFは、見るだけは可能だと思います。もし不都合があれば教えてください。別のアップ方法を調べてみます。   ストックありがとうございます。それを励みにシナリオを作成していけたらと思います。

https://twitter.com/misakaQDA

Post Comment

ログインするとコメントできます。