探索者の住む街では、現在、神隠しと言われるものが起こっていた。
どうやら一人が姿を眩ませたあと、その一人と関係がある者が後を追う様に消えるらしい。
そして、暫くすると、何事も無かったかのように姿を現す。
連れ攫われた者は共通して、一定期間の記憶を保持していないようだった。
そのような事件が起こる中、探索者の友人が音もなく姿を消してしまう。
ソロでも可能なシナリオになっています。
謎解きしたいという方におすすめです。
※鍵の描写について増やしました。2/14
※描写を少し増やしました。10/16
背景
とある研究者グループは、ショゴスの模倣能力に目をつけた。
ショゴスが対象(探索者)の友人に化けたとき、対象(探索者)はそれを見破れるのだろうか。
不運にも、探索者はこの実験に巻き込まれることとなる。
形式 クローズド
推定時間 1時間〜1時30分
推奨技能 目星、図書館
推奨人数 1〜4人
※行方不明になるNPCと探索者が友人関係である。探索者が多人数の場合は共通の友人や、探索者同士も友人という設定だとプレイしやすいと思われる。
NPC 白倉 凪(しらくら なぎ)
女性 26才 職業:ジャーナリスト
明るく気さくな人柄。
面白い記事を書くためなら、危険なことでも首を突っ込みがち。
STR13 CON15 POW10 DEX9 APP15 SIZ13 INT14 EDU16
SAN50 幸運50 アイデア70 知識80 耐久力14 MP10 db+1d4
導入
探索者の住む街では、現在、神隠しと言われるものが起こっていた。
どうやら一人が姿を眩ませたあと、その一人と関係がある者が後を追う様に消えるらしい。
そして、暫くすると、何事も無かったかのように姿を現す。
連れ攫われた者は共通して、一定期間の記憶を保持していないようだった。
そのような事件が起こる中、探索者の友人である、白倉凪(しらくら なぎ)が音もなく姿を消してしまう。
ジャーナリストという職業とあの性格上、何処かへ取材に行ってるだけだ。と、いつもなら思っただろう。
しかし、今回は違うような気がした。確証はなく、只の勘である。
夜が更けてもなお街中を探し続けたが、やはり何処にも姿はない。
今日はもう諦めて帰ろう。そう思い踵を返したとき、突如、後ろから何者かが数人現れ、羽交い締めにされると、口元を覆われた。
首元に注射で薬を打たれると、探索者の意識は急速に遠のいていった。
首の痛みで目を覚ますと、そこは正方形の見慣れない部屋。
部屋の中央には紙切れと鍵。
壁側には扉と棚。下に続く階段もある。
※多人数の場合
周りを見渡せば、他にも探索者が起き上がっている。
そして何よりも驚きなのは、探索者の隣で倒れている女性、白倉凪の姿があったことだった。
不安感からSANc 0/1
※RPを開始してください。
白倉凪
呼吸はあるようで、ただ眠っているだけと言うことがわかる。
※kpへ この白倉凪は本物です。
白倉に目星
首元には注射針の痕があった。
内出血を起し、皮膚の色が変色している。
それ以外の外傷は見当たらない。
起こす
探索者が起こすと、白倉は小さく唸ったあと目を覚ます。
「此処…は、どこ?
って、(探索者の名前)!?
一体どうしたの?」
と状況が読めず混乱しているようだった。
何処行ってたの?→「神隠しの正体を暴こうと思って調べてたら、誰かに後ろから気絶させられて攫われてさ。今起こされたら、皆が居たって感じかな。」
神隠しについて何か調べられた?→「何だか神隠し、というよりかは実験対象として連れてこられているっぽいよ。なんの実験なのかは私もわからないけど。」
首の痛み
注射をうたれていることから、その痛みだろう。
耐久−1
中央の紙切れ
「これを読んでいるという事は、無事目が覚めたのだね。
君たちには、私達が行っている実験に協力してもらう。
なぁに、何も難しいことではない。
偽物だと思う方のご友人を鎖に繋ぎ、本物だと思う方のご友人を連れて、この建物から出るだけ。
ただそれだけだ。
いいデータが取れることを期待しているよ。」
中央の鍵
金属製の大振りな鍵。
(白倉がいる牢屋に対して使う。)
部屋全体に目星
天井と壁の丁度90°角の部分にカメラが装着されていた。
ライトが小さく点滅していることから、正常に作動しているようだ。
棚
150cmほどの棚が2つ並んでいる。
左はファイルが沢山ある棚。
右は様々なジャンルの本が乱雑に置いてある棚。
左の棚 図書館
数多くファイルが収められている棚から、探索者は背表紙にデータとだけ書かれている黒いファイルをみつける。
開く
中を開くと数十人の人の個人情報が記されていた。
顔写真が数枚貼られているが、その中に知っている顔はない。
最後の(探索者の人数+白倉凪)ページには、探索者と白倉凪の情報が細かく、細部に渡って書かれていた。
※鉄格子2の死体を見ていれば、探索者たちの一個前のデータの男性と同じだとわかる
右の棚 図書館
大きさも厚さもジャンルもバラバラな本の中から、探索者は異様に分厚い本を見つける。
なにも描かれていない煤けた赤黒い表紙がやけに威圧的で、存在感を主張していた。
ページの一部に付箋が貼られている。
開く
中を開くと、とある生物について記されていた。
その名はショゴス。
体の器官を自由に形成し、人の姿を模倣することができる。
典型的なショゴスは、自由に漂うときには直径およそ5mの球形である。
彼らは
「テケリ・リ、テケリ・リ」
という独特の鳴き声をあげる。
文の下には黒っぽい不定形な塊が描かれていた。
到底理解してはいけないその生物から、探索者は目が離せなくなる。
SANc 1d2/1d3
※この本を読んだ探索者は、「テケリ・リ、テケリ・リ」と言う声が聞こえる。凪は聞こえない。
探索者が本を読み終えたと同時に、何処からか
「テケリ・リ、テケリ・リ」
という声が聞こえる。
けして気のせいなどではない、嫌でもはっきりと聞き取ることができる。
その声は、先程の本で見たショゴスの鳴き声と紛れもなく同じものであった。
この空間内にショゴスがいるのかもしれない。
途端に探索者の背筋に悪寒が走る。
SANc 0/1d2
棚 目星
棚と棚の数ミリの隙間に紙が落ちているようだ。
棚は固定されている
STR15と対抗
紙を取る
「取り残された本物は心も体も砕け散る。」
扉
頑丈な造りをしていることが、ひと目見ただけでもわかる。
壊すことは到底できないだろう。
鍵穴はなく、遠隔で開錠の操作をするようだ。
貼り紙がしてある。
貼り紙
「外への扉はこちら。
実験が終われば開く。」
聞き耳
風が吹く音が聞こえる。
階段
下へと続く階段。
暗く、ひんやりとした空気が満ちている。
下りる
階段の中段に差しかかったところで、ばしゃりと液体を踏む。
暗いためこの液体が一体何なのかはわからない。
そのまま進んでいくと、少し開けた薄暗い場所へ出る。
床は薄く液体で満たされ、探索者が歩くたびに大きな音をたてた。
壁側には鉄格子で区切られた部屋が3つあり、その正面の壁には鍵がぶら下げられている。
※白倉凪は鉄格子の部屋3を見に行く。
液体
無臭で冷たい。
どこからか染み出したものだろう。
部屋全体 目星
天井と壁の丁度90°角の部分にカメラが装着されていた。
ライトが小さく点滅していることから、正常に作動しているようだ。
壁の鍵
石造りの壁に釘が打たれ、そこに鍵が一つぶら下げられている。
5cmほどの鍵だ。
(この鍵は、枷を外すためのものである。鉄格子1~3共通の鍵である。)
鉄格子の部屋1
扉は数センチ開いている。
中には誰もいないようだ。
壁から鎖がはえており、その先には手枷と足枷がついている。
手枷足枷 目星
液体にさらされている枷に、黒っぽい不定形な塊が微光を発しながら這っていた。
目のような部分が探索者を捉えると、「テケリ・リ、テケリ・リ」と不気味な声を放つ。
その生き物は真っ黒な人型だったが、次第に形を崩壊させていく。
SANc 1/1d3
鉄格子の部屋1 壁 目星
壁の切れ目に丸められた紙がある。
「交互に実験すること。」
※この被検体は実験に成功している。
此所に最初に繋がれていたのは偽物。気づいた実験体は鎖を繋ぎ変えることなく、本物を連れ脱出。
鉄格子の部屋2
扉は数センチ開いている。
その部屋に近づくと、吐き気を催すほどの濃厚な鉄の臭いがする。
中を覗く
液体にさらされた床に横たわるのは、首、腕、足が胴体から切り離された男の死体。
見たくもない人体の断面。肉がめくれ、筋肉がむき出しになり、中央には白い骨がみえる。
開ききった瞳孔が、恨めしそうに探索者の顔を見つめている。
手枷足枷の先には、すっかり血の気のうせた手足がだらりと投げ出されていた。
SANc 1d2/1d3
※目覚めた部屋にて見つけることができる黒いファイル(左の棚)を読んでいれば、この男性は自分達がくる前に此所に連れてこられていることがわかる。それも1つ前の被検体。
※この被検体は実験に失敗している。
最初に繋がれていたのは本物。だが実験体は彼を偽物だと思い、鎖を繋ぎ変えず、本物の彼を放置しそのまま脱出。
鉄格子の部屋3
※白倉凪は鉄格子を握りしめて怯えている。
「嘘でしょう……」
とうわ言のように繰り返すばかりで会話にならない。
扉は鍵がかけられ、固く閉ざされている。
鍵穴がある。(目覚めた部屋で拾った鍵で開けられる)
目星
人が鎖につながれて横たわっている。
(5cmほどの鍵で外すことが可能)
開ける
かちりと音がし、扉は開く。
扉の先にいた者は、探索者の友人、白倉凪と寸分違わぬ容姿をした女性だった。
鎖に繋がれた女性は探索者に気がつくと
「(探索者の名前)……。」
と探索者の名前を、今にも消えそうな声でつぶやく。
冷たい液体に長時間使っていたからなのだろう、体は寒さで震えていた。
SANc 1/1d3
※kpへ この白倉凪は偽物です。
エンディング分岐
条件 本物を連れて帰り、偽物を鎖に繋いだ。
ハッピーエンド
探索者は、もう一人の白倉凪、自身の友人を鎖に繋いだ。
鎖に繋がれた白倉は
「(探索者の名前)は、そっちの私を選ぶんだね。
……もっと、皆と色んなところに行ってみたかったな。」
と微かに笑みをみせると、口を閉ざす。
探索者は本物だと思う白倉を連れ、階段を上がっていく。
外へとつながる扉の鍵はすでに開けられていた。
扉を開け放つと、視界いっぱいに白い光が広がる。
あまりの眩しさに目を瞑ると、探索者はそのまま意識を失った。
消毒液の匂いが鼻につく、重いまぶたをひらくと見えたのは白い天井。
体を起こし、見渡せばそこは病院だった。
※他の探索者がいれば、皆同時に起き上がる。
「おはようございます。皆さん、河川敷で倒れていたんですよ。
記憶はありますか?」
看護師の問いかけに記憶を辿ってみるが、自分たちがどんな目にあったのかを全く覚えていない。たしか凪を探していたはず。そこまでの記憶しかない。
混乱する探索者をよそに凪が声を発する。
「ねぇ、退院したら、皆で何処かに遊びに行こう!約束ね!」
そういって笑った凪は、探索者が知っている白倉凪で、紛うことなき本物の彼女の笑顔だった。
ハッピーエンド。シナリオクリアです。おめでとうございます。
クリアボーナス
SAN回復1d10
クトゥルフ神話技能+2
条件 偽物を連れて帰り、本物を鎖に繋いだ
バッドエンド
探索者は、もう一人の白倉凪、自身の友人を鎖に繋いだ。
鎖に繋がれた白倉は
「(探索者の名前)は、そっちの私を選ぶんだね。
……もっと皆と過ごしたかったな。」
と微かに笑みをみせると、口を閉ざす。
探索者は本物だと思う白倉を連れ、階段を上がっていく。
外へとつながる扉の鍵はすでに開けられていた。
扉を開け放つと、視界いっぱいに白い光が広がる。
あまりの眩しさに目を瞑ると、探索者はそのまま意識を失った。
消毒液の匂いが鼻につく、重いまぶたをひらくと見えたのは白い天井。
体を起こし、見渡せばそこは病院だった。
※他の探索者がいれば、皆同時に起き上がる。
「おはようございます。皆さん、河川敷で倒れていたんですよ。
記憶はありますか?」
看護師の問いかけに記憶を辿ってみるが、自分たちがどんな目にあったのかを全く覚えていない。たしか凪を探していたはず。
そこまでの記憶しかない。
混乱する探索者をよそに凪が声を発する。
「ねぇ、退院したら、皆で何処かに遊びに行こう!約束ね!」
そういって笑う凪が
「テケリ・リ、テケリ・リ」
と不気味な声をあげていることに探索者は気が付かない。
……気がつくことも、ない。
バッドエンド。
シナリオクリアです。
おめでとうございます。
クリアボーナス
SAN回復1d6
クトゥルフ神話技能+3
解説
① 目覚めたとき、隣に居るのが本物という場合と偽物という場合を交互にして実験
※今回は本物が目覚めたとき隣にいる場合に当てはまる
②鎖に繋いだのが本物のだった場合、その人は心も体もバラバラになる。
ということで、鉄格子の部屋2にいた人は本物→四肢をバラバラにされ死亡。
➂鉄格子の部屋1にはショゴスの破片=偽物。
鉄格子の部屋2は本物。
本物と偽物を交互に実験しているのだから、鉄格子の部屋3は順番的に偽物だとわかる。
あとがき
「きっと、私をみつけてね。」を閲覧、プレイして頂き、ありがとうございます。
タイトルは、探索者の皆さんに本物のNPCを見つけてもらえますように。という願いをこめてつけました。
KPの皆様はPLの様子を見ながらヒントを出すのも良いかもしれません。
何か不明な点などありましたら気軽にご連絡ください。
後味の悪さとバッドエンドが主食 動画投稿の際は、私の名前の記載をよろしくお願いいたします。 数あるシナリオの中から、遊んで下さった皆様に最大の感謝を!
Comment
シナリオ読ませていただきました。今度友人とプレイする予定なので使わせていただきたいです。そこで質問なのですが、目覚めた部屋にある金属製の鍵と階段を降りたとき壁にかかっている5cmほどの鍵の使いみちを教えてください。
質問ありがとうございます。
目覚めた部屋にある鍵は、白倉がいる牢屋に対して使う鍵となっています。
また、5cmの鍵は白倉が繋がれている枷を外すための鍵となっています。
わかりづらい描写で申し訳ないです。その描写について、もう少し書き加えておこうと思います。
丁寧に返信ありがとうございました。
いいえ!また不明な点等が見つかった際は気軽にご連絡ください!
今度友人とプレイしたく、謎解きについて質問させてください!
鉄格子の部屋1、部屋2の状況から部屋3の推理につなげるということですが、
前回、前々回の被実験者たちが鎖のつなぎ替えをしていないというヒントはどの部分でしょうか。
見返してみると、そのヒントに対する記載がなかったと思うので後程シナリオに記載を増やしておこうと思います。
鉄格子1に繋がれていたのが前前回の実験体を模したショゴス
鉄格子2に繋がれていたのが前回の実験体
(目覚めた場所 左の棚 黒ファイル)
鉄格子3に繋がれていたのが今回探索者の知り合いである白倉凪を模したショゴス
捕足となります。
前々回の実験者は繋がれているのが偽物だと気づいたため、(今回の探索者のように散りばめられたヒントを元に)鎖を繋ぎ変えることなく脱出。
前回の実験者は繋がれているのが本物だと思ったため、繋ぎ変えた結果失敗してしまい、後程繋がれた“本物”は心身共にバラバラにされてしまいました。
ご対応いただきましてありがとうございます!
いいえ!また何か質問等ございましたら、気軽にご連絡ください!
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